週末の過ごし方

作:グラン





俺の週末の過ごし方、それはいろんな人物に変身して、その人物として一日を過ごすことだ。

変身なんでできるわけがない。誰もがそう思うだろう。だがこの俺にはそれができるのだ。自分とは違う人物になり1日、いや数時間でも過ごすことはとても興奮し、非日常的な時間をすごすことができる。

ちょっと前までは若く20代前半のさわやかな同性(男)に変身して、出会い系の掲示板で知りあった人妻をデートに誘い、食事をしてホテルに直行というパターンだった。

もちろん、ホテル代や食費は向こう持ってもらうので、お金もかからないし、性的な欲求も解消され一石二鳥。

しかし最近は同性への変身も飽きてきて、異性へ変身が秘かな俺のブームになっている。

それは、若い女へ変身して町に出るとすぐに男が引っかかり、こちらのわがままだってある程度聞いてくれるからだ。だがそれ以上に、女に変身し、女になりきって相手を騙せた時には、同性への変身とは比較にならないほど興奮するからだ。





今日の変身のテーマは「芸術系の女子大学生」にすることにした。

アパートで変身を済ませ、着替えも済ませる。

女物の服を着るのにもだいぶ慣れてきて、同じ様に化粧も普通にすることができるようになった。

すっぴんでも十分にかわいい子へ変身をしているため、化粧が終わった顔を鏡でみると、そこにはテレビに出てもおかしくない女性が映っていた。

「今から私は磐田アキ」

「今から私は磐田アキ」

「今から私は磐田アキ」

その鏡に向かって今日の変身した女性(架空の人物だが・・・)の名前を3回言い、自分に『磐田アキ、20歳の女子大学生』であると言い聞かせる。

出かける準備が終わり、取りあえず駅に向かう。
いつもは駅まで歩いて10分ぐらいであるが、女性の時は歩幅が狭いこととヒールや踵が高い靴を履いていることが多いため、通常の1.5倍ぐらい時間がかかってしまう。

しかしこの間に変身をした人物の設定を頭のなかで決めるため、いつもよりも短く感じることが多い。
また、行き当たりばったりより設定を決めたほうが、架空であるがその人物になりきる楽しみがある。

変身する時には名前と年齢ぐらいは決めているのだが、他に彼氏はいるのか?性格は?趣味はなにか?SEX経験はどれくらいなのか?大学の専攻はなにか?など大まかであるが決めていく。

今日の磐田アキのシュチュエーションは『別れたばっかりで彼氏はいない』、『性格は大人しく、恥ずかしがりや』、『趣味は料理』、『処女じゃないが、SEX経験は少ない』・・・・・などと大まかな設定を考えていると、思ったより早く駅に着いた。

目的の駅までの定期券をもっているが、今日は磐田アキであるため切符を買う。

切符売り場の列に並んでいると、俺へ視線が集中しているように感じる。

自意識過剰かと思ったが、回りの男の目線を追ってみると、どうやら磐田アキである俺の胸へたどり着いているようだ。

『ふふ・・・私の胸に見とれちゃっているのね。』

もちろんそういう風に見られるように大きめな胸をもつ女に変身したのだが、何人もの男に自分を、自分の胸を見られていると思うと、心は男であるが恥ずかしい。

しかし周りの男どもがまんまと騙されているんだと思うと、それが俺をさらに興奮させる。

これだから変身はやめられない。
改札を抜けて電車に乗ると、休日であったが結構混んでいた。
座席はすべて埋まっていたため、ドア横すぐの手すりを掴めるところに移動した。

車掌のアナウンスが終わると電車が動き出す。
電車が動き出すと体も一緒によろけてしまう。
いつもの通勤の時にはなんとも思わないことでも、磐田アキの体ではちょっと力を入れないと倒れ込みそうになる。

体力面ではどうしても男性よりか弱いため「女はたいへんだな」と思ってしまう瞬間だ。
男と女の差について考えていると、すぐに次の駅に着いた。
電車はさらにお客を乗せ、周りも人だらけになってしまった。
まあ仕方がないと思い窓の景色を眺めていると、おしりに変な感触が伝わってきた。
最初は後ろの人の体が当たっているのかなと思っていたが、すぐに人の手が意図的に触っている感触であるとわかった。

それも、スカートの上から触っている手の大きさの感触は、間違いなく男だ。

「えっ」と思い、後ろを振り返ろうと思ったが、周囲が混雑しすぎていて振り返ることができなかった。

手が円を描くように俺のおしりを触り始めたため痴漢とわかり助けを呼ぼうと思ったが、今日の俺は磐田アキである。
もし磐田アキだったら、助けが呼べずに痴漢にいろいろされても我慢をすると想像し、それを演じることにした。

まずは我慢をして、なにもできないような振りをする。

そうしているとおしりをなでる手は調子に乗り、さらに大きな円を描くよう動きだした。
感覚をおしりに集中しているからだろうか、円が一周するたびに自然に身体が「ビクッ」となり背筋が伸びる。
そして、俺は『あたしは感じてます』と痴漢に伝えるために、「あぁ・・」、「うぅ・・」と痴漢の手の動きに合わせて小さくあえぎ声を出す。

そのあえぎ声はとてもかぼそく、歯をくいしばって堪えながらも声が漏れてしまっているように聞こえるだろうが、実際は意図的に俺が磐田アキに成りきって出しているのだ。

『くく・・簡単、簡単。
 この痴漢は完全に俺が女と思っているな・・・
 まあ、姿は女で俺の演技がパーフェクトだからしかたがない』

おしりの感覚を楽しみながら、うまくだまさせていることに興奮してしまう。
そして俺の演技のあえぎ声を聞いて興奮してきたのだろうか。痴漢は調子にのり、おしりをさわっていた手はさらにスカートをめくり、割れ目に沿って指を縦に動かし始めた。

痴漢の指がゆっくりゆっくり縦に動き、女の秘所の上を通り過ぎるたびに、頭へ予想以上の快感を伝える。
さっきは演技で声を出していたが、今度は自然に「あぁ・・・あぅっ・・・あ・・・」と声が漏れ、手すりを掴む手に力が入り、顔を俯けるしかなくなってしまった。
徐々にその快感に慣れてくるが、それでも素を出さないようにして「磐田アキをだったらこの状況だとどんなふうにするだろうか?」と考えるだけが精一杯で、あそこから伝わる快感がそれ以上の余裕を与えてくれない。

俺は目的の駅まで自然に出てくるあえぎ声を必死に我慢する事しかできなくなっていた。そして理性を維持するために精神を集中することで精一杯だった俺が痴漢から開放されたのは、アナウンスが目的の駅への到着したことを教えてくれた時だった。
ドアが開き、周りの人たちのほとんどもそこで降りた。

俺の後ろで痴漢をしていた男も一緒に降りたらしい。周りを見渡すが、それらしい男はいなくなっていた。

俺も電車から降りて、すぐにトイレに向かうことにした。

痴漢をされているときには気づかなかったが、ショーツが愛液でビチョビチョに濡れているためだ。

トイレに入るなりすぐにスカートをたくし上げ、
「あー、しまった。
 痴漢をだましているつもりが、こっちが女の快感を味あわさせられてしまったのか・・・。
 反省せんといかんな。」

ショーツの濡れ具合を確認しながら反省する。

ショーツを見るとぐしょっと濡れていて染みができており、家に帰るまでこれをずっとはいているのは気持ち悪い。

そのため「予定はあくまでも予定」と自分自身に言い聞かせて予定を変更し、まずは買い物を済まそうと思った。





女の姿での買い物は、いつも駅ビル近くの店で済ませている。
時々ブティックなどに行くこともあるが値段も高いし、駅前だと中学生から主婦層ぐらいまでの服が

それぞれの店でそれなりの値段で手に入るからだ。

いろんな年齢層に変身する俺にはもってこいの場所だから愛用している。

そう考えているとすぐにランジェリー店に着いた。

男の時でも興味はあるものの変な目でみられる為できるだけ見ないようにして通りすぎるのだが、女の姿だと堂々と店の中に入れる。

姿が違うとこんなにも違うのかと考えさせられてしまう。

店の中に入ると、とりあえずぐるっと店内を一周し、どんなものがあるのかなと物色する。
女性の下着は男と違っていろんな種類があるから、かわいいブラやショーツに目移りがする。内心興奮したりフィッティングルーム前を通ると下着姿の女性がちらりと見えて鼻の下が伸びたりするが『私は磐田アキなんだから落ち着かないと!!』と自分を落ち着かせて、下着探しに集中する。

しかしまだ20代後半ぐらいに見えるフィッティングルームの中の女性は体の肉付きもよく、肌にもつやがあり、上下とも黒の下着をつけたスの姿はとてもセクシーだった。

俺から見れば異性同士だが、向こうからすれば同性同士だから安心しきって何とも思っていないらしい。ちょっと目線が合ったがすぐにカーテンを閉めることはせず、むしろ自分の体を見せびらかすように見下した目でゆっくりカーテンを閉めた。

「ふふ・・・」

それを見て声をだして少し笑ってしまった。

あの女は磐田アキである俺の姿をみて「どう?私の姿は?あなたとは違うのよ」と哀れんだのだろうか、どちらかいえば喜んだのは俺の方だ。

『その、きれいな体をお前はいやらしい男にみせたのだぞ』と逆にこちらが見下し、『まぁ今度はその体を参考にして変身させてもらう』と心の中でつぶやき笑ってしまう。

女性しかいない店内での買い物は、男の時には絶対に見ることのできない安心しきっている女性の姿が見られる。

それも、女に変身して買い物する醍醐味の一つだ。

そうしていると、レースをたくさんあしらったピンクのブラとショーツのセットが目にはいり

「あっ、この下着かわいい」

自然に磐田アキとして感動し、そのセットのブラとショーツ手にとってみる。

手にとって見るとさらに気に入ってしまった。

ピンクでレースをたっぷりと使っており、所々に花をあしらった刺繍と飾りがついている。

変身している磐田アキにはちょっと大人びたデザインだが、ピンクはとても磐田アキに似合っている色だ。

何より磐田アキとしてではなく俺自身がこれを気に入ってしまったため、すぐにサイズを確認してレジに並んだ。

この予定外の買い物は結構いい値段ではあったものの、今まで購入した下着の中で一番のお気に入りになるだろうと思え、購入した事に後悔の念はなかった。

取りあえず買い物を終えると、俺は早速トイレに入って着替えることにした。

濡れたショーツとお揃いのブラは持っていても仕方が無いので、トイレの出口にあったゴミ箱に捨てることにした。

綺麗なままのブラを捨てるのは勿体無いかなと思ったが、お揃いのショーツが無くなるし、思い切って捨てることにしたのだ。





ということでいろいろあったが、下着も取り替えてすっきりしたこともあり気持ちをリセットしよう考えコーヒーショップに入ることにした。

もちろんそれ以外に目的はある。

ここでナンパをされるのだ。

この近くにもナンパスポットなるものはあり、そこにいけば磐田アキのルックスだと5分といわずナンパをされるが、そんな場所でナンパをするのは金のない馬鹿な男たちが多い。

そんな男たちにナンパされたところで金がないから何も買ってもくれないし、馬鹿だから何もしなくても女と信じ込み、『俺がお前をだましている』という駆け引きができないため面白みがない。

逆にこういったコーヒーショップで一人時間をつぶしている姿を見せていると、まぁまぁ金を持っていて、こっちのわがままをある程度聞いてくれるちょっとは理性的な男が声をかけてくることが多い。

こういった男たちとの騙し合いの駆け引きが最高に面白く、興奮する。

不思議なことだが、この打算的な考えは男の時は考えつかないのだが、女に変身したときには普通に考え付く。

やっぱり女に変身すると自然に女の考え方になるのだろかと思ってしまう。

いつもの、即ち男の時のようにホットコーヒーを頼み、テーブルに座る。

座るテーブルもカウンターではなく、ナンパされやすい様に2人がけの丸いテーブルをチョイスして座る。

『いいカモはなかなか来るもんじゃないしな・・・。
 まあ、長期戦は覚悟しているから本でも読みながら、声をかけられるのを待とうかな』

バッグから文庫本を取り出し、本を読み始める。

そして10ページ目を読んだか読んでいないかのときだった。予想以上にはやく男に声をかけられた。


                                           《つづく》








《次回予告?》


「ね、暇してない?」

その男の声を無視する。

ここで返事をするのは時期尚早だ。

普通ここで返事をするのは、だいたい頭のゆるい女だ。

「ごめん、相席させて。」

声をかけてきた男は、今度はそう言いながらテーブルを挟んで俺の向かいの席に座った。

『それもナンパの手の内か』

そう思い、目線を本から目の前に男に向け、店内の様子を見渡した。

予想通り店内はがらがらではなかったが、空いているテーブルがちらほら目に付いた。

「まだ空いているテーブルはあるようですが・・・」

弱々しい口調で俺は目の前の男に切り返した。

その時、目の前の男は少しニヤっと笑ったように見えた。

おそらく『ビンゴ!!』とでも思ったのだろう。

『本を読んでいて顔が見えない状態でナンパをしたら、こんなかわいい子がひっかかるなんて』とでも思っているのだろうか。

俺が逆の立場だったらそう思うはずだから、おそらくそうだろう。

「いやいや、このテーブルがいいですよ」

男は引き下がらずに、逆に切り返してきた。

「えっ・・・でも・・・」

磐田アキを演じながら、今日の相手はこいつにしようかを見定めることにする。

「そう言わずに。いいでしょ、あなたの読書の邪魔はしないから」

男は笑顔で「いや」とは言わせないよ、と計算しながら会話を組み立ててきている。

『ある程度、頭は良さそうだな。
 それに清潔感ある服装で、年齢は20代の半ばぐらいに見えるな。
 それに金も持ってそうだから、今日はこいつと遊ぶか』

目の前の男は俺(磐田アキ)を今日のターゲットと決めており、俺も目の前の男を今日の相手として決めたことから、そこからの話は早い。

無言で目の前の男の提案を承諾する。

目の前の男は一つ提案が通ると、すぐに次の提案をしてきた。

「僕は桑田カイトって言うだ。君はなんて名前?」







【補足】

今回グランさんからいただいているのはここまでです。

続きは次回をお楽しみに(。

早く続きを読みたい方は、どうぞ掲示板でグランさんに要望してみてください。

                                         (toshi9)
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