「証拠」 作:T-MC 第1話 女弁護士編 「こ、これは一体…、どういう事なの!?」 さすがの私も頭の中が真っ白になってしまっていた。 今の自分の置かれている状況が、全く理解できないのだから。 周りの人たちの…、興味はあるもののなるべく関わり合いを持ちたくない様な…、 そんな冷たい視線が突き刺さっている。 私は何故こんな… …こんな恥ずかしい恰好をしているの? いえ、それ以前に何故こんな所にいるの? 次々と疑問が湧いてきて、ますます私の頭を混乱させた。 「大丈夫。お、落ち着くのよ…!ま、先ずは状況の整理から…」 私は自分自身に言い聞かせるようにそう呟くと、冷静に自分の記憶を辿ってみた。 ---------- 弁護士である私は、あるレイプ事件の調査を担当していた。 依頼人は若い女性。 犯人の男は睡眠薬か何かで強制的に意識を失わせて犯行に及んだらしく、彼女にその時の記憶は全く無いらしい。 あまりのショックに記憶喪失状態になっているという可能性もあるだろう。 彼女が告訴しようとすると、相手側は弁護人を立てて同意のもとセックスをしたと主張してきたそうだ。 名誉棄損で慰謝料まで請求してきていると言う。 犯罪を犯しておきながら謝罪も無く、むしろ被害者であるはずの彼女を加害者にさえしようとしている。 その卑劣な行為を私の正義感が許すはずがなかった。 私は相手の男性の素行を徹底的に調査し、事件当時の様子を知る人から言い逃れできぬ動かぬ「証拠」と呼べる写真を得る事が出来たのだ。 そう…。 そして今日、その男の所へと足を運び、その写真を突きつけ自白させようとした。 私がその証拠品を男に見せた時、相手は明らかに動揺しているのが分かった。 その後の私の問い詰めに、とうとう男は尻尾を出し、ついに自分の口から犯行を認めたのだ。 その一部始終を録音していた私は、さらに決定的な「証拠」を掴んだ…はずだった。 しかし追いつめられた筈の男は、不敵にニヤリと笑いながらそのままソファーへと座りこみ、 あろうことか堂々と眠り始めたのだった。 ---------- 私が覚えているのは、ここまでだ。 その後は、なぜか記憶が無い。 気がついたら、この人が大勢いる市民プールの真ん中で、こんな紐だけの様な卑猥な水着を着て、突っ立っていたのだ。 私はふと我に帰った。 相変わらず周りの視線が冷たい事に気づく。 「そうだ、こんな恥ずかしい格好、早く着替えないと…!」 私は慌てて歩き出そうと足を動かす。 すると、股間の違和感に直ぐに気がついた。 「…なっ!なんなの?これは!!」 水着の下に、私のアソコに…なにか硬い異物が入っている。 これは…そう…バイブ…!何故…こんなものが…!? 私はまた気が動転してしまい、その場から動けなくなってしまった。 その場にうずくまろうとしたその時、誰かが私の肩を叩いて声をかけてきた。 「大丈夫ですか?気分でも悪いんですか?」 小さな子供を連れた若い女性が、心配そうな表情で私の肩に優しく手を置いて話しかけてきたのだ。 「あ、いえ…。すみません、大丈夫です。有難う御座います。」 「そうかしら?大丈夫そうには見えないわ。お背中さすりましょうか?」 そう言ってその女性は私の背中に手を回してくる。 「あの、本当に大丈夫です。お気遣いなく…。」 「遠慮しなくても大丈夫よ。ほらっ、背中をさすってやるわ。」 女性はそう言って無理やり私の背中に指を這わせてきた。 「あ…、ちょっと。」 「きっと今日は沢山運動したから疲れているんですわ。私が揉みほぐしてあげます。」 そう言った女性の指が背中からそのまま前方にまわり、私の胸を急に掴んできた。 とっさに私は小さく悲鳴を上げてしまった。 「きゃっ、何するんですか!?」 「いいからいいから、女性同士でしょ?恥ずかしくなんて無いわよ。」 女性の手つきは明らかに私の胸の感触を確かめるような卑猥な揉み方、 さらに背中には、女性の胸がわざと押し付けられているといった感覚もある。 そして、私の身体もこんな状況なのに、異常に敏感に反応していた。 おかしい。 こんな状況で直ぐに気持ち良くなんてなったりしないはずのに…。 そう言えば、既に身体が火照っていたような気もする。 「はあっ、はあっ、…どうかしら?私のマッサージ?気持ちいいでしょう?」 「…あっ…ん…や、やめて…下さい…!」 「あなたの感じる所は、もう十分分かってるの。はあっ、はあっ、ほらぁ、乳首が気持ちいいのよねぇ、その身体!」 女性に乳首をつままれた瞬間、私の身体は大きく震えた。 「あはあぁぁぁっ…ん…!」 「ママー?さっきからなにしてるのー?おうちにかえるんじゃなかったの?」 はっ?そう言えばこの人、子供の前で…いいえ、こんな公衆の面前でなんて事…! 「やっ、止めてください!!」 正気に戻った私は、女性の手を振り払って言った。 「あら〜?もういいのぉ?せ〜っかくこっちも良い感じに濡れてきたっつーのに…」 そう言いながら女性は指を自らの股間に這わせながら、怪しい笑みで舌なめずりている。 「ママ〜?あのおんなのひと、ママのおともだち?」 女の子が女性に向かって話しかけている。 「ん〜?ああ、そうよ。ママのお友達なの。ほら、みっちゃんもおねーさんの所に行って挨拶してきなさい!」 そう言われた女の子が私の所に来て自己紹介をしてきた。 さっきまであんな事をされていたけど、子供が相手では私も無視するわけにもいかず、腰をおろして話を聞く事にした。 「ねえ、おねーさん、さっきママと何してたの?」 「え?…う〜ん、何でも無いわ。挨拶していただけよ。」 私はそう言ってごまかした。 「本当〜?こうやって、胸を揉むのが大人の挨拶なんだぁ。」 女の子はそう言って、私の胸を揉み始めた。 「きゃっ、何するの!」 「これが挨拶なんでしょ?自分で今言ったじゃん。」 女の子の小さな指が、ピンポイントに私の乳首を摘まんできた。 「そーら、乳首が気持ちいいんだよね?おねーさん?」 「や、止めなさい!」 私は思わず女の子をふりほどいてしまった。 「あ、あなたっ!突然私の子に何するんですかっ!」 先ほどの女性が血相を変えて、女の子を抱きあげる。 「あ、す…すみません!本当に…ごめんなさい!」 「それに…そんなはしたない恰好…。子供に見せないで下さいっ!」 女性はそう言うと子供を抱いて私のそばから離れて行ってしまった。 私はその場に座ったまま、いったい何が起こったのか、また混乱してしまった。 「大丈夫ですかぁ〜?」 また誰かが声をかけてくる。 私が振り向くと派手そうな金髪にサングラスの女性がニヤニヤして立っていた。 「ちょっと…ハルナ〜、どうしたの急に?」 その後ろで友人と思われる同じ様なギャル系の女性が心配そうに話しかけている。 「ああ、アンタは気にしないでいいから。アタシ、この人に用があるの。」 「え?だってその人…さっきまで変な事してた人でしょ?関わらない方がいいって自分で言ってたじゃない。」 「急に気が変わったのよ。たった、今、ね!」 二人の会話を聞いていて、私は疑問を感じていた。 変な事をされていたのはむしろ私の方だったはずだ…。 私が戸惑っていると、その女性は私を見てニヤリと笑った。 サングラスをしているから目線は良く分からなかったが、その表情はどこかで見た笑みの様な気がした。 それも、すごく最近…。 そう言えば先ほどの女の子も、その母親も、同じような笑みを浮かべていた様な気がする。 「ねえ、弁護士さん。今の気分はどうですかぁ?」 女性は先ほどの母親と同じように私の肩に手をまわして話しかけてきた。 「ちょっと、何するの!止めなさい。」 …待って…?今、この子私の事を弁護士って言った…? どうして…それを知っているの? 「なぁ、弁護士さん。いつまで、股間にバイブ突っ込んでる気?それに、その変態な格好。まるで痴女みたいじゃない?」 「あ、あなた!どうして私の事、知っているの!?」 私が女性に詰め寄ると、目の前で面白そうに笑いながら答えた。 「うふふ。さっき自分で大声で自己紹介してたじゃない。名前も年齢も職業も、身長、体重、スリーサイズまで。 その上、ずいぶん楽しそうにエッチな踊りを踊ってたし。こんなふうに!」 そう言ってその子は自分の胸を揉みながら、ガニ股で腰を振って見せた。 「ちょっと!ハルナ!やめなって!」 止める友人を振り払って、自分の水着をずらすと片足を上げてアソコを見せる。 「おまけに、公衆の面前でこんなふうに自分でバイブを突っ込んでたわよ〜。キャハハッ」 …何を言っているの、この子!私がそんな事、するはずがないわ! 目の前では慌ててもう一人の子が、慌てて友人を取り押さえている所だった。 「何よ〜、何で止めるのぉ?アタシ、嘘は言ってないわよね?」 「ええ、そうだけどっ!もう止めなって!」 「わかったわかった。それじゃ、続きはナナコにやってもらうからいいよ。」 「え?………ひうっ…!?」 取り押さえていた方の女性が急に大人しくなると、私の方を振り返った。 「ふふっ、オッケー、ハルナ!その後、あなたは笑顔でオナニーをおっぱじめたのよ〜。こんなふうにね…あはぁ〜ん!」 「……え?ちょっと、ナナコ!急にどうしちゃったの!?」 今度は取り押さえる方と抑えられる方の立場が逆転している。 私は…私は一体何をしたと言うの…? 記憶の無い間、まさか私がそんな事…。 まさか!そんなはずはないわ! 気がついたら私はその場を走り出していた。 どうしてか、急にこの場から逃げだしたくなったのだ。 私は、そんな事なんかしていない。 していないけれど…。 とにかく私は更衣室の方へと一心に向かった。 周りの人の冷たい視線が、蔑みの様な視線に感じられてきていた。 更衣室へ逃げ込んだ私は、そのままトイレへと入って行った。 個室に入り、自分の股間に入ったバイブを引き抜く。 「はぁっ、はぁっ!…訳が…分からないわ…!」 その場にバイブを置いて、呼吸を整えた私はゆっくりとトイレから出た。 運良く誰もいなかったらしい。 こんな恰好、これ以上誰にも見られたくない。 急いで更衣室へと戻ったものの、考えて見れば自分のロッカーがどこなのか…? そう、私はどうやってここに来て、こんな水着に着替えたのだろう…? どうしようもできずにオロオロしていると、誰かがトイレに入って行った音が聞こえた。 まずいわ、人が来てしまう。 これ以上、ここでウロウロしていてもらちがあかない。 誰か係りの人に相談してみよう。 私がそう決心して歩き出そうとしたその時、また誰かに声をかけられた。 「すみませ〜ん、誰かいませんか〜?」 声はトイレの方から聞こえてきた。大きな声だ。 私以外、この更衣室には誰もいない。 「誰か〜!いませんかぁ〜!すいませぇーん!」 仕方なく、私はまたトイレへと戻る事になった。 トイレには、水着を着た大学生くらいの若い女性が立っていた。 着ている水着は競技用だろうか?身体のラインも筋肉質ながらスリムで、いかにもアスリートという体型だった。 「あの、どうしたんですか?」 自分の着ている水着を、なるべく両手で隠すようにして私は声をかけた。 「ああ、すみません。実は、落し物を拾いまして。」 「落し物…ですか?」 「ええ、さっきそこの便所でクソしていたら、こんなものを見つけたんです。」 かわいらしい顔をしているのに、下品な言葉づかいでその女性は自分の股間を指差した。 「!!」 その子の股間には明らかに何か異物が入っている。 間違いなく、さっき私の捨てたバイブだ。 「誰かが忘れて行ったみたいなので、私が大事に預かっておきました。もしかして、あなたのものじゃないですか?」 「違いますっ!」 思わず私は大きな声で返してしまった。 「いや、これはあなたのものですよ。自分で買ったのに忘れちゃったんですか?」 「自分で…買った…?」 「ええ、そうです。その水着も自分で買ったものなのに、隠すなんてもったいない。」 …この子何を言っているのかしら? それに、さっきから一体何が起きていると言うの? 私が混乱していると、目の前の女性がニヤリと笑った。 見覚えのある、嫌らしい笑い方。 「まだ気づかないのか?あんた、すげー頭いいのにな…。ま、普通気づく訳無いか。」 女性はそう言いながら私に近づいてくると、突然私に抱きついてきた。 「へへへ、弁護士さん。私と良い事しましょうよぉ〜。」 「ちょっと、何するのっ!」 「ははは、あんたの細腕じゃ、毎日スポーツで鍛えているこの肉体にはかなわないさ。ふんっ!」 私はその子に抱きかかえられると、無理やりキスをされた。 まるで男性がするような、激しいキスだ。 「ほらほら、あんたの気持ちいところは私は身をもって全部知ってるんだよ。さっきの母娘も言ってたでしょう?」 私は抑えつけられたまま、乳首をつままれる。体中に快感が突きぬけた。 「うふふ、弁護士さん。こっちも気持ち良くしてくれよぉ。俺にもせっかく乳首があるんだから、女の胸を感じさせてくれ!」 私はその子に言われたままに、乳首を舐めていた。 もう止まらなくなってしまった快感の波に、私の理性は薄れて行った。 トイレの床にお互い全裸で寝そべりながら、私は大学生の子とレズHをしてしまった。 急激な後悔の念が襲ってくる。 「ああ…ああ…!私…なんて事…」 「はぁ、はぁ…この身体も良いけど、やっぱ、弁護士さん、あんたの身体の方が感度は上だったぜ。」 「な、何を言っているの…!?」 「ふふふ、この子の記憶では男性経験は少ないみたいだから、やっぱり経験の差かな?」 「だから、なにを…」 「さて、そろそろそっちに戻ろうか。あんたも十分楽しんだだろ?くふふ」 そう言って、今日何度も見た嫌らしい笑みを私はまた眺める事になった。 その時! 私は目の前の女性のニヤリとした笑みが、最近いつみたのかを思いだした。 レイプ犯人…!あの時のあいつの笑い方に…そっくりだ! そして、それを最後に私の意識はまた途絶えた。 PiPiPiPi… 響く電子音…。 電話の着信音…。 「はっ!?」 自分の携帯電話の音で、私は目が覚めた。 ここは、いつもの自分の部屋。 私はソファーの上に横になっていた。 あわてて自分の服装を確認すると、いつもの仕事用のスーツ姿。 私、こんなところで寝てしまっていたのかしら…? ならば、さっきまでのは…夢…? そう…、そうよ!夢だったんだわ!!良かった…。 深い安堵のため息をついた時、電話が鳴っているのを思い出した。 「あ、そうよ。電話だわ!」 私は一呼吸つくと受話器を取った。 「はい、もしもし…」 「あ、良かった。出てくれて…。私です。」 声で直ぐに分かった。相手は私の依頼人の女性だった。 私はいつもの通り、ペンを取ると電話の脇のメモ帳を取り出す。 「はい、どうかされましたか?」 「すみません、こんな時間に…」 「こんな時間…? …え…?」 私は部屋の時計を見て、一瞬自分の目を疑った。 夜の12時…? でも、あたりは暗く、時計は間違いなく深夜12時を指している。 しかし、依頼人に焦っている事を悟られては、余計な不安を与えてしまう。 私はとっさに冷静さを装った。 「…ええ、心配無いわ。それにしても、こんな時間にどうされました?何か急用でしょうか?」 「あれ?な〜んだ、意外と冷静なんですねぇ。あははっ」 受話器の向こうの彼女は急に笑いだす。 「どう、されました?」 「ああ、すんません。ふふっ、てっきり焦っていらっしゃるかと思ったもので。」 「何故ですか?私は別に何も焦ってなんていませんよ。それよりも、いったいどうされたんですか?」 私は努めて冷静に対処をした。 なぜ彼女がそんな事を言ったのかは気になるけど、とにかく何か急用があって私に電話してきたのには違いない。 「…ちょっと、申し上げにくいんですが…」 「心配要りません。依頼人の秘密は絶対に守りますわ。」 「それを聞いて安心しました。実は、この件降りて頂けないかしら?」 「え…?」 私は思わずペンを落としそうになった。 「だから、弁護の依頼を解約したいって言ってるんです。」 「な…何を言ってるんですか?私は男の犯行の証拠を掴んでいます。たとえ裁判になっても、あなたが被害を受けた事は証明できるんですよ?」 私は彼女を説得するように証拠について説明した。 しかし、彼女の答えは思いもよらぬものだった。 「あの男の言っている事は全て間違っていませんわ。私たちは同意の上でSEXしたんです。いいえ、むしろ襲ったのは私の方ですわ。」 「そんな…証拠が…」 「証拠?それなら…。私は変態レイプ痴女ですっ!!私が彼に襲いかかって犯してやりました!!彼の方こそ被害者です!!」 「な…!?」 「どうです?これが証拠です。本人が自白しているんだから、決定的でしょ?何なら録音しておいてもらって結構ですよ。」 私は頭が真っ白になり、しばらく呆然としてしまった。 「そうそう、弁護士さん?机の上にビデオがあるでしょ?」 「ビデオ…?」 テーブルの上を見ると、確かにビデオカメラが置いてあった。 「この電話が終わったら、中身を確認してくださる?もしあなたが変な気を起して、彼を訴える様な事があればその中身が世に出回る事になるから気をつけた方がいいわ。それじゃあね〜」 ガチャ 電話はそう言って一方的に切れてしまった。 私はソファーへと戻ると、テーブルの上のビデオカメラを眺めた。 間違いない。自分のビデオカメラだった。 「私のカメラが何でこんな所に出しっぱなしにしてあるの?」 私はコードをTVへと繋ぐと、再生のボタンを押してみた。 ---------- 画面には、いつものスーツ姿の自分が映っていた。そして、さっきから自分の自己紹介をしている。 記憶に…無い…。 初体験や、経験人数、そして一番最近のSEXについてまで、事細かに笑顔で暴露している。 映っているのは確かに私…でもまるで他人を見ている様だった。 シーンが切り替わり、画面の中の私はオナニーをし始める。 いつも私がしている通りの…。 自分で自分のオナニーを解説しながら、時折気持ち良さそうな嬌声をあげ、そしてついに大声で絶頂に達していた。 「いったい何なの…これ」 私はまるで何が起きているのか理解できずそのまま画面を見続けた。 シーンが代わりカメラはどこかの店内を写していた。 映像が揺れているから誰かが撮影しながら歩いているようだ。 解説しているのは…私の声だ。 「ここはエログッズ屋さんでぇす。皆が私を見てまぁす。」 ちがう…私こんな事… それを否定するかの様に画面が180度周り、自分の顔が現れた。 「今から、ここでお買いものしまぁす。私の趣味の服と、だぁい好きなぶっといバイブを買いたいと思いまぁす。」 そして映像には夢の中で私が着用していたあの恥ずかしい水着が映った。 「おうっ、これ、変態って感じで素敵だわ。私の趣味にぴったり!」 「すげぇ〜、このバイブ、最高〜♪早くぶち込みたいわぁ〜!」 画面は私が自分で水着とバイブを買う所まで、しっかりと映していた。 自分のカードで支払いし、しっかりとサインまでかいている。 映像はわざとらしくサインをしている指元をアップで映している。 間違いなく…私の…筆跡だった。 次はプールの映像が流れた。 どこかにカメラをセットしたらしい。 映像が固定され、また、自分の姿が映った。 画面の中で、私はあの夢で見た水着を着てカメラに向かってセクシーなポーズを決めている。 「うふふっ!どうかしら?似合うでしょ?今からこの水着姿を皆に見てもらいま〜す。」 そう言って走り出した私は、プールサイドで大声で自己紹介をし始めた。 そして、そのまま自分で胸を揉み始め、ガニ股になって腰を振っている。 「あ〜っはっは!みんなぁ、もっと私を見てぇ!素敵でしょう?ほぅれ、ほぅれ!ぼいん、ぼい〜ん!」 私の周りから人が離れて行くのが見える。 「今からここで、公開オナニーを始めまーす!あん、あん、あはぁぁん♪」 その後のことは…覚えている…。 急に戸惑いだし辺りを見回し始める私。 近づいてくる女性が私の肩に手を回した後、胸をもみ始める映像。 続けて子供が私の胸を揉みはじめ、 慌てて子供を抱いて逃げていく母親。 それと入れ替わるようにして金髪のギャルが近づいくると、 突然はじまった奇行。 それは、さっきまで私がやっていたのと全く同じポーズの再現。 彼女は確かに嘘を言っていなかった。 そして、それを止めていたはずの友人までがその行為を引き継ぐ。 夢…じゃなかった…の…? 映像には私が夢で体験した通りの一部始終が収められていた。 走り出して画面からいなくなる私。 しばらくはその後の騒然としたプールの様子が流れていた。 すると、プールから1人の女性が上がって来て、わき目も振らずにこちらに向かって歩いてくる。 この水着、もしかして…。 競泳水着を着た女性が、キャップと水中眼鏡を外し、その顔を画面に映した。 この子、あの時の…! 「ここからは私がお送りしまぁす!」 女子大生はそう言うとカメラを掴んだ。 「さぁて、更衣室へ向かった女弁護士!次はどんな変態行為を見せてくれるのか!」 女子大生の声が聞こえ、映像は更衣室へと向かって動き出した。 「…うっ、こいつ便所我慢してたのかよ…!」 そんな声が聞こえたかと思うと、画面は一目散にトイレへと向う。画面が横倒しになり、壁を写していた。 女性の声だけが響いている。 「う…う〜ん…くうっ…!んはっ!」 女性の唸り声と、用をたす様な音。 「ふぃ〜、すっきりした…。何で俺が他人のクソの世話を…。ん〜?これ、さっき買ったバイブじゃないか…?あいつめ。」 画面が動きだし、カメラがどこかに固定された。 映像にはまた先ほどの女子大生が映しだされた。 「うふふ、先ほどは失礼しましたぁ。お詫びにこのバイブを、ここにぶっ込みまぁす!」 そして、その後は私の記憶にもある映像が流れる。 私とこの子の、レズHだ…。 あの時は興奮してしまっていて、どんな事をしたのか覚えていなかったけど…、カメラはその一部始終をしっかりと納めていた。 途中、所々記憶に無い箇所があった。それは決まって私が急に積極的に攻め出すシーンだった。 「きゃぁっ!いったい何なのこれ!ちょっと、あなた誰ですか!?止めてください!」 「あら?誘ったのはそっちでしょ〜?これは同意の上でのレズよ。」 「私、そんな事…!訴えますよっ!」 「おやおや、私は弁護士なのよぉ。その私を訴えるというの?」 「そんなこと言っても、私は同意なんか…」 「ふふふ、証拠をでっち上げるなんて、結構簡単なのよ?私に逆らったら、あなたお終いよ。」 「そんなぁ…」 「さあ、分かったのなら観念して私のアソコを舐めなさい!」 「…はい…。わかりました…。あひっ!?」 「…よぉし、それじゃ遠慮なく、舐めさせてもらうぜ。おらっ、私の舌で感じろよ!」 「んああ〜っ!や、止めてぇ!」 攻めていたはずの私が、急に攻められる側になる。 攻められている間の記憶だけは…、おぼろげながら少しは覚えていた。 「さて、そろそろそっちに戻ろうか。あんたも十分楽しんだだろ?くふふ」 女子大生がそう言ってニヤリと笑った後、そのまま意識を失った様子だった。 隣で寝そべっていた私が突然ムクリと起き上がると、そのまま女子大生の着ていた競泳水着を手に取りそれを着始めた。 「これは、私が貰っておきます!窃盗では無いわよ。代わりにあなたには私のお気に入りの水着をあげるんですから。」 映像には、ニヤリと笑った私が競泳水着を着てポーズを決めている映像が映った。 セットしたのはこの女子大生なのに、何故私がカメラの場所を知っているのだろう? いつの間にか、私はパニックを通り越し、冷静に映像を眺めてしまっていた。 まるで、そこに映っている自分が他人であるかのように…。 画面に映っていたのは見覚えのある部屋。 そう、この部屋に入るのは今日2度目なのだ。 私が覚えているのは1度目までだが、確かにこの部屋は鮮明に記憶に残っている。 まるで自分の部屋の様にくつろいでいる私が映っている。 その後ろに見えるのは、あの時のままソファーに座りこんで眠っている様子のあの男だった。 私は競泳水着姿のままビールを片手にTVを見ていた。 鼻をほじったり、お尻を掻いたり、ゲップをしたりしながら、 まるでガサツな男の様な態度で他人の部屋でくつろいでいるのだ。 「さぁて、そろそろおっ始めるか。」 そう言った私はカメラに向かって近づいてきた。 「え〜、ただいま私はある人の家に不法侵入をしておりま〜す。さらに、勝手に冷蔵庫からものを盗んで食べておりま〜す。」 ニヤニヤしながら私はソファーの所にいる男に近づき、ズボンのポケットから財布を抜き取った。 「さらに今、無抵抗の男性から現金を盗みました〜。私、弁護士のくせに強盗してま〜す。」 そのまま寝ている男に顔を近づけると、舌を突き出して唇にねじ込んだ。 「むはっ…!んっ…んん…ぷちゅ。あは〜ん、素敵ぃ。私実はこの人のストーカーなんです。」 …私は絶句した。 私は、そこで何をしているの?何を言っているの?これは本当に私なの?今すぐ止めさせなければ! でも、これはビデオに映った既に過去実際にあっただろう映像に過ぎないのだ。 「私は愛するこの人を眠らせて、家に不法侵入し、窃盗行為を働いた上、今から強姦しようとしていま〜す。この映像がその動かぬ証拠で〜す。」 弁護士である私が、自ら法を犯している。 寝ている無抵抗の男にのしかかり、男の服を脱がせながらいやらしい表情で抱きつく私が映っていた。 自分のしている行為を細かく説明しながら、なおかつ的確にその罪状を伝えている。 弁護士の私だから…わかる…。自分自身だから…わかる…。 間違いなく画面の中の私は自分の知識をフル活用し、故意に罪を重ねて行っているのだ。 ときどき口にする過去の事例は、私しか知り得ない私の経験に基づくものだ。 映っているのは私じゃないと思いたい…。 誰かが合成技術で私を陥れようとしているのだと…。 でも、その姿、しゃべり方、知識、紛れも無く私自身に違いなかった。 無抵抗の男を犯しつくした私は、満足そうな表情でカメラに近づいてきた。 「ふぅ…どうだったかしら?これが私が今日犯した罪の全てよ。 こんな犯罪者の私が、弁護士だなんて世も末よね。 この映像はこの被害者の男性宅に残しておくわ。いつでも私を訴えられるようにね。 もしこの男性が私を訴えれば、何をどうあがいても私に勝ち目は無いわよねぇ。 こうやって、ふふっ、”完璧な証拠”が残ってるんだから。 あ、ついでに書類でも書いて残しておいてあげようかしら。 筆跡鑑定しても、間違いなく私の筆跡になるし、これも証拠になるわよね。 あ、それと私はこの男性が今後何か罪を犯したら、全力で弁護してあげる事にするわ。 これも私が直筆で契約書を残しておこうっと。 私はこの人の顧問弁護士です。もちろん、今後一切の依頼を全額無償で請け負います…と。」 --------------- それから数カ月後… 私は今まで通り通常の弁護士兼、彼のお抱え弁護士として活動している。 彼に決定的な弱みを握られていると言う事もあるが、あの日以来私が担当した裁判は全て負けた事が無い。 彼が色々と手をまわしてくれているらしいのだ。 どんな難事件であっても必ず最後は私が勝つ。 不自然なほど突然相手が自白したり、相手側の証人が急に私に有利な発言をしたり、裁判官が明らかに私にひいきの判決を下したりするのだ。 おかげで私は一流の弁護士の仲間入りを果たしたのだが、心配な事が一つだけある。 あの時以来、頻繁に記憶喪失が起きているのだが…… ……ふぅ、記憶喪失が起きているのだが、全然気にしていない。 今日もこうやってこの肉体に乗り移って、俺の部屋で肉体開発をしに行こうっと。 へっへっへ、俺様のメインボディなんだからしっかり稼いで、しっかりエロくなってもらわないとなぁ。 その為にお前に目を付けて一流の弁護士にしてやったんだから。 これからも俺のためにその能力と立場を存分に利用させてもらうぜ。 そうだ!そろそろこいつに独立してもらって個人事務所でも立ち上げさせるっていうのも良いかもな。 そうしたら俺もそこに就職して、分け前もがっぽり貰うってのはどうだ? くくくっ、さすが頭いいよな、この肉体。 この身体で物事を考えると、俺じゃ考え付かないような悪知恵が次々と浮かんできやがるぜ。 さぁて、これからが楽しみだぞ、くふふふ! |