変化の杖
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1.

※「ぱふぱふ…ぱふぱふ…」
※「うっひょ~!ボイ~ン!ボイイイ~ン!」

遊び人のバニーガール、モンローが、商人のおじさん、トラネコとキャッキャ遊ぶのを、賢者マリアムがさげすみの冷たい目で見ている。瞳と同じくらい青く澄んだしなやかな長い髮。
かたわらでは、かわいらしい顔立ちの少年、勇者ロロトトが行儀よく椅子にすわり、鋼の剣をみがきながら、ニコニコ仲間を見守っている。
激しい戦闘のあとの、おだやかな宿屋でのひととき。

マリアムは名門職業訓練校であるダマー神殿大学を首席で卒業し、名のある大僧正と大魔導師に師事、若くして回復魔法、攻撃魔法の両方を修めたエリート中のエリート。
だがその強すぎるエリート意識ゆえ、なかなか仲間に心を開けなかった。
自分のような優れた人間にできないことがある。それが賢者であるマリアムをいらつかせる。
彼らのように素直に自然に笑い、自分を愛したいのに、うまく笑顔をつくることも自分を愛することもできないもどかしさ。
それはいつもモンローに対する嫉妬となって、マリアムの心に暗い炎を灯す。

小さく舌打ちをして、マリアムは宿屋から出ていこうとした。
「マリアム出かけるの?もう夜だよ?」
勇者ロロトトが、大きな瞳をくりくり動かしながら声をかけてきた。
「え、ええ、ちょっと…」
どぎまぎ応え、階段をくだりながら、マリアムはちいさくつぶやいた。
「…わたし…変わりたい…」


2.

「ん…んっ…ああっ…」
人気のない村外れ、空き樽に隠れてマリアムは自分の体をなぐさめる。
(…わたしのほうが、モンローより、お…おっぱいだって大きいし、ウェストだって細いんだから…か、顔だって…わたしのほうが、か、かわいいのに…)
自分で自分をほめるだけで、マリアムの頬がかあっと熱くなり、激しい羞恥を感じる。
それなのに、自分をほめるとひどく感じるのはなぜなのだろう。

脳裏に、ニコニコ笑うロロトトを思い浮かべる。
女の子のようにかわいい顔立ちでありながら、いざモンスターと向き合ったときの、しなやかな体から繰り出される鋭い剣撃と魔法、凛とした表情…

「はあ…」
涙がひとつ、ぽろりと頬を落ちた。
(…誇り高い賢者のわたしが、ひとりこんなところでこそこそ恥ずかしいことを…わたしはみじめな人間だ…)
激しい自己嫌悪。
マリアムはのろのろと立ち上がった。
いつもなら、とぼとぼと宿屋に帰るマリアムであったが、今夜は違う。
昼の戦いでレベルが上がり、かしこさが上がっていたおかげで、とあるアイデアがひらめいていた。
マリアムは己の武器、「変化の杖」をにぎりしめた。
目には戸惑いと決意が、半々に浮かんでいる。

宿に戻ると仲間はみなぐっすりと眠っていた。
テーブルからランプと椅子を運び、ロロトトのあどけない寝顔をながめる。
緊張のあまり、マリアムの手足はふるえ、心臓は周りにも聞こえるのではないかと思うほど高鳴っている。
乾いたくちびるを舌で濡らし、マリアムはロロトトに変化の杖を向け、呪文をとなえた。
(わたしがわたしだから変われない。 ...でも、もしも、わたしがわたしでなかったら…?)


3.

マリアムはロロトトに変化(へんげ)していた。
変化の杖を持ったロロトトが、ベッドで眠るロロトトを見下ろしている。

「ほ、本当に…わたしがロロトトになってる…」
荷物袋から出した魔法の鏡の中で、ロロトトが体と頬をなでさすりながら言っている。

「あ、あ…こんにちは、…僕ロロトトだよ…」
まだ声変わりも済んでいない、伸びやかな少年のソプラノがマリアムののどからあふれ出る。
そっと上着をまくり上げてみる。色白で華奢な、まだ発育していない少女のような体。淡い色の乳首。

いつも自分で慰めるときのように、左手で乳首を転がすようにいじりながら、右手を股間に持っていく。
ロロトトがはいている黄色いタイツ。
そのタイツの股間で、ロロトトと全く同じ形の性器が、形がくっきりわかるくらいに大きく、かたくなっている。
(ロロトトの、お、おちん○ん…わたしがロロトトの姿に興奮すると、ロロトトのおちん○んがかたくなる…)

真っ直ぐな心を持つ少年の淫らな姿。
それはインテリであるマリアムの心にひそむ、歪んだ変態願望を痛いほど刺激し、暗い欲望の炎を燃え上がらせる。

(もっともっとロロトトに恥ずかしい格好をさせたい。弱いわたし自身は傷つかず、責任をとらずに、安全な位置から、他人の体でわたしの心をもっともっと、思うままに解放したい!)
その思いはいまや狂気にまで高まっている。
(もっともっと!勇者ロロトトにふさわしくない無様な姿を!大好きなロロトトをもっと汚したい!そしてわたしをもっとさらけ出したい!ロロトト大好き!大好き!!)

いまやマリアムの知能は去り、混乱の魔法をかけられたのと同じ状態にあった。
鏡の中で、勇者である少年が、マリアムの思った通りに脚を広げ、舌を出す。
少年はあどけない顔に似つかわしくない、猛々しくいきり立ったものを激しくしごきながら、もう一方の手で肛門を何度もなぞっている。
世界を救う運命を背負った勇者の、あまりにもみっともない表情、姿。

(ロロトト...! いとおしいよぅ... ロロトトの姿のまま、ちゃんと本当のロロトトのをしゃぶりたい..! す、睡魔の魔法をかければ...!)



「へぇ、なかなかレベル高いことしてんじゃん」

ふいに背後から声をかけられ、マリアムが飛び上がって振り返ると、ベッドのふちに腰掛けたモンローが、脚をぶらぶらさせ、ニヤニヤ笑いながらこちらを見ていた。
「アンタさぁ、マリアムっしょ?へええ~、おカタいだけの賢者様と持ってたら、アンタにも人並みに性欲あるんだねえ~!
てか、やってることは人並みどころじゃない変態性癖丸出しプレイだけどね~!
賢い女って、やっぱどこかネジ飛んでるんだねぇ~...むぐっ!?」
「おっ、おねがい、大声出さないで、みんな起きちゃう...このことが知られたらわたし、生きていけない...!」

マリアムはロロトトの姿のまま、日頃見下し、敵視していたモンローの足元に土下座した。
モンローは人の悪い笑みを浮かべると、ヒールでマリアムの頭を踏みつける。
「アタシの靴なめてよ? 賢・者・さ・ま♪」
本来の自分である賢者の肩書きであえて呼ばれ、羞恥のあまり、マリアムはロロトトの表情で青ざめ、おずおずとモンローのヒールを舐める。
「アハッ!ぞくぞくするわぁ♪ ねえマリアム、アンタってホントはドマゾなんでしょ?
プライドの高い女って、実は自分が絶対かなわない強い存在を求めるもんねぇ?
アタシは前々からわかってたよ、この...むっつりスケベ!」

「ー... でも、安心していいよ。きょうからアタシがアンタのご主人様になったげる。
マリアム、アンタは、見下してた相手にきょうから支配されるの」
モンローはそう言い、じっとマリアムの目を見つめてきた。
「わかった?アンタは、きょうから、アタシの、奴隷だよ」

「わ、わたし...ハ、ハイ...」

「...ぷっ! アハハハ! ごめんごめん!ちと脅しが過ぎたみたいだね~!」
呆然とするマリアムに、

「それ、前からアタシもやってみたいと思ってたんだよね~♪ 変化の杖使ったんでしょ?マリアム、アタシも混ぜとくれよ♪」
「え、前からって...」
「頭がよすぎるバカっているんだねー。アンタが変化の杖をゲットした瞬間から、あたしゃ真っ先に、それ以外の用途考えなかったけどね?! ねえ、マリアム、アンタ、今度はアタシになって!いいから!早く!」

マリアムはとまどいつつ、モンローの姿になった。
(うわぁ... こ、こんなきわどい服...)
恥ずかしそうにもじもじ体を隠そうとするバニーガールに本物のモンローが
「今度はアタシを商人のトラネコおっさんにしとくれ!前からおっさんになって、アタシをめちゃくちゃにしてみたかったんだよね~!♪」
「え、でも、あの...」
「早くってば!」
モンローはトラネコになるや、脂ぎった中年男としか思えないようないやらしい笑みを受かべ、モンローの姿のマリアムをベッドに押し倒し、圧迫するようにのしかかってきた。
「い、いやっ!やめてっ!」
「ひょ~!アタシの顔でそんな初々しい言動するなんて、なんて新鮮なのっ!はやくヤラせろ!」
「ま、まって!わ、わたし、いままでしたことない...!」
真っ赤になって自分の未熟な性経験について告げるモンローの姿のマリアム。

「ありゃ!... あー、えー... カラダがアタシなら、あそこもいっぱい使った状態のはず!試してみよう!」
心の準備をする猶予もなく、いきなりマリアムの中にトラネコの体の巨大なものが入ってくる。
「んぐっ!?なにこれすごい...きもちいいっ...!?」
「あ~、やっぱり、感度も開発済みのアタシのカラダになってるんだね♪ マリアム、ラッキーじゃん!痛みを飛ばして、いきなり快感味わえて♪」
「こ、これが...女の子の喜び...?」
「ホラぁ、中身は賢いマリアムちゃん、もっとモンローみたいにバカっぽい口調で!」
「あんっ...!? あはぁ、アタシぃ、めっちゃ気持ちいいしぃ?、 もっと奥まで突きまくられて感じまくってイきまくりたいのぉ~!ピースピース!!」



4.
「...いや?!おっさんのカラダもなかなかオツなもんだね!クセになりそ♪
ねえマリアム、いまからこの姿のまま、いっしょにカジノのバーに繰り出そうよ♪
アンタ普段おカタいんだから、アタシのセクシーな姿でもっとハメ外してさ♪
なにが起こるか... うひょぉ~! 予測もつかないけど、なんかめっちゃ楽しいことありそうじゃん?♪
これからも、アンタの杖で楽しもうね♪
今度はアンタの姿でアンタを責めてあげようか?アンタは下等な魔物にでも変えられて、自分自身にいじめられてみる?
バーまでの道、いろいろ話そう♪ さ、行こ!♪」
「え、ええ...」
「カタい!カタいよ!もー!リラックスリラックス♪」
「う... うん、モンロー!楽しみだね!」

「えへへ~♪ アンタ、スカしたヤなやつだと思ってたら、なかなかエロくてイケるやつだったんだねぇ~!これからの旅が楽しくなったよ!♪
あのさ、アンタとこうして話せる機会があって、アタシうれしいな。アタシはこんな、そのとき楽しければいいバカだけど、正直アンタをめっちゃ意識してた。...どっちかっつうと、やっぱまだアンタのことキライなんだけどさ、でも」
「え、そんな、...わたしも。 わたしもあなたを、見ないふりして、すごく意識してた... 自由に生きててうらやましいな、って。 わたしもまだ、やっぱりあなたが苦手だけど、でも」

自分の口からこれほど偽りのない言葉が出ることに戸惑いながら、マリアムははじめて人との会話に温度を感じていた。
そしてそれはマリアムの心をじんわりとあたたかくした。



※「おはようございます ゆうべは おたのしみでしたね!」



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