ぼくだけの☆亜里紗LIVE(アリサライブ)! 作・JuJu 【STAGE2 亜里紗の人形】 亜里紗に握ってもらった手でオ○ニーをしたい。その気持ちは収まるどころかますます大きくなるばかりだ。 亜里紗に悪いと思い堪(こら)えてきたが限界だった。性欲に負けたぼくはオ○ニーをしようと決める。 いままで抑えてきた反動もあるのだろう、一度決心をつけてしまうとすぐにでもやりたくて溜まらなくなった。家に帰るまでとても我慢ができそうにない。彼女の手の暖かみがまだ残っているうちに、彼女の手の感触を忘れないうちに、オ○ニーをしたい。そんな強い思いに急(せ)き立てられながら辺(あた)りを見まわす。更地の目立つ通りに、建築中らしい白いシートに包まれた建物が目に入った。スーパー・マーケット予定地という看板が立っている。この中ならば人目を避けられるだろう。そう思うが早いか、ぼくはシートをまくってスーパーの建築物に侵入した。 中には入ると思ったとおり建築の途中らしく、床や部屋の壁が作りかけになっている。床には雑多に置かれた建築器材が散らばっていた。作りかけの部屋の壁は、まるで迷路のように建物内を仕切っている。 建築物の外側に張られたシートと作りかけの壁は、オ○ニーをするぼくの姿を通行人の目から隠すには充分だった。 ぼくは建物の奥で立ち止まり、スボンのポケットからポケットサイズのテッシューペーパーを取りだす。 と、ここで急に思いつく。 待てよ……。握手会にはマネージャー兼プロデューサーもいたな。そうだ! どうせなら彼女も加えて、三人でのセッ○スという場面を想像しながらオ○ニーをしよう。 素晴らしいアイデアにますますオ○ニーへの期待が高まる。 ところが……満を持してズボンのファスナーを下ろそうとしたその瞬間のことだ! 入口から物音が聞こえた……。 作業員が入って来たのだろうか。 壁の陰から相手に見つからないように、のぞくように見ていると、驚いたことにその人物はさきほど握手をした、そしてたったいまオ○ニーためのの妄想に使おうとした亜里紗だった。 亜里紗は隠れているぼく気がついていないようで、走りながらぼくの視界を横切るように通り過ぎていくと、建物の奥に消えていった。 どうして亜里紗がこんな所に……。 ぼくは好奇心を抑えきれず、隠れていた壁の陰から出ると亜里紗が向かったほうに、物音を立てないように注意を払いながら歩き出す。 亜里紗を捜していると、迷路のような壁から小学生の女の子が飛び出してきた。 「きゃっ!」 ぼくにぶつかった女の子は驚いた声をあげると尻餅をついた。同時にスカートがまくれ上がり猫がプリントされたパンツがあらわになった。そのことに気がついた女の子はあわててスカートを掴んでパンツを隠す。恥ずかしがって顔を赤くしているが、あいにくぼくは子供のパンツなどに興味はなかった。 女の子がぼくの顔を見て驚く。 「あっ、握手会に来ていた人」 「え? どこかであったかな?」 握手会で小学生なんて見かけただろうか? それとも亜里紗に夢中で彼女に気が付かなかっただけかな。 「ううん。何でもないんです!」 女の子は大きく顔を横に振ると、ぶつかったときに落としたらしい亜里紗の人形を拾い上げる。慌てるようにして建物の外に走り去っていった。 女の子がいなくなり、ふたたびひとりになったぼくは、女の子と亜里紗を見間違えた自分にあきれていた。 よほど性欲が溜まっているのかな? 似ても似つかない小学生の女の子を亜里紗と見間違えるなんて。 軽く落ち込むと同時に性欲もなんか萎えてしまった。これではオ○ニーをする気分になれない。それに今度こそ本当に作業員が来たらと思うと、落ち着いてオ○ニーができない。 性欲がおさまると、今度は罪悪感にさい悩まされた。やはり亜里紗でオ○ニーをしちゃいけないんだ。 それでもまだ先ほど見たのが亜里紗ではなかったのかという懸念が消えず、念のために建築物の中をくまなく歩いて確かめた。が、誰もいない。やはりさっきの小学生の女の子を亜里紗を見間違えたようだ。 きっと亜里紗のことで頭がいっぱいだったから見間違えたのだろう。そんなことを考えながら、ぼくも建物から去った。 ♪ ♪ ♪ 翌日。 ぼくは亜里紗のライブを観(み)るために会場に来ていた。早く亜里紗に会いたいと気持ちがはやってしまい、開演時間よりずいぶんと前に来てしまった。ステージの観客席を見渡してもまだ誰もいない。 東京の遊園地。その中にある野外ステージが今日の亜里紗の会場だ。観客席にはイスはないので全員立ち見だ。それでも千人の観客を収容できる規模はある。 亜里紗の魅力を考えればもっと大きな会場でやるべきではないかと憤慨してはみたものの、現実にはデビューしたばかりの新人でしかも弱小のプロダクションの所属では、さすがに巨大コンサート会場は無理らしい。しかたがないかと結論づけ、やるせない気持ちを追い払うように空をあおぎ見る。観客席に屋根がない野外ステージだから、うららかな春の空が彼女に合っていた。 公演までやることもないので、ぼくはそこら辺をブラブラと散策することにした。 遊園地内をしばらく歩いていると、グッズを販売する大きな店を発見した。暇を持てあましていたので中をのぞくことにする。広い店内には雑多なグッズが並んでいた。そんななかに亜里紗の人形があった。着せ替え人形ほどの手のひらに乗る小さな人形だ。 亜里紗の人形はリボンやフリルで飾ったしたドレスを着ている。ネットの動画でも同じステージドレスを着ていた。おそらく亜里紗がステージに立つときは、いつもこのドレスを着ているのだろう。 そういえば昨日、建物でぶつかってきた女の子も、似たような亜里紗の人形を落として拾っていたな、と思い出す。もしかしたらあの女の子が持っていた物と同じ物かもしれない。 そこでぼくも興味が出て亜里紗の人形に近づくと、まじまじと見入った。それは女児向けのおもちゃの着せ替え人形とは違い、なかなかの精巧なものだった。さすがに人形っぽさはあるものの、細部までよくできていて観賞に充分堪えるものだった。値札を確かめると三万円もした。フリーターのぼくには大金だ。少し悩んだが、結局亜里紗の人形を買うことに決めた。人形とはいえこれで亜里紗といつも一緒にいられると思えば安いものだ。 ♪ ♪ ♪ グッズ販売店から出たあと、さっそく先ほど購入した人形の箱を開けた。 歩きながら亜里紗の人形を手に取って眺める。心ひそかに、人形を買うほどぼくは亜里紗のことが好きなんだと、ちょっと得意になりながら。 ♪ ♪ ♪ こうして人形をながめながら歩いていると、どこからか小さな女の子の声が聞こえてきた。 「わ?、遅刻遅刻! 急がないと間に合わないよ?っ」 人形から目を離して声の聞こえた方を向いたのと同時に、何者かがぼくに体当たりをしてきた。 「きゃっ!」 足もとを見れば、昨日もぶつかってきた小学生の女の子が尻餅をついていた。短いスカートがまくれて、今日はウサギ柄のパンツが見えていたが、やはりぼくは小学生には興味がなかった。仮に興味があったとしても今は亜里紗のコンサートの前だ。小学生のパンツごときで心を奪われてなるものか。ぼくは亜里紗一筋だと人形に誓おうとしたら、さっきまでながめていた人形が手から消えていた。どうやら先ほどぶつかった時に落としたらしい。 地面を見回すと、やはり人形が落ちていた。ぼくの物と彼女の物の二体がころがっている。 「ごめんなさい」 小学生の女の子はあわてて頭を下げる。 「いや、俺もボーッとしていたから」と答えながら手で制した。「それよりも、何か急いでいなかったかい?」 「あっ! そうだった!」 女の子はあわてて地面に落ちていた亜里紗の人形をつかみ取ると、そのまま走り去ってしまった。 「トイレに急いでいたのかな?」 などとつぶやきながら、ぼくも人形を拾った。 「亜里紗ちゃんの人形をいつも持ち歩いているなんて、あの子は亜里紗ちゃんみたいなアイドルになるのが将来の夢なのかな」 などと、ぼくは同じ人形を持つ者同士の親近感を感じていた。 「それにしても、こんな高価な人形を小学生がもっているなんて……」 あらめて亜里紗の人形を眺める。とその時、人形の異変に気が付いた。 大きさはぼくの買った人形と同じなのだが、出来が段違いだった。購入した人形も精巧な物だったが、いま手にしている人形は精巧などというものを凌駕している。人間を小さくしたと言われても信じてしまいそうなほどで、生きているような出来ばえだった。もちろんグッズショップで市販されているような大量生産できるものではない、よほど名のある人形職人が制作したに違いない。 どうしてこれほどの人形を小学生の女の子が持っていたのかと疑問に思ったが、今はそんなことを考えている時ではない。おそらくあの女の子は、ぼくの人形をまちがえて持っていってしまったのだろう。こんな高価な人形をなくして困っているはずだ。あの女の子に返さなければ。 そう思い、ぼくは女の子が駆けていった方に向かって走った。 行き着いたのはライブ会場の裏側だった。あるのはスタッフなどが出入りする専用のドアだけだ。さっきの女の子は見当たらない。ドアの前にガタイがでかくいかめしい顔をした警備員が一人で立っているだけだ。 あの女の子はどこに行ったんだろう。 そう考えて、合点がいった。 女の子は人形を、亜里紗本人か、あるいは芸能プロダクションへ届ける途中だったに違いない。そのために楽屋に向かっていたのだ。それならば小学生の女の子がこれほどの高価そうな人形を持っていても不思議ではない。 楽屋口に近づくと、警備員が睨みながら低い声で言った。 「だめだめ。ここは関係者以外立入禁止だよ」 「すみません。ここを小学生くらいの女の子が通りませんでしたか?」 「ん?」 「これです。亜里紗ちゃんのおつかいをしていた女の子がこれを落としたので、返してあげようと思って」 そう言いながらぼくは人形を警備員に見せた。ところが警備員は人形に一瞥をくれただけですぐにぼくを睨んだ。 「落とし物を届けに来た? そんな風な理由を作って出演者と会おうとする人が多くて困っているんだよね。そもそも女の子なんてここには来ていない。さあ、行った行った」 面倒くさそうに手で追い払うようなしぐさをして、ぼくが帰ることをそくす。 あまりにもぞんざいな態度に腹が立ってきた。ぼくは善意で人形を届けに来たのに、こんな扱いはあんまりだ。ぼくは黙ってその場を去った。 |