先生のビデオレター(中編)
作:嵐山GO


先生が僕の家に来たのは昼前で、生活リズムの狂っている僕は
パジャマ姿のままだった。

「退院おめでとう。足の方はどうなんだ?」
先生は僕の部屋に入ってくるなり、そう聞いた。
「ええ、まだ走ったりは出来ませんが、松葉杖はいらなく
なったし、軽い散歩くらいなら出れるようになりました」
「そうか、それは良かったな。若いから早く身体を動かしたくて
仕方ないだろう?んん?」
「まぁ、そう・・・ですね」
(なんだか変な質問だな・・・何が言いたいんだろう?)

「さて大学側の資料は机の上に置いておくから時間のある時に、
目を通しておくように。それから例のビデオレターだが、ディスクに
コピーして持ってきてやったぞ。プレイヤーはあるか?」
「えっと、プレイヤーはリビングです。あとはパソコンでも
再生出来ますけど」
「リビングじゃ、見てるときにお母さんでも帰ってきたら気まずいだろう。
パソコンもちょっと不便だな。ま、こんな事もあろうかとコンパクト・
プレイヤーを持ってきてやったから、これを見終わるまで貸してやる」
先生は黒い鞄からシルバーのDVDプレイヤーを取り出し、ベッドで
座っている僕に手渡した。

「え?今、見なきゃ駄目ですか?」
「そうだ。それで見終わったら携帯に電話して欲しいんだ。外に停めてある
車の中で待っているから」
「はぁ・・・」
(先生は、僕が真下さんの映像を見るときの為に気を使っているのだろうか?)
「僕は別に先生も一緒でも構いませんよ。コーヒーでも入れましょうか?」
「いや、それでは意味がないんだ。とにかく先生は外で待っているからな。
見終わったらスグに電話くれよ」
「はい・・・分かりました」
(意味がない・・・それは、どういう意味だろう?)

「それと出来れば・・・」
先生が何か言おうとしていた。
「?」
「出来れば、クラスの生徒達のメッセージは飛ばして、真下の
メッセージを先に見てくれないかな?他の友達のは後で、ゆっくり
リビングでもパソコンでも一人で見ればいいだろう」
「真下さん・・・メッセージくれたんですね」
(クラス全員のメッセージ以外、彼女一人の映像も入ってるんだ)
「ああ。ちゃんと約束は守ったぞ。何も無理は言ってない」
「そうですか・・・ありがとうございました」
僕は飛び上がるほどに嬉しかったが、極力顔に出さないようにしていた。

「真下のだけなら20分少々だ。全員のメッセージを見ると更に1時間は掛かる。
トラックナンバーを入れてあるから飛ばして真下のだけ見たら電話くれるか?」
「そんなにあるんですか」
僕が時間の長さに驚いたのは級友のではなく、真下さんのメッセージの長さだ。
20分も僕の為に何か喋ってくれたなんて、これほど喜ばしい事は無かった。
「じゃあな。待ってるぞ」
「はい。見終わったらスグに電話します」
僕は机の上の充電器から携帯電話を抜いて、傍らに置いた。

「あ、そうだ。最後にもう一つ」
「まだ、何かあるんですか?」
「ああ。オナニーはするな」
「な!なんですか、それ・・・するわけないじゃないですか!」
前回に続いて先生の唐突な発言に、僕は驚きを隠せなかった。
「一応、ティッシュは没収だ。ここに置いておくけど絶対に使うなよ」
先生はティッシュの箱をベッド脇から離れた本棚の空きスペースに移動した。
「しませんて。メッセージ見たくらいで」
「メッセージだけじゃないかもな。じゃ電話待ってるぞ」
バタンッ!
先生はドアを閉めて出て行った。

「まったく変なこと言うなー。あんな人だったっけ?」
僕は借りたポータブルプレイヤーの蓋を開き、再生ボタンを押した。
ウィーン・・・
モーターの回転する音が静かに響いた。

「おっ、教室が写ったぞ」
画面には見覚えのある教室の教壇が映し出された。
そこに右手から男子生徒が歩いてきて、教壇に立つ。

「会田公俊です。冴島君、卒業おめでとう。そして大学進学の件、
良かったな。僕も学校は違うがなんとか無事、大学受かりました。
高校時代、君との思い出といえば・・・・」
出席番号順なのだろう、会田君が一番に喋り始めた。
男子が14人、女子が12人この後に続いていくのだろう。

「あ、そうだ!これは飛ばすんだった」
僕は操作ボタンのスキップを選んで、クラス全員のメッセージを
一気に飛ばした。

「冴島君・・・退院おめでとう」
先生の言ったように確かに2トラック目に憧れの真下梨乃さんが映し出された。
時々、周りを気にするような素振りや小声で喋っている所をみると、
どうやら一人でカメラに向っているらしい。

撮影している場所は保健室だった。
三脚を使っているのかビデオカメラは、やや高い位置に固定されて回されている。
「大学の件も良かったよね。あ!これはさっき教室で言ったっけ?」
真下さんは可愛い笑顔で舌をペロリと出した。
(やっぱり可愛いや。嘘でもいいから一度デートしたかったな・・・)

「え・・・と。あのね・・・今日は冴島君の為に私の全てを見せようと思って。
でも約束して。このビデオは絶対に誰にも見せないって。約束、出来るよね?」
彼女は俯き加減で両手を胸に当てて、カメラに向って話す。
(私の全てって・・・何をするつもりなんだろう・・・まさか裸になるんじゃ
ないだろうな・・・?まさかね)

「じゃあ、見ててね」
予想したとおり真下さんは制服のリボンを解き、上着を脱ぎスカートも床に
落とした。
(な、何故、そこまでするんだ?)
その答えは彼女の口から少しずつ語られていった。
「私ね、中学の頃だけど一度だけ援助交際したことがあるの。うんと年上の
人よ。それが初体験なの。もしかしたら私のお父さんより上だったかも・・・」
(ええ!そ、そんな・・・嘘だろ?)

「それでね。以来、年の近い人は恋愛の対象には見えなくなっちゃったの。
援助交際だったけど、その人は優しくて大らかで私を大きな翼の中で
守ってくれるような安堵感を感じたわ。それからは、ずっとお付き合いするのは
中年の人ばかり。中には結婚して子供がいる人もいたけど」
彼女は下着姿になると、カメラの位置を変えベッドに横たわった。
(し、信じられない・・・あの副委員長の真下さんが援助交際だなんて)

「今、お付き合いしてる人も実は結婚してるの。ちょっと変態さんなんだけど、
やっぱり私、中年の男の人じゃないと駄目みたい」
(そうなんだ・・・彼氏がいるとは思っていたけれど)
真下さんは背中に手を回してブラジャーを外しに掛かった。
「・・・だから冴島君の気持ちは嬉しいけど、ゴメンネ。だから、せめて今日は
真下梨乃の恥ずかしい姿を見せるから、これで許してね」
綺麗な形の胸が現われた。
(やはり先生は真下さんに、僕が好きだってこと伝えたのか・・・)


彼女は再びカメラに近づき微調整を繰り返している。
視点が変わったり、ズームで被写体が大きくなったりもした。
彼女の形のいい乳房が大写しになる。
(先生がオナニーするなと言ったのはこれか?ん?でも、なんで駄目なんだ?
プレイヤーが汚れるからかな?)

カメラから離れた彼女は、ついにショーツも脱ぎ捨て生まれたままの姿になった。
「私って濡れやすいの・・・ほら、ココ見えるでしょ?」
両足をゆっくり開き、陰部に指を当てて左右に開く。
(うわっ!真下さんのオマ○コだよ・・・どうしよう)
僕はティッシュを捜した。もう見てるだけで無性にオナニーしたくなって
きたのだ。
(で、でも先生にするなと言われてるし)
本棚のティッシュを発見したが、取りに行くのを断念した。

「冴島君・・・見てる?私のオマ○コ・・・」
(み、見てるとも。それにしても真下さんの口からオ○ンコだなんて)
僕のペニスは、これまでに無いくらい激しく勃起していた。
「・・・私、もし援助交際なんかしてなかったら冴島君のこと、
好きになってたと思う・・・本当よ」
真下さんは言いながら左手で秘裂を開き、右手中指を溝にそっと当てた。
(す、凄い・・・)
「あ、あん・・・だから今日は冴島君のこと考えながらオナニーするね」

蛍光灯に映し出された彼女の裸体は美しかった。
いや、美しいなんて月並みなものじゃない。厭らしくて淫らで完璧で、
もう目に映る彼女の全てが僕を虜にした。
「はうん・・・あのね、ココが一番感じちゃうの」
指先が秘裂の先端を弄っている。
(あそこがクリトリスなのかな・・・?)

僕は18歳になるというのに、いまだに童貞だった。
高校に入学してから、いつか捨ててやろうと思っていたのだが、
真下さんを見てからというもの、僕の性の対象は彼女しかいなかった。
(何度、彼女を想いながらオナニーしたことか)
だが、同じクラスになって一緒に委員の仕事をするようになってから、
彼女に彼氏がいると、うすうす気づき始めた。
そして彼女と結ばれる事を断念したとき、すでに時期は受験勉強真っ只中。
(童貞喪失は大学生になってからでもいいや)そう思い現在に至った。

その愛しくて堪らない最愛の天使が今、淫らに足を開いて僕に全てを見せつけている。
(オナニーしちゃ、駄目かな・・・)
パジャマのズボンの中は痛い程に固く膨れ上がっていた。
『絶対にオナニーはするなよ』先生の言った声が思い出される。
(ちぇっ)
先生の顔を思い出すと少しだけ、興奮が和らぐ。
だがモニターの中の真下さんは、ついに膣内に指を入れ
動かし始めた。

「あん!あん!冴島くーん、イイ!凄くイイの!」
二本に増やした指は愛液でテラテラに光って流れていた。
(くそー、射精してしまいそうだ)
僕は画面の中の彼女と、先生の顔を脳裏に交互に浮かべ、何とか耐えしのいでいた。

「あ!あ!イク・・・イキそう!冴島く・・・ん、私・・・イッちゃう」
真下さんがカメラのレンズを見ながら、切なそうに訴えている。
(真下さん・・・見せてよ。イク時の顔を僕に見せて)
「イク・・・イク!もう駄目っ!冴島くん・・お願い、一緒に!」
乳房を揉みながら、二本の指はズブズブと最深部に埋まっていった。
「あぁ、それ駄目ぇーっ!!深いー。やん、イクーっ!!!はうんっ!!」

真下さんはイッた。
僕もたぶん先走り汁で、たっぷりとトランクスを濡らしていることだろう。
ちょっとでも擦ると情けないほどに、あっという間に果ててしまうに違いない。
正にズボンを突き破らんばかりに、そそり立っているのだから。

「はあ・・・はあ、イッちゃった・・・冴島君、見てくれた?」
(ああ、見てたとも。真下さんがイクところを、しっかりとね)
彼女は裸のまま立ち上がりカメラに寄ると、
「じゃ、これで切るね。冴島君・・・大好き」
最後に、そう言って画面は止まった。

(ふぅ・・・凄いもの見ちゃったよ。これは僕の宝物にしよう。え・・・と、
確かディスクは貰ってもいいんだったよなー)
プレイヤーからディスクを取り出し、ケースに移すと携帯電話が目に入った。
(あ、そうだ・・・電話するんだった)

携帯を開きリストから先生を選び出し、発信した。
トルルルル・・・プチッ
「見終わったか?」
開口一番、先生は言った。
「・・・はい」
「我慢できたか?」
「え?ええ・・・なんとか」
(そっか、先生は編集やコピーをしたんだから内容は知ってるんだ。
だから、あんなこと言ったのか・・・)

「じゃあ、今からそっち行くから」
先生は、そう言うと電話を切った。
僕はプレイヤーの蓋を閉じ、返却できるように準備を整えていると、
いつの間にかあんなに激しく勃起していた強張りはすっかり治まっていた。

だが実はこの後、さらに僕を驚愕させるほどの事態が待っているのだが、
この時点では思いもしない事だった。



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