Ubiquitous Extra

作:夏目彩香(2003年3月31日初公開)




萌ちゃんと隆くんのカップルが誕生したのはいいけれど、この前の日曜日は私と隆くんの約束で私にTSアプリを使って取り憑いていいって日になりました。約束だから仕方ないけれど、どんな日になったのか、隆くんと会って聞いてみたことを元に書いてみます。

その日の朝、いつもよりも早く起きた隆くんは予め用意していた私の画像を使って、TSアプリを使いました。この時点から私の体を隆くんが取り憑いて使っていたと言うことになります。私にはこの日の記憶が無くて、やはり隆くんが取り憑いていたようです。

隆くんに取り憑かれた私はまだベッドの中にいました。もちろん私はピンクのパジャマを着ていて、楽な格好をしながら寝ていたのです。私に取り憑いた隆くんは、私の体に取り憑いてから何をしたのかあまり言ってくれませんでした。上半身を起こすと、自分がちゃんと彩香に取り憑いたか確認をするために鏡を探しました。隆くんも私の部屋に入ったことがあるため、鏡のある場所がわかっていました。

鏡の前に立つと私の顔の表情を動かしては取り憑いたことを確認し、ワンピースのパジャマを脱いだと言います。鏡の前には下着姿になった私が現れ、お腹のお肉をちょっとつまんでぷよぷよする感覚を楽しんだとのことです。

私のクローゼットから、新しい下着を取り出して着替えると、この前隆くんが萌ちゃんに取り憑いたときに着ていたピンクのワンピースに着替えたと言うことです。足にはブラウンの縞模様のストッキングを履いて、化粧台の前に座ります。

私の化粧台に座ると目の前にある化粧道具を使って、自然に化粧をすることができたそうです。私の記憶を使いながら自然に私のように成りきることができたからでしょう。化粧を終えると、そこにはいつもと変わらない私の姿がありました。デジタルカメラで撮ってある姿を見せてもらったのですが、本当に私のするメークと寸分狂うことがありませんでした。

化粧が終わると、萌ちゃんに電話をしました。萌ちゃんは私が出たものと思って自然に会話をしてくれたと言います。隆くんとデートしたいはずなのに優子さんを連れて一緒に会わないかと持ちかけたのです。起きたときに予め萌ちゃんにメールで「風邪引いてデートできない、今日はずっと寝てるから連絡しないで。」と送っていたために疑うことも無く、一緒に会う約束ができたと言います。

玄関から私のピンクのパンプスを探して足を入れると、玄関を出てついに私として外へ出かけ始めました。約束の場所までは歩いて向かうことになりました。ワンピースは萌ちゃんの時に着たことがあるためもあってか、すっかり着慣れいてすそさばきもきれいに決まっていたと言います。周りの人が見ていると私があるているとしか思えないと言います。

こんな話を聞いているだけでも私はなんだか変な気分になりました。拒否反応と言うよりも好奇心の中にはまってしまったと言う感じです。続けて、萌ちゃんと優子さんに会った時の話を聞きました。この話については萌ちゃんと優子さんにもある程度は聞いていましたが、隆くんに聞いてみると角度の違った話を聞くことができました。

萌ちゃんと優子さんと合流すると、まずは洋服を見に行くことにしたそうです。私に取り憑いた隆くんにとっては女同士の買い物をやってみたかったらしく、この時は内心とても興奮していたそう。それに自分の彼女の萌ちゃんまで一緒にいるので、すごく楽しかったことでしょう。

春物の服を見ているとどれも目移りがしてしまったそう。気に入ったものがあるたびに試着をしては、萌ちゃんと優子さんに見せていたと言います。萌ちゃんや優子さんに聞くと、その時の私はとっても明るい顔をして楽しそうだったって、隆くんから聞いてもやはり同じでした。いろんな店があってそれぞれの特徴が楽しかったとも言ってました。

そんなことをしているうちにお腹が空いてきて、どこかへ食べに行くことにしたそうです。萌ちゃんがイタリアンがいいと言うことで、みんなでちょっと高めのイタリア料理の店に入ったそうです。丸いテーブルに3人が座ると、世間話で盛り上がって楽しい食事をしたと言います。私もよく思い出すとこのときの出来事がわかるようになるのですが、細かい内容はわかりませんでした。

食べたあとはなぜか、私が全部奢っちゃったって言います。隆くんったら、こう言う時は割り勘にしなくちゃいけないのに、お金がかなり減っていたのはこんな理由があったみたいです。でも、萌ちゃんと優子さんにはこれが効果覿面(てきめん)だったらしく、私の株が上がったそう。

ご飯を食べたあとは、今度は化粧品を見て回ったとのこと。私の知らない化粧品が増えていたのは、この時に試した化粧品が気に入ったって言ってました。この時のやりとりを詳しく思い出してもらったんだけど。最初はパールやブルーのアイシャドーが気に入って、その色と合う化粧品を揃えちゃおうと思ったんだって、隆くんったら勝手なんだから。

更にそれには萌ちゃんもどうやら一枚噛んでいたらしい、アイシャドーだけ揃えるのもなんだから、他のも統一しちゃいなさいって。萌ちゃんにはそんなこと聞いてなかったけど、隆くんはそう言ったよ。まぁ、私の好みだったからいいけれど、勝手に買うのはちょっと許せないよ。

化粧品を見に行ったあとは、疲れたので喫茶店で一休みだって。それで、喫茶店でも相変わらず話をしてばかりだったって言っていた。体は疲れても話すのは十分にできたって、隆くんは普段はそんなしゃべることが無いのに、私の体だとよくしゃべることができたって言っていた。なので、萌ちゃんと話しにくいことを全部聞いたって。ちゃっかりしてるんだから。

喫茶店を出ると優子さんが買いたい洋服があるって、さっき行った店にまた行ってきたって、もちろん3人で一緒にいったので、優子さんが着ている姿を見ては私の視線で判断してあげたって言うよ。それで、優子さんが着ている姿に触発されて、水色のワンピースが欲しくなったので、これまた買ったって言うのね。もう、呆れてきちゃったけど、私だったらそんなに簡単に買わないからね。人の体に取り憑くと心が大きくなるんだから。

そんなことをしているうちに夜がやって来て、次は夜の食事。夜は優子さんに主導権を取られる前に、私(もちろん隆くんが取り憑いている)が率先してファミレスに行くことに決めたって。ファミレスでは萌ちゃんと私、優子さんが向き合うように座って、自分たちの好きなものを頼んで食べたって。コーヒーがお代わり自由なので私は5杯もお代わりしていたって。

そう言えばこの日、私はトイレによく行ってたって言うよ。確かに、こんな1日だからいつもよりもトイレに行きたくなるんだろうけれど、何かあるたびに私がトイレへ行くものだから萌ちゃんと優子さんの2人は心配していたって。隆くんに問いつめると、せっかくだから私の体を使って小さいや大きいのをする感覚を試しておきたかったって。

夜の食事を済ませると、私たちは解散することになって、私の家に無事に帰ってきたって言うよ。痴漢に遭うんじゃないかと夜の一人歩きは怖かったって言っていたけど、本当は痴漢に遭うのを待っていたんじゃないかと思うくらい。この話をする隆くんは楽しそうだったよ。

私の家に帰ると、シャワーを浴びて、私の体をきれいにしてくれたって。自分の体を勝手に見られてしまった感じで、ちょっと怖かったよ。隆くんは少しくらい反省する表情を見せてくれたっていいのに、そんなの無しだったからね。彩香ってここが感じやすいだろうなんて、触ってくるんだもの。あんまり悪いことしちゃうと萌ちゃんに言っちゃうよって軽く脅しておいた。

寝る前には洗ったばかりの黒のパジャマに着替えて、私のベッドに入ったって言うよ。ベッドの中に入ってからすぐには寝なかったって言うけれど、その時のことは詳しく話してくれなかった。私の携帯電話を使って、隆くんの携帯電話につなぐと、例によって暗証番号を押して自分の体に戻ったって、私が気づいた時にはなんだか体が熱くなってたからね。その時何をしていたのか、あとで白状させなくちゃ。

こんな感じでその休みの日は隆くんいとっては楽しい1日になって、私にとっては奪われた1日になりました。しょうがないと言えばしょうがないけれど、このままじゃ済まないでしょう。罪滅ぼしに今度は私の願いでも聞いてくれないと。それでは、また何かが起こった時にこの続きを報告したいと思います。





 

本作品の著作権等について

・本作品はフィクションであり、登場人物・団体名等はすべて架空のものです。
・本作品についてのあらゆる著作権は、全て作者の夏目彩香が有するものとします。
・本作品を無断で転載、公開することはご遠慮願いします。

copyright 2015 Ayaka NATSUME.

inserted by FC2 system