母と子
作:せなちか


「ひああっ! ダ、ダメぇっ。おちん○ん、入れちゃダメぇっ」
 硬く尖った弘之のものを陰部に押し当てられ、美冬はいやいやと首を振った。まるで子供のようにべそをかいて、ひたすら泣き言を漏らす美冬の表情は、とても三十路を過ぎた一児の母親とは思えないほど幼く見える。だが、服を脱がされ丸見えの胸から腰に至る体のラインは実に柔らかで、熟した果実のように生々しい。幼い表情と質感たっぷりの肉体とのギャップが、倒錯した奇妙な魅力をかもし出していた。
「ふふふっ、かーわいー。ママ、ますます興奮しちゃうわ」
 弘之はサディスティックな笑みを浮かべ、腰をぐぐっと突き出した。未熟な陰茎が肉をかきわけ、母の奥深くへと侵入していく。まだ中学生にもなっていない子供のものとはいえ、立派に勃起もしていれば、既にこの歳で精を放つこともできる。それは双方、ここ数日の体験を通じてよく理解していた。
 四つんばいの美冬の胴体を、弘之の腕ががっちりつかんで放さない。美冬は体をひねって息子から逃れようとするものの、このように不利な体勢ではそれは不可能だった。弘之が押しつけた腰を淫らに動かして円を描くと、美冬は切ない声をあげて降参し、再び床に這いつくばった。完全に力が抜けてしまい、もはや抵抗するすべはない。あとは犬の交尾のように一方的に犯されるだけだ。
「はああっ……やだ、やだぁ。こんなの、いやだよぉ……」
「ううん、いい。気持ちいい……」
 真っ赤な顔で喘ぎながら嫌悪の言葉を吐く母の背中を、弘之が楽しそうに見つめた。口元を歪めて薄ら笑いを浮かべつつ、恍惚の表情で美冬の熟れた肉を存分に貪る姿は、到底、実の息子には見えない。しかし、美冬と弘之が血の繋がった母と子の関係にあるのは、まぎれもない事実だった。
「ああ……男の子って、こんなに気持ちいいのねぇ。ママ、もうやめられないわぁ」
 声変わりもしていない男児の声が、うっとりとそうつぶやく。あまりにも常軌を逸した光景だった。年端もいかない弘之が半裸の母に後ろから覆いかぶさり、後背位での結合を果たしているのだ。嫌がる母に、容赦なく。
 加えて、そのつぶやきの内容もいささか奇妙と言えた。幼い少年に似つかわしくない妖艶な女言葉で、「気持ちいいわぁ」と、何度も繰り返しているのだ。行為も会話も、何もかもが常識の範疇を飛び出している。見る者の誰もが驚愕せずにはいられないだろう。
 一方の美冬は、愛しい我が子に犯されながら、止めどなく涙を流していた。スカートも下着も既に弘之に剥ぎ取られしまい、身に着けているのは長袖のスウェットシャツとストッキングのみ。そのシャツも思い切りまくり上げられ、薄桃色の肌を隠す用をなしていなかった。むっちりと肉づきのいい太ももが中途半端にストッキングで覆われているため、下手をすると素裸でいるよりも男の欲情をそそるかもしれない。
 淫らで美しい母の姿に、弘之はくすりと小さな笑い声を漏らした。
「この姿勢だと、なんか支配欲がわいてきちゃうわね。ふふふっ、新鮮だわ」
「うああ……や、やめてよぉっ。お願い、ママぁ……!」
 犬のような屈辱的な格好で膣をかき回されながら、美冬が懇願する。息子に対する母親の態度ではない。逆に、彼女の方が親に許しを乞う子供のように見えた。そんな美冬がとても可愛らしい。弘之は愛情を込めて美冬の尻を撫で回し、聞き分けのない母をたしなめた。
「逃げちゃダメよ、ヒロちゃん。ほら……こうやっておマ○コぐりぐりされると、気持ちいいでしょう?」
「やだやだぁっ! ううっ、うええ……お願いママぁ、許してぇっ」
「だーめ。ママは男の子の気持ちよさにすっかりはまっちゃったんだから、もうやめられないの。今日もいっぱいぐりぐりしてあげる。覚悟しなさい」
「そんなぁっ、こんなのやだよぉ。ボク、もう元に戻りたい……ママ、助けてぇ」
 弘之は繋がったまま首を伸ばし、鼻をすすってしゃくり上げる美冬の耳元に囁きかけた。
「それに、ヒロちゃんも腰が動いてるじゃない。いやだいやだって言いながら、本当は大好きなんでしょう? こうやっておチン○ンでぐりぐりされるの」
「う、ううんっ、動いてない! ボク、そんなことしてないよぉっ」
 言葉とは裏腹に、母の腰は息子を求めるように妖しく前後して、結合部を緩やかに刺激していた。嫌がる声にも甘い色香が混じり、弘之を更なる官能の渦へと引きずり込もうとしてくる。いくら本人が嫌がったところで、火照りきった牝の肉体は男を求めずにはいられないのだ。たとえ、心が無垢の少年のものであろうとも。
「ヒロちゃんの嘘つき。ママはその体のことなら、何だってわかっちゃうのよ? こんなに腰振っちゃって、本当に可愛いわねえ。うふふ……」
「うあっ、ああぁっ。ママ、ママぁ……! やだぁっ、お腹がジンジンするぅっ!」
 じゅぷじゅぷという小さな音と共に甘い声があがり、美冬の豊かな胸がぶるんと震えた。弘之が少し手を伸ばしただけで、二つの乳房は重力に引かれて、彼の手のひらにこぼれ落ちてくる。たぷたぷと柔らかな感触がとても心地よい。先端はすっかり硬くなってしまっていて、いかに美冬が発情しているかを示していた。
 美冬の中は火傷をしそうなほどに熱いが、不快感は全くない。充分に濡れた母の女性器は、幾重にも連なったヒダで弘之のをみっちり包み込み、軟体動物のような動きでこね上げている。
 まさに、天にものぼる心地だった。女体に溺れる男の気持ちがよくわかるというものだ。女でいたときは想像さえしなかった牡の快感に、弘之は完全にのめり込んでいた。
「ひっく、グスッ……ママ、もうやめてよぉ。これ以上されたら、ボク、おかしくなっちゃうよぉっ」
「駄目よ、こんなに気持ちいいんだもん。あぁ……おチン○ン、すごい、すごいわぁ。男の子って最高。もうやめられないっ」
「やだぁ、そんなにぐりぐりされたら……ひゃんっ! あああっ!」
 美冬が軽く絶頂に達した。艶かしい声と共に中がキュウっと引き締まり、絡みついたヒダが息子の精を搾り取ろうと責めたててくる。女の性器は魔物だ。一度男をくわえ込むと、子種を注ぐまで放そうとしない。
 こうまでして射精してほしいのだろうか。半ば熱に浮かされた頭で、弘之は呆れ果てた。いくら牝の本能とはいえ、自分が産んだ子供の精子で孕みたいとは……まったく、浅ましいことだ。そう蔑みながらも、彼女の中から己自身を引き抜こうとはしない。
「イっちゃうのね、ヒロちゃん。中がきつく締まって……あはぁ、もうたまんないわ。ごめんね、ママもイっちゃう。ヒロちゃんの中にセイエキ出しちゃうっ!」
 弘之は気持ちよさそうに目を細め、母の胎内に熱くたぎった子種をありったけ注ぎ込んだ。射精の快感に腰が震えて、「おおおっ」と雄々しい声が口から漏れていくのも最高だ。
「あ、熱い。熱いよぉ、ママぁ……」
 全身を小刻みに震わせて、壊れたオモチャのように痙攣を繰り返す美冬。ぽろぽろ涙を流して自分を呼ぶ母の姿を、弘之はとても綺麗だと思った。

 ◇ ◇ ◇ 

 始まりは、ほんの些細なことだった。
 朝、美冬が自宅の二階で寝ている息子を起こそうと階段をのぼっていたところ、ちょうど下りようとしていた弘之とぶつかり、二人して階段から転げ落ちてしまったのだ。幸いなことにどちらも傷一つなかったものの、目を覚ました親子は仰天した。それぞれ、目の前に自分の姿があったからだ。
「ねえ、君は誰? なんでボクと同じカッコしてるの? それに、ボクのこの服……あれぇ、変だなぁ。これじゃ、まるでママみたい。どういうこと?」
「な、何なのこれはっ !? どうして私がヒロちゃんになってるのっ !?」
 互いの心が入れ替わっている。散々騒いだあと、二人はようやくその結論にたどりついた。美冬の体には弘之の心が、弘之の体には美冬の心が入っていて、母と子の立場が入れ替わってしまっているのだ。そんな馬鹿な、とても信じられない──美冬と弘之は口々に言い合ったが、それで今ここにある現実が否定されるわけではなかった。
「ボ、ボクがママになっちゃったの? どうしよう、こんなの困るよ……」
「ヒロちゃん、しっかりして……ああ、どうしたら元に戻れるのかしら」
 二人は試しに軽く頭をぶつけてみたが、元に戻る気配は全くない。かといって、もう一度一緒に階段から飛び降りる勇気もなかった。そんなことをしたら、今度こそ怪我をしてしまう。一体どうすればいいのかわからず、どちらもおろおろして困惑するばかりだった。
「あ、もうこんな時間だ。そろそろ学校に行かないと、遅刻しちゃう」
 不意に美冬が漏らした言葉に、弘之は深く息を吐き出して言った。
「うーん……じゃあ、今日のところはとりあえず、ママがヒロちゃんの代わりに学校に行ってくるわ。それでいい?」
「ええっ、ママが行くの? ボクじゃなくて?」
「そうよ。今のヒロちゃんが学校に行くわけにはいかないでしょう? だって、ママの体なんだもの。皆がビックリしちゃうわ」
「そ、そりゃそうだけどさぁ……」
 美冬は口を尖らせたが、弘之の言っていることは間違っていない。彼女がランドセルを背負って学校に行ったところで、友達や教師から白い目で見られるだけである。「ひょっとすると、イジメられちゃうかも」と思うと、とてもこのまま登校する気にはなれなかった。
「それとも、今日はお休みしようか? ママも、ヒロちゃんを一人で置いとくのは心配だし」
「ダ、ダメだよっ! 休んだら皆勤賞もらえなくなっちゃうよ!」美冬は慌てて首を振った。今まで一度も学校を休んでいないのが、ささやかな自慢だったのだ。
「それなら、やっぱりママが行かないと。夕方には帰るから、ヒロちゃんはそれまでお留守番しててね。じゃあ、いってきまーす」
「はーい……いってらっしゃい」
 子供のように拗ねた顔で息子を見送る美冬。このような事情では仕方がないとはいえ、友達が大勢いる学校を休んで、ひとり家でじっとするというのは非常に不本意だった。家事は後で弘之がするからやらなくていいと言われていたため、特にするべきこともなく、だらだらとテレビを見たりゲームをしたりして過ごしたが、素直に楽しむことはできなかった。
「はあ、なんでボクがママに……早く元に戻りたい」
 立ち上がると、ブラジャーに包まれた豊かな胸がぶるんと揺れる。昨日までは想像もしなかった重みに、美冬は違和感を隠せなかった。こんなものは邪魔なだけだ。よく女の人は我慢していられるものだと、妙なところで感心してしまう。太ももをぴっちり覆うストッキングの感触にも慣れなかったし、長いスカートがひらひらするのも気に入らなかった。美冬はジーンズの類をあまり持っておらず、着替えようにも見つからなかったのだ。
 もう一つ困ったのがトイレだった。昼ごろ、美冬は尿意を覚えてトイレに行ったのだが、パンツを下ろしてもいつもの竿が見当たらない。「ど、どうやっておしっこすれば……」と焦っている間にも尿道が緩んで、小便を辺りに撒き散らしてしまった。下半身だけでなく、床もスリッパもびしょびしょになってしまい、美冬は大声で泣きだした。
「うわあ、お漏らししちゃったよぉっ! うわあぁんっ!」
 三十路を過ぎた子持ちの主婦が便器の前で小便まみれになって泣いているのは、とても奇妙な図だったが、本人にその自覚はない。美冬は幼児のように泣きながらその場に這いつくばり、小水で濡れた床を必死で拭いた。汚した衣類は脱ぎ捨てて、腰から下は裸で過ごした。もう女物の下着もスカートもはきたくなかったとはいえ、何も身に着けずに股間の陰毛を晒し続けるのも恥ずかしくて仕方がなかった。誰かに見られたらと思うと気が気でなかった。
 部屋に戻って毛布にくるまり泣いていると、姑から電話があった。美冬の夫の母で、弘之にとっては祖母にあたる人物である。祖父と一緒に田舎で暮らしており、一家が里帰りするたびに孫の弘之をちやほやしてくれる優しい祖母だった。自然と、美冬の声も明るくなってしまう。
「あ、おばあちゃん。こんにちはー、元気?」
「美冬さん、あなたどうしたの? そんなおかしな声を出して……」
「あ……ご、ごめんなさい」
 今の自分は弘之ではなく美冬なのだ。ここは母として丁寧な応対をしなくてはならない。美冬は電話口の向こうにいる姑に向かって頭を下げた。
「そ、それで、何のご用でしょう。お父さんは仕事ですけど……」
「そんなことはわかってます。昨日、あなたからお菓子が届いたから、そのお礼を言おうと思って。どうもありがとう」
「あ、そうなんですか。どういたしまして」大事な話ではないようだ。美冬はほっと胸を撫でおろした。
「それで、最近どう? ヒロちゃんは元気してる? もうすぐ中学生でしょう」
「はい、元気にしてます。友達もいっぱいいて、楽しいです」
 唐突に話題が自分のことになって、自信たっぷりにうなずく美冬。ところが姑は納得しない。
「楽しいだけじゃ駄目でしょう。前にも言ったと思うけど、受験はさせないの? 今のうちからいいとこに入れておかないと、後で苦労するんだから」
「受験ですか? え、えーと……どうなんだろ。よくわかりません」
「駄目じゃないの。まったく、大事な一人息子のことなんだから、ちゃんと考えなさい。うちの息子はなんて言ってるの?」
「え、えーと、えーと……」
 しどろもどろになって、何も言えない。なんと答えたらいいのか、まるでわからなかった。その他にも親戚の話題や自身の近況などで姑の話は一時間以上も続き、美冬はうんざりさせられた。
「お、おばあちゃん、あんなに話が長かったっけ? うう、疲れたよ……」
 美冬の災難はさらに続き、今度は宅配便がやってきた。居留守を使えばいいのに、うっかりインターホンに出てしまい、下半身が丸出しなのに気づいて大慌て。急いで手近なスカートをはいて玄関に駆けていったのだが、足を滑らせてドアに顔面を強打し、大泣きしながら品物を受け取った。痛いやら恥ずかしいやらで涙が止まらなかった。
「うう……今日はホントにいやなことばっかりだ。こんな体、もういやだよ……」
 この体になってからというもの、何ひとついいことがない。美冬は疲れ果てていた。一刻も早く元に戻って、平和な生活を取り戻したかった。何をする気にもなれず呆然と床に座り込んでいると、ようやく弘之が帰ってきた。
「ただいまー。ヒロちゃん、お留守番どうだった? 何かあった?」
「うん……いろいろあって、大変だった」
 しょぼくれた表情を浮かべる美冬とは対照的に、弘之はいきいきとした明るい顔だ。聞けば、久しぶりの学校がとても楽しかったらしい。
「みんな可愛くて、元気いっぱいね。先生も若くて綺麗な人だったから、びっくりしちゃった」
「うう、ボクはずっと家から出られなかったのに……ママだけずるいよぉ」
「ごめんね、ヒロちゃん。早く元に戻る方法、探さないとね」
 弘之は背伸びをして美冬の頭を優しく撫でた。「さあ、お掃除にお洗濯に、今からママは大忙しよ。買い物にも行かなくちゃいけないから、後でヒロちゃんも一緒に行こうか」
「うん、行く行くっ!」
 美冬がやっと笑顔を見せた。とにかく、何とかして元の体に戻らなくては、今日のように毎日泣き続けて暮らす羽目になってしまう。それは嫌だとぶんぶん首を振っていると、息子の小さなつぶやきが聞こえた。
「でも、本当に今日は面白かったわ。ずっとこのままでもいいって思ったくらい」
「え? それってどういう……」
 立ちすくむ美冬を玄関に置きざりにしたまま、弘之はランドセルを片手に意気揚々と部屋へ戻っていった。

 ◇ ◇ ◇ 

「ねえ、ヒロちゃん。今日のお風呂は、ママと一緒に入らない?」
 夕食と後片づけが終わってから、弘之はそんなことを言い出した。
「ええ、ママと一緒? ボク、もうそんな歳じゃないよぉ」
「だってママとヒロちゃん、入れ替わっちゃったじゃない。その体だとだいぶ勝手が違うから、一緒に入っていろいろ教えてあげようかと思って」
 慣れない母親の体でいる息子を気づかっての提案だ。後ろでひとまとめにした長い髪は洗うのが大変だし、今の美冬はブラジャーのつけ方さえ知らないありさまであるから、確かに元の体の持ち主に必要な知識を教わるというのは理にかなっている。美冬も納得してうなずいた。
「うん、わかった。今日はママと一緒に入る」
「ふふふっ、一緒にお風呂なんて久しぶりね。こんなときに何だけど、ちょっと嬉しいかも」
 弘之は楽しそうに微笑んだ。幼かった息子もいつの頃からか見栄や羞恥心というものを持ち合わせるようになって、最近ではもう母親と一緒に入浴することはなくなっていた。ベタベタに甘やかして育てた我が子に独立心が芽生えつつあるのを実感して、美冬はどこか寂しそうにしていたものである。しばらくぶりのスキンシップに、つい顔がほころんでしまうのも仕方のないことかもしれなかった。
「どう、ヒロちゃん。ちゃんと服、脱げた?」
「うん、脱げたよ。うわぁ……ママのおっぱい、こんなに大きいんだ。すごいなぁ」
 服を脱ぎ捨て露になった自分の体を見つめ、美冬は感嘆の声をあげた。豊満な体が描く曲線が、熟れた女体の艶やかさを如実に示している。特筆すべきは、見下ろした視界の何分の一かを占める二つの巨大な肉の塊だろう。元々同性の中でも大きい方だったが、弘之を産んでからはますますサイズを増して、いつまでたっても乳離れのできない息子の腹を長年に渡って満たしてきたのだ。さすがに現在では重力に負けてやや下を向いてしまっているものの、形はちっとも崩れておらず、生娘のようにみずみずしい白い肌も昔のままだった。
 幼い頃にたらふく味わった母の乳房が、自分の胸についている。それを思うと妙な気分だった。おそるおそる両手で触れて見ると、触った感触と触られた刺激とが、同時に襲いかかってくる。ぶるぶると揺れる巨乳の動きは現実のものとは思えないほど大袈裟なのに、胸にずっしり垂れ下がる重みは、夢や幻ではありえないほどにリアルだった。濃い茶色の乳輪の中心に小さな突起がついていて、まるで目玉のようにも見えた。
「どうしたの、そんなにママのおっぱいいじくって。おっぱい吸ってた頃でも思い出した? まだ小さかったから、覚えてないと思ってたけど」
「う、うん。実は、その……ちょっとだけ覚えてる」美冬は恥ずかしそうに、もじもじしながらうなずいた。
「そう、嬉しいわ。ヒロちゃんは甘えん坊だったから、なかなか哺乳瓶を使ってくれなかったの。ふふ、懐かしいわね」
 弘之はふわりと微笑むと、いきなり美冬の体に抱きついた。「ほら、こういう風に吸ってたのよ」と言いながら自分のだった乳房に手を伸ばし、唇を寄せて先端を吸い始める。突然のことに美冬は面くらい、身をよじって悲鳴をあげた。
「や、やだぁっ。ママ、何するのっ?」
「何って、昔みたいにおっぱいをもらおうかと思って。もう出ないけど、懐かしいでしょう」
「ち、違うよ。おっぱい飲んでたのはボクの方だったのに……」
「だって、今はヒロちゃんが私のママじゃない。ほら、こんなに大きなおっぱいして、ママじゃないっていうの?」
 悪戯っぽい表情で母の乳を面白がって吸い上げる弘之。最初は嫌そうな顔で困り果てていた美冬だったが、弘之が舌で突起を突ついてねぶるように転がすと、少しずつ声の質が変わり始めた。
「うっ、うう……何か変だよ。やめて、ママ」
「ふふふ、柔らかくて美味しいわ。私のおっぱいって、こんなに素敵だったのね。今まで気づかなかった」
 身悶えする母の姿に弘之はようやく口を離し、唾で汚れた唇をぺろりとなめた。快感の波が唐突に止み、美冬の体からがくっと力が抜けてしまう。いつの間にか、呼吸が荒くなっていた。
「さあ、そろそろお風呂に入りましょうか。いつまでもこんな格好で遊んでると、風邪をひいちゃうわ」
「う、うん……」
 美冬は小さな声で息子に返事をした。
 いったい、今のは何のつもりだったのか。単なる悪ふざけか他愛ない親子のスキンシップだと思いたいが、それにしては弘之の笑みが怖い。幼い顔に似合わないサディスティックな笑い方で、あたかも獲物を狙う肉食獣のような表情だった。元の自分の小柄な背中を眺めながら、美冬は胸の中に湧き上がる不安を抑えきれないでいた。
「ママ、どうしちゃったの? いつもは優しいママなのに……」
 と、つぶやく声もその本人のもの。少年の心と母の肉体の相違にちっとも慣れず、戸惑いながらびくびくとおびえてしまう。もしも、このまま戻れなかったらどうしよう。自分がこのまま「弘之の母」として生きていかないといけなくなったら。今の状況は、そんな懸念を抱くのに充分だった。
 不安をこらえて浴室に足を踏み入れると、彼になった母が頭を洗っていた。シャワーの湯を頭にかけてわしわしと髪を揉みほぐす姿は、ようやく男になり始めたばかりのあどけない少年にしか見えない。先ほどかすかに見せた邪な気配もなく、いつもと同じ穏やかな表情だ。
「はい、ヒロちゃん。こっちは終わったから代わってあげる。そこに座って」
「はーい」
 美冬は椅子に腰を下ろし、束ねていた髪をほどいて後ろに垂らした。毛先が肩や背中に当たってくすぐったい。男だったときには無縁の感触だった。弘之はヘアブラシを手に取ると、彼女の髪を撫でるように優しくとかしてくれた。湯のかけ方から流し方まで、普段自分がやっているぞんざいな洗髪とはまるで違う。「元に戻るまでは、ヒロちゃんがママの代わりにこんな風に洗ってね」と言われて、ため息が漏れた。
「はあ、なんかめんどくさいね。ブラシとか、トリートメントとか」
「そう言わないの。女の人の髪は繊細だから、痛まないように普段から気をつけてるのよ」
「まあ、それはわかるけどさ。あと、濡れると頭が重たいんだ。やっぱり髪が長いからかな?」
「そうね、乾かすのがまた大変なのよ。洗い終わったら、とりあえずタオルを巻いておくの」
 たっぷり時間をかけて弘之に髪を洗ってもらい、今度は体の洗い方を教わることになった。「こっちは大丈夫だから。体くらい洗えるよ」と主張する美冬に、弘之はゆっくり首を横に振った。
「さっきも言ったけど、女の人の体は繊細なのよ。丁寧に洗わないと傷ついちゃうわ。ヒロちゃんは、ママの体が傷だらけになったり、汚れたままだったりしてもいいの?」
「う、ううん……そんなことない」
「じゃあ、ちゃんと洗ってお手本を見せてあげるから、スポンジかして」
 結局息子に逆らえず、大人しくスポンジを渡してしまう美冬。髪をきちんと洗ってもらったことで、先ほど抱いた警戒心はかなり薄れていた。
 弘之はスポンジにボディソープをたっぷり塗りたくると、まずは母の背中を洗いだした。基本は上下に、ときには円を描くように丁寧にこする。脇腹に触れられたのは少しこそばゆい感じがしたが、それ以外は特にどうということもない。入れ替わっているとはいえ、こうして体を洗ってもらうのは数年ぶりだ。この歳になって甘えるのは恥ずかしかったが、やはり心地よいのは否定できない。美冬は目を細めて、肩越しに息子の顔を見て笑った。
「えへへ、気持ちいいよ。ありがとう、ママ」
「いいのよ、それはママの体だもの。さあ、前もやってあげるわ。こっちを向いて」
「ま、前はいいよ。自分でやるよ」脇腹の感触を思い出して、遠慮する。
「駄目よ、最後までちゃんとやらないと。ほら、こっち向きなさい」
 息子に肩をつかまれ、体の向きを変えるように命令される母親。珍妙な光景だった。美冬は羞恥に頬を赤く染めて、しぶしぶ弘之に向き直った。
「そう、大人しくじっとしててね」
 泡だったスポンジが美冬の体を優しく撫でていく。今度は下腹部の弱いところをこすられたり、腿の内側を触られたりして参ったが、やはり弘之は母の体を丹精を尽くして洗ってくれた。足の指の間まで、一つずつ綺麗に磨いてくれたほどだ。そうしてようやくシャワーの湯がかけられ、泡の中から再びみずみずしい肌が姿を見せた。
「ふう、これで全部終わりかな。それにしても、女の人ってホントに大変だね。こんなに丁寧にしなきゃいけないなんて」
「あら、まだ終わってないわよ。洗い残したところがあるの」
「ええ、まだなの? 一体、どこが残ってるのさ」
「ふふふ、それはね……ここよ」
 弘之はにっこり笑うと、椅子に座った母の体に正面から抱きついた。突然のことに美冬はバランスを崩して、椅子からずり落ちそうになってしまう。
「わあっ! な、何するのっ !?」
「何って、洗い残したところを綺麗にするんじゃない。ほら、じっとして」
 弘之が膝立ちで美冬に密着し、胸に顔を寄せてきた。まさか──と思う間もなく、総毛立つ彼女の乳首を、弘之がちゅうちゅう吸い始めた。
「ああっ、また……や、やだよ。おっぱい吸わないでぇ……」
「ふふ、女の人はこうやっておっぱいを洗うの。知らなかった? これからは覚えておいてね」
「や、やめてよ。そんなの嘘だよ。間違ってるよ……はあっ、ああっ」
 ふるふる首を振って嫌がる母の乳に吸いつく息子。弘之の顔立ちにはまだ幼さが残っていたが、それにしては吸い方が卑猥だった。わざとなのだろう、下品に音をたてて美冬の体をもてあそんでくる。またも始まった性的なスキンシップに、美冬は赤い顔で許しを乞うばかりだった。
「いやっ、やめてぇ。ボクのおっぱい、変になっちゃうよぉっ」
「うふふっ、ヒロちゃんたら感じてるの? おかしいわね、ヒロちゃんは男の子なのに」
 硬くしこった母の突起を、弘之は指でくにくにとつまんで笑った。その股間ではろくに毛も生えていない男性器がぴんと立ち上がっている。息子が自分の裸体に欲情しているのが、美冬には信じられなかった。
「ママ、お願いだからやめてよぉ。ボク、こんなのやだよ。おっぱい揉んじゃっ、ああっ、あんっ」
「色っぽい声を出すのね。いやらしいヒロちゃん……本当に女の人みたい。素敵よ」
 弘之の愛撫はどんどん激しくなり、それにつれて美冬の喘ぎ声も次第に大きく、劣情の色を帯びていく。
「こんなにお乳の先っちょ硬くしちゃって……ほら、コリコリしてるのわかる? ヒロちゃん、すごくエッチよ。でも仕方ないかな。だって、こんなに気持ちいいんだものね」
「あ、あぁっ。ママぁ、やめてよぉっ!」
 弘之は喘ぐ美冬を悦楽の表情で眺めた。母に対する愛情と女に対する男の欲情が入り混じった、淫靡で優しい笑顔だった。三日月状に歪んだ口から舌を伸ばし、じっとり汗ばむ美冬の首をなめ回す。
「見栄を張らないで、正直に気持ちいいって言いなさい。そうしたら、もっとよくなるわよ」
「や、やだやだぁっ! こんなのいやだぁっ!」
 いやだいやだと言いながら、美冬はろくに抵抗もできず、弘之の愛撫に体を火照らせていた。元は自分の体だからか、弘之は彼女の性感帯を知り尽くしているようだ。勃起した性器を美冬の脚に擦りつけながら、巧みに母を絶頂へと追い詰めていった。
「ひゃあっ !? ダメぇ、そんなとこに指入れないでぇっ!」
 悶える美冬の瞳には、自分の秘所に指を突っ込み、楽しそうに抜き差しする息子の姿が映っていた。男だったときは存在しなかった穴に異物を挿入されている。未知の感覚に美冬の喉が引きつり、荒い吐息が嬌声となって浴室に響き渡った。
「ヒロちゃん、女の人にはここに穴があるの。ここもきちんと洗わないといけないのよ。こういう風に」
 弘之の指が陰部の中でカギ状に曲がり、敏感な部分を引っかいた。たまらず仰け反り、あられもない悲鳴をあげる美冬。
「だからダメだってばぁっ! あっ、あああ──はああんっ」
「嫌がってるわりに、気持ちよさそうな声出しちゃって……ヒロちゃん、本当に可愛い。もっといじめたくなっちゃう」
 既に美冬の中は淫らな汁でぐしょぐしょだった。発情した女の肉体は本人の意思など関係なく、息子の指をきつく挟み込んで更なる快楽を貪欲に求めてくるのだ。弘之はにやにや笑いながら、自分が産まれてきた場所でひたすら指を前後させた。一本では足りない。二本、いや三本と、細い子供の指を触手のように蠢かせて美冬の胎内をかき回す。物足りない長さだが、テクニックは抜群だった。
「いやだぁっ、こんなのいやだ! ママ、やめてっ! ボク、おかしくなっちゃうよぉっ!」
 美冬の体がぶるぶる震え、だらしなく開いた口から喘ぎ声が止まらない。まだ自慰も知らない少年の心が、狂おしいほどに燃え盛る熟女の性感に耐えられるはずがなかった。ぼろぼろ涙をこぼしながら、ただ泣き喚いて体をくねらせるのみ。そんな美冬の姿がいっそう弘之の興奮を煽り、慈愛に満ちた母の心を野獣のものに塗りかえていく。
「いいわよ、おかしくなって。ママの体でイっちゃいなさい……それっ」
 とどめとばかりに女性器の突起を突つかれて、美冬の背筋が折れそうなほど反り返る。狭い浴室の壁に後頭部がこつんとぶつかった。
「はああっ、ああ──はああああんっ!」
 美冬の頭の中が真っ白になった。まるで焼けた金属の棒を脳髄に直接突っ込まれたようで、何もかもが吹っ飛んでしまう。凄まじい衝撃だった。美冬は入れ替わってしまったことさえ忘れて、完全に一匹の牝に成り下がっていた。
「うふふ……ヒロちゃん、イっちゃったわね。気持ちよかった?」
「ふあ……はぁ、ふあぁぁ……」
 後に残ったのは、甘くとろけた牝の吐息だけ。瞳もとろんとして焦点が合わず、弘之が思わずむしゃぶりつきたくなりそうな魅惑的な表情だった。元は自分の顔だというのに、股間の勃起が収まらない。弘之は薄ら笑いを浮かべて、かちかちになった自分の性器を母の体にじわじわ近づけていく。
「ヒロちゃんの気持ちよさそうな顔を見てたら、ママももう我慢できなくなっちゃった。いくわよ、ヒロちゃん。一緒に気持ちよくなろうね」
 未熟な男性器の皮が剥けて、サーモンピンクの亀頭が顔をのぞかせる。弘之はそのまま美冬にもたれかかり、剥けたばかりの肉の棒をゆっくりと陰部に挿入していった。くちゅくちゅと小さな音を立てて、母が息子を飲み込み始める。
「はあんっ……な、なに? ボク、どうなってるのぉっ」
 美冬の意識は朦朧としていて、最初は何が起こったのかもわからなかった。下を向いてようやく自分が弘之に犯されていることに気づき、驚愕と嫌悪で顔をくしゃくしゃにした。
「ダ、ダメぇっ、ママっ! いったい何を……んんっ、やだぁっ! ボクのチン○ンでそんなことしないでぇっ!」
「ああ、入ってるわ。ママのおチン○ンがヒロちゃんのおマ○コに入ってる。すごく気持ちいい……」
 恍惚の表情で弘之がつぶやく。貞淑な母親だった彼も、初めて味わう男の性交に感動しているようだった。はぁはぁと犬のような息を吐きながら、美冬の中を何度も前後した。そのたびに敏感な肉をこすられて腹が引きつり、電流でも流されているかのような刺激が繰り返される。一度絶頂を迎えた美冬の体は男との結合に狂喜するばかりで、全く抵抗できなかった。嫌がっているのは口先だけだ。
「やだぁ、ボクやだよ。はあんっ、ママ、抜いてよぉっ!」
「嫌なはずないでしょう。ほら、ヒロちゃんのおマ○コ、こんなに音を立てて……とっても気持ちいいでしょう? ママにはわかるのよ。だって自分の体だもの」
「やだ、やだぁ。チン○ンやだぁ……ううっ、ぐすっ」
 嗚咽を漏らす美冬の両腿を押さえて、リズミカルに腰を打ちつける弘之。小ぶりな陰茎が母の穴を出たり入ったりすることでますます硬くなり、彼を快感の虜に仕立て上げた。元の自分の肉体を犯す倒錯した状況と、母と子の歪んだ親子愛。この夢心地から逃れることは、もはや不可能だった。
「ああ、ヒロちゃん、こんなにべそかいて……もう、泣き虫さんね。でもね、ママはヒロちゃんにそんな風にめそめそされると、すっごくゾクゾクしちゃうの。どうしてかしらね、不思議だわ」
「ううっ、なんでボクがこんな……あんっ、やだよぉ。気持ちいいの、いやだよぉ」
「ふふふ、やっぱり気持ちいいんじゃない。ほら、もっとくっついて。奥まで入れるわよぉ」
「やああ──あひっ、あひぃっ! お願い、ぐりぐりしないでぇっ! 気持ちよくて怖いよぉっ!」
 とうとう口をついて出た「気持ちいい」の言葉。いくら嫌がったところで、ろくに夫に抱かれていない美冬の肉体が、久方ぶりのセックスに燃え上がらないわけがない。美冬は泣きながら息子の肩にしがみついて、「いやだ」と「気持ちいい」を交互に繰り返した。体の中心を突き刺される女性特有の快感に、無垢な少年の心はあえなく押し流されつつあった。
 自分の中をかきわけて入ってくる、細く硬い肉の棒。それはほんの昨日まで、美冬自身のものだった。入れ替わってしまうまでは、この男性器の所有者は彼女だったのだ。とはいえ、まだ幼い弘之にとって、それは排泄のための器官でしかなかった。時折理由もなく硬くなったり立ってしまったりするものの、小便以外の用途に使用するなど思いもしない。まして、このように女性の体の中に挿入してしまうなどと──本来の使い方を身をもって思い知らされ、美冬は牝の鳴き声をあげてよがり狂った。
「ママぁ、やめてぇっ。あふうっ、ううん……気持ちいいのやめてぇっ」
「ああっ、いいわ。私のおマ○コ、なんでこんなに気持ちいいのかしら……」
 母に負けじと、美冬が感嘆の声をあげた。普段は優しいはずの表情が、女を犯す征服欲に染め上げられて、ひどく醜く見える。まさに獣の顔だ。
「こんなに気持ちいいのに、あの人ったら仕事ばっかりで……はあ、もったいないわねぇ。子供だって、最初は二人は作ろうって言ってたのに……」
 美冬の夫は出張でここ何日か留守にしている。普段から多忙であまり家庭を顧みない夫に、美冬は不満を抱いていた。弘之もしょっちゅう寂しい思いをしたものだが、母と子では「寂しい」が意味する内容が随分と異なるようだ。深夜に母の寝室から小さな声が漏れてきたことがしばしばあった。まだ小学生の弘之には、母が何をしていたのかちっともわからなかったが、今ならそれが理解できそうだ。
「ああんっ、ママ。気持ちいい、気持ちいいよぉっ」
「気持ちいいのね、ヒロちゃん。ママも最高よ。ヒロちゃんのおマ○コがうねうねして、ママのおチン○ンをもぐもぐしてくるの。ママ、ヒロちゃんに食べられちゃいそう」
「や、やめて! ボク、変になっちゃう。おかしくなっちゃうよぉっ!」
 舌を出して喘ぐ美冬の表情を見て、弘之はラストスパートのつもりか、腰の動きをさらに早めた。肉がぱん、ぱんと音を立ててぶつかり、二人の興奮をますますかきたてる。
「あああっ! ダメっ、変になるぅっ! ボク、もうダメぇっ!」
「イキなさい、ヒロちゃん! ママも一緒にイってあげるわ! ヒロちゃんの中にたっぷり出してあげる!」
「いやあっ、ああああ──!」
 びくんと体が跳ねて、美冬の顎が上向いた。まだ初恋も経験していない少年が、自分になった母に犯されて女の絶頂を迎えるのだ。美冬になった弘之は娼婦のように淫らなうめきを発しながら、快感の頂へと一気にのぼりつめていった。
「はあっ、はああ……お腹の中、すごいよぉ。ママのチン○ンがビクンビクンって……」
「ふふっ、いっぱい出しちゃった。ちゃんと射精できるんじゃない、この体。気持ちよすぎる……ああっ、残らずヒロちゃんに搾り取られそう」
 弘之が美冬の体を抱きながら、軽く震えて残りの精液を噴射する。胎内に射精される生暖かい感触に、美冬は「んっ、んんっ」と声をあげて、小刻みに痙攣した。
「だ、出したって、何のこと? お、おしっこしたの?」
「あらあら、ヒロちゃん、まだ知らないのね。赤ちゃんがどうやってできるのか」
 萎えた男性器を美冬の膣から引き抜いた弘之だが、体はまだ離れようとしない。ぴんと立ち上がった母の乳首をちろちろ舐めながら、得意げに子作りの解説を始めた。それは美冬にとって衝撃の内容だった。
「え……それじゃあ、今のでボクのお腹の中に赤ちゃんできちゃったかもしれないってこと?」
「そうよ。今日はけっこう危ない日だったから、ひょっとしたら弟か妹ができちゃうかもね。やったねヒロちゃん。家族が増えるわよ」
「そ、そんなの困るよ。早く元に戻らないと、ボクが妊婦さんになっちゃうじゃない」
「別に困らないわよ。ママ、ヒロちゃんの体が気に入っちゃったんだもの。元に戻るつもりなんてないわ」
 弘之の言葉に、美冬は飛び上がった。
「そんなのいやだよ。ボク、男に戻りたい。ママ、ボクの体を返してよ!」
「戻る方法なんてあるの? ママはないと思うんだけど」
 にやにや笑って、美冬の乳房の谷間に顔をうずめる弘之。子供らしい輝きを残した瞳には、確固たる意志が見て取れた。
「それに、ヒロちゃんもあれだけ気持ちいいって言ってたじゃない。ママとのセックス、よかったでしょう?」
「あ、あんなのいやだ……もうやりたくない。怖いもん」美冬は青ざめた顔で、いやいやと首を振った。
「嘘ついちゃ駄目よ。ママ、ヒロちゃんのことなら何でもわかるんだから……うふふっ」
 弘之が再び腰を美冬の体に押しつけた。ついさっき射精したばかりの幼い男性器は再び硬く立ち上がって、目の前の熟れた女体に照準を合わせている。何を考えているか、一目瞭然だった。
「や、やめてっ。チン○ンをくっつけないでっ」
「ヒロちゃんの嫌がる顔を見てたら、また立ってきちゃった。せっかくだから、もう一回しようか。今度こそヒロちゃんを孕ませて、ママのお嫁さんにしてあげる」
「やだっ、もういやだぁっ! ママもチン○ンも大っ嫌いだぁっ!」
 美冬は大声をあげて逃れようとしたが、力の抜けた体がバランスを崩して椅子から落ちてしまう。強かに尻餅をついて、「いたっ!」と悲鳴をあげた口の中に、弘之のものが乱暴にねじ込まれた。
「ん、んぐうっ !?」
「ふふふ、今度はお口に食べさせてあげる。そのあとはまたアソコに──ああ、お尻もいいかもしれないわね。とにかく、ヒロちゃんの穴は全部私のものだから、そのつもりでよろしくね」
 目を白黒させる美冬に、弘之はうっとりした声音で告げた。あれほど優しかった母がすっかり獣の表情になって、元の自分の口内を犯しているのだ。美冬は絶望のうめきを漏らしながら、ひたすら息子に奉仕するしかなかった。

 ◇ ◇ ◇ 

 それから数ヶ月が経過した。
 美冬は表面上、以前と何も変わらない生活を送っている。一時的に家事を減らしていたものの、すぐにまた普段通りに掃除や洗濯をするようになって、一児の母として甲斐甲斐しく息子の弘之の面倒を見ていた。夫が多忙のあまり家に帰ってこないのは相変わらずだが、子供が可愛いためか、寂しそうな素振りは見せなかった。別に夫婦仲が悪いというわけでもないようで、その証拠に現在、待望の第二子を妊娠中である。大きな自分の腹を撫でてにっこり微笑む美冬の表情は実に幸せそうで、清らかな母性に溢れていた。
 一方、長男の弘之は本格的に思春期を迎えたようで、周囲に大人びた態度を見せることが多くなった。もうすぐ弟か妹が生まれるからかもしれない。以前のような子供っぽい仕草はめっきり少なくなって、優しく思いやりのある少年へと成長していた。学校の成績も急に上がり、レベルの高い私立中学を受験すると言って父や祖父母を喜ばせた。
 突如として優等生に変貌した弘之だが、甘えん坊なのは変わっていない。授業が終われば急いで家に帰り、晩方に父が帰宅するまで、ずっと母と二人きりで過ごすのが日課になっている。土日や休日も友達と出かけることは皆無で、美冬と買い物や映画に行ったりして親孝行に励んでいた。「マザコン」と馬鹿にされることもあったが、本人は全然気にしていない様子で、美冬をまるで恋人であるかのように大事に大事に扱っていた。
 誰の目にも仲のいい母と子ではあったが、周囲に秘密にしていることが二つだけある。そのどちらも、にわかにはとても信じがたい内容だった。片方は二人の中身が入れ替わっていること。そしてもう一つは、二人が肉体関係にあることである。

 父親が帰ってこないある晩のこと、弘之は美冬の寝室にいた。パジャマを羽織ってベッドに腰かけ、静かに座っている。だが、奇妙なことに、腰から下には何も身に着けておらず、やや小ぶりな男性器が丸出しだった。
 美冬はそんな弘之の前にひざまずいて、彼の股間に顔をうずめていた。半裸の弘之の股ぐらに顔を寄せて、年端もいかぬ少年のものを熱心にしゃぶっている。ぴちゃぴちゃと下品な音をたてながら、息子への奉仕に没頭しているのだ。誰が見ても異常な光景だった。
「ふふふ……上手よ、ヒロちゃん」
 美冬の髪を優しく撫でて、弘之が言った。美冬は満足そうに微笑む弘之を見上げ、もごもごさせながら口を開く。唾液と先走りの汁が舌に絡んで、親子の体を細い糸で繋いだ。
「ママ、気持ちいい?」
「ええ、とっても。ヒロちゃん、おしゃぶりがうまくなったわね」
 美冬は目の前の弘之よりもひどい格好で、完全に裸だった。一応、風呂上がりに下着とパジャマは身に着けたのだが、この二人きりの寝室の中では衣類など用をなさず、とっくに脱ぎ捨ててしまっている。腹部が膨れるまではさまざまな服装で息子の目を楽しませていた美冬だが、今の孕み腹ではそれも難しく、裸で行為に及ぶことがほとんどだった。もっとも弘之に言わせると、「ヒロちゃんのマタニティ姿もそそるわよ」とのことらしい。いろいろな意味で愛されているのがよくわかる発言だった。
 入れ替わってもう数ヶ月になるが、二人はいまだ元の体に戻っていない。その間、弘之は美冬として、美冬は弘之として生活して、それぞれ相手の立場にすっかり適応してしまっていた。どちらも、元に戻るつもりはない。
 美冬が元に戻ることを諦め、母として生きることにしたのは、ひとえに自分になった母にそう仕向けられたからである。意地悪く言えば、「男の性に目覚めた母に調教された」という表現も可能だった。弘之は女盛りの美冬の性欲と、慣れない女の体になった息子の好奇心につけこんで、彼女を実に数ヶ月に渡って陵辱し続け、自分専用の牝奴隷に仕立て上げたのである。
 当初は散々嫌がっていた美冬も、夫に構ってもらえず十年以上もたまっていた女の肉欲には抗えず、また自分を優しくリードしてくれる弘之にあれこれ吹き込まれたこともあって、二、三ヶ月もたつ頃には、自分から進んで彼に股を開くようになっていた。元々マザコンの気があったのかもしれない。風呂に入る前後に鏡を見ながら、「ボクって綺麗だなあ」と言って自慰にふけることもあった。そのうちに、どこからか弘之が調達してきたボンデージやメイドの衣装を嬉々として身に着けるようになって、もう元の体に戻ろうなどとは言わなくなった。あるとき弘之に自分が好きかと問われ、うぶな娘のように頬を赤く染めて、「いつかウエディングドレスを着て、ママのお嫁さんになりたい」とまで口にしたほどである。完全に洗脳されていた。
 美冬が弘之の子供を身ごもったのもこの頃だった。一応、形だけは夫婦なのだからと、一度だけ何も知らない夫に抱かれたことがあった。父親だった男とセックスするのは気が進まなかったが、弘之に「うまく誤魔化せば、大っぴらにママの赤ちゃんを産めるわよ」と唆されて、結局、しぶしぶ閨を共にした。妊娠したのはこのときだと夫には言ってあるが、もちろんそれは嘘で、本当は弘之が孕ませた子供だった。妊娠したことが判明したとき、美冬は幼児のように飛び上がって喜んだものである。
 息子だった母親に股間の一物をしゃぶらせつつ、幸せな物思いにふけっていた弘之だが、やがて母の顔を優しい瞳で見下ろして言った。
「ありがとう、もう充分よ。ご褒美に入れてあげるから、お尻をこっちに向けてちょうだい」
「うんっ」
 美冬はベッドに上がると、弘之に尻を突き出す格好で四つんばいになった。その真ん中ではびしょびしょに濡れた陰部が、息子のものを待ち焦がれてヒクヒク蠢いている。弘之はそんな母の体に馬乗りになり、かちかちに硬くなった男性器をゆっくりと突き込んでいった。
「はああっ、ママのおチン○ンが入ってくるぅ……」
 嬉しそうな悲鳴をあげて、美冬はベッドに顔をうずめた。愛する母が気持ち良さそうに喘いでいる姿を見ると、弘之も満たされる気分になってしまう。
「気持ちいい? ヒロちゃん。こんなにママのをくわえ込んで……ふふっ、いい子ね。本当にいい子」
 後背位で繋がったまま、美冬の腹に手を伸ばす弘之。もう安定期に入った母の腹部は誰が見てもわかるほど膨れ上がり、中に詰まった二人の幸福の大きさをよく表していた。
 さわさわと腹を撫でると、なんとなく中の赤子が返事をしてくれるような気がする。弘之の目が自然と細くなった。まだ弟なのか妹なのかは聞いていない。彼としては二人目は女の子がいいと思っているが、たとえ弟であっても、兄としてこの子を大事に育てるつもりでいる。自分と母の子なのだから、きっと可愛い赤子のはずだ。日々大きくなる期待を胸に、弘之は母の子宮を突つきまわした。
「ああっ、はあん……ママぁ、それいいっ。気持ちいいよぉっ」
「ふふふ、ヒロちゃんたら、本当にエッチなんだから。こんなに腰振っちゃって……ああ、でも、ママも気持ちいいわぁ。もうやめられない……」
 母になった息子ほどではないが、弘之も立派に男の快楽に目覚めている。最近では、学校でクラスメイトの女子や若い女教師の体を眺めて股間を硬くすることも多くなった。ほんの数ヶ月前には何とも思わなかったはずの同性の姿に、浅ましくも欲情してしまうのだ。そうして我慢させられた鬱憤を家に持ち帰って、美冬の体に叩きつけるのがいつものパターンだった。ちょうど今のように。
「マ、ママぁっ。ボク、イっちゃうよぉ。お腹がキューってなって、赤ちゃん産まれちゃうよぉっ」
「大丈夫よ、予定日はまだまだ先だわ。心配しなくていいから、思いっきりイっちゃいなさい」
「ああっ、ママぁっ。イ、イっちゃう。い、いいっ、イクのぉっ」
 犬のような親子の交わりは、今日もなかなか終わりそうにない。自分に抱かれて淫らに腰を振る妊婦の背中を眺めながら、母親だった少年は邪な笑顔でつぶやいた。
「ふふっ、ヒロちゃん大好き。立場は逆になっちゃったけど、これからもずっとずっと、ママが可愛がってあげるからね……」


(完)





 (※以前、支援図書館に投稿したSSですが、今回のお祭りにあたって加筆修正しました。お誘い下さったよしおか様とお祭り主催者のtoshi9様に、この場を借りてお礼を申し上げます)

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