番外編 乙女の園 (たかしんにさんに捧ぐ)

 恒例の大階段でのフィナーレが終わり、緞帳が下りると、緊張していた団員達も一息ついていた。
 「おわったおわった。」
 「いや〜好評だったな。」
 「どうだい、今日で千秋楽だし、出かけて一杯どうだ。」
 「いいね行こうや。どうだいお前も・・・」
 「ハイお供します。お姉さま。」
 舞台が終わり、乙女達で組織された劇団の団員達は、思い思いに楽屋へと戻っていった。あのウィルスは、この劇団員達も例外なく襲っていた。大半の劇団員が冒されたが、舞台は何とか行なわれていた。
 「あとで・・・いいわね。」
 「はい。」
 蓮華 薫(レンゲ カオル)は、この天組(あまぐみ)のトップ・スター 銀河 翔(ギンガカケル)の誘いに答えた。翔は、トップ・スターの貫禄そのままに楽屋へと去っていった。その後姿を見つめながら薫は、薄笑いを浮かべた。

 「翔。いるか。」
 「はい、薫様。どうぞ、中のほうに・・・」
 先輩が後輩に対して敬語を使う事はない。それが、トップ・スターが端役の女の子に対してならなおさらだ。
 部屋の中は、薫達下級生の部屋と違いひとり部屋で、普段の翔からは創造できないほどの少女趣味の部屋だった。
 「薫様。お待ちしてりました。」
 ピンクのベビードールを着た翔が、ドアを開けて、中へと招いた。
 「ふん、いい子にしていたようだな。まあいいだろう。」
 そう言うと、薫は奴隷・翔の部屋の中へと入っていった。

 それは3ヶ月前の事だった。舞台で動きがちょっと遅かったと言って、薫は翔にシゴキを受けていた。
 「なにやっているの。そんなことで、我が劇団の生徒とはいえなくてよ。」
 一回だけある薫と翔の絡みのシーンでちょっと絡むタイミングが遅かったといって、翔が薫を特訓しているのだった。それぐらいのタイミングのずれは、日常茶飯事なのだが、なぜか、翔は、薫に対してけっして許そうとはしなかった。
 その日は朝から何十回、いや、何百回、同じ事をやらされただろう。もうくたくたで、倒れそうになったとき、ある衝撃が薫を襲った。
 『もう、いや。止めてやる。』
 そう心に思ったとき、彼女の頭の中で何かが変わった。
 『おいおい、どうしたことだよ。こんなおいしい状況ってそうあるもんじゃありませんよ。レオタード姿のトップ・スターと二人っきりで稽古場にいるなんてね。』
 疲れてへとへとになり、笑う事さえ出来ないはずなのに、薫は笑い出した。
 「ククククク、ワハハハハ・・・・・・」
 「薫さん、どうしたの。突然笑い出して。」
 翔は、気味悪く笑い出した薫に近寄ってきた。と、薫は狙った獲物を捕らえる獣のように薫は、翔に飛び掛った。
 「ククク、トップ・スターさんとこうして二人だけでいられるなんてなあ。さあ、楽しもうよ。ククク・・・」
 「やめなさい、薫。あなた、おかしいわよ。」
 「ククク、可笑しいかもな。こんないい女と二人きりだ者な。」
 薫は、翔を壁に押し付けると両手を押さえつけ、翔のレオタードを引き裂いた。そして、薫は翔の唇を自分の口で押さえ込んだ。
「ん。ん。ん。いや〜〜〜。」
 首を激しく左右に振って拒絶した。
 「ククク、暴れる女もいいが、ちょっと五月蝿すぎるからな。ちょっと大人しくしてもらおうか。」
翔は薫にブローを打ち込まれて気絶してしまった。

「う、う〜ん。」
翔は、気がつき、ふと、首を傾けて見た壁一面にはめこまれた鏡に映っていたのは、手足をレオタードの切れ端で縛られ、丸裸にされた自分の姿だった。
「え、どうして。」
「ククク、縛られた高慢な女を調教するのも楽しいからな。どれだけその高慢な態度を続けられるかな?」
「あなた、まさか・・・」
「そう、だから、お前を俺の奴隷にしてやるのさ。女の事は下手な男よりよく知っているからな。ククク、たのしみにしな。さて、始めようかな。」
薫は、翔の身体を後から抱きかかえると、その胸を掴んだ。
「グフフ、かなり大きいな、舞台のときはさらしでも巻いているのか。どうだ、感じるだろう。声を出してもいいのだぞ。ここは、防音が完璧だからな。」
「ん。ん、ん、んんぁ〜〜〜〜ん。」
「そして、ここはどうかな。グフフフ。」
薫の手は、あそこへと伸びていった。
「そ、そこはやめて、おねがい・・・」
「ククク、これからが始まりよ。あまりの気持ちのよさに狂うなよ。ククククク・・・・」
高慢で誰をも見下していた快感と屈辱の絡まった逃れられない服従の世界へと落ちていった。

「ククク、今日はどうしてもらいたいのだ。」
「はい、薫さまのお望みのままに・・・」
翔は、薫に前にかしずいた。薫はいやらしい笑いを浮かべながら、翔の頭に手をかけた。
そして・・・

 

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