それぞれの思いの果てに

 作:verdsmith7


夕日が沈み始め、辺りは赤色から暗闇が覆い始めた。
高校の部活もやがて練習が終わり、生徒たちが帰る支度を始めた。
それを学校の屋上から一人の少女が眺めていた。
目的の人物が帰る支度を始め、彼女は動きだした。


俺はアメフト部の練習が終わりタオルで汗を拭った。
まだ息が切れているのでスポーツ飲料を飲む。
喉に冷たい液体が流し込まれているのが分かった。
息を整えロッカー室へと向かう。
「さあ、帰るか」

元々体格が大きかった俺は高校に入りアメフト部へと入った。
持ち前の体力とこの大きな身体で見事に成績も残せている。
残念ながら学業の成績はというと、部活とは真逆の結果になっているが。
それはともかく部活で活躍している内にもう一つ得たことが・・・
「隆君も部活終わったの? 一緒に帰ろう」
ロッカーを出ると俺の彼女の由美が声を掛けてきた。
彼女とはもう1年ほど付き合っている。
「そっちも終わったのか、じゃあ帰るか」
彼女はテニス部で帰る時間帯もほとんど一緒だった。
必然的に一緒に帰ることが多かった。
いつものように一緒に並んで帰る。
由美は背は平均ぐらいだったが俺の背が高すぎるせいで、いつも由美を見下ろしながら帰っていた。
そんな彼女を「かわいいな」と密かに思いながら話すのが好きだった。

由美はスポーツができて俺とは違って勉強もできる文武両道な女子だ。
男勝りの性格だが顔も美人で学校での人気も高い。


俺達が学校を出て家に向かっていると一人の女子が影から出てきた。
「待ってたわよ。隆君に由美」
彼女は同じ学校の生徒の吉江という女の子だ。
かつては由美と友人でありクラスで由美と1、2位を争う美人だった。
だが、由美と吉江の友情もあっけなく終わることになってしまった。
「やっぱり隆君は由美の方がいいのね」
理由は俺と由美が付き合い始めたのが原因だった。
実は由美に告白したのは俺からだった。
だから由美と付き合い始めた時に吉江には俺から理由を話した。
「俺由美が好きだから、ごめんな」と。
しかし、由美はそれでも俺達を許してくれなかった。
それから吉江は由美を嫌うようになり、俺にもストーカーまがいの行為をするようになった。

「何度も言ってるだろ、俺は由美が好きなんだ。悪いけど俺達に付きまとわなないでくれ!」
このやり取りも何度目か忘れた。
それを聞いた吉江は最初悲しそうな顔をしていたが、何かを決めたかのように動きだした。
「そう、やっぱりこうするしかないのね・・・」
そう言うと吉江は俺の方に近づいてきた。
何か嫌な予感がする。
もしもの時は力尽くで吉江を止めないといけないかもしれない。
俺は襲われても大丈夫だろうが、由美は・・・
そんな不穏な空気がながれた。


吉江は俺の目の前まで迫った。
(どうする気だ?)
吉江は俺の目の前に来ると俺を見上げてこう言った。
「これで付きまとうのは止めるわ。でも最後に隆君だけに言いたいことがあるのよ。顔をもう少し下げてくれない」
いつもの復讐心に燃える怖い顔でなくその顔は笑みを浮かべていた。
予想外の事に少し俺は戸惑ったが、素直に彼女に従うことにした。
「わ、分かったよ」
俺は吉江が耳打ちできるぐらいの背の高さに合わせて背を屈めた。
吉江が俺の耳で囁く。
「隆君の全部をもらうわね」
そう言うと吉江は俺の唇にキスをしてしまった。

「な!?」
横で由美が驚いているのが分かる。
最初キスをされた時は何をされているのか分からなかったが、吉江の唇の感触を俺の口が感じてようやく自分がキスされていると理解できた。
だが、その時にはもう遅かった。
一瞬グラっと視界が揺れたような気がした。
そして意識がそこで途絶えた。


「隆君大丈夫?」
由美は倒れてしまった隆の元へと駆け寄った。
隆の身体を揺らし無事かどうか確かめる。
「う、うーん」
隆から力の抜けた声が聞こえてきた。
「よかった。無事だったんだ。心配したのよ」
由美の言葉を聞いた隆は突然ニヤっと笑うと急に立ち上がった。
「隆君どうしたの?」
由美は急に自分の身体を確認していく隆を不思議そうに見ていた。
そんな由美を立ち上がった隆は嬉しそうに見下ろした。
「うふふ、やったわ!隆君の身体を手に入れたわ」
そして自分の身体の筋肉や腹筋を触って嬉しそうに喜んだ。

「由美どうしたんだ?」
突然吉江が由美に話し掛けた。
彼女も目を覚ましたようだ。
「あれ? 由美ってそんなに大きかったか?」
由美はさっきまで敵対心をむき出しにしていた吉江が急に大人しくなったことに今度は驚いた。
「って。あれ? 何で俺がそこに立ってるんだ?」

「言ったはずよ。隆君の全部をもらうってね。つまり私達入れ替わったのよ」
急にオネエ口調で話す隆に由美は信じられないものをみている気分だった。
さっきまでの彼氏が吉江と入れ替わったなんて信じられなかった。
だが、今の隆と吉江の反応を見ると信じないわけにはいかなかった。
「これで私が隆君として楽しめるのね。それに・・・」
喜びにあふれる隆の身体とは反対に吉江の身体は絶望に満ちていた。
「そ、そんな馬鹿なこと・・・」
まだ半信半疑の隆に吉江は鞄から取り出したコンパクトを渡した。
そこには、アメフト部の屈強な隆の姿でなく、いつも自分達にまとわりついた吉江の姿だけが映っていた。


その後、隆の身体を手に入れた吉江は上機嫌で彼の家へと帰っていった。
吉江は残された2人にマンションの鍵を渡してきた。
「大丈夫よ。私1人暮らしだから誰も変に思わないわよ」

由美と隆は吉江のマンションに向かうしかなかった。
あまりにも急な出来事だったのでどうすればいいのかさえ分からない。
取り敢えず今は吉江の部屋に行って今後の事を話し合う事に決めた。

部屋に入り、鞄を一先ず置いて2人は座り込んだ。
「ねえ、本当に隆君なのよね」
由美は尋ねた。まだ信じられなかったし、信じたくなかったのだ。
「俺は隆だ。こんな姿になって俺が一番信じられないよ」
その姿や声は吉江だったが、由美に対する話し方や接し方は確かに隆のそれであった。
部屋に置かれている鏡で今一度隆は自分の姿を確認した。
そこにはブレザーとスカートを履いた女子高生の吉江が映っていた。
美少女に相応しくない不安な表情を浮かべている。

「とにかく吉江から身体を取り返さないと!」
由美は力強く言った。
当然隆もそれに賛同した。
いきなり身体を入れ替えられてこのまま吉江として過ごすなんてあり得なかった。
「明日2人で吉江にどうやって身体を入れ替えたか聞きださないとな」
ただ吉江がそれに素直に応じてくれるかは疑問だった。
それでも今はそれが唯一元に戻れる方法だったのだ。

「じゃあ、明日の朝迎えに来るわね」
一応今後するべき事を決めて由美は家に帰っていった。
エレベーターまで由美を見送り降りていく彼女へ手を振った。
そして隆は吉江の姿のまま1人になった。
「取り敢えず風呂にでも入るか」
その為に服がどこにあるか調べなければならなかった。
何せ初めて来た他人の部屋だ、どこに何があるのかさっぱり分からない。
いかにも服がありそうな戸棚をチェックする。
そこには女の子が着そうな可愛らしい洋服がいくつも入っていた。
「なんだか、女の子の部屋を荒らしてる変態の気分だ」

風呂場で服を脱ぎ始めてると洗面台の大きな鏡が目に入った。
肩まで届きそうな黒髪、パッチリした目、潤った唇、瑞々しい肌、スラリとした手足。
由美とはまた違った美人の女の子。
そしてアメフト部だった自分とは真逆の身体になっている事を思い知らされた。
「この吉江の身体が今の俺なんだ・・・」
クラスでも美人なだけに見た目だけだと見惚れてしまいそうだ。
腕を触っても筋肉のゴツゴツ感はなく柔らかな肌で覆われているとすぐ分かる。
だが一番の違いは。
「吉江の胸か・・・」
ブレザーでは分かりにくかったが、大きな胸がそこにはあった。
大胸筋とは違い触るとプルっと震え触っている自分にも快感が押し寄せてくる。
「き、気持ちいいな」
ダメだと分かっていたはずだった。
身体を無理やり入れ替えられて、これから取り戻さなくてはならない。
それなのに、今この身体の事をもっと知りたいと思ってしまう自分がいた。
ゆっくりと制服を脱いでいく。

男の服と大きく違うのはやはり下着だった。
白と薄くピンクの色が付いたその下着姿はとても色っぽく思えた。
「か、可愛い・・・」
いつも疎ましく思っていた吉江が凄く可愛く思えてしまった。
そしてゆっくり下着を取り外した。
隆はもう一度鏡に映った自分を確認した。
女の子の裸だ。
大きな胸とピンと上を向いている乳首、股には薄く整った陰毛が生えていたが、それでもこの身体が綺麗だとすぐに分かった。
「これが俺なんだ」
アメフト部の筋肉粒々の汗臭い男子でなく、美人で可愛い女の子。
そう考えてしまうと隆は自然と興奮してしまった。

手で身体を触ってみる。
スベスベで柔らかくて暖かい感触が手に伝わってきた。
そして胸を触った。
「柔らかくて気持ちいい、それに・・・」
触れば触るほど興奮していくのが分かった。
自分が元男だからなのか、それとも吉江が淫乱だからなのか分からないが触れば触るほど興奮していく。
「はあ、はあ、やばいこの身体」
そして息は荒くなり手を秘所へと向かった。
「あん!」
クチュっとした感触と共に声が漏れてしまった。
そして再び手を動かし始めた。
「あ、ああん。き、気持ちよすぎて・・・」
自分の口から出てくる高くて可愛い喘ぎ声に自分自身でも興奮していた。
それは全身で行うオナニーのようだった。
声も手もあそこも全てが快感を伝えてくるようだ。
「も、もう。だめー!」


翌日は朝早くから由美が迎えに来てくれた。
「こんなに朝早く来なくてもよかったんじゃ・・・」
隆は眠そうな目を擦り由美を部屋に招き入れた。
「ダメよ。女の子は準備がかかるんだから」
強気な由美に隆は拒否権などなかった。
そして持って来たメイク道具を取り出した。
「学校って化粧禁止じゃなかった?」
隆は化粧をしようとする由美に聞いてみた。
「あんなの誰も守ってないに決まってるでしょ」
「当然でしょ」と言われて隆は女子の世界を少しだけ知った気がした。

「さあ、できたわよ」
そう言って由美は鏡を見せてきた。
そこには綺麗で美人の吉江が映っていた。
「す、凄い。こんなに綺麗になるんだ」
隆が驚いていると由美はこう言った。
「私はほとんどしないけどね。これは昔吉江に・・・」
そう言って由美は言葉を止めてしまった。
何か思い出したくないことに触れてしまったようだ。
「さあ、そろそろ学校に行くか」
隆は気を利かせて少し早いが学校へと向かうことにした。
どっちにしろ行かなければならない。自分の身体を取り戻すために。


学校に到着すると、隆と由美は手分けして吉江を探した。
どこにいるのか、クラス、部室、トイレなど心当たりがある場所はいくつかあったが、確実に見つけられる保証はなかった。
だが、隆の予想に反して吉江の方から接触してきたのだ。
吉江は人が少ない部屋で話そうと言って隆はそこへ向かうことにした。
「どうだった私の身体は? 夕べは楽しめた?」
ニヤニヤとしながら「分かってる」と言いた気に話し掛けてきた。
「え・・・」
俺はつい昨日の事を思い出して顔を赤くしてしまう。
「あはは、やっぱりね。男の子って単純よね。でも私も隆君の身体で楽しませてもらったから、おあいこよね」
恐らく吉江も昨日隆の身体でオナニーしていたのだろう。
いや吉江ならしない方が不思議だったが。

「隆君の身体って凄いよね。身体は大きくて力は強いし、これじゃあ他の女の子にも人気でるわね」
吉江は隆の身体で力こぶを作ったりして屈強な身体を楽しんでいるようだった。
「そ、そんな事はどうでもいい! 早く身体を返してくれ!」
吉江のペースで会話が進められていたが、ようやく隆も主張した。
「へー、返さないとどうなるのかしら?」
隆の願いに吉江は「そんなことするはずないでしょ」と言わんばかりに笑みを浮かべて隆に近づいていった。
「な、何をする気だ。叫んで人を呼ぶぞ」
隆の目の前まで来た吉江は大きな身体で隆を見下ろしてこう言った。
「何なら叫んでもいいわよ。あなたにできるならね」
ここで人が来たら間違いなく隆の身体に非があると思われるだろう、そして・・・
「ク、クソゥ・・・」
この状況を俺にはどうすることもできなった。

「はあ、はあ、やめてくれ!」
吉江は力尽くで隆を抑え込みエッチなことを始めた。
服を無理やり脱がせて胸や秘所に手を入れていく。
「止めるわけないでしょ、ずっとこうしたかったんだから」
ブラの上から大きな手が胸を包み込み、大きな指が下着に入り込んで秘所へと入っていく。
昨日自分の小さな手でした時とは全く違う感覚だった。
「へえ、今日はこんな下着付けてきたんだ。これは隆君の趣味かしらそれとも由美かな?」
「う、うるさい・・・」
力で適わない以上無駄な抵抗だった。
吉江のなすがままに隆はどんどん気持ちよくなっていってしまった。
「私のここ綺麗でしょ。隆君とする為にずっとお手入れしてたんだ」
「そ、そこは!あう!」
気持ちの良い所を的確に吉江は攻めた。
「ふふ、気持ちいいでしょ。私隆君の事を思いながらずっとオナニーしてたから。感度も抜群でしょ」
答えは言葉でなく喘ぎ声で返ってきた。
「あうう・・・」

「ここも準備できたみたいだし、そろそろ入れちゃおうかしら」
それはかつての自分が持っていた男の象徴だった。
すでにビンビンに大きくなって自分に入れる用意ができているようだ。
「ま、待ってそんなに大きいのは・・・」
グニュっとしたものが当たったと思った瞬間それは自分の中にズブズブと入り込んでいった。
「あー、ううー」
そのあまりの大きさに隆はうなってしまう。
気持ちが良いとかそういう問題ではなかった。
「ああ、私の中が締め付けてくる。気持ちいいよー」
そう言って吉江は腰を大きく振り始めた。
「ああ、ううん」
吉江の腰が揺れる度に隆は喘いだ、段々気持ちよくなっていくのが分かった。
「はあ、はあ、本当隆君いやらしい顔してるわ。そんなに気持ち良かった?」
隆はそれに答えられず喘ぎ声あげるしかできなかった。
「ああん、ううん」
吉江の腰の動きは限界近くまで速くなっていた。
「はあ、はあ、もう終わりね」
隆もその腰に合わせて自分の腰も動かした。
吉江が腰に力を入れギュっと隆の身体を掴んだ。
「あああん!」
「おおお!」
そして絶頂に到達し、2人の声が響いていった。


「今日はこれぐらいにしておいてやるよ、じゃあまた明日な」
吉江は着替え終わると教室へと向かった。
隆もよろよろと服を着替えて教室へと戻った。

するとそこには由美が待っていた。
「もうどこに行ってたのよ? 吉江は見つからないし」
由美は少し怒っていたようだが隆はそれにほとんど反応できなかった。
「ごめんね。由美」
隆の表情を見た由美はそれ以上何も言わなかった。


学校が終わり再び由美と隆はマンションへと戻った。
「ねえ、何かあったんでしょ?」
由美は優しい口調で隆に質問した。
その声は隆をとても安心させた。あんな事があって学校ではほとんど何も話していなかったのだ。
「大丈夫よ。私が田中君を守るから」
由美は隆をギュっと抱いた。
由美の暖かい身体が覆ってくる。
すると隆は自然と今まであった事を話していた。

「そう、そんな事があったの。大丈夫よ身体が変わっても隆をちゃんと守るから」
そう言って由美は吉江の唇にキスをしていた。
吉江にやられた時のような無理やりなキスでなく暖かいキスだった。
キスを通して2人は互いに愛しあっていることを確認した。
「うん、ありがとう」
隆はキスを止めると笑顔でそう言った。
由美はその笑顔を見て、かつて親しかった吉江のことを思い出してしまった。


「おー、お暑いね」
部屋に男の声が響いた。
それは吉江だった。
由美はキスを止めると吉江をキッと睨んだ。
「どうやって! 部屋には鍵が・・・」
鋭く質問する由美にチャリンと吉江は鍵を見せつけた。
「鍵が1つなんて限らないだろ?」
それは合鍵だった。

「一体何をしに来たっていうの?」
突然現れた吉江に由美は詰め寄った。
「由美じゃなくて、そっちの吉江ちゃんに用があってね」
そう言って吉江は隆の前までやってきた。
「おかしいと思わないか。俺の口調が変わったり、そっちの吉江の様子が変だったりさ」
由美は学校にいた時隆の様子がおかしい事を思い出した。
「そ、それが何だっていうの?」
それを聞いて吉江は笑いながら説明した。
「そろそろ精神が肉体に引っ張られてきたのさ。俺がこんな口調なのも、吉江がそんな様子なのもな」
「そ、そんな。じゃあ、隆は・・・」


「どうだ、俺の事を見て何か思わないか?」
吉江は隆に声を掛けるとジッと顔を眺めた。
すると隆の顔が次第に赤くなっていくのが分かった。
「な、何この感覚? 凄くドキドキする、それに恥ずかしくて・・・」
元の自分の身体を見るとなぜか心臓が鳴り響いた、そして顔が更に赤くなっていくのが分かる。
かつての自分の身体のはずなのに凄く愛おしく感じた。
「それは吉江の感情だ、隆君が好きだっていうね」
吉江は優しくまるで恋人に甘く語りかけるように話した。
「私が隆君を好き? え? 私が隆君よね? でも目の前にいるのは隆君だし・・・」
隆は何か混乱をしてしまっているようだ。
まるで自分が誰か理解できなくなっているように。

「じゃあ、こうするとどうかな?」
吉江は隆にキスをした。
初めは驚いて身体をばたつかせていた隆だったが、次第に大人しくなり遂には自分から腕を吉江の背中に回していた。

「止めてよ、隆君どうしちゃったの?!」
呆然と見ていた由美は叫んだ。
急に隆が吉江のように振舞い始めた上にキスを自分から積極的に行っている光景が信じられなかった。
「ぷはっ!」
その声を聴いた吉江はキスを止めて由美に語りかけた。
「人の話しを聞いてなかったのか? 元隆君は俺の事が大好きなんだよ、だからこうやってキスをしてるのさ。由美にはもう関係ないんだから邪魔しないでくれ!」
吉江は隆の声で由美に怒鳴った。
由美はそれを聞いてそれ以上何も言えなくなってしまった。
ただ黙って見ているしかできなかった。

「隆君、ああ好き、好きよ」
隆はキスを離すと吉江にそう語り続けた。
「どうだか、本当は由美が好きじゃないのか?」
そう言われて隆は思い出したかのように由美の方へと振り向いた。
その顔はとても悲しそうな顔だった。
だがすぐに吉江の方を見てこう言った。
「ううん、違うの。由美とは・・・た、ただの友達よ。本当はあなたを愛してるの!」
隆は後ろめたさを感じつつも流れ出て来る吉江の感情に従ってしまったのだ。
今ではもう隆の身体の吉江の事しか考えられなかった。
すると吉江は怪訝そうな顔をしてこう言った。
「ふーん、そうか。じゃあそれを証明してもらおうかな」
そう言うと吉江は服を脱ぎ始めた、隆のがっちりとした身体が露になる。
それを見た隆の顔は真っ赤になってしまった。
吉江は床に寝そべり、小さな隆を自分の上へと馬乗りにさせた。


馬乗りにされ腰から足にかけて相手の体温が伝わってくる。
それは自分の大好きな相手、それを感じてると思うと興奮してしまった。
隆は元自分の身体にキスをしていった。
「はは、吉江は積極的だな」
それを隆の身体になった吉江は喜びながら見ていた。
隆はキスを止めるとかつては自分のものだった大きな一物へと顔を向けた。
「こ、これが隆君の・・・大きい。・・・はむ」
まるでアイスクリームを口に入れるかのように小さな口へと入れた。
「う、いいぞ。吉江、ほら、もっとしゃぶって!」
隆は吉江の小さな口でかつての自分の一物をしゃぶった。
ぶちゅっ、ぶちゅっとしゃぶる音がなりその度に吉江に快感を得ているようだった。

「じゃあ今度は俺からご褒美だ。」
そう言うと吉江は大きな手で隆の胸を揉み始めた。
平均よりも大きな胸だったが、その大きな手ですっぽりと覆われる。
「あん、隆君の大きな手が私の胸を! お願いもっと揉んで、もっと私を気持ちよくして!」
隆の言葉に興奮したのか吉江の手の動きも激しくなっていく。
「吉江の胸柔らかいな」
まるでマシュマロを揉むかのように吉江はかつての自分の胸を掴んだ。
「ああ、隆君。もっと、もっと!」

「何なのよこれ・・・」
それを見ていた由美はペタンと座り込んでただ呆然と2人のセックスを見ているだけだった。

「はあ、はあ、吉江凄く可愛いよ。俺も大好きだ。だからいいよな?」
吉江の身体の隆はその言葉にすぐ答えた。
「うん、隆君。来て・・・」
吉江の身体の隆も相手の言葉にもはや何の迷いもなく了承した。
吉江は大きなチン〇を隆の小さな秘所へと入れていった。
「す、すごいよ、隆君の大きなチ〇ポが私の中に、ああん」
大きすぎるぐらいのその一物に挿入させられた隆は、喘ぎ声とも悲鳴ともとれる声を出した。
だが、その表情は明らかに嬉しがっているようにしか見えなかった。
「前の時は私何もできなかったけど、頑張るね」
吉江の顔を見ながら隆はそう言った。
「そうか、じゃあ、俺も頑張るから、今回は一緒にいこう」
そして2人はキスをすると、お互いに腰を動かし始めた。
「隆君、ありがとう。ずっと、こうしたかったの。はあ、はあ」
喘ぎ声を出しながら相手に感謝した。
「はあ、はあ、俺も吉江とできて嬉しいよ」
「本当? 私凄く嬉しい・・・」
腰の動きは最後のヒートアップをした。
2人はお互いに腰を振って同調していく。
「だ、出すぞ!」
吉江は最後の確認をする。
「お、お願い出して! 私の中に隆君のを全部出して!」

「うおー! すげえ!」
「ああん! すごいよ!」
2人の身体がガクガクと揺れたかと思うと、次には力なく床に崩れてしまった。


「こ、こんなの狂ってるよ・・・」
由美はその光景を見て何も言えなかった。
かつて愛した人の変わり果てた姿を見て愕然とするだけだった。
そして自分が愛した人がもういない事を思い知らされた。



エピローグ

あれから隆は今までと同じようにアメフト部で活躍し続けながら学校生活を送っている。
吉江も女の子として問題なく振舞っている。
そして当然ながら2人は付き合うことになった
隆はよく持前の力で吉江を軽々と抱きかかえてお姫様抱っこをしたりした。
そんな光景を学校でもするものだからお似合いのバカップルだと学校中で茶化されたりもしたが、当人たちはまったく気にすることもなかった。
そして変わった事はもう一つあった。

吉江は喫茶店で待ち合わせをしていた。
「ごめんね。遅れちゃって」
中に入って来たのは由美だった。
あんな事があったが、今でも友人として付き合っている。
いや、親友と言ってもいいほどだった。
毎日由美は吉江を迎えに行きファッションやメイクのチェックをしている。
そして休日隆と会わない日は、二人で買い物に出かけるようになった。
かつて自分達がしていたように仲良く女子トークで盛り上がる。
それが由美にとっても吉江にとっても楽しかった。
「今度大会でしょ? 私も応援に行くからね」
由美の頬に暖かい感触が伝わる、吉江は由美の頬にキスをしていた。
「うふふ、ありがとう。吉江が来てくれるなら心強いわ」
そして由美もキスを返した。


由美は隆と今も会っていた。
恋人ではなく友人として。
「あら、今日も部活終わったの?」
由美が声を掛ける。
「ああ、今終わって帰る所だ。由美もか、じゃあ一緒に帰るか」
昔のようにお互いを待ったりすることは無かったが、自然と帰る時間帯は一緒にだった。
「あんた、吉江と喧嘩したらしいじゃない。ちゃんと謝りなさいよ」
「へいへい」
そんなやり取りをしながら一緒に帰った。
完全に許したわけではなかった。それでもかつて吉江が隆の事を好きだと語った通り2人は結ばれ、今は吉江と仲直りもできた。
隆とも恋人ではなくなったが、何だかんだで一緒にいる機会はある。
もしかしたら本来のあるべき形に戻ったのかもしれないと由美は思うようになった。


そんなある日

「元に戻ろうかと思うんだ」
隆はおもむろに由美に話した。
「え? どうしてまた?」
突然の言葉だった。もう戻らないとだろう思っていたので彼の言葉に耳を疑った。
あんな事までして奪った身体だったはずだ。
「俺も隆になって隆の気持ちが分かるようになったんだ。隆は本当に由美の事が好きだったんだ。そして告白した後由美と吉江の仲が悪くなったから凄く傷ついたんだ。それが入れ替わって完全に隆になって初めて分かったんだ」
その目は嘘を付いている目では無かった。
「・・・分かったわ。私達の思いをやっと分かってくれたのね」
由美は涙を流し同意した。

そのことは当然当事者である吉江にも隆から伝えられた。
「ごめんな、勝手に入れ替えて。そしてまた戻ろうなんて・・・」
隆は謝った、身勝手の果てに身体を無理やり入れ替えたこと、本当は由美が隆と付き合うべきだったと。
吉江はそんな隆の言葉に真剣に聞いていた。
「分かってるわ。私も吉江になって吉江ちゃんが隆君の事大好きだったって手に取るように分かるの。だから本当の吉江ちゃんが私達のことをちゃんと理解してくれて私嬉しいんだ。だから戻ろう・・・」
満面の笑みを浮かべて吉江は元に戻ることを了承してくれた。
更に吉江は戻った後に本当の吉江が孤立しないよう念を押した。
「じゃあ、こうしましょう。私が隆君に戻ったら吉江ちゃんも一緒に仲良くして今度は3人でどこか遊びに行こう。今度は今までよりももっと皆で楽しくするの」
その言葉を聞いた隆は涙を浮かべて感謝し謝り続けた。
「ごめんな、本当にごめんな・・・」


そしてその日は訪れた。
3人で吉江のマンションに集まることになった。
かつて全てが変わった時のように同じ3人で見届けることになった。
隆は入れ替わりに使う薬を持って来た。
それは予備で持っていた最後の1本だった。
手に入れる時も苦労してこれだけしか残らなかったらしい。
そして手に入れたと教えられたサイトはもう既になくなっていた。

全てこの薬のせいで大変なことになっ。、だがこうして皆で笑っていられる。
そして大切なものを新しく得て元に戻る事ができるのだ。
隆と吉江と由美はお互いに顔を見合わすと笑いあった。
そして、これから3人の新しい関係が始まっていくと確認し合った。
「これで全部元通りだ(ね)」
3人の声が揃った。


しかし

ガシャン!
それは最後の薬の1本が床に叩きつけられて割れる音だった。
床にはバラバラに砕けた薬が見るも無残な姿になり中身の液体も床に飛び散ってしまった。
「え・・・?」
「ど、どうして・・・?」
突然の出来事に何が起こったのか分からない。
隆と吉江は信じられないものを見るかのように視線を薬を割った由美へと向けた。

由美は薬を叩きつけて、その薬が2度と使えないと確認すると二人に話し始めた。
「ごめんね。でも私二人に戻ってほしくないの。今の吉江と隆と毎日一緒にいるのが楽しくて好きなの。だから・・・」
そして吉江と隆に振り向くとありったけの笑顔でこう言った。
「・・・だから、これからも今まで通り仲良くしようね!」





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