電車とバスに揺られながら

作:マロエ




「待ち合わせ時刻だ、残念だったろうな、へへへ」
電車に揺られながら、右手首内側に巻かれた、小さな高級腕時計を見ながら俺は呟いた。
時計から視線をゆっくりと前に戻すと、向かいに座っている男性客達が慌てて視線を逸らす。
「ふふふ」
時刻は17時、まだ帰宅ラッシュとまではいかないが、大勢の客が乗っている。
そんな男達を俺は軽く笑いながらも、俺はまた少し脚を広げた。

今の俺は、ニットの赤いミニワンピースで身体のラインを引き立たせ、オーバーニーの白い編み上げブーツと相まってセクシーな格好だ。
しかもその服を着ているのが、モデル並の身体をしている綺麗なお姉さんなら、見るのも頷けるというものだ。

もちろん、この身体は俺本来の身体ではない。同じ大学の美香さんの身体だ。
美香さんは今日彼氏とデートをすると聞いたとおり、お洒落な服装をしている。
美香さんの記憶によれば、下着も黒の勝負パンツを履いているみたいだった。
だが、俺はそんなことさせない。
「俺を振る美香さんが悪いんだ」


彼氏との待ち合わせをするために乗るはずだった電車とは逆の電車に乗り込む。
「面倒だし、携帯も切っておくか」
綺麗な白い指でカバンからだした携帯の電源を切る。
待受画面が彼氏とツーショットだったので、イライラした俺は、また脚を広げた。
向かいに座る男性には、勝負下着が見えているだろう。
だが、そんなことはおかまいなしだ。

「俺を怒らせるのが悪いんだ、お仕置きタイムだ」
ニヤニヤしながら、そんなことを呟き、俺はニット生地が大きく盛り上がっている、胸にそっと右手を添える。
「彼氏がいるなら、最初から言えよな……俺をパシリにつかいやがって」
美香さんの記憶でも、俺の存在は都合のいい男になっている。
適当に相手をしていたことがわかると、だんだん怒りがわいてきて、思わずぎゅっと胸を掴む。
「いっ……ぅ、ちょっと痛かったか……でも……」
ニット生地は柔らかく、手に吸い付くように伸びたり縮んだりする、ブラジャーが少し邪魔だが、十分に気持ちよかった。
それにその姿を見た、男性客たちも食い入るように美香さんの痴態を見つめる。

「許さない、これで終わりじゃないぞ」
脚を大きく広げると、隣の男性の太ももとあたるが、そんなことお構いなしにぐいぐいと広げる。
ミニのワンピースだ。もうほとんど下着は丸見え状態。
そして、両手で自分の左右の胸を持ち上げるように揉みしだく。
「あぁ、気持ちいい……こんなに気持ちいいんだ……」
もみもみと胸を触り続けると、下半身が疼いてくるのがわかった。
ワンピースをチラッと、捲り上げると、黒の勝負下着の真ん中、縦筋に少し湿っているように見える。
いや、実際はわからないくらいの湿り気だ。黒だし、濡れていても他のお客には気づかれにくいだろう。
だが、その本人。美香さんが濡れていると感じているのだ。俺にはわかる。

となりの男性客は、美香さんのふとももでぐいぐい押してきても文句一ついわない。
俺の身体だったら、確実に注意されてるなと思いながら、左手で胸を揉みながら、右手をその白い太ももに添えてみた。
すべすべでさらっとした太もも。
いつまでも触っていたい太ももを撫でながら、黒の下着までたどり着くと、筋になっているところを中指で押してみる。
「あぅん! すごい、ピクってなった……っ!」

車内の気温がムワっと上昇したのか、冷房が動き始める。
火照り始めた身体は、機械的に作られた涼風を気持ちいいと感じながら、中指でプニプニ、ツンツンと美香さんのアソコを刺激する。
「あぁ……これずっと触っていたいよ……んんぅ」
俺は美香さんの乳首が立ってきているのがわかっていた。
ワンピース越しにブラジャーを上にずらす。
ニットのワンピースの形が歪み、ブラジャーがずれたことは乗客からみてもわかるだろう。
そしてよくみれば、乳首の浮き上がりが見える。
俺はそこを親指と人差し指でつまむようにして掴んでみた。
「きゃぅん、す、すご……」
摘んだまま、コリコリと転がすように動かすと、身体が自然に震えてくる。

ピクピク震えて、体勢をいじできなくなった俺は、隣の男性客にもたれかかってみた。
それでも、隣の男性は文句一つ言わない。
美香さんの頭がすぐ近くにある男性には、髪の毛や、首筋の汗の匂い、香水の香りまで感じることができるだろう。
少し羨ましいと思ったが、俺はもっとすごいことをしてると思うと、サービスしてやるかという気持ちにもなった。
「心が広くなったきがするな、あはは」
ニヤニヤ笑いながら、その男性に完全にもたれかかり、乳首とアソコを刺激し続ける。
「あぁ、んぅ、やば……いきそう……」
美香さんの記憶から、イキそうな気配を感じ取ると、さらに強く刺激する。

乳首は痛いほど勃起し、下着の染みはもう、他の客にもわかるくらいに広がっていた。
「あぁ、あぁん、あぁ……あああぁ……」
「い、いきそう……だめ、ダメだよ……美香さん……」
全身がすごく熱くなる。
身体が固く力が入って動けない。でも指だけはとまらない。
「いくい、いくよ、美香さん……きゃ、あああぁあ、ぅぅあおななあぁああにぃぃさいこぅぅぅ………」
ビクンビクン震え、頭が真っ白になる。
何も考えられない。
「すごい、これが女の快感なんだ……」


俺は、このまま見ず知らずの男性客にもたれかかりながら寝てしまおうか考えた時、
「ちょっと、あなた……」
起こされた。ビシリと紺色のスーツを決めたOLさんに。
「こんなところで、はしたない! 駅員に言うから降りてきなさい!」
いつの間にか駅についていたらしい。
俺はOLさんに腕をひっぱられて駅にひきずり下ろされてしまった。
ふらふらと身体に力が入らない美香さんの身体でなんとか立っていると、電車内で誰かが知らせたのか、駅員さんが歩いてきていた。
「やばいなぁ……」
俺は、そう呟くと、美香さんの身体から抜け出すイメージを浮かべる。

身体から抜け出すときは霊魂を口からだすイメージ。
入るときは口の中に侵入していくイメージ。
なぜか急に霊魂になれる技を身につけていた俺は、美香さんの口からするりと抜け出る。
「あ、ぅ、ががあぁあ……」
美香さんは苦しそうに喉を抑え、口を大きく広げ始めた。
「あ、あががが……あぅあああ……」
「ちょ、ちょっとあなた、大丈夫……?」
腕を掴んだままOLは、気持ち悪そうに身体を少し離した。
そして、完全に霊魂が抜け出ると、美香さんは、身体の力が抜け、膝から崩れるように座り込んだ。
「ちょ、ちょっと、ねぇ、どうしたの? ねぇ?」
OLさんは完全にてんぱっている。
早く駅員さん来てよと目が訴えていた。
そして、空中で俺は今丸い霊魂になっていた。
霊魂は身体の全てを司る。人の魂そのもの。
霊魂に侵入された身体は、霊魂の思うがままに操られる。
なぜか、そんなことを知った俺は、美香さんの次に、この技を試す相手を見つけてしまった。
「え、駅員さん、こっち。こ……あ。あぁ……あががが」
OLさんは美香さんの腕を離し、両手で突然喉を抑えて苦しみがる。
頭をあげ、口をパクパクさせている姿は、コイがエサを食べる姿に似ていた。
俺はそこからすぅーとOLさんの身体に滑り込んでいく。
「あ、あ、あぁぁぁ、あががっががああぁぁ……ぁぅぅうううぅぅぅんんんっ」
霊魂が完全に馴染むと、OLさんは姿勢をただして、首をコキコキと動かす。

「ふぅ、完了っと」
OLさんの声でそう呟いた俺の前には駅員が心配そうな顔をしていた。
「大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ、それより、痴漢はこの女よ」
OLさん――千沙の記憶によれば、痴漢の電話をしたのが、自分だということがわかった。
気を失って地面に座り込んでいる、美香さんと指差し、
「じゃ、後はお願いね」
と、俺はその場を後にした。
「ふぅ、これでよしっと、美香さんどうするんだろ……」
俺は新しく自分の身体となった千沙さんの身体で、ニヤニヤしながら千沙さんの財布に入っている定期で改札を抜けた。

「でも、俺の楽しみを、うばった千沙さんにもお仕置きタイムが必要だな」
「えぇ、すいません、どうかお仕置きしてください」
千沙さんのマネをしながら女子トイレに入り、個室に鍵をしめた俺はタイトスカートをずりおろした。
そして、肌色のパンストを脱ぎ、白の下着を脱ぎ捨てる。
「さてさて、お次はっと……!」
そして、パンツを履かずに、パンストを直穿きし始める。
「これこれ、一度してみたかったんだよなぁ〜」
そして、タイトスカートを着込む。
「あ、ついでだ。ブラも外しておくか」
思いついたかのように、スーツ、シャツを脱ぐと、ブラを外して、パンツと一緒にゴミ箱に捨てた。
「胸もスタイルも美香さんには及ばないな」
そう言いながら、乳首を軽くデコピンするかのようにピンと指ではじいた。
「きゃぅ! ふふ、これで……」
スーツをきっちりと着なおす。
見た目にはさっきと変わらないが、変態千沙さんのできあがり。


千沙さんの記憶だと次はバスに乗り換えて自宅に帰るらしい。
「バスの中も楽しそうだなっ」
俺はそう言い、バス停まで歩いた。
パンプスは少し歩きにくく、タイトスカートは足が広がらないので窮屈に感じたが、それはそれで楽しかった。
バスの一番後ろの真ん中に座り、足を大きく広げる。
美香さんみたいにミニスカートじゃないので、中は暗く見えない。
「下着を履いてない姿見られたら、どう思うかな千沙さん……ふふふ」
タイトスカートの限界まで足を広げ、シャツ越しに胸をもんでみる。
お客さんは、そんなに多くない。立っているお客さんもいない。
だが、ちらほらと前を向いて座る男性客が見える。視線を感じて顔を上げると、運転手がバックミラー越しに見ているのがわかった。
隣にもだれも座っていないので、ゆっくり楽しむことにするかと、俺は優しく胸を回すように揉みはじめた。
「ぉぉうん……これは……感度は、ぅぁ、美香さん以上か……あぁ」
ブラをしていないので、硬いシャツに柔らかい胸が触れ合って、すごく気持ちよかった。
「あぁ、やばい……これはやばい……きもちぃいいぃ」
どんどん、大きく、激しく胸を揉む。
運転手や、他の乗客もチラチラと振り返りながら千沙さんを見ていた。
俺はその視線さえも気持ちよくなってきて、次第に盛り上がっていく。
「む、むねだけで……こんなに……あぁぁん……っっ」
タイトスカートに包まれた、アソコはさっきからうずきっぱなしだ。
だが、スカートが邪魔して、触れることができない。
「そうだ、これだ」
俺は千沙さんのカバンからボールペンをとりだしだ。

「これなら、へへへ……」
だらしない笑みを浮かべながら、自分のスカートの中を覗くように身体を丸めるて、ボールペンをスカートの中にいれていく。
そして直穿きした、パンストの上からアソコを刺激するように、ツンツンツンッ!
「ぁ、ぁあああぁぁぁあ……っ!!」
思わず大きな声を上げてしまう。
乗客も振り返るが、また何事もなかったかのように前を向く。
「ああ、あはは……つい叫んじゃった……あぁむぅんっ!」
ボールペンをはげしく突きながら片手で胸をこね回す。
「あふ、あふぅ……あふふうぅう……すごいよぅー……」
パンスト越しにボールペンは割れ目を的確に刺激する。
スーツは乱れ、ビシリとした千沙さんのイメージはもう一つもなかった。
「も、もう、イクッ……」
身体がふわふわと浮いているような錯覚に陥りながらも、俺は必死に千沙さんの身体を弄り続けた。
「あ、あぁぁ、あ、ああああああ、いきゅううううううぅぅうーーーーーっっぅ!!!」
身体浮いている。そう思った。
千沙さんの瞳は涙でにじみ、前がよく見えない。
ダラリと背もたれにもたれかかり、息を整えることが精一杯だ。
「はぁ、はぁ……はぁ……」
力の入らない指からボールペンが落ちて、転がっていった。
だが、拾うこともできず、転がるボールペンを目でぼーっと追っていると。
「ちょっと、あなた――」
視線に、黒いタイツに包まれた綺麗な脚が見えた。
俺は、霊魂を移動させようと、千沙さんのフラフラの身体で最後の力を振り絞った。












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