「XY Change」
作:嵐山GO


 オレの名前は飯島幸一、19歳になるが、どこにでもいるような
普通の大学生だ。
 現在は両親と妹と4人で暮らしている。やはり、どこにでもある
平凡な家庭だ。
 両親は共働きをし、妹は中学2年生。家族全員、特に秀でた
才能も無し、自慢できるものも何も無い。
 ま、どこの家庭も似たようなものだとは思うが…
 毎日、同じように日が昇り、そして日が沈む。家族は、
この似たような風景を一年中繰り返し見ている…。 

 オレ自身も特に親友と呼べるような友も今はいない、高校生の
時は遊び仲間も多かったが卒業して進路が別々になってからは
全く連絡も取り合っていない。
 春が終わる頃には大学で付き合う女も現れたが、「面白みが無い」
と言われあっという間にフラれた。
 そんなわけで今は特にやることも予定も無く夏休みに突入した。

「じっとしていても仕方ないし、簡単なバイトでもやるか…」
 コンビニに置いてある無料のバイト情報誌を手に取り、歩きながら
ペラペラと頁を捲った。
「サービス業は向いてないし、力仕事は出来ないし…デスクワークは
かったりーし…」
 改めて自分の無力さを痛感する。

 しばらく歩いてからオレは一つの募集に目が止まり、立ち止まった。
 そこには、こう書かれている…
『成人男性一名急募。業種:製品体験レポートの提出。期間は一ヶ月…』
 要は試作品の機械を自宅に持ち帰り、その機械を一ヶ月使用して
体験結果を後日、レポートによって提出するというものだった。
「これは簡単そうだなー。文章の作成だったら得意分野だし、何といっても
自宅で出来るってのが魅力的だよな…」
 オレは独り言をいいながらポケットから携帯電話を取り出し、募集元の
番号を押した。
「あ、すいません。募集広告を見たんですけど」

 電話に出た男性は今日、時間が空いているならスグに来いと言う。
 オレは二言返事で携帯を切ると、教えられた住所へ向った。
「まだ誰も応募していなかったのかな?ラッキーだったな」
 肝心の機械の詳細を聞くのを忘れてしまったが、それは向こうに着いて
からでいいだろう…もし、ヤバそうな機械だったらその時、断ればいいさ。


 電車とバスを乗り継ぎ、2時間ほどかけた所にそこはあった。
「重松研究所…あ、ここだ」
 そこは研究所というにはあまりにかけ離れていた。
街からは少し離れた所に洋風の建物がある。
 研究所などと言われなければ、ただの一軒家だ。
 インタホンを押し、名を名乗ると玄関の扉が開き中に通された。

「いやー、良く来てくれたね。助かったよ。何故か、この仕事をやって
くれる者が誰もいなくてね」
 初老といった感じだが、もしかしたら見た目よりももう少し若いかも
しれない。
 まずリビングに通されソファに座ると、冷えた飲み物を出された。
「仕事の内容に入る前に聞いておきたいんだが君は年はいくつ?
家族構成は?それと身長、体重、あと持病とか過去にかかった
大きな病気があったら教えてくれるかな?あとは…」
「ちょっと待ってください。そんなに一度に沢山は覚えられません」
 オレは所長だと名乗る男の言葉を遮って、まずは一つ答えた。
「オレ…あー、私は19歳です。年内には誕生日が来ますので20歳には
なります。よろしいでしょうか?」
「あ?ああ、いいよ。未成年者は保護者の同意書が必要なんだが…
ま、大丈夫じゃろ」

 その後も幾つかの身辺データについて答えた。時折、所長は手帳に
メモを取り確認したりもした。
「ふむふむ、まぁ、合格じゃな。では仕事内容と機械の取り扱いについて
説明しようか」
 所長は立ち上がり、付いて来る様にと促した。
「あ、あのヤバイ…いや、あの変な機械とかじゃないですよね?」
 強制的にやらされる前に一番、心配になっている点について聞いた。
「他人がどう思うかは知らんが、わしは変な機械だとは思っとらんよ。
副作用なんぞも無いし、
使用方法を間違えなければ他人に迷惑を掛ける事もない楽な仕事じゃ」
「そうですか、それを聞いて安心しました」

///////////////////////


 所長の後から付いていくと、何やら見た事もないような機械が立ち並ぶ
大部屋に通された。
 ざっと見ただけでも、この部屋の電力は100アンペアは軽く必要と
しそうだ。
「すごい機械が沢山、並んでいますね」
 所長は、その質問には答えず金庫のような扉を開けると、中から
アルミ製の箱を取り出した。

 「さ、これじゃ。まだ正式な名前は付いておらんが、簡単にいえば
『人体記憶交換装置』じゃな」
「記憶交換ですか?それって、やっぱりヤバくないですか?」
「心配いらん。計算上では完璧じゃ」
「計算上?人体テストはしてないんですか?」
「何を言っておる。それを君に任せるんじゃないか」
「あ、オレ。ちょっと用事を思い出しました。今日はこの辺で帰りま…」
「お、おい!頼むよ、君!君しかおらんのだ。皆、話をすると断って
しまうでな。お願いじゃよ」
 
 所長はオレの両手を取って、深々と頭を下げた。
「タイマーが付いておるから時間設定しておけば、短時間でもすぐに元に
戻れる」
「でも、それさえも試した訳じゃないんですよね?」
 所長は大きな溜息をつくと言った。
「君は今の人生が楽しいかね?毎日が物足りないとか、刺激が欲しいとか
思った事はないかね?」
「いや、まぁそれはありますけど、オレも命は惜しいですし…」
「誓って言う。命がどうとかいう事は絶対にない。それは、わしが
保障する」
 その後もこの初老の男は、機械の安全性と刺激的な日々への素晴らしさ
を唱え続けた。
 もともと押しに弱く、頼まれると嫌と言えないオレは流されるままに
承諾してしまった。

 「では機械の説明をするぞ。詳しいことは後でマニュアルを渡すから
読んどいてくれ」
「はぁ…」
「まず、この『人体記憶交換機』は誰とでも何とでも使用できる訳じゃない。
いや、もしかしたら人間なら誰とでも出来るかもしれないが、
その辺は危険性が高い」
「やっぱり危ないんじゃないですか!」

「いや、わしの言っておるのは不可能かもしれないという点じゃ。
君には家族がおるじゃろ?家族には、当然じゃが限りなく君に近いDNAが
組み込まれておる。結論から言えば成功する
可能性が最も高いのが家族なんじゃ。例えば、そうじゃな双子の兄弟が
おれば、その成功率が10とすると、それ以外の兄弟姉妹が8〜9、両親が
6〜7、従兄弟が3といった具合じゃ」
「よく分からないんですが…」

「もっと簡単にいえば献血や臓器提供みたいなもんじゃ。身内ほど相互交換
が上手くいくという訳じゃよ」
「つまり虫やペットの動物では駄目ってことですね?」
「君の言いたい事は分かる。おそらく鳥にでもなって大空を飛びたいとか
思っとるんじゃろ?」
「まぁ、そんなところです」

「この機械を作動させるためには相手の皮膚、髪の毛、体液など何か一部が
必要じゃ。当然、君のものもな。それを機械が瞬時に分析しデータを
作成するというわけじゃ。だから犬や鳥など、人とは全く違う遺伝子
形成されたものには機械は反応しないのだ」


 自信ありげに話す姿は先程、懸命に懇願する姿とは別人のようだった。
「…という事は必要なものを揃えて起動させれば、身体が入れ替わる、
そう考えればいいんですね?」
 オレは所長の長い解説と自慢話を要約して尋ねた。
「そういうことじゃ。な?面白そうじゃろ?」
「確かに身の危険がないのなら面白そうではありますが…」

「何度も言うが危険はない。しいて言うなら入れ替わった相手も、
自分の意思を持って君の身体を自由に動かせるという事じゃ。
相手が寝ている時に使用した
なら話しは別じゃがな」
(なるほど、確かに面白いかもしれない。一番確立が高いのは
オレの場合、妹みたいだけど、協力してくれるかだろうか?
駄目なら、あとは両親かー…」
 
 オレは受けてしまったからには、なんとか前向きに善処してみようと
思考を重ねた…。


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 その後も一時間くらいかけて所長の説明を聞いた。
この間、誰もこの家にいる気配を感じなかったから、もしかしたら所長は
独身なのかもしれない。
(マッドサイエンティストって大抵,独りもんだよな…だから結局、他人に
頼むしかないのか…)
 機械を受け取り、お互いの連絡先を交換し、レポートの提出日を決めて
研究所を出た。
(人間なら誰とでも入れ替われたら、もっと面白いのにな…いやまてよ、
不可能ではないって言ってたっけ…?)
 家に帰り着くまでの間、家族と入れ替わったら何をしてみたいか考えて
みたが、特にこれといった目的は思い浮かばなかった。
 むしろ承諾なしでやってバレた時の方が怖い。


「ただいまー」
 玄関を開けたが何の返答もない。だが妹のスニーカーが脱ぎ捨てて
あるから、いるのは間違いない。
 両親は昨日から旅行に行っている、たぶん一週間かそこら帰ってはこない。
「理沙ーっ、いないのかー?」
 返事がないがリビングのドアを開けて、その意味を理解した。
「なんだ、またゲームやってんのかよ」
 妹の理沙は一度ゲームを始めると、周りがまったく見えなくなってしまう。
以前にも大声で何回も呼んだが返答はなかった。
 今、遊んでいるのはRPGだが、どこでもセーブ出来るわけではないので、
そのハマリ方は今まで以上だ。
 おそらく今も両親が居ないのを、いいことに没頭しているのだろう。

 オレはソファーに座っている妹の隣に腰を下ろす。
 それでもまだ気付かないのか、視線はブラウン管に釘付けだ。
「おいっ」
 オレは妹の頭を小突いた。
「あ?痛ーい!何、お兄ちゃん。何か用?用が無いんなら邪魔しないで。
今、すっごくイイ所なんだから」
 一瞬だけ、こちらを見たものの、すぐにゲームに興じ始めた。
こんな時はホントに何を言っても無駄である。
 おそらく2〜30分は現実世界へは戻ってはこないだろう。
 
 そんな事を考えていたら、一つの思いが脳裏をよぎった。
(今、交換機を作動させたらどうなるんだろう…?)
 小脇に大切に挟んだ箱をゆっくりと傍らに下ろし、中から本体を
取り出した。
(この二つのポケットに、オレと理沙の髪の毛を別々に入れるだけで
いいんだったよな…?)
 自分の髪を一本引き抜き、次に妹の肩に落ちている髪を一本拾って入れた。
 
 小蓋を閉めスイッチを入れる。
 すでに充電されているので、いつでも起動できる状態だ。
 本体からリード線のようなものが2本伸びていて、その先には自分と
相手に触れさせる為のパッチのようなものまである。
 片方は自分で握った。もう片方は足元まで伸ばし理沙に踏ませるように
床に垂らす。

 しかし見ていても、なかなか踏みそうにないのでオレは左足でスライドさせ
ながら、理沙の足下に潜り込ませた。
(これでいい筈なんだけど…)
 教えられた事を何度も頭の中で確認し、オレは上体をやや後ろへ反り気味に
して身を隠した。
 理沙の視界から完全に外れた所で、『交換スイッチ』を押す。

 何の音もしない…痺れる様な感覚もない…何か身体に起きたという感触も
ない。
と、思ったが改めて見ればジャージ姿の妹の髪が異常に短い、肩幅も妙に
広くなっているではないか!
 そっと横顔を見てみる。やはりオレの顔になっている。急いで自分の
身体を確認した。
 いつでも元に戻れるようにと、握ったままの機械を持つ手が一回りは小さく
なっている。
 Gパンもシャツもブカブカで、まるでキングサイズでも着込んでいるようだ。
(本当に入れ替わっているんだ!?これはスゴイな)

「こほんっ」
 軽く咳払いをしてみた。声もちゃんと理沙のものになっていた。
 胸は?と思い、もう片方の手で確認してみたが、もともと理沙は胸が
小さいので感動できるほどの感触はなかった。
 理沙はといえば自分が男になったとは気付かず、画面の中の敵と戦い
続けている。
 機械をそっと置き、両手で身体の至るところに触れてみた。長い髪、
細いウェスト、つるんとした小振りの尻、そしてこれまた細い足…。

(顔が見れないのがちょっと残念だけど、まーいいか。ちょっと歩いて
みたいけど、それもさすがにヤバイよな)
 数分間、身体の隅々まで触れてはその感触を楽しんだ。
(今は、この辺でやめておくか)
 
 オレは再び機械を手にし解除スイッチを入れた。
元に戻る時はボタン一つだけなので楽だ。
 機械を箱に戻し、オレは自分の部屋に戻った。機械はともかく、
説明書は読まれるとまずいので早々に引き出しの一番奥に隠すことに
した。
(初日から実験は成功だ。さて、このオモチャを使ってどんな楽しい
コトをしようか…)
 再びリビングに向いながら、早くも期待で胸が膨らんできた。



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「お兄ちゃん、今日はどこに行ってたの?」
 理沙が作った夕食を食べながら、オレたちは雑談に入った。
「え?あー、うん。ちょっとな。バイト探しだよ」
「そうなんだ。今日さー、美保子ちゃんが遊びに来たんだよ」
「美保子ちゃん?あー、前にも来たっけ。可愛い子だよな」
「そう?ホントにそう思ってる?だったら美保子ちゃん、喜ぶよー。
お兄ちゃんのことカッコイイって言ってたもん」

「嘘だろ?」
「嘘じゃないよ。今日も会えると思って楽しみにしてたみたいだった
よー」
「そっかぁ、それは残念だったな。今度、一緒にお茶でも飲もうって
言っといてくれよ」
「うん。わかったよ」
 オレは美保子という子の顔を思い出しながら、悪戯を考えた。

(美保子ちゃんか…理沙もそうだが、二人ともまだ幼いから『可愛い』と
いう形容詞以外、付けようがないないんだよな。まぁ、美保子ちゃんは、
あと2,3年もすれば結構イイ女になるかもな。でもまだ今は『女』って
感じじゃぁ無いよなー) 
 前に見た美保子ちゃんの外見を思い出しながら、率直な意見を述べる。
(でも、せっかくオレのこと気に入ってるみたいだから、あの機械を
使って何か遊べないだろうか?)
 
 食事を終え箸を置くと、しばらくして理沙が後片付けを始めた。
(理沙の身体を使ってオレのことを色々と聞き出すか…それとも
女同士であることを利用して身体中触りまくろうか…)
「ほらー、お兄ちゃん、もう食べないんならテーブル拭くから
ソファに移ってよ」
「あ?ああ。ゴメン。自分の部屋に戻るよ」
 結局、大した目的も見出せないままリビングを後にした。

(さて、もう一度マニュアルでも読んでおくかな)
 隠しておいたマニュアルを出し、傍らに置いて『人体精神交換機』を
箱から取り出した。
「んん?この黄色のスイッチは何だ?今日の説明にはなかったような」
 マニュアルの頁を捲り、図柄を確かめながら説明文を探した。
「あ、これだ。なに…なに…「スリープスイッチ」?「タイマー」
とは違うのかな?」

 簡単にいえば、そのスイッチを入れることにによって、相手の
睡眠状態を継続維持させるものだった。
「条件としては起動時に相手が睡眠状態にあること…か。つまり
眠っている人間と入れ替わった場合、後はこのスイッチを切らない
限りは相手は目を覚まさないってことか。これは使えるな」
 無性に試したくなる機能の数々を、オレは子供のように
ワクワクしながら触れていた。

「理沙には悪いが、今晩もう一度身体を借りて試させてもらうか…」

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 時計に針は11時を回っている。理沙はとっくに眠っているだろう。
 オレは念のため、忍び足で部屋を出て妹の部屋のドアに、
耳を押し当ててみた。
(よし大丈夫だ…寝てるな。やるなら今がチャンスだ)
 さらにドアを少し開けて暗がりを確認した後、その場を離れた。
(先程のデータが残っているから、もうパッチは当てなくていいん
だったな。
ま、これもテストの内だからな。駄目なら駄目で何とかなるさ)

 躊躇しながらもオレは機動スイッチを入れ、続いて精神交換スイッチも
オンにした。
 先程と同様、何一つ微動な感触を受けることもなく身体はすんなりと
入れ替わった。
(オーケー、オーケー。このテストも成功だ)
 オレは壁に掛けられた少し大きめの鏡の前で、入れ替わった自分の
姿を映す。
(どうも、しっくりこないな…パンツ一枚になるか)
 パジャマを脱いでベッドの上に放り、トランクスだけで、もう一度
鏡の前に立った。
(なんか似合わないっていうか、無様な格好だな。女の子でもショートパンツ
を穿いてる子、いるんだけどな…柄が悪いのか?)
 全体的な仕様を無視して柄のみを気にするのは、やはり心は男のまま
だからだろう。

 たとえ妹の身体とはいえ女の裸体をこんなに間近に見ているのに、まったく
厭らしい気分にはなれなかった。
(この胸じゃあなー…)
 両手で両方の胸に手を当ててみた。掌はかろうじてカーブを描き覆い被さった。
(少し揉んでみるか?)
 両手に少し力を加えて、やわやわと揉んでみる。
(んー、気持ちいいけど…なんだろ。肩とかを揉まれているのと、
さほど変わらないな)
(もうちょっとエッチな事でも想像しながら、気を入れてやってみよう)

 気を取り直し、自分がオナニーする時を思い出しながら、もう一度胸を
愛撫してみる。
 5本の指を使って、それぞれがレールを引くように肌の上を滑らせる。
 透き通るような白い肌に健康的なピンク色の、それでいて赤ん坊の小指程に
隆起した乳首がちょこんと乗った乳房に触れる。
(お、乳首が少し硬くなってきたぞ。さて感度の方はどうかな)
 左右の乳房を交互に揉み、もう一方の手で乳首を摘んだ。
「んんっ…」
 少女の幼さを残した、その小さな喘ぎは大人の女へと登っていく、
おそらくは感情を表に出した最初の一声だろう。
 こころなしか挟まれた乳首が、さらに硬さを増していく。
 指が這い回るごとにビリビリと電気のようなものが走り、
未発達の蒼い乳房はほのかに淡い色を添えた。

 太股を擦り合わせるように立ったまま行為に耽(ふけ)っていたが、
やがて耐えられなくなりベッドへと移動した。
 その際、穿いていたトランクスも脱ぎ捨てた。

 ベッドの上で最初に指が目指したのは、まだ産毛のようなものしか
生えていない陰部だった。
 あまりに薄い若草のため、指は容易に亀裂を探り当てた。
(ここなんだよな。でもどうやったら気持ちよくなれるんだろう?)
 女性経験はあるものの、女が自分で快感へと導く方法など知る由も無い。
 柔らかな亀裂に沿って下部へ向うと、程なく蜜の染み出た場所を
見つけた。
 亀裂に指をぴったりと合わせて擦ってみる。
「あ、あ、あ…んっー!」
(おお、いいぞ。この声…本当に理沙が喘いでいるみたいだな)
 入れ替わったのだから当然といえば当然だが、妹の喘ぐ声や姿など
想像したことすら無かったので驚いた。 
 それでも、オレは身も心も少女に徹してみようと、可愛く呻いて
唇をクッと噛む。
 
 じゅんと音がして蜜が溢れてくるのが分かる。
 亀裂の内側には多量の蜜を溜め、今にも溢れ出しそうだ。
 二本の指を使ってゆっくりと亀裂を広げ、中指で蜜を掬(すく)い
出してやる。
「ああっ…あ…んん!」
 左手で声を漏らさぬように口を押さえた。
(こ、こいつは…マジで気持ちイイ…かも…)


//////////////////////////

 極度な興奮が続く。身体が火照ってきたのも分かる。
 一呼吸おいて、次に最も感じるであろう部分に指を滑らす。
(これが、たしかクリトリスっていうんだよな…触っても大丈夫かな…)
 薄明かりの中、指は何度も躊躇しながらもついに、その大切な部分に
触れた。
 それはまるで、月明かりの中で海岸に光る、お目当ての真珠を
見つけたような喜びだ。
 
 五感機能を全て右手に集中させた。
(いい感じ…気持ちいい。ちょっと擦ってみようか)
「はうっ!なんだよ、これ?エロすぎ」
 体中に強い電気が走った。
 どうやら想像以上の感度に、身体の方が驚いてしまったようだ。
(たぶん初めて触れられたんだろうな。身体に受け入れ態勢が出来て
ないんだ)
(理沙…今日はお兄ちゃんがたっぷりと時間を掛けて、この身体に教え
込んであげるからな。待ってろ)
 
 二枚のヒダが小刻みに震える。直接、舐めることが出来ないので指に
唾液を付けて、再び擦り上げた。今度は優しく、ゆっくりと…。
「あぅ、ん、んんー…イイ」
 真珠を挟んだ二枚のヒダがぐっしょりと濡れた。
 下腹部から快感がせり上がってくるのに合わせて、指のスピードを
上げてゆく。
「あ、あ、来た。何か来る…あぅう、イク…のかな?これが…
そうなのか?あ、イクぞ!イキそう!あうっ!」

「すごい…男とは全然イキ方が違うんだな。男はチOポだけで
感じるのに対して、女は身体全体でイクんだ…」
 つい声に出して感想を述べてしまった。
 本で『女の感度は男の60倍』と書いてあったのを思い出す。
その時は一体、誰が比べたんだと思ったが実際、自分が体験してみて
納得がいった。
 見るとシーツに少し染みが出来ていた。
「構うもんか…こんなに気持ちいいんだ。今日は思いっきり楽しんで
やる」

(理沙、悪いけど…処女を貰うよ)
 『貰う』という表現が果たして正しいかどうかはともかく、
次なる目標は挿入だった。
(入り口を擦っただけで、あんなに感じるんだから入れたら、きっと
もっとスゴイんだろうなー)
「うん、いいよ。入れて」理沙になりきって小声で言うと左手で
ヒダを開き、
右手の中指を膣口に当てる。

 時間をかけ第一間接まで入れたところで、薄い壁のようなものに
進入を拒まれた。
(ここに処女膜あるんだ…理沙、悪いな。ゴメン)
 ぶつっという感触が体内を伝わってから、慌ててティッシュを数枚引き
抜いた。
 案の定、指を抜くと愛液に混じって赤いものが確認出来た。

  血は長くは出なかった。額の汗を拭って、再び指を挿入した。
「あー、でも…いい感じだ」
 小刻みに出し入れをし時折、クリトリスへ愛撫することも
忘れなかった。
 幼い蜜壷が指に慣れてくると、今度は折り曲げるようにして内部を
まさぐる。
(ぶつぶつが無数にある…こんなに若いうちから男を喜ばせるものが、
もう付いているんだ…すごいなー)
 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ…
 内部の肉は熱くドロドロに溶けて、挿入した指にからみ付いて
卑猥な音を出し続けている。
「くはっ!、す…すげえー気持ちイイ。やっぱりさっきより…
ずっとイイぞ」 
 
 ぐちゅ、ぐちゅ…
「はう!くぅ。ま、まいったな…理沙のやつ、いつまでも子供だと
思っていたけど、いつの間にか身体は『女』になってやがる」
 各指を器用に動かし、クリトリス、ヒダ、内壁への刺激を続ける。
「こ、こんなの…男では絶対、得られない感覚だ。ならばいっその事、
ここは理沙に成り切ってヤルか…」
 くちゅ、くちゅー、ぬるーり
「はぅん!やん…ソコ、感じすぎちゃう」
 再び喋り方を変えてみる。興奮の度合いは、一層拍車をかけた。
「あー、だめぇ。それ以上されたら…ああ、ダメ。イクよ!
またイッちゃうから!」

 ぐちょ、ぐちょ、ずり、ずり
 指のスピードが更に増す。
「あぁ…理沙、初めてなのに…こんなに感じちゃって。でも、
でもやめられないの。止まらないのー。もうイキたい!」
 くちゅ、くちゅ、ずりり
「はうーっ!!駄目ぇーー!イクーー!理沙、イッちゃうーーっ!!
くぅん!」
 汗が噴き出た。一瞬、意識が無くなった気がした。不思議な浮揚感も
あった。
「ふぅー、女の快感てこんなにスゴイんだ。ホント、これは病み付きに
なりそう」
 その後もオレは身も心も隅々まで女になって、その官能をむさぼり
続けた。

(ふぁーー…キリがないな。女の性欲は男と違って終わりがないのかよ)
 心身ともに疲労の限界がきたところで、ついにそのまさぐる手を止めた。
 時計を見ると、もう2時を回っている。目覚ましをセットしオレは眠りに
ついた。




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