僕の名前は篠木晃祐(しのきこうすけ)。県立の高校に通う3年生。
僕には宇西琴(うにしこと)という同い年の幼馴染がいる。
178cmの僕に対して彼女の身長は150cm、しかも童顔。
ぱっと見には小学生にしか見えないけれど、その胸だけは異様に大きい。
彼女の前に立って上から見下ろすと胸元が丸見えで目のやり場に困る。
とは言え兄妹のように育った僕にとって彼女は恋愛の対象ではなく、せいぜい妹のように接することしかできなかった。
それでもうざいほどに寄りついてくる彼女が僕のことをどう思っているのか、それはうすうす感じている。
最近の琴は、うちに来る時に妙に前の開いたシャツを着てくる。
そして彼女の僕に向ける視線。
どこでどう調べたのか妙にディープな性知識を仕込んでいるようで、困ったことに僕の股間を見る目が妙にギラギラしているんだ。
やれやれ。



 あたしってヤンデレ?
  作:toshi9



あたしがこうちゃんの追っかけを始めたのは小学4年生の時、彼の一家が隣に引っ越してきた次の日から。
一目惚れ? ううん、初めて会った時のことはもうよく覚えていないけどちょっと違うと思う。
でもあたしはその頃から彼を他の誰にも渡したくなかった。
こうちゃんはあたしだけのもの。
いつの頃からかそう固く決めたあたしは、いつもこうちゃんの隣に居続けた。
小学校を登下校する時も、そして中学・高校と進学しても、いつもあたしは彼と一緒に居続けた。
そしてあたしの彼への思いは年々強くなっていった。

こうちゃんといつも一緒にいたい、彼の後を一生追いかけ続けたい。そんなあたしの話をお母さんは半ば嬉しそうに笑いながら聞いていたけれど、あたしにとってそれは切実な問題だった。
朝の登校、こうちゃんを迎えに行って、彼の隣を歩くのはあたしの日課になっていった。
そう、いつしかあたしはいつどんな時もこうちゃんを、こうちゃんの全てをあたしのものにせずにはいられなくなってしまった。
たとえこうちゃんが他の女子を好きになっても構わない。
あたしはただこうちゃんのことだけを見ていたい。こうちゃんのことだけを考えていたい。
そんな思いは日に日に強くなっていった。
高校卒業が近くなったある日、思い切ってあたしの想いを彼にぶつけてみた。
でも彼は笑ってあたしを見るばかり。
目を閉じて唇を突き出したあたしの唇に触れたのは彼の指先だった。

「友達でいようよ」

こうちゃんはそれからあたしが何度告白しても、あたしのことを特別な存在と思ってくれなかった。
でも……あたしはこうちゃんを絶対にあたしのものにしたかった。
こうちゃんをあたし一人のものにしたい。
次の日あたしは再び告白した。目を逸らすこうちゃんに向かって何度も何度も。
けれどもこうちゃんの機嫌が悪かったのか、遂に「うざってぇ、こと、もう近寄るな」って、思いっきり言い放たれてしまった。
 こうちゃんの言葉はちょっときつかった。あたしの心は引き裂かれかけ……ううん、あたしはそんなことでめげやしない。あたしは彼がうんと言うまでぜったいに諦めないと心に誓った。

でも今日、校庭の片隅で同じクラスの淺間唯美さんとこうちゃんがキスしているのを見てしまった。
他の女子を好きになっても構わないって思っていたけど、それを見ていると涙が溢れてきた。見ているのがつらかった。
嫌、こうちゃんはあたしのモノ、あたしだけのもの
あたしは泣きながら学校を出た。
どこをどう歩いたのかわからない。

気がつくと、見知らぬ路地裏に足を踏み込んでいた。
目の前には古びたお店が立っている。看板には『天寶堂』と書かれていた。

「てん??どう?(なに、あの漢字、読めない)」
「お探しの品がきっと見つかります。是非お立ち寄りください」
「え?」

突然の背中からの声に振り返ると、あたしの後ろには色眼鏡をかけた初老の男性が立っていた。

「だれ?」
「この店の店主です」

そう言って、男は眼鏡をはずしてにっこりと笑う。
(あら、結構カッコイイ。それに悪い人じゃなさそう)
そう思ったあたしはお店の中に入ってみた。


店の中は思ったよりもずっと広かった。雑多な商品が脈絡なく所狭しと並べられている。
その中で、あたしはふと古びたカメラに眼が止まって手を伸ばした。

「これ、なに?」
「ポラロイドカメラです。クダック社で製造されていた名機ですが、元の持ち主に改造を施されたものです」
「ポラロイドカメラってなに? それに改造って?」
「ポラロイドカメラとは、その場で写真に現像できるカメラのことです。改造とは、そうですね」

店主は店の奥に入っていくと、しばらくしてカメラと同じくらいの大きさの黄色い箱を持ってきた。
封を開けて中から1つ銀の袋を取り出しすと、今度はその袋の中から四角い板状のものを出してポラロイドカメラというカメラにセットした。

「ここを押すと、写真を撮ることができます」

店主はそう言って、道を歩いていた親子連れにカメラのレンズを向ける。
若いお母さんと、小学生の男の子だった。

「ほら、こうして」

シャッター音が響く、そしてカメラの下から白い紙が出てきた。
しばらくすると、段々と白い紙の色が変わって、そこに二人の姿が映し出されていた。

「できましたね、では、あなたはどちらになってみたいですか?」
「どちらに?」
「母親と男の子と」
「ええ? 意味わかんない」
「とにかくお選びください」
「じゃあ……男の子」
「では触ってください」
「さわる?」
「その男の子の姿にです。そうすればわかります」

あたしは店主に言われるままに、写真の男の子に触ってみた。上から下、頭から足をなぞるように。
とたんにぐらっとめまい。
気がつくとあたしの目線は低くなっていた。

「ほら、いかがでしょう」

店主が商品の鏡を指さす。
映っていたあたしの姿は、写真に撮られていた小学生になっていた。しかも尿意を感じる。

「と、トイレ、だめ、我慢できない」

思わず股間に手を当てる。そこには小さなふくらみがあった。

「おや、あの親子はトイレを探していたんですね。さあこちらに」

店主に店の奥に案内されて、あたしは慌ててトイレに入った。
下ろしたズボンの中からちっちゃいアスパラガスのようなペニスが顔を出す。
便座に座ると、途端にペニスの先端から勢いよくおしっこが放出される。放尿しているとほーっとした解放感に包まれた。
「これが男子の出す感じ? あー、気持ち良かった」
あたしはペニスの先端にトイレットペーパーを当てて拭き取ると、パンツとズボンを上げて店内に戻った。
店主は座って新聞を読んでいた。

「おや、戻られましたか」
「あの、これどういうことですか? あたし、どうしてあの男の子になったんでしょう」
「あのポラロイドカメラは姿を写しとって、姿を入れ替えてしまうカメラです」

そう言って店主はカメラを指さす。

「姿を入れ替えてしまう?」
「正確には、写真の姿と入れ替わるのであって、撮られた方と入れ替わるわけではありませんが。ほれ、このように」

店主が差し出したさっき見た写真には、あの母親と一緒に何かを我慢しているような表情のあたしが写っていた。

「ふーん、何か不思議。でもずっとこの男の子のままじゃあ……」
「ご心配には及びません。そのフィルムはお試し用ですので、じきに元に戻ります。ほら」

気がつくと、あたしの姿はいつものあたしに……セーラー服姿の女子に戻っていた。写真のほうも元の男の子の姿に戻っている。

「今は短時間だけ映った姿に変わっただけですが、お買い求めでしたら、本物のフィルムをお付けいたします。全身だけでなく、触った部位だけを入れ替えることもできますよ。一度写真に撮れば思いのままです」

思いのまま! 
その言葉があたしの心の奥の琴線にピーンと触れた。

「でも本物の、そのフィルムを使っても、元に戻れるんですか?」
「ご心配なく。写した写真を燃やせば元に戻れます。燃やさない限り、姿はいつまでも入れ替わったままです」
「へぇ〜、凄いんだ」
「ただしちょっと問題がありまして……このフィルムには限りがあります。店に残っているのはこの10枚1セットだけ、使用期限はあと半年です」
「そっか。で、あの、おいくらなんですか?」
「このようなものがいかがでしょう。あと半年の使用期限ですがフィルムももちろんお付けいたします」

店主は電卓を叩くと、あたしに見せてくれた。高いけど、あたしでもなんとか買えそうな値段だった。

「わかった、買うわ、買います!」
「お買い上げありがとうございます」

店主が梱包してくれたポラロイドカメラとフィルムのセットを手にあたしは店を出た。

「あたしって、このカメラで何がしたいんだろう」

何となくそう呟いたものの、でもあたしの心はもう決まっていた。
そう、このカメラを使えばこうちゃんが手に入る、これでこうちゃんの写真を撮れば、あたしはいつだって……




次の日の学校帰り、あたしはこうちゃんの家を訪ねた。
今朝、こうちゃんはあたしを待たずに先に登校していた。
あたしって思いっきり拒絶されてしまったんだ。
こうちゃん会ってくれるかな……
そう思いつつ、あたしはインターホンのボタンを押した。

「誰?」

インターホンの向こうから彼の声。

「あたし、こと、昨日はご免。謝りたくって」
「待ってて」

しばらくするとドアが開いた。

「昨日はごめん」
「いや、僕も言い過ぎた。今朝も何か顔を合わせ辛くて……ごめんな、こっちこそ悪かったよ。でもわかってくれ、琴とはガールフレンドとか、ましてや彼氏彼女の関係なんて考えられないんだ」
「うん。わかってる」
「そうか、わかってくれたか」
こうちゃんはほっとしたような表情を見せる。
そうか、こうちゃんもあたしのこと気にしてくれていたんだね。
内心あたしは嬉しくなった。
そして計画を実行しようと決めた。
ぜったいにこうちゃんをあたしのモノにするんだ。

「ねえ、こうちゃん。頼みがあるんだけど、写真撮ってもいい?」
そう言って、あたしはポラロイドカメラをバッグから取り出した。
「なんだ? そのカメラは」
「ポラロイドカメラって言うらしいよ」

そう言いながら、あたしは手早く玄関前に立つこうちゃんに向かってシャッターを切った。
カメラから白い紙が出てくる。

「これ、写真なのか? 何も映っていないじゃないか」
「ふふふ、これからよ、もう少し待って」

しばらく待っていると、みるみる白い紙の上に彼の姿が浮き出てくる。

「へぇ〜、こんなカメラがあるんだ」
「面白いのはここからなんだ。ね、中に入ってもいい?」
「ああ、あがれよ」

よかった、こうちゃん機嫌を直してくれたみたい。
あたしは今までと同じように、当たり前のようにこうちゃんの勉強部屋に入った。

「で、面白いっていうのは?」
「こうするの」

そう言って、あたしは写真に映ったこうちゃんの下半身を撫でた。

「え? あれ?」

こうちゃんが妙な顔をしてあたしを見ている。ふふっ、脚が長くなって背が伸びてる。制服のスカートもミニスカートみたい。それにこの窮屈な感じ、パンティの中でもっこり身体の一部が生地を押し上げているのがわかる。

「おまえ、何か変だぞ」
「ね、こうちゃん、こっちの写真も見てくれない? 昨日自分で撮ってみたんだけどうまく撮れているかな」

何か言おうとするこうちゃんを無視して、あたしは撮っておいた自分の写真をスポーツバッグから取り出した。今のあたしが着ているセーラー服姿の全身写真だ。

「お前もこれで撮ったんだ、へぇ〜綺麗に撮れているじゃないか」
「そう、良かった」

えへへ、こうちゃんが褒めてくれた。その綺麗なあたしをこうちゃんにあげるね。

「じゃあこうちゃん、ちょっとこの写真を撫でてみて」
そう言ってあたしは彼の手を取ると、写真のスカート股間の部分に彼の指先を押し付けてみた。
こうちゃんの手がびくっとする。
「どこを触らせてるんだ」
「うふふ、あたしのココ、気になるでしょう。で、どお?」
「どおって?」
「うふふ、タ〜ッチ」
こうちゃんの履いているスウェットパンツの上から彼の股間をさわさわと撫でてみた。
「な、何するんだ」
こうちゃんが思わず腰を引く。でもあたしにはわかった、そこには何も無かった。のっぺりした女の子の股間の感触だった。
「ええ?」
腰を引いたこうちゃんもあたしに撫でられた感触に何かを感じたようで、今度は自分の右手を股間に押し付けている。
「股間がおかしい。え? え? まさか」
「えへへ、これな〜んだ」
あたしは自分の履いているプリーツスカートをまくり上げた。
「うわっやめろ、え゛?」
逸らそうとした彼の目が止まる。
「ほら、ちゃんと見てよ」
自分でも感じる、履いているパンティの生地を押し上げるもっこりとした感触。
「お前、そ、そ、それは」
「えへへっ、こうちゃんのモノ、もらっちゃったんだ」

そう言ってあたしはパンティ越しにその膨らみを触ってみた。

「あふん、なんだかいい気持ち」

あたしの指に触れて、ソレはみるみる大きくなっていく。パンティの中に隠れていた先端がパンティの上から顔を覗かせて、そしてさらに半分以上がはみ出るようにあらわになる。

「これ見覚えあるでしょう、触っているとなんだか気持ちいい〜。こんなに大きくなるんだ、巨根って言っていいのかな?」
「ばか、どこで覚えたんだ、そんな言葉使うんじゃない」
「だってぇ、想像してたより大きいだもん、これ」

あたしは硬くなって大きくはみ出したそれを握りしめてみた。

「んは〜、いい、これ」

すっすっと上下にさすってみると、そこから何とも言えない心地よさが伝わってくる。

「ああん、これってやめられないよ」

立ったままあたしはさすり続けた。
握り締めたそれはすっかり硬くなっている。

「あは、いい気持ち。こうちゃん、こんな気持ちいいモノなんで今まで隠していたの」
「ばか、隠してって、いや、ほんとにお前、どうしたんだ……それよりさっき、それは僕のモノだって」

立ったままさすり続けるあたしの股間を凝視するこうちゃんの視線があたしを興奮させる。

「だから、これはこうちゃんの股間についてたモノなんだって。ああん、気持ちいい」
自分の股間でピクンピクンと動くソレはあたしをさらに興奮させた。

「僕の? 本当に?」

そう言うこうちゃんののどがごくりとなる。そして股をもぞもぞとしている。ふふふ、きっと。

「見覚えある形をしていないかな」
「そうだな、確かに……って、何言わせるんだ」

そう言いながら、あたしの股間についたモノを見ているこうちゃんは、腰をもじもじ動かしている。

「ねえ、こうちゃん、アソコが気持ち悪いんでしょう」
「え?」
「パンツの中が濡れているんじゃない? ほら脱ぎなよ」

そう言ってあたしは強引に彼のスウェットパンツを引き下ろした。

こうちゃんの履いているボクサーパンツの股間にふくらみはなかった。そしてのっぺりしたそこには薄いシミができていた、しかもじわっと広がっている。

「うふふ、興奮してきたのね、そうよね、あたしってこうちゃんのことを思って毎日自分でしてたんだ。だからこうすればもっと」

そう言ってあたしは彼に抱きつくと、あたしのモノになったペニスを彼の股間に押し付けた。

「や、やめろ変態」
「何言ってるの、これってあなたのものでしょう」
「僕のって、いや、でもいくらなんでも、そんなことあるわけないしし、たとえそうだとしてもこんなこと、違うだろう」
「いいじゃない。こうちゃんは興味ない? こうちゃんの股間にいま何があるのか」
「いや、そんなこと」

こうちゃんの顔が少し赤くなっている。きっとこうちゃんのアソコに今何があるのか想像したんだろう。

「今のこうちゃんの股間には、あたしのモノがついているんだよ」
「ま、まさかそんなこと……」
「自分のを触って確かめてみたら? あたしあっち見ているから」

そう言ってあたしはそっぽを向いた。視線の先にはこうちゃんが映っている鏡があった。それに気がつかないこうちゃんはあたしに背を向けるとボクサーパンツを広げて覗き込んだ。
小さな「ええっ!」という声。
そしてこうちゃんはパンツの中に右手を突っ込んでいた。
こうちゃんの肩がぶるぶると震えている。
うふふ、かわいい。
こうちゃんの股間に、今あたしのアソコがついている、そう想像しているだけであたしの股間がいっそう硬くなる。

「こと、僕に、な、何をしたんだ」
「ないしょ。それより、ね、これ、こうちゃんの手でさすってみてくれない? いつも自分でやっているみたいに」
「ば、ばか、そんなことやんないよ」
「してくれないの? じゃあいいわよ、自分でするから」

そう言ってあたしはさらに股間のモノをさすり続けた。どんどん何かがあたしの奥から膨らんでくる。

「ああん、いい、いい気持ち」

さする手に力がこもる、さする動きが早くなる。

やがて…

すっかり硬直しきったあたしの股間のモノは先端から勢いよく白い粘液を噴き出した。

「はぁ〜、これが男子のイク感じなんだ」

あたしは握ったまま床に両ひざを落とした。粘液を放出しきった手の中のペニスが硬さを失ってみるみるしぼんでいくのがわかる。

「はぁ、気持ち良かった。いいなぁ男の人って、溜まりにたまったアレをぶわっと出す瞬間ってとっても爽快。そして全部出し尽くした後のこの虚脱感、いくらこうちゃんのことを思って自分しても今までこんな感じってなかった。こうちゃんこんな気持ちいいもの持ってていいな」
「ば、ばか」
「でもこれはもうあたしのものだよ。こうちゃんが感じてたさっきの爽快感もこれからはあたしのもの」
「お前、何言ってるんだ」
「代わりにこうちゃんにあげたあたしのソレ、こうちゃんも使ってみたら。そっちも気持ちいいよ」

そう言って、あたしは立ちすくむこうちゃんのボクサーパンツを両手で引き下ろした。
奥から染み出た汁を垂らしているアソコが露になる。その形、お手入れ具合は確かにあたしのだったアソコ。
少し口を開いて濡れているソコを指先で優しく撫でる。
「はうっ」
こうちゃん耳まで赤い。ふふっ、あたしの指で、あたしのアソコで感じているんだ。こんなに濡れているし、あ、これなら……

「ねえこうちゃん、してみない?」
「は?」
「エッチ」
「や、やるわけないだろう」
「そお? あたしは欲しいんだ、もっと、そう、こうちゃんが感じる全てをあたしのものにしたいの」
「お、お前何を言って……」
「ねえ、こうちゃんはあたしの全てを欲しくない? あたしの感じている全てを」
「ほ、ほしいわけないだろう。俺たちはそんな関係じゃないって何度言ったらわかるんだ。ほんとに何をしたんだ。早く元に戻せよ、コレってどうすれば元に戻せるんだ」
そう言いながら、こうちゃんの目がどこか泳いでいる。今の状況に気持ちがついていけないんだろう。
ふーん、これならいけるかも。

「こうちゃんあたしの胸欲しいでしょう。いつもあたしの大きな胸をチラチラ見ているの知っているんだから」

そう言ってあたしはこうちゃんの手を握った。こうちゃんの手には力が無い。
あたしはこうちゃんの指先をあたしの写真の胸に触らせた。
とたんにこうちゃんの胸がむくむくふくらみ始め、着ているシャツを押し上げる。

「重い」

盛り上がった自分の胸を見下ろすこうちゃんの頬がまた赤らんでくる。

「ふふっ、どお?」

あたしはこうちゃんの胸に手を伸ばして、その大きな胸を優しく揉む。

「あうっ!」

こうちゃんが切なそうに顔を逸らす。気持ちいいの? 
でもちょっとなあ、そんな表情はあたしのこうちゃんじゃないよね。

「気持ち良い? うーん、でも胸が大きいこうちゃんってちょっと気持ち悪いかも。だからもっとあたしをあげるね」

あたしは再びこうちゃんの手を掴むと、あたしの写真の全身をまんべんなく触らせた。

髪の毛、顔、のど、狭い肩、細い腕、そして腰、両脚

こうちゃんの手が写真のあたしをなぞるたびにこうちゃんの姿が変わっていく。
髪が伸びて顔があたしの顔に変わっていく。首が細くなって肩幅が狭くなる。掴んでいた手が小さくなる。腰がくびれていく一方で膨らんだ大きなお尻でボクサーパンツはパツンパツンになっていた。筋肉質の太ももがむっちり変わっていく。
こうちゃんの指が写真のあたしの全てを触り終えると、こうちゃんの姿はすっかりあたしに変わってしまった。そして彼が着ている服も変わっていく。
シャツが白いセーラー服の上着に、なにもつけていなかった下半身を紺のプリーツスカートが覆う。へたり込んだスカートの奥から濃紺のショートスパッツが丸見えだった。恐らくスパッツの中にはピンクのパンティを、上着の中には大きな胸を包み込むGカップのブラジャーもつけているんだろう。
それはぱっと見は小学生にしか見えないのに、胸だけは異様に大きいと言われたあたしの姿そのものだった。

「これ、ぼくの……」

髪の毛、胸、そしてお尻と次々と触って取り乱しているこうちゃん。声もあたしの声になっている。
あたしになったこうちゃんって、かわいい。
あたしはこうちゃんの胸を撫でてみた。

「ひゃう」
こうちゃんが小さな悲鳴をあげる。あたしの声で。
かわいい〜

「うふふ、こうちゃんにあたしを全部あげたから、あたしは残りのこうちゃんをもらっちゃうね、こうちゃんの広い肩も胸も、筋肉も、そしてこうちゃんの顔も。こうちゃんの全てをもらうんだ」

立ちあがったあたしはこうちゃんの写真に触れた。
顔から肩に、両手両足となぞっていく。
あたしの姿が股間以外もこうちゃんの姿に変わっていく。姿だけではない。こうちゃんの写真の全てをなぞって全身が変わると、服までも写真と同じものに変わっていった。
そう、あたしはさっきまでのこうちゃんと同じ姿に変わっていた。

「お、お、おれ」

こうちゃんはこうちゃんの姿に変わってしまったあたしを、唖然とした表情で座り込んだまま見ている。

「さてと」

あたしが口に出したその声もこうちゃんの声。
そう、今はあたしがこうちゃんなんだ。そして目の前にいるのはあたし。そうよね、こうなったらやることはひとつ。

「じゃあこうちゃん、しよっか」
「しようって……」
「エッチ。今までこうちゃんはあたしの事を受け入れてくれなかったけど、こうちゃんになったあたしはあたしを力いっぱい受け入れてあげるんだ。あ、違うか、今からこれをこうちゃんに受け入れさせてアゲルね」
「や、やめろぉ」

四つん這いになって逃げようとするこうちゃんの後ろから腰を掴んでプリーツスカートをまくり上げると、あたしは丸見えになったスパッツとパンティを引き下ろした。

脚と脚の隙間から、てらっと光って開いたアソコが丸見えだ。

こんな角度から自分のモノを見るなんて初めて。
それに見ていると、萎えていたこうちゃんの、いいえあたしのペニスが再びむくむくと膨らんでいく。
ああん、何だかこれ、また大きくなってきちゃった。

「あたしがあたしの初めてを……いいよね、こうちゃん」
「やめて……ひぃ」

両手でこうちゃんの腰をがっちり掴むと、股間のペニスをアソコに押し当てた。
こうちゃんはばたばたと逃げようと腰を動かすけど、あたしはがっちり掴んで離さなかった。
ぐっと腰に力を入れると、あたしのペニスは濡れているこうちゃんの中にずるっと入ってしまった。

「ああん、締め付けてくるぅ」

その心地よさにあたしは無意識に腰を前後に動かしていた。何となくそうすれば気持ち良いのがわかる。
あたしのものになったペニスをすっぽりと包み込んだこうちゃんのアソコは絞るようにその中で蠢いている。
この感触、気持ちいい〜
あたしは夢中で腰を動かし続けた。

「あ、やめろ、やめ……やめてぇ、んふん」

こうちゃんがぴくんと顎を上げる。悲鳴のようなこうちゃんの声はあたしのだった声。
鏡に映る顔はすっかり紅潮している。あたしの顔でこうちゃんは何かを堪えるように唇を噛んでいた。
うふっ、あたしのコレで感じているのね、こうちゃん。

「何を我慢しているの? そんな顔をされるともっとコレを動かしたくなっちゃう。あたしになったこうちゃんって、かわいい」
「かわいいなんて、頼むからもうやめて。これ以上されると、僕おかしくなっちゃう」
「やめない、ううん、もうここでやめられない。ね、一緒にいっちゃいましょう」

あたしはこうちゃんの着ているセーラー服の脇ファスナーを引き上げると、手を中に入れてブラジャーもめくり上げた。
ぷるんと動く大きな胸に直接手に触れる。柔らかなその感触を指先に感じるともう我慢できない。あたしは両手で揉みしだいていた。自分で自分のを揉むのと全然違う。こうちゃんの大きな手になったのに収まり切れない、大きくってやわらかくって気持ちいい〜。
胸を揉みしだきながら腰の動きも速めていくうちに、気がついたらこうちゃんの着ていたセーラー服もブラジャーもプリーツスカートも脱がせてしまっていた。裸になったあたしなこうちゃんの後ろからうなじを舐めていた。

「あひゃあ」
「うふふ、こうちゃんはもうあたしのモノだよ」

そう、もうこうちゃんはあたしのもの。
この身体も、あたしになったこうちゃんも両方ともあたしのもの。

再び動かす腰突きが激しくなる、男の人ってこんなに早く動かせるんだ……って、あたし何を考えているんだろう。
ああ、でももう限界。いきそう。

「い、いくね」
「や、やめろ、ああん、この感じ、なんだ、あああ」
「「だめ、いくう」」

こうちゃんになったあたしは、あたしの姿をしたこうちゃんの中で果てた。





あたしたちはこうちゃんの勉強部屋で重なり合うように横たわっていた。
はぁはぁと肩で息していたこうちゃんが顔をこっちに向ける。
うわぁ、潤んだ瞳のあたしがこっちを見ているよ。

「どうするんだよ、こんなことして。はやく元に戻せよ」
「そんな、もったいない」
「もったいなんて、こんなこと僕はもうごめんだ」
「でも、こうちゃんかわいかったよ、あたしよりずっとかわいい」
「ばか、だから早く……」

上半身を起こしたこうちゃんの大きな胸がぷるんと揺れる。
ふふっ、あたしになったこうちゃんって、ほんとにかわいい。そうだ!

「ね、こうちゃん、あたしたちしばらくこのままでいましょうよ」
「何言ってるんだ、こと」
「だって今のこうちゃんはあたし、宇西琴。そしてあたしがこうちゃんなんだよ」

そう、あたしはこうちゃんになったんだ。大好きなこうちゃんに。
だからあたしになったこうちゃんを、これからもいっぱい愛してあげるね。

「ということで、今日はこうちゃんがあたしんちに帰って」
「な、何を言ってるんだ、早く元に戻してくれ」
「だってあたしもどうすれば元に戻れるのかわかんないんだもん」

そう言ってあたしは心の中でぺろっと舌を出した。

「だからこのまま帰って」
「そ、そんなぁ」
「あたしの顔でそんな情けない顔しないで。こうちゃんも、あたしの身体にもっと興味あるでしょう。帰ったら何してもいいよ、あたしが許す」
「そんなことするわけ……」
「じゃあ、明日学校でね」

あたしはこうちゃんに下着とセーラー服を無理やり着せると、追い出すようにこうちゃんちの玄関から路上に放り出した。

「ばか、入れろ」
「あ、もっと挿れて欲しいんだ、もの足りなかった?」

閉じたドアの外で沈黙。

「……元に戻る方法がわかったら必ず戻すんだぞ、それまでの間だから」
「うん、わかった。わかったら戻してあげるから、それまではあたしの振りをしていてね」

元に戻る方法? そんなの最初からわかっているけど教えない。
あたしとこうちゃんの姿を入れ替えた写真はあたしの手の中。
いつ戻ろうかな、ずっとこのままでも良いかな。
だって、こうちゃんはアタシのものだもん。



 *   *   *



 あれから数週間が経った。
「早く元に戻してくれ。どうしたら元に戻れるのか、まだわからないのか」
 毎日そう問いかけながら、琴になった僕は僕になった琴を追いかけ続けた。
 琴としての、女としての生活にもその間に少しづつ慣れていった。

 あの日、恐る恐る琴の家に入った僕は「あらおかえり琴、早くお風呂に入りなさい」と、ごく自然に琴のお母さんに迎えられた。やっぱり琴のお母さんにも僕のことが琴に見えるんだと、内心ため息をついた。
 琴の部屋に入って制服を脱ぐ。一人でじっくりと見る下着姿の琴の身体にドキドキしながら見慣れた琴の普段着に着替えた。
 ベッドに腰をおろしてため息をついた。
 でもそのうちにおしっこを我慢できなくなってしまった。限界を感じた僕は遂にトイレに飛び込んでパンティを下ろすと、恐る恐るしゃがんで放尿した。
 男の時と変わらない解放感に包まれる瞬間。でも再びパンティを履くまでが大変だった。だっておしっこで濡れた琴のアソコを拭くんだから。僕の手で。
 ようやくトイレから出てくると、琴のお母さんに再びお風呂に入りなさいと促された。
 服を脱いでお風呂の鏡でじっくりと見る裸の琴の姿。
 これが今の僕。
 悔しい反面、胸のどきどきが止まらなかった。
 そして夜、明かりを消してベッドの中で動く指、自分の口から洩れる女の吐息……

 思い出すあれから今日までの記憶の中の自分の姿はすっかり琴の姿で……って違う違う、慣れてきたというのはそういうことじゃない。
 僕は僕なんだ。
 そう思いながら今日も登校の時間になると僕の家に琴を迎えに行く。
 そうさ、琴が元に戻る方法を教えるまで、彼女が根を上げるまで問い続けるしかないんだ。
 出てきた彼女の横につくと、僕は琴の手をぎゅっと握って自分の体を彼女に密着させて歩いた。

 学校に近づくと、僕らの後ろでくすくすと笑い声が聞こえる。
「うざいちゃん、また旦那様の隣にいるよ」
「ほんとにいつ見ても篠木さんにつきまとって、篠木さんうざくないのかな」
「まあ、彼もまんざらじゃないんじゃないの?」
「そうね、くすくす」
 僕はうざくない、うざいのは……
「まだ戻る方法わかんないのか?」
 僕は隣を歩く琴を見上げて今日も問いかけた。
「うん、まだ……かな」
 琴は口元に笑いを浮かべてそう答える。
 いつもこうだ。こいつ、ぜったいに戻り方を知ってる。ぜったい聞き出してやる。
「お前、ぜったい知っているだろう、早く元に戻すんだ」
「だーめ、だってこうちゃんの身体って素敵だもん。逞しくって、力強くって」
 そう言うと、琴は僕を横からぎゅっと抱きしめる。
「ば、ばか、乳が苦しい」
「そお?」
「あん、ばか、乳もむな、あむっ」
「ごちそうさま、へへっ、じゃあ先に行くね」
 校門で手を振って走り出す琴を、ブラのホックを外された僕は胸を押さえて見ているしかできなかった。
 口づけされた唇がうずいていた。


(了)
















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