囚われの戦士
作:愛に死す
騎士隊長のクレスは、隣国との戦闘で、艶やかな黒髪と褐色の肌から黒豹と呼ばれた女将軍カリスを討ち取ったものの自分もその時に負った傷で動けず、捕虜になってしまった。囚えたクレスに国の機密を白状させるべく、拷問が連日続いていた。
「クッ」
鞭を打ちつけられ、クレスの押し殺した苦痛の声が、喉からもれた。
「いい加減にしやがれ!軍の構成、人数、貴様が知っている事を洗いざらいぶちまけろ!」
牢番は、苛立ちより一層強く鞭を打ちつける。皮膚が破れ、鮮血が飛んだ。
「知らんなぁ」
クレスは、苦痛に顔を歪ませながらも口の端を持ち上げニヤリと笑った。
「早く楽になりたいだろう」
「これは、面白い、あっはっはっはっは!」
牢番の言葉に、クレスの気違いじみた笑いが牢屋に木霊する。
「笑わせるな、楽にするというのは、殺すという事だろう、グゥッ」
鞭がしなり、クレスの鍛え抜かれた肉体にまた一本、紅い線が刻まれた。
「減らず口を叩くな、俺は短気でな、貴様がそんな態度に出ると何をするかわからんぞ!
牢番は、肩で息をするほど、何度となく鞭を打ちつけた。クレスの白い肌が、紅に彩られる。
「グウッ、グッ、グゥゥッ・・・」
「へっ、歯を食いしばりやがって、泣き喚いて命乞いの一つでもすりゃぁ、可愛げがあるのによぉ」
憎々しげに、牢番は唾を吐いた。
「苦労している様だな、まぁ、そんな事で口を割るような男ではないがな」
真紅のローブに身を包んだ、褐色の肌をした男性が、牢屋に入ってきた。
「こ、これは、宮廷魔術師のミラン様、このような所へ何故貴方様が!?」
「何、私の可愛い妹を殺した男には、やはり直々に手を下さねば気がすまないのさ」
ミランは牢番を追い出すと、クレスの顎を持ち上げた。
「強い意志を宿した瞳だ、敵でなければお前に惚れていたかもしれん」
「男に惚れられても困るがな」
「お前が寝返るというなら・・・」
「・・・そいつは、願い下げだね」
「ふっ、ならば、お前が妹の仇だ。それなりの事はさせてもらう」
ミランは、ローブから手の平サイズの子瓶と白い塊を取り出した。
「私が、合成した新薬だ、見ろ!」
ミランは、蓋を開き、愛しげに白い塊に接吻した後、塊を瓶の中の液体へ落とした。塊は泡も立てずに、瞬時に溶け去る。
「酸か・・・」
「そんな生易しいものではないさ、その逞しい肉体が消えるのは少し残念だよ」
ミランは、手を翻し、無造作に液体をクレスの振りかけた。
「かはっ」
液体のかけられた場所から白煙が上がる。
「くっ、なんだこれは!?」
クレスの肉体を焼きながら、液体はウネウネと這いずりはじめた。
「スライムかっ!」
クレスが驚きの声をあげる。スライムとは原始的な生物で、ゆっくりとだが確実に犠牲者を溶かし吸収してしまう。
「さて、どうなるか楽しみだよ」
酷薄な笑みを浮かべると、ミランは牢屋を去った。
「はぁはぁ」
スライムは、クレスの肉体をゆっくりと嘗め回す。鈍い痛みが絶え間なく続く。気を失う事も、眠る事もできない。無色透明だったスライムは、消化しきれていないクレスの血でピンク色に染まった。逆に、クレスの顔は、血の気が失せ蒼白になっている。
クレスの肉体を食い荒らし、成長したスライムは、何匹にも分裂した。小さくなったスライムは、クレスの肉体の穴という穴に浸入しようとする。まず、鼻にスライムがへばりつき、クレスは口からしか息が出来ない。息をする為、口を僅かに開いた隙にスライムは、クレスの口内に侵入しようとする。クレスは、気力を振り絞って、スライムを噛み切ったが、口の中に残ったスライムの一部は、体内に潜り込み、喉を焼く。
尻にもスライムは、潜り込んだ。
「あっ、やめてくれっ」
歴戦の勇士といえども、奇妙な感覚に思わずたじろぐ。熱いような冷たいような感覚が、クレスの背筋を通り過ぎた。
身体の表と中を同時に焼かれ、クレスの意識は、朦朧となった。いやっ、耳から浸入したスライムが、クレスの脳を焼いているせいかもしれない。
スライムが、這いずり回っていない場所など、クレスの身体の何処にもありはしなかった。
クレスの男根も、スライムは包み込み跡形もなく消化していく。
「うぐっ」
さすがに、動揺は隠せない。
ボトンッ
肩を溶かされ、クレスの右腕が付け根から、落ちる。
「・・・・・・」
しかし、もはや痛みを感じる神経も麻痺している。スライムは、落ちた腕にまとわりつくと、腕は、骨も残さず消化された。
スライムの中には、気に入った肉の味でもあるのか、余り身動きをしないスライムもいた。
体力、気力ともに底をつき、もはや何時死んでもおかしくない状態である。
「殺さない、殺しはしないよ」
ミランの声が、僅かに聞こえた気がした。
クレスの意識がややはっきりし、自分の身体を見下ろすと、酷い有様だった身体が、いくらか治っている!?
「このスライムはね、肉を喰らいながら肉体情報を読み取り、被害者が弱ってくるとその情報を元に肉体を癒すのさ」
「そう・・・か」
自分の声とも思えぬかすれたやや高い声でクレスは、呟いた。
「ほら、腕も再生する」
棒のようにクレスの右腕の付け根にぶら下がったスライムが、肉の色になり腕に変化する。だが、その肌の色は、褐色をしていた。
「グゥゥゥ」
新しく生えた褐色の右腕は、クレスの意思を無視し、いきなりクレスの首を締め付けた。
「やめるんだ!」
ミランが、叫ぶと腕は力なく垂れ下がった。
いったい、何が起こったのであろうか!それにしても、再生したクレスの腕も脚も細すぎるようだった。
「最終段階だ」
クレスの肉体が一気に癒されていく。たが、クレスの肌は、こんなにも茶色だったろうか?
胸に張り付いたスライムは、半球状にプルプルと震えていた。いやっ、それをスライムと呼べるだろうか・・・何故なら、スライムの色は、再生された皮膚と同じ褐色をしており、その中心にはピンク色の突起があったのだから。
ブシュー
体内を荒らしまわっていたスライムが、新たな穴を掘り、外へ飛び出した。
その穴はかって、クレスの男根があった場所であった。
「クククッ、成功だ・・・カリスの骨から読み取った情報が、こうもうまく肉体を変化させるとはな。むっ、どうした?」
「身体が疼く・・・」
「貴様がそんな言葉を使うとはな。スライムは、脳の中身も作り変えたのだ、お前の名は、これからカリスだ。私の妹にして、戦士そして恋人になれ!」
「カリス・・・恋人、わかった。ああっ、何とかして!ああっ、身体が熱くてたまらない!」
「男なら我慢しろ」
体内から抜け出たスライムは、本当に女の肉体に変身したか、確認するように這いずり回る。柔らかな肉をさわり揉み上げ、肉の足らない場所は、補完し、多い場所は、削り取っていく。
僅かに残ったスライムは、最後に男根のあった場所に穿たれた深い穴を、秘所に作り変えると、最後に肉芽に変化した。
「望み通り相手をしてやる」
「早く、早くぅ!」
ミランは、クレスという名の男であったカリスの花弁の縁を指でなぞった。
「きゃんっ!」
高い声をあげ、身をすくませる。
「えっ、あっ、ああっ!」
陶然とした瞳で、ミランの男根を見つめる。
「あっ、くっ、うっ」
期待に身体を震わせ喘ぐ。
「前菜は必要ないな」
男根が、秘所を貫く。
「あんっ!」
喜びの短い喘ぎを漏らす。
「いい締め付けだ」
「あっ、ああっ、あんっ!」
身体をびくびくと震わせた。
「あああんっ」
高い声をあげ、唇の端から涎を滴らせる。
「」
ミランの腰が動き、男根がより深く突き刺さる。
「はうっ、うっ、はぁ」
声がひときわ高くなる。カリスは、不器用に腰を上下に動かし始めた。ぎこちないが、それでもミランの男根を充分に刺激する。
獲物を捕まえた蛇のようにミランの男根が、カリスの中を暴れまわった。
「もう限界だ」
「あ・・・ぁ・・・あぁぁぁぁ」
カリスは、ミランの熱いモノが自分の中に流れ込んできた事を感じていた。
体内を動き回ったスライムは、外見だけでなく内部まで変化させたのだ。
余りの衝撃に、カリスは気を失った。
「ふふっ、お前は、何番目のカリスであったか・・・死ぬまで働いてもらうぞ」
ミランは、誰にも聞こえないような声で独白した。