夫婦の営み
 作:Howling


毎日毎日、ハードな仕事の繰り返し。
まともに向き合ってたら、精神的にすり切れてしまう。

俺、茂村陽一もその1人だ。

ただ、俺には救いというか、逃げ道がある。

「ただいま」

「おかえりなさいあなた」

家に帰れば、妻がいる。妻の名前は美奈子。

スタイルもよく、それでいてバストやヒップといった重要なところはしっかりと豊満。

「遅くまでお疲れさま。お風呂、沸いてますよ」

なのに性格もいい理想の妻。心からねぎらってくれて、

帰ったらとびきりの料理でいつも迎えてくれる。

妻のためなら、俺は頑張れる。


風呂から上がると、テーブルには見るからに美味しそうな料理が並んでいる。
妻への感謝を胸に食べ始めた。

「今日営業先でさ・・・・」

「そうなの?大変だったわね。今日、あなたの好物の肉じゃが、材料が安かったから作ってみたのよ・・・・」

美奈子は、俺の話も嫌な顔ひとつしないで聞いてくれる。
俺も、美奈子の話を興味深く聞く。

何気ない、夫婦の日常。今の俺は幸せだ。

しかし、一番の幸せな時間はここからだ。




明日は久々の休み。これからすることをじっくり愉しむことができる。
俺自身、楽しみでしょうがなかった。

寝室。

すでに美奈子はベッドにいた。
ただ、これから起こることを思ってか、目をとろんとさせている。
どことなく頬が火照っているようにも見える。

その様子は、普段の優しい彼女とは違う淫靡さをも備えていた。

「お待たせ・・・とっ・・・・」

美奈子は、ベッドに近づく俺の手を引っ張ってベッドに招く。

「もう・・・・待ってたのよ・・・・」

耳元でささやかれる。

息が若干荒い。

「きて・・・・・」

美奈子は、着ていたパジャマを脱ぎ、さらにその下、ブラとショーツに手をかける。

深紅のランジェリーだ。
今日のために用意したのかもしれない。

それらをじっくりと脱ぎ、一糸まとわぬ姿をさらす。

すると、美奈子は俺に背を向けた。

これが合図だ。

俺は、美奈子の背中、首筋からお尻の割れ目あたりに沿って指を這わせる。

「んんっ・・・・・・」

美奈子は、少し呻く。しかしそれは苦痛からではなく、快楽の伴う呻きだった。

すると次の瞬間、指でなぞられた部分がぺらんとめくれていく。
そして、美奈子の皮膚に裂け目が現れた。

不思議なことに中は空洞で、美奈子の皮膚の内側が見える。


そう、これは俺の能力。何でも裂け目を作ることができるのだ。

長いこと使い道が分からなかったが、今ははっきりしている。

人に使えば、その相手を"皮"にできるのだ。


「ねえ・・・あなた・・・早く・・・」

皮にされながらも、切なそうに俺を求める美奈子。

聞いた話だと、彼女にとっては空っぽになった気分になれて気持ちいいのだとか・・・

「分かったよ」

俺は、その裂け目に脚を入れる。するすると抵抗なく両脚が入っていく。
美奈子の脚が、俺の体型に合わせて膨らんでいく。
そこには女性らしい曲線は皆無だ。
しかし、それも一瞬だ。

この瞬間、俺はいつも快感に思う。

俺の脚が入って膨らんだ美奈子の脚が、もこもこと音を立てて変化していく。

やがて、元の美奈子の美脚に戻っていった。

それと同時に、俺と美奈子の脚は一体化したのだ。

「うふふ、私達また一つになっていくのね」

美奈子は嬉々として言う。完全に一体化するのを待ちきれない様子だ。

「ねえ、あなた。早く私を着て。私、あなたと一心同体になりたいの。
 身も心も融け合いたいの」

「分かってるよ。俺もどきどきしてる」

そう言って俺は、美奈子の皮の顔部分をとって口づけをする。

「ん・・・・んむっ・・・・・」

一時濃厚なディープキスを交わす。名残惜しさを感じながらも唇を離す。

しかし、これからもっと密着、それどころか、文字通り一つになるのだ。

興奮が収まらない。我慢の限界だった。

俺は、がっつくように美奈子を着る。腕を一気に通し、首から下まで一体化させる。

そして、いよいよ頭を美奈子の中へ入れていく。
いつものことながら、思わず固唾を呑む。

勢いに任せて、俺の頭を美奈子の中へ突っ込んだ。

目の位置を調整する。
それと同時に、裂け目が自然に繋がり、完全に癒着した。


一瞬、呆然とする。

この瞬間、俺と美奈子は融け合っていくのだ。

ベッド近くの姿見には、うっとりとした様子で目を瞑る美奈子が映る。

「・・・・・♡」

美奈子の目が開く。

手のひらを見つめ、握り返す。身体が馴染んだのを確かめて今度は自らの身体を抱きしめる。

「・・・ふぅ。いつもながら不思議な気分ね。一体化してるなんて・・・・」

美奈子は1人呟く。

実は美奈子の皮に入った後、俺はいつも最初は身体の自由を美奈子に預けているのだ。


「はぁ・・・・・はぁ・・・・」

次第に、美奈子の息が荒くなっていく。
彼女自身、この不思議な体験を通じて興奮しているのだ。
その興奮、快感は、俺の方にも響いてくる。

逆に、俺が感じる興奮や快感は美奈子にも響く。
つまり、この状態になると、2人分の快感をその身に味わうことになるのだ。

美奈子自身、最初はこの一体化に戸惑っていたが、この2人分の快感に当てられてすっかり病みつきになっていた。

そして、行動も大胆になっていく。
胸を思い切り揉みしだき、ベッドで身体をくねらせる。

「ああん!!・・・・・ねえあなた分かる?私、あなたと一心同体になってるって考えただけで
 どうしようもなく身体が火照っちゃうの・・・・・・それに1人の時よりずっとずうっと気持ちよくっておかしくなりそう・・・・
 ああ・・・・・イイ・・・・」

普段の清楚な美奈子からはかけ離れた乱れっぷり。

俺はただひたすらに、美奈子の快楽を享受する。

2人分の快感をその身に受ける美奈子はそれだけでもジャンキーになるほどに快楽漬けになる。

しかも、この状態の俺と美奈子は互いに隠し事ができない。
むき出しの感情をさらし合っている。

そのせいか、あるいは一体化し続けて嗜好が染め上げられたのか、今や美奈子は俺のしたいことを進んでしてくれる。
俺好みの性格、性癖を持つようになった美奈子を、俺は愛おしく思えた。
一方で、俺も美奈子が望む性的な嗜好とかも理解できるようになった。おかげで夫婦円満にもなっていると思う。
 
今日は、美奈子のリクエストであることをやってみる。
最初にその話しを聞いたとき、思わず面食らった。

(じゃあ、美奈子。そろそろ・・・・)

「はぁ・・・はぁ・・・ええ、あなた。お願い」

美奈子は、自らの内側にいる俺自身に語りかけて目を瞑った。

身体をぷるぷると震わせる。

今この瞬間、身体の主導権が俺に移ろうとしているのだ。

やがて・・・・・・


俺は、再び身体が自由になった感覚を味わった。
鏡の方を見る。
今の俺の姿は、愛する美奈子そのものだ。
しかも、その身体を俺が自由に操っている。

俺は、サイドボードにある美奈子のスマートフォンを手に取る。
動画撮影モードにして、ベッド全体が映るようにセッティングし、録画ボタンを押した。



俺はカメラを目の前に脚を大きく広げてベッドに腰掛けた。
脚を尊大に組み、カメラに向かって見下すような視線を向ける。

「うふふ、あなた。お仕事お疲れさま」
俺は、美奈子になりきってカメラに向かって話しかけた。
そのまま、胸を揉みし抱きながら話しを続ける。

「実はね、私今知らない男に身体の隅々まで乗っ取られてるの。
 信じられないでしょ?
 でもね、とおっても気持ちよくて仕方ないの。
 細胞の一つ一つまで融け合ってゾクゾクしちゃう。
 あなたとのセックスなんかもうカスよカス。
 今じゃこの方こそ私のご主人様。
 ご主人様からあんたに伝言よ。ありがたく聞くことね」

俺は、美奈子の顔でSの表情を作り、カメラに向かって罵倒した。

「ギャハハハハ。ってわけだ旦那さんよ。
 この女、今日から俺のものにさせてもらうぜ」

俺は、美奈子の姿で、男の口調で話す。
知らない男にすべてを乗っ取られた美奈子が狂う様子をカメラに向かって演技した。

近くの鏡には、普段じゃ絶対に見られないようなゲスい笑みを浮かべながら勝ち誇ったように話す美奈子の姿が映っている。


これは、美奈子のリクエストを形にした結果だった。

普段自分がしないような表情を見てみたい、というリクエスト。

そこで俺は、美奈子が知らない男に乗っ取られて、それを快楽のまま受け入れる痴女となってしまった。
という設定で演技をしている。

今、美奈子の意識は眠らせている。
彼女の感想は後のお楽しみだ。

柔和な印象の強い美奈子。そんな彼女の顔を、身体を使って、高慢ちきでSっぽい人格を表現する。
それに、男口調で話す美奈子というのも、なかなか面白い。
俺自身、普段と違う美奈子を演じるのは楽しく、それでいて興奮していた。

「げへへへ・・・おい美奈子。お前の身体でオナニーしてやろう」
「・・・ええご主人様、喜んでこの身体捧げますわ」

俺は、美奈子を乗っ取った知らない男と豹変した美奈子、二つの人格を演じていく。

そのまま、美奈子の姿でオナニーを始めた。

力強く、それでいて美奈子の身体が敏感に感じるように。

「んっ・・・・はぁぁ・・・・・い、いい・・・・・」

すでに美奈子の乳首は勃っていた。
その乳首を指で円を描くようになぞったり、摘まんで見せたりする。
カメラを意識して、アップで近づいてやってみたりした。

身体は正直に興奮しているのだ。

「あぁ・・・あなたぁ見てる?ご主人様って本当すごいのよ。
 本当の・・・私を解放してくださったの・・・・
 これが本当の私。快楽に溺れる淫乱な女。
 あんたなんかもうどうでもいいのよ。
 今まで・・・よくもつまらないセックスしてくれたわね。
 あんたはもう用済み。お・し・ま・いDEATH。アハハ・・・・」

俺は、美奈子になりきってカメラに向かって罵倒する演技を続ける。
さすがに本当にやられたらショックだな・・・・
と一瞬思った。

それがより一層興奮させることになった。

股間に指を這わせる。
すでにソコは、激しく濡れそぼっていた。
俺が興奮しているのがそのまま身体に伝わったかのように・・・・

「んんん・・・・!!!!い、いいのぉ・・・・!」

俺は、美奈子の手つきで股間を愛撫する。
今まで一体化していったなかで、彼女の感じるところ、力加減は自然と身についていた。

「ああっ!!もっと・・・もっとぉ!!!!」

俺はさらに一層激しく愛撫した。
余った手で美奈子の胸を改めて揉む。
一気に快感が脳内を駆け巡る!!!

「いっ、いっ、イッくぅううんん!!!!」

俺は、太腿で股間を愛撫する腕を挟み、天を仰いで絶頂を迎えた。
美奈子の身体で絶頂する。この上ない一体化と思えた・・・・・


余韻に浸った後、俺はカメラに近づく。

「げへへへ・・・・お前の妻の身体は最高だったぜ。この女の身体は当分俺のものだ」

「・・・ああ素敵、ご主人様。もっと、私と身も心も一体化しましょうよ・・・・・・
 というわけであなた。今日から私はご主人様と一心同体なの。
 私達の言うこと・・・・・たっぷり聞いてもらうからそのつもりで」

最後に冷ややかな顔でカメラをにらんでから、俺は電源を切った。

これで一段落だ。
俺は、内側に眠る美奈子の意識を起こした。

『ん・・・あなた、もう終わったの?』

「ああ、終わったよ。多分綺麗に撮れてると思う。今観てみる?」

『いや、いいわ。後で愉しみにするわ。』

「そっか、分かった」


これで、美奈子の愉しみは一段落ついた。
今度は、俺の愉しむ番だった。

「じゃあ、ちょっと試してみたいんだけど、いい?」

『うん・・・でも、本当にできるの?』

「実は・・・ちょっと前に試したから大丈夫」

俺は、前からやってみたかったことを今回やってみることにした。

股間に手を這わせ、内側に指を伸ばす。

「ん・・・・・・んんんっっ!!!」

少し力むと、それは現れた。

『えっ!?す、すごい・・・・・』

俺が発現させたもの。それは、俺の逸物だった。

今回俺がやってみたかったのは、美奈子の身体でふたなりプレイに興じることだった。

もちろん、美奈子の意識も起こした状態で。

俺は、姿見の前に立つ。


「こうして見ると、すごいな・・・・」

『何か変・・・私の身体にあなたのがあるなんて・・・・』

すでに俺のものは興奮のあまりいきり立っていた。

『嘘・・・もうビクンビクン言ってる・・・・!?』

俺の中で美奈子は若干戸惑ってる。

そんな美奈子をよそに、俺は、自分のスマートフォンの動画をオンにした。

「うふふ・・・・こんばんは、私美奈子よ。今、私のあそこにおちん〇んが生えてきちゃったの」

俺は美奈子になりきって演技をしてみる。

『ちょ、あなた何言ってるの・・・?こんなの、恥ずかしい・・・・』

慌てる美奈子。その様子を知って俺はさらに美奈子になりきってみる。

「私、男の快感を味わってみたくて、すごいドキドキしてるの。
 ほら・・・もうビクンビクンって勃起してる。これって、興奮してるからなのね。
 直接触ってみたらどうなるかしら・・・・?」

俺は、恐る恐る触るような演技をして、美奈子の繊細な手で、俺の逸物をしごき始める。

その様子を、カメラは克明に記録していた。

『ちょっと、やめて・・・・・こんなの恥ずかしい・・・・』

美奈子はそう俺の中で呟くも、本心は真逆なのは伝わっていた。

ふたなりになった自分自身に、美奈子も興奮していることはすぐに分かった。

「うふふ。おちんちんって本当不思議ね。触れば触るほど力強くなって・・・・んんっ!!
 私の手で触ってるからすごく敏感。
 ああ・・・・いいのぉ・・・・・・」

『ああ・・・すごい・・・・おかしくなりそう・・・・』

俺は、美奈子の快楽に満ちた声をBGMにしごき続ける。
いつもの手つきなのに余計にキモチヨク感じた。
美奈子の手で、俺が気持ちよい力加減でしごいているからだろうか。

ベッドに寝転がり、身体をくねらせながら俺は快楽に身を任せた。
やがて・・・・

『あ・・・あなた・・・何?何か熱いのが出てきそう・・・・』

そろそろ限界が近づいていた。俺は仕上げとばかりにしごくピッチを上げた。

「あっ!だ、だめっ!!!何か出る!!出ちゃう!!!!熱いのが、熱い何かが・・・・・ああああああああんん!!!」
『あっ!だ、だめっ!!!何か出る!!出ちゃう!!!!熱いのが、熱い何かが・・・・・ああああああああんん!!!』
俺は、美奈子が言ってることをわざと真似て口にした。

やがて美奈子から生えている俺の逸物から熱い精液が勢いよく飛び出した。

「ああっ!!あっ、あああ・・・・・はぁ・・・・・・・・」

びくびくと震わせながら射精している間、俺はただただ身体を痙攣させていた。
普段美奈子が知るはずのない男の絶頂を女の身体で体験したからだろうか・・・・

思わず脱力して快感の余韻に浸る。その間も、精液は垂れ落ちていた。

『ああ・・・・あああ・・・・・しゅ・・・しゅごい・・・こんなの・・・・』

初めての快感に呂律も回らない美奈子。
それもそうだろう。女でありながら、男の絶頂を体験したのだから。

「・・・ふふっ。男のザーメン出した感想はいかがかしら?」

俺は美奈子になりきって俺の中にいる美奈子に問いかける。

『本当・・・・一瞬なのね・・・・それでいて・・・・力強くて・・・・くせになっちゃいそう・・・・』

「そうよぉ。男って絶頂はこんな感じだわぁ。でも私からしたら、女の快感の方が素敵よ。
 ずっとずぅっと余韻が残るのって素敵・・・・」

『そうなのかしら・・・・?』

「そういうものよ。ってね、さて、どうする?そろそろ元に戻る?」

『うううん。まだこのままがいいわ。今夜は私達、一心同体でしょう?』

「そうだね。それじゃ・・・・・」

俺は、美奈子の身体のまま、快楽の余韻に浸る。

その後、俺と美奈子は美奈子の身体で快楽を貪ったり、さっき録画した動画の鑑賞会をしたりした。

普通の人間では得るはずもない特異な能力。それを使って、俺と最高の妻の淫靡で不思議な夜は更けていく・・・・



~おまけ~

夫婦の日常

「う~ん・・・・」

日曜日。美奈子は、部屋の整理にいそしんでいた。

大量の荷物。
外の倉庫に運ぶのは一苦労だ。

「ねえ、あなた?ちょっとお願いがあるんだけど・・・・」





5分後、美奈子は倉庫に部屋にたまっていた多数の段ボールを運んでいた。

しかし、その姿は奇妙だった。

顔は確かに美奈子だが、その顔から下の身体つきはどう見ても女性のそれではなかった。

ところどころ角張った男の肉体だったのだ。

そう、俺は美奈子に言われるまま彼女を皮にしたのだが、

彼女の顔部分だけ被った。そのまま、身体の主導権が美奈子に回っている。

つまり今美奈子は首から下を俺の身体にして作業をしているのだった。首から下の彼女の皮を、服の下で俺の身体に巻き付けた状態で。

「ふふっ、さすが男ね。力仕事しても全然疲れないわ」

そう言う美奈子。

その後、窓ガラスに映る自分自身を凝視した。

「・・・・私の顔に男の身体って何か変ね。でもこれはこれで面白いわね」

そら変だろうと思う。ただ、この歪さにどきどきする自分もいた。

今度、能力の模索がてらやってみようか・・・・・

そう思う俺がいた。














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