なんてったって(加筆修正版)

 

いま僕は、ステージに立っている。

衆目が僕に集まっている。
みんなが僕を見てる。
夢のようだ。

僕は・・・僕はアイドルなんだ。


『電脳界の妖精アキちゃん』
電気街で売り出し中のアイドルで、僕の憧れの人だ(いや、妖精だけど)

僕は彼女が好きだ。

彼女と仲良くなりたい。
彼女と一緒にいたい。
彼女と一心同体になりたい。
彼女になりたい。

そうだ、僕は彼女になりたい。

グッズは全て買った。
ブログも欠かさず読んでる。
彼女が出てる雑誌や記事も集めた。
ネットなどで彼女の情報をいろいろ調べた。

彼女のことはなんでも知っている。

そんなとき、ある機械の存在を知った。

『スキンメーカー』
写真を読み込ませれば、そこに写ってる人そっくりの皮(着ぐるみ)を作ってくれる。
そして、それを着ればその人そっくりに変身できるらしい。

彼女と共有してる情報が多ければ多いほど彼女に近づいていく感じがしていた。

しかし、外見だけはどうしようもなかった。

でもこれを使えば、より彼女に近づけるかもしれない。
いや、彼女になれるかもしれない。

僕はその機械を取り寄せることにした。


数日後、荷物が届く。
あのメーカーからだ。

箱を開けると、中には小型のパソコンくらいの大きさの機械が入っていた。
意外なほど小さい。

ざっと取説を読んでから、機械の電源を入れた。
写真を入れてみる。
写真なら、ブロマイドや自分で撮った生写真などがたくさんあるので、こと困らない。

ピー

取り込みが終わったらしい。
ブリブリと、なにかが排出されてきた。

手にとって広げてみると、それはまさしく人の皮。
アキちゃんの皮だった。

「すげー・・・」
その造形はすばらしく、髪の毛から指の先まで本物そっくりで、とても作り物とは思えない。
まるで本人から直接剥いだんじゃなかろーかというくらいのデキだ。

アキちゃんだ!
今、手のなかに現実としてアキちゃんがいる。

そう自覚した途端、顔に血がのぼって、くらくらしてきた。
これを被れば、アキちゃんになれると思うと、ドキドキして体の震えが止まらない。

僕は早速服を脱ぎ、素っ裸になる。
皮を手に取り、それを被りはじめた。

皮は、後頭部から腰にあたるところまでに割れ目が入っていて、ここから着ることができる。
まずは足から。

ちょっとキツかったけど、なんとか入った。
そして腰を穿く。
彼女の小さいお尻は、僕のデカい尻が入ってきたおかげで、びろーんと伸びてしまってる。

腕を通す。
これもキツイが、皮が伸びるのでなんとか入れられた。

最後に顔だ。
僕の顔が、彼女の可愛い顔になる。
僕が彼女になる瞬間だ。

くしゃくしゃの袋に顔を突っ込み、目、鼻、口の位置を合わせる。

よし。

彼女に着替え終わった。
これで僕はアキちゃんだ。

しかし、鏡を見てみて愕然とした。

そこにいたのは、『僕の形をしたアキちゃん』だったのだ。
ひどく不恰好なものが映っていた。

あれー?
期待半分ではあったけど、まあ実際はこんなもんだよね。

あとは脳内補完をすれば、アキちゃんごっこくらいはできるかな。

と考えていると、体に異変が起こった。
「あ、あ・・・」

体が締め付けられる。

その締め付けはしばらく続いたあと、やがて唐突に収まった。

「ふぅ・・・」
何が起こったんだろう。

ふと鏡を見ると、そこにアキちゃんが映っていた。

え?ヤバい。本人に見られた!?

ギクッっとしたが、よく考えてみると彼女がこんなとこにいるはずがない。
しかも鏡の彼女は裸だ。

そこにいたのは、自分だった。

アキちゃんそっくりの自分だ。
僕はついにアキちゃんになれたのだ。

「うわ・・・すげー・・・」
しばし見惚れる。

彼女の胸、そして下半身は初めて見る。
彼女の身体を手に入れたことで、僕は彼女の全てを手に入れた気になっていた。

「ん・・・ふ・・・」
胸は・・・身体のわりには大きい。
その胸を、僕は弄っていた。

身体に感じる感覚に驚く。
とても男のものではない。
女の感覚だ。

この皮は単なる着ぐるみではなかったのだ。
僕は本当にアキちゃんになったのだ。

「あ・・・ぁ・・・っは、ぅ・・・」
胸をメチャクチャに揉みしごく。

気持ちいい。
これはアキちゃんの胸だ。
でも僕の胸だ。
僕は・・・

「僕は、・・・アキちゃんの・・・ん・・・すべて・・・ぅあ・・・
僕・・・あたしは・・・アキちゃん・・・
あたしはアキ・・・
・・・あたしは、アキよ」

姿見の正面に回る。
腰を浮かすと、あそこが丸見えになった。

ああ、アキちゃんの・・・。
意外に毛が薄かったので、形がよくわかる。

指で広げると、テラテラと濡れていた。

「・・・んふ」
そこを手のひらで撫でさすり、気持ちのいいところを探る。

「んんんん」
割れ目に沿って指で撫で、徐々に力を込めていくと、割れ目が指を咥えこむ。

中はヌルヌルで熱かった。
さらに押し込んでいくと、隙間を押しのけて指先が奥へと入っていく。

「っは、・・・ひ・・・ん・・・」
やわらかい肉が、指を締め付ける。
そこから伝わる刺激に反応し、さらに指を締め上げる。

「お・・・お・・・」
女の子・・・って・・・。

指を動かしてかき回す。
「っあ!あっは・・・ふ、うんんん・・・ぁぐ!」

さらに強い刺激がくる。
意識が朦朧として、なにも考えられない。

男のときは感じたことのない感覚を受け、次第に我慢も限界、その果てに・・・

「んんん・・・ぁ、らぅ・・・は、あ、ああああああ!・・・ぅん・・・」

あたしは果てた。

「はあ、はあ・・・」
息が上がってる。
脱力感も感じていた。

手に残る糸を引くおツユをいじりながら思う。

・・・気持ちよかった。
本物のあたしも、こんなことをしてるのだろうか。

僕は、アキちゃんの快感を体験したのだ。
またひとつ、彼女の秘密を知った。

その余韻に浸るうち、僕にあるひとつの考えが浮かぶ。
数日後に、彼女のミニコンサートがあるんだ。
そこで・・・。

僕はすばらしい考えに、ひとり心を躍らせた。


当日
僕は現地入りした。
変身はしていない。
めざとい連中に見つかると面倒だしね。

会場に着いた。
まだかなり時間が早いので、辺りに人の気配はない。
建物の奥へ向かう。

こういう小規模のイベント催事場は、そこまで警備は厳しくない。
もともといろんな人が出入りしてるので、とくに怪しまれることはなかった。

彼女の控え室の前に来た。
『アキ様控え室』との張り紙がしてある。

そっとドアノブに手をかけると、鍵が掛かっていなかった。
心臓はバクバクだったけど、ここまで来たらもう後には引けない。

僕は部屋に潜り込んだ。

中は大きい鏡と、簡単な調度品やクローゼットなど。
そして一画をパーテーションで区切ってあった。
おそらく着替えをここで行うのだろう。

隠れるとしたら、クローゼットかな。
中を開けてみると、人がひとりくらい隠れられそうなスペースがある。

よし。

僕は変身を済ませ、その中に隠れた。


待つだけではヒマだったので、携帯ゲーム機で時間を潰す。
どのくらい待っただろうか。
誰かが入ってくる気配がした。

クローゼットの隙間から外を伺う。

ドキンとした。
彼女だ。

それと背広を着た男性が一緒にいる。
おそらくマネージャーだろう。

その男性は、彼女と簡単な打合せをしたのち、部屋を出て行った。

彼女の着替えのために席を外したか、イベントのスタッフとの打合せに行ったか。

部屋に残った彼女は、携帯プレーヤーで音楽を聴き始める。
今日歌う曲の確認をしてるのかも。

チャンスだ。

多少の音なら気づかれない。
彼女の視線がこちらにないときに、僕はクローゼットから出た。
そっと背後に回る・・・。

そして襲い掛かった。

『んん!?んんんん!』
彼女の頭に袋を被せて押え込み、腕を取る。
その腕に、ある薬を注射した。

『いたっ』
・・・よし、とりあえず第一段階はうまくいったな。

「ちょっと、なにすんのよ!アンタだ・・・れ・・・?」
彼女が僕を振り払い、袋を取って抗議するが、その顔が驚きに変わる。

無理もない。
目の前に、自分と同じ顔をした人がいたのだ。

「こんにちは、あたしはアキよ。よろしくね」
僕はしれっとして言う。

「え、どういうこと?ドッキリ?」
「今日はあたしがコンサートに出るわ。だからあなたにはここで待ってて欲しいの」
「なにをばななな・・・あぇ・・・なん・・・は・・・」
ろれつが回ってない。
薬が効いてきたみたいだ。

かくっ、と彼女が膝をつく。
「あぇ・・・」

さっき打ったのは、筋肉弛緩剤だ。
全身に力が入らなくなってきているのだ。

さてと・・・

「服をもらうわね」
「ちょ・・・ろ、ぃゃぁ・・・ゃぇへ・・・」
僕は動けない彼女から、服を剥いだ。

黒のTシャツ、ピンクのティアード、ボーダーのニーソックス、そしてレースのついた白の上下。
全部もらう。

いま彼女は、何も着ていない。
起き上がろうとしているが、力が入らないので、プルプルしてる。

あそこが丸見えだ。
それは僕と同じものだった。

「さて」
彼女から奪った服。
さっきまで、本物の彼女が着けていたものだ。

それを今度は僕が着る。
本物が身に着けていたものを纏うことで、さらに本物に近づくんだ。
服にはまだ、彼女のぬくもりが残っていた。

鏡を見ると、アキちゃんがいる。
さっきと寸分違わない。

でも映っているのは僕だった。

くるっと回って、身だしなみを確認する。
絶対領域もばっちりだ。

「ん、完璧」

そして僕は、自分の荷物の中からあるものを取り出した。

「ひ・・・」
それを見て、彼女が息を呑む。

それは人の皮だったからだ。

「な・・・ぁ・・・」
「あ、これ?大丈夫、作り物だから。いまからいいことするのよ」
それは僕の皮だった。
これを彼女に被せて、エッチしようというのだ。

「ぁ・・・ぃゃ・・・ゃ・・・」
「ちょっと、動かないで」
彼女は逃れようとするが、体の自由が利かない。
抵抗空しく、僕の皮を着せられた。

彼女が僕に変身する。

不安そうな表情のその顔を掴んで、僕は僕になった彼女の上に乗りかかる。

ちゅ

アキちゃんが僕の唇を奪う、の図。
僕とアキちゃんは、キスをする仲なのだ。

「はぁ・・・」
感動。
じゃ、気持ちよくしてあげるね。

僕は彼女のおち○ちんを掴んで、軽くしごく。
すると、手の中でそれがむくむくと大きくなってきた。

ぱく
それを咥える。

むぐむぐ
ちゅぱ、ちゅぱ、じゅる・・・

唇と舌で刺激すると、ギンギンになった。

「どう?気持ちいいでしょ」
「う、ん・・・」
彼女は気持ちよさそうだった。
勃起は筋肉によるものではないので、弛緩剤が投与されていても可能なのだ。

「じゃ、いくわよ・・・」
僕はパンツを脱ぐ。
すでに受け入れ体勢はできていた。

「ん・・・」
ちんこを掴んで彼女に跨り、それを自分の股間に宛がう。
深くしゃがむと、それが中に入ってきた。

「あ・・・あ・・・っは・・・」
「ん・・・ぅ・・・」
自分の中に、それを入れるのは初めての経験だ。
彼女も入れるのは初めてだろう。

「あ、すごい・・・繋がってる・・・」
僕は彼女を、根元からぱっくりと咥え込んでいる。
とてもエッチな光景に見えた。

「あ・・・は・・・ん・・・ん、ん」
彼女が動けないので、僕が動く。
上下、前後に腰を振る。
僕の中で、彼女のちん○が擦れて気持ちいい。

「あ、あ、あ、あ、ううううう」
「う・・・い、いい・・・」
腰の動きが激しくなる。
接合部からは、ぱちゃぱちゃといやらしい音がしていた。

「ん・・・い、ぅ・・・」
「あ、出して、あたしに出して・・・は、ん・・・あ、ああああああ!」

イった。
そしてドクドクと、中でなにかが動いてる。
彼女の精が入ってくるのを感じた。


「すごい、すごいよかったわ」
僕は彼女に、キスの嵐を見舞う。

もう少し余韻に浸りたいところだけど・・・でもそろそろ準備しなくちゃ。

彼女から、僕の皮を脱がす。
そして、猿轡をして縛り上げた。
裸のままだと風邪をひいちゃうので、毛布にくるむ。

『んん、んんんん・・・』
「ごめんなさいね、コンサートが終わるまで大人しくしてて」

ふと彼女を見ると、涙を流していた。
僕はその涙を舌でぬぐいながら、彼女に囁く。
「大丈夫よ、コンサートはまかせて。絶対成功させるから」

もぞもぞと動く彼女をクローゼットに押し込み、僕は衣装に着替えるため、スタイリストさんを呼んだ。


コンサートは大成功だった。
お客さん、スタッフなどが何人も声をかけてくれたけど、誰もが僕をアキちゃんだと信じて疑わなかった。

本来、彼女が体験するはずだったことを、僕が代わりに受けた。
彼女から、彼女の人生の一部を奪うことができたんだ。

僕はご機嫌になって、控え室に戻った。

私服に着替える。
そして、コンサートの成功を報告するため、クローゼットを開けた。

中には縛られたままの彼女がいる。

「んー、んー!」
何か言いたそうだったので、猿轡を外してあげた。

「ちょっと、コンサートはどうなったの?大丈夫だったんでしょうね!?」
だいぶ薬が抜けたようで、口調はもとに戻ってる。
開口一番、コンサートの心配とは、見上げたプロ意識。

「うん、大成功だったよ。パンチラ多めにしたから、観客も喜んでくれたと思う〜」
「・・・あなた、いったい誰なの?なにが目的であたしに化けてるの?」
「やだ、あたしはアキよ?」
「しらばっくれないで!」
「大丈夫よ、あたしはあたしのしたいことをしただけ。
別に、あなたに取って代わろうと思ってるわけじゃないから」
「・・・・・・」
「じゃ、あたし帰るね。また会うことがあるかもしれないけど、ごきげんよう〜」

別れの挨拶をして部屋を出る。
後ろから彼女の声がした。
「あ、ちょっと、あたしの服、返してよー!」


その後、彼女のブログが突然閉鎖された。
オフィシャルの発表によると、しばらく芸能活動を休止するらしい。
復帰はいつになるかわからないという。

・・・ちょっと残念かな。

でもいいよね。
アキはここにいるもん。




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