作：あさぎり
ドサドサドサッ…！！
資料室で山の様に詰まれた書類の整理をしていた
万年ヒラ社員のオレと女子社員の二人は選別の終わったモノを
脚立に登って書架の上の方に戻してる途中、バランスを崩し、
大量の書類とともに床に落下してしまったのだ。
しかも落下地点にいたのは女子社員。
当たり所が悪かったら二人とも無事に済みそうもない…。
何とか彼女にぶつからない様に必死に避けようとしたが、間に合わずに衝突。
オレ達は互いの頭をしたたかぶつけて、そのまま気を失ったのだった。
あれからどの位の時間がたったんだろうか？
頭は少し痛むけど、我慢出来ないほどじゃない…それより彼女は？
「うぅ…ん、だっ、大丈夫かキミっ！？」
書類の山をかき分けながら何とか起き上がると妙な事に気づく。
オレの声ってこんな高かったっけ…？
それにやけに小さくなった手と華奢な細い指先。
そして胸元に感じる今までとは明らかに違った重み…。
何より隣に倒れこんでいるのはオレ自身だったのだ。
「………………。」
自分の身に起こっている事が理解できずに恐る恐る窓辺に向かうと、
そこに映っていたのは先程までオレではなく、彼女のモノだった…。
（そんな…さっきのショックでオレの魂がこの娘と入れ替わったのか？！）
床に倒れたままの見覚えのある自分の姿を見下ろしながらオレは、
しばらくその場に立ち尽くす事しか出来なかった。
-終-