(あきら)

 

 日曜日の朝、妹は、嬉々として出かけていった。

ボーイフレンドとデートなのだろう。俺にとってはそのほうが、都合がいい。

 俺は、以前から計画していたことを実行することにした。それは、妹に化けて、妹の友達のところに行くことだ。

 実は、妹の友達を一目ぼれして、仲良くなりたかったのだが、そんな、俺の思いを知ってか、妹は決して俺を彼女に紹介しようとはしなかった。そこで、俺は、妹に化けて彼女に近づくことにしたのだ。

 妹が、出かけたのを確認すると、俺は、部屋のベッドに隠しておいたものを取り出した。それは、大きな紙袋で、その中には、この計画に必要な物が入っていた。

 俺は、それを持って妹の部屋に忍び込んだ。女くさい妹の部屋の中で、俺は、袋から中身を取り出した。

 まずは、かつら、妹と同じ色とつや、長さのかつらを演劇部の奴に借りていたのだ。

次は、インターネットの通販で買ったシリコン製のリアルパットと、ヒップパット、それに、コルセット。そして、下着を取り出すとベッドの上に並べた。

俺と、妹は、二卵性双生児で、顔も性別も違うが、身長だけは同じだった。

最後に、特殊メイクおたくを脅して作らせた妹の顔のパーツを取り出すと鏡台の前に置いた。

 俺は、まずは、ボディから造ることにした。

今着ている服を全て脱いで全裸になると、俺は、胴体にコルセットを巻いた。中世の女性が、くびれたウエストを作るために開発されたコルセットは、今、俺の身体をくびれさせ始めた。

拷問以上の苦痛といわれるコルセットを締められるきつさに耐える女性の忍耐に、俺は敬服した。

 コルセットのきつさに我慢しながら、締め上げて、何とか妹のウエストが出来た。わが妹ながら、結構いいスタイルしてるわ。などと、感心しながら、次の工程に移った。

 次は、ブラに、パットをセッティングして、前かがみになりながら、ブラを付けた。ブラのホックを止めようとしたとき、俺は、容易には止めることが出来なかった。

四苦八苦して何とかホックを止めると、ブラを直して、自然な胸のふくらみに見えるようにした。

そして、今度は、腰のメイクだ。

ゴム製のヒップパットに、足を差し込むと、アレを股にはさんで、元に戻らないように手で抑えながらヒップパッドを穿いた。前はすっきりとして、男のそこには見えなかった。それに、パットは肌色なので、ちょっと見ただけでは、気づかないだろう。

足のすね毛の手入れもすでに終えていたので、鏡に映った俺の身体は、まるで女のようだった。

 俺は、パンティをはいた。余分な物のない俺の腰は、すっきりとパンティを穿くことが出来た。

それから、俺は、妹の制服を取り出すと、着始めた。妹の学校はブレザーだった。個人的にはセーラー服が好きなのだが仕方がない。

着終わると、いよいよ最後の仕上げに取り掛かることにした。

 鏡の前に座ると異様な光景が映っていた。我ながらグロという物だろう。目の前の鏡には、女子高生の制服を着た男が映っている。いや正確に言うと、女子高生の身体の上に男の首がのっかっていると言うのが正しいだろう。それだけ、俺の今の身体は、妹の身体そっくりにコピーしていた。

 俺は、ふき取り化粧水で、顔の油をふき取ると、引き締め化粧水をつけた。

なんとか顔の準備を整えると、鏡を見ながら、さっき鏡の前に置いたパーツを顔の上につけていった。接着剤をつけずに何回も練習しただけあって、何とか綺麗につけられた。

それから、俺は、そのパーツの上から肌色のファンデーションを塗り始めた。白いパーツがのったまだらな顔が、段々と普通の顔に、妹の顔になっていく工程に、俺は興奮し、折り曲げたアレが、元気になって座っている椅子を押しつづけるので、股間に痛みが走った。

 俺は、何とかおとなしくさせるために、ほかのことを考えながら、化粧を続けた。家の者に隠れて練習していた甲斐があって何とか、妹の顔を作ることが出来た。

 そして、かつらを被ると、自分の声を、これも練習してなんとか出るようになった妹の声に調整すると、俺は、鏡に向かってためにし言った。

「おにいちゃん、おいたはだめよ。」

 それはまったく妹そっくりだった。俺は、自分の服を紙袋に詰めると、妹の部屋を出て行った。そして、紙袋を自分の部屋のベッドの下に隠すと、静かに部屋を出て、気づかれないようにこっそりと家を出ることにした。

居間でテレビを見ていた両親は、テレビに夢中で、そばの廊下を通っていく俺に気付きもしなかった。両親に気づかれずに家を出ると、俺は、妹の友達の家に急いだ。

 彼女には、昨日の夜の間に、妹の声で、今日遊びに行くと連絡してあった。

 家の近くのバス停からバスに乗った。バスの座席は満員で、俺は手すりにつかまり、バスの振動に揺れながら立っていた。俺は、彼女の家にむかうバスの中で、男の子達にじろじろと見られた。わが妹ながら、結構かわいいから仕方がないけど、男の視線というものは、同性だと思うと結構気持ちの悪いものだが、女性の気持ちだと結構快感になる物だ。

 彼女の住む町のバス停につくと俺はバスを降りた。バスの運転手に軽く挨拶をして降りると、運転手の顔が、少し赤くなるのがおかしかった。俺は、男だぞ。と言いたくなる気持ちを抑えながら、彼女の家に急いだ。

 彼女の家は、住宅街の一角にあって、両親と、一つ下の弟と四人暮らしだった。

今日は、両親も弟も留守ということだった。俺は彼女の家の玄関のドアの前に立つと、呼び鈴のボタンを押した。軽快な音とともに足音がした。

「どなたですか。」

「わたしよ、わたし。晃よ。開けて。」

「ああ、晃、まってたわ。」

 ドアが開き、輝かんばかりの美少女が、飛び出してきた。国民的美少女コンクール初代優勝者の後藤久美子や、ヒロコ・グレース以上の端整な美少女だった。

「さ、入って。誰もいないから遠慮は要らないわよ。」

  彼女は、俺の手をつかむと引っ張った。

 俺は、彼女に引き釣り込まれるようにして家の中に入った。

 彼女は、俺を、そのまま彼女の部屋に引っぱって行った。

 彼女の部屋は、まさに女の子の部屋だった。部屋一杯のかわいいぬいぐるみ、レースをあしらったカバーをしたベッド。壁には、アイドルの写真が張ってあり、まったく普通の女の子の部屋だった。

 さて、ここまでうまくいった俺は、次の計画をどう実行するか考えていた。それは、彼女に薬を飲ませ、彼女の体を奪う計画。それをどう実行するかだ。そのためには、彼女に睡眠薬を飲ませなければならない。

 そんなことを考えているときに、彼女が、トレーに冷たいジュースとお菓子を乗せて戻ってきた。

 俺達は、ジュースを飲みながら、他愛のない話で盛り上がった。妹からいろいろと学校の話や、彼女について聞いていたから何とかばれていないように会話することができた。

 おや?

俺の持っていたグラスが、俺の手から滑り落ちた。

どうしたのだ。瞼が、瞼が重い。なんだか身体もおかしい。身体の異常に気がついたときは、すでに遅く。俺の意識は深い闇の中に落ちていった。

・・・・ ・・・・  ・・・・?

 ン〜〜ん。

気がつくと、俺の身体は、動かなかった。身体中が痺れているみたいだった。いや、指は動くが、手足が何かによって拘束されているようだった。そして、口にも何か噛まされていた。

「ん、んんん、ん?」

「おや、やっと気がついたようね。薬を入れすぎたかと思ったよ。」

 俺はベッドに転がされていた。そして、そのそばには、彼女が立っていた。

「やっぱり、意識のない女を犯っても面白くないからな。襲われる恐怖が、やがて快感へと変わっていく表情を見るのがすきだからね。」

 彼女は、俺をうつ伏せにし、尻を持ち上げると、スカートをめくり、パンティを下ろそうとした。俺が、男だとばれると何をされるかわからない。俺は、もがき、声にならない声をあげて抵抗した。

「おやおや、まだ抵抗してくれるのかい。僕はうれしいよ。大好きな晃さんが、いやいや僕のものになるんだからね。たまらないよ。」

 なってたまるか。俺は、うまく動かない身体と、出ない声でさらに抵抗した。

「ますます、楽しいよ。さて、本番に行く前にちょっとした座興をしようかな。」

 そう言うと、彼女は、あごに手をかけた。そして、顔の皮をはぎ始めた。俺には、なにが始まったのかわからなかった。

顎から、口、鼻とだんだんと捲れて行く顔の皮の下から見慣れた顔が現れてきた。そして、剥ぎ取った顔の皮の下から現れた顔は、妹の顔だった。

「どうだい。自分に、なぶられるのは。粋だろう。」

 彼女は、楽しそうに言っていた。

「そうそう、僕が誰か言わないと失礼だね。君の顔のままじゃ誰だかわからないものね。でも、このマスクはそのままだよ。また被るのは面倒だからね。」

 そう言って、妹になった彼女は、俺の耳のそばで言った。

「ぼくは、秋江の弟の隆だよ。晃さん。」

 隆、彼女と並び表される美少年の弟。成績優秀で、人柄もよく、品行方正の模範少年を絵に描いたような少年だと妹に聞いた事があるのを思い出した。彼女の正体が彼?。

 俺はかなわぬままも、抵抗を続けた。

「諦めが悪い人は好きだよ。でも、悪すぎるのは、嫌いだよ。」

 そう言いながら、隆は、俺のパンティを下ろした。

「なんでこんなもの穿いてるんだ。」

そして、短く唸るとゴム製のヒップパットを下ろしてしまった。

 いままで、抑圧されていたアレが、元気よく飛び出してきた。

 彼女?は唖然として、さっきまではあるとは思ってもいなかったものを見つめた。

そして我に返ると彼女?は、俺の前に来て、俺の顔を乱暴に掴むとマジマジと見つめ、俺の顔からパーツを引き剥がし始めた。

 強力な接着剤で止めてあったので、それは簡単にははがれず、俺は剥がれる時のあまりの痛さにうめいた。

 俺の顔のパーツをほとんど剥すと、彼女?は、俺の顔をまじまじと見た。

そして、

「は〜ん、晃さんのお兄さんでしたか。わが姉を自分の物にしようとしたのですね。残念ですが、姉は、私の計画に協力する見返りとして、私の姿でナンパに出かけましたよ。残念でしたね。姉は、レズなんですよ。でも、よくまあこんな変装で、私を騙してくれましたね。この罪は重いですよ。あなたには、その身体で償ってもらいますよ。」

 僕から私に代わった段階で、奴の瞳には残忍な狂気が光っていた。奴は、そう言うと、部屋を出て行った。

そして、再び帰ってきた時、その手には、電動バ○ブが握られていた。

「女になるのがお好きのようですから、これから女にして差し上げますよ。お兄ちゃん、かわいいお姉さまになってね。」

 妹の声色を真似ながら、奴はそう言うと、電動バ○ブのスイッチを入れた。

 そして、それを、俺のあそこの中へと突っ込んできた。身体の中に異物が入り、それが蠢く感触は、言葉には言い表しようがなかった。

 そして、俺は、怒りと狂気に満ちた奴のおもちゃへと変わっていった。それは、二度と平凡な日常には戻れない世界の始まりでもあった。





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