迷いうさぎの恩返し
 作・JuJu


◆ プロローグ

 いきなり僕の目の前に現れた白いバニーガールの服を着た女の子は、両手を大きく広げて陽子に背後から近づいた。やさしく抱きしめるように、その体を陽子の体の中にうずめてゆく。

 腕を入れられた陽子は気を失い、脱力したように体を前のめりに倒した。

 バニーガール少女の動きは止まることなく、やがて頭を除くその全身を陽子と融合させてしまった。

 驚愕している僕のことが気にかかったのか、ウサギ少女はまだうめていない頭をこちらに向けるとニッコリと笑い、おだやかな声で言った。

「安心してください。これは恩返しです、ご主人様! ご主人様はわたしが迷って行き倒れになっていたところを助けてくれました。その恩返しです」

 そういうと最後に残った頭を、うなだれた陽子の頭に重ねるようにうずめた。

 やめろ!! と、この時の僕は言うべきだったのだろう。だけれども、体に体をのめり込ませるというあまりに異様な光景に、ただぼんやりと見ていることしかできなかった。止めることも、目を逸らすことも、僕にはできなかった。

 ――どうしてこんなことになったのか。

 それは半年前に遡(さかのぼ)る。


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