皮男

 

俺は皮男だ。

そう、皮だけの男という意味だ。
中身は無い。
いや、今は誰かに入ってもらってるので、ちゃんと人の形をしているよ。

生まれつきこうだった、とかではない。
俺は人の皮をコピーしたものだ。
もちろん本体は別にいる。

その本体は今頃、やっぱり皮を被ってどっかの誰かになりすまし、よろしくやってるだろうよ。

そう、俺の中身はそのどっかの誰かさ。
そいつに自分の皮を被せて、まんまと入れ替わったのさ。


・・・数日前

ピンポーン
『宅急便でーす』

頼んでいた商品が届いた。
俺は早速、部屋の中に広げてみる。

○○研究所の人体実験シリーズ その7』
取説にはそう書かれている。
ネットの通信講座の教材だ。
中身は、小型のパソコン程度の大きさの、なにかの機械だった。

「なになに・・・このスキンメーカーは・・・」
俺はその取説を穴が開くほど読み込んだ。

要するにこうだ。
このスキンメーカーという機械に、コピーしたい人間の写真をスキャンさせると、その人間そっくりの皮を作ることができる。
そしてその皮を被れば、その人そっくりに変身できるのだ。

さらにこの機械のすごいところは、皮を作るだけじゃなくて主導権の設定ができることだ。
つまり、皮を着たときの主導権を、中の人がとるのか皮がとるのかが選べるんだ。

誰かに成りすましたいのであれば、中の人が主導権をとるように設定すればいい。
外見が変わっても中身はそのままだ。
しかし、誰かに自分の身代わりをしてもらいたいのなら、皮に主導権を設定して中に誰かに入ってもらえばいい。
中身が誰であろうと、それは俺だ。

俺は使い方を覚えると、機械のスイッチを入れた。
そして予め用意していた写真を入れる。

写真は、同じクラスの女の子。
可愛くてクラスの人気者だ。
俺はこの娘の皮を作って、彼女と入れ替わろうとしてるのだ。

主導権の設定を中の人にする。
あとはスタートボタンを押すだけだ。

パチ
ウィーン、ブブ、プ、ピー。

程なく、機械から何か布のようなものが排出された。
まだ暖かいそれを手にとって広げてみると、素っ裸ではあるが、それはまさしく彼女だった。

「すっげー・・・」
俺は息を飲んだ。
顔、体の形はもちろん、肌の質感、髪の一本一本までリアルに再現されている。

俺はいてもたってもいられなくなり、服を脱いで彼女を広げた。
皮の背中には割れ目があり、ここから着ることができる。

まず足を通す。
サイズが合わないのでパツンパツンだが、なんとか入れる。
腰を引き上げ、彼女を穿いた。

股間が女の子になった。
始めて見る女の股間は、自分の股間だった。

ドキドキしながらさらにたくし上げる。
腕を入れ、頭を被ると完成だ。

着終わった直後はキツキツだったが、すぐに体が縮んでいき調整される。
程なくすると、おかしかったところがなくなりスッキリした。

自分の体を見回してみると、もう元の体ではないことがすぐにわかった。
俺は彼女になったのだ。

「あーあー、中川美也子です」
声も彼女だ。
俺は感動した。

改めて自分の体を見回す。
胸を見ると、ふくらみがあった。
大きくもないが、小さくもない。
触ってみると、あたたかくてやわらかい。
何かを着てる、という感触はまるでなく、まるっきり自分の肌だ。

「は、ん、ん・・・」
揉んでみた。
手のひらに弾力を感じる。

はじめは特に何も感じなかったが、面白がってしばらく揉んでるうちに段々と気分が変わってきた。
・・・エッチな気分だ。

「はぁ・・・はっ、はっ、は」
息が荒い。
股間に手をやると、しっとり濡れていた。

「う、・・・ん、んぁ」
立っていられなくなり、床に腰をつく。
右手を股間に、左手を胸にあてて弄る。
その押し寄せる快感にしばらく身を任せていると、徐々に気分が高まっていくのを感じ、やがて・・・

「はあ!っっんぁ、は・・・ぁ、はぁはぁ」
イってしまった。
女のオナニーがこんなに気持ちいいとは。

俺はますます彼女の全てが欲しくなった。

計画を実行に移すことにしよう。
その準備として、俺の皮を作る。
もちろん、皮に主導権をもたせた。
これを被せれば、俺と彼女は入れ替わることができるんだ。


・・・学校

カバンには彼女の皮と俺の皮を忍ばせてある。
入れ替わるチャンスを伺っているのだが、学校というところは人が多いため、なかなか人目が切れない。
彼女が人気者なせいもあるのだろう。

そうこうしているうちに放課後だ。
部活に出るもの、帰るものがいて、校内は人がまばらになってきた。

彼女はというと・・・部活に出るため人垣から外れるところだ。
チャンスか?
彼女は文芸部なので、部室は離れの図書館にある。
静かで、人気も薄い。

俺はそっと彼女を追った。

図書館への道。
準備室や倉庫などの横を通る。
人気も無い。
チャンスだ。

俺は懐から、シェーカーと呼ばれる銃のようなものを取り出した。
『○○研究所の人体実験シリーズ その3』の教材だ。
人に向けて撃つと、強力な超音波で脳震盪を起こさせて、相手を気絶させる。

どきどきした。
狙いを定める手が震えてるのがわかる。
喉もカラカラだ。
意を決して俺は、彼女を撃った。

「ふ・・・」
小さく息を漏らして彼女が倒れこむ。
成功だ。
ここまできたら、もう後には引けない。
俺は彼女を抱えて、手近な倉庫に入った。

まずは彼女に俺の皮を着せよう。

服を脱がす。
入れ替わるのに、お互いの服も交換しなくちゃいけないからな。

ブレザー、ベスト、スカート、ブラウス。
ブラジャーと、パンツに靴下まで、全部剥ぎ取った。

寝ている彼女の脚をとり、俺の皮の中へ入れていく。
つぎに腕をとり、手袋を被せるようにして着せる。
顔の部分をすっぽりと被せて完成だ。

これがなかなか難儀した。
意識の無い人間ってのは重たい。
人を着替えさせるのって、結構大変だ。

やがてサイズの調整が始まり、ものの数秒で俺が完成した。

すると目を覚まして起き上がり「よう、本体」と言った。

「よう」
と片手を上げて、俺も返す。

そして聞いた。
「お前は俺か?」

彼も言う。
「ああ、お前だ」

よし。
ちゃんと皮が主導権を握っているな。
もう彼女はどこにもいない。
じゃあ、今度は俺が着替える番だ。
俺も服を脱いで全裸になり、彼女の皮を着た。

それを見届けると、彼が口を開く。
「じゃあ、着替えましょうかね」

「うん」
あたしも答えた。

お互いに自分の服を着る。
彼女の制服からは、いい匂いがした。

着替え終われば、入れ替わりは完了だ。

さて、ひとつの部屋に男女がひとりづつといったら、やることは決まってる。
あたしが彼に寄り添うと、向こうも心得たもので、腰に手を回してきた。
自分同士なんだから、気心は知れている。

キスをする。
女としてキスができることに喜びを感じたが、相手が自分ではいささか興ざめのような気も。
彼のほうはどう感じただろうか。

胸を揉まれる。
自分でするのと、してもらうのとでは、やっぱり違う。
「は、ぁ、ぁ、ぁ」
顔が熱くなり、気分が高揚してくる。
気持ちいい。

すると彼がスカートの中に手を入れてきた。
向こうも鼻息があらく、興奮してる様子だ。

パンツ越しに秘部を触ってくる。
ぬるぬるとした感触がして、湿ってるのがわかる。

彼がパンツの中に手を入れてきた。
割れ目にそって指を這わせ、入り口を探り当てて押し込む。
電撃が走った。
「はぅん!」

くにくにと指を動かされて、我慢も限界に近づいてる。
「は、い、い、うぁ、あぁぁ」
息も絶え絶えだ。

「い・・・、ぃぃょ・・・」
やっとのことで、それだけ言えた。

彼が一度手を止め、ズボンの中からアレを出す。
あたしも自分のパンツから片足を抜いて待つ。
再び腰に手を回し、それを股間にあてがってくる。

そして狙いを定めて押し込んできた。

最初はなかなか穴の位置がわからず、突き上げてくるだけだったが、なんとか身をよじってるうちに穴の位置にさしかかった。
肉ひだをこじ開けるようにして、彼の先っちょが入ってくる。

「あ!あ、あ」
そこからは早かった。
ズブズブと彼のアレが、あたしの中に入ってくる。

『ヌチャ、ヌチャ』
いやらしい音を立てながら、彼がピストンを始める。
あたしも、それに合わせて腰を動かす。

「あ、あぁ、っは、んっ、くふ、ぅ、ぅうぁ」

自分の中の、奥のほうまで何かが入っているのがわかる。
それが行ったり来たりする感触は、いままでに感じたことのない快感をあたしに与えていた。
昨日のオナニーとはまた一味違っていた。

「ん、きた、た、ぁあ!はあああああ、あう、ん!!」
何度もピストンされた末に、あたしはイってしまった。

彼もイク寸前に抜いて、そとに出す。
中出しはマズいもん、ね。

彼がティッシュで後始末をしてる間、あたしは身だしなみを整える。

さて、いいかな。
「じゃあ、あとはよろしくね」
「ああ、いってらっしゃい」

そしてあたしはあたしを楽しむため、その場を離れた。


・・・再び皮男

とまあ、こういうわけさ。
俺はコピーの自覚はあるけど、本体の記憶も持ってるからほぼ本人と変わりは無いよ。

え、なに?
身代わりなんかさせられて大変だな、って?

いやいや、それがそうでもないのさ。
考えてもみてくれ、俺の皮一枚下には可愛い女の子が入ってるんだぜ。

俺の正体は、クラスのアイドルなんだって事実は、結構ドキドキするだろ?

それに、ときどき皮の中から胸とか下半身を露出させて、楽しませてもらってるしな。
しかもそれは本物だ。

どうだい。

 

あんたも皮男をやってみないか?



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