たましいふきこみ
作:jpeg


 大勢の人で賑わうスクランブル交差点のど真ん中、学校に向かう俺に、スマホから目を離さずに歩いてきたリクルートスーツの就活生の女がぶつかってきた。
女は舌打ちをして、謝りもせずに立ち去ろうとする。
二十歳くらいだろうか。黒髪で清楚な顔立ち、均整のとれた肉体をタイトなスーツに包んだ美女なのだが、性根はろくでもないようだ。
こんな女にだまされる会社が気の毒だ。よし。

パンプスをはいた足をだらしなくひきずり歩く女の背中に向かって、俺は奇妙な形の銃を向け、狙いをしぼって弾き金をひいた。

「ーひっ!?」
女の体が突然ビクン!と跳ね上がる。
口をぱくぱくと開けたまま白目を剥き、すこしはみだした舌からよだれがひとすじ糸をひき垂れる。
いままで歩いていた女がいきなり立ち止まり、脱力した手がぶらぶら揺れているのを、通行人が邪魔そうに避けていく。

と、突然

「あー!あたしぃ、就活つかれちゃったぁ?!♪ もう就職なんてどうでもいいや!! だからここでスーツ脱いで裸になっちゃおっと!♪」

通行人がぎょっとした表情で、とんでもないことを口走りはじめた美女を盗み見る。
女は周囲の視線には全く無関心の様子で、貼り付けたような笑顔のまま、抑揚なく

「コイツのきれいなカラダ、コイツだけしかみられないのは不公平だよね?♪ 独り占めとか出し惜しみしせず、みんなにみてもらうべきだよね?ねえ、いいよね?」

『うぅ?ん!!なぁ?んて素敵なアイデアなんでしょう!!さすがご主人様!!これからは、天才のあなた様がバカなあたしのカラダ動かしてぇん!♪ あたしはカラダはきれいだけど、頭はほらっ、こぉ?んなにカラッポなんだから、就活なんて無駄よね♪
これからは、あたしはきれいなカラダ使ってお金稼げばいいよね☆
さっそく全裸になって、皆様にカラダをみていただいて、商品アピールしなくちゃ☆
どうせ恥ずかしいのは俺じゃなくてコイツだからな!』

一人芝居を続けながら、乱雑にスーツを脱ぎ飛ばし、白いシャツをボタンが弾けるのもかまわず体からむしり取り、自らベージュのパンストをビリビリに引き裂き、シンプルなパンツを脱ぐが早いか頭にかぶる。
その表情は笑顔ではあるものの、目はどこを見つめているのかわからず、まるでガラス玉のようだ。

『ガニ股!ガニ股!就活生という人間をやめたあたしは、きょうからニワトリになりまぁす♪
コケー!コケーコッコッコ!』
ガニ股で中腰になり、口をとがらせ、手をパタパタ上下に振りながらひょこひょこと歩き回る、元・美人就活生の突然の奇行を、もうかなりの数の野次馬たちが写真や動画に撮りはじめている。

『ああ?ん!あたし、三歩歩くと忘れちゃうバカだからぁ、ニワトリをクビになっちゃったぁ♪
でも動物だから、プライドとか全然傷つかないのよねぇん♪
今度はぁ、カエルに就職しようっと♪』

女は急に真顔になり、アスファルトに手をつき四つん這いになるや。
『ゲェェェ』と、今までの二ワトリの甲高い声とは真逆の低い声を出し、真剣な表情で、スクランブル交差点の人を縫いぴょんぴょん跳ねはじめた。
尻を高くかかげた格好で四つん這いになっているので、性器だけでなく肛門まで丸見えになっている。
ジャンプするたびに、女の豊満なおっぱいがぷるんぷるんと揺れる。いつのまにか乳首もガチガチに勃っているようだ。

その後、女は、お笑い芸人の一発芸をメドレーをはじめる。
『大学では、このような多彩な学科を学びました!
希望の職種はバキュームカーに乗って便を汲み取る仕事です!☆
それか風俗嬢です!!!!!!
どうかみなさま、バカ女の就職をぜひ応援してくださいね!☆』

信号が青になり、動きはじめた車が猛烈にクラクションを鳴らしているのも全くお構いなく、女は全裸で手を横に水平に広げ、
『キーン!あたしも人間の女はやめて、きょうから車だよぉん♪ ブゥ?ン!ブロロロロ?ン!』
と叫びながら、スクランブル交差点をガニ股でドタバタと、ジグザグに走り続ける。
息があがり、顔が真っ赤になって汗まみれになっても、全く意に介するそぶりも見せずに貼り付けたような笑顔のまま、高めのヒールのパンプスをはいた足首が、本来曲がらない方向に思い切りねじれるのも一切気にせず。

と、今度はまったく意味をなさない発声を延々続ける。

『zなひゅふぇzへbkひゅのbg、おっぱdぴゅぁへfつjきゅのhqにっhfyfぁごpいゆvぺrpmれwぴゅszあrgひkjへcpqおdれphygひぇbげvすぉhmlふぉきてぃ?』

壊れたテープレコーダーを逆再生したかのような、組み合わせとしてなかなか思いつきにくい、法則性とは無縁の単なる音のつらなりが、美しい女の口から流暢に流れる。

俺はその一連の騒動を心ゆくまでながめ、自分のスマホでたっぷり写真や動画を撮ったのち、ふたたび銃を女に向け、もういちど弾き金を弾いた。

と、いままで大声で動き回っていた女は急にすべての動きを止め、ポカンとした表情で棒立ちになる。
やがて、うつろだった女の目に光が戻り、
「...ん...? あれ、あたし疲れて寝てた...?
...え!?いやっ!!なんであたし裸っ...!?ちょっと何!?
いっ!!痛いっ!!足首が...!!ちょっと最悪?!なんでぇ?!?」

女は交差点のど真ん中で、四方八方からクラクションを鳴らされながら、胸と股間を手で隠して真っ赤になって座り込む。
いまや大パニックとなり、警官も駆けつけたスクランブル交差点を俺はあとにする。

いままでのできごとが、理解できない人もいるだろう。
俺が使った銃は「たましいふきこみじゅう」という。
特定の人に向けて弾き金を弾くと、自分のたましいを相手に打ち込んで、その人の体を思いのままにに動かせるようになるという不思議な銃だ。
基本的に、俺のたましいを撃ち込まれている間は、その人の意識は眠っている状態になる。
銃の側面にはスライドがついていて、1?100の間でふきこむたましいの量を調節できる。
100にすると、俺のたましいは完全に相手の体にうつり、相手の体を自分の体として動かせるが、本来の俺の体はぬけがら状態になる。
1?10くらいの量をふきこむと、さっきの就活生の女のように、ロボットを操る感じになるのだ。


 学校の準備室。

俺の目の前には、メガネをかけ、長い黒髪を白衣にすらりと垂らした理知的な熟女と、アイドルグループにいそうな幼い顔立ちの制服の少女が、その顔に似つかわしくない、大口を開けた笑顔で、

『マジでコイツら俺の思ったとおりに動くなあ!あこがれの物理の冴島先生と、C組のさくらちゃん、いまから俺がお前らのカラダを使ってあげるからね?♪』
と言った。そのセリフを二人がわずかの誤差もなく、全く同時に言う。

いま、二人には、例のたましいふきこみじゅうで、俺のたましいを10パーセントずつふきこんである。

理系の一流校を優秀な成績で卒業した才女である冴島先生も、俺に乗っ取られ、からっぽの肉体を、俺のわずかなたましいで操られている状態だ。
こうなってしまっては、先生本人がどれだけ高学歴だろうが才女だろうが、なんの意味も持たない。

そしてそれは俺の支配の欲求を激しく刺激する。
もっとこの女を俺の思い通りの「モノ」や「道具」にしてやりたい。

『オイ、こっちにケツ向けろ、ハアハア、も、もう我慢できねえ!』

冴島先生、いや、飛鳥が無表情のまま、みずからそう言うと、俺に向かって尻を突き出し、薄い黒のストッキングと、大人の色気のただよう高級そうなランジェリーをふとももの半ばまでずり下ろし、壁に手をつき、後ろから受け入れる体勢になる。
知的で薄い唇の顔とは対照的な、毛深く剛毛が生い茂る子供をつくる器官は、前戯なしでもすでに充分すぎるほど濡れ、ねばりのある糸を引いている。

俺は飛鳥の子供をつくる器官に、俺本体の子供をつくる器官をいきなり奥まですべり込ませながら、片手で飛鳥の大きな尻をおさえ、もう片方の指で、産毛がたくさん生えている肛門をこね回す。

「10パーセントしかたましいふきこんでないけど、くっ...けっこう女の快感も俺の中に流れ込んでくるっ...!
女のカラダって、どんだけ気持ちいいんだよ...っ!」

俺本体がそんなことを言うと、飛鳥が
『へへへ、おい飛鳥、お前、バックから犯されながら屁をこいてみろよ(笑)
いつも知的で澄まし顔のお前が、ガンガン突かれながら臭い屁をこくのが見てみてぇんだよ♪』
自ら言うや、下腹部に力を入れ、腹筋を硬くする。
肛門がひくひく動いたと思った次の瞬間、

ブビィ?ッ... ビッ... ブブッ

と、音を聞いただけでも臭いとわかるような屁が飛鳥の肛門からひり出された。

『うわっ!臭せぇ?!俺本体はもちろん、たった10パーセントしかたましい入れてねえ飛鳥やさくらの鼻でも充分臭せえ!(笑)
飛鳥先生、そんな澄ました顔してこんな臭せぇ屁をひり出すなんて、ふだん何食ってんすかぁ??』
飛鳥は自らそう言い、俺本体に後ろから犯されながら、自分自身をあざ笑う。

その横では、いま飛鳥が言ったセリフと全く同じセリフを言いつつ、さくらが制服姿のまま、笑顔で舌を一定のスピードで出し入れしながら、どじょう掬いの動きを繰り返している。

本人に意識があったなら、そのような発想が浮かぶことすらないであろう完全に無意味な動きを、俺に乗っ取られて意識がないさくらのカラダはなんの疑問を抱くこともなくひたすら反復している。
たましいを10パーセントしか入れていないので、人間のカラダでありながら機械的な不自然な動きの繰り返しをしているさくらの間抜けな姿に、俺はさらに興奮する。
学年でも美少女として名高く、やさしい性格でもあり、多くの男子が恋人の座を狙っているであろうさくらは、もはや単なる俺の操り人形であり、人格もなく、俺の命令通りに動く、単なる「道具」に過ぎない。
そう考え、俺は狂おしいほどに興奮する。

『さくらちゃん、たまんねぇ...!
オイ鼻もげ屁っこき、俺のスマホでさくらちゃんの動画撮れよ』
飛鳥は自らそう言い、ひょうきんな動きでどじょう掬い音頭を続けるさくらを3分ほど動画で撮り、子供をつくる器官を突かれながら、俺に後手にスマホを渡す。
渡すのも、渡されるのも自分自身。
こんな不思議なシチュエーションは、たましいふきこみじゅうがなければ、とても体験できないだろう。

目の前に本物の美女2人の肉体があるのに、俺はスマホで撮ったさくらのどじょう掬い動画をオカズに、飛鳥というオナホールを使ってオナニーをした。
オナニーに意識を集中したので、飛鳥は笑顔のまま動きを止め、俺に突かれるまま頭が前後に揺れているが、スマホで画像をみているさくらの方は、多少俺の意識が行き届いているのか、さらにぎこちないながらも、動きを止めることなく、笑顔で舌を出し入れしながらどじょう掬いを踊り続けている。

限界に達した俺は、自分でも驚くほどの量の子供の元を、飛鳥のカラダに注ぎ込んだのだった。



...おっと、うっかり、そのまま寝てしまったようだ。
横を見ると、おそらくコントロールを失いバランスを崩したのだろう、
さくらがどじょう掬いの格好のまま横倒しになり、俺の意識が眠ったことによって動きを停止していたが、俺の目覚めとともに、ふたたび機械的にどじょう掬いの動きを再開した。

飛鳥も笑顔で壁に手をついたままの姿勢だったが、ぴんと脚を伸ばし続ける姿勢がつらかったのだろう。貼り付けたような笑顔のまま、カラダがぷるぷると震えている。

しかし欲望を満たし終わった俺は、もう二人には興味を感じず、手早く服を身につけると、二人をその場に残したまま準備室をあとにした。

二人の美女は、かたやオブジェとして静止し、かたや同じ動きを無限に反復している。

「あーおもしろかった!今度は生放送のアイドルでも乗っ取ってみようかな♪
それとも... ぐひひひ♪」






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