同窓会

 高校を卒業してすぐに引っ越してしまったため、この街に来るのも10数年ぶりだった。
 たまたま、この街の近くへの出張と同窓会が重なったので、それではと思いやって来たのだ。
 電車から降り辺りを見回す。街は以前より随分とにぎやかになっているが、そこここに昔の面影が残っていた。予定時間を大幅に遅れてしまったため、感慨に耽るのもそこそこに会場に向かった。
 ドアを開けると皆が迎えてくれた。
 それなりに年を取り、昔の面影を追うのも難しい。特に、化粧をした女の子達は見当がつかない。
「嶋田です。覚えてます?」
 女の子が声を掛けてきた。
「あ、あぁ…」
 覚えていないと素直に言えず、僕は生返事をするだけだった。
 何が気に入ったか、彼女はそれからずっと僕の隣にいた。
 いつもとは違う雰囲気に、大分酒が進んでいた。
 記憶が所々途切れている。
 2次会・3次会と流れていった。
 気が付くと、僕はベッドの上にいた。
「ううん・」
 耳元で艶かしいオンナの喘ぎ声がする。
 僕の腕の中には嶋田さんがいた。
 二人とも全裸である。
 僕は彼女の中にいた。
 彼女が僕自身を包み込んでいる。
 腰を前後させると彼女が身悶える。
 僕はそのまま達していった。
「今度は交替ね。」
 ドリンク剤を飲んで一息入れた時、彼女が言った。
「えっ?」
「今度は、あたしを上にしてって言うことヨ。」
「し、嶋田さん?」
「他人行儀ね。名前で呼んで欲しいわね。ターク・」
 僕は久し振りにタークという愛称を聞いた。
 だが、この愛称を使っていた友達は数人しかいなかった筈だ。
「ねぇ、まだ判らない?あたし、祐二だよ。嶋田祐二。思い出した?」
 そうだ、彼が僕の事をタークと呼んでいた。
(彼?)
 僕は嶋田さんの方に振り向いた。
「交替だと言ったろう?」
 彼女の肉体が映画の特殊撮影のように変化してゆく。
 声も変わっていた。
 その股間にそそり勃つソレを見た途端、
 ジュッ
 僕の股間が熱くなった。
「ユウ?」
「そうだ、ターク。俺だよ。」
 彼がベッドに座っていた僕の上に伸し掛かってきた。
「いやっ!!」
 僕は女の子のように腕で胸を押さえ、叫んでいた。
(女の子?)
 僕の腕は胸の肉塊を感じていた。
 その腕は白く、細かった。
 その肉塊は紛れもなく乳房である。
 僕は女の子になっていた。
「さあ、今度は俺の番だ。」
 女の子の筋力では男には敵わない。
 僕はベッドの上に押し倒された。
「いやよいやよと言ってはいるが、ココはもう準備が出来てるぞ。」
 彼の指が僕の股間を撫であげた。
「ヒャッ!!」
 一瞬、気が削がれた。
 彼の腕が僕の脚を抱える。
 股間のモノを押し当てると、一気に押し入ってきた。
「あん・」
 僕の喉が声を上げる。
 男としてのアイデンティティが全てを拒絶しようとするが、 肉体がどんどん快感を受け入れてしまう。
「あん・あん・」
 彼が腰を振る度の男のアイデンティティが削り取られてゆくようだ。
「あ〜〜〜〜〜〜っ・」
 僕は心身ともにオンナとなった。
 幾度となく絶頂に達する。
 彼の腕の中で淫らに悶えては、彼のモノをねだっていた。
 
 再び一息入れた時、祐二が聞いた。
「交替する?」
「嫌よ。」
 僕は即座にそう答えていた。
 祐二は手にしたドリンク剤をサイドテーブルに置くと、再び僕の上に伸し掛かってきた。

−了−

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