勇者のパートナー@

 作:verdsmith7


勇者とパートナーは宿に辿り着いた。
部屋に入るとドアに鍵をしてカーテンを閉めた。
そして荷物を下ろし、装備を外していく。
重い鎧や剣を外した勇者は短剣だけをベルトに固定して、パートナーのカナンに近づいた。
カナンは勇者と違いフードを被りじっと立っているだけだった。
その事に気づいた勇者は精神を集中させて辺りを探った。
(どうやら尾行はないようだ)

「もう大丈夫だよ」
勇者はカナンにそう告げるとやっとカナンも動き出した。
深く被っていたフードを外す。すると彼女の長い耳と角がそこから飛び出した。
身体を包むように着ていたマントも外す。そこには黒い翼と尻尾が納められていた。
その姿は誰が見ても淫魔のサキュバスだった。

カナンは窮屈な服装から解放されると部屋に置かれている鏡を見て悲しそうな顔をした。
その姿を見ていた勇者は後ろからカナンを抱きかかえた。
「大丈夫。絶対元の身体に戻すから」
勇者の小さく囁くような声、それでも力強い・・・その言葉にカナンは涙を流した。
そして勇者とサキュバスのカナンは深いキスをした。


1年前

勇者とカナンはサキュバス討伐の依頼を受けた。
夜な夜な町の男性を襲っているらしい。
しかもレベルが高く、町の戦士では太刀打ちできなかったらしい。
そこで魔王を倒す為に近くを通り掛かっていた勇者とカナンに声が掛かった。
「上位サキュバスか・・・」
上位のサキュバスは魔力が高く機動性も高いため厄介だ。
町を1つ滅ぼすのも容易い事だろう。だがそれをしていないという事は、恐らくこの町を餌場であると考えている可能性が高い。
この町の戦士では倒すのは無理だ。かといって王宮の騎士が来るには時間が掛かる。
勇者の決断は早かった。
「分かりました。引き受けます」

サキュバスは町から離れた場所にある館を住処にしているらしい。
「ここか・・・」
辺境の貴族が住んでいた館にしては大きな館だった。
恐らくかつては名を馳せた者が住んでいたのだろう。
だが今ではその面影もない暗く陰鬱とした魔族の住処へと変貌していた。

「カナン、いつでも戦闘できるようにしておくんだ」
館に着いてから勇者はかなりピリピリしていた。
近づくにつれて、既に強い魔力を感じていたのだ。
カナンは肩に担いでいた賢者の杖を手に持っていつでも魔法を使えるようにした。
「分かっています。勇者様、いつも通りフォローは任せて下さい」
その言葉に、勇者はカナンが近くにいるという安心感と絶対守るという決意をみなぎらせた。

その時館の扉がギギ―っという軋む音をあげながら突然開いた。
その扉の奥からは、先が見えない暗闇と強力な魔力が溢れ出ているように感じた。
どうやら敵は自分達の事に気づいているようだ。
それは相手の余裕の表れなのか、それとも何かの罠なのか・・・
いざという時はカナンの転移魔法で脱出はできる。そう考えた勇者は敵の誘いに乗ってやることにした。

勇者が先陣を切りカナンが後を追って館へと入る。
するとさっきまで開いていた館の扉が閉じてしまった。
どうやら逃がす気はないらしい。
(望む所だ)
勇者達は暗い館を突き進んでいく、目指すは最も強い魔力が存在する地下室だ。

ようやく2人は地下の目的地へと到着した。
意外なことに、来るまでにモンスターの襲撃もトラップもなかった。
という事は、ここにいるサキュバスは相当な手練れかもしれない。
勇者は相当な注意を持って最後の扉を開いた。

そこは大きな空間だった。
地下室というより巨大な洞窟のように感じられる。
ひんやりとした空気が肌を通っていくのが感じられた。
「ようこそ勇者様」

そこはまるで儀式を行う部屋のように感じられた。
おどろおどろしい装飾や魔道具が壁に掛けられている。
カルト教集団が好きそうな何とも悪趣味な部屋だ。
勇者は目を凝らすと部屋の奥にはイスに座ってこちらを見ている女性がいると気づいた。
いや、あれこそが今回のターゲットのサキュバスだろう。

サキュバスはイスから立ち上がるとその大きな胸も一緒に揺れた。
髪は赤く肩まで伸びている、手足もスラリと伸びてかなりのスタイルだ。
顔は目鼻口と整っておりかなりの美女に見える。
それが普通の女性ならあっという間に一目ぼれしてしまうだろう。
だが、その女性の頭には角、背中には黒い翼と尻尾が生えている。それは彼女が単なる女性ではないということを証明していた。

「うふふ、流石勇者ね。並みの男なら私の姿を見ただけで虜になるのに」
恐らくそうだろう。だから町の戦士達もやられたのだ。
サキュバスは勇者を誘惑させようとしているのかからかっているのか、色気を振りまいてくる。
「大人しくあの町から身を引いてくれないか」
勇者は無駄だと思いつつ交渉を始めた。
サキュバスが自分の餌場を放棄するなんて思えなかったのだ。
ところがサキュバスの答えは勇者の予想を裏切るものだった。
「いいわよ」

「本当か?!」
あっけない答えに勇者は驚いた。
正直このサキュバスと戦えばこちらも無傷では済まないだろうと思っていたのだ。下手をすればカナンも・・・
「だって・・・あの町を襲ったのはあなたをおびき寄せるためだったもの」
サキュバスはそう言うと背中の翼を大きく開き臨戦態勢に入る。
「・・・やっぱりこうなるのか」

戦闘は壮絶を極めた。
高い瞬発力と上位の魔法攻撃により何度か深い傷を負ってしまった。
それでも戦えるのは賢者であるカナンの回復魔法のおかげだった。
勇者はサキュバスの意識をこちらへ向けるよう中位の攻撃魔法と剣で注意を逸らし、カナンは上位攻撃魔法でダメージを与えていく。
何度も死線を潜り抜けてきたからこそできる連携プレイだった。


「はあ、はあ、やっと追い詰めたぞ!」
勇者もカナンも体力魔力ともに尽きかけていたが、何とかサキュバスを追い詰めた。
もう飛んで逃げる体力すら残っていないのは明らかだった。
「はあ、はあ。うふふ、何で私がこの地下室にあなたをおびき寄せたのか、まだ分かっていないようね」
サキュバスは搾り出すような声で勇者達にそう告げた。
「何?」
追い詰められたサキュバスの負け惜しみだと思いたかったが、どうやら彼女の言った事は本当らしい。
突然勇者の足元が光り始めたのだ。
「これは魔法陣?!」
勇者は魔法陣から脱出を試みるも足が動かない。
体力を消耗していたため咄嗟に動けず、罠に掛かってしまったのだ。
脱出アイテムを使うのも無理だ。
魔法陣が発動する。
「もう駄目だ・・・」

「勇者様! ダメ!」
突然カナンが勇者に体当たりをして魔法陣から突き飛ばした。
勇者は地面を転げながらなんとか魔法陣から脱出することができた。
しかし・・・
「きゃああ!」
勇者を突き飛ばしたカナンは魔法陣に捕らえられてしまった。
そして辺り一面を強い光が覆った。
魔法陣が発動する。
魔法陣から出た光がカナンの全身を包み込む。
そしてカナンの口から白い光が飛び出した。
その光が向かった先は、さきほどのサキュバス身体だった。
光はサキュバスの口に入ると今度はサキュバスから赤い光が飛び出した。
その赤い光の向かった先はカナンの身体だった。
サキュバスのときと同じように、今度はカナンの身体に赤い光が入っていく。
カナンとサキュバスは光が身体に込んでガクガクと身体を震わせた。
やがて光が収束すると2人の身体の痙攣も収まっていき、遂には同時に床に倒れてしまった。

「カナン、大丈夫か!」
勇者はカナンの側に駆け寄り身体を持ち上げた。
どうやら外傷はないらしい。
「う、うーん」
俺が揺さぶると気怠そうな声と共に目を覚ました。
「良かった。無事だったんだ」
カナンは勇者の声を聞くと嬉しそうに勇者に抱きついた。
「うふふ、大丈夫よ。勇者様・・・ちょっと予定が狂っちゃったけど」
カナンは勇者に笑いながらそう言うと、急に勇者に手を突き出した。

なんと勇者に攻撃魔法を至近距離で放ったのだ。
「ガハッ!」
(何が起こったんだ?)
突然の事に勇者は何が起こったのか分からなかった。
一瞬サキュバスから攻撃をくらったと思ったが、まだサキュバスは気絶している。
だとすれば・・・
「はあ、はあ。カナンどうして・・・?」

「あら? 殺そうと思って上位魔法を放ったつもりだったのに・・・。うーん、まだこの身体に慣れてないせいかしらね?」
カナンはそう言うと自分の身体を触って確認し始めた。
まるで新しく買った装備を確かめるように自分の身体を観察している。
「前より魔力は高そうね。でも防御力と瞬発力がだいぶ落ちたのが痛いわね。うふふ、それにこの服とスタイルも残念かしら」
そう言ってカナンは自分の胸を揉み始めた。

「うっ! けほ! けほ! 一体どうなったの?」
突然サキュバスが咳き込んだかと思うと目を覚ました。
サキュバスは辺りを見回すと勇者に気づいた。
「はあ、はあ、勇者様無事だったんだ。良かった」
サキュバスは嬉しそうに勇者が無事だったことを嬉しがっている。
まるでさっきまでの勇者への敵意が無かったかのようだ。
「な、何だ? サキュバスが・・・」

「あら目が覚めちゃったの?」
胸の感触を確かめていたカナンは目覚めたサキュバスに目を向けた。
サキュバスはカナンを見るとと目を丸くしてしまった。まるで信じられないものでもあるかのような表情だ。
「え? どうして私がそこに?」
それを聞いたカナンは待ってましたと言わんばかりにその問いに答えた。
「うふふ、入れ替わったのよ。あなたと私が」
カナンは自分とサキュバスを指さしてそう言ったのだ。
「ほ、本当なのか?」
勇者は呆気にとられてそう言うしかなかった。

「勇者様、私がカナンよ。信じて!」
サキュバスは勇者を見て必死で訴えてきた。
その喋り方は確かにいつものカナンのものだった、サキュバスの身体以外は・・・

「本当は勇者様と入れ替わりたかったんだけどね。でも、いいわ賢者の身体も悪くないもの」
カナンはそう言うと落ちていた賢者の杖を拾いあげ勇者に向けた。
勇者を見る目はいつもの仲間の目ではなく、一瞬でも隙を見せれば殺そうとする敵の目だった。
勇者も剣を拾い、かつてのパートナーへと剣を向けた。
それはあまりにも残酷だった。
いつも一緒にいた仲間の身体が今は敵として目の前に立ちはだかっている。
(戦わないと、でもこのままでは・・・)

「あはは、仲間の身体にいるから攻撃できないようね。でも私は遠慮なくさせてもらうわ」
そう言うとカナンは詠唱を始めた。
(くそ、ここまでか!)
そう思ったが、予想された攻撃は俺にはなかった。
「うふふ、このままあなた達と戦ってもいいけどこの身体の魔力も限界のようね」
攻撃がないことに、ホッとしたのも束の間だった。
「じゃあね、勇者様にサキュバスちゃん」
詠唱していたのは攻撃魔法ではなく、転移魔法だった。
「しまった!」
その時には既に手遅れだった。
カナンは消え、そこには勇者とサキュバスが取り残されただけだった。


勇者はサキュバスの身体のカナンにフードとマントを着せて何とかカモフラージュした。
そこそこ名が知れ渡っていたおかげで勇者の名前を出すと何の疑いもなく町に入って宿へ泊まることができた。
「うう・・・」
カナンはあの後ずっと泣いていた。
傷の痛みもあったろうが、自分の身体を奪われた上にサキュバスの身体にされてしまったのだ。
勇者はなるべく身体を密着させて慰めの言葉を掛けるしかなかった。
心配する町の人には辛い戦いだったからショックを受けたのだろうと説明した。

宿に泊まると、まずは傷の手当てに取り掛かった。
あいにく勇者の魔力は回復魔法を使えるほど残っていなかった上に魔力回復のアイテムも先の戦いで使い切ってしまった。
こうなると昔ながらの薬草やポーションに頼るしかない。しかしなぜか回復アイテムを使ってもサキュバスの身体の傷は治せなかった。
できることならギルドや教会に行って回復魔法を使ってもらいたかったが、今のカナンの姿では治してもらう所か討伐すべき対象として捕まって処刑されかねなかった。
昨日まで町の男を襲っていたサキュバスが勇者のパートナーと入れ替わったので大目に見て下さいと言っても、恐らく聞き入れてもらえないだろう。


カナンの容態は段々と悪いものになっていく。
傷もそうだが体力が減っているようなのだ。
顔色が青白くなっていくのが素人目にも分かった。
しかし、サキュバスは人間の食事を取っても栄養にはできない。ならば・・・
「な、何をしているの?」
カナンはぜいぜい言いながら俺が何をしているのか見ている。
「決まってる。サキュバスの栄養源は男性の精液だ。だから・・・」
そう、勇者はカナンに自分の精液を与える決心をした。
「そ、そんな・・・」
勇者は装備を脱ぎ去るとアソコを握ってオナニーを始めた。
だが、焦っているせいか中々興奮できない。
「それならば・・・」
勇者は振り向くとサキュバスの身体のカナンにキスをした。
突然のことにカナンは顔を真っ赤にしてそれを受け入れるだけだった。
「う、うーん」
勇者といえど男だ。サキュバスと言えど美女を目の前に興奮しないわけではなかった。
それまでは理性と精神力で抑制していたが、今はカナンを助けることに集中した。

勇者はサキュバスの胸を両手で掴むと優しく揉み始めた。
「あん」
サキュバスが喘いでいる。
その声は勇者の心を興奮させる。
(いいぞ、もっと俺を興奮させるんだ)
段々と勇者の一物が大きくなっていく。
次に勇者はサキュバスの秘所に手を入れた。
すると既に湿っている事が分かった。
サキュバスの身体も興奮しているのだろう。
勇者はサキュバスの秘所に手を入れるとその中を指でかき乱した。
「あうう、勇者様だめ。私いっちゃう」
サキュバスは身体をくねらせながら喘いでいる。もうすぐ絶頂へと到達する段階だ。
そして勇者の一物も・・・
(そうだ、もうすぐだ!)
「だめー!」
サキュバスは身体を揺らすと、その秘所から大量の液体を噴射させた。
ガクガクと身体を震わせてサキュバスは快感を感じている。
そして勇者のあそこも準備が整った。

勇者はサキュバスの顔の前に自分の精液でベトベトな一物を差し出した。
「さあ、これを・・・」
勇者がそれを言い終わる前にサキュバスは起き上がると、勇者の一物に吸い付いてしまった。
コクコクとまるで赤子が母親の母乳を飲むようにサキュバスは勇者の精液を吸っていく。
「あうう、そ、そうだ、もっと飲むんだ」
その吸い付きは勇者にも快感をもたらしたが、何よりも勇者を安心させたのが次の光景だった。
サキュバスの傷が次々に塞がっていく。
(治癒力が戻ったのか)
「良かった・・・」
勇者の精液を飲み干したサキュバスは横になると、勇者の方へイヤらしい目線を送る。
「お願い勇者様、ここにも入れて」
そこはサキュバスの秘所だった。
これでカナンを助けられるのなら・・・そう思った勇者はサキュバスの秘所へ自分の一物を挿入した。

「ごめんね、勇者様。私が迷惑を掛けたばっかりに・・・」
サキュバスはそう言って勇者に申し訳なさそうに謝った。
その目から涙がこぼれるのを勇者は気づいた。
「迷惑だなんて、もしカナンがあそこで助けてくれなかったら・・・僕がサキュバスにされていたんだ。お礼を言うのはこっちの方さ。それにこうやってカナンとエッチもできたしね」
「うふふ、勇者様のエッチ」
さっきまでの緊迫した空気はなくなり、ひとまず安心した空気になった。
そして勇者とサキュバスは笑い合いながら一つになった。


次の日
勇者はギルドに出向いていった。
逃げたカナンの身体の情報を得るためだった。
カナンも一緒に行きたかったのだが、万一見つかればどうなるか分からない為、勇者に留守をするように言われてしまった。
昨夜の勇者とのエッチで体力も魔力もだいぶ回復できた。
それでもサキュバスの身体であるという事実に変わりはなかった。
カナンはしぶしぶ宿の一室で静かに勇者の帰りを待つことにした。

昨日まで勇者のパートナーの賢者として過ごしてきたのに今では男の精液を餌にする淫魔になってしまった。
カナンは自分の姿を改めて確認した。
頭から突き出た角、長い耳、背中には大きな翼と尻尾が鏡に映っている。
もはや自分がただの人間ではないと鏡に言われている気分だった。
「どうしてこんな事に・・・これから毎日あんな事をしないといけないなんて」
カナンは昨夜の勇者との営みを思い出した。
カナンは勇者に好意は持っていたが、肝心の勇者は魔王討伐に専念するため色恋沙汰は極力避けていた。
その事はカナンも心得ていたが、旅を共にするうちに抑えようのない気持ちとなっていたのは事実だ。
そして昨日は・・・
そこまで思い出すとカナンは恥ずかしくなってしまった。
「私、勇者様とエッチしたんだ・・・」
嬉しいという気持ちと今の自分がサキュバスだという複雑な事実が入り混じる。
でも、これから毎日あれをやると思うと自然とカナンは興奮してしまった。

カナンが鏡を見ると、そこには恥ずかし気な表情をしたサキュバスが映っていた。
昨日やった事が本来の自分の身体でだったらどれだけ素直に喜べただろう・・・
そんな複雑な気持ちだった。
「今度はこんな風に触ってもらいたいな」
カナンはそう言って自分の胸の先っぽをつまんだ。
「きゃん!」
声と共に全身を稲妻が走った。
「はあ、はあ、凄いこの身体・・・」
今までにも自分の本来の身体でオナニーはしていたが、こんな衝撃は初めてだった。
カナンは再び鏡を見るとそこには息を荒くして興奮しているサキュバスが映っていた。
「だ、だめ! 止めないと!」
そう言って胸から手を離そうとした。

「止めることないのよ」
どこかで聞いたことのある声が聞こえた。
カナンは後ろを振り返るが誰もそこにはいなかった。
気のせいだったのかと思った。
「ふふ、気のせいじゃないわよ」
再び声が聞こえてくる。
鏡を見ると、カナンの後ろに昨日サキュバスに奪われた自分の身体が立っていた。
短いショートヘア、年齢よりも若く見えるその顔、小さな背丈に胸、いつものカナンがそこにいた。
「え?」
再び後ろを振り返っても誰もいない、どうなっているのか。
「ふふ、楽しんでいるようだから来ちゃった」
私のオナニーをずっと見ていたのだろう、ニヤニヤとしながら後ろからそう話しかけてくる。
「あなた昨日のサキュバスね。私の身体返してよ!」
カナンは鏡越しにかつての自分に身体を返すよう迫った。
「何を言ってるの私がカナンよ。で、あなたがサキュバスでしょ、あら違ったわね。名前は確かエミリだったかしら」
そう言うとカナンはエミリの身体を後ろから触り始めた。
「ね? こんな角を生やして、男をたぶらかす甘い顔をして、翼と尻尾まで生えてたら立派なサキュバスじゃない」
次々にエミリの身体を触れていくカナンに対してエミリは息を荒くしてしまう。
カナンが触っていく所がとても気持ちよく感じられるのだ。
なぜかその手を離してほしくない気がした。

「ほら、こんなに大きなおっぱいなんてカナンにはないでしょ?」
小さな手でカナンはエミリの胸を鷲づかみにすると、まるでパンの生地をこねるように揉み始めた。
「あ、ああ。す、すごい・・・」
エミリの胸から快感が沸き起こり、自然とエミリの呼吸を乱していった。

エミリは鏡から目を離して自分の身体を直視した。
そこにはカナンはどこにもいなかった。
ただ自分が両手で胸を揉んでいるだけだった。

「どうしたの?」
鏡を見るとカナンは不思議そうな顔でこちらを見ている。
「何でもないわ、ねえ、もっとやって」
エミリは物欲しそうな顔で鏡に映ったカナンに頼んだ。
「ふふ、本当にエミリはエッチなんだから」
カナンは手をエミリの秘所へと入れていった。
勇者の手とは違う小さくて柔らかい手がエミリの膣を弄る。
「あ、あんん。も、もうダメ、いきそう」
その言葉を聞くとカナンは突然秘所から手を抜いてしまった。
「はあはあ。え? 何で?」
もうすぐでいくことができたのに、なぜそんな事をするのかエミリには理解できなかった。
カナンはその顔を見るとにこやかな顔でこう言った。
「最後までいきたい? じゃあ自分がサキュバスのエミリだって認めて」

絶頂に達しかけたサキュバスにとって、その答えは簡単だった。
「私はサキュバスのエミリよ。お願いカナン、最後までいかせて!」
その言葉を聞いたカナンは嬉しそうに手を再びエミリの秘所へと入り込ませた。
「おめでとう、これであたなは立派なサキュバスのエミリね」
カナンのそんな言葉が聞こえてきた。
そして
「ああーん!」
エミリは絶頂へと達した。
息を整えて再び辺りを見回す。
そこにはカナンの影も形もなかった。
鏡にはオナニーをして絶頂に達したサキュバスの姿だけが映しだされていた。



その後も勇者達は旅をつづけた。
カナンの姿らしき人物を見たという情報を手掛かりに町から町へと移動した。
その間サキュバスになったカナンは、勇者に自分の事をエミリと呼ぶように頼んだ。
もし自分達の事を知っている人に会えば疑問に思うだろう、それにエミリと呼んでもらう方がなぜかしっくりきたのだ。
勇者は最初しぶしぶだったが夜の営みを続けるうちに名前なんかどうでもよくなってしまった。

毎夜行われるセックスに最初は義務感で行っていた勇者も次第に自分から楽しむようになった。
カナンに元々素質があったのかエミリの身体がそうさせているのか分からないが、日々エミリのテクは磨かれていった。
エミリも最初は申し訳なく行っていたセックスだったが自分でも楽しむようになった。
だがそれがカナンとして勇者と結ばれることを喜んでいるのか、それともサキュバスとして喜んでいるのかは分からなかった。
「勇者様お願い」
そう言ってエミリは勇者にキスをすると夜の営みが始まる。
幼さが残るカナンと違いエミリは大人の女性としてとても美しかった。
勇者はエミリの大きな胸に吸い付くとエミリは喘ぎ声をあげた。
「ああん」
エミリの口からイヤらしい声が溢れ出る。

毎日その顔を見ながら行うセックスに、勇者はかつての自分のパートナーの顔を忘れてしまいそうになる。
今のパートナーはサキュバスのエミリ・・・それでもいいと思えるようになった。
「エミリずっと僕の側にいてくれ・・・」
勇者は知らず知らずそう口走っていた。
それを聞いたエミリは涙を流してこういった。
「ええ、ずっと一緒にいるわ」
その表情は嬉しいのか悲しいのか勇者には分からなかった。
ただそのエミリの言葉だけが勇者の心に残った。


元々上位サキュバスだったせいか、エミリはすぐに上位魔法を操れるようになった。
その中には賢者のカナンでは扱えなかった魔法もある。そしてあの魔法も・・・


最初のシーンへと戻る



勇者は逃げたカナンの身体の情報を求めた。
エミリもサキュバスだとばれないようにフードとマントで隠れながら勇者のパートナーとして旅をした。
毎夜勇者はエミリのために自分の精液を与え続けた。
サキュバスの栄養摂取がこれしかない以上勇者が頑張るしかない。
しかし勇者もそんな生活に不思議な事にいつしか満足していた。
あれからお互いに深く愛し合った、単なるパートナー以上に・・・
それまでの2人より強い絆を感じることができた。
それは今まで魔王討伐のみに意識を集中させていた勇者に別の充実感を与えた。
こんな生活がずっと続けられれば・・そんな風に考えることすら思えるようになった。

一方カナンの情報は断片ながら掴むことができていた。
カナンも元々名の知れた賢者であり勇者のパートナーだったので、知らない人間の方が少ないぐらいだった。
そして再びカナンの身体になったサキュバスと対峙する時がやって来た。
この廃墟にカナンの姿を目撃した人がいる。
その情報を元にここまでやって来た。
勇者の後ろには彼のパートナーのエミリも当然一緒だ。


「やっと見つけたぞ」
勇者はかつて良く見ていた懐かしい後ろ姿の人物に声を掛けた。
「私の身体を返してもらうわ」
勇者は剣を抜きエミリもフードとマントを脱いだ。
2人が臨戦態勢に入る。
死闘は目に見えていた。


「うふふ、ご苦労様」
カナンの身体のサキュバスは2人の方を向くと不気味な笑顔を見せつけた。
勇者はその笑顔を見るとゾクっとしたものを感じた。
以前にも似た光景をみた気がする。
剣を持つ手に力を入れ周囲に警戒する。
今度は魔法陣は無さそうだ。

「そんなに警戒しなくてもいいわよ。今度は罠なんかないわ、いいえ必要なかったと言うべきかしら」
「素直に降参するということか?」
勇者は恐る恐る尋ねる。前はこれで油断した。
「降参も何も、カナンちゃんと入れ替わった時点で私の勝ちよ」

「どういう事だ?」
勇者は声に力を入れて質問をした。
「その身体で今まで何回エッチした?」

「え?」
突然の質問にサキュバスのエミリは赤くなってしまう。
それを見たカナンになったサキュバスは大喜びした。
「あはは! そうよね、あれから結構時間も経ってるもの。1回や2回じゃないでしょ。そしてその身体に満足しちゃったんでしょ、満たされているって。違う? 別の身体で精神も肉体も適応したらそう何度もうまく入れ替わるなんて事できるかしら?」
もしかしてそれはエミリとカナンの入れ替わりができなくなっているということなのか?
勇者とエミリはどうすべきか一瞬迷った。
だが勇者はすぐに決断した。

「エミリ! 迷うのは後だ。とにかく身体を取り返すぞ」
「分かったわ!」
勇者の言葉を合図にエミリは詠唱を始めた。
この旅の途中で習得した人格転移の魔法だ。
詠唱と共に地面に魔法陣が浮かび上がる。
人格転移の魔法を唱えたと知ったカナンは待ってましたとばかりにニヤっと笑った。
それでも1度サキュバスが使えた魔法だ、これで元に戻れる・・・はずだった。

「な、何これ? 何で戻らないの?」
サキュバスはうろたえた表情で混乱している。
確かに魔法は成功したはずだった。
「どうなってるの勇者様?」
何も起こらず混乱したエミリは勇者の方を見た。
「さあ、どうなっているのかしらね?」
ニヤっと勇者は笑う。
(え?)

「な、なんで俺がそこに・・・?」
エミリが見ると呆然と勇者を見ているカナンの姿があった。
かつてのエミリと同じように何が起こっているのか分からないようだった。
「あはは、全くお馬鹿さんね。わざわざ私を探しに来て、また人格転移の魔法を使おうとするなんて誰だって分かるでしょ」
恐らく魔法反射を使ったのだろう。本来入れ替える対象だったエミリを外して勇者の身体に当てたのだ。

「ふーん、男になるのも悪くないわね」
勇者はそう言うと自分の身体を確認し始めた。
「サキュバスの身体やカナンちゃんとはだいぶ身体の作りが違うわね。思った通り胸が軽くて動きやすいわ」
「クソ! 身体を返せ!」
カナンの身体と入れ替えられた勇者は、自分の身体に飛び掛かった。

「無駄よ、その身体で力で勝てると思った?」
飛び掛かった勇者は呆気なく攻撃を避けられた。
そしてかつての自分に馬乗りにされてしまった。
そして勇者のものとなったカナンの胸を揉み始めた。
「うぐぐ。くそ。ああん」
勇者は何とか払いのけようとするがカナンの身体では今までのような力は出なかった。
「どうカナンちゃんの身体は? 私がだいぶ開発したから感度も中々でしょ?」
まるでカナンの気持ち良い所は知っているかのように次々新しい刺激をもたらした。
勇者は自分の身体を取られカナンの身体を弄ばれることに悔しさを感じた。そしてカナンの身体から沸き起こる快感に身を委ねてしいそうになった。
「ああー。はあ、はあ」
カナンの身体の口から段々と息が荒くなっていくのが分かる。もう戦意すら感じられなかった。
「うふふ、あなたを見てたら私も興奮してきちゃった。勇者様のチン〇が興奮してるの、私も勇者様のチ〇ポ試させてもらおうかしら?」

「止めなさい!」
突然背後からエミリの声が聞こえた。
「あらカナンちゃんじゃない。どこに消えたかと思ったら私が油断するのを待ってたの?」
胸から手を離しエミリの方に顔を向けた。
「そうよ。勇者様と私の身体を返してもらうわ。まだあなたは勇者様の身体に慣れてないはずだから力は私の方が上よ」
かつて自分の身体と入れ替えられた時の経験が活きた。
入れ替えてすぐには相手の力を思い通りに使えない。今が反撃のチャンスとなることはエミリには分かっていた。
「さあ、私達の身体を返して!」

「確かに今はあなたの方が強いかもね。でもあなたに愛した人の身体を殺す度胸があるかしら?」
ニタっと笑うとエミリの方へと近づていった。
「な!」
敵だと分かっている、殺らないと殺られるとも・・・
だがエミリは勇者の顔を見ると、頭で分かっていてもそれを行動に移すことができなかった。
「さあ、攻撃したかったら遠慮なくどうぞ。それに私を殺せば、文字通り勇者が死ぬことになるわよ」

「・・・く」
エミリは迷ってしまった。
そしてその瞬間を敵は見逃すはずもなかった。
「力が完全に引き出せないと言っても、これぐらいはできるわ」
勇者の身体がエミリの身体を押し倒した。
今まで毎夜行ってきた勇者とのセックスを思い出してしまう。
「あなた達毎日私の身体で楽しんでたんでしょ。うふふ、それぐらいお見通しなんだから」

「や、止めてその顔をそれ以上近づけないで・・・」
エミリはかつて愛した勇者の身体に迫られてどうしようもなかった。
「へー、私ってそんな顔もできたんだ。それはそれで男をたくさん釣れそうね。案外その身体カナンちゃんにぴったりなのかも」
かつてサキュバスだった自分の恥じらう姿を見て少し興奮しているようだ。
「イヤらしい顔、大きな胸、くびれた腰、長くて細い手足・・・なるほど男が私の虜になってたのも今なら分かる気がするわ」
勇者の身体はエミリをジロジロと見ると明らかに興奮しているようだ。
「ふふ、最後のお別れのエッチといきましょうか」


「ああーん!」
エミリは大きな喘ぎを声を上げた。
かつて愛した人とエッチしている筈なのに・・・その中身は・・・
そう思うと色々な感情が沸き起こった。
嬉しい、悔しい、止めないと、でもやりたい・・・
「さすが私の身体ね。どんどん気持ち良くなるわ。それとも勇者の身体だからかしら?」

エミリは息を荒げ身体をくねらせて発情した。
相手が本当は勇者でないと分かっているはずなのに・・・
エミリは勇者の手が自分の胸を揉む、秘所の中へチン〇を入れられる快感に逆らえなかった。
勇者の手がエミリの大きな胸を掴んで揉む度に喘ぎ声があがる。
「ああん、だめなのに・・・」
勇者のチ〇ポが膣に押し込まれる度に快感が襲う。
勇者の腰の動きが早くなる、もうすぐセックスも終わりだ。
エミリには分かっていた、ここで抵抗しなければ私達の完全に負けだと・・・
だが、それに抗えない。
それはサキュバスのこの身体のせいなのか、勇者の身体への愛情のせいなのか、どちらにしても勝敗は決した。
「だ、だめ、いくー!」
辺り一面に響くエミリの声。その絶頂は勇者達の敗北を意味した。


「楽しかったわ、カナンちゃん。サキュバスのエミリとして楽しんで生きてね」
そこにはかつての勇ましい勇者ではなく不気味な笑みを浮かべた勇者が立っていた。
エミリはまだ息を整えられず横たわっている。
「はあ、はあ・・・」
その顔には涙が溢れ、虚ろな目でかつての勇者を見ているだけだった。

「元勇者のカナンちゃんもすっかり女の子になったようね」
服をズタズタにされ男性の精液を浴びたカナンが横たわっていた。
「あ、あ・・・」
ひたすらセックスをしたせいかもう言葉らしい言葉も出せないようだ。
身体をひくひくさせているだけだった。


「これで終わりね、やっと勇者様の身体を手に入れたわ。これで魔王様も障害がなくなって喜ぶわ。うふふ、これであなた達に用はないわね。その姿で楽しく過ごすといいわ。じゃあねー」
そう言うと勇者は閃光と共に消えてしまった。
転移魔法を使ったのかアイテムなのかそれも今ではどうでもよかった。
そしてそこに残された2人は先ほどの勇者の快感を思い出すだけだった。

ただ分かっているのは勇者の身体が魔王軍の手に落ちたということだけだった。


その日を境に勇者が魔王軍に入ったという噂が世界を駆け回った。
世界は終わりだと人々は嘆き悲しんだ。
もう救世主はもう現れないと・・・・



エピローグ


エミリはカナンを抱えて宿へと辿りついた。
カナンの服はボロボロだったのでエミリの予備のマントで身体を覆った。
部屋に入りエミリの回復魔法で体力を回復させた。
だが体力は戻っても戻らないものもあった。
勇者の身体だ。
魔王を倒す伝説の存在が魔の手におちてしまった。
それは人類の滅亡を意味した。

責任からか悔しさからなのか、カナンは何も話さなかった。
ただその目から涙が溢れだしそうになっているのがエミリには分かった。

エミリはかつての自分を思い出した。
入れ替えられた時勇者が自分にしてくれたことをだ。
エミリはそっとカナンの口にキスをした。
そして優しく抱きかかえた。
するとエミリはカナンの目から落ちた涙が自分の身体に落ちている事に気づいた。
「大丈夫、ずっと一緒にいます、勇者様」
するとカナンはこう言った。
「ごめんね、勇者はもういないんだ。私はもう・・・」
エミリはカナンをギュっと抱きかかえて続けた。
「かつてサキュバスのエミリである私を愛してくれました。だから私もカナンになったあなたを愛します」
そう言ってエミリは微笑んだ。
その笑顔は淫魔らしくない温かみのある笑みだった。
「カナン、来て・・・」


「ああ、エミリの身体とてもあたたかい」
カナンはエミリに抱かれてとても穏やかな表情になった。
エミリはそんなカナンの様子を見て優しく微笑んでいる。
今まではエミリが勇者の大きな身体で守っていてもらったのに、今ではエミリの方がとても大きくカナンが小さく見えた。
それでも・・姿は変わってもエミリにとっては勇者であることに変わりはなかった。

カナンはエミリの唇にキスをした。女同士のキスだが愛情は本物だった。
それに応えるかのようにエミリも激しいキスを返した。
「いつまでこうしていられるのかな? 勇者様の身体も奪われて世界はもう終わっちゃうのかな?」
エミリはおもむろにそんな質問をした。
カナンはしばらく何も答えなかったが、ようやく重い口を開いた。
「・・・そうかもね。だけどエミリだけは守るわ、今度こそ・・・」
(絶対に元の身体に戻す)
カナンはかつて自分が愛する人に語った事を思い出し拳を握った。


カナンを助けるためにと行っていたセックスが結局カナンの身体を戻らせない結果となってしまった。
そして挙句の果てに勇者の身体である自分すら守れなかったのだ・・・
カナンはエミリから目を逸らし月を眺めた。

するとエミリはニコっと笑ってこう言った。
「私は大丈夫よ。だってこんなに勇者様が私のこと愛してくれているから・・・」
そう言うとエミリはカナンの唇にキスをした。
温かいそれはサキュバスのイヤらしいキスではなく、愛情のこもったキスだった。
そして今自分達が満たされていると感じた。
(ずっと一緒にいるわ)
かつてエミリが自分に言ってくれた言葉を思い出す。
小さな希望、小さな勇気が湧いてくる。

そうだ! 今度こそ守るんだ! そう思いカナンは精神を集中させる。
突然カナンは何かに気づいたようにエミリのお腹に耳を当てた。
するとそこに小さくも力強い生命があることに気づいた。
カナンはエミリを見ると力強くこう言った。
「新しい勇者はここにいる!」


20年後、勇者の子どもと名乗る淫魔とのハーフが現れる。
そして新たな時代を築いていくことになるがその事はまだ誰も知るはずがなかった。





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