宇宙人に感情を支配された美人キャリアウーマン 作・イラスト:jpeg 日野真理子は急いでいた。 前の仕事が長引き、次の仕事の資料を読み返す時間がなくなってしまった。 早足で歩きながら、頭の中身の膨大な資料の記憶を正確に呼び出す。 明晰な頭脳、 クールな美貌、 セクシーな体、 決して他人の風下には立たない強い闘争心と高いプライド。 真理子はいまから、数年後にひかえたオリンピックのスタジアム建設にからむ巨額の利権の落札を狙う。 一年前から落札チームのリーダーとして、選りすぐりのメンバーたちと入念に戦略を立ててきた。 三十歳になったばかりの真理子が、いかに優秀で、社内で絶大に信頼されているかがわかる。 これから、ライバル数社との、血で血を洗う戦いが行われる。 すでに先方に到着したチームのメンバーと連絡をとりあい、真理子はヒールの音も高らかに、都心のビジネス街を先を急いだ。 その真理子の頭上に、先ほどから銀色の円盤が同じ速度でついてきている。 大きさはおよそ2メートル。 だれもが「UFO」と言われて思い浮かぶ形だ。 なぜなのか、真理子にも街をいく人々にもその物体は見えていないようだ。 みな気づくことなく通りすぎていく。 そのとき、円盤の下部から黄色の光が照射され、真理子の頭頂部を照らした。 その光の中を通って、数センチサイズの小型の人間に似た生き物… これまた、宇宙人と言われたら真っ先に思い浮かぶ姿… 頭と目が大きく、体はひょろりと貧弱… が、光に沿って一列に並び、次々と真理子の頭蓋骨をすり抜け、頭の中に吸い込まれていった。 真理子の脳内、 生き物…宇宙人たちがなにか話し合っている。 足元は複雑な模様が刻まれたやわらかい大脳皮質、 上空は頭蓋骨の天蓋がドームとなっていて薄暗い。 小さな宇宙人たちは、まるでドーム型の建物の中にいるように見える。 その上空の頭蓋骨天蓋から、何本ものカラフルなひもが垂れ下がっていた。 宇宙人の一人が、そのひもの一本をつかむや、強く引き下ろした。 唐突に真理子はけたたましく笑いだした。 周りの人々が怪訝な目で美女の奇行を見る。 しばらく焦点の合わない目でぼんやり立っていた真理子が正気に戻り、 「え…!あたし…なんでいま笑ったの…!?」 宇宙人が、さきほどとは違う色のひもをひっぱった。 「フンガー!!」 今度は真理子はゴリラのような表情で、腕を激しく振って怒りまくった。 ふたたび正気にもどり狼狽した真理子が、次の瞬間には 「ウェ〜ン」 子供のように両手に目を当てて号泣した。 「…!?あ、あたし…!?なにやってるの…!?」 そのとき真理子の携帯が鳴った。 うろたえながらも出る。 「はい、日野です。はい、まもなく、あと五分ほどで…」 しゃべっている最中真理子は急に無表情になり、 「でどほんふごとあ、くなもま、いは。すでのひ、いは?のるてっやになしたあ」 先ほどの台詞を逆再生でしゃべりはじめた。 それも、ただ文字を逆から読んだだけではなく、録音して逆再生すれば普通に聞こえるよう、発音まで完璧に逆から再生している。 そんなことは普通、人間にはできることではない。 真理子の頭の中で、人間より高度な生命体である宇宙人が、真理子の体を好きなように操っているのだ。 その後も宇宙人は真理子の体を実験台にして、軽自動車を持ち上げたり、タイトスカートとヒールで五メートルほどジャンプさせたり、人間には発音できないような音の組合わせで声帯から音を出させたり、 自由に思うがままに真理子の口にしゃべらせ、真理子の体を動かした。 そのころには、この美女の奇行の数々を、ものすごい数の野次馬が見物したり写真を撮ったりしていた。 真理子はうつろな表情で、 「地球人の肉体の耐久力の限界がどのくらいかはわかった。 それでは次はこの地求人の体を使って、生殖行動をさせてみよう」 「データによると、地球人は生殖のさい、生殖を促すため、面積の少ない布をつけるとのことです」 スカートをまくりあげパンティを丸出しにしながら、 「この、下にある布だけになると、地球のオスは生殖本能を刺激されるようです」 真理子は、何人かで会話しながら、他人に説明をするような口調で独り言を言いながら、次々服を脱ぎ捨てていく。 見物していた真面目そうな女子高生が悲鳴を上げた。 「お姉さん…!お、おまわりさんを…けっ警察に電話…」 と言いかけた女子高生の頭に、UFOが光を照射した。 とたんに女子高生は無表情になり、手早く服を脱ぎ全裸になる。 真理子に向かって 「では交尾を試してみよう」 真理子は年下の女子高生にひざまづき 「船長、その体はメスです。この二体では… 地球人はメスどうし、同性間では生殖行動はできないのです」 すると周りの見物客の何人かが次々無表情になり、服を脱ぎ、やがて路上で性交を始める。 みな一様に無表情で、愛撫や体や腰の動かし方も、人体を一度も動かしたことがない脳がたどたどしく体を動かさせているような、 あるいは、別の生き物が外部からゲームのキャラクターをでたらめに操作しているような、人間の動きとは全く異なる、ひどく異様なものだった。 白昼の路上で大勢の人々が性交を始めたこの怪事件の当事者たちは、駆けつけた警官隊に全員逮捕された。 その頭から次々と宇宙人が抜け出し、UFOが宇宙へと飛び去っていくのは誰の目にも見えなかった。 宇宙人が入った人々は、その後も一生正気には戻らず、白痴状態で某病院に入院している。 警察に連絡しようとした女子高生は、毎日延々と乳首に唾液を塗り続け、猿のように目と歯を剥き出し、大股開きで放尿、終わるとまた乳首に唾液を塗り続ける。乳首はかぶれて真っ赤に肥大している。 かつて知的な美人であった真理子も、四六時中、性器と肛門をいじり回しながら、寄り目で鼻水やよだれを垂れ流し、ときおり肛門をいじった指で鼻をほじってはしゃぶり、前触れもなく、奇妙な音程で何時間も笑い続けるのだった。 |
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