初恋のお姉さんと僕のカラダが入れ替わった
 作、挿絵:jpeg


「正太、また午後にな」「おう。爽馬」
役場のサイレンが正午を告げ、鎮守の森の前で正太たちと別れた。
僕は神社に並んだお地蔵様たちに手を合わせてから、ブラブラと土の道を歩いて家に向かう。
青すぎて黒い空に巨大な入道雲がのしかかっている。
今日は8月12日。夏休みはあと20日以上残っている。
今年は小学校最後の夏だ。正太とトシミは町の学校に進学するから、悔いのないように遊びまくろう。
緑に繁った田んぼを風が渡り、稲穂に波もようを残していく。
その風の行く先にある古いトタン組みのバス停に小型バスがのろのろと停まった。
僕は白いワンピースに鍔の広い帽子をかぶったお姉さん、凛子さんがバスを降りるのを見た。



「まあまあ、こんな田舎によく来たねし。疲れたでんしょう?飲みっせ飲みっせ。前に来たときは凛子ちゃん、まだ爽馬ぐらいの歳だったっけねえ。ま〜、本当に綺麗になったねぇ。ほら、爽馬!お姉ちゃんにきちんと挨拶しいね。東京の上谷おばさんとこの凛子ちゃんだよ」
僕は黙ってうつむいていた。凜子ちゃん、いや、もう凛子お姉さんだ。お姉さんを一目見ただけでドキドキして、喉が詰まったみたいで何も言えなくなったから。

「こんにちは、爽馬くん。お姉ちゃんのこと覚えてる?」
凛子さんは優しげに目を細め、ちょっと小首をかしげた。
忘れるもんか。一緒にトウモロコシをもぎに行ったことも、ほうらい淵で泳いだことも、子供会の肝試しに参加して手を繋いだことも、凛子さんが帰る日にこっそり泣いたことも全部。

「前に会った時は爽馬くんまだ小学校1年生だったから、お姉ちゃんのこと忘れちゃったかな?でも爽馬くんかっこよくなったね。びっくりしちゃった」
凛子さんの長い黒髪がサラサラと揺れている。
「凛子ちゃんはちょっと気管支の病気だっけ、夏休みの間、空気のいいこっちで過ごすことになったんだよ」
「おじさん、おばさん、夏の間お世話になります。爽馬くん、よろしくね」
「オレ、カブトムシに蜜やってくる」
「爽馬!」
走る僕の背中を母ちゃんがどやしつける。
「爽ちゃん、あとでお姉ちゃんにもカブトムシ見せてね」
今年の夏は何か素晴らしいことが起きる。僕の胸は激しく高鳴った。

一夜開けて8月13日。お盆。今日も暑い一日になりそうだ。
僕は朝から母ちゃんの命令で掃除させられたり、仏壇に果物やお菓子をお供えさせられたりしていたが、
「りんもやっていい?」途中から凛子さんが手伝いに来てくれ、一緒にキュウリやナスの精霊馬を作りながらおしゃべりした。
「これ初めて作ったよ。東京だと、映画とか小説の中でしか見たことないから。爽ちゃんはいろいろなことを知ってて偉いね。りんにも色々教えてね」
「う、うん、いいけど…。東京では、いつも何やって遊んでるの?」
「りんはスポーツとか苦手だから、うちで本を読むのが好きかなあ」
「そうなんだ。あの、今から納屋にお盆の走馬灯出しに行くけど、一緒に行く?」
「うん!爽ちゃん」

納屋は板の隙間から夏の光が差し込んで、壁のスイッチをつけなくても明るかった。
「埃っぽいから、喉に気をつけてね」
「うん、ありがとう爽ちゃん。これ何?これは?二階は何?ねえ爽ちゃん。」
凛子さんは古い行李や農具にいちいち目を丸くしている。
「わあ、石波文庫のこの表紙、懐かしいなあ!昔は全部この表紙だったよね」
「去年死んだ爺ちゃんの。じいちゃんも、古い本とか骨董品が好きだったから」
「そっかー。他にも古い本がいっぱいあるね。これ借りてもいい?」
「いいよ。オレも本読むの好きだよ。子供の頃、オレが寝るまで爺ちゃんが毎日枕もとで本を読んでくれたから」
僕と凛子さんは納屋からいっぱい本を持ち出した。

素麺を食べてから、縁側で本を確認した。
凛子さんが僕に一冊ずつ渡して、僕が乾いたタオルで埃を拭き取りながら題名を読み上げ、終わったら脇に積んでいく。
「えー、少年探偵団、これは、猟奇カストリ、実録・怪奇事件…」
僕が生まれる前の、いかがわしい、妖しい雰囲気を漂わせた本たち。
何かいけないものを見ているようなムズムズ恥ずかしい気持ちになる。
暗い喫茶店で、文豪の人が赤いランプの下で難しい顔で読んでいるところを想像した。
「えーと…これは雑誌の付録かな?これは昔の字だな。えーと…」
漢字が難しい上に、安いザラザラの紙が納屋の中ですっかり日焼けして文字がとても読みにくい。
「りんにも見せて」

魂入替ヘノ法
此ハ戀通ジ合フ者同士ノ戀ヲ入替ヘル咒ナリ。
先ヅ、藥指二 红白ノ絲ヲ卷クへシ。
次ヒデ、思ヒビトト接吻スヘシ。
タゞシ此己ニテハ足リナシ。既ニシテ互ヲ思ヒ合ヒシ時、最后ニ思ヒビトノ目ヲ見ツメ、此ニ記ス咒文ヲ讀ムへシ。
此デ出會フハ偶然ニ非ス、前世ノエニシニ引寄セラレ、二ツノ魂分カチ難ク、或時ハ夫ニ、又或時ハ妻ニ成リテ、トハニ繰リ返ヘシ側ニヰルモノナリ。
元ノ體ニ戾ルヲ望ミタル時ハ、㤅シ合フ者同士ニテ契リヲ結フヘシ、此卽チ𫝆生ノ緣、夫婦ノ緣ト成リニケリ。

「…爽ちゃん、赤い糸と白い糸ある?」
糸を手渡すと、凛子さんは僕の薬指に赤い糸と白い糸をくるくると巻きつけた。
小さくて細くてひんやりした手だった。指が触れ合ってドキドキした。
僕の視線に気づくと、
「りんも読めなかったけど、何かのおまじないみたいだから、せっかくだからやってみた。ふふふ。
りんもやるから、爽ちゃんも外さないでね」
凛子さんは自分の薬指にも赤と白の糸を巻いて僕に見せると、ニッコリ笑った。

それから毎日が夢のような日々だった。
二人で浴衣を着て縁日に行き、盆踊りを踊ったり、金魚すくいをしたり、ラムネを飲んだり(正太たちに見られてからかわれたり)、
お盆の迎え火を一緒に焚きながら怖い話をして騒いだり、
二人でバスで隣町の風鈴市に行って冷たい葛切りを食べたり、
家族でピクニックに出かけ、清流を川下りをして一緒に写真を撮ったりお土産を買ったり、
父さんに蚊帳を吊ってもらい、凛子さんが大喜びしてなかなか寝られず、夜中ずっと話したり、

そうして、あっという間に明日凛子さんが東京に帰る日になってしまった。

母ちゃんは朝から街のデパートに凛子さんに持たせるお土産を買いに行き、ばあちゃんは老人会の催しに出かけて、家には凛子さんと僕しかいなかった。
二人で縁側に腰掛け、遠くの山を見ながらアイスを食べた。
山の方から気持ちいい風が吹き下ろしてきて、軒先の風鈴が綺麗な涼しい音で鳴った。
「今日は涼しいね。夏ももう終わりかな?本当に楽しかった」
「…明日、本当に帰っちゃうの?」
思わず僕は言った。
「うん… さびしいね」
凛子さんも僕も無言になった。
僕は思わず凛子さんの手を握った。
凛子さんはちょっとびっくりしたようだったが、僕の手を握り返してくれた。
そして、凛子さんは僕の口にキスをした。
唇と唇が軽くふれあうだけのキスだった。
唇を離すと、凛子さんは僕の目を見つめ、
「ここで出会うは偶然にあらず、前世よりのえにしに引き寄せられ、二つの魂分かち難く、ある時は夫に、またある時は妻になりて、永遠(とわ)に繰り返しそばにいるものなり」
と言った。
その瞬間、僕の心は天に昇るような幸福感に包まれ、意識が遠のいた。



あれ、雨かな?ああ、蝉時雨か。いつの間にか寝ちゃったのかな?
…え?さっき凛子さんと、その、ファーストキスをしたのに、なんで僕寝てるんだ?
意識がはっきりし、慌てて体を起こす。
右側に座っていたはずの凛子さんはいなくなっていた。
(ああ… 怒って行っちゃった。明日は凛子さんとお別れなのに…)
あぐらをかいて座り直す。

「爽ちゃん」
左側から呼ばれた。振り返ると、そこに僕が座っていた。
「え… え? オ、オレ!? 何でオレがもう一人? …え…、お、オレの声が変…? え?何で髪が伸びて… え?手、白い?」
いつの間にか僕は白いワンピースを着ている。
「え? 何でオレが女の服着てるの? …これって、さっきまで凛子さんが着ていたワンピース? そ、それにこの声… え、ええーっ!?う、うそ! ま、まさか…!」
僕は立ち上がってドタドタと大きな音を出して縁側を走り、トイレの鏡を見た。
鏡の中に凛子さんが写っていた。
僕が手をヒラヒラさせると、鏡の中の凛子さんも手をヒラヒラする。
「り、凛子さん? 何で? 何で僕が凛子さんに!?」
両手で左右のほっぺを引っ張りベロを出すと、やっぱり鏡の中の凛子さんも両手で左右のほっぺを引っ張ってベロを出した変顔になった。
「あわわ」
ドタドタ縁側に駆け戻る。縁側に僕が座ってこちらを見ている。
「お、おい!オレ!これどうなってるんだよ!何でオレが凛子さんに?」
僕はガニ股になって手をバタバタさせながら、僕に質問した。
「ち、ちょっと爽ちゃん、あんまり私のカラダで変なことしないでよ。もう、恥ずかしいなあ。
…あの古い本に書いてあったこと、まさかとは思ったけど、私たち本当に入れ替わったのね。爽ちゃん、私は凛子よ」
「え?」
「この間、お互いの薬指に赤い糸と白い糸を巻いたとき読んでた古い本、覚えてる?
あの時は、りんも読めないって言ったけど、ホントは読めたの。
あの本は、お互いの体を入れ替える方法を書いた本だったのよ」
「ええーっ!?」
僕はヘナヘナと座り込んだ。
両手を見つめる。白くて華奢な細い指だ。凛子さんの指…。
ワンピースの襟の隙間から、白いブラジャーに包まれた凛子さんの胸がチラリと見え、僕はドキリとした。
「あ!爽ちゃん!今りんのおっぱい見たでしょ!」
「み、見てねーよ!」
「あーあ、私、明日帰らなきゃいけないのに。爽ちゃんの体で帰るの?どうしよう?このまま次に会うまでお互いの体で生活する?」
「え!?むり!凛子さんの生活なんて何も分かんないもん。女の子の生活とかさあ…。
あ!そうだあの本!ねえ凛子さん、…自分に凛子さんって言うのもなんかすごく変な感じだけど…。
凛子さん、あの本に戻り方は書いてないの?」
(僕は凜子さんの体で、僕の体の凜子さんを凜子さんと呼んでいる。混乱するし、はたから見てもすごく変だろう)
「あったよ」
「え!本当!よかった!じゃあ戻ろうよ!」
「でも、戻るためにはね… 戻るには… その…」
「?何?」
「まさか本当に入れ替わるとは思わなかったからなあ…」
僕(凛子さん)は赤い顔でモジモジした。凛子さんこそ僕の体で内股でクネクネしないでくれよ。かっこ悪いなあ。
「え?何?」
「本によるとね、元に戻るにはね、まず、お互いが想い合っていること」
「うんうん …え? それって」

「お互いが想い合っている人同士がね… その… え、エッチ… エッチすることなんだって…」
凛子さんが僕の顔を真っ赤にして言った。
涼しげに風鈴が鳴った。

普段は使っていないお客さん用の床の間に敷いた布団の上で、凛子さん(体は僕)と僕(体は凛子さん)は真っ赤になって正座で向かい合い、うつむいていた。
「えと、家族の誰かが戻るまでに、オレたちも元に戻らないと、その、戻るチャンスがなくなっちゃうから… 急がないと」
「う、うん、そうだね。 あの…爽ちゃん… りんは女の子だから、その… 爽ちゃんがリードしてね?」
「え?あ、う、うん… で、でも、どうやって…」
「ま、まずは、その、あの、だ、抱き合うとか… かな…?」
「う、うん…」
僕は凛子さんの体で僕の体の凛子さんを恐る恐る抱きしめた。
もうドキドキしすぎて訳がわからない。
今は僕の方が背が高いから、子供を抱きしめているみたいで変な感じだ。
凛子さん(僕)の体はすごく熱い。ドキドキする心臓の音が僕(凛子さんの体)に伝わってくる。
僕たちはしばらく無言で抱き合った。時々微かな衣ずれの音がするだけだ。
「さっき… りんのファーストキス、爽ちゃんにあげちゃった」
目の前の僕が言った。
「オ、オレも」
凛子さんの体で僕が答える。
「ねえ、爽ちゃん… もう一回キスしよ」
僕たちは抱き合ったまま、長い時間キスをした。
今度は唇が触れるだけのキスじゃなく、お互いの舌を相手の口の中に入れて動かす、大人のエッチなキスだ。
薄暗い床の間の中にピチャピチャという音が響く。
いつしか僕たちは布団の上に横になり、僕の体の凛子さんは、本来の自分の体である僕の胸を優しくさわった。
「んっ…!」
僕の体(凜子さんの体)に電流が走る。今まで体験したことのない快感だ。
「爽ちゃん、あ、あの… 爽ちゃんのここ…」
見ると、僕のおちん〇んがとんがって、半ズボンがすごく突っ張っていた。恥ずかしさで顔に血が上った。
「すごい… 男の子のここって、こうなるんだ… さ、触ってもいいかな?」
凛子さん(体は僕)は、僕の返事を待たないで、僕の指を使っておずおずと僕のおちん〇んに触った。
「ああ… すごい… すごい気持ちいい… 手と腰が自然に動いちゃう…」
凛子さん(体は僕)は、僕の手で僕のおち〇ちんに触りながら、腰を前後に振っている。
「爽ちゃん、服脱いで…」
凛子さん(体は僕)は僕にバンザイをさせ、首からすっぽりワンピースとブラジャーを脱がせた。
「爽ちゃんも、遠慮しないで、りんの体見てね…」
「う、うん…」
首を上げて凛子さんの体を見る。
パンツだけを身に付けた凛子さんの体は真っ白でシミ一つなく本当に綺麗だ。少しふくらんだ胸の先っぽに、ピンク色の乳首がピンと立っている。すごくエッチだ。
「恥ずかしい… りんの体、男の人に見られてる… 初めて男の人に、りんの体見られちゃった…
ねえ、爽ちゃん、爽ちゃんも、りんの体さわって…」
「じゃ、じゃあ、触るね」
僕は自分の体(凛子さんの体)のふくらみかけた胸を手で包み、円を描くように優しくさすり、もんだ。
僕の白くて細い体(凛子さんの体)に甘い電気が走る。今まで未体験の快感が頭頂部から背骨に抜ける。
「はあっ… 爽ちゃんが私の体触ってる… 私のカラダ、爽ちゃんに動かされてる… 私のカラダなのに、目の前で勝手に動いてる… りん、もうっ…! もう我慢できないっ…!」
凛子さん(体は僕)はいきなり僕のおっぱいの先っちょを、僕のカラダの舌でペロリと舐めた。
「はぁんっ!?」
思わず情けない甘ったれた声が出てしまった。男なのに、正太とかにバレたらすごく恥ずかしいのに…! でもっ…!
「すごい… 爽ちゃん… 私の体で、すごくエッチだよ…! ここもこんなに濡れてる… 私恥ずかしいよぉ… 自分の体が、私が触って、こんなになってるよぉ…」
凛子さん(体は僕)は、本来の自分のカラダである僕のおちん〇んのところをさすっていたが、いつの間にか僕(体は凛子さん)のそこはビショビショに濡れて、パンツにも水が染み出していた。
体から出た時は温かかった水が冷たくなって、体に張り付いてちょっと気持ち悪い。
「凛子さん、僕、パンツ脱いでもいい?」
「うん。脱いで」
パンツを脱ぎ、僕は凜子さんの体で裸になった。
凜子さんのカラダ、凜子さんの声で僕は言った。
「凛子さんのカラダ、きれいだ… 見てもいい?」
「うん、見て。りんのカラダ、全部見て。りんの大切なところも全部見て」
僕は凛子さんの体で脚を開いた。凛子さんの脚は僕が思った通りに動いた。改めて凛子さんの全部を見る。
薄い淡い毛の下に少し黒ずんだ肉のビラビラがあった。
「うわ、こ、これが女の子のあそこかあ…。は、初めて見た。へ、変な形してるんだな…。さ、触ってみようかな…」
僕は凜子さんのカラダで脚の間をじっくりながめた。指で広げたり、クニクニといじったりする。
はたから見たら、凜子さんが自分のあそこを指で広げてしげしげとながめながら「初めて見た」と言っている、ありえない場面に見えるはずだ。
ビラビラの中に指を入れてみた。凜子さんの中は温かい水でヌルヌルしている。中で指を動かした。
「はあんっ…」
腰が痺れて溶けてしまうような快感が、凜子さんのあそこを中心に波のように体全体に広がる。

(おちん〇んがないから変な感じだけど、ムズムズして我慢できないっ…! ああ、僕も…! 僕も凛子さんに…!)
僕も凛子さん(体は僕)の服を脱がせ裸にし、凛子さんの細い指を使って僕のおち〇ちんをしごいた。
「どう?凜子さん、気持ちいい?」
「はぁぁんっ…!これが男の子の…? 気持ちいいっ…! 気持ちいいよ爽ちゃん…! こ、腰が勝手に動いちゃう…っ…! 爽ちゃんっ…! 爽ちゃんは一人の時、これ、したりするの?」
「凛子さんが来てから初めてしたよ。お祭りに行った時の浴衣の凛子さんを夜一人で思い出して…
でも、オレ、本当はずっと前から、いつも凛子さんを思い出してた。
むかし、一緒にトウモロコシをもぎに行った時の凜子さん、
ほうらい淵で泳いだ時の水着の凛子さん、
肝試しで初めて手をつないだ時の凜子さん…
いつも凛子さんだけ思い出してた」
凛子さん(体は僕)のおちん〇んをしごきながら、自分のあそこにも指を入れて動かす。
「嬉しい…爽ちゃん、爽ちゃんっ!」
「オレも!凛子さん、凛子さんっ!」
僕たちは無我夢中で抱き合い、ムチャクチャにキスをむさぼり合った。
激しく燃える時間の合間の甘い時間は、僕たちはとりとめないおしゃべりでふざけあった。
会話の内容に関係なく、話せば話すほど僕たちは心の深いところでもっともっと繋がっていく感覚を感じた。
「凛子さんは?凛子さんは一人でエッチなことしたことあるの?」
「えっ…! そ、そんなこと女の子に聞かないの!ひみつ!」
「オレを思ってしたの?」
凛子さん(体は僕)は、仰向けに寝た僕(体は凛子さん)に跳ね跨り、
「爽ちゃん、りんをずっと大事にしてね。りんを可愛がってね。爽ちゃんになら、りんの初めて…りんの全部をあげるから…
あ、でも、今、りんは爽ちゃんだから、もらう、かな。へへ」
凜子さんは僕の顔で照れ笑いをし、おちん〇んを僕の股のところに入れた。
「いっ…! 痛い!痛いよ凛子さん!」
「だ、大丈夫?ご、ごめんね。りんも、は、初めてだから…ちょっとやり方分からなくて…」
「う、うん、今、平気…。ゆっくり、ゆっくりお願いします…」
僕(中身は凜子さん)は、ゆっくりゆっくり腰を振りながら、少しずつおち〇ちんを僕(凛子さんの体)の中に入れてくる。温かくて固いものがだんだん深く僕の中に入ってくるのを感じる。
最初のビリっと鋭い痛みが去ったあと、今度はジワジワと快感が僕の体に広がり始めた。ある瞬間から快感は猛スピードで僕の全身を駆け巡った。
「!?んんっ!? 何コレっ!? ああああ!気持ちいいっ! やばい、体が浮かぶ! 気持ち良すぎて、体も心もどっかに行くっ!」
「気持ちいいっ?爽ちゃん気持ちいいっ?私の体で気持ちいいっ?」
「うんっ!凛子さん!凛子さんの体で気持ちいいよっ!オレのおちん〇ん気持ちいいよっ!もっとっ!もっと突いてっ!オレを連れていってっ!」
「私もっ!爽ちゃんのおち〇ちん気持ちいいよっ!爽ちゃんっ!爽ちゃんっ!ずっとりんといてっ!
りんもねっ!りんもっ!久しぶりに再会した時っ!爽ちゃんをかっこいいと思ってっ!ホントはずっと大好きだったよっ!
りんも昔からずっとっ…!爽ちゃんが大好きだったのっ…!
一緒にトウモロコシもぎに行ったこともっ、
川で爽ちゃんと泳いだこともっ、
肝試しで手をつないだこともっ、
りんも全部覚えてるよっ…!
時々爽ちゃんを思って、オ、オナニーしてるたんだからっ…!」
「凜子さんっ…! あああ!何これっ! 体の奥から…! ダメぇ!今突かないでぇ!死ぬっ!死んじゃうからぁ!」
言いながらも僕の足は勝手に凛子さんの腰に絡まり、離れられないようにガッチリホールドした。
「ダメっ、止まらない!りん、腰止まらない!りんも、りんもなにか出るっ!爽ちゃんっ!爽ちゃんの中にっ!」
「「凜子さんっ…! 爽ちゃんっ…! ああーーーっ!」」
僕たちは同時に絶叫した。
僕の中に凜子さんが大量に何かを放出する感覚を味わいながら、僕の意識は真っ白に焼き切れた。

「 …—ちゃん 爽ちゃん」
う… この声は…? 凜子さん?

目を開けると、凜子さんが僕を覗き込んでいた。
「爽ちゃん」
そう言うと、凜子さんはニッコリ笑った。
もとのカラダに、どうやら戻ったみたいだ。

僕たちは布団の上に横になって抱き合いながら、さっきまでの不思議な体験を語り合った。
最後に凜子さんは言った。
「「㤅シ合フ者同士ニテ契リヲ結フヘシ、此卽チ𫝆生ノ緣、夫婦ノ緣ト成リニケリ…」
あの本にはね、愛し合う二人がエッチすれば、元に戻れるって書いてあったよ。
そして、エッチした二人の縁は切れることなく夫婦の縁になるって」
言い終わった凜子さんは真剣な目で僕を見つめた。
「凜子さん、大人になったら、オレと結婚してください。オレ、一生凜子さんを大事にするから」
「ばか」
凜子さんは僕に抱きついた。
「ね、爽ちゃん。…もう一回しよ?」
僕たちは今度は自分本来の体で、手と手をしっかり繋いで愛し合った。



「気をつけてね〜!また来てね!爽馬、バス停まで荷物を持ってあげるんだよ!」
家族総出のお見送りを背中に受けて、凜子と僕はバス停までの道のりを並んで歩いた。
乾いた土の静かな道。凜子が来た時は青々としていた稲穂は、いつの間にか黄金色に色づき重そうに頭を垂れている。空は高く澄んでいる。秋が来る。
二人でベンチに座ってバスを待つ。凛子が手を繋いできた。僕も握り返す。バス停の中で、僕たちはキスをした。
バスに乗った凛子はタラップで振り返り、
「爽、また来年ね」
「また来年、入れ替わろうね」
と言って悪戯っぽく笑った。
土埃を上げて遠ざかるバスを見送る僕の胸に爽やかな風が吹いた。














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