【ナイトメア・オブ・アンブレラ】


原案:あんぶれら
  作:リイエ




その日あたしは、先生に用事を頼まれてしまい帰るのが遅くなってしまった。

「はぁ〜、今日は一日中晴れるって言っていたのに………」

夕方一人でプリントをコピーしていると、空模様が怪しくなってきていた。
ぽつ…ぽつ…
ザアアアアアアアアアアア………

夏だし通り雨だと思って作業していたけど、一向にやむ気配はない。

「はい、先生。
 プリントのコピー終わったよー」

「ご苦労様、助かったよ」

「ほんとこういうの頼むの勘弁してね、先生♪」

先生に頼まれた用事が終わる頃には、土砂降りになってやむ様子がなかった。

「はぁ……」

窓をちらちら見る、あたしをみて先生は申し訳なさそうな顔をした。

「ごめんな、学校にある置き傘適当に持って行っていいからさ」

「はぁーい、わかりました。
 この埋め合わせなんかしてくださいね!」

「わかったわかった、うんじゃあ気をつけて帰れよー」

「はーい!さよなら先生、またねー♪」

あたしがそういうと、机に背を向けたまま手をひらひらさせた。

「失礼しましたー」

一礼をし、職員室をでた。
下駄箱のすぐ側にある、傘入れに傘があるか見渡すが、ない。
あるにはあるんだけど………

「置き傘なんかないじゃんかよー。
 あるのは、骨が折れてるこのビニール傘だけかー」

背に腹は変えられまい!
しょうがないのでそのよれよれの傘をもって、吹き荒れる雨の中に飛び込んだ。

「ひゃー、避難避難」

案の定、ビニール傘はすぐに崩壊し、骨組みだけになってしまった。
ビチョビチョなりながらも、雨宿りが出来そうなところがないか辺りを見回した。
お店の軒下で、雨宿りをする。
この雨のせいか、定休日かお店はシャッターがしまってる。

「ふぅ……、川センめー、うらむぞー」

絶対に学食の特大アイスを奢らせてやるんだから!
ぷりぷりそう怒りながら、雨が弱まるのを待っているとふと横に女の子が立っていることに気づいた。
4、5歳くらいだろうか、体に似合わない大きな傘を持っている。
傘を持っているのになんで、こんなところで雨宿りしているんだろ?
というか一人でなにしてるんだろ、お使いかなんかの帰りだったのかな。
そう思うと、女の子から目を離し雨が降っている空に目をやった。

………………………
………………………………
………………………………………

ふと女の子がじっとこっちを見ていることに気づいた。
女の子の方に向くと同時に視線があってしまった、色のまったくない瞳に吸い込まれそうになる……
じっと、なにも言わずにこちらを見ているのに怖くなり、話しかけてみることにした。

「こんばんわ♪凄い雨だね。
 お嬢ちゃんは、なんで傘を持っているのに帰らないのかなー?」

「………………」

あたしの発言に、キョトンとした顔で頭を傾げる女の子。
言葉が通じてないのかな?
それとも迷子なのかなぁー。

「うーん、お家どこにあるの?
 帰り方もしかして判らないかな?」

「…………………」

なおもきょとんとした顔であたしのほうを見続ける。
そして、いきなり

バサァ!!

「わっ!!危ないじゃない、何するの?」

ザアアアアアアアアアアア………

女の子はいきなり傘を開いた、女の子の背丈ほどの大きさなので女の子の姿を全て隠してしまっている。
まさか、幽霊じゃないよね…………?
あたしはこの場から離れたい衝動に駆られたが、雨はますます強くなる一方でとても出れる状況ではなかった。
あー、さっきの状態で無理してでも家に帰ればよかった。
一寸さきも雨の所為で見えなくなった、外をみてあたしは後悔をしていた。

バサン!

そんな事を思っていると、女の子は開いた傘を閉じた。
開けると言うことをアピールしているのだろうか?

「あ、あー、傘はちゃんと開けるのね。
 けどなんで帰らないのかな?」

内心ビクビクしつつも、女の子が返答することを期待しながら再度話しかけてみた。

「……………ら」

「え?」

「あめ……つよいから………」

「そっかー、そうだよねー。
 この強さじゃ、傘も役に立たないねー」

話しかけたあたしが言うのもあれだけど、喋ったことに驚いた。
女の子の声は雨にかき消されるほどの弱さだが、透明感のあるなぜか心に浸透する声だった。
気弱な子なのかな、あたしは女の子が喋っている事にほっとしていることに気づいた。

「おねーちゃんは………、帰ら……ないの?」

「あー、あたし?あたしはねーほら」

そういって、壊れた傘を見せる。

「これじゃあ、どうしようもないから弱まるまで少し雨宿りするつもりだったんだけどね。
 逆に強くなっちゃってきてるねー、あはははは」

そういって、照れ隠しのようにあたまを人差し指でぽりぽり掻く素振りをした。

「そう……、なんだ」

一瞬女の子が、笑った気がしたけど……?
そう思ったあたしは、女の子の顔を見たが最初に見たとおりの感情の見えない顔だった。
気のせいかな?

ザアアアアアアアアアア…………

再び、二人の間に沈黙が訪れる。
うぅ…、気まずい………。

「雨止まないね……」

「…………………」

「そ、そういえば、こんな時間になんでこんなところで一人でいたの?」

バシャーン!!

あたしが言ったその一言で、女の子は持っていた傘を手から離していた。
うつむいて、その表情は読み取れない。

「あ、あ、ごめんね。
 気にしてないから、大丈夫だよ。
 はい、傘」

そういって、女の子の傘を手に取った。

「やっと、傘を持ってくれたな」

途端に、女の子がおかしな口調で話し始めた。
何かがおかしいと思ったときには、すでに遅かった。
あたしの目の前に見える世界が暗転した。

「くくくく…………、女子高校生の体を手に入れた。
 このちんまい体じゃ、なにも楽しめなかったからな。
 どれ、具合はどんなものかな」

先ほどまでの女の子の位置には、となりに立っていた制服姿の少女がいた。
嫌悪するまでのいやらしい笑みは、少女がだせるものではない醜悪な顔であった。
彼女はセーラー服の上から胸に手ををやると、まだ膨らみかけているそのものを揉み始めた。

「んぅん………、いい感度だ。
 はぁ………はぁ……。
 下の方はどうかな」

そう言うと彼女は、スカートの中に手をいれごそごそと腕を上下し始めた。

「あ、あぁぁあああ、はぁぁん!!
 気持ちいいよぉー」

スカートから、抜き出した手には彼女の愛液がついていた。
彼女はぬれた指先を、チュバチュバと舐めていった。

「うふぅ、エッチな味がするな………
 この体も全て俺、いやあたしのもの……」

彼女は胸を揉みながら、もう片方の手で股間をむさぼり続けた。

「んうぅん!!!」

「すごぃ……、気持ちいい、頭が溶けちゃいそうだよぉ」

彼女の腕の動きが、だんだんと早くなっていく。

「んぁぁ!!いっちゃう!!!いっちゃうよぉぉぉ!!!」

ビクッ!ビクン!ビクン!

「い、イクーーーーーー!」

彼女は大きく体をそらせ、小刻みに震えた。

「はぁ………はぁ………、あふぅ……最高の体だ……。
 この体があたしのモノ……………
 ふふ……ふははは………。
 あっはっはっはっはっはー」

大きく笑う姿は、かつての少女ではなく。
なにか別の、異形なモノになっているようであった。

「さて最後の仕上げだ」

そう言うと彼女は横たわっている女の子に目を向けた。

「………………て」

「………き………て」

「こんなところで寝てると、危ないよ」

んんー?だれかがあたしをよんでいるきがする。
まだまだねむたいよー、あたしをおこすのはだあれー?

あたしはめをこすって、こえのするほうをむいた。

「お嬢ちゃん、こんなところで寝てると危ないよ?
 起きましょうね」

「んー、ここどこー?」

あ、あまやどりをしているうちにねちゃったんだ。
おねーちゃんがあたしをおこしてくれたんだー。
おれいをいわなくっちゃ!!

「おねーちゃん、おこしてくれてありがとうございます!!」

ぺこりとあたしは、あたまをさげた。
けど、なにかわすれているような………。
よくわからないや、あめもやんでいるしすぐにかえらないとおかーさんにおこられちゃう!

「真っ暗だけど、一人で帰れる?
 おねーちゃんが送っていってあげようか?」

「んーん、いえがちかくだからだいじょうぶ!
 それじゃあおねーちゃん、ばいばいー」

すると、おねーちゃんがあわてたように、おおきなかさをみせてくれた」

「あ、この傘、あなたのじゃないの?」

「んーん、ちがうよ!」

そしたら、おねーちゃんはわらいながら

「うふふ……そっか、そうだよね、違うよね。
 変なこと聞いちゃってごめんね。」

へんなおねーちゃん。
さぁ、かえらないと!

「おこしてくれてありがとうございました、じゃあばいばいー」

あたしはおねーちゃんにもういちどおれいをいってから、てをふりながらいえにかえっていった。

「うふふ、いい夢でも見てね」

女の子が去った後、少女は笑みを浮かべながらそう言った。


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