鈴女(3)

 

鈴女が、男の着物を脱がすと、男の巨大なマラが顔を現した。

それは今まで相手をしてきた数百人の男達の誰よりも大きなものだった。

あまりの大きさに一瞬怖気づくが、そのそぶりを隠して、鈴女は、男の股間に顔を近づけた。

鈴女は男の特大のものを、白く細い指で撫で始めた。男のあそこが大きくなってくると、それを口にくわえ、今度は、上目遣いに男の顔を見ながら、歯と舌を器用に使って、しごいていく。

はじめは、マラをしごかせるままにしていた男も、鈴女を押し倒して、その無骨な指で、鈴女の乳首を軽くしごきはじめる。鈴女が声をあげると、男は、鈴女の胸をもみはじめた。男の不器用な、力強い指使いでもまれることで、鈴女は自分の秘所が濡れていくのを感じた。

男も、手で、鈴女が十分に濡れている事を確かめると、自分の股間を、鈴女の股間へと近づけていく。鈴女は、男にされるがままに、身体から力を抜いた。

そして、男は、巨大なマラを鈴女に挿入した。

と、その瞬間である。

男はそのままの姿勢で、突如、意識を失い、身体をぐらりと揺らして女郎の上に倒れ込んだ。女郎も一緒に気を失う。



だが、次の瞬間男は目を開けた。

男が視線を下に向けると、そこには意識を失った裸の女郎が倒れている。

「これが、男の感じなんだねぇ」

男は笑みを浮かべ、挿入されたままのマラを激しく動かしはじめた。

その衝撃により、女郎が目を覚ます。

目を覚ました女郎は、大きく目を見開いた。

「なっ、なぜ、わしが・・・」

女郎は高い声で、叫ぼうとしたが、男に激しく突かれて、声は、あえぎ声に替わってしまう。

男は、女郎を見下ろし、女郎の体を突き続ける。

女郎は、その体勢から、なんとか逃げ出そうともがくが、男は、たくましい腕で、女郎の肩を押さえつけた。

「へえ、アタシの肩はこんなに細かったんだねぇ」

「やっ、やめ・・・」

懇願するような悲鳴を出しながら、女郎は首を振る。

その仕草が、逆に男を欲情させた。男は、はじめて味わう強者の快感に酔っていた。

四半時ほど、男は自分の欲望に任せて、女を突いているうちに不思議な感覚に襲われた。

『徳川吉宗』という名前が、突如、男の頭に浮かんだのである。

男が女を突きつづけると、それが、この男の名前であることが分かった。想像していた通り、この男こそ、八代将軍吉宗だったのだ。

さらに続けると、この男が住んでいる場所が江戸城である事がわかり、今日は、鈴女という女郎に、訴状の内容を確かめに来たという事が分かる。

それは、今は女郎になっている、あの男が持っていた記憶であり、女郎の身体を攻める事により、あの男の記憶が、頭に入り込んで来るのだ。

男は・・・いや吉宗は、また女を攻め続ける。見たたこともない人の顔や、風景が、つぎつぎに映像として、頭に流れ込んでくる。

「こりゃ、便利だねぇ。あの薬を飲んでまぐわい続けると、相手の知っている事がわかるんだね。もっといろいろ教えてもらわないとね」

吉宗は、さらに鈴女を攻めた。女は、ただ悲鳴のような喘ぎ声をあげつづけた。

そうして、吉宗として振舞うのに必要な知識を十分に得た頃、吉宗は腰を振るのをやめた。

 

女郎を見下ろすと、もう息も絶え絶えの状態になっていて、口からは涎をたらしている。

吉宗は、女郎の体から特大のマラを引き抜いた。

女郎は、倒れたまま、呆けた目で吉宗を見つめている。

「おやおや、ちと、乱暴に扱いすぎちまったようだ、すまないねえ」

吉宗は、意地の悪い台詞を言う。女郎が返すだろう言葉により、自分の優位を確認しようとしたのだ。

しかし、女郎が何か言い返すのを待ってみたが、女郎は口をもどかしそうに開いては閉じるだけで、その口からは言葉がでてこない。

「どうしたんだい?あんた、 言葉がわからないわけじゃないだろう?」

そう言われても、女郎は何も言い返さない。

「なんだい、言葉を忘れちまったわけでもないだ・・・」

言いかけて、吉宗は、女郎の様子がおかしい理由に気がついた。

あの薬を飲んで、長時間まぐわい続けると、相手の知識を覗く事ができると吉宗は思っていた。

しかし、それは間違いで、相手の知識を覗くのではなく、相手の知識を奪い取ってしまうのだ。

以前に老人とまぐわったとき、鈴女が、あの老人に記憶を奪われなかったのは、まぐわいが、短時間で終わってしまった為だろう。

今回はたっぷりと半時ほど、まぐわいは続いた。その時間の中で、この女が持っていた言葉を、吉宗が吸い取ってしまった為、おそらく、目の前の、この”女”は、喋りたくてもしゃべれないのだ。当然、ここにいる理由や、自分の素性さえわからないだろう。

「ちょっ、ちょっと待っとくれよ・・・、あたしはここまでやるつもりは無かったんだよ…」

吉宗の顔が、一気に青ざめる。吉宗は、どうしたら、この女に記憶を返してやれるかを考えた。

あの薬をこの女に飲ませて、もういちどまぐわえば記憶は戻るかもしれないが、それだと体まで入れ替わってしまう。

体が元に持ったら、自分は間違いなく処罰されるだろう。将軍にこのようなことをしたのだ、死刑は免れまい。

想像すると、いまさらながらに吉宗は怖くなった。

そう考えると今の状態は、吉宗にとっては好都合だった。本物の吉宗は、遊女の身になっていて、しかも喋ることさえできない。

そして、その吉宗として振舞う知識は全て、今は自分のものなのだ。二人の入れ替わっている事を誰が察知できよう。

「しかし、このまま、あんたをここに置いといたら、おっ死んじまうね…」

ここ吉原では、病死した女郎は、投げ込み寺に獣のように捨てられる。吉宗が、鈴女だった頃に、そうした女郎達を多く見てきていた。

喋れなくなった遊女はきっと、もっと酷い扱いを受けるかもしれない。

女は先程から変わらぬ姿勢で、ただ吉宗を見つめている。

「しかたないね」

この”女”を哀れに思った吉宗は、身請けする事にした。そして、せめてもの罪滅ぼしとして、自分の愛妾として、大奥に入れることに決めたのだった。

 

 

 

 

 

つづく




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