お似合いのカップル

 作:verdsmith7


ニュースで最近の事件を放送している。
「へえーこの近辺でも強姦魔がでたのか、物騒だな」
俺はテレビを消して家を出た。
今日は香織と久しぶりのデートの日だ。
高校2年になって俺達は付き合い始めた。
そして俺達も高校3年になり、少しずつ大学受験が迫ってきた。
だから勉強に集中するために、香織とはしばらくデートができていなかった。
今日は本当に久しぶりのデートになる。

俺が香織を迎えに行くと、香織は嬉しそうに出てきた。
「ごめんね、待った?」
「いや、そんな事よりその服、随分可愛いな。」
いつも制服姿の香織しか見られなかったから、久しぶりの香織の私服姿にちょっと興奮した。
「でしょ。今日の為に買ってきたの」
香織は桃色のブラウス、ブラウンのジャンパースカート、白いスカラップサンダルを着ていた。
普段の制服もいいけど、私服も可愛いなと俺は素直に思った。
肩まで掛かる黒い髪、二重でぱっちりした瞳、ピンクの唇、そして白い肌と俺には勿体ないぐらいの彼女だ。
俺はボーっと香織を見ている。
「なーにジロジロ見てるのよ」
「すまん、香織に見惚れてた」
一瞬恥ずかしいと思ったが、香織はその言葉を聞いて喜んでいるようだった。

駅に向かう途中俺は不審な人物がいる事に気づいた。
腹ボッテリでムダ毛が多く、髭も濃い40〜50歳ぐらいの中年の男性だ。
その男は俺達の方を見るとニタっと笑い、俺達の方へ歩いてきた。
「君たちちょっといいかな?」
男はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ、俺達に話し掛けてきた。
「いえ、俺達急いでいるんで」
俺はそう言って早くこの男から離れようとした。
すると男はポケットから液体が入った瓶のような物を取り出した。
そして男はそれを俺に向かった投げつけてきたのだ。
瓶の中身がまっすぐ俺の方へ向かって飛んできた。
咄嗟の事に俺は足が動けなかった。そしてそのまま俺にぶつかる・・・そう思った。
「ダメ―!」
突然香織は俺の前に立ちはだかり、瓶の中の液体がビシャっと香織の頭から掛かっていく姿が見えた。
「キャア!」
びしょ濡れになった香織は悲鳴をあげた。
「ちっ! この野郎!」
そう言うと男は走り出していた。
一方香織は液体を掛けられてびしょびしょに濡れてしまっている。
俺は急いで香織の元に向かい、彼女の無事を確認した。

「大丈夫か香織?」
「・・・うん、大丈夫」
香織は液体で濡れた顔を袖で拭っていたが、あまりふき取れているようには見えなかった。
「そうか? もしかして酸とかじゃないだろうな、早く帰ってシャワーを浴びた方がいい」
「痛みとかはないけど・・・何だろう、水でもないし」
「それにしてもさっきの奴香織をこんなにしやがって、絶対許せねえ」
だが、香織を見ると奇妙な事が起こっていることに気づいた。
さっきまで香織の全身にかかっていた液体が乾いていたのだ。今ではもう服がわずかに濡れているにしかすぎない。
「何だ? さっきまで確かに濡れてたはずなのに・・・」
「あ、あれ? 本当だ、髪もだいぶ乾いてるし、もうほとんど濡れてないよ」
不思議に思っていたが、俺はわずかに香織の身体に残った液体が目に入った。
その液体はまるで乾いた土に浸み込んでいくかのように香織の肌の中へと消えていった。
一瞬の出来事だったので香織も気づいていないようだった。俺は多分気のせいだろうと自分に言い聞かせた。
これ以上悪いことなんか起こるはずがないんだ・・・俺はそう信じたかった。


あの後香織に掛けられた液体は、そもそも最初から無かったかのように香織から消えてしまった。
見た限りでは香織の皮膚が異常を起こしているわけでもなく、異臭も感じられなかった。
俺は家に一度家に帰ろうとしたが、香織がそれを拒んだ。
「今日は折角久しぶりのデートなんだよ。それに今日できなかったら次はいつデートできるか・・・」
香織はそう言うと顔を下に向けてしまった。そう、俺達は大学受験を控えている。だから最近は香織ともデートができなかったし、今日デートできなかったらしばらくできそうにないのは俺にも分かっていた。
「・・・分かったよ、でも体調が悪くなったらそこでデートは中止だからな」
正直香織がそんな事を言ってくれるなんて嬉しかった。俺だって今日のデートを楽しみにしていたんだ。
「・・・香織?」
俺は香織の返事を待っていたが、返答がなかったので不思議に思った。
香織はまだ下を向いている。
まだ落ち込んでいるのだろうか?
しかし、よく見てみると香織は何かを凝視しているようだった。
俺はその目線を追った。するとそこには香織の胸の谷間が広がっているのが見えた。

「お、おい香織、どうしたんだ?」
俺は様子のおかしい香織に声を掛けた。やっぱり体調が悪くなったんじゃ・・・
するとようやく香織は顔を俺の方に向けた。
「・・・ご、ごめんね。ちょっとブラが濡れてないか気になっちゃって」
慌てた様子で香織は俺に説明した。
「さ、さあ、そんな事より。早くお店に行こう」

俺達はショッピングモールへやって来た。
この辺りでは一番大きなモールで、いくつもの若者向けのお店が立ち並んでいる。
当初の予定通り今日はここで新しい服を見ていくつもりだ。無論買うかどうかは別だが。
まずは俺の服から見始めた。香織のを先に見ると俺の服を見る時間が無くなってしまうからだ。
男性向けの店に入ると、中にはジーンズやジャケットなどカジュアルな衣服が並んでいる。
「そろそろ新しいジャケット買おうかな」
俺はそう言うと、グレーのジャケットを手に取った。
「あ、また前に買ったのと似たようなの選んでる」
香織は早速俺のチョイスを指摘した。
「そうか?」
俺は普段あまり服に金を掛けない。もとより金を掛ける余裕がない。
そうすると自分の気に入ったデザインばかりを選んでしまい、結果似たような服がタンスを埋め尽くすようになってしまった。
だから服を選ぶ時は香織のセンスをよく参考するようになった。
「そうだなー、そろそろ温かくなってきたからこんなのが良いんじゃない」
俺は香織が指さした先にある服を見た・・・するとそこにはチェックのシャツが掛けてあった。
「ん? あんなのが良いのか?」
そのシャツは青と黒と白の線が交互にクロスした、いかにもオッサンが着そうな服だった。
「え? う、うん、良いと思うよ」
(おかしいな、いつもならファッション雑誌に載ってそうな最近流行りの服を勧めてくるのに・・・)
その後も色々服を探したが、結局今日の香織のセンスはイマイチだった、俺はチノパンなんて履こうとも思わない。

俺の服を見終わると今度は香織の番だ。今日の昼食までの予定はこの時点で決まりだ。
「じゃあ、次は香織の番だな、何を見に行く?」
「え、ええと、あそこかな?」
香織が言っている場所と思わしきお店を見た。そこは女性ものの下着を扱うランジェリーショップだった。
「・・・そ、そうか」
いきなり下着売場に行きたがるとは思ってもなかったので、俺は意表を突かれてしまった。
「じゃあ俺、そこの休憩所で待ってるから」
彼女が側に居るとはいえ、流石に男の俺があそこに一緒に入る勇気はなかった。本音を言えば、彼女の下着を選びたいのだが。

それから1時間経ったが、香織が戻ってくる気配はなかった。
女性の買い物は長いと知っているが、そろそろ別の場所にも行きたい、そう思った俺はランジェリーショップへ向かった。そしてお店の外から香織に声を掛けようと店の前までやって来た。
丁度、香織は試着室へ入っていく所だった。
その手には、山のように下着が入ったカゴが見えた。
「あれ全部試着する気か?」
俺は試着室へ足を進めた。

試着室の前に俺は到着した。偶然、今お店にはほとんど客がいないから、俺は他の女性に見つからにように試着室へやって来れたのだ。
俺は香織に声を掛けようとするが、中から音が聞こえ始めた。
「スー、スー、はあー良い匂い」
香織の声だ、何をしているんだ?
やがて香織が服を脱ぎだしたのだろう、衣服が擦れる音が聞こえてきた。
香織は持って来た下着を身に着け始めたようだ。
「わあ、これ今までで1番かもっ!」
香織は凄く楽しそうだ。
「私って凄く可愛い。今までこんな事思ったことないのに、今日はどうしたんだろう?」
「はあ、鏡に私が映ってるはずなのに私が私じゃないみたい。何だろう、凄く興奮する」
「あん、こんな所じゃダメなのに、手が勝手に動いちゃう」
試着室からは香織のイヤらしい声が聞こえ始めた。
「胸、凄く気持ちいい、それにアソコも・・・」
俺は香織の突然の行為に、ただ隠れて様子を伺っているだけだった。やっと勇気を持って言葉を出した。
「か、香織そこにいるのか? そろそろお昼にしないか?」
あのまま続けて他の客に聞かれたら大変だ。
「! ご、ごめんね、待たせちゃった? すぐ出るから」
香織はいそいそと服を着てやっと試着室から出てきた。その時、香織の顔はトマトのように赤くなっていた。

昼食の時間だ。当然このモールにも色々なレストランが入っている。
「お昼はどうする? あそこに行くか?」
俺はファミレスという無難な場所を香織に提案した。
香織は少し悩んでいたが、やがて重い口を開いた。
「私あれが食べたい!」
そこにあったのはラーメン屋だった。
しかも入っているのはサラリーマンや中年のおっさんばかりだった。
俺もラーメンは好きだが、デートでラーメンってどうなんだ?
「さあ、早く入ろう」
香織の押しに負けて、俺達はラーメン屋へ入っていった。
香織はチャーシューメンの大盛りを頼むとズルズルと口に麺を次々流し込んでいった。
その食べ方は、周りでラーメンを食べるおっさん達とほとんど変わらなかった。
「はあー美味しかった、ゲップ!」
食事の感想と共に香織は大きなゲップを店内に響き渡るぐらい大きな音で出した。
一瞬香織は口元を手抑えたが、次の瞬間には「やっちゃった」と俺に笑い掛けていた。

次にモールの中に置いてあるゲームセンターへとやって来た。
ここではいつも香織とユーフォ―キャッチャーをしたりプリクラをしたりしている。
当然今日もそこで遊ぶと思っていた。
「ねえ、次はこれで遊ぼう?」
香織がもう座っているのは格闘ゲームだった。
しかもキャラがほとんど巨乳の美女のやつだ。
「これか? 香織、格ゲーなんかほとんど遊んだことないのに大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
まずは香織がソロで遊び始めた。
いきなり俺が香織と対戦なんか初心者キラーも良い所だから、まずはコンピューター相手に練習してもらうことにした。
「うひょー! 凄ぇおっぱいだ!」
香織は使用するキャラの乳が動きで揺れる度に興奮して叫んだ。まるで変態のおっさんのように。
「な、なあ、他にもお客さんいるから静かにな」
俺は香織を諭すようにそう言った。
「何よ! せっかく良い所なのに、よっしゃー!」
コンピューター戦が終わりエンディングが流れ始めた。
「おい、嘘だろ?! これ初心者じゃ1周クリアできないぐらい難しいのに」
「次は対戦だね?」
香織は得意気に俺を挑発してきた。香織は今までゲームをやってもせいぜい動物と交流するゲームとか、落ちモノパズルしかやったことがないのに、いつの間にこんなに上手くなったんだ?
「こりゃ本気でやらないとな」
俺にもベテラン勢としての意地があった。ここは接待プレーは無しだ。

闘いはギリギリ俺の勝利で幕を閉じた。
(ふぅー、何とかベテランの貫禄を見せられたって所か)
「凄い良い試合だったよ香織」
俺は香織に労いの言葉を掛けた。あんな短期間でよくここまで上手くなったもんだ。
「何が良い試合だ糞が!」
急に大声を上げると香織はガンと筐体を蹴ってしまった。
「もうちょっとだったのによ!」
何か香織の様子が変だ、どうしたんだ?
「おい香織どうした?」
すると俺は香織を見るとおかしい事に気づいた。
心無しか胸がさっきより小さい気がする。
それに少しガタイも大きくなったような。
俺が一瞬言葉を詰まらせていると香織から口を開いた。
「あ、あれ? ごめんね、急にどうしたんだろう私? 何だか負けたら急に腹が立って・・・」
香織も落ち着きを取り戻したのか、口調がいつもの香織に戻っていた。

次に俺達は夕食にレストランへやって来た。
だが、香織の様子はどこかおかしかった。
なんだか下半身を凄く気にしているように、チラチラと香織は自分の足元を見ていた。
「ご、ごめんちょっとトイレに行ってくるね」
そう言うと香織はトイレに入って行ってしまった。
だがなかなか香織は帰って来ない。俺もトイレに行きたくなったのでトイレに行くことにした。
おれが用を足していると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「はあ、はあ、何これ? 何で私にこんなのが?!」
ここは男性用トイレのはずだが、女性の声が聞こえてきた。
しかもその声は香織だったのだ。
俺は鍵が掛けられた個室の声に耳を傾けた。
「う、凄い、触ると余計に気持ちよくなって・・・・あん」
香織は必死で声を押し殺そうとしていたが、その声は個室の外まで聞こえてきた。
「はあ、はあ、何か私の中で変わって・・・あん」
香織はそう言うと、また何かを始めた。だがその行為は恐らくあれしかないだろうと俺は確信していた。
ガチャリと鍵が開く音がすると、俺は急いでトイレから出て席へ戻った。
やがて香織が帰って来た。
香織はとても疲れた表情だった。


もう帰るべきなのかもと思っていたが、最後に映画を見て帰ることになっていた。
デートで見る予定だった恋愛映画だ。
「お願い、最後だから」
そう言う彼女に俺は断ることができなかった。

その恋愛映画は悲運の恋に見舞われる男女のストーリーだ。
ストーリーは進んで別れるのが翌日に迫り、愛し合った男女が最後の関係を持った。
別れなければならないからこそ、2人の愛が一層激しく燃えるように感じた。
とてもエッチなシーンで、俺は勃起するのを必死で耐えようとした。
そんな所を香織に知られたくなかった。


すると隣から息を切らすような声が聞こえてきた。
「はは、すげえいい女だ」
俺はどこかの変態のおっさんが話しているのかと思ったが、それは違っていた。
その声の主は香織だったのだ。
「やべえ、興奮してきた。もう我慢できねえ」
隣に座っている香織を見ると、映画を見ながらなんとオナニーをしていたのだ。
香織はスカートの上から股間を弄っているようだった。
ん? 何か香織のスカートが盛り上がっているような・・・
その光景は男のオナニーと変わらないように見えた。
「お、おい香織」
俺の声を聴いた香織は咄嗟にビクッと驚き、すぐに手の動きを止めた。
「あの、その、ご、ごめん」
そう言うと、香織は館内から逃げ出すように走って出てしまった。
その姿は今までの香織と違い随分大きく感じられた。
後ろ姿はまるで女装したおっさんが走っているようだったのだ。

俺も香織を追って走り出した。
香織はどうやら屋上へ向かっているようだ。
やっと屋上へと辿り付いた香織は俺に背を向け手すりを掴んで息を切らしている。
「本当どうしたんだよ? 何であんなことを。」
「ほ、本当にごめん」
香織は俺に振り向くと、驚愕の姿を俺に見せた。
手足はムダ毛がびっしり生え、腹はボテ腹、ぶよぶよの腕、顔には濃い髭が見えた。
わずかに残った香織のパーツが、目の前にいる人物が香織だと俺に証明していた。
「か、香織、その姿?」
「はあ、はあ、驚いた? 私、本当はこうなってたの気づいてたの」
え? 俺はショックを受けた。どうして・・・
「今朝あの男が私に水みたいなの掛けたでしょ、あれから私の中で何かが変わってきたの。最初はやけに興奮するなと思ってた、周りの女の人にも自分の身体にも」
そう言えば移動している時、香織はやたらきれいな女の人をちらちら見ていた気がする。
「そうして興奮していると次は私の身体も変わってきたの。最初は毛が少し濃くなった程度だったけど、少しずつ他の部分もね・・・あうう」
そう言うとまた香織の身体に変化が起きてきた。彼女の喉から突起が出てきたのだ、あれは喉仏だ。
「はあ、はあ、レストランでトイレに行っただろ、そしたら俺の股間にチ〇ポが生えてたんだ。最初はびっくりしたよ。でも触っているうちに気持ちよくなってさ。で、俺映画を見て興奮してただろ、お前は映画を見てて気づいてなかったと思うけど、あの時だいぶ変わって、他の身体の部分も気が付いたらこうなってたんだ・・・」
声がどんどん低くなり、口調も男のものになりながらも香織は必死で俺に説明してくれた。今朝男に何かを掛けられてから起こった変化の事を。

「終わりが近いようね」
高い聞き覚えのある声が屋上に響いた。
カツカツとした足音と共に、誰かが俺達の方へと向かってくる。
それは細長くて綺麗な手足、スラっとしたお腹に、大きな胸、透き通った声で薄暗く遠くからで俺はこう思った、香織だ!
やがてはっきりとその姿が見えるようになった。
ぶかぶかの服を着て、顔のパーツもまだ男の部分を残しているが、ほとんど姿は香織だった。

「ふふ、隠れて様子を見てたんだけど楽しませてもらったわよ」
俺は香織の方をもう一度見た。そういえばあの顔どこかで見た事ある、そうだ!
「お、お前はまさか・・・あの強姦魔か?」
俺は恐る恐る香織の姿をした人物に尋ねた。
「ふふ、今朝まではそうだったわね。でもこれから私が香織よ。で強姦魔はあたなの後ろにいる人ってことになるわね」
強姦魔はそういって香織の事を指さした。
「ふざけるな!」
俺は力いっぱい強姦魔に叫んだ。
「ふざけてなんかないわよ。見てよこの身体誰が見ても私は香織じゃない」
強姦魔はそう言ってニコッと俺に笑顔を向けた。
しかもさっきより顔のパーツが香織に近づいてきて、更に元の香織に近づいてきたのだ。
それはどうみても香織の笑顔にしか見えなかった。
「それに身体だけじゃなくて、ちゃんと記憶も香織になってるのよ。初めてのデートはあのテーマパークだったわね、最後観覧車でしたキスは凄く良かったわ、ロマンチックで。そうそう、次の誕生日は私に新しい靴を買ってくれるのよね」
それは紛れもなく俺と香織が初めてしたデートの事と、この前話した香織の誕生日プレゼントのことだった。
「そ、そんな? じゃあ香織は?」
俺は後ろにいく香織をもう一度見た。
もうかつての彼女の面影はそこにはなかった。
「はあ、はあ、あうう・・・」
見ると、香織は変化する肉体に必死で堪えているようだった。
「あの薬、初めて使う人には結構肉体的にも精神的にもきついのに、よく頑張ってるわね。大抵の人は気絶しちゃうのよ」
本物の香織を見ると、既に変化は完了して完全に強姦魔の姿になっているようだった。
「く、糞! どうすれば」
俺は必死で香織を元に戻す方法を考えたが無駄だった。
そもそもあの薬すらどこから手に入れたものか分からないのだ。
「うふふ、愛する彼女を元に戻してほしい?」
「へ?」
強姦魔の急な提案に、俺は素っ頓狂な声を出してしまった。
「元に戻してくれるのか?」
「ええ、いいわよ」
恐ろしく素直に、強姦魔は身体を戻すと約束してくれた。
「やったな香織!」
「ほ、本当か?」
香織はよろよろと立ち上がり強姦魔の元へ行く。
「そのかわり私とあなたがエッチすることになるんだけどね」


香織と強姦魔は服を脱ぐと、互いの身体を見つめていた。
少し前までそれぞれ自分の身体だったのだ。
香織は元の自分の身体を見つめ、強姦魔らしく今にも飛び掛かりそうだ。
一方香織の身体になった強姦魔は、香織を誘惑するように嫌らしい顔をしていた。
そして香織が強姦魔にまたがり2人のセックスが始まった。

香織と強姦魔がエッチをする時、俺は階段でそれが終わるのを待っていた。
自分の彼女が他人と、しかも強姦魔とエッチするところを見たくなかったからだ。
強姦魔の話によると2人の変化はまだ完全に終わっていないらしい。その間に2人でエッチをすると拒絶反応を起こして、身体が元に戻るとのことだ。
元に戻るのは一瞬らしい。本来の身体だと適合が早いが、他人の身体になる時はゆっくりと時間を掛けて変えていくらしい。

俺は香織が強姦魔として生きていくなんてそんな事は耐えられない。だからここでこうして待っているしかなかった。全部終わるのを。
だが、万一の事があれば俺はすぐに駆け付けようと思っていた。
「あんあん」
「はあはあ」
男と女の喘ぎ声がここまで聞こえてきた。
俺はその声に耳を塞ぎたかったが、必死で我慢した。本当なら今すぐ走ってエッチを中断させたかった。
「ほら、もっと激しく突いて!」
2人のクライマックスが近いのだろう。段々と喘ぎ声が大きくなってくるのが分かる。
そして
「あーん!」
「あー!」
どうやらお互いにイッたようだ。

俺は再び屋上へと戻った。
2人は共に冷たい床へ倒れていた。
見ると2人の着ている服も身体に合った服装になっている。さっきとは逆だ、という事は戻ったんだ!
「大丈夫か香織?」
俺は元の身体の香織の側へ駆け寄る。
香織は虚ろな目で俺を見ると、突然俺にキスをした。
「ごめんね、心配掛けちゃって。でももう大丈夫よ」
「いや、いいんだ、香織が無事だったらそれで」
長い、長いキスをした。2人の無事を祝うかのように。

すると強姦魔もそして目を覚ました。
「あうう、畜生!糞!」
強姦魔は俺達の方を見ると何かを言いたい素振りをみせたが、すぐに出口へ向かって逃げて行った。
「あ、あの野郎!」
追いかけようとする俺を香織が制止した。
「ごめん、今はこうして一緒にいたいの」
そう言うと香織は俺の背中に手を回してきた。
その行為に、俺も強姦魔を追う事を一瞬で忘れてしまった。

その後俺達は当然警察にも連絡をした。
香織も元に戻って、すべてが終わったのだと思っていた。
その夜香織は鏡に映った自分を眺めていた。
香織がニコッと笑うと鏡の中の香織もニコッと同じように笑った。
そして香織は言った。
「今日から私が香織ね」



1週間後

香織はあるアパートにやって来ていた。
見るからに築何十年も経過しているような古いアパートだ。
香織はとある部屋へと足を運んだ。

香織はゆっくりと部屋の扉を開けた。
部屋の中は汚く散らかっていた。ゴミが散乱し、異臭があちこちから漂っていた。
「はあはあ、すげえ気持ちいい」
すると部屋の奥から男の声が聞こえてきた。
香織は静かに部屋へ上がると男の元に近寄った。
男はどうやらオナニーの最中のようだ。
テレビからは嫌らしいエッチな映像が映っていた。

「ふふ、何をしてるの強姦魔さん?」
香織の声に一瞬驚いて手を止めたその男は、香織を見ると何かを思い出すように叫んだ。
「あテメエ!・・・俺の身体を返せ!」
男は香織に気づくと、作業を止めて部屋に響き渡る声で叫んだ。
「何を言ってるのか香織分からないなー」
男を不思議そうな顔で見ると、次に香織はニコッと笑った。
「テメエ、エッチすれば元に戻るなんて嘘だったんだな?」
「あはは、本当に引っかかるなんて、お間抜けさんよね」
香織は腹を抱えながら笑った
「しかもエッチしたら身体が戻る所か完全にお前になっちまうし、オナニーしないと全然落ち着かないしで最悪だったんだぞ!」
男は頭を抱えながら香織に話した。

昨日2人でセックスをした時、2人の精神は完全にお互いのものと入れ替わってしまったのだ。
もう思考も記憶もほとんどこの強姦魔の物しか出てこなくなっている。
自分が香織だったという記憶は多少あるが、今ではもう夢だったのではと思えるほどかすんでしまった。
この1週間で強姦魔は自分が香織でなく、香織になりたいただの変態ではないかとさえ思えてきていた。


「ふふ、強姦魔に相応しい精神にしてあげたんじゃない。香織のままだと悲惨だったでしょ? それともその身体でまだ自分は香織だと言い張る気なの?」
「ふざけんな! 俺はお前なんかになりたくなかったんだ!」
「ふふ、それにしては随分私の身体で楽しんるみたいだけど」
そう言うと、香織は強姦魔の股間を指さした。股間ははち切れんばかりに大きくなっている。
ズボンの上からでも強姦魔が勃起していることは一目瞭然だった。
「こ、これはお前の身体のせいだ!俺のせいじゃ・・・」
強姦魔は否定するように話したが、それが本当のことではないと明白だった。
「今その身体を使ってるのはあなたでしょ。ならあなたが単に変態ってことになるわね。こんなので楽しんで」
床一面にエロ雑誌やアダルトビデオが散乱していた。
「ニュースでやってたわよ、あの後2人も女の子を襲ったんですってね」
あの日家に帰った香織がニュースを見ると、新たな強姦魔の事件があったことを伝えていた。
それをみた香織は誰の犯行かすぐに分かっていた。
「俺はち、ちょっと身体を触ろうとしただけだ。なのにあの女が叫びだすからそれで興奮して・・・」
強姦魔は綺麗な女性を見るだけで勃起してしまった。そして自分の中で抑えられない欲望が湧き上がってきたのだ。
そして気がついた時には女性を次々襲ってしまったのだ。女性が抵抗すると更に興奮してしまった。
「ふふ言い訳はいいわ、強姦魔さん。今日はちょっとあなたと相談があったのよ」
「相談だと?」
「今度こそ元に戻るのよ、前と同じようにセックスをしてね」
「何?! 何をいまさらふざけたことを!」
無理もない。前回の時はそれを信じて散々な目にあったのだ。
誰がそんな話しを信られるのか。
「昨日戻らなかったのは、あの時お互いの精神が完全に馴染んでなかったからよ。今度は上手くいくわ」
「そ、それを信用しろとでも?」
「嫌ならずっと強姦魔として生きていくことね。私は全然かまわないけど香織として生きていくの」
結局の所、強姦魔に選択肢はなかった。
それに香織ともう一度エッチできるのは悪い気がしなかった。
「わ、分かった」
「そうそう、今度は何もしないわよ。あの時みたいに服をすり替えるなんて馬鹿な真似も」
あのエッチをしていた時、知らない間にこいつはお互いの服の位置を変えていた。
だから彼氏が来た時に本当に戻れたと勘違いした。
「ほ、本当か?」
「ええ、さあエッチしましょう。私のことをすきにしていいのよ、ほら?」
そう言うと、香織は服を脱いでしまった。
女子高生の裸体が今強姦魔の目の前にいる。強姦魔の決意が固まるのにそれほど時間は掛からなかった。
そして強姦魔も服を脱ぎ捨てた。

「よ、よし!」
そう言うと強姦魔は香織の口にキスをした。
「どう私の唇の味美味しい?」
「ああ、おいしくて、それにいい匂いがする」
香織の身体から漂う匂いに、強姦魔は更に興奮してしまった。
強姦魔はそう言って香織の口を舐めて舌を突っ込んだ。香織もそれに合わせて強姦魔の舌へ自分の舌を絡みつかせた。
「ううん、舌使いが上手よ」
「はあはあ、そうか?」
「だって私こんなに興奮しちゃったんだもん」
見ると香織の股が濡れているのに気づいた。
かつての自分のあそこが他人に使われて勝手に興奮していると思うと、強姦魔はゾクゾクした。
「ねえ、今度はこっちよ」
そういうと香織は強姦魔の手を掴み自分の胸へと移動させた。
そして強姦魔の手をスリスリと撫で、早く揉んでとねだった。
強姦魔はやさしく香織の胸を撫でていると、自分の股間が気持ちよくなるのが分かった。
香織が自分のチン〇を撫でているのだ。
「私もあなたにしてあげないとね」


「はあ、はあ、ねえ聞いてくれる?」
「ん? 何をだ?」
腰を振りながら香織は急に強姦魔へ質問してきた。
「本当は私香織になりたかったわけじゃないの」
「は! 何を今更・・・」
強姦魔はそんな戯言なんか聞きたくなかった。
どうせなら香織の身体の事や気持ちいい事を教えてくれればもっと興奮できるのにと思った。
「ふふ、疑ってるようだけど本当よ。だって私があの液を掛けた相手って香織じゃなくて香織の彼氏だったでしょ?」
「そ、そういえば」
あの時香織は無我夢中で彼氏を助けるために強姦魔との間に割って入ったのだ、そして・・・
「やっと分かったかしら?」
「はあはあ、何で今そんな事を言うんだ?」
2人の腰の動きが激しさをましてきた。
「はあはあ、ふふ、本来するべきだった事をするのよ」
「そ、それって・・・」
そして2人の終わりがやってきた。
「はーん!」
「うーおー!」
絶頂を味わった2人は、息を切らしながら余韻に浸った。
そしてゆっくり目を閉じた。

しばらくして香織はゆっくり目を開けると自分の身体を確認した。
「元に戻ってる?」
スベスベの肌に大きな胸の感触といつもの自分の感覚が戻っていた。
だけど何かが足りないような気がした。
「女の感覚も懐かしいけど、やっぱり男が良かったかな・・・」
香織は残念そうにそう言って、横で起きた強姦魔に話した。
2人は立ち上がると話をつづけた。
「ねえ、何で私を元に戻したの?」
香織は強姦魔に尋ねた。
「決まってるじゃないか。俺に染まったお前が今の俺と相性ばっちりだと思ったからさ。彼氏の身体を手に入れたらすぐやりたいしな、違うか香織ちゃん?」
香織はさっきのセックスを思い出していた。
あんなセックス今の彼氏とそうそうできるわけもない、しかしこの強姦魔なら・・・
香織は言った。
「ねえ、彼の所に行く前にちょっとお願いがあるんだけど」


そして・・・
「ふふ、警察を呼んだわ、すぐに来るって」
香織は携帯電話を置いて彼氏にそう言った。
その隣には強姦魔の身体が横たわっている。
薬が効きすぎたのか気絶しているようだ。
「ねえ本当に良かったの?元の身体に戻ることもできたのに」
香織はそう言って彼氏の方を見た。
「いいんだ。もう男の身体に慣れちゃったし、男の快感もやみつきになるし」
「まあ、私はまた香織になるの全然問題ないけどね。むしろこんな良い身体捨てるなんて勿体ないわ」
そう言って香織は自分の身体を触り次に胸を揉み始めた。
「あん、男じゃこんなの味わえないし」
すると彼氏が後ろから抱き着いてきた。
「でも、こうやって男として触るのも悪くないぞ」
そして香織の胸に手を置き、その柔らかい感触を楽しんだ。
「ひゃん!」
一瞬香織は声を出したが、すぐに彼氏の手に身を委ねた。
「ふふふ・・・」
「あはは・・・」
二人は少し笑い合うと見つめ合いそしてキスをした。
そして香織はこう言った。
「ねえ今度のデートどうする?」





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