「約束」
 作:みのむー


 田舎に十年ぶりに帰る私は、バスに揺られながら、昔のことを久しぶりに、思い出していた。

……

 ある日、幼なじみのアキちゃんと、箱形ブランコで遊んでいたら、
「ねぇ、ゆうくーん。私の事好き?」
「うん。好きー」
「私が遠くに行っても、ゆうくん忘れないでね」
「アキちゃんの事は忘れないよ」
「じゃあ、約束」
「うん。約束」
と、立ち上がって手を繋いだ途端に、ブランコが揺れて、アキちゃんと頭をぶつけてしまった。
「「いたっ」」
2人同時に頭を振りながら、そう言うと、相手の顔を見て、
「あれ、何で私が目の前にいるの?」
「僕が目の前で喋ってるよ。じゃあこの僕は?」
「「もしかして、入れ替わった〜!?」」


……

 あれから十年か。あの後すぐにアキちゃんちが、引っ越しだったから、僕がアキちゃんとして、そのまま行ったんだよなー。

 僕になったアキちゃんは、元気にしてるだろうか……
 おっと、僕って久しぶりに出たな〜。
 アキちゃんになって長いから、私が自然になってたのに。
 考え事をしていたら、着いたようだ。
「うわー。変わらないなー」
とバスから降りて辺りを見渡して、十年前とあまり変わらない風景に感動してると
「やっほー。ゆうくん」
と、男の声がした。
「えっ、アキちゃん?」
振り向くと、かっこよく成長した自分の姿が。
「うん。へぇー。私も可愛くなったもんだなー。
 ゆうくん、ありがとう。私の体を大事にしてくれて」
と言う、僕の姿をしたアキちゃんを見てると恥ずかしくなってきた。
「「ねぇ」」
二人がハモった。
「アキちゃんから、どうぞ」
「ゆうくんから、先に」
「じゃあ、せーので、言おうか」
「せーの」
「「結婚しよう」」

……
 それから、私たちは結婚しました。
 元に戻ることはなかったけど幸せです。


おわり




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