「秋山家の陰謀 番外編 意地っぱりたち、始まる日常」
「それで、清香を呼んだのは他でもない。あのバカの事だ」 「やはりあのバカの事ですか……」 「清香までバカ呼ばわりか……」 清香達が「バカ」と呼んでいるのはこの秋山家の跡継ぎ、俊彦の事だ。 「まぁ、いい…… その俊彦の事なんだが。 ……廃嫡にしようと思う」 「いや、それさえなければって、あいつからそれだけ取ってしまうと後は何も残らないぞ?」 「……でも」 「そうですよ。それと言うのも"秋山家"と言うご褒美がアレに付いてると思えばこそですよ?それなのにここに来て、そのご褒美がアレから引っぺがされたら、あれはタダの生きてるゴミですよ?」 「…… 本当に清香は遠慮がないな?正直者というか…… でも、本当は俊彦の事を想ってくれているのだろう?友人達は次々と俊彦を見放して離れ行き、後に残ったのは"秋山家の跡継ぎの俊彦"にタカる者達だけだ。その中で清香だけは……」 「えっと……旦那様?私の話を聞いてました?私は俊彦の事なんか、これっっっっぽっちも想ってませんよ? 私だって俊彦の肩書きに魅力を感じてるだけですから?」 「財産目当てでウチに目を付けたとしても、清香はよくやってくれているよ。亡くなった妻も清香の献身的な看病には最後まで感謝していたし」 「いや、財産目当てなら何でもしますから、私は」 「うんうん、そういう事にしておこう」
「それで俊彦を廃嫡にするというのは?」 「潰しますね。大資産家の秋山家と言えど、あのバカの無能の前に1年保つか、2年保つか……」 「アレしか居ませんからねぇ。私がアレと結婚して、私に秋山家の全経営権を譲って下されれば何とかなりますけど」 「はぁ?いやいやいや、そうすると私はどうなるんです?ずっとあのバカのフォローをしてきて仕方なく許嫁になってやった私の立場は?」 「勿論、婚約は破棄してもらって構わない。充分な賠償額も出させてもらう。それでも俊彦と結婚してもらえるなら清香個人に結婚支度金も出させてもらう」 「あ、優秀な人材に秋山家を譲るというのなら、私に下さい」 「いや、秋山家はお菓子じゃないんだから。それに残念ながら清香では……」 「いや、申し分はない、ないが……、女性差別をするつもりはないのだが……」 「すまないな。まだまだ、世の中はそう言う事があるのだよ」 「くそう、いっそのこと、あのバカに抱きついて階段から落ちてやろうか」 「いえ、この間見たTVでやってたんですよ。男女が階段から転がり落ちた拍子にお互いの身体が入れ替わるって話を。私があのバカの身体になれば秋山家は私の自由になるし、あのバカが私になれば秋山家から追い出さずとも経営面では無力化できるでしょ?」 「なるほど、確かにそうなれば理想的かもしれんな。そう言えばウチにも……」 「おやじぃ。いるかぁ?ちょっと、資金を……」 「出たな、バカ」 「げっ、清香。お前、ここにいたのか?」 「なに?その顔は?また何かよからぬ事に手を出そうとしてるの?」 「なんだ清香。失礼だぞ?話を聞かないウチからよからぬ事などと。大体お前は俺より年下の女の癖に……」 「お、おぅ。この前、合コンで知り合った女性の知り合いが新しく発見した酵母を使って作り上げた健康飲料を独自の販売方法で売る為に共同出資者を募集してるんだ。今、応接間で……」 「ほほう?"ゴ・ウ・コ・ン"で知り合った女からの紹介ですか?で、その販売方法はどういうシステムで?」 「おう、聞いてくれ。まずは…… …… ……」 「どこにいるの!その話を持ってきたバカは!応接間か?!」 「おい。こら待て!清香!」 一人残った晴彦が、手の平で顔を覆って呟く。
「出て行け!このバカ共!」
「俊彦も俊彦なりに秋山家の跡継ぎとして頑張ろうとしているのはわかるのだが……、ヤマっ気が多すぎる」 * * *
「大体、何でお前は俺の客を追い出して俺の金儲けを潰すんだよ!」 「金儲けって、典型的な詐欺話でしょ!私は何であんな話に俊彦さんが乗るのかが信じられません!」 今まで何度も繰り返された光景だ。俊彦が新たな事業に手を出そうとすると、清香がそれをチェックして不備が有れば喧嘩になっても清香が止める。それでも清香のチェックを通って興された事業も何故か俊彦が関わると巨大な負債を残して頓挫する。その度にまた俊彦と清香は喧嘩になる。 「そんな事はない!今度こそ、利益の出る事業になるはずだったんだ!その為に、酵母を量産するバイオプラントを……」 「い、いや……、まだ土地を仮押さえしてあるだけで、手付けも明後日……」 「う、うるさい!何で俺がお前に事前に俺のやる事を報告しなけりゃならんのだ!お前は何様だ!」 「だったら黙ってお前は俺の後に控えていればいいんだ!女の癖に出しゃばるな!」 俊彦と清香の言い争いは続く。
* * *
『うるさい!お前なんか別れてやる!出て行け!』
「清香さんが俊彦さんと別れて出て行かれるそうですよ?」 「聞こえてる。だが、清香は出ていかんよ。別れ話なんか何度目だ?」 「あの二人もなぁ。お互いに惹かれ合ってる癖に不器用だからなぁ」 主従が若いカップルの口喧嘩をBGMにお茶を飲む。 「しかし、あの二人も付き合い始めたときは本当に素直な可愛いカップルだったんだがなぁ」 そこには今より少しだけ若い晴彦と2年前に他界した彼の妻が揃って椅子に座り、その後ろにはセーラー服の中学生の清香と、高校に入ったばかりのブレザーを着た俊彦が微笑んでいた。
『黙れ!お前はさっさと俺の嫁になって家で大人しくしてればいいんだ!だいたい、その年になっても身体を許さないって何時代の女だ、お前は!』 二人の言い合いはまだ続く。 「え?清香ってまだ処女だったのか?」 「二人の間の事を私に聞かれましても…… でも、今の話ではそのようですね?」 「そうか……、清香はまだ処女だったのか……」 暫く考えた後、執事を見て口を開く。 「はい、なんでしょう?」
* * *
「俊彦のバカ野郎……」 清香は自分の部屋のベッドでビールを片手に静かに泣いていた。 いつも最後は「女の癖に」「嫁に入って家を守っていろ」だ。女である事が嫌ではないが、男と線を引かれるのが赦せない。能力的に男に劣っているワケではないのに、いつもいつも女である事を理由に自分を否定されるのは理不尽だ。 「大体、自分が危ないマネばかりしてるから私が口を出す様になったんでしょうが。確かに秋山家の跡継ぎとして人から認められたいのはわかるわよ。でも、私と一緒に協力してやってくくらいの度量は持ちなさいよ。それに、楽して稼ごうとか、他の女にいい顔したいとかいった理由で事業を興されちゃたまんないわよ!」 俊彦は父が高齢になってから出来た秋山家の一粒種だ。本来なら父親の晴彦は俊彦に全てを譲って引退していてもおかしくないのだ。それなのに、未だに引退できないでいる。全ては俊彦の行状の問題だ。
コンコン ぶつぶつと愚痴っているとドアがノックされる。 「え?あ、はい?どうぞ」 「清香、ちょっといいかな?」 「あ、旦那様。はい、いいですよ。どうぞ」 「何だ?泣いてたのか?目が赤いぞ? ん?ヤケ酒か? すまないな、ウチのバカが世話を掛けさせて」 (本当にこの子は。俊明のせいで、本心とは違う偽悪的な事ばかり言うようになって……) 「それで……、何か御用ですか?」 「え?あぁ、私があのバカで、あのバカが私の立場だったら、って話をしてましたね」 「実は……」 ・ ・ ・
「えっと、この…… 換魂丹……ですか? これを使うと俊彦と私を入れ替える事が出来ると?」 「うん、まぁ、私も半信半疑だから、お遊びのつもりで持って来たんだ」 「昼間の続きだが、アレを廃嫡にするのは簡単だ。だが、その前にもう一押し何かができんかなと思ってな。それが本物なら何かのきっかけになれば……」 「ふ〜ん、換魂丹ねぇ……」 「ふふ、面白そうですね?」 そう言って、晴彦の背中をばんばん叩く酔っぱらい清香。 「ねぇ?旦那様?一応、私も懲らしめる事に異論はありませんが、心境に変化がない場合、私が俊彦という男に成り代わってしまっても構いませんか?」 「……まぁ、清香に問題がなければかまわんが。その時は、清香になった俊彦を嫁にもらう事になるんだぞ? いいのか?」 「問題ありません。それどころか嫁として徹底的に教育してあげます」 「これを使う判断は清香の自由に任せる。それと、重要な事だが、処女を失ってしまうと薬が本当に効かなくなって元に戻れなくなる。さらに問題は服用後は媚薬のような効果があるらしいと言う事だ」 「……それって、かなり危なくありませんか?媚薬効果の中でセックスは禁止って?」 「だから、くれぐれも気を付けてくれ」
晴彦が部屋から去り、換魂丹が清香の手元に残る…… 「ふ〜ん?秋山家って古くは陰陽師みたいな事もやってたらしいとは聞いてたけど、こんな物もあるんだ? 本物かなぁ? ……でも、本当に中身が入れ替えられたら楽しいだろうなぁ。あのバカが私をバカにしたようにあのバカを女呼ばわりして私に与えられた屈辱を味あわせてやれば……くく、"善は急げ"って言うよねぇ」
* * *
数時間後…… 「ふん、ふふふ〜ん、愛しいフィアンセの為に愛情、その他を込めて、作った料理が出来ましたよ〜」
* * *
夕食の時間、食卓のテーブルに付いているのは晴彦、俊彦、そして清香の3人。 ただし、そのウチの一人、俊彦は清香の作ったスープに口をつけて暫くしたらテーブルに突っ伏して寝てしまった。 「清香?ひょっとして例の薬を?」 「はい、早速、俊彦のシチューに試させてもらいました。本当に効くみたいですね?」
暫くして、清香達の食事が終わる。 「さてと。それじゃ……。旦那様、俊彦の事は本当に私の自由にしていいんですね?」 「はい、わかっています。 ちょっとキツイお灸を据えるだけですよ。 それでは、田中さん。すいませんが、俊彦さんを運んで頂けますか?離れの座敷に部屋を用意してありますので」 「旦那様?」 「あぁ、清香の言う通りにしてやってくれ。俊彦の事は清香に任せたからな」 二人が出て行った食堂で一人残った晴彦が呟く。
・ ・ ・
離れの座敷。 ベッドの上に俊彦が静かな寝息を立てて寝ている。 「さてと、ここからが本番ね。本当に身体が入れ替わるか、タダの睡眠薬なのか……」 そして、俊彦の身体の上に倒れ込む、清香…… * * *
「いや、本当に入れ替わるとは……」 白く細い小さな華奢な手ではない、日に焼けたごつい太めの指をニギニギする。 「うわぁ、動く。俊彦の腕だ」 「あの重い胸がない。うわぁ、グロテスクなアレがあるぅ、思ったより小さいんだ?これが興奮すると大きくなるのかな?ひゃはは。面白ぉ〜い」 「うぅん……」 「お?目覚めるのかな、俊彦? くふふ、驚くだろうな、俊彦の奴。気が付いたら自分が清香になっちゃってるんだからな。 くひひひ、今までの私に対する所業を反省するまで虐めてやるからな」
* * *
「うぅ、なんだ?頭が……」 「目が覚めたか?清香」 「あん?」 「どうしたんだぁ、清香? 俺がいつも、いつも、いつも、いつも、多大な迷惑ばかり掛けまくるからボケてしまったのか?」 「あ?え?俺? ……な、何だ、お前! え?誰だ?」 「あははは、本当にボケちまったのか?俺はお前の婚約者の秋山俊彦じゃないか?お前の将来の旦那様を忘れるなんて?」 「はぁ?何、言ってるんだ?俺は男と婚約した覚えはねぇよ!俺の婚約者は冬木清香という女だ。 え?」 「あぁ、そうだよ。俺、秋山俊彦の婚約者はお前、冬木清香だ。うんうん、ボケてはいないようだな?」 「えぇ!なんだこれは!清香じゃないか!何で清香が鏡に映ってるんだ?!」 「清香が鏡を見れば、そこに映るのは清香の顔なのは当たり前だろ?そこにお前の顔の代わりに俺の顔が映ってる方が驚くだろ?」 スーツの上から胸を押さえる俊彦。 「なんじゃ、こりゃあ!!」 「な、な、な……」 「どうしたんだ、清香?どこか具合でも悪いのか?」 「……お前? 清香か?」 「さっきから何を言ってるんだ?清香? 俺は見ての通り、俊彦じゃないか?」 「巫山戯るな!これはどういう事だ!俺に、俺たちに何をした?」 それに対抗するかの様に笑顔から一転、真剣な目になる清香。 「秋山家の秘術?巫山戯るな、俺は俺だ。さっさと戻せ!」 「いやよ。あなたにこのまま秋山家を任せていたら秋山家は遠くない未来、没落するに決まっている。秋山家は直接、間接を含めて数千人の生活を支えているのよ?秋山家の問題はアナタだけの問題ではないわ」 「巫山戯るな、女なんかに秋山家の跡目を継がせるワケが……」 「私は男よ?女はアナタ。アナタ、昼に言ってたわよね?女は家で大人しくしてればいいと?えぇ、全くその通りね。これからは全てを私に任せて女のアナタは、男の私のやる事を出しゃばったりせずに見ていなさい」 その時、清香は気づいていなかった。妙に自分の心がざわつき高揚している事に。必死な顔で睨みつける俊彦が心を高ぶらせ、興奮させていく…… 「そんな事が許されるか!早く元に戻すんだ!親父だって許さないぞ!」 「旦那様がくれたんですよ。その入れ替わりの薬を?本当はアナタを廃嫡にして秋山家から放逐する事も考えておられたんだけど、この方法だと優秀な私が秋山家を継いで、あなたもその権力を行使する事を封じられた形で秋山家に居る事が出来る、名案よね?」 「親父が?」 「ふざけんな、誰がお前なんかに謝るか!」 「ほ、ほう?反省はしないと?元に戻りたくはないと?」 「戻りたいに決まっているだろ!さっさと元に戻せ!」 「うるさい!」 「ふ、ふふふ、ふふふふふ。この薬を使うとね?何度でも入れ替えはできるの?でも、この薬が効かなくなる条件もあるのよ?」 「それをよこせ!」 「だ〜め。さすが男性よね?力が強いわ。どう?か弱くなった俊彦には逃げられないでしょ?それで話の続きだけどね。処女じゃない女性にはこの薬は効かないのよ?どう?処女を失ってみる?」 「う、うわぁ!や、やめろ!ばか!冗談だろ?」 「薬の効果の話は本当よ?どう試してみる?そう言えば、昼間言ってたわよね?この年齢になっても身体を許さないとは何時代の女だって?そうね。私もそう思うわ。いい機会だから私に処女を捧げて見る?」 「やめろ!バカ!放せ!」 「さっきから罵倒ばっかりしてるけど、他に言う事があるでしょ?ほら、今までのことを振り返ってみて?」 「うるさい!誰がお前なんかに謝るか!俺は何も悪いこと何かしてない!」 「…………」 「こ、このバカヂカラが……」 「何も悪いことをしていない?いいでしょう」『ゆっくりと服を脱ぎなさい』 「え?」 「まだ説明してなかったけど、この薬にはもう一つ効力があるのよ?」 「なに?」 「それはね。"支配の力"。薬を飲ませた時に唱える呪文次第で、二人の間に絶対服従の関係を結ぶ事が出来るの。それを結ばれた者は強い想いを込めて放った言葉に逆らう事ができなくなるの。今の俊彦のように」 「ば、ばかな……」 「ちゃんと反省さえすれば、何日かはそのままで女の苦労だけを味あわせて元に戻してあげようと思っていたんだけど…… 元に戻す必要は無いようね?」 全裸で立ちつくす俊彦を見てニヤリと笑う清香。 「じょ、冗談じゃねぇ!」 『あなたはこの離れから何があっても絶対に出られない!』 玄関の戸を開けようとする俊彦の手がどうしても動かない。 ガタガタと戸を揺することは出来るが、引くことがどうしても出来ない俊彦の背に清香がゆっくりと近づく。 俊彦の身体が意思に逆らって、清香の横を通り過ぎると今まで居た部屋に戻っていく。 部屋に戻った俊彦はベッドの上に上がると身体を横たえると、それ以上は身体が動かなくなる。 「ま、まて!清香。冗談だろう?これはお前の身体だぞ?いいのか?こんな事で身体を汚してしまって……」 「あはは、それは私の身体じゃないわ。もう、あなたの身体よ?それに身体を捧げるのはあなたの大切な婚約者にだから問題はないわよ。私は、あなたの大切な未来の御主人様よ」 すでに清香の心の中は異常な興奮に包まれていた。涙目で見上げるさっきまでの自分の顔が異常な程の加虐性を高ぶらせる。泣き叫ぶ自分を自分の物にしたい。気の強そうな顔が涙目になっている事に興奮する。どんな手段を使っても我が物にしたい。その身体に自分の印を刻印したい!目の前の女を支配したい。 さっきまで女の身体であったにも関わらず、違和感なく男としての暴力的な性衝動を受け入れている事に何の疑問も抱かない…… 「な、なぁ?戻れなくなるってのはタダの脅しだろ?そうだろ?」 「それじゃ。やっぱり冗談……」 「いやぁ!ちょ、ちょっと待てって!反省した!本当に反省した!これからは心を入れ替えてお前の指示に従うから!だから、ちょっと待てって!」 「"お前"? お前、女の癖に男の俺になんて口を聞いてるんだ?まだ、現実がわかってないみたいだな?」 「ひゃ、イヤ……、アナタ!アナタの指示に従いますから!だから考え直せ、いや、考え直して下さい」 「あ、あぁん、や、やめろ!わ、わかってるのか?俺が元に戻れなくなるって事はお前も元に戻れなくなるってことだぞ?ひ。ひぃ……」 清香の愛撫に耐えながら必死に説得する俊彦。だが、換魂丹の効果ですでに清香の理性が飛んでしまっていて正常な判断能力が落ちてしまっているとは夢にも思わなかった。 「ふふふ、さぁ、清香。準備は出来たみたいだな?それでも身体は処女だから最初はちょっと痛いかも知れないが我慢しろよ?まぁ、愛する男を受け入れる喜びの前には耐えられるだろう?」 俊彦が必死になって手足を動かして抵抗する。 「なんだ清香?まだ抵抗をするのか?仕方がないな?」『足を大きく広げて、俺を迎え入れる準備をしろ』 「やめろ、わかってるのか!戻れなくなるんだぞ!お前は一生、男のままでいいのか!」 「ふふふ、それでは清香の"初めて"を頂くとするか」 「さすがは処女。清香の中はキツメだなぁ。かなり準備運動はしたのに」 「うっ……」 「ほぉら?奥までちゃんと入ったぞ?どうだ?わかるか?」 「あぁ、そうだよな。入れたら出すのが普通だよな?清香も覚悟は出来たんだ?」 「ひ、ひぃぃ!痛い!痛いぞ、バカ!出すんじゃないのか!あ、あぁ!」 「そうだよ?入れたら出さなくっちゃな?たぁっぷりと中にな。清香、これで妊娠したら出来ちゃった結婚になるな」 「中に……出す?ひぃぃ、や、やめろぉ!意味が違う!俺は妊娠なんかしたくねぇ!出すな!あぁん、あ、あん……」
* * *
俊彦を凌辱しまくり今までのストレスを発散して満足した清香と、生まれて初めての、男には経験が出来ない筈の経験に力尽きた俊彦が共にベッドに寝ている。 「あぁ、こんなに気分がいいのは生まれて初めてよねぇ」 「……よねぇ、ってお前。わかってるのか?」 「あぁ?なにが?」 「あっ!」 「お前…… 今、あっ、て言ったよな?どうするんだよ?俺の身体を返せよ!どう責任を取るつもりだよ!」 「あ、あははは、なにを言ってるんだ?お前は清香だろ?夕べ、散々教えたじゃないか?今日からは俺が秋山家の跡取り、秋山俊彦だと?夕べ、その身体にたっぷりとその立場を教え込んでやったのにまだ諦めてないのか?」 「なにを虚勢を張ってるんだ?今、自分自身で驚いていただろ?」 「い〜や、全ては俺の計算ずくだ。お前はもう俺の婚約者、清香だ。なんだ?まだ自分の新しい立場をわかっていないようだな?」 「清香はまだ、自分の立場に対する自覚がない様だな?お仕置きだ」『そこで四つん這いになって、尻をこちらに向けて俺を迎え入れる準備をしろ』 「な!止めろ!止めさせろ、バカ」 「止めさせろ?バカ?女の癖に男に逆らうとは何様のつもり?」 その間も俊彦は清香を迎える為の儀式を続ける、股間からはまだ昨日の名残が滴り落ちる。 「どうも新生清香ちゃんは自分の立場というものがわかってないようだから、自分の立場がよくわかる体位で自分を自覚してもらいましょうか?」 「ひゃいぃ!やめろ、ばか!」 「ひゃぁぁん、あ、あ、あぁん、あん、あん、あ、あん」
* * *
「それじゃ、俺はもう行くから。朝飯は後で持ってきてやる。あと、身体が汗くさくなるから風呂には入っておけよ?お湯は先に俺が入って落とさないでおいてあるからな?」 「……くそう、清香の奴、本当に俺の立場を乗っ取る気か? ……風呂か。くそぉ、身体がだりぃなぁ」 清香の"支配の命令"により、今や脱獄不能の牢獄となった離れ。風呂とトイレは備わっているので生活に不自由はないが、完全に自由を奪われた俊彦だった。 ・ 一方、離れの玄関を余裕顔で出た清香は本館に向かってダッシュ。 玄関の扉を開けて晴彦を捜す。 書斎の扉を開けるとそこに晴彦がいた。 「ん?なんだ、俊彦か?朝っぱらから騒々しいな?なんの用だ?」 「確認ですが、あの薬は本当に処女じゃなくなると効かなくなるんですか?」 「ひょっとして、清香か?本当に入れ替われたのか?」 「性交渉を持ってしまったのか?だから、慎重にと言っておいただろう?」 「元に戻る方法か…… もう片方の換魂丹なら可能なのだが……」 「有るんじゃなくて、有った筈なのだが、行方がわからんのだよ。少量だが、残っていた筈なんだが蔵の中を全く整頓せずにどんどん詰め込んでいくだろう?見つかれば、元に戻れる可能性もあるが……」 「戻れるんですか?」 「いいえ、全然、全く、これっぽっちも。男の人っていいですよね、色々と楽で。ただ、俊彦が元に戻りたがってるので、戻る手段があるのか確認を、と」 「は?」 「いや、いいのか?自分の身体を他人に言いようにされるんだぞ?我慢できるのか?」 「まぁ、中身は俊彦ですから問題はありません。他の男性に私の身体を使われるのは生理的に受け付けませんけど、俊彦なら」 「それにどうしようか迷っていたけど、腹を決めました。 こうなったら、このまま私が俊彦に成りきって、あのバカを嫁にもらいます。いいんですよね?」 「いや、まぁ秋山家としては大歓迎なのだが……」 「わかりました。でも一応、薬の方は探しておいてもらえますか?」 「それじゃ、私は俊彦の説得に戻ります」 「……本気だと思うか?」 「さぁ?清香さんも変わった人ですから。でも、楽しそうでしたね。昨日までのトゲトゲした感じが取れていました。よほど良いストレスの発散が出来たのでしょう」 「まぁ、本人が良いというなら良いが…… 田中、聞いた通りだ。換魂丹のオリジナルを見つけ出しておいてやってくれ」
* * *
「は〜い、清香さん。朝ご飯を持ってきてあげましたよ」 「もう昼前だぞ?何をしていたんだ!」 「ちょっと用事があって外にな…… なんでまだ裸なんだ?風呂に入らなかったのか?」 「入った!だが、着る服が無いだろ!」 「はぁ?あるだろ?当分は着る物に困らない程度の下着と服をそこの衣装ケースに入れて持ってきてあるんだ。気が付かなかったワケはないだろ?」 「当たり前だ。清香は女の子なんだから女物だろ?」 「…………」 「え〜と、これとこれ……、ショーツとブラはこれでいいな。ほら、着替えを出してやったからさっさと服を着て朝食を食え」 「朝飯は食うけど、着替えは断る」 『服を着ろ、清香』 ショーツに足を通し、豊かな胸にブラを装着する俊彦。 「知るか!それより清香、俺にこんな恥をかかせて覚えてろよ?」 「どうも清香は状況がわかってない様だな?女が女物を着ることは恥じゃないだろ?これからは一生、女物を着るんだぞ?俺の妻としてな」 「巫山戯るな!さっさと俺たちの身体を元に戻せ!」 「こらこら、女性が胡座を組んで食事をするんじゃない。スカートが捲れ上がって下着が見えるだろ?これも命令して欲しいのか?」 「…… ふん!」 「それとな。一応、旦那様に確認を取ってみたけどもう絶対に元には戻れないそうだ。よかったな、これからは家の中で"奥様"をしていればいいんだからな」 「ぶっ、ごほっ、ごほっ!むぁ、まじか!本当に戻れないのか!」 「あぁ、本当だ。もう一生、死ぬまで俺は秋山俊彦で、お前は冬木清香だ」 「……ど、どう責任を取るんだよ!人の身体を勝手に入れ替えて元に戻れないだと!?どう責任を取ってくれるんだよ!」 「うんうん、俺もそれは考えた。俺も男だ、責任はちゃんと取るよ」 「なんだ、これは?」 「まぁ、俺からの始末書だ。名前はすでに書き込んである。お前もそこにサインしてくれ。あ、名前を間違うなよ?冬木清香だからな?」 書類に目を通した俊彦の手が震える。 「あ〜あ、何をするんだよ?せっかく、朝一番で役所から取ってきたのに。男と女の間で責任を取ると言えばこれだろ?」 「お前、何を考えてんだ?俺がなんで配偶者の欄に名前を書かなくちゃならないんだ?」 「それはお前が俺の妻になるからだろ?夕べから何度も言わせるなよ?お前はどうしようもないヤツだけど、俺との約束は守ってくれるのが唯一の長所だからな。自らの手で婚姻届にサインするという事はお前が俺の妻を自発的にやっていく事に納得した事になるから。だから、これだけは"支配"を使わずに自分でサインをさせないと意味がないし」 「……わかった、真面目に話そう。本気か?」 清香も俊彦の向かいに座る。 「本気だ。自分でもわかってるんだろう? お前に商才は全くない、人に寄っては"運がなかっただけ"という人もいるが、それは間違いだ。殆どの場合、予兆は有ったがお前がそれに気づかなかっただけだ。俺も旦那様もそれに気づいてないと思うか? なぁ?本当に俺の嫁になれよ?後のことは秋山家もひっくるめて、全て俺が引き受けてやるから」 「…………」 「巫山戯んな…… 俺は秋山家の跡取り、秋山俊彦だ。女に責任を押しつけてのうのうと暮らせるか……しかも、お前の妻だと? 巫山戯るな…… 巫山戯……」 「でも、お前も自分がわかってるからお義母さんが亡くなってから益々焦りが講じて、プレッシャーから放蕩に走ったんだろ?お前の気持ちはつき合いが長いからわかってるつもりだ」 「何がわかるんだよ!"女の癖に"出しゃばるんじゃねぇよ!何が俺の代わりだ!"女"に俺の代わりが務まるかよ!"女"に俺の気持ちがわかるか!」
「そうか、そうか、清香はまだ自分の立場がわかっていないようだな?女の癖に?どっちが女だ?わかった。 「やめろ!バカ!俺は男だ!女なんかの命令を聞けるか!」 「あぁ、お前は男で、秋山俊彦だ。好きなだけそう言っていろ、思っていろ。この術は身体を自由に出来るが、精神まで自由に変えられないのが欠点だな。でも。安心しろ。俺は、お前が心から自分は女で俺の妻になる冬木清香だと納得するまでその身体を説得してやる!好きなだけ抗え!絶対に後悔をしないくらい抵抗しろ!俺がその全てを書き換えてやるよ!」 そう言って、ニヤリと笑いながら自分も服を脱ぎ始める清香。
「巫山戯るな!俺は秋山家の後継者としてちゃんとやっていける!」 「安心しろ、お前には秋山家の後継者として出来る新しい仕事がある。その身体で、次の新しい秋山家の後継ぎを産むという仕事がな。その胎内に新しい命を育み、その豊満な胸からその子に栄養を分け与える事がお前の新たな仕事だ」 今までの鬱憤を晴らすかの様にサドっ気の混じった顔で楽しそうに俊彦に迫る清香。
「それはお前の仕事だろ!俺の身体を返せ!」 「まぁまぁ、怖がるなよ?これからたっぷりとその身体に俺の妻としての心得を叩き込んでやるからな?女性としての立ち居振る舞い、お化粧の仕方、その身体に強制的に教え込んでやるから、精神は後から付いてくればいい。お前は"女"なんだから"男"の俺に逆らわずについてこい。その代わり、これからのお前の人生は俺が守ってやる」
互いに相手を愛し合っている筈なのに、同じような性格が故に強情に意地を張り合って行き違う二人…… そんな男女の逆転人生がここから始まる
"秋山清香"が「秋山俊彦の裏に清香あり」「動の俊彦、静の清香」と言われる程、俊彦のバックアップに意外な才能を開花させるのはその暫く後の事であった。
E N D
半月後。 「お前な?最近、素直に身体を開くようになってないか?」 「俺、フェラを命令したっけか?」 「……だよな? で、どうだ?もうそろそろ俺の嫁になる気には?」 「い〜や、こんなの全く苦にならないな。昼間はお前を犯す為に体力を温存しているからな。お前の方が限界が来てるだろ」 「そうか、だったらもっと真摯に説得してやらないとな?」『俺のペニスを自分から挿入して腰を振れ』 本当は昼間の俊彦としての活動で疲れて果てて動くのも億劫な清香の上に乗り、嫌がりながらも清香のペニスを自分の股間に挿入しながらうっとりと腰を振る俊彦。 「ほら、頑張って腰を振れよ。床上手は妻としてのつとめだぞ?夫への御奉仕に励めよ。あはは……」 …………意地を張り続ける二人。
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