かわいい男の娘は好きですか?(第5章)
作:嵐山GO



時計の針が7時を回ったところで、ボクは人目を避けるように
こっそりとアパートを抜け出た。
自転車に跨ると短いスカートがさらに捲れ、太股が露わになる。
(女の子って大変だね)
記憶の中の地図を頼りに、人通りの少なそうな道を選んで進む。

(この公園でいいんだっけ・・・?)
都内の公園としては結構広い。広場の外にジャングルジムが
一つと東屋、トイレ、それにベンチも幾つか設置してある。
大きな木も何本か植えてあり、その影で煙草を吸う人影が
見えるが女装子ではなさそうだ。

(ちょっと早すぎたのかな・・・でも、また出直すのも嫌だし・・)
とりあえず自転車から降りて、園の外周をゆっくりと押しながら
歩いて見ることにする。
「お姉さん!」
半分くらい進んだところで背後から声を掛けられた。
「わ、私?」
「うん、そうだよ。何してんの?」

見ると小柄な女の子が立っていた。だが声のトーンからして
女装子には違いなかった。
「え・・・っと、散歩・・・かな」
「ふうーん、待ち合わせじゃないんだ。お友達探しでしょ?」
「な、なんで分かるの?」
「掲示板とかで待ち合わせする人以外で、ここに来る人は
大抵お友達探しだよ」

タンクトップにミニスカート、小っちゃなポシェットを
持っている女の子。
タンクトップの肩部分には幅広の白いフリルが付いていて
フィギアスケーターの少女みたいだ。
ゆらゆらと揺れるフレアースカートも、とても良く
似合っていた。

「そうなんだ・・・」
「良かったら私と一緒にお話しする?」
「そうね」
ボクは自転車に鍵を掛けて一緒にベンチへと移動した。

「この公園は初めて?」
「ていうか外出自体、今日が初めてなの」
「へえー、そうなんだ。可愛いのにね」
「ありがとう。貴方はよく来るの?」
「うん。近いしね。あ、私、知佳(ちか)って言うの。
お姉さんは?」
「わ、私?私は、え・・・と、恵理子よ」
とっさに口から出た名前は初恋の子の名だった。
(そっか名前なんて考えてなかったな・・・でも
この名前でいいや。貰っちゃおっと)

「恵理子さんね。でも、お姉さんて呼ぼうかな?
それともお姉ちゃんがいい?」
「どっちでもいいわよ」
「じゃ、お姉ちゃん。私たち、お友達になれそう?」
「そうね。知佳ちゃんがなってくれるんだったら・・・」
そんな会話をしていたら、男が一人近づいてきて声を
掛けられた。

「君たち、女装子さんでしょ?」
「ええ、そうよ」
知佳がすかさず、それに答える。
「僕も隣りに座ってもいいかなー?」
男がベンチを指差して言う。
「えっとねー、私たち、知り合ったばかりで今、
自己紹介し合ってるからゴメンなさい。ちょっと
プライベートな事とか話すから男の人に聞かれたく
ないの。ホントにゴメンなさい」
知佳が頭を下げたので、ボクも真似て下げる。
「うん。分かったよ。また今度ね」
そう言うと男は去って行った。

「あの人、女装子が好きなのかな」
「たぶんね。でも気を付けないと時々、変な人も
いるから」
「・・・そうなんだ」
「ねぇ、お姉ちゃん。私のウチに来る?知佳、お姉ちゃんと
もっとお話しして仲良くなりないなー」
「いいの?初対面なのに?」
「いいよ。お姉ちゃんは信用出来そうだし」

ボクらは立ち上がってベンチから離れた。
知佳という子は僕より5センチ位、身長が低そうだから
たぶん162、3センチ程だろう。
髪は長くは無いくせに両耳の後ろでピンと縛っている。
(これもツインテールっていうのかな?)

サンダルで来てるくらいだから本当に家は近いのだろう。
「お姉ちゃん、自転車だよね?」
「ええ」
「後ろに乗れる?」
「乗れるよ。ママチャリだから」
「ママチャリだと盗まれなくていいでしょ?」
「うん。でも買った理由は中古自転車で一番安いのって
このタイプしかなかったからなの」
「うふ。そうなんだ」

ボクは知佳を荷台に乗せ、彼女の言う通りに自転車を進めた。

「ここが知佳の、おウチでーす。ようこそいらっしゃいました」
ボクのアパートとは全く反対側に位置する、そのマンションは
まだ新築のように真新しかった。
「うわっ!すごい!完全に女の子の部屋じゃない!」
部屋自体はワンルームマンションの造りであったが、家具や
電化製品のすべてが女性趣味丸出しなのだ。
さらにカーテンや枕カバー、クッションなどは、どちらかというと
子供っぽいディズニーなどのキャラクターがプリントされている。

「可愛いでしょ?私、ロリータ女装が好きなの。だから、お部屋も
こんな感じにしたんだ。どうかなー?」
知佳がベッドに腰を下ろして、枕元に置いてあった大きなぬいぐるみを
抱く。
「うん。いんじゃない。羨ましいくらい・・・私の部屋とは全然
違うもん」
知佳に手招きされて、ボクもベッドに腰を下ろした。

「お姉ちゃんは学生さん?」
「違うよ。今年から働いてるの。知佳ちゃんは?」
「私は大学二年生でーす」
「ふうん・・・じゃ親からの仕送り?でもそれだけじゃ、
こんなに揃えられないよねー。女装もお金掛かるでしょ?」
「うーん、でもバイトはしてないよ。この格好だと働かせて
貰えないんだもん。それに洋服はフリーマッケットとかで
買うからタダみたいに安いの」
「ええっ!?ちょ、ちょっと待って。昼間もその格好なの?
もしかして大学も?」
「うん、そう。ウチの大学は平気だよ。ま、男の格好じゃないと
駄目な時もあるから、その時は男の服で行くけどね」
「じゃさ、じゃさ。もしかしてその髪は自毛なの?」
「そうだよ。引っ張ってみる?」
「ううん。いいよ、いいよ」

「なんだか私のほうが聞きたい事いっぱいありそう。
知佳ちゃん、女装歴長そうね?」
「高校の時にね、女の子の服装とか見てたら自分も着たいなーって
思って、そこから。でも本格的に始めたのは大学に入って
一人暮らしを始めてからだよ。やっと一年経ちましたって感じ?」
「私なんか、まだ3ヶ月も経ってないよ。これじゃ、どっちが
お姉さんなんだか分かんないね」

「えへへ。でもやっぱり恵理子さんが、お姉ちゃんだよ」
「あのさ・・・聞いてもいい?知佳ちゃんは女の子に
なりたいの?つまりさ、何ていうのかな・・・」
「性転換?ニューハーフの事?」
「うーん、それもあるけど、あと薬?ホルモンとか・・・」
「飲んでないよ。打ってもいない。私は女装することが
好きなんだー。特にロリ女装ね」
「私もそう・・かな・・・たぶん」
ボクは自分のスカートの裾をぴらぴらと捲ってみた。

「じゃ今度は知佳が、お姉ちゃんに聞く番ね。お姉ちゃんは
男の人と女の人とどっち好き?」
「どっちって、普通は女の人じゃないの?違うの?」
「そうとも言えないみたい。女装すると男の人を好きに
なるって人、結構多いよ」
「へぇ・・・そうなんだ」
「じゃさ、女装子は好き?」
「女装子・・・?考えた事無かった・・・女装した子を
愛せるかってことでしょ?」
「んー、そこまで重くなくても例えばエッチとかね」
知佳の顔に似合わない大胆な発言にボクは慌てて、捲れた
スカートを直した。


「ち、知佳ちゃんはエッチしたことあるの?女装子さんと」
「あるよ。さっきの公園に行くと色んな女装子さん来るから
気の合う人とね。でも、このお部屋に来たのはお姉ちゃんが
初めてだよ」
「そ、そうなんだ・・・いつもはホテルとか?」
「相手の人がホテル代出してくれるならね。知佳、お金
ないから。大抵は車の中が多いよね」
「車の中?覗かれたりとかしない?」
「いたかもね。あまり気にした事ないわ。だってお互いの
スカートの中に手を入れて触りっこしたり、とかだし」

「それだけ?」
ボクは女装子同士のエッチというものに段々関心が湧いてきた。
「お口を使う時もあるよ。スカートの中に潜ってスルの。
すっごく楽しいよ」
知佳の『楽しい』という言葉でボクの好奇心はさらに高まり、
鼓動は早まっていった。

「さっき知佳ちゃん、言ってたけど変な人とかはいないの?」
「基本的に女装子さんに変な人はいないよ。みんな女性みたく
なりたくて頑張ってるから。ま、気の合わない人はいるけどね」
「うん、それはしょうがないね」
「知佳ね、女装するのも好きなんだけど、女装子同士で
エッチするのは、もっと好き!お姉ちゃんは、女の子の格好で
オナニーとかする?」
「うん・・・するよ」

ボクは、いつの間にか知佳の言葉の術中にはまっていた。
それに、さっきから知佳の胸の膨らみや、スカートから出た太股が気になって仕方がない。

「ねぇ、『スカートの中のピストル』っていう小説読んだ?」
「ううん、サスペンスものかしら?」
「内容は忘れちゃった。でも私たちの場合はココのこと」
知佳がそう言ってボクのスカートの上からペニスに触れた。
「あ・・・知佳ちゃん・・・」
恥ずかしい事にボクのペニスはすでに勃起していた。

「お姉ちゃんのペニクリ大っきくなってる」
「ペニ・・クリ・・?」
「うん。ペニス・クリトリスの略だよ。女装子用語かも」
そう言いながらも知佳はわざとスカートの上から
形が浮き出るように擦った。
「やん、知佳ちゃん・・・そんな風に擦ったら形が見えて
恥ずかしい」
「お姉ちゃんの固くて大っきいの知佳、見たいなー」
ボクは知佳に上半身を押されて、ゆっくりとベッドに倒れる。
同時にスカートがずり上がり、下着が少し露出した。

「きゃーん、可愛いショーツ。お姉さまもこういうの
好きなんだ。知佳と一緒だね」
知佳が呼び方を『お姉さま』と変え、ベッドの下で膝をついて
フリフリのショーツに手を伸ばす。
ボクのペニクリはまだスカートによって隠されているものの、
すでに小さなショーツの上から半分ほど顔を出していた。

もうここまできたら引き返すことは出来ない。
でもボクの中の女の子は、引き返すどころかもっと
高みを望んでいるようだった。
(女装子同士のレズプレイって、どんなかしら?楽しみ)



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