妄想族さん総合



改造いとこ香奈恵
 作:妄想族


 西田香奈恵が女として焦るようになったのは親戚の結婚がきっかけだった。都会で勤めていたとはいえ、二歳年下の同性に先を越されたのは衝撃的だった。
 婚活に力を入れようと決心したものの、歳とともに楽になってきた仕事と女子会の繰り返しのような日々のせいで元はスリムだった体も寸胴っぽくなっていた。美容整形も真剣に検討したが、予算やどこからはじめようななど悩んでいたある日、とあるビューティーサロンから暖簾分けした小規模でやや怪しげな店に立ち寄り、若作りした整形美女丸出しの店主から奇妙な飲み物を買ったことから予期せぬ方向へ向かう。
 その飲み物を飲むと肉体が粘土人形と化し、肉が細工できるようになって時間が経つと固まって変化が永続化するという効果をもたらすというのだ。
 とは言え、科学や医療の常識からは信じられないと同時に、自分で自分の体に手を加えるのは技術的にも精神的にも厳しいと考えていたし、人に頼むにもゼリージュースの効果を信じてくれてしかもきちんと作業してくれる人材などいそうにないと思われた。だが、適任者が一人いる事を香奈恵は思い出す。

 それは、結婚した親戚の弟に当たる人物で、口数が少なくてプラモ作りから美少女フィギュアにハマっていったオタクだった。
 孝作は手先の器用さが取り柄の男で、縁故で役所に入ってからも仕事着も作業服でアフター5も飲み歩いたりせず、地味で質素な暮らしをしていた。
 孝作の職場には公務員の不自由さと近所からヤッカミなどからのストレスで変態や過激なエロに走る男たちもいて、そんな一団の中でもリスクの大きい実践派でなく知識のみを追うマニアや萌えられればいいオタクの一派からフィギアの服を削って全裸にしたり、既に卑猥なポーズのフィギュアの胸やヒップを大きくするといった魔改造を頼まれ、彼が自分だけのものと思っていた趣味は、思わぬ小遣いと交友関係を生んでいた。
 そんな孝作に、香奈恵は相談を持ちかけた。

「本当にそんな事できるのか?カナ姉」
「こうなったら信じるしかないじゃない! その為にフィギアおたくのあんたに頼んでるのよ」
「やれやれ、実物大とは聞いていたけど……まさか本物を魔改造する日が来るとは」

 趣味を馬鹿にするので仲の良くない姉に比べればましでも、十代以降は稀にしか会わない従姉が菓子折りを持って訪ねてきて、部屋にあるフィギアを褒めだしたかと思ったら奇妙なことを言い出し、それを任せると言い出して引き下がらない様子だったので、一応試みる姿勢を取る。

「時間は30分よ、重要な箇所を中心に手早くね」
「リアルサイズでたった30分か…大仕事だ」

 香奈恵は白いゼリージュースを一気に飲むと、説明通り体が熱くなっていくのを感じていた。孝作は半信半疑ながら緊張していた。粘土状のものに触るのは、慰安旅行でした陶芸体験以来だからである。

「任せろ、最高のオナペットにしてやる」
「何?」
「いいから全部脱げ! 目は開けるな、まぶたが歪んだら開かなくなるかもしれない。直立不動で、終わるまで声もあげるな。まず顔からだ」

 孝作は従姉が全裸になろうと急いでいる間に両手にラテックスの手袋をはめ、キッチンタイマーをセットする。
 最初に指先で触れると文字通り粘土のような感触だったので、力を入れすぎず慎重にまず希望されていた鼻の形を整えて高くし、竹のヘラを手にすると息を止めてまぶたをより幅広の二重にすべく線を引き、反対側も絶妙の早さと力加減で対称に仕上げる。

「…………」

 十歳下の医者でもない男に対して完全に肌を晒していいようにされる事が自分でもおかしく思えたが、手術と違って痛みも麻酔もないので加工されていることがダイレクトに伝わり、むしろ香奈恵のテンションは上がっていた。

「ふう」

 孝作は従姉から顔を背けて一息つくと、再び向き合うと中指の先で同時に眉尻を弾くように少しだけ上げ、壁紙用ローラーを手にすると頬に当ててエラと呼ばれる箇所を軽く圧迫しながら耳の方に転がして張りをなくさせる。
 顎も斜め上に転がしてラインを尖らせながらも突き出ないようにして、小顔化を完成させた。三十路を過ぎた後は崩れていくだけの女体を、趣味の技術で容易く変えられたことに、神になったかのような高揚感に包まれる。

「ここからが大変だ。腹の贅肉を移動させてグラマーにする。両手を真横に伸ばすんだ」

 削り落としたり磨いたり出来ればウエストを細くするのは簡単だが、あくまで粘土のようになった肉の量を減らさずに加工するとなると体力的にもキツイと感じた。
 それでもまず両胸の円周下部を絞るように細めてアンダーからトップまでを高くすると、孝作は力士やマッサージ師になったつもりで両手で腹部の贅肉だけを移動させ、骨には影響のないようにへこんだ付け根から下乳へと盛り付ける。脇腹の贅肉も移動させないとウエストは細くならないので、掌底に力を入れて下から上に掴むように移動させ、肋骨に這わせてサイドからバストに合流させた。

「…………」

 香奈恵は孝作が巨乳好きと知っていたので、贅肉を活用してサイズと形を両立させれると確信していた。 マッサージやエステよりも手荒な動きであったが、両方の胸に指の跡を付けない動きでお椀型に整えたり、谷間ができるように位置を内側に寄せたり、ヘラで肋骨の上に残った肉も寄せてサイドと下の胸の付け根のなだらかさをなくすといった一つひとつの動きが、ビーチや温泉での優越感を象徴させるように思えた。

「次は下半身だ」

 孝作は美しく見せるには脚を長くするのが一番と思ったが、さすがに初挑戦でうまくいくとは考えていなかったので、形を整えることで美しいラインを出すしかないと判断する。
 太もものラインを整えつつ、贅肉をヒップに集めて大きくするだけでなく左右対称に丸く仕上げた。

「下半身は終わった。最後は二の腕だ」

 従姉が脚を楽にすると、孝作は二の腕の特にふりそでとも呼ばれる無駄な肉を揉み込んでエンタシスのように中央部にだけ膨らみをもたせた。左腕から取り組んみ、右腕がなんとか終わって数秒後にタイマーが音を立てた。

「ねえ!鏡はどこ?」

 音だけでなく外気と肌の感触でもゼリーを飲む前に戻ったと分かったので、香奈恵はすぐ確認の術(すべ)を求めた。

「洗面台だよ」
「顔は…完璧ね。ここまではっきり変わるなんて…すごいわ」
「手術したら車一台分ぐらいするだろうね」

 香奈恵は様々な角度からチェックして、以前に比べて目鼻立ちが整って輪郭もくっきりした印象に文字通り生まれ変わった事に感動していた。小走りの従姉の後を付いて行って孝作は彼女のリアクションを見ていた。

「見事なくびれね」
「顔よりも苦労したんだ」
「胸は大きすぎよ、まるで爆乳じゃない!」
「腹のタプタプの肉を集めただけさ。吸引したり切り取れたら楽だったんだけど。でも、ロケット乳と違って垂れ下がらない筈だから。左右に離れ気味なのも直した。会心のデキだ」
「まあ、ペタンコよりはいいわ。もしクシャってなってたら、あんたの頭蓋骨をへこませてたところよ」

 彼女は顔とウエストだけでもこの試みに意味があったと自画自賛したが、鏡の前で巨大化したバストの重みを両手で感じながら、内心気にしていた大きめの乳輪と釣り合いが取れてるのでまんざらでもない様子だった。

「ヒップは尻フェチじゃないから…自信ないけど」
「これはTバック履くのが楽しくなりそう…そういえば誰をモデルにしたの? マリリン・モンロー?」
「AV女優ぐらいしかいないだろ。脱いで隅々まで見せる女なんて。まさか虹キャラにはできないし」
「分かってるわ、老けて崩れるに任せるより…ソソる女になれて嬉しいわ」

 尻は胸ほどのインパクトはないが、全体的に形は整っており、孝作は若いだけあってセンスもいいと感じていた。香奈恵にとっては驚くほどウエストが細くなった上にグラマーになれた事で、小柄で色白なだけの彼の姉に勝ったと確信して笑みが溢れる。

「足と腕までは完全に仕上げられなかったけど、そういう場所は運動したら…」
「運動だなんて、うまく言うのね」
「へ?」
「お礼なら、するわ…おつりはないけど」
「カナ姉?」
「職人にとって完成品のテストは必要不可欠よね」

 いきなり全裸で抱きついてキスという香奈恵の痴女まがいな誘いに孝作も男の本能が目覚め、透明な手袋を外してお姫抱っこをすると、彼女を万年床へ運ぶ。


「溜まっていたの? あんなにできるなんて…やっぱり好みに作り変えれたから?」
「それもあるけど、素人童貞だったし」
「お互い一皮むけたわけね」

 孝作は胸に始まって正常位とバックと騎乗位で四発出していた。従姉が歳相応の経験や知識があるとしても、胸を盛ったその日にパイズリをマスターできたり、腹の余分な脂肪がなくなったせいか膣の締め付けと腰の振りも予想以上で、女の順応性の高さにも感嘆する。
 新しい体を得た香奈恵もセックスの喜びを知り始めた頃のように興奮していた。彼女の中には、鏡の前で乱れたいという願望も芽生えていた。
 婚活を有利にしようと始めた賭けなのに、ゼリージュースと孝作の才能があれば稼いでグラマーになったボディに相応しい服も買えると新たに夢想していた。




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