TS興業グループシリーズ@
             
こちらTS電機(前編)
                                                作 うさ




この話を読んでいるみなさんは、TS興業グループという名前を聞いたことがあるだろうか?このTS興業グループとは、TS興行・TS出版・TS自動車・TS銀行・TS工業・TS化学工業・TS電機・TS建設・TS食品・・・・・etcというTS各企業の集合体で、なぞの人物《ジョーカー》によって統べられている一大グループである。
熱心なTS読者の皆さんは、既にTS化学工業による「フェイクスキン」が実用化され、TS出版において読者プレゼントとして大人気を得ていることをご存知かと思うが、これから始まる物語もまたTS興行グループの企業による萌え萌えの発明品の話である。
(1) パチンコ屋
 金曜日の夜、飲み会に出た後で家路につくと、いつも見慣れたはずの駅からの帰り道に見慣れないネオンがあった。店の前に来てみるとそこは何とパチンコ屋だった。 
住宅街も近いこの場所にはお似合いかもしれないが、やけに控えめの店構えで、蛍光灯に毛が生えたくらいのネオンと間口3間くらいの狭い入り口。光が漏れないようにするためか、ご丁寧に前面が曇りガラスになっていて、店の中は外からは見えないようになっていた。防音がしっかりしているのか、店の前に立っていてもパチンコ屋特有のやかましい音楽や台から出る音もまったく聞こえなかった。本当に営業中なのか疑いたくなる、今までに見たことのない実に‘質素’な店だった。
中に入るとこれまた質素というかこじんまりとした造りだった。
パチンコの列(シマ)は全部で4列しかなく、全部で40台ほどしか台がなかった。あと1列はパチスロでこれも全部で12台ほどしかなかった。
客はといえばまだ全然いなくて、それぞれのシマに一人いるかいないかだった。まったく閑散としている。
奥にはカウンターがあったが、中にいる店員の後ろには、少しばかりのお菓子とタバコしかなかった。カウンターの横には2階への階段があったのであがってみると・・・・・なんと2階はすべて景品フロアーだった。
「う〜ん・・・・・」
何だろうこの違和感は・・・・? この店にしては大きすぎるこのフロアーは何かおかしかった・・・・?
「あっ!!」
そうだ! 違和感の原因がわかった! 
洋服やアクセサリーといった良く見るものもあったが、靴にかつらに下着といったほかの店ではなかなかお目にかかれない景品も展示されていたのだ。
洋服は、赤ん坊の肌着から始まって幼稚園の通園服。小学生用らしいミニスカートやシャツ。学生用のセーラー服とブレザーの制服。会社の制服らしい地味な服とオミズのネエチャン用のようなはでなスーツ。さらには和服の喪服まであった。そして、これらは全て女性用らしかった。
靴も子供用から大人用のハイヒールまであるかと思えば、下着にいたっては子供から大人までの下着に加えて、穴あきパンティーとブラジャーにSMの女王様用のものなのか、レザー製のものまであった。これでは、まるで小型の女性用のデパートのようだ・・・・そう、女性用の品物しかなかった!!(よく見ると他にもあったのだが、このときはまだ気がつかなかった)。
何か自分が痴漢か何かになったようであまりじっくり見ているのも気が引けるので、とりあえず1階に降りて打ってみることにした。
いつもならこんなに客の少ない店だったら迷わず出て他の店に行くかやめて帰るのだったが、なぜかこの夜は出て行く気にはならず、かえって‘何か起こる’という強い予感がしていた。
店内を見渡してみると、それぞれのシマに1機種ずつしかなく「TSアイドル学園」「TS人妻の園」「TS巨乳伝説」「TSチルドレンドリーム」というのがあった。    
「CRじゃあなくって・・・・TS?」
確かいつも打っていたのはCR台というやつで、何かの絵柄が揃うと大当たりとなり、その後確率変動になり次回の大当たりが出やすくなるというものだったハズだ。だけど、今目の前にあるのは・・・確かに‘TS’と書いてある・・・・?
「TSって・・・何だ?」
よくわからなかったが、多分俺の知らない新台だと思ったので席についてみた。
「あっ、そうだ。カード買わなくっちゃ」
 CR機は現金でもプレイできたが、大抵は専用のプリペイドカードを購入してそこから度数に応じて玉を払い出してプレイするのだ(用語的には‘貸し出し’という)。
 だが、店内を一周してもどこにもカードの販売機がなかった。台を見てもお金を入れるところはないし・・・・いったいどうやって玉を貸し出すのだろう??
「あのう、カードの販売機がないんですけど、ここの店ってどうやって玉を貸し出すんですか?」
 パチンカーとしてこんなことを聞くのは恥ずかしかったけど、どうにもわからないのでカウンターにいたオバサンに聞いてみた。
『ああ、初めてなのね。大丈夫よ、心配しなくて。いいこと、ここの店ではカードとか現金は一切必要ないのよ』
「えっ? 必要ない?」
『そう、全くね』
「でも、それじゃあ・・・・?」
『あせらないで聞いて頂戴。台によって多少違いはあるけど、基本的には
@ 台の左端にある穴に指を1本入れる
A 右側にある小型モニターの指示に従って番号のボタンを押す
B 登録が終わったら一旦指を抜いて台が再起動するまで5秒ほど待つ
C 改めて左の穴に指を入れてから右側の番号ボタンで使用する時間数を入力する
D 貸出ボタンを押すと玉が出てくる
E プレイ中に続いて玉を貸出するときは、時間数を変更しないときは指を入れて貸出ボタンを押すだけでよい。もし時間数を変更するときは新しい時間数を入力して貸出ボタンを押す。
ということよ。はじめる前にそれぞれのシマの上にも何箇所か掲示されているから見てみるといいわね。まあ、大当たりの形式なんかは、基本的にCR機と同じだからすぐになれると思うわよ』
「はあ・・・。ありがとうございます」
(お金じゃなくって‘時間数’って何なんだろう?)
 理解しきれなかったけど、まあ、台に座れば書いてあるらしいのでとりあえずさっき選んだ台へ座ることにした。
(2) プレイスタート
俺が選んだ台は「TS巨乳伝説」だった。この店のパチンコ台は珍しく実在する(らしい)人間の写真がプリントされていたが、この台には俺の知っている巨乳娘が写っていたし、何よりも台の中央にある6インチくらいの巨大画面が迫力だったので選んでみた。巨乳好きな俺には期待できる台だった。
台の上を見ると、そこにはさっきオバサンに説明されたことと、この台のリーチパターンや確率変動絵柄などが書かれていた。
リーチパターンは基本的には3パターンだ。1つはノーマル系で、通常の絵柄(数字)で左右が一致したときに起こるものだ。どういう台でもそうだが、このままではまず当たらない。この後は3パターンに別れてスーパーリーチへと発展する。コマ送りになる‘カウントダウンリーチ’。通過する絵柄が拡大される‘拡大リーチ’。コマが爆発しながら変わっていく‘ダイナマイトリーチ’。それぞれに発展系のウルトラスーパーリーチがあるらしい。2つめはプレミアリーチで、全回転リーチ以外に2つあるらしい。3つめは???リーチとなっている。いったいどんなリーチだろう?
まあ、とりあえず打ってみてどんな感じかをみてみよう。
説明にあったように左側にある穴に左手の人差し指を入れてみた。すると、右側にある小型モニターに案内の画面が表示された。
【暗証番号を入力してください(6ケタ〜8ケタ)】
「暗証番号か。とりあえず通帳と同じでいいや。ええっと、5・3・1・2・2・5っと。そしたら終了ボタンを押して・・・・」
【希望の女性を選んでください】
 すると、モニターに番号と登録されているらしい女性の名前が表示された。安西ひろ子・飯島直子・加山まり・桜庭あつこ・橘花美紗・藤崎彩花・星野くるみ・優香・夢野まりあ他、全部で30人の名前があった。
「あっ!! 酒井若菜だ!!」
インターネットで知って以来、CMで雑誌で写真集でと、優香と並んで俺の中で輝いている普通派巨乳アイドルの若菜ちゃんがあった。選ぶとどうなるのかはわからないし、優香とどちらを選ぶか迷うところだったがまずは若菜ちゃんを選んでみた。
「ええっと・・・15・・・・と・・・・」
番号を押すと、台の電源が一旦落ちて、5秒ほどするとまた電源が入った。
「おお〜!! 若菜ちゃんだ!!」
するとどうだろう。台の中央に表示されている6インチモニターにあった女の子の顔が若菜ちゃんになっているではないか!
「そうか、選んだ女の子がリーチ絵柄になるように書き換えられたんだ」
【使用する時間数を入力してください】
「さっきも言ってたけど・・・時間数って何だろう?」
「う〜ん。ま、いいや。とりあえず1にしてみよう。 1・・・っと」
すると、玉出口から玉が出てきた。全部で50玉だった。
「そうか、この1時間っていうのが200円分なんだ。だったら、このまま貸出ボタンを押すと200円分ずつしか出ないから・・・2にしておくか」
 改めて2を押すとジャラジャラと玉が貸出されてきた。たぶん100玉だろう。
 指を抜くと早速打ち出してみた。打っているときの音は普通のフィーバー台と同じようだったし、数字や絵柄の動きも同じようなものだったが、大きく違うところがあった。
「おおっ! す、すっげえ〜!!」
 書き換えられたのは若菜ちゃんの顔だけではなかった。1から9までの数字と絵柄が3つあったが、その中の3がおっぱいに、5が腰に、7が若菜ちゃんの顔になり、10、11、12がそれぞれ手と足と声になり、いずれもグラビアで見た若菜ちゃんのものとなっていたのだ(声だけは文字だったけど)。
 最初の3時間分はすぐになくなり、1回もリーチはこなかったけど、玉がなくなってカラ打ちするまでそれに気づかずに画面に見入ってしまった。
「こりゃあいいなあ。リーチになったらどんなアクションなのかな? なんか期待ができそうだな」
 改めて3時間分を購入して打ち出した。すると初めてのリーチがやってきた。
「お〜! 確変(確率変動)だ!」
 左右の5(腰)でリーチがかかり、回転2周目に入ると音が高温に変わり、台のフレーム全体が赤く点滅した。それに合わせて中央が拡大となり、ベル音が流れる中動いていく。スーパーリーチにあった『拡大リーチ』だ。それまではただ絵柄が出ていただけなのに、拡大リーチになったとたん左右の腰が横に振れ出した。そして、何と画面の背景では若菜ちゃんが制服姿で後ろ向きとなり、スカートを脱いで・・・・ショーツに手を掛けて・・・・脱ごうとしているではないか!1
「おお〜、若菜ちゃんの腰が〜!! スカートが〜!! ショーツが〜!!」
鼻血が出そうな中、12・・1・・2・・と進んでいく。するとそこから動きがスローとなり、3・・・・・・4・・・・・・『5』!!
「やった〜!! 当たった〜!!・・・・・・・あれ?」
『6』になっちゃった。。
「あう〜・・・・」
と思うとまた回転が始まった。
「!! ようし! これは入っただろ〜!!」
また3・・・・・・4・・・・・・『4』
「あう〜。はずれた〜。くやし〜」
結局ショーツも脱がずにスカートも元に戻ってしまった。無常にもすぐに数字が動き出し、余韻に浸る暇もなくゲームが進んでいく。
 しばらくの間同じような形で時間が経過していった。何度かリーチはかかったが、ノーマルリーチばかりでなかなか大当たりしない。
 100回転が過ぎるころ、2回目のスペシャルリーチがきた。『12』の声リーチだ。2週目に入り9までくるとコマ送りとなり、一コマ動く動くたびに若菜ちゃんが『アンッ! アンッ! アンッ!』と切ない声で悶えていた。そして、その声が出るたびに、俺もうなずきながら「おう! おう!」と小声でつぶやいてしまった。そしてその背景では、ベッドに横たわり、布団をかけて寝ている若菜ちゃんの手が怪しく動き・・・・胸や股間を揉んでいるようだ。うまくいけばオナニーシーンが見られるのか・・・・!!
 しかし、残念なことにまたもやハズレてしまった。だが、この萌えるスペシャルリーチの前に俺の理性は消し飛び、大当たりもそうだが、その前に「スペシャルリーチ」を目指して打ち込み始めていた。
 
 画面の背景で花嫁さんが長い手袋を優雅に脱いでこちらに投げる『手』リーチや、風呂に入っている若菜ちゃんが湯船から足だけをだして両手でなぞる『足』リーチなど何回かの
スペシャルリーチが出たが大当たりにはならず、いつの間にか150時間分(15,000円分)を使った頃、いつの間に来たのか、俺の台から2台離れた台にきていたオミズ風のケバイネエチャン(というよりオバサンに近かった)が興奮して玉皿を指で叩き始めた。
「4・・・5・・・6・・・7・・・」
「!!!」
どうやら『顔』リーチのコマ送りらしいが、何と、その声は男のものだった!!
「おかま?」
思わず声が出てしまうと、その声を聞いたのかジロッっと睨まれてしまった。
「うるさいわねえ!!」
太い声で怒られてしまった。が、起こったかと思うとおかまさんはすぐにリーチ画面に戻ってしまい、再びカウントダウンを始めた。
「4・・・5・・・6・・・7!!」
「やった〜!!」
どうやら大当たりしたらしい。
「あ、確変ですね。良かったですね、おめでとうございます」
さっきのお詫びもこめて俺が言うと、
「ありがとう」
っと?・・・・・っと?・・・・・っと!! どこかで聞いた声でおかまさんが答えた。さっきの声とは全く違うかわいらしい女の子の声だ。う〜ん。いったい誰の声だろう。
「あなたも早く当たるといいわね」
「あ、はい。ありがとうございます・・・・・」
(う〜ん・・・・誰だ・・・・俺の好きな声だぞ・・・・)
「あっ!!」
(優香だ。間違いない。あの声は優香ちゃんだ。でも、何でおかまさんの声が優香ちゃんに変わったんだろう?)
 まだこの時点ではこの台(店)のシステムがわからなかったが、そんな俺にもやっと大当たりの時が来た。
(3)大当たり
 ふと周りを見ると、いつの間にか店内には客が増えていることがわかった。不思議と女の子が多かったが、なにより不思議なのは芸能人みたいに可愛い娘が多かったことだ。パチンコ屋なんて男かオバサンしかこないのに、この店は若くて可愛らしい娘がうようよいる。それに、スタイルのいい娘も多かった。何よりおかしいのは、小さな女の子が打っていることだ。どうみても小学生にしか見えない女の子がちょこんと座って打っている。店員も何も言わないから・・・・まあいいか。関係ないもんな。
 おかしなもので、つい今まで大当たりがこなくて落ち込んでいたのに、可愛い娘を見ただけで気分が明るくなってきた。
 気を取り直して打ち始めると、10回も回らないうちに「足」でリーチが来た。どきどきしてみていると、やがて2周目に突入しスペシャルリーチに発展した。画面の中では若菜ちゃんが部屋でストッキングを脱いでいるシーンが映し出され、その上を絵柄が回転していた。当たり絵柄の「足」が近くにくるとストッキングが脱げそうになり、通り過ぎるとまた少し上まで履いてしまう。まるで俺の目の前でじらされているようだ。
 2周目に入り・・・・スロー回転になり・・・・あと3コマ・・・・2コマ・・・・1コマ・・・・
「!!」
「やった〜!!」
遂に1回目の大当たりが来た。320回転目だった。可愛い店員が『無制限』と書かれた札を刺しにきて、
『おめでとうございます。若菜さん目指して頑張ってくださいね』
と言って立ち去った。
画面の中では部屋に帰ってきた若菜ちゃんが荷物を置いて着替えをしていた。上着を脱いで・・・・スカートもおろして・・・・ストッキングを脱いで・・・・ブラを・・・・
「!!」
 ブラは脱がずに、脱いだ服を持って風呂場へといってしまった。そこで終わり。う〜ん残念。上に張ってある紙を見ると
『ストーリー仕立てになっています』
とあるので、もしかしたら他のバージョンの画面もあるのかもしれなかった。
「??」
足がムズムズするので掻こうとしたら、ブラブラした弾みでサンダルが脱げてしまった。さっきまで足が下についていたはずなのに・・・・? まあいいや。別に席を立つわけでもないからそのままでも構わないし。
確率変動に入った。チューリップがよく開くので玉は減らないし、なによりもうすぐ必ず大当たりするのだから楽しかった。
56回転目で『腰』リーチが来た!! 画面の背景では若菜ちゃんがスカートを脱ごうとしている。スローとなり・・・・コマ送りとなり・・・・脱、脱げるか・・・・
「脱いだ〜!! あっ!」
思わず叫んでしまい注目を浴びてしまった。後ろ打っていたおばさんに
「いいわね〜」
っと嫌味っぽく言われてちょっとムカついた。いいじゃねえか。当たったって。お前なんか当たらないで一文無しになってしまえ〜ってんだ。
 画面では学校にいる若菜ちゃんが、友達の女の子と手をつないで廊下を歩いているシーンが映し出されていた。すると、やがて2人は禁断の・・・・女子トイレへ!!
 中に入るとそれぞれが個室に入り、場面は若菜ちゃんのオシッコシーンになった。今度は見れるのか・・・?
 便器を跨いだかと思うと・・・・スカートが降ろされ・・・・ショーツが・・・・脱いだ〜!! そしてしゃがむと水を流しオシッコを始めた〜!! 2回流した。すると今度はトイレットペーパーを切って・・・・お〜、拭いてる〜!!
 パンツを履くとスカートをチェックして出て行った。そしてまた友達とどこかへ・・・・。
「へっへっへっへっへ〜」
「お客様、よだれがたれてますよ」
おおっといけねえ。みっともない所を見られちまったい。
 2箱目をゲットすると、急に椅子が狭くなって窮屈になったみたいに感じられ、座り心地が悪くなったので位置を直してまた打ち続けた。
23回転目でリーチがきた。ちくしょう『6』だ。さっきと同じ背景はただの画面のままでスローから拡大リーチへと発展し当たった。大当たり中の画面は若菜ちゃんが買い物をしているところだった。可愛い若菜ちゃんが見れて楽しいけれど、エッチなシーンはまるでなく、ただ買い物をしただけで終わってしまった。まあ、いいか。また当てれば。なにせ無制限で3箱もっているんだから。
(4)驚天動地
流れを新しくするためにはデモ画面に戻さなければいけないのが今風なので、とりあえずトイレにでも行こうと席を立った。
「???」
 何だろう? 何かおかしい・・・・? 違和感を感じながらトイレに行くと、
「な、な、無い〜!! 無い。 無い。 無い〜!!」
な、な、何と、俺のチンコがなくなっていた!! 
(い、いかん。冷静になるんだ。落ち着け!! いいか落ち着くんだ。人間の真の価値はピンチになったときの行動によって評価されるんだぞ・・・・。思い出すんだ。まず俺はションベンをしようと便器の前に立った。ここまではいいぞ。次にファスナーを開け・・・・うん。ここも合ってる。そしてチンコを出そうとしたら・・・・俺の手は何もつかめず空しく空を切って・・・・)
「なぜ無いんだ〜!!」
理由はわからないが、俺のチンコがどこかに行ってしまった!! どこかに落としたのだろうか? それとも盗まれたのか?
「うわっ!! ヤバイッ!!」
 悪いことは重なるもので、冷静にと思いながらパニックしていると、なぜかションベンがもれ始めてしまった。いつもならチンコの弁を閉めれば止まるのに、今はそれが無い。止めることもできず、ただ垂れ流してしまっている俺!!
 大の方に入ろうとすると、ずり下がったズボンが足に絡みつき思い切り転んでションベンの上にてをついてしまった。いつの間にかベルトが緩んだのか、ズボンは腰のところまでズリ下がり、裾は展示してあるジーパンのように足元でダボダボになりこれに足が引っ掛かったのだ。
「???」
 とにかくサンダルを履きなおし、中に入ると汚れた手をズボンで拭き、恐る恐るベルトに手を掛け・・・・ズボンを引き下げていった。
「!!! 無い〜!!」
やはり、さっきの空しい感触は当たっていた。やはりチンコは無かった。股間にのばされた俺の手は、何の抵抗も受けずに空しく尻まで行ってしまった。
『お客様。どうなされました?』
突然外から声を掛けられた。この声は、どうやらさっき箱を持ってきてくれた可愛い店員さんらしい。
「えっ? いや・・・・その・・・・・」
『これは・・・・? もしかしたらお客様・・・・?』
「何も聞かないでください!! 俺は・・・・俺は・・・・おもらしなんかしてませんから向こうに行ってください。 何でもありませ〜ん・・・シクシクシク・・・」
『お客様。お静かに! 気を落ち着けてください。 いいですか。確かお客様は先ほど大当たりなされてましたね。その玉を景品と交換してもよろしいですか?』
「えっ?」
『多分一箱か二箱で済むと思いますので、その玉で代わりの洋服と履物を取ってまいりますから。私に任せていただけますか?』
「は、はい。お願いします」
『結構です。確認ですが、お客様は酒井若菜様でプレイなさっていたんですよね』
「はい」
『それで、大当たりは何の絵柄でしたか?』
「足と腰と6です」
『足と腰ですね。わかりました。少々お待ちください。心配なさらないでください。そんなに多くは無いですが、同じように驚いてお漏らししてしまうお客様っているんですよ』
「そ、そんな・・・俺はおもらしなんか・・・・」
『では、行って参ります』
 俺の言い訳なんか聞かずに、店員さんは代わりの服を取りに行ってしまった。何とか理由を見つけようとしたが、頭の中はむちゃくちゃで、結局俺は彼女が帰ってくるまでたまに股間を擦るだけで突っ立っているしかなかった。
 少し待つと、店員さんが帰ってきた。
『お客様。開けてください。私が着替えさせてあげますから』
「い、いや。自分でやりますから大丈夫です」
『いいえ、私に任せてください。安心して。慣れてますから大丈夫です。私を信じてください』
 催眠術にかかったかのように彼女の言葉に動かされ、扉を開けると彼女が個室に入ってきて扉を閉めた。
『いいですか。恥ずかしがらないで。私の言うとおりにすれば大丈夫ですから』
「はい」
『いい娘(・・・)ですね。じゃあ、まずズボンを脱がせますから、私につかまってください』
 その後はよく覚えてないけど、彼女の方に手を置いてじっとしていると、ズボンとパンツ、靴下やサンダルが脱がされ、濡れタオルで拭いた後に新しいパンツとズボンとサンダルを履かせてもらった。
『さあ、できました。もう大丈夫ですから』
「あ、ありがとうございます」
『いいえ、お礼なんて結構です。また何かあったら遠慮なさらず言ってくださいね。初めて(・・・)の(・)とき(・・)は皆さん戸惑いますから』
 
「?? あれっ? ??」
彼女の後から出て行こうとすると、俺は違和感に包まれた。なんか踵が高くて歩きづらいし、ズボンもやけに尻のところが大きくて足先に行くにしたがってどんどん細く絞られていて・・・・まるで女物のようだ。それに、妙にパンツがフィットしていて・・・・
「あのう・・・これって女物じゃないですか?」
『もちろんそうですよ』
「だって俺は男なのに。これおかしいですよ」
『当たり前じゃないですか。だってお客様の下半身は女なんですから』
「女?」
『ああ・・・。お客様はまだお分かりではなかったんですね』
「はい??」
『先ほどご自分の股間に触られて違和感は無かったですか?』
「そういえば・・・空しく・・・」
『お客様の下半身は、酒井若菜モデルになったんですよ』
「酒井若菜モデル?」
『そうです。お客様が足と腰で大当たりなされたので、足と腰が酒井若菜様になったんです。ただ、その他のお体は元のままですから、サイズはまだ多少多き目でしたけど』
「えっ??」
『お客様がプレイされていたTS機は、確率変動絵柄で大当たりすると、当たった部分がお客様が指定された女性の方の該当部分に変身する機械なんです。ですから、お客様の下半身は、基本的な造りや感覚は酒井若菜のモノと同じなんですよ』
 彼女の説明によると、要はあのパチンコ台は変身マシーンだということだった。自分の命を玉に換えてプレイし、当たった姿になれるんだそうだ。そういえば、さっき店内で見た女の子の顔は、テレビで見たアイドルとそっくりだった気がする。
 今の俺は足と腰で大当たりしたせいで、下半身は少し大きめの若菜チャンになってしまったんだそうだ(体のバランスの問題で、上半身も変身していくと自然と若菜チャンと同じサイズになるのだそうだ)。となると、やることは1つしかない。
「あのう、俺まだションベンしたいんで先に行ってください」
『そうですか。では・・・・』
 一人トイレに残った俺は再び個室に戻った。
 中に入ると早速新しい身体を点検してみた。
「ふう〜ん。これが若菜ちゃんのお尻か・・・・そしてここが・・・・」
触ってみると、お尻はもうプリプリで、触っている手を跳ね返すような弾力がある。股間に手を這わすと、やはりそこには何も無くて・・・いや、微妙にだが前から後ろに掛けて細いくぼみが感じられた。
 ズボンのウエストを開けて少し下げてみた。するとピンク色のショーツが出てきた。
「そうか、ショーツってこんなにぴったりしているんだ・・・・腰全体にフィットしていて・・・・すべすべしていて・・・・不思議な感じだなあ。触ってるとなんか落ち着くような気がする・・・・でも、思ったよりはあんまり気持ちは良くないんだな。こう触ると、すぐに濡れるって本に書いてあったけど・・・・」
本にあったように揉むようにしてみたり擦ってみたりするが、始めに感じた安らぐような気持ち良さ以上は一向に感じが高まらなかった。
「女って触るだけじゃあ感じないんだなぁ・・・・」
 尻や足に直接触っても、想像していたような快感は無かった。気のせいか今までよりは敏感というか、手のザラザラした感触が強く感じられたが・・・・ただそれだけだった。
「ここはどうなんだろう? ・・・・・・。 痛てっ!!」
 ためしにショーツの中に手を入れ、股間の溝に手を這わせたがひったりと合わさっていて快感なんて無かった。無理に手で割って指を入れたら痛いだけだった。
「女って、こんなのが気持ちいいのかな? 確か、もっと濡れていて指を入れやすかったよな・・・。なんかコツでもあるのかな?」
 場所が良くないのか、時間が良くないのか、全然気持ちよくならないし、この後のプレイのことも気に掛かって仕方ないし。とにかくいつまでも個室にいても仕方ないので台に戻ることにした。
 
 トイレを出てから他の客に注目されたらどうしようかとドキドキしたけど、出てみると誰にも気にされることはなかった(唯一さっき助けてくれた店員の姉ちゃんだけが指でOKマークをだしてくれた)。たぶん、彼女が選んでくれた服が中性的なものだったから他の客からは変な目で見られることも無かったのだと思う。
 
戻りながら店内を見ると、さっきは気づかなかったが、確かに不思議な光景だった。顔がアイドルなのに体型が男だったり、ほとんど女なのに腕だけ男らしい人。やけに背の高い美人のオカマ。抜群のスタイルからのびるすね下のある足など・・・。中には腕が子供みたいで身体は相撲取りの女版で顔は普通の男というヤツもいた。ここはドクターモローの島だろうか?
だけど、不思議なのはおばさんやオデブさん混じっていることだ。それに子供も。確かに“ババ専”“デブ専”“ロリコン”もいるからおかしくは無いのかもしれないけど、本当にあんな女になりたい男がいるなんて・・・・世の中って広いんだな。
でも、俺みたいに偶然入ってきた人もいるのかもしれないけど、それにしてもうちの近所だけでこんなに女になりたい人がいたんだなぁ〜。
さあ、このままじゃあどうにもならないから、思いっきり若菜ちゃんを目指すか元に戻るか・・・・とにかくどうにかしなくっちゃ!! よ〜し、頑張るぞ〜!!  
                                    (続く)
<あとがき>
みなさんお久しぶりです。うさでございます。                     
またもや新シリーズですが如何だったでしょうか? 他のシリーズが終わっていないのにいつもの浮気の虫がおさまらず、また新しく書いてしまいました。           (いつも貯金ばかりですが)私はパチンコ大好きで、大当たりを待つ間にふと思いついたことをこの作品にしてみたんです。多分、今までのシリーズに代わってこれがこれからの主力になっていくと思います(ご声援いただけるならなのですが・・・結構私の中では世界が広がっているんですよ)
次回はパチンコ屋でのあんな事件や、その後に起こるこんな事件を書くつもりですのでお楽しみに(なんのこっちゃ)。
とりあえず、次回作でまたお会いしたいですね。これからもどうぞご愛読ください。
・拙い文章ではありますが、著作権は私にあるようですので、転載等されるときは必ずご相談下さい。
・また、作品についてのご意見ご感想等を是非ともお寄せ下さい。参考にさせていただき、少しでも良い作品として生かしていきたいと思います。宛先は以下の通りです。

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