精神移動
作:マロエ
麗華はカツカツカツと高いヒールを響かせながら、形のいいお尻を揺らしながら歩いている。
仕事をサボリ、ぴったりと身体の線がうきでるような服をきて、自分を見つめる男のように街を歩く女を見つめながら。
「お!あの子カワイイじゃん」
麗華の綺麗な唇が下品に歪む。
「うひひ、次はあの子にしようかな」
「麗華さんの身体もよかったけどね、いろいろ試してみたいからね!」
美人な麗華が歩きながら自分の身体を撫で回し、ぶつぶつと独り言うので、注目の的だったが、麗華は全然気にもせず、気に入った女――スーツ姿で長いストレート黒髪美人を追い続けた。
女はデパート内の女子トイレに向かった。
「チャンス!」
麗華の目が血走る。
麗華は、盗撮をするためでも、ここに入ってきた女を犯すためについてきたのでもない。
そんなことをしたら、すぐに刑務所へ入れられてしまうだろう・・・・・・。
「黒髪美人にちょっと俺の精神を移すだけさ、うひひ」
ネタばらしをすると、今の麗華には吾郎の精神が混ざり合っているのだ。
吾郎は自分の精神を相手に移すことができる。
麗華は女の入った隣の個室にはいり、便座に座ると、憑き物が落ちたような顔になり、
「ぁ、っぅん・・・・・・あ、あれ? なんで私仕事休んで、こんなこと、思ったんだっけ・・・・・・?」
麗華は、不思議そうな、わけがわからないような顔をしながらトイレから出ていった。
だが、それも自分のした行動だ。
吾郎の精神が麗華にどう影響するのか、この後が楽しみでもある。
「それじゃ次は君にさせてもらうよ」
吾郎は心の中でそう言い、精神を黒髪美人の中へと移していく。
黒髪美人は悲鳴もあげず、個室のカギをしめ、かばんを隅に置いた。
スカートをたくしあげ、パンスト、パンツを下ろし、便座に腰掛ける。
その間も吾郎の精神は女の中へと入っていく。
「あれ?なんか変な感じ・・・・・・」
女はプルプルを震え出す。
「くぅ、俺は吾郎・・・・・・え、私何言って・・・・・・」
「い、ぁ・・・・・・なにかが俺の中に、吾郎?私?…・・・私は吾郎…ちが・・・・・・ぅ」
「な、なん、なんだ?・・・・・・ぁぁ・・・ぅっ」
苦しそうに呻いていた女だったが、吾郎の精神が完全に入ると、フッと力が抜けた。
スカートを押さえてた手はダランとぶらさがり、パンツをずらしたまま、便座の上でしばらく動かなくなった。
しばらくして、女はニヤニヤした顔つきで、
「ふぅ、気持ちよかった」
苦しそうだった女から正反対の言葉がでた。
「よし、成功だな、へへへ」
女の口から男言葉が発せられる。
吾郎の精神が女の中に完全に入り込んだのだ。
吾郎は便座に腰掛けたまま、隅に置いたカバンを開ける。
「私の名前は木下優香。29歳、彼氏がいる。よし記憶も読めるみたい。お金も、へへ、おぉ・・・・・・」
かばんを開けた優香の頬がゆるむ。
優香の記憶は、仕事で銀行の帰りだったという。中には100万はいっていた。
100万の札束を持つ手は白く綺麗で、爪は綺麗に切りそろえられている。
黒い肩下まである髪の毛は、甘くいい匂いがして、黒のスーツから盛り上がる胸も、大きく触ってくださいと自己主張していた。
便座に座っている両足に目を向けると、男とは違うむちむちと張りのあるふとももに、ずらした肌色のパンストと白のパンツ、黒のビジネス用の少しヒールがある革靴を履いていた。
その全てが吾郎のものになった。
ここで全裸になろうと、革靴の匂いを嗅ごうと吾郎の勝手だということだ。
「ふふ、まずはこの大きな胸に……」
そう言いながら、優香はスーツとブラウスを脱ぎ、札束を胸に挟んでみた。
「あははは。すごい、なんか楽しいな」
お金はとりあえずカバンにもどし、そのまま胸を揉んでみる。
「んぁ・・・この女・・・んっ、結構感じるな、麗華さんより、気持ちいいじゃないか」
その時、急に尿意を感じ、下半身が震えた。
「おっと、そうだった!まずはトイレだな、いやおしっこだな、優香おしっこがしたいのぉ〜」
ジョロロロロと、アソコから勢いよくおしっこがでていく。
「おしっこしてるだけなのに、気持ちいい・・・・・・。まったく私っては本当にけしからん、わね!」
「あぁん、優香おしっこで感じちゃってます〜」
吾郎は適当な事を言いながら、流れ出るおしっこを嬉しそうに見つめていた。
「ふぅ・・・」
おしっこが終わると、自然にでたため息。
吾郎はトイレットペーパーでアソコを拭こうとしたが、やめる。
そのまま指でおしっこで濡れたアソコを刺激する。
「ちょうど濡れてるし、これで・・・・・・ん、ふぅ・・・やばい、気持ちよすぎる・・・・・・」
優香の細い指が、吾郎の思い通りにアソコを刺激する。
「あぁ、ん、んふぅ・・・・・・あ、ぁ」
「記憶によると、ここを、こうすれば・・・・・・ぁん!!」
優香の記憶を読み取り、同じようにオナニーする。
そのうち、おしっことは違う液体が溢れてくる。
それが、ますます吾郎を気持ちよくさせる。
自分自身が作り出していく快感に没頭していく。
「あぁん!・・・ぁぁ・・・すごいよぅ・・・気持ちいいよぅ」
可愛い声も吾郎が好きなように出すことができる。
「あ、くるぞ、いく・・・あぁぁ、いぅ、あああぁあぁ!!っぃぃあぁぁんんっっ!!」
ビクビクと痙攣する体。
吾郎は十分余韻を楽しんでから、トレットペーパーに手を伸ばした。
「ふふ、気持ちよかったぁ・・・・・・優香さんのトイレオナニー最高だな」
そんなことを言いながら、アソコを綺麗に拭き、立ち上がり、パンツ、パンストを履きなおした。
スカートを下ろして、皺がないかチェックする。
いつも優香がする動作だ。それをすんなりすることができる。
「これで、元の木下優香のできあがりっと」
「さてと、これからどうしようかしら・・・・・・ん?」
トイレの外が騒がしいのにが気になった。
個室の鍵をあけ、外に出ると、2人の女が吾郎のほうを見ていた。
「あなた、トイレで何してたの?」
1人の神経質そうなおばちゃんが声をかけてくる。
(さすが大手デパート、トイレでのオナニーは目立ちすぎたか)
吾郎は神経質そうなおばちゃんの質問を無視して、横にいる女を見つめる。
(娘かな?)
栗色で少しパーマのかかった髪に、白のダウンジャケット、ジーンズ生地のショートパンツ。
さらにショートパンツから伸びる足はすらっとしていて、黒の光沢のあるタイツで覆われていた。
身体はもう大人だが、幼さを残すその顔が吾郎好みだった。
じっと見ていたのが、気になったのか、娘が少し後ろに下がる。
「ちょっと、聞いてるの!?」
神経質そうな母は吾郎の、というか優香の腕を掴む。
「君はうるさいから、少し黙っていてくれないか?」
吾郎は精神体の腕だけを、優香の身体から出し、神経質そうな母の頭に突き刺して念じる。
『眠れ、眠れ、眠れ・・・・・・』
腕を掴んでいた手の力が抜け、神経質そうな母は口を閉ざし、黙ってトイレの外へ向かった。
どこかで眠るのだろう。
これは吾郎のもうひとつの能力。
精神体はいわば、吾郎の意思そのもの。
その精神体を頭に突き刺して、吾郎の意思を相手に流し込めば、思いどうりになるというわけだ。
乗り移るよりも簡単でお手軽な技だ。
娘は黙ってトイレの外に向かった母の後を追うようにトイレの出口を見たまま固まっている。
何が起きたかわかってないだろうな。
「ふふ、おもしろい」
思わず声に出てしまう。
「な、なにが・・・・・・?」
怯えた表情であとずさる娘の頭に向かって、精神体の腕を伸ばす。
『一緒にレズろう、レズ・・・レズ』
娘の表情が変わり、優香と仲良くさっきの個室へと戻った。