SKIN TRADE
 第1章・後編 The Girl Is Mine(その2)
 作:嵐山GO



「ごめんねー、待ったでしょう?」
 まんまと水城結菜に化けることに成功した男はボーイフレンド、葛城健一の待つ元へと
駆け寄った。
「ううん、そんな事ないよ。僕も今、来たところだし」
 申し訳なさそうに詫びる少女に、健一は笑顔で迎えた。
「ほんとー?ああ、良かった。はいっ!これ、途中で買ってきたの」
 バーガーショップの袋の中からシェイクを取り出し、彼に渡した。
「ありがとう」
「レモン味で良かったのよね?」
「うん、良く覚えてたね」
「すごいでしょ?えへ、私も同じのにしちゃった」

 自分用のシェイクを取り出しストローを口に運ぶと、そのまま腕を組んだ。
「あ、ちょ・・ちょっと」
「嫌?私と腕組むの」
「あ、そうじゃなくて・・・その、ずいぶん今日は積極的なんだね」
「うん!だって早く逢いたかったんだもん」
「そうなんだ・・・でも、なんか今日はいつものユナちゃんと違うみたいだ」
「あ?そ、そんなことないよ。私はユナだよ。水城結菜よ」
(くそっ、ヤバイな!バレないとは思うが時間もない事だし、さっさと話を
切り出してヤッちまうか・・・?)

 健一は周りの視線を気にしながら、腕を組んだまま歩き始めた。
「えーと、今日はどこに行こっか?土曜日だけど映画館は混んでるかな?」
「あのね・・・」
「何?どこか行きたい所があるの?」
「うん・・・あのね・・・怒らないで聞いてね。私・・・ラブホテルって行ってみたい」
「えええーーーっ!ちょっと待ってよ。ラブホテルって、その・・・僕らは、あの・・
まだ中学生だし・・えーと、大体、その・・あそこって何をする所か知ってて言ってんの?」

 健一は最初、大きな声を出したかと思えば語尾は次第に小さくなっていった。
「・・うん、知ってる。エッチな事するんでしょ?友達に聞いたもの。・・でね、言われたの。
あんたたち、まだシテないのかって。私も中学生になったばかりだし、まだ早いと
思ったんだけどクラスの子たち、ほとんど済んでんだもん。ね、駄目?お願い・・」
 目を潤ませて見上げながら、精一杯の表情で哀願した。

「ええっ・・それ本当なの?うーーーん、でも僕も始めてだし・・・困ったなー・・・」
「私も初めてだよ。大丈夫。誰にでも最初はあるし、それに私、色々と聞いてきたから」
「そうなの?・・・いやぁ、でもなぁ」
 中々決断しきれない健一に少女は業を煮やし言った。
「えっとね、この時間だとランチサービス・・・じゃなくって、サービスタイムとかで
安いんだって。だから、早く行こっ」
「あ、ああ、分かったよ」
 結局、健一は少女に腕を引っ張られるような形でホテルへと向う。
 ワンピースの後で結んだ大きなリボンが嬉しそうに揺れている。

「本当に安いねー。二人で映画観に行くのと、あんまし変わんないよね」
「う、うん。あ、カラオケがある!テレビで映画も見れるみたいだよ。ほらっ!
冷蔵庫には飲み物が入ってるけど・・これ、飲んでもいいのかな?」
 健一は緊張を隠すために、部屋中を物色し回ってはあれこれ触っていた。

「ねぇ、健一君・・・せっかく二人っきりになれたんだよ。隣にきて・・・私だって
緊張してるんだから・・・」
 結菜は俯いたまま、ベッドの端で声を掛けた。
「あ・・・そうだね・・・ごめん。なんか、僕・・・男なのに情けないよな・・・」
「そんなことないよ。すっごくカッコいいよ。大好きなの・・・ね、キスして」
「う・・・うん」
 チュッ。初(うぶ)な恋人同士の可愛いキス。

「少し暗くして・・・私、洋服脱ぐから。健一君も脱いで」
「うん、分かった」
 薄明かりの中でワンピースを脱ぎ、まずは自慢の下着を披露した。
「どう?これ、可愛いでしょ?」
「すごくエッチな下着だね。いつも、そういうの着けてんの?」
「ううん、違うよ。今日のために買ったの。やん、あんまり見ないで恥ずかしい・・・」
「あ、ごめん、ごめん」
 健一がブリーフ一枚になったところで結菜は、腕を取りベッドへと誘った。

「素敵・・・逞しいね・・・」
 細い腕をボーイフレンドの上半身に絡ませながら、もう一度キスをせがんだ。
 今度は、さっきより濃厚に舌を差し入れながら・・・。
 健一も、それに合わせて少女の身体に腕を巻く。
 二人の舌が口中で蛇のように絡み合う。
「やー・・はぅーん・・・感じちゃう・・・ねぇ、ブラ・・外して」

 健一は外し方が分からず戸惑っていたが、結菜が教えると膨らみかけの乳房が現われ、
今度は躊躇せずに吸い付いてきた。
「やん、もっと優しく・・・」
 健一が気を取り直して胸を愛撫しているのに合わせ、次は結菜がブリーフに手を
伸ばし股間に触れた。
「ああ・・・もう、こんなに固くなってる・・すごい・・」
 さすがに若いだけあってペニスは鋼のようだ。
「はちきれそう・・・ねえ、見てもいい?」
「う、うん。でも、なんか恥ずかしいな」

 結菜は丁寧にブリーフを下ろすと、健一のペニスをじっと見た。
 色もまだ白く勃起してもまだ半分以上、皮を被っている。
「私・・・見るの初めてだよ。オチンチンて、こんななんだね」
「やっぱり、なんだか・・すごく緊張するよ・・・」
「私もよ・・・でも、こんなに大っきくなってるのは私の下着姿を見たから?」
「う・・・うん」
「嬉しい・・・」
 チュッ。結菜は唇をすぼめて亀頭の先端にキスをした。
「わっ!何するの?汚いよ」
「こうすると喜ぶって言ってたけど・・・違うの」
「でも、そこオシッコ出るところだから汚いよ」
「汚くないよ。だって大好きな人のオチンチンだもの。それに、みんなしてるって言ってた」

 手を添えて、ゆっくりと包皮を剥く・・・亀頭部が完全に露出したところで結菜はソレを口に
含んだ。
 ング・・・チュ、チュバ・・・ジュル・・ングング・・・
「あ、ああ、だめ・・だよ。あー、そんなことしたら・・・あー、駄目だったら」
 唾液をたっぷりと馴染ませ唇と舌と、さらに掌を使ってフェラチオに専念した。
「あ、駄目だ!あうっ、あー、出る!」
 ドピュッ、ドクッ、ビュルン
「うぐっ?んんーーっ」
 結菜は口からペニスを開放するとすぐに、ティッシュを数枚取り精液を吐き出した。

「やーーん、苦ーーい」
「ご、ごめん・・・あんまり気持ち良くて・・・口の中で出しちゃった。ごめんね」
「ううん、いいの。でもさっきのアレ、飲むと美味しいって聞いてたけど。・・・私、駄目。
飲めない。だってホントに苦いんだもん」
「ユナちゃん達、学校ですごい会話してるんだねー」
 二人は向き合って、ちょっと照れくさそうに顔を赤らめた。
「でも・・・男の子達もエッチな話しするでしょう?」
「そりゃ、まあ、するけど。でも僕、明日からクラスの女の子達を見る目が変わりそうだよ」
「明日は日曜日よ。それに見る目が変わっても浮気しちゃ駄目だからね」
「浮気なんかしないよ!ユナちゃんが一番可愛い」
「ホント?嬉しい・・・じゃ、今度は私の見せてあげる」
 ボーイフレンドの前で、少女は初めて生まれたままの姿をさらけ出した。

 小さなショーツをするりと脱ぐと、今度は勇気を出して足を開いて見せる。
「うわー、こんな形なんだ。当たり前だけど男とは全然違うね。触ってもいい?」
「うん・・いいよ。でも、そっとね。敏感だから」
 健一はピンク色をした小振りの花弁を左右にそっと開き、目を凝らして細部まで見入った。
「あー、そんなに見つめられると恥ずかしいな・・ねぇ、上のほうにお豆みたいなのあるでしょ?」
「え?うん、あるね」
 薄明かりの中で始めてみる女の子の秘部を、少年はじっと観察した。
「それ、クリトリスっていって女の子が一番感じる所なの。そっと舌の先で剥いて
吸ってみて」
「・・・分かった」

 チュ・・チューッ
「やんっ!あーーーん・・・いい。気持ちイイ・・溶けちゃう・・・」
 チュッ、チュッ、チュー
 小鳥が幹を突付くように健一は舌先と唇で、たどたどしい愛撫を続けた。
「あん、あん、あああーん・・ねぇ、今度は舌を入れてみて」
「うん、いいよ」
 舌先を器用に尖らせて、結菜の幼い膣腔に侵入させた。

「あふーっ、いいよう・・・感じちゃうの。んーー、いやん。ユナのアソコに舌が・・だめーぇ」
 さらに健一が舌を使って溝をなぞり上げると、愛液がたっぷっりと染み出してきた。
「ねー、いっぱい溢れてきたけど・・これオシッコじゃないよね?」
「やーん、違うよ。馬鹿ーっ。これはオチンチンを入れやすいように出てくるエッチな
お汁なのっ」
「そっか、そうなんだ。入れやすいように出るんだ」
「そうよ、ちゃんと覚えてね。じゃ、いっぱい濡れてきたし、そろそろ入れてみる?」

 結菜は両手を伸ばして健一の首に回し、両足をさらに開いて正常位の体勢で待った。
「本当にいいの?」
「うん、優しくしてね・・・初めてだから、最初はゆっくりね」
 入り口が分からず亀頭を何度も恥骨や股間にぶつけていたが、ついに挿入に至った。

「あ、うっ、んんっ!」
「大丈夫?痛いんだったらやめるけど・・・」
「だ、大丈夫。平気だから・・・続けて。初めてだから大切な想い出にしたいの。途中で
やめたりしないで」
「・・・うん」
 やがて腰がゆっくりと少女の股間に密着する。
「あー、んんーーー、入ってくる・・・・健一君のオチンチン」
「全部入ったよ。痛くない?」
「うん・・・分かる。大丈夫・・・それに聞いていたほど、あまり痛くないの。少しずつ
動いてみて。ユナの身体、健一君の好きにしていいよ」
「ユナちゃん、好きだ」

 グチュ、グチュ、グチュ
 卑猥な音を立てながら、無我夢中で腰を動かし始める。若い幼稚なセックス。
 だが、すぐにも二度目の射精が訪れた。
「あ、やばいよ。また出そう」
 その言葉を聞いて結菜は健一を抱きしめていた腕の力を強めた。
「いやっ!離れないで。お願い、このまま中に出して!」
 最後まで台詞を聞くまでもなく、健一は少女の中で果てた。

「あーあ、大丈夫かな?中で出しちゃったよ。赤ちゃん出来ないかな?」
「大丈夫。今日は安全日なの。女の子って、そういう日があるのよ。知ってる?」
 もちろん口から出任せである。大体、中学生になったばかりで生理周期を管理してるとは
思い難い。だが、それ以上に中一の男子がそんな事を知る由もない。結菜の作戦勝ちだ。
「ううん、知らない。そうなの?」
「生理ってあるでしょ?規則正しく周期を付けていれば妊娠しない日が分かるの。それが
今日なんだけど、この時は中で出しちゃっても平気」
「そっか、でもセックスがこんなに気持ちいいんなら毎日でもしたいよ」
「私はいいわよ。でも他の日はちゃんと避妊して。赤ちゃん出来たら困るでしょ。ねっ?」
「うん、わかった」

「まだ時間たっぷりあるよ。もう一回するでしょ?」
 結菜はベッドの上で四つん這いになり、悩殺的なポーズをとった。
「いーよ、もう一回でも二回でも」
 例え未熟な身体のラインであろうとも、一度女を知ってしまったら、もう歯止めは効かない。
「すっごーい!もう大きくなってるー。じゃ、今度は後から入れて。いい?」 
「後から?上手くいくかな?」
「私が指で開くから、そこに入れてみて。わかる?」
 結菜は頭を低くし、小さな尻を上げて誘った。
「わかるよ。ここだね。でも、こんな格好で痛くないかな?」
「さっきね、ちょっとだけ気持ち良かったの。だから今度は違う格好でしたら、もっと
良くなるかなって思ったの」
「うん」
 ズリュ、ニュル
 膣内に精液が残っているので、それが潤滑油の役を果たし挿入はすんなりといった。

「あーん、これイイかも。あんっ、あ、ああっ、いいよぅ・・突いてぇ、もっと激しく
突いてぇ」
 再び若さに任せた荒々しいセックスが始まる。
「いい・・いいの。すごいの。あん、奥に・・・あ、あふん・・いや、あー」
 パン、パン、パンッ
 少女の小さな尻に、ボーイフレンドの腰が容赦なくぶち当たる。
「う、うん、んんー・・・いやー、激しい・・・でも・・これイイかも・・」
「あ、僕、また出る。出るよ。この格好のままユナちゃんの中に出しちゃってもいいの?」
「あっ、待って・・もうちょっとで私も・・・」
「あうっ!出る!」
「あんっ、いやん!」
 ビクッ、ビュルッ!ビュッ
 健一は結菜の細い腰をぐっと掴んで引き、幼い膣内の最深部にまたしても精を放った。

「ふぅー、出るときって頭の中が真っ白になるんだね。訳わかんなくなっちゃって・・・。
ねぇ、ユナちゃんも気持ち良くなってきたの?」
 健一は、ペニスをゆっくりと引き抜きながら聞いた。

「あのね、健一君。私もね、イキたいの。分かる?」
 唇を尖らせ、ちょっと怒ったように結菜が返答した。
「イク?イクって・・女の子も何か出るの?」
「そうじゃなくて、女の子も男の子みたく絶頂があるのよ。健一君みたいに
私も頭の中が真っ白になるまで気持ち良くなりたいの。いい?」
「いいよ。じゃ僕はどうすればいいの?」
「よかった。じゃね、今度は私が上になってもいいかなー?」
「うん。僕は寝てればいいんだね。動かなくてもいいの?」
「いいわ。だって健一君が動いたら、また先にイッちゃうもの。だから今度は
私が動くけど少し我慢してね。何度も出してるから我慢できるよね?」

 結菜は健一を寝かせ、その上に跨ると半立ちのペニスを握り目標を定めた。
「うわー、すごい。健一君のミルクがほら、こんなに手に付いちゃった」
 そう言い掌を口先に持っていきぺろりと舐めると、次に両方の胸に塗りたくった。
「あー・・すごい匂い。興奮しちゃう・・あ、オチンチン大きくなってきたー。
いやーん、もう、こんなに固ーい。入れちゃおっと・・はうんっ!」

 下にいる健一は自分が何をしたらいいのか分からず、ただ結菜の淫らな姿を
じっと見ていた。
「あー、中でどんどん大きくなるのが分かる・・イイ。もう腰、動かしちゃうね」
 左手を健一の太股に、右手は自分の胸を揉んだり、乳首を摘んだりしながら、
早くも腰を激しく振り始めた。
 ズリュ、リュ、リュッ

「やん、気持ちいいの・・あーん、イキたい・・今度はイキたーい。あんっ、あーんっ!」
 腰の動きを前後から上下へと変え、たっぷりとペニスを根元まで咥え込んだ。
「やあーーん、長ーーいっ、気持ちいいーっ。おま○こ壊れちゃう」
 健一のペニスはまだ発育途中で決して大きくはないが、結菜の小さな膣を満たすには
十分な長さだった。
 腰を持ち上げ激しく下ろすと長いストロークを体中に感じ、快感が一気に脳天まで
突き抜ける。
「あー、駄目っ!いいのぉー、すごい、すごい、イク・・イキそう。ユナ、もう駄目」
「ユナちゃん、そんなに激しくしたら僕、また・・・あ、ううっ、また出そう」
「イク、イク、もうイクー!健一君、お願い、一緒に!」
「あー、駄目だ!出るっ!」
「やーーん、イクーーーぅぅっ、駄目ーっ。イッちゃうーーん。ユナ、イクの。
イク、イク。ううんっ!あうっ!」
 ビクッ、ビクッ、ビクッ、ビュルンッ!
「あ、あー、出てるぅ。またいっぱい私の中に。ユナの膣に精液、いっぱい出てるー。
あん、また私・・・あ、ああー、イクー!イックー!またイッちゃうー。こんなの
初めてー、あうっ!」
 結菜は完全に女として絶頂を迎えることが出来た。

「あー、イッちゃった。気持ち良かったー。最後は健一君と一緒にイケて嬉しかった」
 結菜は健一の胸の上に頭を乗せて、囁くように言った。
「でもユナちゃん、なんかエッチな事、いっぱい言ってたね」
「ええーっ、本当?恥ずかしいよぅ。言わないでぇ」
「僕、来週学校に行ったら、まともにユナちゃんの顔、見れないような気がするよ」
「私だってそうだよ。今はお部屋も暗いし、二人っきりだからこうやって、
お話出来るけど教室の中だと何も話せないかもね」
「・・・うん」

 二人は時計を見た後、別々にシャワーを浴びて、いそいそと服を着てホテルを出た。
「じゃね、ユナちゃん又ね」
「うん。健一君、今日はありがとう。ばいばーい」
 待ち合わせた場所に二人は戻ると、手を振って別れた。
(よし、上手くいったぞ。さて、そろそろ帰らないと薬の効き目が切れる頃だ。少し急ぐか)
 少女は軽やかにワンピースを翻し、家路へと向った。

「ただいまー」
 玄関を開け、声を掛けて誰も帰っていないことを一応確認した後、部屋に入った。
 ガチャリ
「どう?大人しくしてるかい?」
「んっ!んー・・・んんー」
 本物の結菜は相変わらず、身体の自由を取り戻せずに苦悩していた。
「もうちょっと我慢して。薬はあと2、30分くらいで効果が切れる筈だから。
もちろん、その前に私は退散させてもらうけどね。あ、借りてたワンピース返すね」

 丁寧に服を脱ぎ、元通り掛けてあった場所へ戻した。
「そうそう、上手くいったよ。それと忘れないで覚えておいた方がいいよ。今日は君と
健一君が結ばれた記念の日なんだ」
 下着姿のまま指を胸の前で組み、祈るようなポーズで見上げて言った。
「彼、私に夢中だったよ。何度も何度も私の中でイッたの。嬉しかった。ここに
いっぱい出してくれたんだもの。ほら、シャワーを浴びたのにまだ染み出してる」
 言いながら液が染み付いたショーツの、その部分を見せた。

「ぜーんぜん、疑ってなかったよ。ま、私の変装は完璧だからね。ふふ。そんな訳だから
今日この部屋で起きたことは誰にも喋らない方が君のためだよ。だって君は今日、
健一君とデートしてセックスまでしてきたんだから。下手なこと言うとややこしく
なるだろう?せっかく二人は結ばれたんだ。これからはきっと今迄以上に仲良くなれるよ。
私が保証する。だから、ここで起きたことは内緒って事でよろしくね」
 言い終わると置いてあった鞄から、少し地味な感じのスカートとTシャツを取り出し
着始めた。

「このまま君の姿で帰るよ。目立たないようにね。帰り着いたら、この皮は捨ててしまうから
安心していいよ。もう二度と君に逢う事もないだろうし」
 身の回りを片付け、もう一度鏡を見て、そして結菜の唇にキスをした。
「じゃあね。さようなら、本物の私」
 最後まで正体不明の男は、そう言い残し静かに部屋を出て行った。

 水城結菜の身体に自由が戻ったのは、それから程なくしてからだ。
 すぐに玄関に向かい鍵を掛けて、大声で泣きながら熱いシャワーを頭から浴びた。
 何もかも洗い流したかった。男が触れた場所も、身体に残した痕跡も・・・。
 今日起きた悪夢のような出来事が、本当は夢であればとよかったのにと
何度も何度も神様に祈りながら・・・・。


                                   第1章  終わり


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