3.驚きの真実

「あ、あの。さっきのはどういうことでしょうか?」ホテルのバーで夕暮れの都心を眺めながら香山は乾杯の後すぐに松下に尋ねた。

「びっくりさせて申し訳ない。実は」松下の話はこうだった。

松下は女性管理職候補として大学卒業後に当社に入社した。順調に出世していったのだが、例の薬の実験で男性になったというのだ。そして香山と同じように途中入社したのだった。

「そ、そんなことが。でもどうして私のことを知っていたのですか?」

「昨日、社長から聞きました。元女性の私ならいい相談相手になるだろうからと。それがいきなりあんな場所に遭遇するなんてね。驚かれたでしょう。」

「え、ええ。それはもう。私、くやしくて。」そのときのことを思い出して思わず涙ぐむ香山。

「女性は声も出なくなるものです、ああいうときは。香山課長もかなりいい具合に女性化してるようですね。安心しました。」

「安心って、そんな。人ごとだと思って。」

「いえいえ、そんなつもりはありません。でも男性に戻れないと言われたんでしょう? 女性として生きていくには完全な女性になるのが一番幸せなんです。だから、痴漢されたことは悲しいことですが、その反応としては香山課長としては正しいことだったんですよ。」

「そんなこと言われても・・・・・」

「そっち方面で何かあったらなんでも聞いてください。」

「  ええ。 そ、そうですね。今日は、その、びっくりしてばかりで、  今日はこれで失礼いたしますわ。」

「そうですね。そんな弱気になった香山課長はすごく魅力的ですが、表に出さないようにしないと。香山課長はすごくきれいだから目立ちます。隙をみせてはいけませんよ。普段は隙をみせない気の強い女性が弱気な面を見せると男というものはつい襲いたくなるものですから。あはは。」

「は、はい。ありがとうございます。」

香山は松下と別れてからすぐに社長に確認した。松下の言う通りだった。自分の秘密を知っている医療チーム以外の人間に会ってしまった。恥ずかしさがこみ上げるが安心もした。それが今は男性になったという人間であっても、逆に少し前までの自分と同性であることが逆に安心感もあるのかもしれなかった。しかし最後に言われた「普段は隙をみせない気の強い女性が弱気な面を見せると男というものはつい襲いたくなるもの」という言葉にはどきりとした。そう、自分も男のときはそうだったから。

(そうね。男性ってすることしか考えてないし、私を見て私とすることを考えるのね、きっと。そんなこと、今の私では考えられないわ。     でも、いつかはそういうことも、きっと・・・・・・・)

顔を赤く染めながらベッドの中でそっと胸に触れる。弾力があって横になっても形が崩れない。ゆっくりと持ち上げるようにもみしだく。男のときはもっと乱暴だったが、自分でするとなるとやさしく、そう触れるような感覚で。頭の中がピンク一色になる。「あ・・・ん・・・い、や。」声を出すといっそう興奮する。下腹部が熱く、重くなっていく。体中が『濡れ』ていく。そっと脚のつけねに指をはわせる。やや濃いめの毛が昔そこにあったペニスの存在を思い起こさせる。しかし今は何もない。指はするりと割れ目の中に吸い込まれる。「あ..」そこはびっしょりと濡れていた。感じやすいのだろう、そこはいつでも男のものを受け入れる準備ができていた。クリトリスをなでまわす。『あ、、ああ、 だめ、、そこは、、いや、恥ずかしい   許して、、お願いぃ』荒い息づかいをしながら香山は頭の中で誰かに抱かれていた。そう、今までは誰か、だった。「あ、  い、くぅ     」 いく瞬間、松下課長の顔がかすめる。「あ、だめ、そんなの、そんなのうそ、、よ」口では否定したが、女になって初めて秘密を共有した男性を思い浮かべるのは必然だったかもしれなかった。「いや、、いや、、」理性では納得できないまま松下課長の顔を思い浮かべていってしまった自分に恥ずかしさがこみあげ、それを否定しきれないままそのまま眠ってしまった。

 

「おはようございます、香山課長」

「お、おはようございます、松下課長」頬を若干染めて香山が応え、仕事を始める。

(おやおや、頬を染めちゃって、かわいいねぇ。昨夜は俺を思ってオナニーでもしたかな。 ふふふふ。医療チームの教育は完璧だな。私、いや俺のときもそうだったからな。男らしく女を抱くことができたら完全な男だ、といわれ、何人も女を抱いたが、セックスが一番効果的だった。感じ方は女のときの方が深かったが、女を組みしいてペニスを差し入れ、いかせたときのあの征服感は男ならでは、だな。香山課長のこんな風情を見せられちゃうとそそられるぜ、ほんと。やっぱりこいつの処女はいただこう。俺が香山課長を完全な女にしてやるか。社長も早くこいつを女にしたいと思ってるようだったし。おいしい役目だな。いかん、たってきた。)横目で香山の肢体をいやらしくながめ、松下は仕事を開始した。(まずは1課の実績をあげておかないと。すべてにおいて自分より優れた男性には、女は屈服しやすいからな。ふふ、女だったからわかることかもな。)

 

inserted by FC2 system