「妹を裸エプロンにしてはいけません」(3話)
 作・JuJu


【005】

 次の日。
 今日も「THE妹コントローラー」を使おうと胸をふくらませながら学校から帰宅したぼくは、キッチンを通りかかったときにおどろくべき光景を目にした。妹の雪乃(ゆきの)が、裸エプロン姿でシンクの前に立っていたのである。鼻歌など歌いながらふだんどおりに夕飯の準備をしている。
「あ、おかえりお兄ちゃん」
 唖然として棒立ちになっているぼくに、雪乃はふだんと変わりのない様子でいう。
「お……お前! 何てかっこうをしているんだ!?」
「? どこかおかしいところがある?」
「おかしいところがある……って、そんなエプロン姿で」
「キッチンに立っているんだから、エプロンをするのは当然でしょ? へんなお兄ちゃん。それより、ぼーって立っているだけならば、わたしの料理を手伝ってよ」
「え? あ……ああ……」
 おどろきで頭の中がパニック状態のぼくは、妹に言われるままに皿や箸などを食卓に並べ始めた。
 ぼくは雪乃の手伝いをしているあいだに、すこしずつ落ち着きをとりもどしつつあった。どうやらあの道具を使って行動したことは、操られた人の常識になるらしい。つまり昨日ぼくが『どうせ台所に立つのならば、裸エプロン姿で台所に立てばいいのに』と思い、さらには実際に雪乃の体で『裸エプロン姿で台所に立った』ことで、雪乃は〈台所に立つときは裸エプロン姿になるのが常識〉と思い込むようになってしまったようだ。
(これはとんでもないことになった)
 と、ぼくは思った。
 たしかに、裸エプロン姿でキッチンに立てばいいのにと思ったのはぼくだし、実際に妹の体で裸エプロン姿でキッチンに立たせたのもぼくだ。だけどぼくは、妹を変態にするつもりなどなかったのだ。
 そんな焦燥しながらも、男の性というのは悲しいかな、ぼくの視線は雪乃の後ろ姿に釘付けだった。十代前半ゆえのきめの細かくみずみずしい肌。エプロンを押し上げる成長段階の胸のふくらみ。ダイエットに苦労していると愚痴をこぼしているが、そんな必要もないほどくびれた腰。そして、小振りながら柔らかそうに揺れるお尻。まだ幼さを残した中学生が裸エプロン姿で調理していることの背徳感から来るのか、あるいは妹を裸エプロン姿にさせてしまった罪悪感から来るのか、ぼくは激しい性的な興奮が体の奥から湧いてくるのを感じていた。
 落ち着いて考えてみれば、あわてる必要などはまったくなかったのだ。雪乃を元に戻すには、もう一度雪乃を操って「キッチンに立つ時は服を着るのが常識」と思えばいい。たったそれだけのことですべては解決する。
(いや、むりに雪乃を元に戻さなくたって、もっと良い方法があるぞ!)
 ぼくはそう考えると、手伝いを途中で抜けだして自分の部屋に向かった。
 自分の部屋でベッドに横たわると、ゴーグルを装備する。
 昨日と同じように、目の前が台所に移る。ぶじに雪乃を操れるようになったようだ。
 調理の下ごしらえはほとんど終わったのか、雪乃はエプロンをはずそうとしていたところだった。
 そこでぼくは『裸エプロン姿を見せて良いのはお兄ちゃんだけ。お兄ちゃん以外に誰にも見せてはいけない。それが裸エプロン姿になる時の常識』と雪乃の心に言い聞かせた。
 これで、裸エプロン姿になるのは、ぼくの前だけになるだろう。
 ぼくは妹の姿で安堵のため息をついた。
 それから(ごめんな。でも、おまえの裸エプロン姿があまりにも魅力的すぎるのがわるいんだからな)と、心の中で謝罪とも言い訳とも取れることを思った。
 安堵をしたせいか、男の性欲がふたたび体の奥から湧いてくるのを感じた。昨日は血のつながった妹ということもあり、雪乃を操っていてもそれほど魅力を感じなかった。でも今日は違う。裸エプロン姿でキッチンに立っている姿を見ていて、妹の魅力に気が付いてしまったのだ。妹とはいえ女だからなのか、あるいはこれが裸エプロン姿の魅力なのか、ぼくは実の妹である雪乃の体に欲情するようになっていた。妹の裸エプロン姿に悩殺されてしまっていたのだ。
 さっきは裸エプロン姿の雪乃を興味のないふりを演じながら盗み見るのが精一杯だったが、彼女の体を操れるようになった今は、いくらでも好きなだけ見ることが出来るのだ。いや、それだけではない。さきほど欲情した裸エプロンの妹の体を、今度はぼくの思いのまま自在に――アイテムの商品名を借りれば、妹をコントロール――することができるのだ。
「ちょうど料理も終わったようだし、せっかく雪乃の体を好きなように操ることが出来るのだから……」
 ぼくは裸エプロン姿のまま、キッチンのイスに座ってオナニーを始めた。
 雪乃がキッチンで――しかも裸エプロン姿で――オナニーをしている。そのシチュエーションがぼくの心を刺激する。
 ところが、心はこれほど興奮しているというのに、肝心の体の方がまったく欲情してこない。雪乃の体が乗ってこない≠フだ。
 もしかしたら雪乃は、中学生だというのにオナニーをした経験がないのではなかろうか。いや、うぶな妹のことだ、その可能性は十分にある。
 ほとんど料理などできなかったぼくが、妹の体を使うと雪乃のように自然と調理が出来た。それならば料理の時と同じように、オナニーだって妹がふだんしているオナニーをそのまま自然に再現できるはずだ。ところが、オナニーをしようとしているのに、この体はまったく反応をしめさない。
「これは間違いなく、雪乃はオナニーをした経験がないな」
 ぼくはそう断定した。
「こんな欲情をそそる体をしているくせに、女の快感を知らないなんてかわいそうだ。
 よし、これからお兄ちゃんが、雪乃に女の悦(よろこ)びをおしえてやるからな」
 雪乃の口を使って言う。
 ぼくはエプロンをまくり上げると下半身をあらわにさせた。
 雪乃の指を股間に近づけ、わずかなうぶ毛しか生えていない秘所に指を触れさせる。
 やはり女としての快感はなかった。濡れてもいないし、それどころか、ただ触られているという感覚以外には何も感じることはできない。
「期待はしていなかったけれど、やっぱりなにも感じないな」
 それでもぼくは、探るように指で溝をなぞる。
 やがて、ほんのわずかだが、触れると気持ちがいい場所を見つけた。
 ぼくはこの機会をのがさないように、ていねいに、確実に、刺激をつづける。
 大丈夫、雪乃も女ならば、女としての快感を引き出すことができるはずだ。
 やがて雪乃の秘所から、かすかな電撃のような甘い快感が伝わってきた。
「これが女の快感か……」
 男の、腹の奥底に性欲を充填させていくような快感とは違う。雪乃の快感は局部で生まれた快感がじんわりと全身に広がる感じだ。たとえるならば、全身が性感体になったような……。
 始めたときは何も感じなかった雪乃の体も、一度快感を覚えてしまえば、後はまるで崩壊した河のように快感があふれ出す。増幅する一方の快感に、ぼくはいつの間にか無我夢中で指を動かしていた。そんな快感のなかでも、指を中に入れないように気を使っていたのは、兄としての優しさだろうか。それとも妹の体の本能が無意識に影響して制止しているのだろうか。
 やがて雪乃の体が小刻みに震え出す。ああ、これが女のイクという感覚なのだろう。
 そして、ぼくは雪乃の体で、イッた……。
 妹にオナニーを教えるという目的を果たし、女の快感を知って満足したぼくは、雪乃の体から抜けだした。

【006】

 翌日。
 学校が終わり、家に帰ってきたぼくがキッチンのわきを通りかかると、中から淫らな声がもれていた。ドアをわずかに開いて隙間からのぞき見ると、思ったとおり妹が裸エプロン姿でオナニーをしていた。昨日雪乃の体でオナニーした影響が、さっそくあらわれたらしい。雪乃本人にとっては初めてのオナニーだ。ぼくはじゃまをしないように、妹の嬌声を背にしながら自分の部屋に向かった。

【007】

 ぼくは自分の部屋に入ると、イスに座りながらつぶやいた。
「さて、今日は雪乃の体を使って、どんなことをして遊ぼうかな」
 ぼくの耳にはさきほどの妹のあえぎ声が残っていた。昨日までオナニーさえ知らなかった雪乃が、ぼくのせいで裸エプロン姿になってキッチンでオナニーをするようになった。
 雪乃は誰を想像しながらオナニーをしているのだろう。人気の男性アイドルだろうか。それとも同級生の男だろうか。
 妹が自分以外の男を想像しながらオナニーしていると考えると、なぜか急に、悔しさがわき上がってきた。
 雪乃にオナニーを教えたのはこのぼくだ。性に関してなにも知らない妹に、ぼくが調教してやったんだ。
 雪乃がオナニーの対象に想像している相手がどんな男かはわからなかったが、なんだか他の男に妹を寝取られた気分になった。雪乃の体を開発したのはこのぼくなのに。
「雪乃の体は、ぼくのものなんだ!」
 ぼくは例のゴーグルを乱暴につかむと、仰向けにベッドに倒れ込んだ。
 いつものように、ゴーグルをかぶる。
 目の前がキッチンに変わった。
 雪乃の体を見ると、まだ裸エプロン姿のままだった。
 シンクを見ると、調理をし終わってからオナニーを始めたらしく下準備はすでに済んでいた。
 どうやらオナニーのほうもおわったらしく、気だるい倦怠感が全員に残っていた。全身がほてっていて、おだやかな快感が後を引いている。
「わたしの体はおにいちゃんのものなんだから」
 ぼくは雪乃の口調で断言すると、心の底に届くように、自分の体はおにいちゃんのものだとと強く思った。
「オナニーをするときは、絶対に、お兄ちゃんのことを思いながらすること」
 雪乃の心に書き込むように言った。
 そうしてから、ぼくはオナニーの余韻が残るけだるい体を動かして、兄妹の部屋がある二階への階段を上る。向かったのは、妹の部屋ではなくぼくの部屋だった。
 ドアを開けて中に入ると、ゴーグルをかぶってベッドの上に横たわるぼくの体が見えた。眠っている自分の姿を見るのは奇妙な気分だった。しかしながら、いまはそんなことよりも雪乃がオナニーのときに想像した相手への怒りが先立った。
 ぼくは雪乃のふりをして言った。
「いままで黙っていたけれど、わたしはお兄ちゃんが大好き」
 女の――しかも妹の演技をするというのは、なんとなく照れくさい。でも今している行動が、今後の雪乃の習慣になるのだと思うと、がんばって雪乃になりきるしかなかった。
(雪乃の体はぼくだけのものだ。誰にも渡さない)
 ぼくは精一杯、心の底まで、自分は雪乃だと思い込むようにつとめた。
「大好きなお兄ちゃんだから、わたしのエッチのことも全部告白するね。
 じつはね、最近オナニーを覚えたんだ。
 ここに来る前だって、キッチンでオナニーをしていたんだよ。
 ちょっと恥ずかしいけれど、大好きなお兄ちゃんにならば、どんなに恥ずかしいことだって包み隠さず告白できるよ。
 それと、これからオナニーをするときは、お兄ちゃんのことだけを思うね。お兄ちゃん以外の男の人なんて考えたくないよ」
 そう言ってから、ぼくは裸エプロンの妹の体を動かして、ぼくが寝ているベッドの前まで進ませる。
「実はね。今日お兄ちゃんの部屋に来たのは、お兄ちゃんとセックスしようと思ってなの。
 わたしの体をお兄ちゃんだけの物にしてもらいたいな。そのためにはセックスをするのが必要だと思ったから」
 そう言いながら、雪乃の指を使って、眠っているぼくのズボンとパンツを下ろす。
 ぼくの目の前に陰茎がさらけ出された。
 ぼくは雪乃の顔を、ぼく自身に近づけた。
 自分のものとはいえ、男の物をなめるのには躊躇した。妹の体を操っていてるのだから、ぼくが直接男性器に触れているわけではない。そうはわかっていても男性器に触れることには抵抗があった。
 でもここでぼくがぼくの物に触ることを嫌悪すれば、雪乃もやはりぼくの物に触ることを嫌がるようになるだろう。
 ぼくはむりやり、自分は男性器が大好きだと思い込むことにした。
「わたしはお兄ちゃんのおちん○んが大好き。
 おち○ちんをしゃぶるのが大好き。
 おちん○んから出てくるものが大好き」
 自分に、そして妹の体に言い聞かせる。
 それから妹の小さい手でぼくの物をつかむと、彼女の舌を使ってなめ始めた。
 しばらくなめていると、男性器が強ばってきた。
「あ! おっきくなってきたね!
 わたしね、お兄ちゃんのおちん○んをしゃぶるのも好きだけれど、一番好きなのはお兄ちゃんとセックスをすることなんだよ」
 そう言いながらぼくは、雪乃の体を動かしてベッドの上に仰向けで寝ているぼくに跨(また)がらせた。
「お兄ちゃんのおち○ちん、大きくなって、すっかりエッチをする準備ができたね。
 それじゃあ、わたしの初めてをうばって」
 ぼくは左手でエプロンのすそをつかんでまくり上げると、もう片方の右手で自分の男性器をつかんだ。ぼく自身の先を雪乃の秘所にあてがう。
 今さっきオナニーをしたばかりの妹の秘所は、まだ興奮がさめずに感覚がするどくなっているのがわかる。
 これから妹の処女を奪うのだと思うと、さすがに緊張する。
 まくり上げているエプロンの端を強く握りながら、腰をゆっくりと落とした。
「くぅう!?」
 激しい痛みが雪乃の体を突き抜けた。まるで全身をまっぷたつに裂かれたような痛みだ。女の快感を楽しめると期待していただけに、ふいにおそってきたこの衝撃は、あまりにも大きかった。
「痛っ〜……」
 処女が男の物を入れるときの感覚が、これほど痛いものとは思っても見なかった。
 それでも、ここでやめるようなことはできない。妹の体は誰にも渡さない。妹の処女は自分が奪うのだ。そういう決意がぼくの腰を深く押し込ませた。
 ついに、雪乃の体の一番奥に、自分の男性器が当たった感覚があった。
「やった! これでわたしはお兄ちゃんとひとつになれたんだよ!
 わたしの体はお兄ちゃんの物になったんだよ!」
 あまりの痛さに目から涙がこぼれ出た。
 雪乃と一体になったものの、妹の幼い性器はやはり快感にはほど遠く、ひたすら痛みしかもたらさなかった。そのあまりの痛みに、とても腰を振って、男性器を出し入れすることなどできそうにもない。しかたなくぼくは腰を上げて男性器を引き抜くと、雪乃の女性自身とぼくの男性器をティシュペーパーでぬぐい、エプロンを整えてから台所戻った。
 そして、雪乃の体を彼女に返した。
 ゴーグルを外すとぼくは起きあがり、ベッドの端に座り込んだ。
 腕を組んで思案する。
 幼い妹にはまだ早すぎるかもしれないとは思ってはいたが、まさかあれほど痛いとは思わなかった。
 だけどぼくが付けた習慣のせいで、雪乃は今後もぼくとセックスを求めてくるだろう。このままでは、あれほどの痛みを堪えなければならない雪乃がかわいそうだ。
 かといって、ぼくも雪乃の体をあきらめる気はない。雪乃の体はぼくのものだ、誰にも渡さない。
 どうにか妹がセックスを続けられる方法はないものだろうか。




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