某国・首都上空――
夜の闇を裂くように飛ぶC−1輸送機。
その機内後部に設けられた貨物室カーゴベイに、2人の男の姿があった。

「…5時間前、我々FUCKSHOUNDファックスハウンドに依頼があった。今作戦の目的は女子高生が履く白い下着――通称『純白のパンティー』の入手だ」

軍服を着た壮年の男が、正面に設置されたモニタを見上げながら淡々と説明する。
液晶が放つぼんやりとした光の中、真ん中に可愛らしい赤いリボンがついた、綿製の真っ白い女性用下着が表示されていた。

「日本のコミック・ブックでお馴染みの代物か。てっきり20世紀に絶滅したのかと思っていたがな」

その後ろ――
機械じみた椅子に座る、頭にバンダナを巻いた屈強な男が煙草をくゆらせつつ、低い声で笑った。

「現在我々が向かっている目標地点に住む少女が、それを所持している可能性が高いと言う情報を入手した。君に依頼する任務は2つ」

説明を続けながら、壮年の男がジロリと背後に座るもう一人の男を見る。

「目標の建物に潜入して、純白のパンティーの有無を調査、事実ならばそれを持ち帰ること。尚、依頼主は目的の品が「染みつきパンティー」であることを強く望んでいる。現物を発見した際には念入りに調査をしてくれ。もしも生地に何の汚れもなかった場合…方法は、君に任せる」

「…で、潜入方法は?」

「この輸送機で目標の街上空まで接近する」

「そこからは?」

「幽体離脱マシーンを使って肉体から幽体を分離…後は、空中を泳ぎだ」

壮年の男が手元のコンソールパネルを操作した。
すると機械仕掛けの椅子がモーター音を轟かせ、ガタガタと振動を始めた。
椅子に座った男は慣れた様子で、咥えていた煙草を懐に持っていたシガーケースで消し、姿勢を正す。
ひじ掛けや足元から拘束具が伸びて彼の体をガッチリと固定し、背部からせり上がったヘルメット状の奇妙な装置が頭に被さる。

「降下後は念波で指示を出す」

「俺の他には?」

「いつものように単独での潜入任務スニーキング・ミッションだ」

「装備も武器も、現地調達?」

「非公式の極秘任務だ。公式な支援はあてにせんでほしい」

ヘルメットの目の部分に設置されたランプが緑色の光を灯す。
と、椅子に座る男の体が感電でもしたかのようにビクンと痙攣した。
全身が脱力し、椅子に沈み込む。

それから1分も経たない内に、男の体から青白い半透明の「何か」が浮かび上がってきた。
――男だ。
それは、装置によって幽体離脱した男の魂だった。

幽体となった男は物理的な束縛から解放され、輸送機のハッチを擦り抜けて空へと身を躍らせた。
椅子に座る彼本来の肉体はピクリとも動かない。
魂が抜け出たため、抜け殻となっているのだ。

「人魚になってこい!幸運を祈る!」

機外に飛び出した男の動きをレーダーで追いながら、壮年の男がつぶやいた。
彼の言葉通り、幽体はまるで水中を泳ぐ魚のように優雅な動きで、高度3万フィートの世界から地上へと消えていった。


女子高生の家 南部

――闇に包まれた夜の街。
誰にも気づかれることもなく、幽体離脱した男が地上へと降り立つ。
本来ならば即死するような高さだが、実体を持たない男はふわりと風に舞う木の葉のように優雅に着地した。
地面に両手を付いた屈んだ姿勢から、スローモーションを混ぜつつ、勿体ぶったようにゆっくりと身を起こす。

「降下完了…今からミッション・ポゼッションを開始する……!」

前方に広がる闇を鋭く睨みつけ、男が力強く言葉を発した。
彼の名は――スネーク。
コードネームはトゥルー・スネーク。


METAL GEAR TRANS SOLID
Mission:Possession

true


トゥルー・スネーク(大○明夫)。
世界でただ一人、「乗り移りのライセンス」を持つゴーストエージェント。

彼が所属するFUCKSHOUNDは、下着泥棒から核発射コードの入手まで、あらゆる潜入任務を遂行するハイテク特殊部隊である。
部隊が所持する「幽体離脱マシーン」によって幽体離脱したスネークは、まさに幽霊ゴーストも同然。
空を自由に飛び、壁を通り抜け、存在を感知されることもない。
彼が潜入できない場所など、この世界のどこにも存在しないのだ。


スネークは周囲を見回した。
暗がりの向こうに、人口の光が浮かび上がっている。
一軒の2階建て民家がそこにあった。
――あれが、目標の建物だ。

その時、脳裏に何者かの思念が送られてきた。
念波テレパシー通信だ。

『無事に降下ポイントに到着したようだな、スネーク。久しぶりに幽体離脱した感想はどうだ?』

相手は、上空の輸送機にいた軍服の男だった。
彼がスネークの上官、今回の任務『ミッション・ポゼッション』の指揮官である大佐(青○武)である。

「…何度やっても、肉体を抜け出すこの感覚には慣れないものだ」

『君の場合、その姿で煙草を吸えないのが一番の苦痛ではないのかね?』

「確かに」

2人は一頻り笑い合った。

『スネーク、目標の家は確認できたか?』

「ああ。例の女子高生はもう中に?」

『夕刻、帰宅したのを確認している…間違いなく屋内にいるはずだ』

「了解した。もう少し接近して状況を報告する」

スネークはふわふわと浮かんだまま、前方の家に向かって移動した。
――しかし、暗闇に小さな光が揺れ動いているのに気付き、身構える。

「外に誰かいるようだ」

大佐と通信を続けながら、スネークは目を凝らした。
ゆっくりとした足取りで、何者かがこちらに近付いてくる。

現れたのは――手に懐中電灯を持った女性警察官だった。
後ろで一本に縛った長い黒髪を靡かせながら、周囲の闇に鋭い視線を向けている。

よく見ると、他にもいくつかの光が遠くで揺れているのが確認できた。
明らかに目標の家に近づく侵入者に対する警戒態勢である。

「…警察のパトロールにしては、妙に厳重だ。まさか、こちらの情報が漏れているのでは?」

『これは極秘作戦だ、それはありえない。すでに夜も深い。最近は痴漢なども多発しているから、それゆえの警備強化だろう』

大佐の言葉に、スネークは一応納得してみせた。
どちらにしても、常人が警備をしたところで幽体となったスネークの侵入を防ぐことなど出来ないのだ。
用心する必要もない。

――ところが、巡回する女性警官の後方から、更に小さな影が現れた。
シェパードである。
訓練を受け、警備に駆り出された警察犬だろう。

女性警官は決められた巡回ルートを守ったまま、スネークの横を通り過ぎようとしていたが…
シェパードは鼻をひくつかせ、スネークが潜む場所を睨みつけた。
そしてものすごい剣幕で吠え始めたのだ。

『まずいぞ、スネーク!人間は君の存在を感知することは出来ないが…動物は感覚が鋭敏だ。このままでは騒ぎを起こされてしまうぞ!』

大佐の言葉通り、犬が吠えだしたのに気付き、女性警官も戻ってきてしまった。
「どうしたの?」と犬に問いかけながら、辺りに懐中電灯の光を照らしている。
当然それでスネークが発見されることはないが――実体のないこちらも、犬の行動を止めることは出来なかった。

『それとスネーク。今更ながら説明すると、今の君は不安定な存在だ。魂とは本来肉体に宿るべきもの…こうして幽体離脱を続けていると、徐々に君の魂はすり減っていってしまうのだ。左上のゲージを見たまえ』

大佐のチュートリアル説明の通り、画面の左上には「TRUE SNAKE」と表示された白い名前と共に、緑色のバーが横に伸びていた。
スネークの魂の状態を表す「SOULゲージ」だ。
耳を澄ませると「ピロン、ピロン」と言う警告音を発し、そのバーが徐々に減っているのが分かる。

『SOULゲージが0になると君の魂は消滅してしまう…つまりGAME OVERだ。ゲージを回復させるには、肉体に戻らねばならん。側に元の自分の体がない場合は――』

「分かっている…ボディジャック、だろう?」

幽体離脱には空中浮遊、物体透過に加え第3の能力があった。
それこそが体奪ボディ・ジャック――
他人の肉体に乗り移る能力だ。

幽体状態は自由にステージ内を動き回ることが可能だが、これには制限時間がある。
消耗したSOULゲージは、誰かの肉体に乗り移って復活させる必要があった。
幽体と肉体、この2つの状態を駆使して潜入任務を遂行する――
これこそがMETAL GEAR TRANS SOLID(以下MGTS)における基本ルールなのだ<おいおい。

『直接犬をボディ・ジャックして鳴き止ませることはできない。乗り移れるのは同じ人間だけだ』

「ああ、あの警官の体を借りるとしよう」

スネークはゆっくりと女性警官の背後に近づいていった。
彼女はそれに気付かず、暗闇に向かって吠えるシェパードを必死でなだめようとしている。

『警戒状態の人間には乗り移れないぞ…相手が君に気付いていない瞬間が、絶好のボディ・ジャックタイムなのだ』

大佐の説明をBGMに、スネークが女性警官の真後ろに立った。

『よし、いいぞ。背後から相手に接近したところでアクションボタンを押すんだ!』

屈み込んでいる女性の背中に向かって、スネークが両手を接触させる。
するとその手が制服を通り抜け、体の中に入り込んでいった。
途端に女性警官は頭上にとビックリマークを浮かべ、全身を強張らせた。

「え…?あ…あ…!」

わけも分からず、前方を見たまま嗚咽のような声を漏らす。
痙攣する彼女を気にもせず、スネークはズブズブとその体へと潜入していく。

スネークの幽体が、完全に女性警官に入り込んだ。
女性の腕がダラリと下がり、手から離れた懐中電灯が地面に転がる。
首を垂れ、気を失ってしまったようだ。

今や犬は暗闇ではなく、彼女に向かって狂ったように吠えていた。
まるで体に潜んだスネークを追い出そうとするかのように。

静かになった警官の肩が、ピクッと動く。
犬が吠えるのを止めて黙り込んだ。

女性警官は口に溜まっていた息を吐き出し、ゆっくり、ゆっくりと顔を持ち上げると――

「待たせたな……!」

と、カメラ目線でニヤリと笑ったのだ。

肩を左右に動かし、体の具合を確かめる。
スネークの思った通りにこの肉体は動いてくれた。
ボディ・ジャックは無事に成功したようだ。
女性警官の様子が変わったことに気付いた犬が、再び「グルルル」と低い唸り声を上げて敵意を剥き出しにした。

「落ち着け…俺――いや私は味方よ」

口調に気を付けながらしゃべりかけ、手を差し出したままゆっくりとシェパードに近付こうとする。
今の自分の姿をアピールするように、制服に包まれた体を誇示しながら。

女性警官本人のフリをして犬を懐かせようとするが――しかし獣と言えども騙されず、正体はすっかりバレていた。
尻尾を左右に激しく振ったまま地面に体を擦りつけるように姿勢を下げ、今にも飛び掛かってきそうだ。

「参ったな…」

思うように犬を手懐けられず、スネークは嘆息した。
この作品の彼は犬ぞり使いではないのだ。
――その時、彼が乗り移った女性警官の胸の膨らみがプルプルと振動した。

「あはぁんっ!?」

突如沸き上がった快感に耐えられず、スネークは女として色っぽく喘いでしまった。
大佐からの念波テレパシー通信だ。
慌ててセレクトボタンを押す。

『スネーク、ボディ・ジャックに成功したようだな…ちなみにこちらからコールする時は君の幽体を直接振動させている。それは他人の肉体に入り込んだ場合も変わらん』

「む、胸を狙って揺すっているように思えるが…?」

読者プレイヤーサービスだよ、スネーク』

ウットリと頬を赤らめたスネークの様子を確認し、大佐は満足そうに頷いている。

『犬の扱いにてこずっているようだな』

「ああ。放っておいたら他の連中も集まってきそうだ」

『今の君は物理的な手段に訴えることが出来る。何か使えるアイテムがないか、確かめたらどうだ?』

大佐の指示に従い、スネークは乗り移った女性警官の体を弄った。
凹凸の激しいボディラインは、触るだけで男の興奮を掻き立ててくれる。

「ん…んふ…っ、この女…なんてエロい体をしているんだ…」

思わずボディチェックを忘れ、ただ気持ち良さを味わうために胸や腰を触りまくってしまう。
と、制服のサイドポケットに何か固いものが入っているのを発見する。
取り出すと、それは催涙スプレーだった。
不審者と出遭った時に使用する武器なのだろう。

「こいつは使えるな…」

スネークは不敵に笑い、手を後ろに隠しながら犬に向かって一歩足を踏み出した。
歯を剥き出して襲いかかろうとするシェパード。
その鼻先に向かって電光石火の速さで手を突き出し、催涙スプレーを吹きかけた。

犬にとってはたまらない攻撃だ。
たちまち「キャイン!」と情けない悲鳴を上げながら、パニックを起こしたようにジグザグと飛び跳ね、暗闇の向こうへ逃げていく。

「…障害を排除した。任務を続行する」

ようやく進路を邪魔していた警察犬を退け、スネークは催涙スプレーを仕舞うと懐中電灯を回収し、大佐への報告をつぶやきながら移動を再開した。
――ところが、更なる足音が聞こえてきた。
どうやら先程の騒ぎに気付き、他の警官がやって来てしまったようだ。

「何か異常でもあったの!?」

現れた赤毛の女性警官が、息を切らせながら厳しい顔つきで聞いてきた。
スネークが乗り移った警官より大人びて見える。
彼女の上司だろうか?

「いえ、問題ありません。恐らく犬が何かの影を人と見間違えでもしたのでしょう」

スネークは女性警官になりきり、敬礼して答えた。
変装どころではない――見た目には本人でしかないのだから、スネークのカムフラージュ率は100%だ。

同僚の言葉を信じ込み、赤毛の女性警官は踵を返して持ち場に戻ろうとする。
相手がこちらに背を向けた瞬間――スネークが乗り移った女性警官の目が、鋭い猟兵イェーガーのものに変わった。
素早く背後に回り込み、催涙スプレーを取り出して後頭部に突きつける。

「動くな――」



赤毛の女性警官は驚き、足を止めた。
只ならぬ殺気は冗談と思えず、両手を上げて無抵抗の意思を示す。

「ちょっと…何の真似…?」

「こちらの質問にだけ答えろ。警備の人数は?」

ホールドアップしたまま声だけは反抗の色を滲ませる相手に向かって、スネークは低い声で恫喝した。

「ご、5人よ。決まっているでしょう…」

分かりきったことを何で今更、と赤毛の女性警官は訝しそうに答える。
まさか部下の体に工作員が乗り移っているなどとは想像もしていないだろう。
スネークは警備の人数と配置を聞き出し、レーダーにその情報を加えていった。

「よし……」

必要な情報は、全て吐かせた。
スネークin女性警官の瞳が、凶暴な男の色を灯す。
白い手袋を嵌めた2本の指を突き出し、目の前の女性警官の制服のタイトスカートの中に突っ込む。
そして絶妙の力加減で、彼女の股間を刺激してやった。

「はぁぁんっ!?」

たまらず、赤毛の女性警官は甘い声で悶絶した。
そのまま地面にうつ伏せに倒れ、頭の周りにキラキラと星を輝かせながら気絶してしまう。

これこそがスネークの秘技――その名も「スネークフィンガー」だ。
彼の指使いは、どんな女だろうと一瞬にしてイかせることが出来るのだ。
今度こそ障害を排除し、スネークは目標の家へと移動した。


女子高生の家 外庭

――門を潜り、敷地内へと入り込む。
正面玄関は当然潜入経路には不向きだ。
闇に隠れながら、建物の横に回り込む。

外壁に沿って、木々が生えた茂みの中に一端身を隠す。
どうやらこの周囲は警備も薄いようだ。

「ふう…」

一息つきながら、女性警官の持ち物を確認する。

「ちっ…煙草はないのか……」

スネークは毒づきながら、腹いせに片手で胸の膨らみを揉み上げた。
と、水が流れる微かな音がどこかから聞こえてくる。
周囲を探ると、外壁が伸びた先の窓に明かりが点いていた。
しかもその窓が少し開き、白い蒸気が漏れていたのだ。

低い姿勢のまま足音を殺して窓の下に移動する。
気配を消しつつ、ゆっくりと立ち上がり、隙間から中の様子を確かめた。

「おおおおおっ!?」

思わず叫びそうになり、口元を両手で隠しながらそれでも押し殺した声を漏らしてしまう。
そこは――バスルームだった。
しかもスネークの目の前で、一人の少女がシャワーを浴びていたのだ!
恐らく彼女が、ターゲットの女子高生だろう。

お湯に濡れた金色の髪と、あどけなさの残る綺麗な顔立ち。
大人への階段を昇り始めた途上の、少女らしいプロポーションの肢体。

そこにいたのは、紛れもない美少女であった。
スネークは彼女の美貌に見蕩れ、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
身を隠していることを忘れ、欲情した気配を発揮してしまう。

「誰!?」

それに気付いた女子高生(水○奈々)が、誰何すいかの声を上げながら窓を振り返った。
慌ててスネークは一歩後ろに下がり、警察官としての表情を取り繕う。

「怪しい者ではありません、警備の人間です!」

かなり勝ち気な性格なのだろう、悲鳴を上げるどころか怒りの形相で窓を全開に開けた女子高生に向かって、敬礼しながら叫ぶスネーク。
これが本来の彼なら大騒ぎになるところだろうが、見た目には法の番人なのだ。
これ以上潔白を証明できる容姿はないだろう。

「あ、ああ…ご苦労様です」

案の定、女子高生は急に勢いを失くし、スネークに労いの言葉さえかけてきた。
手にシャワーノズルを握っている。
それで覗き魔に熱湯を浴びせるつもりだったのだろう。
外にいたのが警官――しかも同性の警官だったことが分かり、少女はすっかり警戒を解いていた。

「何か異常はありませんか?」

スネークは女性警官になりきったまま、平然と芝居を続けた。
相手が油断したことで、遠慮なくまじまじとその裸を目に焼き付けるように観察する。

「ええ、問題ありません。パパったら心配しすぎなんですよね…いくら最近物騒だからって、ここまですることないのに」

微笑みさえ浮かべ、溜息を吐く女子高生。
同じ女だと思って、胸元と股間を隠しただけで完全に安心しきって立っている。
透き通った肌に、柔らかそうな腕や足。
見れば見るほど、少女の容姿はまるでアイドルのような可憐さだった。

「ぁ…っ、外は我々がいるので安心してください。ん…っ、絶対に不審者の侵入は許しませんので」

自分が不審者のくせに、スネークは涼しい顔でウソをついた。
窓からは上半身しか見えないのをいいことに、女子高生の裸をオカズに、スカートの上から股間を摩っている。
傍目には、完全に変質者であった。

「すみません、お願いします」

女子高生は頭を下げ、窓をゆっくりと閉じた。
気配で後ろを向き、再びシャワーを浴びようとしているのが分かる。
その途端、アヘアヘとだらしない顔でオナニーを続けていた女性警官の顔が豹変した。

俺の時間ジャック・タイムだ!」

ターゲットがすぐ目の前にいる。
このチャンスを逃す手はなかった。
体を移動し、女子高生本人になってしまえば――後は彼女の下着を手に入れるだけで任務は完了する。
性的興奮も手伝い、スネークの気力は限界まで漲っていた。

ここでボディ・ジャックの応用技の一つ、「連続ボディ・ジャック」の説明をしよう。
スネークがステージ内で潜り込んだ体から別の身体へと移動したい場合、その都度幽体に戻る必要はなかった。
ボディ・ジャック中にアクションボタンを押すと幽体に戻ることができるのだが、スネークが離れてしまうと乗り移られていた人間は気を失ってしまう。
近くに他の者がいた場合、その異変に気づかれて警戒状態になることで、ボディ・ジャクをしにくくなる。
それを回避するために、体から体へと直接移動する必要があるのだ。

肉体状態の彼の周りには、白い円が現れる。
これは気配を視覚化した「スレッドリング」と呼ばれるものだ。
別の人間がこのリングに足を踏み入れている状態でアクションボタンを長押しすると、幽体に戻らずにそのまま相手の体に移動することができるのである。

建物の屋内と屋外ではあるが、女子高生はスレッドリングの内にいる。
物理的障害は魂には関係ない。
しかも相手は完全に警戒を解いていた。
今――まさに連続ボディ・ジャックの条件は整ったのだ。

「悪いが、少しその体を借りるぞ…!」

スネークはボディ・ジャック専用の台詞をつぶやきながら、魂を開放した。
女性警官の体から、幽体となったスネークがリモコンミサイルのように発射する。
壁を擦り抜け、今しもシャワーを浴びようとお湯のバルブを捻ろうとしていた女子高生の背中に、彼の魂が飛び込んだ。

「ああっ!?」

途端に女子高生は体を強張らせ、ビクビクと痙攣した。
膝が折れ、壁に両手を付く。
可愛らしいお尻がプルプルと震えていた。
全身から力が抜けていくが――倒れ込む前に、その肉体をスネークが完全に支配する。

「合体…完了…!」

お湯に濡れた髪を豪快にかき上げながら、女子高生が立ち上がり、ニヤリと笑う。
その表情は先程スネークが乗り移った女性警官とソックリだった。


女子高生の家 バスルーム


シャワーノズルをフックに固定し、窓が設置された壁に近寄る。
音に気を付けながら窓を開け、外を伺う。
先程まで乗り移っていた女性警官が、庭に倒れていた。
スネークの支配から逃れたことで意識を失っているのだ。
肉体を乗っ取られていた人間は、その間の記憶がない。
このまま放置しても問題ないだろう。

「よし…」

女子高生となったスネークは、股間を丸出しにしたまま大股に歩きながら鏡の前に移動した。
あらためて、彼女自身の目で――彼女の肉体をじっくりと鑑賞させてもらう。

濡れそぼった体は、少女とは思えないほどにセクシーだ。
両手を頭の後ろで組んで、グラビアアイドルのようにポーズを決めてみる。

「うふん…」

鏡に映る自分に向かって、流し目を送る。
小悪魔的で実にそそる表情だ。

「あはぁん…」

唇を突き出し、腰を捻ってお尻をくねらせる。
目の前でこんな格好をされたら、全ての男が野獣に変身することは確実だった。

「もう、エッチなんだからぁ…」

まるで自分の命令に嫌々従っているように、女子高生に困った顔をさせる。
腕を交差して胸の谷間を強調する。
後ろを向いてお尻を扇情的に振ってみる。
どんな格好をしても、イヤらしさしか覚えない。

全てをデジタルカメラで撮影して世界中に配信したいくらいだ。
自分でさせているセクシーポーズをたっぷりと鑑賞していると、この体も興奮してきたらしい。

「はあ、はあ、はあ…」

鏡を見ると、股間の辺りがヌルヌルと湿りだしている。
自分の体に欲情するなど、とんだナルシストだ。

取りあえず火照った体を冷まそうと、スネークはシャワーノズルを手に取り、水側のバルブを捻った。
冷水が飛び出したのを確認すると、それを股間に向かって押し当てる。
秘所に水がかけられた途端――意に反して、今まで以上の快感が跳ね上がった。

「あはぁぁぁぁっ!?」

絶叫し、タイルの床にへたり込む。
反射的に腕を横に振ってしまい、バルブが限界まで捻られた。
勢いを増した水流が、女子高生の股間に叩き付けられる。

「ああっ!あっ、あっ、ああぁ〜〜〜ん!!」

腰から下が消失したような錯覚。
沸き上がる気持ちよさに、背中が弓のように反り返る。
あまりの衝撃に耐えられず――スネークはあっという間に絶頂に達した。
力を失い、ガックリと風呂場に横たわってしまう。

『スネーク!?どうしたんだ、スネーク!?スネーーーーク!!』

意識がブラックアウトする直前、意識下に大佐の声が鳴り響いた。
その叫びが、消えゆく意識をギリギリでつなぎ留めてくれた。

「…あ、危なかった…まったく、どう言う感度をしているんだ…」

先程の女性警官どころではない。
肌を撫でるだけで脳が溶けてしまいそうだ。

体奪ボディ・ジャックは幽体と肉体の融合率が高ければ高いほど、相手の能力を十分に使いこなすことができる。
この女子高生は、よほどスネークと相性が良かったらしい。
まるで自分の愛撫に彼女自身が応えてくれているようだ。
辛うじてコンティニューしたスネークは、震える足でヨロヨロと立ち上がった。

『スネーク…乗り移った肉体に夢中になるのはほどほどにしてくれ。まずは任務が優先だ』

「わ、分かっている…今のは不可抗力だ。すぐにターゲットを確認する」

大佐に窘められ、スネークは女子高生の姿のまま気を引き締め、浴室から脱衣所に移動した。
何はともあれ、目的の下着を確保しなくては。
近くに置いてあったバスタオルで濡れた体を拭きながら、脱衣籠の中を覗き込む。
ところが籠の中は空っぽで、女子高生が脱いだはずの衣服の痕跡は影も形もなかった。

「どう言うことだ…?」

訝しみ、周囲を伺う。
まさか素っ裸のまま、風呂場まで移動してきたのだろうか?
年頃の少女がそんなずぼらな行動を取るとは思えないが。

「妙だ、大佐…んっ、この女子高生の下着がどこにもない…あっ」

スネークは通信を続けながら、辺りを入念に調査した。
タオルを擦るだけで肌が感じてしまうため、再び肉体を探索したくなる煩悩と必死に戦いながら。

『母親が片づけてしまったのではないか?』

「そうだとしても、着替えくらいは用意してあるものだろう」

バスタオルを体に巻き付け、入り口の側に設置されたドラム式洗濯機に近づく。
横向きの蓋を開け、中にある洗濯物を物色する。
ところが、ここにも下着は一着もなかったのだ。

「何か、変だ…」

長年の兵士としての勘が不測の事態を訴えている。
静寂に包まれた家の中が、途端に異様な空間に思えてきた。
その正体を探る為、他の部屋の状況も確かめなくては。

脱衣所のドアを開けて、廊下の様子を伺う。
辺りは真っ暗で、バスルームの明かりだけがぼんやりと周囲を照らしていた。
すでに家人は寝てしまったのだろうか?


女子高生の家 廊下

足音を立てないように慎重な歩調で廊下に出たスネークは、周囲のクリアリングを行った。
廊下の突き当りから上へと続く階段が伸びている。
この少女の部屋は2階にあるのかもしれない。

「1階の状況はクリア。このまま2階へと移動する」

大佐への連絡を囁き声でしつつ、階段を猫のような足取りで昇っていく。
当然、上の階も闇に包まれている。
見ると、手前のドアに「Knock!」と可愛らしい文字が書かれた木製のプレートがぶら下がっていた。
どうやらここがこの少女の私室らしい。
ゆっくりとドアを開き、体を中へと滑り込ませる。


女子高生の部屋

電気は消したまま、暗闇に覆われた室内を見渡す。
奥にクローゼットがあるのがすぐに確認できた。
中を覗くと、一番手前にランジェリーケースがある。

予想外に手間取ったが、今度こそ間違いないだろう。
この中ならば、確実に目的の純白パンティーがあるはずだ。
ホッとしたスネークは、ケースの取っ手を掴んで手前に引き出した。

「これは…!?」

ところが――
中を確かめた途端、彼の口から驚愕の声が漏れた。

ケースの中は、空っぽだった。
ショーツどころかブラジャーすら、一着も仕舞われていなかったのである。

「馬鹿な…一体どうなっているんだ…?」

ケースを見下ろしたまま唸るスネーク。
大佐の情報が誤りだったのか?
だとしても、この状況は――


「んふふ、何かお探しかしら…?」

「!?」

彼の思考を遮り、夜の静謐を壊すように、突如何者かの声が聞こえた。
スネークはその場から飛び退き、入り口を振り返って身構える。

はたして、そこには一人の女が立っていた。
自分が潜り込んでいるこの女子高生の面影がある。
まるで大人になった未来の彼女を見ているようだ。
おそらく少女の母親だろう。

『家の者に見つかってしまったのか、スネーク!?何とかその少女のフリをして、ごまかすのだ!』

「いや、違うぞ大佐…様子がおかしい…!」

通信で聞こえてくる大佐のアドバイスを遮り、スネークは現れた女を睨みつけた。
そう――これは明らかに異常だった。
声をかけられるまで、まったく彼女の気配を感じなかったのだ。
一見どこにでもいるような主婦と形容するしかないこの母親が、訓練された兵士であるスネークに気付かれずに忍び寄ることなど不可能だ。

しかも、母親のこの姿――
彼女は頭に、ショーツを被っていた。
それも色とりどりのショーツを何着も。
一番上に被っているのは――真ん中に可愛らしい赤いリボンが付いた、純白のパンティー!

「ぐふふふふ…!」

「貴様、誰だ!?」

帽子のように下着を被ったこっ恥ずかしい格好で笑い続ける母親(井○喜久子)。
間違いなくあれはこの女子高生の下着、このランジェリーケースに入っているべきだったもの。

さらによく見れば、着ているカーディガンのお腹のポケットもパンパンに膨らんでいる。
どうやら大量のブラジャーを丸めて突っ込んでいるようだ。
自分の娘のブラやパンツを使ってあんな真似をする親など、いるわけがない。

とどめは母親の表情だ。
にやける母親の表情は、スネークがよく知るものだった。
自分も身に覚えのあるあの表情。
あれは――欲望に染まった男特有の笑い方!

「俺だよ…兄弟」

顔を歪めてニタニタと笑っていた母親が、その口を大きく開いた。
顎が外れんばかりに開いた喉の奥から、ゴボゴボと雨の日の排水溝のように濁った水音が漏れ聞こえてくる。

「まさか…!?」

その様子に、スネークはある予感を覚えた。
驚く彼の眼前で、母親の口から粘り気のある大量の液体が溢れ出す。
信じられないことにそれは物理法則を無視した動きで宙に固定化し、形を変化させた。
やがて液体の表面が、人の顔の形を模す。

――男だ。
口から吐き出された液体が、残忍な笑みを浮かべた男の顔を作り出したのである。
先程の母親とそっくりの笑みを浮かべた顔を。

それを見た瞬間、スネークの中に猛烈な怒りが吹き荒れた!

「リキッドォォォォ!!!」

幼い少女の顔を戦士の相貌に変え、喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。
一気に女子高生の部屋が、殺気に満ち溢れた空間に変わった。

『リッキドだと、スネーク!?』

「ああ、間違いない…今、俺の目の前にいるのは、あの怪盗リキッドだ!」

母親の口から現れた男から一瞬たりとも目を離さず、スネークは相手の正体を大佐に告げた。

怪盗リキッド――
女子高生ばかりを標的にする伝説の下着泥棒。
彼は思春期の少女に異常なまでの愛情を抱き、彼女たちの制服や下着を盗むことに興奮を覚える正真正銘の変態だった。

怪盗と名乗るだけあって、盗みの手際は鮮やかの一言。
これまで一度として狙った獲物を逃したことはなく、今や各国の法執行機関から追われる身ながら、彼を捕えた者は一人としていない。
その理由が、彼の「特殊」な体質にあった。

驚くべきことにリキッドは、自分の体を液体に変化させることができるのだ。
そう――まさに『液体』の暗号名の通りに。
液体となった彼はどんな隙間にも潜り込み、人体に侵入すれば意識を乗っ取ることも可能――スネークの幽体離脱と、ほとんど同様の能力を持っていたのである。

「乗り移りのライセンス」を持つスネークに対し、己が欲望を満たすためだけに他者に乗り移るリキッドは、まさに対極に位置する存在。
「光」にとっての「闇」のようなもの。
これまでも何度か任務中に対立したことがある、因縁の相手だった。

「リキッド!何故、貴様がここに…!?」

「女子高生の神々しい純潔を象徴する白き下着…このオレが、そのような逸品をみすみす見逃すとでも思っていたのか?」

乗っ取った体で腕を組み、胸を反らしてふんぞり返るリキッド(銀○万丈)。
母親の口から小さな顔を出したまま、自分の手足のように他者の肉体を操る様は、核搭載歩行戦車を操縦する搭乗者のようだ。

「まったく…この姿ならば怪しまれまいと、その娘の入浴をこっそり盗み見ていたのに…!オレの至福の時間を邪魔するとは、つくづくタイミングの読めない男よ」

リキッドは吐き捨て、母親の腕で拳を握りしめた。
その言葉に、スネークはようやく合点がいった。

――彼がバスルームにいた女子高生に乗り移ったあの時、すでにリキッドは母親の体を乗っ取り、脱衣所に身を潜ませていたのだ。
そして出歯亀をしていた少女の体に同業者が潜入したのに気付き、獲物を奪われないように先回りして籠やクローゼットの中にあった下着をすべて回収してしまったと言うことか。
まさかすぐに側に仇敵がいたことに気付けなかった己の迂闊さを、スネークは呪った。

「どう言うことだ大佐…!極秘情報のはずのパンティーの存在をリキッドに知られるとは…まさか、FUCKSHOUNDに内通者でもいるのか!?」

『馬鹿な、ありえん話だ…スネーク、とにかくその件はこちらで調査する。今は目の前の任務に集中してくれ!』

「ぐふふふ、見ろこの手触り…可憐な少女の股間を覆う布地と言うだけで、こうも欲望を掻き立てるものなのか…実に、素晴らしい!」

スネークが大佐と通信している間も、リキッドは母親の頭に被らせた下着を愛しそうに撫で回している。
娘だけでなく、母親にまで辱めを受けさせる酷い仕打ちだった。

「何故、女子高生ではなく母親に乗り移った?本人の身体に潜入した方が、貴様の望みもてっとり早く叶えられただろうに」

「愚か者め…!美しいものは鑑賞してこそが華…自分が華になってしまっては、隅々までじっくりと楽しめないではないか」

「相変わらずの性倒錯者っぷりだな…大方、後で自分がさせた行動を写真に取って、正気に戻った母親に見せつけるつもりだったのだろう、このサディストめ!」

「貴様とて、任務にかこつけてその体で、あんなことやこんなことをする腹積もりだったのではないのか?」

「俺はそんなものは望まない!」

「ハッ、嘘をつけ!では何故貴様はここにいる?ここに忍び込むまでに利用した「カラダ」に、劣情を一片も抱かなかったとでも言うつもりか?」

「……」

リキッドにズバリ指摘され、スネークは何も言い返せず、押し黙ることしか出来なかった。

「オレが代わりに言ってやろう…乗り移った体への凌辱を楽しんでいるんだよ、貴様は!」

「何を!」

「違うとでも言うのか!?見ていたぞ、先程のバスルームでの行動…」

「あれは…!」

「股間にシャワーをかけた時のお前の顔…実に生気に満ちていたぞ」

「違う!」

「自分の内の凌辱衝動…それを否定する必要はない」

「他人を自分の欲望を満たすためだけの道具にしか考えていない貴様と一緒にするな!」

「フン、口では何とでも言える…ならば、体に直接聞くまでよ…!」

リキッドは言い捨てると、再び宿主の口の中にズルズルと入り込んでいった。
虚ろだった母親の目が凶暴な光を灯し、リキッドそっくりの残忍な笑みを浮かべる。

「ぐふふふ…!今すぐ裸にひん剥いてあげるわ、スネェェク…!」

両手を持ち上げ、ニギニギと指をイヤらしく蠢かせるリキッドin母親。
本来は優しいお姉さんの見本のような声を、獣のように獰猛な色に変えてにじり寄ってくる。

ついに、スネークVSリキッド――その戦いの火ぶたが切って落とされた!
戦士たちを鼓舞すべく、「ENCOUNTER」が大音量で流れ始める。

接近しようとする母親の足運びに合わせて間合いをはかるスネーク。
この任務はリキッドを倒すことが目的ではない――あくまでターゲットは、相手が被っているあの白いパンティー。
それさえ手に入れれば、こちらの勝利なのだ。

ならば、一気に勝負をかけるのみ!
スネークはバックステップで逃げようとすると見せかけて、床を蹴って逆に距離を詰めた。

「はあっ!」

気合の声と共に、両腕を素早く伸ばしてCQC(クロース・クォーターズ・コンバット)で投げを狙う。
しかしリキッドが乗っ取った母親は、運動神経抜群な少女の動きにもキッチリと対応し、迫るスネークの腕をこともなげに振り払った。

「!?」

「剥いだら〜!!」

奇妙な叫びと共に、防御した腕をそのまま攻撃に転じさせ、体に巻いていたバスタオルをつかんでくる。
女性とは思えない膂力で引っ張られ、強引にタオルを剥ぎ取られてしまった。

「くっ…!」

剥き出しになった白い裸体を見せつけながら、スネークは再び間合いを取る。
その丸見えになった乳房がぷるぷると震えた。

『まずいぞ、スネーク!今の君はまっぱネイキッドだ!その状態で攻撃を食らえば、あっという間に昇天してしまうぞ!」

大佐の戦闘アドバイスを聞きながら、必死に攻略法を考える。
確かに現状は、圧倒的にこちらが不利だった。
向こうはがっちり服を着ている。
対してこちらは全裸。
スネークフィンガーが決まれば勝機もあるだろうが、少女の体格と大人の体格では正面から格闘戦を挑んだところで、先程のように捌かれてしまうだけだろう。
何か注意を逸らす方法でもあれば――

「行くぞっ!」

スネークの考えがまとまらない内に、リキッドが襲い掛かってきた。
ウルフのような俊敏な動きで、低い姿勢からタックルをしかけてくる。
予想外の速度に対応できず、反応が遅れてしまった。
まともにタックルを食らい、テイクダウンを取られてしまう。

「ぐうっ!」

「むふふふふ…!」

必死に逃げようとするが、上から押さえつけられたまま蟷螂マンティスの鎌のように両脚で体を挟まれ、まともに身動きすることすらできなかった。

「さあぁ、捕まえたぁ…「女子高生」がどれだけ素晴らしいのか、じ〜っくりその体に教えてあげるわぁ…快感に身を委ねたければ、素直に受け入れなさい…」

母親はイヤらしい笑みを浮かべながら、娘の股の間に手を忍ばせた。

「それとも抵抗してみるか?アクションボタンを連打すれば、この俺の愛撫にある程度は耐えられる…だが、打ち負ければその瞬間、エクスタシーに到達してゲームオーバーだ。コンティニューはないぞ…!」

リキッドは山猫オセロットのようなしなやかな動きで身を屈ませ、耳元で息を吹きかけるように囁いた。

「さあ、始めよう…思いっきり感じてくれ…!」

その瞳が鋭く細められ、同時に股間に忍ばせた指が、少女のクリトリスを小刻みに刺激した。
たちまち痺れるような感覚が、秘所から脳まで一直線に駆け抜けていく。

「ああああああんっ!!」

スネークは感電したように、びくびくと寝そべる体をのた打ち回らせた。
シャワーを浴びた時よりも激しい快感。
リキッドの指使いは、スネークフィンガーと同等の破壊力だった。
歯を食いしばり、頭を左右に激しく振って、激烈な刺激に必死に耐えようとする。

『スネーク!気をしっかり持て!冷静に周囲を観察して活路を見出すんだ!』

脳裏に響く大佐の通信を頼りに、何とか両脚を閉じてリキッドの攻撃を押さえつける。
一度シャワーを股間に当てて果てたことで、感度の高い女子高生の肉体への耐性が少しは付いていたらしい。
そうでなければ、あっという間に落ちていただろう。

「フン、無駄なことを…!」

しかし当のリキッドはスネークの抵抗を鼻で笑い、体勢を変えて下半身の方を向くと、股の間に顔を埋めた。
そのまま舌で秘所を舐め回したのだ。

「ひゃああああああっ!?」

新たなる衝撃に、スネークは完全に女として悶え狂った。
少女の割れ目を、大人の女の舌がオクトパスの足のように艶めかしく這い回る。

「んちゅ…っ、じゅぷ…っ、むはぁ…っ」

妖艶な表情で、我が子の秘所を貪る母親。
頭を上下に振って小突起や陰唇に食らいつく様は、餌を啄む渡烏レイブンのようだ。

「ああぁぁ〜〜〜、美味しいわぁ〜…それに、な〜んてすべすべした肌触りなんでしょう〜…じゅるるっ」

リキッドは太ももに頬擦りを繰り返し、10代の肌の滑らかさを堪能した。
さらに獲物に巻き付くスネークのように密着して、柔らかい女子高生の肉の弾力を全身で享受する。

スネークは抵抗を諦めず、両脚をバタつかせて暴れ回った。
脚が近くにあった本棚を蹴り、何冊かの本が床に落下する。
自分の顔のすぐ側にも、ゴトンと音を立てて一冊の本が転がってきた。
スネークは首を動かし、その表紙を注視する。

「――これだ!」

彼の頭に、起死回生の手段が閃いた。
腕を伸ばして本のページを開いたまま、リキッドの方へと滑らせる。
狙い通り本は母親の正面で、両開きになる状態で止まった。

それは――アルバムだ。
女子高生の成長を綴った記録簿。
開いたページには、彼女の入学式を撮影した写真が張り付けられていた。
女子高生が下ろし立ての『ブレザー』を着て初々しそうに微笑む、記念すべき写真が。

「おほおおおおっ!?」

それを目にした途端、リキッドは奇妙な雄叫びを上げ、スネークの体を拘束していたことも忘れて、飛び込むようにアルバムにかぶりついた。
大事そうに両手で持ち、食い入るように少女の写真をガン見する。
まるで初めてヌード写真集を見た中学生のように。

「隙あり!!」

絶好のチャンスを逃さず、スネークは起き上がって反撃に転じた。
無防備になった母親の背中に突進し、組み伏せることに成功する。

「しまった!?」

リキッドは我に返ったがすでに遅く、スカートを捲られることを許してしまう。
ショーツをつかみ、引きちぎる勢いで一気に剥ぎ取ると、恥毛が覆い茂った秘所が、丸見えになった。

『いいぞ、スネーク!これでリキッドの防御力は著しく減少した。今なら君の攻撃も効果があるはずだ!』

「スネークフィンガー!」

母親の下着に用はない。
リキッドの邪な感情に犯され、イヤらしい汁で濡れまくった布きれを放り捨て、スネークは股の間に素早く指を挿入する。
そして必殺の一撃を放った。

「んほあああああっ!?」

リキッドは母親の中で、やはり女として湧き上がってきた快感に耐えられず、大音量で嬌声を上げた。
面白いように悶えまくる母親の背に馬乗りになり、指で敏感な部分をピンポイントに連打する。
鉄壁と思われていたリキッドの精神力が、見る見る減少していく。

だが、やはり大人と子供の体格は絶対だった。
さらに攻撃を続けようとしたが、四肢を踏ん張って強引に体を起こされてしまう。
母親はゴロゴロと床の上を転がって、部屋の入口まで後退した。

「はあ、はあ、はあ…おのれ…!だが、このリキッドをそう簡単に仕留められると思うなよ…!」

美しい顔を憤怒の表情に変え、皺になったスカートを元に戻す。
予想外のダメージに、すっかり本気になってしまったようだ。
先程までの人を見下した態度は消え失せ、憎悪の気を剥き出しにしている。

「遊びは終わりだ!今度こそ確実に天国へ送ってくれる…!」

「残念だったな、ここは天国の外アウター・ヘブンだ」

「ほざくな!奇策は二度と通用しないと思え!」

リキッドの脅しにも、スネークは平然と答えた。
彼の言うとおり、いまだに状況はこちらが不利としか思えないが――
自然体で佇むその立ち姿に、一切の焦燥感はなかった。

「まだ気付かないのか、リキッド?すでに貴様は自分の弱点をさらけ出してしまっていることに」

「何だと!?」

「分からないのなら…今、教えてやろう!」

そう、スネークには勝利の確信があった。
この部屋に足を踏み入れた時から、彼はすでに必勝の鍵を見つけていたのだ。

叫び、床を蹴って目的地を目指す。
目指す先は――クローゼット。
スネークは半開きになっていた扉を開放し、一着の服をハンガーごとつかんだ。
さらに壁に立てかけてあった細長い板状の物体を持ち、部屋の中央へと放る。

投げた物体の正体は――『ダンボール』!
展開した状態のまま投げ出されたダンボールは床に落ちた瞬間、自動的に組み立てられ、箱状に変形した。

「とうっ!」

「むううっ!?」

ハンガーを持ったまま、段ボールの中に飛び込むスネーク。
彼の行動の真意が読めず、呆然とするリキッド。
ダンボールの中で一体何をしているのか、ガタガタと箱が左右に激しく揺れ動く。

それから数秒も経たず、振動が止まった途端に段ボールはひとりでに四方に開き始めた。
中に潜り込んでいたスネークの姿が、露わになる。

「じゃ〜〜ん☆」

可愛らしい声を上げながら、ポージングを決める女子高生。
すでにその格好は裸ではなく――『ブレザー』姿だった。

「おひょひょひょひょおおおおおお!!!」

リキッドは奇声と共に、猿のように飛び上がった。
目に涙さえ浮かべ、少女の前に駆け寄ってくる。

「女子高生の制服…!じょぉぉしこぉぉせぇぇのせぇふくぅぅぅぅぅ!」

「ど〜う、ママ…似合うかな?」

取り憑かれたような顔の母親に向かって、スネークは女子高生になりきり、スカートの裾を摘み上げながら小首を傾げた。
男が乗り移っているとは思えない、完璧なパフォーマンスだ。

「ええ、ええ!可愛いわぁぁ〜〜、と〜っても可愛いわよぉぉ〜〜!はああ…クンカ、クンカ」

リキッドもすっかり母親の意識を主人格にしたかのように娘に抱き付き、髪の毛に頭を突っ込んであどけない香りを反芻する。
一見、親子が抱き合う仲睦まじい光景に思えるが、母親は腰を男のように前後に振って娘のスカートに擦り付けており、どう見ても異様だった。

「何て素敵なんでしょう…!この制服を着た体ごと征服したいわぁぁ〜」

「うふふ、ママは本当に女子高生の制服が好きね〜?」

発情した犬と化した母の頭を撫で、女神のように微笑する女子高生。
その表情が――鋭く引き締められた。

「だったら…思う存分味わわせてあげる!」

叫び、スネークは母親の腕と肩をガッチリとつかんだ。
今度こそCQCに極め、床に思いっ切り投げ飛ばす。

「ぬおおっ!?ま、またしてもぉぉ!!」

我に返ったリキッドが体勢を立て直す前に両脚をロックして持ち上げ、股間を丸出しにしたまま逆さにひっくり返す。
いわゆるまんぐり返しの格好だ。

「こうなってしまえば、いくら体格差があっても好きには出来まい!」

「があああ!き、貴様ぁぁぁ!!」

「奥義、スネークイーター!!!」

罵声を浴びせるリキッドを見下ろし、スネークは彼女の両脚を無理やり大股開きにさせると、素早く顔を秘部に埋めた。
先程の報復とばかりに獰猛に割れ目に食らいつき、膣やクリトリスを舌で舐め回していく。

「あはぁぁぁぁぁんっ!!」

駆け抜ける快感のあまりの衝撃に、リキッドは逆さまのまま悶絶した。
のたうつ体を拘束したまま、娘は母親を犯し続ける。

「んむっ…じゅるる…!ちゅぱぁ、あふぁ…!」

自分が生まれてきた部分に口付けし、唾液を流し込み、舐め上げる。
それは、とても女子高生がやっているとは思えない熟練の技だった。

「こおおおっ!な、なんだ…っ!?この、気持ちよさは…!子宮の奥から伝わってくる、この熱い衝動は…っ!?」

リキッドは呼吸を荒げて、熟した肉体を艶めかしくくねらせた。
下半身が溶けてなくなってしまいそうなほどの気持ちよさだ。
そんな彼女の様子をサディスティックに見詰めたまま、スネークは回り込むようにして体を跨ぐと、母親の顔にゆっくりと座り込んでいった。

寝そべるリキッドの頭上で、プリーツスカートが揺らいでいる。
剥き出しになった秘所が、みるみる自分の顔に押し付けられてきた。

「ほ〜らママ…ママの大好きな制服のスカートだよぉ…」

「う…!う…!ふが…!が…っ!」

スカートの生地が頬をくすぐる。
愛液に濡れる股間から漂う淫靡な匂いが鼻孔を刺激する。
そして自分の股間から変わらず伝わってくる至上の快感。
四方八方から襲ってくる多彩な攻撃に、さしものリキッドも翻弄されるしかなかった。

「あぁっ!駄目…!そんな…ああっ…!く、くる…これが、これが歓喜ジョイなの…?あ、あ、あああああっ」

女子高生。
制服。
母親を襲う娘。
何もかもが、彼の琴線を奏でまくる。

難攻不落を誇ったリキッドの魂が、想像を絶する衝撃に臨界を越え――ついに決壊した。

「ザ・ジョイッ!!」

咆哮。
白目を剥き、逆さまの格好で足を蹴上げるようにピン、と体を直立にさせる。
同時に股間から怒涛の勢いで愛液が噴出してきた。
まるで、水を流したホースの口を塞いでぱんぱんに溜まったところで指を離した時のように、母親の肉体は潮吹きを続けながら、空中を跳ねるように暴れ回った。

スネークは迸る愛液を顔面で受け止め、その勢いが弱くなってきたのを確認すると、ようやく技を解いて身を離した。
拘束から解放され、虚脱した母親の体が床の上にゆっくりと倒れ込む。

「………」

どうやら絶頂のあまり気を失ってしまったらしい。
先程のバスルームでの自分の体たらくを思い出す。
スネークは愛液に顔を濡らしたまま、まじまじとその姿を観察した。

リキッドにさんざん利用された母親の肉体。
何の関係もない一般人の主婦を自分たちの任務に巻き込み、見るも無残な格好にさせてしまったことがあまりにも忍びない。

布きれを一枚手に取って股間の汚れを拭うと、捲れ上がっていたスカートを元に戻してやった。
後始末を終え、母親の体を横たわらせたまま、背を向けてドアへと近づく。

しかし、その瞬間――背後に強烈な殺気が膨れ上がった!


「スネェェク!まだだ!!まだ終わってない!!!」

リキッドだ。
彼の精神はまだ死んでいなかった。
満身創痍の母親の体を無理やり起き上がらせ、再び戦闘態勢を取る。

髪はボサボサ、肩も肌蹴てほとんど半裸も同然の酷い有様だ。
しかしスネークは慌てる様子もなく、甦ったリキッドを振り返ると、彼女の憎しみの視線を正面から平然と受け止めた。

「いや…終わりだ、リキッド。自分の姿をよく確かめてみろ」

「!」

こちらの頭を見上げたまま喋るスネークの視線の意味を察し、リキッドは慌てて被っていた下着を剥ぎ取った。
色とりどりのパンティーを確かめると、一番上にあったはずの純白の逸品だけが忽然と消え失せていたのだ。

「い、いつの間に…!?」

怪盗である自分の獲物を掠め取るとは!
リキッドは忌々しげにスネークを睨みつけた。
すぐさま奪い返そうと、腰を低くして襲いかかろうとする。

「おっと。確かにお前の頭からパンティーは剥ぎ取ったが…残念ながら、ここにはないぞ」

それを手で制し、スネークはゆっくりと制服のスカートをたくし上げた。
女子高生の股間は――変わらず剥き出しだ。
恥ずかしげもなく堂々と、自分の下半身を見せびらかす。

「何の真似だ!?」

「断言しておくが、この女子高生の体のどこにも隠してはいない…ならばお前の頭から消え失せたパンティー、一体今、どこにあると思う…?」

「!?」

不敵な笑みを浮かべるスネークの謎かけに、リキッドは最悪の事態を予想した。
すぐさま自分の下半身を弄る。

「ま、まさか……!?」

震える声で、恐る恐るスカートを持ち上げていく。
先程の戦闘で、母親のショーツはスネークに脱がされたはず。
奴と同様、この股間も丸出しでなければならないのだ。

だが――
見下ろした自分の股間は、しっかりと下着を履いていた。
リキッドのエロい心に侵されたグショグショの大人用ショーツではなく。
それは――雪のように真っ白いパンティー!

しかもよく見れば下着の中心に、うっすらと染みがあった。
白い生地を侵すように、黄ばみ混じりの湿り気がゆっくりと面積を拡大していく。

「まさか…まさか、これは…!?」

「どんな気分だ、リキッド。女子高生を愛するお前が…自らの手で、女子高生の履物に「女子高生以外」の汚れを付けてしまった感想は…?」

リキッドは震える指を、恐る恐る自分の股間に近づけていく。
染みの中心を撫で擦り、濡れた指先を持ち上げて臭いを確かめる。
漂ってくるのは、お馴染みの臭気だ。


「JKのマン汁…じゃなーーーーーい!!」


天を仰ぎ、咆哮するリキッド。
それはまるで、獣の断末魔のようだった。

大きく口を開けたまま、膝から崩れ落ちるように床に倒れ込んでしまう。
表情を伺うと、白目をむいていた。
今度こそ完全に失神してしまったらしい。

彼にとって女子高生は純潔の象徴であり、それを穢すことなど例え何者であっても許せるはずがないのに――自分自身がその愚行を犯してしまったのだ。
しかも獲物を奪われたことにすら気付かず、このような辱めを受けた姿をむざむざさらしてしまったのだから。
怪盗としてのプライドはズタズタだろう。

「……」

スネークは慎重に近付いて母親の肩を揺すぶり、気絶したのが芝居でない事を確認すると、スカートの中にそっと手を忍ばせた。
大人の女性の豊満な腰には不釣り合いな、窮屈そうなパンティーをつかみ、ゴムが切れないように注意しながら脱がせていく。
掌越しに伝わってくる、脱いだばかりの母親の体温がこもった生暖かい感触が心地良い。
手に持つ布地が本物であることを確かめたスネークはようやく緊張を解くと、胸を弄って大佐への通信をつなげた。

「こちらスネーク…たった今、目標ターゲットを回収した」

念願の報告に、念波を通して大佐が安堵の吐息を吐いたのが伝わってくる。

『よくやってくれた…!さすがだ、スネーク』

一時は作戦中断も危ぶまれた困難な任務だった。
見守ることしか出来ない大佐も気が気でなかったのだろう。
その声は、心からの労いに聞こえた。

通信を終えたスネークは立ち上がり、動かない母親の中に潜むリキッドをじっと見下ろした。

「…やはり母親の肉体を選んだのは失敗だったな、リキッド。俺が女子高生に入り込んだ時点で、すでにお前に勝ち目はなかったんだ…」

白いパンティーを握りしめたまま、静かにつぶやく。
当然、意識のないリキッドがそれに応えることはない。

戦いは終わったのだ――
勝者と敗者を等しく闇に包みこみ、女子高生の部屋にようやく夜本来の静けさが戻ろうとしていた……


女子高生の家 外庭

事後処理を終えて正面から堂々と外に出ると、辺りには靄が立ち込めていた。
すでに日付は変わり、空も白んできていたようだ。
周辺を警備していた警官たちもようやく引き上げたらしい。
スネークはパンティーをフルトン回収装置に括り付け、輸送機が待つポイントへと送った。

玄関ポーチのタイルに直接座り込み、疲弊した精神を癒すためにしばしぼんやりと空を見上げる。
と、ブレザーの胸元がプルプルと振動した。

『スネーク、回収したパンティーをこちらでも確認した。間違いなく、依頼通りの品だ。ご苦労だったな』

大佐からの受領報告だ。
これで正式に任務を達成したわけだ。
制服の上から胸を摩りながら、スネークは大きく息を吐き出した。

「大佐…しかしいいのか、依頼人の要望は「女子高生の染みつき」パンティーだったんだろう?実際に付いているのは母親のものだぞ」

『なに、事情を知らなければ染みの持ち主のことなど誰にも分からん。後は私の方で上手く説明しておくさ』

「ならいいんだが…それと、リキッドの奴はどうする?一応拘束してトイレに閉じ込めてあるが」

『後でこちらから人員を回す。処理に関しては一任してくれ』

「了解だ。散々あいつのおかげで引っ掻き回されたんだ。精々、灸を据えてやるんだな」

スネークは笑うと、制服の懐から煙草の箱を取り出し、引き抜いた一本を咥えたまま素早くマッチで火を点けた。
その擦過音から大佐もスネークの行動に気付いたらしい。

『ん、煙草を吸っているのか?』

「書斎に置いてあったものだ。あの母親、喫煙者だったのか…それとも、姿が見えない父親のものなのか」

美味そうに紫煙を吐き出しながら答えたスネークは、そこまで言って急に咳き込んだ。
中身はスネークでも、実際に吸っているのは女子高生なのだ。
少女の肺には刺激が強すぎたらしい。
本来ならば任務に関係のない物品を現場から持ち出すことは違反行為なのだが、大佐はあえて何も言わなかった。

『…とにかくスネーク、困難なミッションをよく遂行してくれた。さすがは伝説のゴーストエージェントだ』

「大佐、礼なら言葉ではなく行動で示してもらいたいものだ」

『フム、何か望みがあるのか?』

「そうだな…とりあえず休暇が欲しい。すり減った「気力」を回復しなければならないからな」

『……なるほど』

スネークの要求に、大佐はすべてを理解した様子で頷いた。

『ではスネーク、君に今から3時間の休息を与える。それまでは輸送機を待機させておくので、十分「リフレッシュ」してから帰還してくれ』

「感謝する大佐…通信終了」

スネークは念波を解除すると、煙草を咥えたまま立ち上がった。
スカートに付いたほこりを手で払いながら、家の中へと戻っていく。

「ミッション・ポゼッション――完了。これよりステルスモードに入る」

こちらに向かってつぶやいたスネークは、そのまますべてを拒絶するように玄関のドアを閉めて鍵をかけた。
声だけは真面目さを装っているが、頬が緩み、口元は笑いそうになるのを必死に堪えている。

スネークはもう我慢の限界とばかりに階段を一気に駆け上がり、女子高生の部屋へと飛び込む。
僅かな時間も経たずに、中からは「あっ…あぁん」と、少女の可愛らしい喘ぎ声が聞こえてきた。

どうやらリキッドの言葉通り、どんなに表面を取り繕うとしても彼の中に凌辱衝動を確実に存在し、心に巣食う蛇の本能を抑えることは出来なかったようだ――――





CAST

トゥルー・スネーク
大○明夫

大佐
青○武

女子高生
水○奈々

女子高生の母親
井○喜久子

女性警察官A
桑○法子

女性警察官B
寺○今日子

怪盗リキッド
銀○万丈


主題歌『T○e Best is Yet to Come』
作詞/作曲/編曲
村○りか


シナリオ トゥルー



METAL GEAR TRANS SOLID
Mission:Possession






――朝焼けの空を飛ぶC−1輸送機。
機体中央部にある上級士官用の個室で、机に設置された非常用回線がけたたましい音を上げた。
軍服の男が居住まいを正し、受話器を手に取る。

『……はい、無事入手しました。本日中にそちらにお渡しできます』

――――

『はい、あの男には真実は何も伝えておりません。リキッドに情報を流したのが我々であるなどとは夢にも思っていないでしょう』

――――

「無論、リキッドに与えた情報も限られたものです。ヤツは只、己の欲求に従って行動したまで…その行動が、こちらが描いたシナリオ通りであることにも気付いておりません」

――――

「ええ。間違いなく母親のマン汁が染み込んでいます。全てはあなたの計画通りです」

――――

「自分の娘の下着を履いて自慰に耽る母親…ご自分の『愛人』を使ってそんなシチュエーションを再現するとは、つくづくあなたは恐ろしいお方だ」

――――

「いえいえ、分かっておりますとも。我々はこのようなジャンルにしか興奮できない性癖の持ち主…私も念波ごしに大いに楽しませてもらいました」

――――

「スネークはあんなライセンスを持ちながら、いたってノーマルな男ですからな…こちらで導いてやらねば、読者プレイヤーが望むような展開も満足に披露できなかったでしょう」

――――

「はい、奴の行動はすべてモニタリングしています。リキッドも同様に…事前に屋内に仕込んでおいたカメラを使って、母親に乗り移った直前からすべて鑑賞が可能です」

――――

「ええ、私自らが編集を行い、とびっきりの映像作品に仕上げてみせます…完成をお待ちください」

――――

「はい…ありがとうございます…!では同じ趣味を持つ者同士、今宵は女子高生の染みつきパンティーを肴に存分に愉しみましょう…!」



そう言って軍服の男は、大佐は、ニヤリと唇を歪ませた。


「――大統領」


THE END

・本作品はフィクションであり、実際の人物、団体とは一切関係ありません。
・本作品を無断に複製、転載する事はご遠慮下さい。
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