「ほら、こうやって鏡で見ると、俺達完全にお隣の美人奥様と美人町内会長様だぜ」
「当たり前だろ、体は本人達のものなんだから・・・」


体験ツアー その1
作:ecvt


俺、笹本浩太は悪友の坂本洋治の運転で山道をドライブしていたのだが、カーブで運悪く中央線をはみ出してきたトラックに正面衝突してしまった。

気が付くと俺と洋治は白い雲のような空間に立っていた。
「ここって・・・おい、洋治、もしかして俺達・・・」
「ああ、まさか・・・あの世・・・?」
俺達がおろおろとしていると、スーツ姿のメガネをかけた男が現れた。
「やー、お二人とも!坂本洋一さんと笹木浩太さんとですかね?」
男は手帳を見ながら俺達にそう言った。
「はぁ?俺は笹本浩太だ!」
「俺も坂本洋治だ!」
俺達は同時に叫んだ。
「・・・へっ!?・・・も、申し訳ありません!こちらのミスで間違ってあなた方をあの世にお連れしてしまいました!たた、た、只今あなた方を現世にお戻しいたしますので少々お待ちを・・・」
男は慌てた様子で携帯電話(!)を取り出すと、ペコペコと頭を下げながらなにやらやり取りをしていた。
「・・・はい、えーっ!体が・・・一週間・・・はぁ、わかりました・・・リストは転送していただいて・・・はい、直ちに・・・」
電話を切った男は、タブレットPC(!)のような端末を取り出すと、申し訳無さそうに近寄ってきた。
「あのー、大変申し上げにくいのですが、すぐにあなた方の魂を現世に戻そうと連絡を取ってみたのですが、あなた方の体がぐしゃぐしゃで、すぐには戻せないそうです」
男は汗を拭きながらそう言った。
「はぁ!?」
「じゃあ俺達は一体どうすりゃいいのさ」
俺達は呆然とした。
「でも心配はいりません。魂は身体に入っていないと一週間で消滅してしまいますが、我々の技術を駆使すれば一週間で完璧に元通りになりますので。ただ、あなた方の体は治るまでは魂を入れる事が出来ないので、抜け殻の状態で病院に入院という形を取っていただくことになります」
男は申し訳なさそうにそう言った。
「じゃあ俺達は一週間どうすりゃいいのさ!」
「そうだよ!消滅しちゃうんじゃないのか?」
俺達は口々にそう叫んだ。
「先程説明したように、魂は一週間体に入っていないと消滅してしまいます。ですから、こちらの一週間前後意識不明になる予定者リストにあるあなた方の魂と波長が合う身体を選んでいただき、一週間はその身体に入って、その方として過ごしていただきます」
そう言った男は、タブレットPCに映されたリストを俺達に見せた。
最初は「はぁ!?マジありえん!」と思った俺達だが、リストには女性の身体もあったので興味をそそられた。
そしてリストを見ていくと、思わぬ人物達が見つかった。
○○市△町 上原香織:玄関天井の電球を交換しようとして踏み台から転落、一週間の気絶
○○市△町 佐野亜里沙 倒れてきた上原香織にぶつかる、一週間の気絶
とあった。
前から俺達は上原香織さんと佐野亜里沙さんに淫らな感情を抱いていたので、迷わず俺は香織さんを、洋治は亜里沙さんを選択した。
「了解しました。はっ!」
男がそう言うと、目の前が真っ白になった。


気が付くと俺は見知らぬ玄関に倒れており、下には亜里沙さんが倒れていた。
「こ、これは・・・あっ、声が・・・」
俺が出した声はいつもの低い声ではなく色気のある艶っぽい高い声だった。
見ると俺はスカートに薄手のタートルネックのセーターを着ていた。上を触ると頭の後ろで結ってあった。
慌てて立ち上がると壁に姿見が掛けてあり、そこに映っていたのは驚いた表情でこちらを見つめるあの美人町内会長の上原香織さんだった。
「俺・・・上原香織さんになっちゃったよ・・・あー、あー、テスト、テスト、うっふん!私、上原香織なのよ〜!」
俺が鏡に向かってそう言いながらセクシーポーズをとると、鏡の中の香織さんもその通りにセクシーポーズをとって自己紹介してくれた。
「うっひっひ、コイツは面白い」
鏡の中の香織さんはがに股で鼻の下を伸ばして鼻息も荒く自分の胸を揉んでみたり、スカートを捲り上げて中を覗いたりしている。
「う、う〜ん・・・」
しばらくして目を覚ました亜里沙さんも中身は洋治となっていた。
状況を理解した俺達は、それぞれの脳の記憶を読んで、俺の身体である香織さんの旦那は一週間の海外出張、洋治の身体である亜里沙さんの旦那は単身赴任中であることを確認し合うと、早速全裸になった。
「ど〜う、亜里沙?私、綺麗?私、上原香織なのよ〜!」
「綺麗よ、香織!あ〜、お・・・いえ、私、あの佐野亜里沙なの〜!私も綺麗?」
「綺麗よ、亜里沙・・・!」
「あんっ!香織ぃ〜!」
俺達はそれぞれになりきって今の自分の身体でセクシーポーズを披露し合った。
「あっ・・・なんか、チン○が勃つ代りに・・・」
「あぁ、アソコが濡れてきやがったぜ・・・」
「二階に行きましょ、亜里沙」
「えぇ、香織」
二階の寝室に行った俺達は、自分達の絡み合う姿が見えるように布団の横に姿見を立てると、亜里沙を下にして俺のほうが覆いかぶさるように重なり合った。
「なんていやらしいシュチュエーション・・・!ほら、こうやって鏡で見ると、俺達完全にお隣の美人奥様と美人町内会長様だぜ」
「当たり前だろ、体は本人達のものなんだから」
「亜里沙・・・!」
「香織・・・!」
熱いキスをした二人は、そのままレズエッチに突入したのだった。
「あぁ〜、女の身体って最高っ!」
「はぁん!レズって最高!」

それから一週間、俺達は盛りのついたサルのように香織さんの家でレズエッチに勤しんだ。
だが最終日・・・
「ただいま、香織・・・!?おまえ、一体何を・・・!?佐野さんの奥さん・・・!?」
いきなり出張から帰ってきた香織さんの旦那にレズ現場をバッチリと目撃されてしまった。
「ゲッ、やっべ・・・!」
「マジいな・・・」
うろたえている香織さんの旦那を横目に俺達が顔を見合わせると、いきなり目の前が真っ白になった。

気が付くと俺達は同じ病院の病室のベッドで目が覚めた。
「・・・ふう、一週間経ったのか、助かったな、洋治!」
「あぁ、間一髪だったぜ!あっはっは!」
俺達は互いに笑いあって生還を喜び合ったのだった。

END


エピローグ
「まったく、あれから大変でしたよ!旦那さんや二人の記憶を消したり、周りの人の記憶まで辻褄合わせて・・・まあ、元はといえば我々のミスなので仕方ないですがね・・・」
俺達が目覚めた翌朝、あの男が汗を拭きながら現れてそう言った。
「それはご苦労さん!でもさ、約束が違うじゃ無いか!元通りじゃなくて、これからまたさらに絶対安静で一週間入院しなきゃいけないそうだぜ!」
「俺達の一週間を返せ!」
「俺達をもう一週間動ける身体に移してくれよ!」
「な?」
俺達は口々に男にそう言った。
「そう言われましても・・・ならもう一週間・・・」
男は冷や汗をかきながら携帯で誰かと連絡をとりながらタブレットPCを取り出してきた。
「なっ?そうそう、これこれ!」
俺達は男のタブレットPCを奪うと、リストを確認した。
「なるならやっぱり女だよな、おっ、ここの病院の美人女医さんもセクシー婦長さんもいるぜ!」
「あの名門女子校の美人学年主任とか美人カリスマ体育教師や生徒会長もいるな!下着メーカーの美人女社長と秘書もいるな!」
俺達は盛り上がった。
「やれやれ・・・」
男は冷や汗をかいていた。


END




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