幼馴染 
  作 ふゆ


主人公 水谷連

幼馴染 秋元真奈美

幼馴染 永瀬浩司



「連、昨日のサッカー見たか」

「うん、見たよあれ絶対ライン越えたと思ったよ」

僕は友達の浩司とサッカーの話をしながら登校していた
浩司はサッカー部のエースで成績も良いしイケメンなので人気がある


僕達が話をしながらコンビニの前を通るとセーラー服を着た女の子が店から出てきた

「二人ともお早う」

同じ中学の秋元真奈美だ、彼女はロングヘアーに整った顔立ち、スタイル抜群で成績もいい、演劇部に入っていていつも主演うちの中学でも人気者だ、僕達三人は幼馴染で生まれた時からずっと一緒だけど、二人と違って僕は顔も平凡で成績もまあまあなので学校では地味な存在だ

放課後僕は所属してる手芸部の部室に歩いていく途中、空教室から出てくる女の子に出会った、女の子は暗い顔をして涙ぐんでる様に見えた、教室の中には浩司が居たので声を掛けてみた

「今女子が出てきたけど、その子泣いてるようにに見えたよ、なにかあったの?」

「うん、付き合って欲しいって言われたんだけど断ったんだ」

「そうか、浩司は真奈美の事が好きだからな」

「うん、他の娘とは付き合う気はないよ」

「二人ともA高受けるんだろ、いいな同じ高校行けて、僕の頭だとB高がやっとだよ」

「B高だって悪くはないよ、A高より少し偏差値が下がるくらいだろ」

「まあ、そうだけどね」

「連は好きな娘はいないのか?」

それを聞いた僕は、いるよ、僕は浩司の事が好きだといいたかった、でもそれを言う事は出来ないから

「そんなのいないよ」

と言った

その日夕食が済んだ後SNSにインした、そのSNSは異性に成りたい人が集まる所だ

「こんばんは」

「こんばんは」

僕が入ると何人かの人が挨拶をしてきた

「ねえ、真奈美さん聞いた?」

僕は真奈美という名前でそのSNSをやっていた

「え、なにを?」

「前、異性と体を交換してくれる組織があるって噂があったよね」

「うん、あったね」

「優子さんがそこを利用してホントに交換しちゃったみたい」

「ええ、ホントに?」

「うん、ねえ真奈美さんも本気で交換してみる気ある?」

「うーん、どうだろ異性に成りたい気はあるけど、失う物も多いし今のところはやる気はないかな」

「そうなんだ」


その日家で受験勉強をしてると浩司がやって来た

「どうしたんだ浩司元気なさそうだな」

「うん、実は真奈美がB高受験すると言い出したんで、どうしてB高なんだって聞いたらB高で演劇やりたいし好きな人が居るって言いだしたんだ」

「ええ、B高の演劇部って有名だからそれはわかるけど、好きな人って誰なんだ」

「それは教えてはくれなかった」

「そうなんだ」

浩司が帰った後僕は考えた
今迄浩司が真奈美と付き合うならそれは僕も賛成なので祝福してやれると思っていた、でも別な娘と付き合うならそれはどうかなと思う、そう思った僕はいつものSNSに入った

「こんばんは」

「こんばんは」

「ねえ、前言ってた優子さんが入れ替わった話詳しく教えてくれないかな?」



僕はSNSで教えて貰った組織の前に来ていた
外見は何の変哲もないビル、エントランスに入り事前に教えて貰った暗証番号を入力しエレベーターで目的の階に降りると、外から見るのとは違いそこは高級ホテルの受付のような場所だった

「この前連絡した水谷連です」

僕は受付でそう名のった

「水谷連様でございますね、どうぞ中にお入りになってお待ちください」

案内された部屋で待っているとスーツを着た20代後半位のきれいな女性が入って来てこう言った

「斎藤春香と申します、わたくしが本システムのご説明させていただきます」

その女性を見て僕はびっくりした

「斎藤先生どうしてここに」

その先生は小5の時僕がいた小学校に新卒で入って来た先生だった

「ふふ、久し振りね水谷君、小学校の卒業式以来だから3年振りかしら」

「ええ、そうですね、お久しぶりです斎藤先生」

「でもね私は斎藤先生じゃないの」

「え、どういう事ですか」

「その話は後でするわ、今はここの説明をさせてね」

そう言って先生は再び話し始めた

「それではこのシステムについてご案内させて頂きます、まず最初に入れ替わる方と遭って頂き、お互い合意した場合のみ入れ替わる事になっております」

「はい」

「本日水谷様と入れ替わりご希望の方も、お見えになって別室に待機しております」

そう言われ案内された部屋に行き、中に居た女性を見た僕は呆然として動けなくなった

「連君・・・」

「真奈美・・・」

そこにいたのは幼馴染の真奈美だった

「二人は幼馴染なのよね、私は二人の関係をしってるから最適と判断したの、上の人にそう提案したら分かってもらえたのよ」

先生はそう言った

「そうだったんですか、ありがとうございます、でも真奈美が男性に成りたかったなんて気が付かなかった、じゃあ真奈美が好きな人って女性なの?」

僕はそう言った後真奈美に聞いてみた

「うん、去年まで演劇部に居た岡本先輩の事が好きなの」

「ああ、そうか岡本先輩ってB高行ったよね、それでB高受けるって言いだしたんだ」

「そうなの、B高行ってまた一緒に演劇やりたいと思って、でもどうせなら男子になって岡本先輩と付き合いたいと思ったの」

「そうなんだ」

「連君は浩司君の事が好きなんでしょ、それで女子に成りたいと思ったんでしょ」

「え、知ってたの?」

「それは分かるよ生まれた時から一緒に居るんだもの、でも浩司君は連君の気持ちに気が付いていないみたいだけどね」

「そ、そうなんだ」

「じゃあ、私もやっぱりA高受ける事にするわ、そうすれば入れ替わった後連君は浩司君と同じ高校いけるでしょ」

「うん、ありがとうじゃあ入れ替わりは受験が終わった後になるね」

「うん、そうね」

それまで黙って僕たちの話は聞いていた斎藤先生がにっこり笑って口を開いた

「良かったわね、話が上手く行って、それでは入れ替わりは受験後という事で日程を組ませていただきます」

「よろしくお願いします、でも色々不安です、女の子になって上手くやっていけるかどうか」

と僕が言うと

「大丈夫よ、実は私も元は男性で斎藤先生と体を入れ替えて貰ったのよ」

先生の言葉に僕と真奈美は驚いた

「ええ、でも貴女は僕たちの事を知っていたし、いったい貴女は誰なんですか」

「私はね、あなた達の担任だった村田宏なの」

村田先生は40代の穏やかな男性教師だった

「そ、そんな・・・」

「ふふ、40のおじさんが若い女性と入れ替わるなんておかしいと思ってるでしょうね」

ここは合意しないと入れ替わりはないはずなので、どうして入れ替わる事になったのか聞いてみたくなった

「どうして、入れ替わる事になったんですか」

「彼女は理想を持って入って教師になったんだけど、現状を見て不満を持ったそうなの、私も相談されたんだけど、上に上がって権限を持たないと改革は難しいと話したら、それまでは待てない私に動いて欲しいと言われたの、でも私はそういう事は苦手で煮え切らないでいたのよ、そうしたら強く迫られて、冗談でそれなら入れ替わって君がやったらいいと言ったのよ、それを真に受けて彼女がここを探してきたの」

「へえ、そうだったんですか、でも先生はそれで良かったんですか」

「実は私子供の頃から男性が好きだったし女性に成りたかったの、おじさんだったのが今は若い女性に成れて幸せよ」

「それで納得したわ、先生前と感じが全然違うもの、斎藤先生は大人の女性って感じだったけど、今の先生は可愛いくなったしアイドルみたい」

と真奈美が言った

昔の斎藤先生はセンター分けのボブでクールアンドビューティーて感じだったけど、今の先生はロングヘアで前髪も作ってあるから可愛く見える

「え、アイドル?、ふふ、ありがとう」

そう可愛く笑う斎藤先生はとても40代のおじさんだったとは思えなかった

「先生男性が好きって、彼いるんですか」

「え、ええいるわ、今深田先生と付き合ってるの」

斎藤先生は少し顔を赤らめそう言った
深田先生は斎藤先生の2才上の先生だ

「へえ、深田先生と付き合っているんですかどっちが先に告白したんですか」

「秋元さんグイグイ聞いてくるわね、まあいいわ全部教えて上げる」

斎藤先生は苦笑しながらそう言った

「深田先生は新卒で入って来た時私が指導したの、その時彼の事を好きになったんだけど、そのうち斎藤先生と付き合うようになってそれを寂しく見ていたのよ」

「じゃあ元の斎藤先生と付き合っていたんですか、それって斎藤先生が深田先生と別れる事になるじゃないですか、入れ替わるのを躊躇わなかったんですか」

「彼女はね、恋愛より自分の理想を実現する方が大事だったみたいね、入れ替わる前に別れるつもりみたいだったけど、私が別れなくていいよって言ったらびっくりしてたわ」

「じゃあ、村田先生が深田先生の事好きって入れ替わる前に分かっていたんだ」

「そうよ、話した時はちょっと引いてたけど、深田先生の為にもその方がいいかって言っていたわ」

「でも入れ替わって、深田先生はおかしいと思わなかったんですか」

「変わったって言われたわ、でもむしろ良くなったって言われたの、私はずっと独身だったから料理も得意だし、元男だと男性の気持ちがわかるからね」

「そうですか良かったですね、村田先生は今どうしてるんですか」

僕はそう聞いてみた

「今は教頭になって頑張ってるわ、教頭に成れるの早かったわね、私が成るのは50才位かなって思っていたから」

それから僕達は入れ替わりの日程を決めてそこを後にした



受験も終わりいよいよ入れ替わりの日が来た
僕は真奈美と一緒に事務所に行き
斎藤先生に案内されて入れ替わりの準備をした
ベットに横たわり頭に装置を装着され

「それでは、始めます」

と言われ軽いめまいと共に意識が途切れた

「あ・・・」

目を覚まし自然と漏れた声はいつもと違い高いきれいな声だった、体を起こすとさっきまで真奈美が着ていたライトイエローのニットを僕が着ていてそこには二つの膨らみがあった

「ほんとに入れ替わってる」

隣から男子の声でそう聞こえて来た

「上手く行ったみたいですね」

斎藤先生は微笑みながらそう言って来た

「おめでとう二人とも、これからは望んでいた性で生きて行けるのね」

「これも先生のお陰です」

「これから高校生かいいわね、私も女子として高校生活を経験したかったな」

「先生は高校時代どんな生徒だったんですか」

「私は地味で目立たない生徒だったわね、好きな男子はいたんだけどもちろん好きだなんて言えないし」

「ねえ、先生その指輪ってもしかして?」

その時僕になった真奈美が言った

「え、こ、これは・・・」

そう言って先生は顔を赤らめた

「あ、やっぱりそうなんだ」

「ねえ、どういう事なの」

何の事か分からない僕はそう言った

「ダメね連君、あれは婚約指輪よ、これから女の子として生活するんだからそういうのにすぐ気が付かないと」

「そ、そうなんだ」

「そうなの、深田先生がプロポーズしてくれたの、ずっと好きだったから嬉しかったわ」

「おめでとうございます先生、良かったですね」

「ありがとう、でも不安なのよね、彼の両親に挨拶に行くんだけど、彼のママに女性としておかしいと思われないか心配なの」

「ふふ、大丈夫ですよ先生、先生は私より女らしいからとても元40代の男性とは思えませんよ」

と真奈美がいった

「え、そうかな」

先生は恥ずかしそうにそう言った

その後暫く話した後僕達はお礼を言ってそこを後にした


「うあ、スカート履いて外歩くって初めてだから変な感じ」

僕はそう言った

「ああ、そうか私は普段からパンツも履くから違和感ないけど男子だとそうだね」

教える事があるからと言われ、真奈美も一緒に真奈美の家に行く事になった

僕はどきどきしながら真奈美の家に入った

「た、ただいま」

「おかえりなさい」

家の奥から真奈美のお母さんがそう返事をした

「あ、あの連君も遊びに来たから」

「あら、そういらっしゃい」

「おじゃまします」

僕達は真奈美の二人で真奈美の部屋に入った

「今まで色々教えてきたけど、最後に下着と生理用品について教えるね」

「う、うん」

「これは、こう使うのよ」

そう言って真奈美は生理用品の使い方を教えてくれた

「僕にも生理が来るんだ」

「そうよ、どういう気持ち」

「怖い様な嬉しい様な変な気持ち」

「そう、私は軽い方だから安心して」

「あ、それは良かった」

「後下着はここに入ってるから、ブラのつけ方わかる?」

「うーん、どうだろ」

「じゃ教えて上げる」

そう言われて僕は裸になった

「やっぱり男の身体と全然違うね・・・」

子供頃一緒にお風呂入って真奈美の身体見て以来だけど
その頃とは全然違う身体だった

「あ・・・」

「どうしたの?」

「う、うん下半身が固くなってきたの、さすが男の子の身体ね、でも自分の身体見て感じるってどうよ」

真奈美はそう言って笑っていた

暫く話した後真奈美は僕の家に帰って行った


「真奈美ご飯よ」

真奈美のお母さんに呼ばれ僕は食卓に行った

「お父さんお帰りなさい」

僕は真奈美のお父さんにそう挨拶した

「ただいま」

「ねえ、真奈美最近連君よく来るわね、あなた達付き合ってるの?」

「え、そんな事ないよ、偶然多く来るようになっただけよ、お母さんが心配するような関係じゃないわ」

「別に心配はしてないわ、むしろそっちの方が・・・」

「え、そっちの方?」

「ううん、なんでもないわ」

お母さんはそう言って黙ってしまった

ああ、お母さんは真奈美が女性を好きって事に気が付いていたんだ、お父さんの方はちょと僕の方を見たけど黙って食事を続けていた

僕は食事が終わった後真奈美に今日の事を電話した

「へえ、お母さん私がそういう人だって気が付いていたんだ」

「ふふ、でもいいじゃない、今は普通に男子が好きな女の子になったんだから」

「あはは、そうだね」


朝起きると見慣れない部屋壁に掛かったセーラー服を見て
僕は真奈美になれたんだと実感した


学校に着き自分の教室の前まで来た、いつもの教室だけど今日はセーラー服を着ている、今の僕は女子だから当たり前なんだけどそれでも恥ずかしさが先に立ち教室に入れないでいた

そうこうしてるうちに真奈美の友達が声を掛けてきた

「おはよう、真奈美なにしてるの

「お、おはよう、ちょっと恥ずかし・・・」

「え、恥ずかしい?なにいってるの」

「あ、なんでもない」

僕はそう言って慌てて教室に入った

その日はずっと落ち着かなくてあっという間に昼休みになった、今日から女子グループで話をしなきゃいけないんだけど何を話せばいいか分からない僕は、そうなんだとか相槌をうつしか出来ないでいると

「真奈美今日はなんだか大人しいね、さっき一緒にトイレ行った時もずっと俯いていたし」

と言われた

「そうだよね、なんか変だよ、あ、そうそうねえ真奈美って水谷君とどういう関係なの?」

「え、どうって友達だよ、どうして?」

「だって最近よく一緒にいるし、二人で話し込んでいる事多いじゃない、水谷君の事好きなの?」

「違うよ、僕が好きなのは浩司だよ」

僕は思わずそう言ってしまった

「僕?」

「呼び捨て!」

「やっぱりね」

僕がそう言うと女子達はそう言って囃し立て、僕と浩司の関係を根掘り葉掘り聞いて来た


一日が終わり家に帰ると真奈美から電話が掛かって来た

「今日一日どうだった?」

「もう疲れたよ、トイレ行くとき一緒に行かないといけないし、話を合わせるの大変だし、やってるいけるかどうか不安だよ、真奈美はなんか上手くやってるみたいだったじゃない凄いね」

「ふふ、男子の方の話ってスポーツとか私の好きな話だから楽しかったよ」

「そうなんだ、あ、ねえ今日うっかり浩司の事好きって言っちゃたんだよ、ごめん悪かった」

「え、謝る事ないじゃない、これからは貴方が真奈美なんだから好きにやっていいよ」

「そうか、じゃそうするね」


今日は合格発表の日、僕は浩司に誘われて一緒に発表を見に行く事にした

浩司と二人で出かけるのは初めてなので、どんな服着て行こうか迷っているうちに浩司が家に来て慌ててしまった


会場に行き合格を祈りながら自分の番号を探した

「あったー」

僕は合格していた

「俺のもあったよ」

二人とも合格して喜んでいるその時、真奈美から電話が掛かって来た

「あ、連君こっちは合格したよ、そっちはどう?え、合格したの良かった、どうなるか心配してたんだけど、ホントに良かった、うん、うん、じゃあまた後でね」

僕は嬉しそうに浩司に話しかけた

「連君も合格したって良かったね」

「そう、良かったね」

浩司はちょと戸惑いながらそう言った

それから学校を後にして途中二人でお茶をする事になった

「二人とも合格で良かったね」

僕が嬉しそうに言うと浩司が聞いて来た

「ねえ、真奈美ちょと聞いていいかな」

「なあに?」

「真奈美が好きな人って連の事?」

「え、違うよ、どうして」

「だって、最近いつも一緒にいてなにか話し込んでいるし、今日だって連の合格をあんなに喜んでいたじゃないか」

「それは、幼馴染だし当然じゃない」

「じゃあ、真奈美の本当に好きな人って誰なの」

僕は急に聞かれてどう答えるか迷ったけど、スカートをぎゅっと握りしめ思い切って言った

「私、浩司君の事がすきなの」

「ええ、こないだ他に好きな人がいるっていったじゃない」

「あの時は急に聞かれたからびっくりしたし、受験もあったからそう言ったの」

「そうなんだ」

「うん、ねえ今でも私と付き合ってくれる」

「うん、それはこっちからお願いしたいよ」

「良かった高校でもよろしくね」

こうして僕は浩司と付き合う事になった


今日は卒業式
入学式には学生服を着てここに座っていたのが今はセーラー服を着て卒業する事に感激を覚えていた




今日はお互いの高校に行った同級生の事を教える為に
真奈美の家で話をしていた

「真奈美変わったね」

僕になった真奈美は髪型も変えてオシャレになっていた

「そう?」

「清潔感があるっていうか、僕じゃないみたいだ、女子にモテそう」

「ふふ、連君って今までオシャレに構わなかったからそう見えなかったけど、結構いけてるとおもうよ」

「そ、そうなんだ」

その時真奈美が壁に掛かってるA高の制服を見ながら言った

「ねえ、私達昔由美お姉ちゃんとよく遊んだのおぼえてるよね」

由美お姉ちゃんは近所に住んでる女性で、小さい頃は僕達とよく遊んでくれた

「うん、あの頃僕たちは皆由美お姉ちゃんの事が好きだったよね」

「お姉ちゃんもA高行ったからあの制服着てたんだよね」

「うん、覚えてる、それまでセーラー服を着てたお姉ちゃんがある日A高の制服を着て登校してくるのに出会ったんだよね、それ見た時僕もあの制服が着たいって思ったんだ」

「じゃあ、その時からそういう風に思ってたんだ」

「うん、そうかもしれない、僕はお姉ちゃんの事、異性として好きって言うよりお姉ちゃんみたいな女性になりたいと思ってる自分に気が付いたんだ」

「そうなんだ、じゃあその制服着て見せてよ、私も着てるとこ見たいから」

「う、うん分かった」

そう言われて僕は制服を着てみた


「可愛いよ連君、由美お姉ちゃんより可愛いかも」

グレーのブレザー、白ブラウスにリボン、グリーンのプリーツスカートお姉ちゃんが着ていたのと同じ制服を僕が着てる、鏡に映った僕はそのお姉ちゃんより可愛いと思った

「うん、真奈美って可愛いからこの制服よく似合ってるよ」

「ふふ、今は連君が真奈美なんだよ、自分で自分を褒めるって随分ナルシストんなんじゃない」

「ええ、それは・・・」

そう言われ僕は恥ずかしくなった



今日は入学式、これからは女子高生として学校に通うんだそう思うと嬉しくなった、入学式も終わり手芸部に入部する為に部室に向かった、手芸部に入ると言ったら浩司は妙な顔をしたけど深くは聞いて来なかった

「秋元さん・・・?」

入部の受付をしていたら僕に声を掛けてくる人が居た
手芸部で一緒だった影山さやかだった
彼女とは作品についてよく話をしていたので僕とは仲が良かったけど、真奈美は殆ど話した事は無いと言っていた

「あ、影山さん私も手芸部に入る事にしたのよろしくね」

僕はニッコリ笑ってそう言った

「あ、よろしく・・・」

入部届を出した後影山さんに声を掛けた

「ねえ、影山さんこの後マック寄って行かない?」

「え、う、うん」

影山さんは僕に誘われるなんて思ってもみなかったのか、戸惑った表情でそう言った

「手芸やるの初めてだから知ってる人いて良かった」

僕はそう言った

「でもびっくりした、秋元さんが手芸に興味あるなんて全然知らなかったから」

影山さんはそう言った

「あ、うん最近やり始めたの」

「でも良かった秋元さんが思ったより話しやすい人で」

「え、そうかな」

「演劇部の人って派手ってイメージがあるんだよね」

「そうでもないと思うけど?」

「でもね、うちの中学の演劇部ってB高行って芸能活動したりする人結構いたでしょう」

「うん」

「そういう人達に私達からは話しかけるのが怖いんだよね」

「そういうものなんだ」

「秋元さんて永瀬君と付き合ってるんでしょ?」

「う、うん」

「そういうのも私たちには自分と違う人種なんだなって感じるんだよね」

「へえ、そうなんだ」

「ねえ、秋元さんて水谷君と仲いいんだよね」

「うん、幼馴染だからね」

「水谷君って好きな人いるのかな」

真奈美は岡本先輩の事が好きって言ってたの思い出し

「なんか居るみたいね」

「そっか・・・私、水谷君の事好きだったんだよね」

「え、ええほんと?」

「うん」

僕は影山さんがそんな事を思ってるなんて全然気が付かなかったのでびっくりした、でも気が付いていたところで僕は影山さんの気持ちに答えられないと思い、知らなくてよかったと思った


僕が真奈美になってもうすぐ一年
女子高生として通う学校は楽しく女性に成って良かったと思った
僕になった真奈美も岡本先輩と付き合うことになったと連絡してきて、それを聞いた僕もお互い入れ替わって良かったと言うと真奈美もそうだねと喜んでいた
バレンタインデーの次の日は休日なので
僕達4人でダブルデートをしようと言われそうする事になった

「秋元さん変わったわね、中学の頃はちょっと少年っぽい雰囲気あったのにすっかり女らしくなったね」

岡本先輩にそう言われた

「え、そうですか」

「真奈美は凄くモテるんですよ、サッカー部も真奈美のファンが大勢いるし、通学途中他校の男子からよく告白受けてるんですよ」

と浩司が言った

真奈美になった僕はホントにもてる、学校では僕は浩司と付き合ってるって皆知ってるからいいけど、通学途中にそれを知らない他校の男子が僕によく告白してくる、最初はびっくりして何も言わず逃げ出してたんだけど、最近は「ごめんなさい、彼がいるので付き合えません」てハッキリ断るようにしてる

「え、連君もかっこ良くなったからモテてるって噂じゃない」

話を逸らそうと僕はそう言った

「うん、連君の方も変わったよね、背が伸びてかっこよくなったよ、女の子からチョコも沢山もらえたみたいじゃない」

と岡本先輩が言った

「うん、まあね」

ニッコリ笑って真奈美はそう言った

「ほら、中学時代はそんな感じじゃなかったじゃない」

「やっぱり演劇をやるようになったからな」

そう答える真奈美に僕じゃそんな返答は出来ないと思い
入れ替わって良かったと思った

そんな感じでちょっと変に思われたけど真奈美のフォローもあって楽しくすごせた

帰りは僕の家に寄って行く事になったけど
岡本先輩は用事があると言って先に帰った

暫く3人で話し込んでいると

「ちょっとトイレ借りるね」

と言って浩司が席を外した

「岡本先輩に会うんでちょっと緊張したけど楽しかったね」

「うん、そうだね」

「でも、岡本先輩も違和感感じていたみたいだよ」

「うん、そうだよね、連君も私も中学時代とは全然違う感じになったからね」

「でも、普通の人は入れ替わってるなんて思わないから、大丈夫だけどね」

その時急にドアが開いて浩司が言った

「やっぱりそうだったんだ、何かおかしいとおもってた」

浩司に今の話を聞かれて不味いと思った

「え、演劇の話だよ」

僕はそう言ったけど浩司は納得しなかった

「そうじゃないだろ、連しか知らないはずなのに、真奈美が知っててずっと変だと思ってたんだ」

隠しきれないと思った僕達は本当の事を話した

「そうだったんだ・・・」

「ごめん浩司、許せないと思うなら僕をなぐったっていい、でも岡本先輩には黙っててくれないか」

僕はそう言った

「分かった岡本先輩には言わないよ、暫く考えたいから今日は帰るね」

そう言って浩司は帰って行った

「どうしよう連君」

「うん、岡本先輩には黙っていてくれるって言うから、真奈美達は今までどうりでいいんじゃないかな」

「じゃあ連君達はどうなるの?」

「別れる事になるんじゃないかな」

「そんな・・・」


学校では僕と浩司が廊下ですれ違う事があっても目を合わせもしないのを見て別れたんだと噂が広まった
それを聞いた女の子たちが浩司にアプローチを始めた
僕にも付き合って欲しいと言って来た男子がいたけど全部断って来た

一週間たち近くの公園で逢って欲しいと浩司から連絡が来た
それを聞いてハッキリ別れてくれって言われるんだろうな
どれだけ詰られるんだろう、そう考えながら重い足取りで公園に向かった

待ち合わせ場所で待ってると浩司が歩いてくるのが見えた
僕がクリスマスプレゼントに送った手編みのマフラーを巻いていた

「そのマフラー使ってくれているんだ、捨てちゃっていいよ僕の編んだのなんて気分良くないでしょう」

「・・・」

「このネックレスも返すね騙して貰ったようなものだし」

僕は浩司に貰ったネックレスを返そうとしたけどそれには目も向けず

「ねえ、俺達が付き合いだしたのは、入れ替わった後だよね」

と言った

「うん、そうだよ」

「やっぱり別れたくないよ、この一年とても楽しかった、中身が誰でも関係ない今の真奈美がいい、ずっと一緒に居たい」

「いいの?真奈美の振りして浩司の事騙していたんだよ」

「うん、それでもお前の事が好きだ、ずっと考えてもこの気持ちは変わらなかった」

「ありがとう、僕も浩司の事が大好き」

僕は泣きながらそう言った

そして僕たちは一緒に帰った
帰り道僕はある考えが浮かんだ

「ねえ、さっきの浩司が言った事ってプロポーズみたいだったよね、僕と結婚してくれるの」

「な、なに言ってるんだよ俺たち高校生だろ結婚なんて無理だろ」

「あはは、冗談よでも忘れないでね、女の子はこういう事は一生忘れないんだから」

「なんだかな・・・」


家に帰り真奈美に今日の事を電話すると

「良かったね」

と泣きながら喜んでくれた







20周年おめでとうございます
初めて小説を投稿したのがTS解体新書さんだったので
ここは思い出深いブログです
30周年にも投稿出来るように頑張っていきたいです










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