魔法の巫女ももこ

第12話「ココロノツナガリ(5)」

作・JuJu



 司令室。桃子は竜姫と睨み合っていた。
 桃子は床に落ちているお祓い棒を見た。二つにねじり切られていた。
 武器を使っても勝てなかったのに素手で竜姫が倒せるはずがない。
 ママの霊力を持った龍姫に勝つのは、やっぱり無理なのだろうか?
 あたしは生きて帰れないかも知れない。
 でもせめて雛ちゃんは助けたい。
「雛子ちゃんはどこ?
 アタシをおびき寄せるために連れてきたんでしょ?
 アタシは逃げないわ。だから雛子ちゃんは返しなさいよ」
「雛子。来るがよい」
 竜姫は椅子に付いたボタンを押す。
 司令室のドアがあいて、雛子ちゃんが入って来た。
「無事だったの?」
「桃太郎お兄ちゃん? こわかったよー」
 雛子は桃子に抱きついてきた。桃子も雛子を抱きしめる。
「もう大丈夫だよ」
「満足か桃子。
 今度は私の満足を満たしてもらおうか? 雛子、目を覚ますのだ」
 雛子は気を失った。倒れそうになった雛子を桃子が抱き抱える。
 雛子が目を覚ました。
「アンタは桃子? 汚い手で触らないで。(えっ、口が勝手に動く?)」
「雛子ちゃんどうしたの?」
「名前を呼ばないで! 気持ち悪いから。(どうして! お兄ちゃんはいつも助けてくれた人なのに)」
「雛子ちゃん?」
「まだわからないのか? こいつは洗脳で、我々の仲間となったのだ。
 今度の洗脳は強力だぞ? 生涯解けることはない」
「雛子ちゃん、しっかりして」
 雛子は桃子の腕を振り払った。
「触るなって言ってるでしょ? アンタなんか大嫌いなんだからっ!!(嫌! 体が勝手に! お兄ちゃん信じて! 今のあたしの体は、あたしの物じゃない! あたしはお兄ちゃんの事か……)
「雛子よ、お前のために剣を用意してある。使え」
 龍姫は椅子の後ろにあった、雛子の背ほどもある剣を雛子に手渡した。
 雛子は剣を受け取ると、頭に霧がかかってくる。
「(またあの感じだ! 頭が……考えられなく……。お兄ちゃん……助けて……)」
 雛子は剣を掴むと、嬉しそうに桃子を睨んだ。
「これで桃子を殺せる。うれしい……」
 雛子は剣を引きずって桃子に近づき、襲いかかってきた。
「死ねぇ!!」
 桃子は避ける。
 雛子の剣は床を叩き、雛子の手から血が滲んだ。
「雛子ちゃん、血が出ている」
「アンタが避けるからよ。アンタが避けるからあたしの体が傷ついたのよ」
「そういうことだ。
 やつはもうお前への憎しみしか考えていない。
 肉が切れようとも、骨が折れようとも、怯むことなく貴様に襲いかかってくる。むしろ、貴様を倒す情熱が高まる。
 胴体を真っ二つに斬られても、体が動く限り、這ってでも貴様に襲いかかるだろう」
 剣を避けてもよいぞ。貴様には容易いだろう?
 だがあの小さな体だ。次ぎに剣が床に叩き付けられた時には、肩の骨が外れるか、腕の筋が切れるか……さて、楽しみだな」
「卑怯者」
 桃子は叫んだ。
「雛子は最後まで言っていたぞ? 桃子とは戦わない、友達だからとな。
 それがどうだ?あれほど拒んでいたのに、今は私の思うがままだ。
 人間の心など、弱い物だな。
 どうした桃子? 雛子を倒さねば、お前が殺されるぞ?」
「死ねぇーーーっ!」
 桃子に雛子の剣が降り懸かってきた。
「くっ」
 桃子は雛子の剣を避けることなく、左の肩で受け止めた。
「みずから剣を受けるとは」
 龍姫は言った。
「驚いたな。人間と言う生き物は、理解不能な無茶をする。
 なぜ雛子を倒さないのだ! 桃子の体に傷が付いてしまったではないか!!」
「今の雛子ちゃんは、本当の雛子ちゃんじゃない!
 体や心をもてあそばないで!」
「それは貴様も同じだろう?
 お前の本当の姿は男のはずだ。だが、お前は女のふりをしている。桃子の振りをしているだけではないのか?
 私や、いまの私とどう違うというのだ?」
「この体はアタシの物よ!」
 桃子は雛子の手を取った。
 肩を動かすと痛んだが、これも自分の体の証明なんだと思った。
「雛子ちゃん。アタシ達お友達でしょ?」
 雛子の手を握った。
 肩から腕、手に向かって血が流れて、握った手に掛かる。
 雛子の開いた瞳が焦点を失ったように泳ぐ。
「トモダチ……。トモダチってなんだっけ……アタシと桃子は……トモダチ……」

               §

 雛子の心は闇の中にいた。
 何も考えられない、闇。
 自分が誰かさえ分からない、闇。
 闇の中に、温かさを感じた。
 これは……何? あたしの手。あたしの手だ。あたしの手の感触。
 頭の中は、手に感じる、温かい感触でいっぱいになった。
 温かい。温かい手。
 誰の手があたし知ってる。
 この温かさ、憶えている。
 あたしが苦しいとき、助けてくれる人の手だ。
 信じてれば、助けに来てくれる人の手だ。
 この人のそばにいれば、闇の中だって恐くない。
 その人の名は……。
 手の温もりが、心の中心に集まり一点の光となる、光は一気に広がって、雛子の心に覆っていた闇を払った。
「桃太郎お兄ちゃん……?」
 雛子は言った。
 視力が戻る。
 目の前で肩から血を流している桃子がいた。
 血は腕を伝わって、桃子が握った自分の手に流れている。
 温かい手と、それを被う温かい血。
 自分の手に重みを感じてみると、血の付いた大きな剣が握られていた。
 雛子は剣を離す。剣が床に当たる、乾いた音が司令室に響く。
「桃太郎お兄ちゃん。これって。じゃああたしが……。あ……あああ……」
 その場でへたりこむ雛子。尻餅を突く。
「雛子ちゃん。大丈夫?」
 桃子は微笑んだ。
「桃太郎お兄ちゃん? あたし? あたし」
 桃子は雛子を抱きしめた。
「ごめんなさいお兄ちゃん」
「わかってる。全部竜姫の仕業なんだよね」
「お兄ちゃん! 通じたんだ。あたしを信じてくれてたんだ。お兄ちゃん……大好き!!」
「ほう? 私の洗脳を振り切ったのか?」
「見た? これが人間の強さよ!」
「人間とはつくづく不思議な生き物だ。
 おい、守護竜。
 桃子の体に傷がついてしまった。
 待っててやる。桃子の傷の回復をしてやれ」
 スモモは竜姫を睨んだ。
『ごめん桃子ちゃん。まだ体が動かない。ここに来て』
 桃子がスモモの所に行く。
『守護竜は、ある程度なら自己回復力があるの。
 それを桃子ちゃんに送るわ。
 私を桃子ちゃんの肩に乗せて。
 桃子ちゃん。わたしの持っている霊力を全てあなたに託すわ』
 スモモを肩に乗せると、スモモの霊力が体に入ってくるのが感じられた。
 同時に、スモモの苦しい顔が増していく。
『ぐっう……』
「苦しいの?」
『うっうう……』
 答えられないスモモに代わって、竜姫が答えた。
「苦しいに決まっておるだろう!
 今まで、傷を抑えるために霊力を使っていたのだ。
 それを今、桃子が奪っている。
 いわば、その竜の命を吸っているのと同じ事」
「スモモちゃん!」
 桃子はスモモを離そうとしたが、スモモはしっかりと桃子にしがみついていた。それでも桃子が無理矢理剥がそうとするとスモモが言った。
『死にはしないわ。ただ少し休ませて……』
 スモモがぐったりと肩にのしかかった。
 スモモの腹の毛には、桃子の血がたっぷり付いていた。
 まるでスモモから流れた血の様に見えた。
 桃子が肩を見ると、傷はすっかり治っていた。傷跡さえない。
 桃子がスモモを抱きしめる。
 心臓の音が聞こえて、呼吸もしている。命はある事を確認できた。
「回復はもういいか?」
 竜姫はいった。
「スモモちゃん。後は、任せて」
 桃子はスモモを床に下ろすと、竜姫を見た。
「桃子よ。この程度で、雛子の洗脳を解いたつもりではあるまいな?
 この私を倒さぬ限り、その娘の洗脳は一生解けることはないぞ」
「何度やっても同じ事よ。アタシが元に戻してみせる」
「なるほどな。では、そのお互いを思う心を利用させてもらおうか?
 雛子よ、お前ははエッチなお人形になるのだ」
「あっ!」
 今までしゃがみ込んでいた雛子が、紐で引っ張られた様に立ち上がった。
「雛子ちゃんに何をしたの?」
「桃太郎お兄ちゃん……」
 雛子が桃子に近づいてくる。
 潤んだ、トロンとした目。頬も充血して赤い。
 何か思い詰めたような表情だった。
「今度は何?
 また雛子ちゃんをつかって、アタシを殺そうとする気?
 それはもう通用しないっていったでしょ?」
「桃太郎お兄ちゃん……大好き!」
 雛子は桃子に抱きついてきた。
「え? ええ、アタシも雛子ちゃんは好きよ?」
「そう言うんじゃなくってぇ〜」
 雛子は桃子の唇を奪った。
 桃子が唖然としていると、雛子は離れた。
「雛子ね。お兄ちゃんの事前から好きだったんだけど、急に我慢が出来ないくらい好きが溢れてきたの」
 雛子はスカートもシュミーズもパンツも脱いだ。
 雛子が、裸で自分の前に立っている。
 恥ずかしそうに、上目遣いで自分を見つめている。
「雛子、お兄ちゃんのことを考えるだけで……体の、ここの奧がドキドキってしてくるの」
 雛子は自分の股間を指差した。
 女性器と言うのにはまだ余りに未熟な恥丘、ただ一本のスリットが走っているだけだった。
 だが、雛子の言うとおり、そのスリットからは僅かに愛液で濡れているのが分かった。
「濡れてる……」
「お兄ちゃん。お願い。
 雛子は子供だけど、知ってるよ。
 雛子を抱いて。雛子の事を好きにして」
 雛子は抱きついてきた。
「ふふふ。どうだ? 
 性欲がわき出て来たか?
 お前の中の男が目覚めて来たか?
 お前の中の男の性欲が強くなった分、お前の霊力は減っていくのだったな。
 さーて、どこまで我慢できるかな?」
 そうだ。エッチな事を考えちゃいけない。
 桃子は目を閉じた。
 なんとか興奮を収めようとした。
「お兄ちゃん、雛子のことが嫌い?」
「雛子ちゃんのことは好きよ。だけと女の子どうして……」
「どんな姿をしていたって、桃太郎お兄ちゃんは、お兄ちゃんなんだよ。お兄ちゃんは男の人なんだからいいんだよ」
 雛子は桃子の巫女装束の胸元から手を入れて、桃子の胸をさわった。
「あっ!」
 桃子の乳首に甘い電気が走る。
 初めて知った女の快感。
「アタシは女の子だもの。女の子の快感は知ってる。
 逃げたって無駄だよ。どんな事をしたって、お兄ちゃんを離さない。
 お兄ちゃんをあたしの虜にするの」
 雛子は小さいながら、すでに男を襲う女となっていた。
「雛子は女の子だから分かるの。こうすると気持ちいいって」
 雛子は桃子の白装束と肌襦袢を腰まで下ろした。
 桃子の胸があらわになる。
「あたしはお兄ちゃんが好き。だから、どんなことをしてもお兄ちゃんを手に入れるの。その為ならば、こんな事だって出来るんだよ」
 やっと膨らみ始めたばかりの小さな桃子の胸を、雛子がなめ始めた。
「雛子ちゃん。駄目だよ。巫女装束を脱いだら霊力が出ないし……あん」
 口ではそういったが、体は雛子に任せるままにしていた。
 雛子は桃子の体をゆっくりと押し倒す。
 桃子の背中に床の冷たい感触が伝わった。
 雛子の愛情のこもった舌は、優しく、ゆっくりと丁寧桃子の乳首をなめた。
「ね。女の子って気持ちいいでしょ?」
 桃子は女としての初めての性感にとまどっていた。
 アタシの今の体は、女の子なんだ。小学生の女の子なんだ。
 相手は小学生の雛子ちゃん。
 小学生の女の子同士の性行為。
 そんなのが許されるはずがない。
「下の方は、もっと気持ちいいんだよ?」
「下の方!」
 もちろん桃子の恥丘を指すのだろう。
 女のあそこって触られたら、どんな感じがするんだろう?
 気持ちいいっていうけど、どのくらい気持ちがいいんだろう?
 そう思っている間に、雛子が袴に似せたスカートをまくり上げて、パンツを脱がしてしまった。
 小さなコットンパンツが雛子の手に握られている。
 あんな小さな子供用のパンツを、アタシははいていたんだ。
 雛子の顔が、桃子の恥丘に近づく。
「そこは……駄目だよ雛子ちゃん」
 雛子は桃子のスリットを両手の指で丁寧に開く。
「桃子のちゃんのココって、綺麗」
 桃子は恥ずかしさと、同時に期待をしている自分に気が付いた。
 雛子の小さな舌が、桃子の割れ目の中に入り、肉壁を刺激した。
 自分の股間に物が入ってくる。
 くすぐったいだけだったが、少しずつかゆみは快感に変わっていく。
 雛子唾液が、膣内にたまっていくのを感じた。
 雛子の舌が、桃子の中には言ってくる度に、桃子はこれが女の子の体だと言うことを教えられた。
 桃太郎の時では決して得られない快感。
 そんな快感を得られる体。
 アタシは今、桃子の体を動かしているんだ。
 女の子の体を、自由に使っていいんだ。
 だって、アタシの体なんだから。
 桃子は雛子の頭から離れると、帯をほどいた。
「雛子ちゃん……」
 桃子は雛子を抱いた。
 肌に体温が伝わる。
 柔らかい肌を全身で味わう。
 自分の乳首を、雛子の乳首に当てる。
 小さな胸が重なり、乳首と乳首を擦り合わせた。
 雛子の足を開かせ、自分の秘所を雛子の秘所に合わせた。
 アタシは女の子の体を使って、雛子ちゃんを犯しているんだ。
 桃子は、霊力が減っていく感じを感じた。
 同時に、心の中の男としての性欲、桃太郎の心が心の奥底から大きくなって来るのを感じた。
 その間、竜姫は二人の行為から目は目を離すことはなかった。
 始めてみる、人間の性交。
 桃子と雛子が絡み合い、快感をすすり合う表情。
 あえぎ、悦び、心から快楽に酔う二つの体。
 かすかな汗が肌を光らせる。
 桃太郎は桃子になったことによって、あの快感を得ている。
 竜姫はうらやましかった。
 自分も今の体、桜の体ならば体感できる。
 今まで感じることも出来なかった人間の快感を味わえるのだ。
 そう思うだけで胸の辺りが熱くなり、体が興奮しているのを感じた。
「雛子よ、もういいだろう! 眠れ!」
 竜姫が言うと、雛子は床に倒れ込んだ。
「ハアハア……。雛ちゃんに何をしたの?」
「安心しろ、眠っているだけだ」
 竜姫は雛子の顔を見た。満足した寝顔を見て、どれほど気持ちよかったのか確信した。
「桃子よ。今は人間の女の体を使っているが、貴様も元は男だ。
 どうだ? 人間の女の体の快感は?
 それ程気持ちいい物のなのか?
 私も興味はあったのだが、やり方が分からなかった。
 プロフェッサーKに言っても、奴は性行為はしなかった。
 どうだ、桃子。今度は、私と交わぬか?」
 桃子は荒い息と潤んだ目で竜姫を睨む。
「だれが!」
「見よ、この美しいからだを。
 この体が私の物なのだ。
 使わなければ、あまりにもったいないだろう。
 私にも、その快感を試させろ!!」
 竜姫はボンテージを引き下げ、胸を出した。
 巨大な胸が、大きく揺れる。
 上向きの、桃色の乳首が桃子の目を奪う。
 竜姫は恥じらう様子も見せず、一気にボンテージを下げる。
 竜姫のへそが見え、秘丘があらわになる。
 抜け殻になったボンテージが、竜姫の太ももを通って足元に落ちる。
「この体はお前の母だろう?
 どうだ? 母とエッチな事ができるのだぞ?
 悪い気もしまい?」
 桃子はスモモを見た。
 それに気が付いた竜姫は言った。
「安心しろ、雛子もお前の守護竜も眠っている。ここには私とお前、二人しかいない。
 お前の体でこの体を楽しませてもらうぞ?」



 第12話おわり / 第13話「ココロノツナガリ(6)」 につづく




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