艦隊憑依記 4 加賀編
 作:憑依好きの人  挿絵:おむらいすさん、3℃さん



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俺は別に最初から望んでこんな姿になったわけじゃない。
いや、まあ「死」自体は俺の意志だったんだが……
それはただ単に現実から逃げたかったからなんだ。
もう終わったことだから多くは言わないが、ほら、人生辛いことだらけだろ?
それを乗り越えていくだけの支えがなかっただけの話さ。
だから俺は海に身を投げた。全てを終わらせるために。
だが、残念ながら終わらなかった。
俺は「奴ら」に海中へと沈んでいく身体を確保され、艦娘を乗っ取る思念体を作り出す実験体にされた。
どうやらあいつらは人類側の勢力を内部から崩壊させる手段がほしかったようだ。
そして見事成功したわけだ。
仕組みは分からないが死んだ肉体と精神を分断され、精神体を今のものに作り替えられた。
だから俺はまだこの世にいる。
生きているのか死んでいるのかすら分からない存在になってしまったがな。
俺は「奴ら」の駒として別れを告げたはずのこの世界に留まることを余儀なくされたわけだ。
拒もうものなら今度こそ存在が消えることになるだろう。
だが、これは俺にとっても悪い話じゃない。
生前はまるっきり縁がなかった女性に触れることができる。それどころかその女性になることすらできる。
こんなうまい話、断る理由もない。
俺みたいに女に飢えている男の欲望も艦娘の肉体を奪うときに必要らしいしな。
今はおとなしく「奴ら」に従い、俺なりに楽しませてもらうとしよう。
今は、な。
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「それで……」

机の椅子に腰かけながら吹雪が金剛に切り出す。
無論、中身は同じ「男」だ。ある種の一人芝居のようだが、男は気にせず話を進める。

「次は誰を狙うんだ?鎮守府の奴らに信用されている金剛のカラダを使えば、大抵のやつには怪しまれずに接触できると思うが」

「そうだな。今度は頭の切れる奴のカラダを手に入れたい。そいつの頭脳を使えばここを支配するのが楽になるだろうしな」

他に誰も部屋にいないのをいいことに、2人は男口調で次の獲物の相談をする。

「なら吹雪の記憶のなかにちょうど適任の奴がいるぞ」

「奇遇だな。金剛もだ」

2人はニヤニヤしながら言う。
どうやら2人とも思い当たる人物がいるらしい。

「なら試しに同時に名前を挙げてみようぜ」

「おう」

「「せーのっ!」」






「「加賀」」

こうして次なるターゲットは決まった。



深夜零時をまわった頃、消灯時間はとうに過ぎているにも関わらず加賀は外を歩いていた。長い髪をサイドテールにし、白と青の弓道着を着ている彼女。身体のラインが出にくい服を着ているのにも関わらず、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるという非常に良いプロポーションをしていることが分かる。特に胸に関しては胸当ての盛り上がり具合から察するに、かなり立派なものを持っているようだ。そんな彼女がこんな夜遅くに出歩いているのは、彼女の素行が悪いからという訳ではない。正規空母である加賀は先ほどまで提督の許可を得た上で演習場に籠り、この時間まで艦載機の発艦訓練を行っていたのである。日に日に強大化する深海棲艦の勢力に対抗するべく、彼女は出撃のない日にも必ず訓練を行う。この日は演習場が夜からしか空いてなかったため、ここまで遅くなってしまったのである。彼女は額から流れる汗をタオルで拭いながら、自分の部屋がある宿舎へと歩いている。所々に設置されている電灯の明かりだけを残して辺りはすっかり暗くなっており、少し強めの風の音以外は何も聞こえない。その風を肌で感じていると、ふと後ろからの視線を感じた。

「誰かしら。もう消灯時間は過ぎているはずだけれど?」

存在を気づかれた視線の持ち主は物陰から姿を現した。

「ヘーイ、加賀!こんな時間まで訓練デスカ?ご苦労さまデース!」

姿を見せた金剛はいつもの明るい声で加賀に近づいていく。今日は非番だったためか兵装のひとつであるカチューシャ型の電探は付けていない。

「なぜ隠れていたのかしら。私に用があるならコソコソする必要はないでしょう、金剛さん。ましてやみんなが寝静まった夜中に私を尾行するなんて。知らない人だったら問答無用で爆撃をしていたわ」

すました顔で恐ろしいことを言う。しかも冗談とは言い切れないのがタチ悪いと金剛は心の中で思った。

「o, oh……スミマセン。実は他のみなさんには内緒でお話したいことがあったので、訓練が終わるのを待ってマシタ!」

「話?それもみんながいない場で?それなら悪いけれど明日時間を作るから、今日の所は勘弁してちょうだい。これでも疲れているのだから」

正直言ってそうは見えない。確かに若干汗をかいているが、息は全く乱れておらず顔色も普段の彼女と一切変わらない。いつもと同じ落ち着いたクールビューティな表情だ。彼女は感情表現が乏しいことは金剛の記憶で把握していたが、人はここまでポーカーフェイスを保っていられるものなのだろうか。何を考えているのかが分からない。脳に眠る記憶を使って金剛本人を演じているのにも関わらず、この女には見破られてしまうのではないか。そう思えてしまうほど彼女からは油断ならない雰囲気が漂っていた。だが、とにかくここはなんとしても引き止めなければいけない。

「Sorry! でもなるべく早い方がいいのデス。最近ブッキーの調子が悪い原因が分かったかも知れないのデス!」

「彼女の不調の理由?それが分かったなら私ではなく、提督の相談した方が良いと思うわ。今後の作戦に関わることでもあることだから」

そう、近いうちに今後の戦略展開にも関わる重要な極秘作戦が控えている。その作戦には自分や金剛だけでなく、吹雪も参加する予定なのだ。必ず結果を出さなければいかない場面において、万全の状態で出撃できないとなると勝利の確率がぐっと下がる。一刻も早く吹雪には以前の調子を取り戻してもらう必要があった。そして何よりも加賀は同じ艦隊の仲間として彼女のことを純粋に気にかけていた。吹雪が自分や仲間のために日々の努力を欠かさないできたことは知っている。何事にも真剣に取り組む彼女を、加賀は密かに高く評価していのだ。そんな吹雪がここにきてスランプ状態に陥ってしまった。普段の無理が祟ってしまったのではないか?そしてもしそうならば、彼女のためにも作戦から降ろすべきだとも考えていた。不調のまま出撃をした末、彼女が自分の目の前で沈むようなことは絶対にあってはならない。この戦いは全員が無事に生きて帰らなければ勝利とは言えないからだ。
そう頭の中で考える加賀に対して金剛はこう答えた。

「それもそうなんですケド、私が考えていることが事実なら提督はショックを受けてしまうと思うのデス……だから加賀に相談しに来たネ……」

「……それはどういうこと?」

提督がショックを受ける理由。これまでの吹雪と提督の関係を見ていて、思い浮かぶものはそう多くなかった。
そんな中、金剛が提示した答えは――――


「ハイ……私は、ブッキーが敵側のスパイになっていると思うのデス……」


彼女の裏切りだった。





そんな馬鹿なことが……と彼女は思った。吹雪の実直な性格は自分も少なからず把握している。彼女は仲間を欺き、ましてや裏切るような艦娘ではない。どう頑張ってもその光景を想像できないのだ。

「どうしてそう思うの?彼女を信用していないの?」

我ながら自分らしくない、私情に基づいた質問だと思いつつも聞かない訳にはいかない。吹雪との関係が深かった金剛がなぜそのような考えに至ったのかを知る必要があった。

「私も最初はそうは思いたくありませんデシタ……でもおかしいと思いませんカ?ブッキーの攻撃が当たらないだけなら分かりますケド、敵の攻撃も彼女にほとんど命中しないんデスヨ?偶然にしては出来過ぎていマース」

「……仮にそうだったとして、向こうももう少しそれを感付かれないようにすると思うのだけれど。ここまで露骨だと怪しまれるリスクが大きくなるし、吹雪をスパイにしている割にはいろいろとお粗末すぎる。だから私が思うにこれは敵のミスリードだと思うの。私達に内部の者同士で不信感を抱かせるためのね」

「……」
(こいつ……流石に頭が切れると言われるだけのことはある。こっちの狙いに既に気づいているとは。やはり早めに抑えないと俺の存在にも気づかれかねない。やるなら今だ!)

そう思った金剛は加賀に近づいていく。

「それでも私はブッキーがスパイだと思うのデス」

「そこまで言うのなら明確な根拠をあるのね」

「ハイ」

そして加賀の目の前に立ち、左手を口元に添えながら耳打ちをする。

「だって私も同じデスから♪」

「……あなた一体何を言って……っ!?」

面白くない冗談を聞いたような顔で一歩下がろうとした加賀だったが、何故か身体が思うように動かない。まるで金縛りにあっているかのようだ。驚いて自分の身体を見下ろす。

「な、なに……?身体が……金剛さ……っ!?」

突然のことに驚いたものの、取り乱すようなことはしない。加賀は身体の異常を伝えようと金剛の顔を見た。目の前にいる彼女は……笑っていた。彼女には似つかわしくない下卑た表情だ。

「いやあ、気づかれる前に捕らえられて良かったぜ。これで安心してお前のカラダを奪える」

加賀が動けなくなったところ見計らい金剛は本性表す。

「私の身体を奪う……?さっきから何を言っているの?あなたは……金剛さんではないの?」

「当たらずとも遠からずってやつだ。身体は確かに金剛のもんだが支配している意識が違う。だから平気でこんなこともできるんだぜ」

そういって金剛はニヤニヤと加賀を見つめながら自分の胸を掬い上げるように持ち上げ、乱暴に揉み始めた。

「あんっ!やっぱり女の胸の感触は最高だ……ずっと触ってても飽きない……な……んんっ……しかもこんなに気持ちいいなんて、ホントお前らオンナが羨ましいぜ……はぁ……♪ま、今は俺のカラダだけどな!」

金剛はわざとらしく前かがみになり、胸がいやらしく形を変える様を見せつける。

「金剛さん、どうやら本当に何者かに身体を奪われているようね……だからこんなことを……」

「へえ、意外とあっさり信じるんだな。コイツを吹雪のカラダを使って襲った時は偽物だのなんだのとなかなか認めようとしなかったのによ」

( !! )

加賀はその言葉を聞いた瞬間ハッとした顔になり、全てに合点がいったようだった。

「……これでも観察眼には自信があるのよ。偽物なら僅かにでも彼女にとって不自然な動きがあった時に気づくわ……でもあなたにはそれがなかった。そして吹雪さんのことも……あなたの仕業ってことね」

「そりゃそうだ。金剛の記憶を使って完璧に演じてるんだからな。俺はコイツの全てを手に入れたんだ。無論吹雪も完全に俺の操り人形だぜ、ククク」

その言葉に対して加賀の目つきがさらに険しくなる。

「あなたが誰だか知らないけれど、とんだゲス野郎なのは間違いないようね……」

声こそは小さいものの、そこには確かな怒気がこもっていた。彼女の瞳に奥に燃え盛る炎が見えそうだ。しかし金剛がそれに怯むことはない。加賀を捕らえた時点で勝利を確信しているからだ。

「そのゲス野郎にお前もこれからカラダを奪われるんだぜ?足元を見てみな」

(なんですって……?)

金剛に言われるがまま自分の足元を見てみると、そこには近くにある電灯によって僅かに照らされている自分の影があった。そしてその影を右足で踏む形で金剛が立っている。すると踏まれている足からさらにどす黒い影のようなものが伸びてきた。それは瞬く間に加賀の影を漆黒に塗りつぶす。すると途端に加賀の背中がぴんと伸び、身体がさらに硬直した。
何者かに身体を蝕まれているかのようなおぞましい感覚が全身を走る。

「あっ……!かはっ……!」
(な、なに……!?)

思わず手に持っていたタオルも落としてしまう。その様子を見ながら金剛が邪悪な笑みを浮かべている。

(ククク、状況が把握できないだろうが、この能力でカラダの自由も奪ってるんだぜ?そして……)

「どうデスカ?影にカラダを侵食されていく気分は?ほぉら、まだまだ終わりじゃないですヨ?」

そう言うと地面にへばりついていた漆黒が直接加賀の足を這い上り始めた。ふくらはぎから太もも、腰、お腹そして胸までズズズッと登っていき、気づけば首から下は完全に影に覆われていた。

「!!」

そんな自分の身体を見た加賀は苦虫を噛んだ表情になる。全く身動きが取れない。

「これであなたももうすぐ『俺』のものデス♪ 最後に何か言い残すことはありますカー?」

金剛はコロッと表情を変えいつもの明るい笑顔で加賀に問いかける。それがかえって不気味さを醸し出していた。

「くっ……!流石の私も頭にきました……あなたのことは……絶対に許さない……」

「ククク、そんなことなんてすぐにどうでもよくなりますヨ♪ では……




さよなら、加賀」

その瞬間黒い影が加賀の身体へと溶け込み始めた。途端に加賀は苦しそうな表情を浮かべ、痙攣を起こし始める。

「っ……!?あ……うぁっ……くはっ……!はぁっ……!」

そうしている間にも影はどんどん彼女の体に入り込んでいく。そしてついには完全に入り込んでしまった。すると加賀の痙攣が一層激しくなる。

「ああっ!がはっ!はっ……ああああっ!!」

彼女にとってもひと際大きな声を上げると、意識を失ったのか身体を脱力させた。そのまま前のめりになり倒れそうになったところを金剛の身体で抱きしめるように受け止める。そして辺りは再び風の音だけになった。




しばらくすると、加賀の身体がビクッと震えた。それを合図に金剛は加賀に尋ねた。

「気分はどうデスカ?『ご主人様』」

加賀は顎を自分の肩に乗せているため、その顔が見えない。加賀は抱かれたままゆっくりと両手あげると……そのまま金剛の頭を左右からがっちりと押さえつけた。

「え……?」

加賀は顔をゆっくりと離すとその表情がようやく明らかになった。それを見て金剛は驚愕する。先ほどと変わらない鋭い眼光でこちらを睨み付けているのだ。紛れもない怒りの表情だ。

(ま、まさか乗っ取りに失敗したのか!?)

不測の事態に金剛は焦りを隠せない。どうするべきか逡巡している間に加賀の口が先に開いた。

「よくも……やってくれたわね……」

怒気がこもった低い声で怒りの言葉を口にする。そんな彼女に対して金剛は焦りのあまり頭のなかは真っ白だ。加賀はそんなことはお構いなしにずいっと彼女の顔を自分に引き寄せる。そして……






金剛の唇に勢いよく口づけをした。

「んむっ」

「んぶっ!?んん!?」

いきなりことに金剛の目が白黒する。しかしそんなことは気にせず加賀は目を閉じながらキスを続ける。

「んんんんんっ!」

金剛は両手をじたばたさせ拘束から逃れようとしたが、がっちりと頭を掴まれた状態でそれは叶わなかった。そのまま接吻が十数秒続いたのち、加賀は金剛の唇をようやく解放した。

「ぷはぁっ……!本当に……本当によくも私のカラダを奪ってくれたわね。嬉しくて唇を奪ってしまったわ。ふふふっ」

加賀はつい数十秒前と打って変わってニヤニヤと嬉しそうに笑みを浮かべる。その目は情欲の色で満たされていた。それを見て金剛はようやく安堵した。

「なんだよぉ!おどかすなよ!一瞬本当に乗っ取りに失敗したと思ったじゃねえか!」

「悪い悪い。このカラダを手に入れたのがあまりにも嬉しくてついからかってみたくなっちまったw」

容姿端麗な女性である2人には似つかわしくない言葉遣いで会話が行われる。普段の彼女たちとのあまりもの落差に自然と笑みを浮かべてしまう。

「さ、早くお前の部屋に行って楽しもうぜ!私もう我慢できマセーン!」

「しょうがないわね。じゃあ私の部屋でレズプレイを楽しみましょ」

そういって加賀は自分が落としたタオルを拾い、金剛を自分の部屋を連れて行った。




十分かからないうちに、加賀の部屋に到着した。必要最低限の家具だけが置かれている少々殺風景な一室だ。本来の加賀はあまり自分の部屋を余計なもので埋めたくない性格なのだろう。

「それにしても不思議な気分ね。私の部屋なのに初めて入ったみたいだわ。あなたの記憶がなければ場所も分からなかったし」

現時点で男は魂を加賀の肉体に定着させていない。今の彼女にとっては自分に関する全てが新鮮なのだ。この部屋の場所が分かったのは元々金剛が場所を知っており、本体が身体を加賀へと乗り換える際にその記憶を引き継いだためである。よって現在金剛の肉体を操っているのは男の分身体である。

「私も入るのは初めてデース!very simpleな部屋ですネ!そのカラダを堪能できればなんでもいいですケド!にひひ」

「その可愛い顔を歪ませて私のカラダをじろじろ見ないでくれるかしら。私も興奮してしまうから」

「oh,sorry! でもそのエロい胸や太ももを見てるとムラムラして仕方ありマセーン!」

「私も早くこのカラダを味わいたいわ。でも汗を掻いてしまったからシャワーを浴びて、着替えてくるわね」

そういって加賀は自室にあるシャワールームへと向かおうとした。だが、突然金剛にガシッと肩を掴まれ引き止められる。

「Wait! 私にいい考えがありマース!普通にセックスをしてもつまらないデスから、お互いの制服を交換してコスプレエッチをしまショウ!私はその汗が染み込んだ服を着マス!!ですからあなたは私の服を着てクダサイ!」

金剛が鼻息を荒くしながら興奮気味に言う。

「別にいいけれどせめてシャワーは……」

「だめデス!!汗に濡れたあなたカラダも楽しみたいのデス!シャワーを浴びることも許しマセン!」

「はぁ……仕方ないわね。でもたまにはそういうプレイも悪くはないわね。面白そう」

加賀は口では少し呆れているようだったが、その目には期待の感情が混じっていた。





現在2人は部屋のなかで互いに背中を向けて立っている。着替えが終わるまでは姿を見せ合わない方が興奮するからという至極単純な理由だ。

「よ、よし!ではまずは自分の服を脱ぎマショウ!」

「ええ、分かったわ」

そして2人は同時に服を脱ぎ始めた。スルスルという布が擦れる音が聞こえ出す。金剛は自分の巫女服の上着を脱いだあと、スカートを降ろして下着姿になった。今回胸をおさえているのはサラシではなくブラジャーだ。男は金剛の身体になってから何度も自分の裸を眺めてきたが、カップに包まれ深い谷間を作る胸を見ているとどうしても口元が緩んでしまう。金剛が自分の身体に見惚れていると……

「え、マジかよ……すげえ……」

後ろからなにやら感心する声が聞こえる。金剛は振り向きたくなる衝動を抑え辛抱強く加賀が服を脱ぎ終わるのを待つ。その間にも背後からは「おお……」や「やべえ……」などの感嘆の声が聞こえる。とうとう耐えきれなくなって加賀に抗議しようと瞬間、「脱ぎました」と加賀の言葉が聞こえた。後ろに全裸の下着姿の加賀がいると思うとはやる気持ちを抑えきれなくなりそうだ。

「やっとデスカ……!待ちくたびれたネ!さっ、交換デス!」

そういって金剛は加賀に背を向けたまま後ろに自分の制服を差し出した。加賀はそれを受け取ると、代わりに自分が訓練中も着ていた服を渡してきた。今度は交換した服を着ていく。
金剛はまず白の道衣を羽織り、襟元を整える。ついでに匂いを嗅いでみると、加賀が訓練中に流したであろう汗の香りがする。たまらずうっとりした表情を浮かべる。

(ああ……女の汗の匂いってなんでこうも興奮するんだろうなぁ……ぐへへ……あれ、でもなんか胸が……)

ふと胸の部分に余裕があることに気づいた。胸と服の間に手を入れてもまだスペースが余っている。ということは……

「んしょ……ふっ……!んっ!だめだ、やっぱり胸がキツイ……」

後ろから小声で聞こえた言葉。それを聞いた瞬間なぜか急に負けた気分になった。

(くっそぉ……!元々は自分のカラダじゃないのになんでこんなに悔しいんだ……!!こ、こうなったら金剛のカラダでとことんお前をよがらせてやるからな!!覚悟しろチクショウ!)

金剛は握りこぶしを作りながら固く決意した。

しばらくして2人は着替え終わった。まだ背を向けている両者は少し緊張の面持ちのようだ。

「で、では……私のせーので向き合いますヨ!」

「ええ」

金剛は心の準備を整えると、合図の言葉を口にする。

「せーのっ!」

2人は交換した服をひるがえさせながらバッと振り返った。そして――――

「「 !! 」」

お互いの姿に言葉を失った。

金剛の方は胸やおしりに余裕がありつつも、弓道服を着ることによって普段とはまた違った雰囲気を醸し出していた。この姿で弓を引けばさぞ美しい画になるだろう。
しかし本当にすごいのは加賀の方だ。金剛の服によってバストやヒップがきつく締め付けられており、それによってボディラインが浮き彫りになっている。金剛もスタイルには自信があり、胸は大きいはずだが、加賀のそれは金剛をも凌駕していた。前が完全には締まらないせいで彼女の巨乳の露出部分が増え、金剛よりも深い谷間が晒されている。普段の加賀なら絶対にしない格好だ。
その艶めかしい姿に金剛は思わずごくりと生唾を飲んだ。

「す、すごい……そのカラダすごい……エロ過ぎる……」

金剛は演技をするのも忘れ、素直な感想を述べる。

「褒めたってなにも出ないわよ?潮は吹けるかも知れないけれど。ふふっ」

金剛の言葉に気を良くしたのだろう。はち切れんばかりの胸を張りながら、誇らしげに卑猥な発言をする加賀。その普段からはかけ離れた言動に金剛の興奮がますます高まる。

「はぁ……はぁ……もう我慢できマセン…...!」

「え、ちょっと……きゃっ……」



金剛は襲い掛かるように加賀をベッドに押し倒した。そしてその反動で大きくに弾んだ彼女の胸を揉みしだき始めた。それに反応して加賀が艶のある吐息を出す。

「んっ……うふっ……はっ……あっ……」

(うっはぁ……なんだよこの胸…...大きすぎて全く手に収まらねえ……それにむちゃくちゃ柔らかい……)

「んっ!……んはっ……はぁん……んっ♪」

「加賀のおっぱい……すごく大きくて、私の手じゃ入りきりマセン……ん?」

金剛は自分さえも超える巨乳を揉んでいると、ふいに服の上からでも明確に存在を主張している突起を感じ取れた。しかしひとつ違和感をあり、加賀に質問する。

「もしかして、ブラをしてないんデスカ……?」

そう、ブラジャーをしているにしては揉み心地があまりにも良く、胸の突起の感触もはっきり感じ取れたのだ。それに加賀の反応がやけに良い。

「んふっ……その方があなたも興奮すると思って……着替えるときに外しておいたわ……さっきから服の生地が擦れて……乳首が気持ちいいの……んっ……♪」

熱のこもった視線で金剛を見つめながら彼女が感じた違和感の理由を告白した。心なしか言い切ったあとに突起がさらに固くなった気がする。その反応に金剛の頭のなかが沸騰しそうになる。

「なんであなたはそんなにエロいんデスカ!!おかげでさっきからカラダの疼きが止まりマセン……!!」

そういって加賀が着ている巫女服をはだけさせた。すると金剛のより若干乳輪が大きいものの、綺麗な桜色をしている乳首が露出する。金剛も自ら下着に包まれた胸を露わにし、手際よくブラジャーを取り去った。そして自分の乳首を加賀の乳首に合わせる形で胸を押し付け、身体を前後し始めた。

「はぁ……!あっ……!どうデスカ!柔らかいおっぱいが触れ合う感触は……!こんなこと、巨乳同士じゃないと、あうっ……できませんヨ……!まさか私が、あっあっ!胸のことで誰かに嫉妬することになるとは、あっ……!思いませんでしたケド!はあっ……!」

「んんっ……!んふぅっ!ええ……いい気持ちっ、よっ……!でもあなたの乳首の方が可愛いわ……あっ……」

2人の胸が互いにぶつかり合い、いやらしく形を変えている。大きな胸同士が刺激し合う光景は、なんとも扇情的だ。それも相まって2人の快感と興奮がさらに高まる。

「あっあっ……!乳首が擦れると……背中に電気が走って…...アソコがキュンってしてしまいマス♪ オンナは気持ちいいところが多くてずるいデス……♪ こんなに知ったら、やめられマセン……!んあっ!♪」

「んんっ……♪ そう……ね!『俺』の興奮に反応して、このカラダも熱くなってきたわ……はぁぁ……♪ どんなにクールを気取ってても所詮『私』もメスってことね……あっ……♪」

快感に身を任せ声があげる金剛と控えめな嬌声を出す加賀。
気が付けば2人のアソコはぐっしょりと濡れており、ベッドにも愛液が広がり始めていた。それに気づいた金剛が妖しい笑みを浮かべて言う。

「加賀ぁ~、そろそろここもほしいんじゃないデスカぁ……?今日は私がとことんよがらせてあげますからネ~♪」

金剛の手がスカートの上から加賀のアソコを撫でる。すると「んああっ!」という大きめな喘ぎ声と共に、加賀の腰が跳ねた。その様子を満足そうに眺めると、金剛は本来自分が履いているはずの加賀のスカートをめくった。そこには――――

「!!」

「あっ……そこは……♪」

一糸まとわぬ加賀の恥部があった。陰毛は形よく切りそろえられており、アソコも使い込まれていないのか、綺麗なピンク色をしている。小陰唇を透明な愛液で濡らしながら小刻みに震えるそこは、今か今かとさらなる刺激を待ち望んでいるかのようだった。

(どこまでこの女をエロエロにすれば気が済むんだよ、俺の本体は……!これじゃあただの痴女だぞww)

「加賀はスカートの下にも何も履かない変態なんですネ♪ そんなにココを弄ってほしかったんデスカ?」

言いながら小陰唇を指でなぞる。それだけで加賀の身体が大きく震える。

「んはああっ!そう……!そうなのっ!このカラダを乗っ取られたときからぁ……頭のなかがいやらしいことでいっぱいになって……こんなの『私』じゃないのにっ、自分でも抑えきれなくて……!早くめちゃくちゃにほしいと思ってたの!はあぁああっ!」

卑猥なことを言うことでわざと心のなかの羞恥心を煽り、背徳感によって自分を昂らせる加賀。恍惚とした表情を浮かべながら、自分の顔を撫でまわし身もだえている。

「そんな顔で言われてしまったら……私もいじめたくなるじゃないデスカ」

金剛は割れ目に沿ってさらに撫で続けるとだんだんと加賀の声が大きくなっていく。

「んあぁっ……!うあっ!……♪ はあっ!あはああああっ♪ それ……イイの……!もっと…...!もっとしてぇ……♪ 」

「あははっ、そんな淫乱な加賀も大好きデスヨ?お望み通りめちゃくちゃにしてあげるネ♪」

そういって金剛は右手の人差し指と中指の2本を準備が整った加賀の膣内に差し込んだ。
「はああぁぁっ……♡」と気持ちよさそうに息を吐く声が耳に届くと、そのままゆっくりと指を動かし始めた。

「あっ……あっ……!ああっ……!はぁっ!な、なか……掻き乱されてっ!……気持ちいい……!♡」

指を奥に差し込むたびにベッドの先の方から嬌声が聞こえてくる。

「ああっ!んあああっ!♡ このカラダっ…...膣内に指を入れられると……ああんっ!♡ 頭がチカチカして、すごいのっ♪ あっああぁあっ!♡」

「ふふふ、さっきからぐちゅぐちゅっていやらしい音を立てていますヨ♪加賀の膣内……温かくてプニプニしてて、指がふやけてしまいそうデス。ここをこうされるとどうデスカ?」

金剛は指をくいっと曲げ、Gスポットを刺激した。

「あひぃっ!?♡」

素っ頓狂の声を上げた加賀の頭のなかは一瞬空白になった。身体が大きく跳ね、背中を反りながらつま先をぴんと伸ばす。膣内の締まりもさっきより強くなり、金剛の指を掴んで離さない。

「あはっ♪今の気持ちよかったデスカ?一瞬意識が飛びましたカ?」

「待って……今のはダメ……あんなの続けたらおかしくなっちゃう」

「そうデスカー。気持ちよすぎて頭がおかしくなってしまいそうデスカー。じゃあ……続けるしかありませんネ♡」

加賀のことなどお構いなしに指をくいくいっと曲げ、刺激を再開した。すると加賀がアソコからとめどなく愛液を溢れさせながら狂乱する。

「あはああっ!ひゃあああっ!や、やめっ♡ それやばっ、はああぁああっ!♡ ひっ、ひいいいいっ!ぎ、ぎもぢいいのが止まらなっ……あ゛あ゛ああっ!♡」

半ば白目を向きながら女性が見せてはいけない快楽に溺れた表情を浮かべる加賀。口からは涎が垂れ、普段の品性はもうどこにも感じられない。快感に耐えきれないのか両手でベッドシーツを掴みながら露出した胸をぶるんぶるん揺らし、身体を痙攣させている。限界が近いであろう加賀の身体。そんな今にも絶頂しそうな彼女を突然、さらなる快楽が容赦なく襲った。

「あ゛っ…………!」

金剛が彼女のクリトリスを左手の指で摘まみ上げたのだ。腰が「ビックンッ!」と突き上げられたかのように大きく跳ねた。その瞬間加賀は思考を放棄した。

「あ゛あ゛あああっ!♡ んはああああっ!♡ お゛……おほおおお゛お゛っ!♡」

もう彼女は獣のような雄叫びを上げながら快楽を享受する肉人形に成り下がっていた。身体から発せられる全ての快感を貪るため自分の乳首を摘まみ上げながら胸を揉み、腰を激しく動かす。金剛が刺激している秘所はダムが決壊したかのように洪水状態だ。それなのに快楽は留まるところを知らず、加賀が到達したことのない境地へと追いやっていく。

「こんな声をあなたも出すんですネ……私が思っていた以上にあなたスケベなオンナだったみたいデス♪」

「あはあ゛あ゛ああっ!♡ すごいっ!すごいの゛お゛おおっ!♡ にゃにもかんがえりゃれないぃ!ぎもぢいぃ……!ぎもぢぃぎもぢぃのお゛お゛おっ!♡」

もう普段の彼女の面影はない。そこにいたのは情欲のままに快楽を貪る一匹のメスだった。
あらぬ方向に目を向けながら加賀よがり狂う。

「んあ゛あ゛ああっ!♡ かはっ!あああぁ゛あぁ゛っ!♡ イグッ……!もうイグッ!♡ 頭おかしぐなっでイグゥっ!!♡」

「はぁ……はぁ……加賀……あなたエロ過ぎるネ……私も……見てるだけでイキそうネ……♡」

いつの間にか金剛はベッドの角で自分の股間を刺激しており、加賀を責めながら自分を慰めていた。ラストスパートに指の動きを早くし、クリトリスをくにくにと何度も摘まみ上げた。それと同時に自分の腰の動きも早める。

「あっはああああっ!♡ イグゥ……♡ あっ、あ゛っ、ああ゛っ……!♡」

「はぁっ……!はっ……!ああっ♡ 私も……イキそうネ……♡ あぁっ♡」

限界をとうに超えた加賀と、それを見て上り詰める金剛。オンナの快楽に飲み込まれた2人の興奮が……ついに爆発する。

「んあ゛あ゛っ!♡ あ゛っ!あ゛あっ!あはぁあ゛っ……んはあ゛あ゛あああああっ!!♡♡♡」

「はあんっ!♡ はっ、あっ!ああっ!♡ んはぁあっ……あああああああんっ!♡」

部屋に外にも響き渡るような大きな喘ぎ声を上げ絶頂する2人。金剛は上半身を上げたまま身体を弓なりに反り、全身で快感を受け止めた。加賀はというと絶頂の瞬間に白目を剥きながら激しく痙攣し、絶大な快楽を表現するかのようにアソコから潮を吹いていた。水音とともにその愛液交じりの液体が金剛の身体にかかり、汗が染み込んで乾いていた弓道服をもう一度ずぶ濡れにする。その後も加賀の身体は数十秒もの間痙攣を続けた。しばらくして絶頂が治まっても完全に忘我の彼方だ。

「んあぁぁっ……あっ……ぁ……」

「はぁ……はぁ……き、気持ちよかったデス……♡ いつもはすました顔をしておいて、あんなに乱れるなんて……あなたはとんだ淫乱女デスネ……♪」

そういって加賀のクリトリスを摘まむと、失神したにも関わらず「あっ♡」と小さな喘ぎ声が返ってくる。

「これであなたも……『ご主人様』のものデスネ、加賀♡」




加賀は脱力感に包まれながら目を覚ました。全身に力が入らず、手足を思うように動かせない。仕方がないのでベッドに身体を預けたまま部屋を見回すと、部屋にあった椅子に座りながらこちらを見つめる金剛と目が合った。相変わらず加賀の服を着たままだ。袴の部分に愛液の跡が残っているのが分かる。

「そのカラダもゲットですネ。『ご主人様』♪」

金剛はニコニコしながら加賀に話しかける。彼女はしばらくポカンとした顔をしたあと、全てを思い出したのか急に口角を吊り上げニヤニヤといやらし笑みを浮かべた。

「ああ、このカラダ最高だぞ。巨乳だしむちむちしてるし、気持ちいいし……そして何より頭が良い。今ならコイツの頭脳と記憶を使っていろんなことができそうだ。本当に『私』のカラダって、『俺』好みだわ……」

ようやく力戻ってきたのか上半身を持ち上げ、金剛の服を着た自分の身体を見下ろす。本来は金剛型が着る巫女服が完全にはだけている。おかげでその立派すぎる胸が丸出しになっており、股間は大量の愛液と絶頂時の潮でびしょ濡れのままだった。そんな自分の身体を見て嬉しそうに目を細めると、両手で掌には到底収まらない胸を優しく揉む。すると先ほど絶頂したばかりにも関わらず、刺激された胸が再び快感を発し始めた。

「んんっ、んはあ……オンナの快感ってホント底なしね……まだまだ楽しめそう……ふふふっ」

加賀は妖しい微笑を浮かべながら言う。

「ではもう1ラウンドいきマスカ?今度は貝合わせとかもしたいデス♡……ぐへへ」

「そうね……あなたもまだ満足しきっていないみたいだし、今度は一緒におかしくなりましょ」



そういって加賀は金剛を誘うように右手を差し出した。金剛は椅子から立ち上がると、その手を取り、そのまま抱き合った。

「あぁん……朝まで乱れ狂いましょ。今日は『私』が生まれ変わった日でもあるから♡」

「はぁい♪ この調子でどんどん艦娘たちのカラダを奪っていきましょうネ~♪」
(……ブッキーの方もうまいことやっているといいんですけどネ)

こうして2人の淫らな饗宴は朝日が昇るまで続いた。






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