復讐のスクールカースト 作:Howling 緑が丘高校。 スポーツ系の部活動が盛んで、運動部の実績が軒並み高い。 特に、全国クラスで名を残すサッカー部は憧れの象徴だった。 今日も、グランドにホイッスルと活気に満ちた声が響く。 他校との練習試合。 とはいえ、緑が丘高校サッカー部においては遊びに近い感覚だった。 的確なポジションどり、個々の能力、どれをとっても相手校とは比較にならないほど洗練されている。 悪く言えば、相手校は体の良いサンドバックだった。 そして,そんなサッカー部を応援するチアリーディング部。 ここもまた憧れの象徴とされている。 美人揃い、そして一糸乱れぬ動きは他校においても評判だった。 サッカー部キャプテン・三島竜吾。 チアリーディング部キャプテン・大橋友梨香。 この2人は、緑が丘高校において、スターも同然だ。 スクールカーストというものがあるとしたら、彼らこそ頂点に立つ存在なのだろう。 竜吾は高身長に引き締まった筋肉。ルックスも上の上。 ファンクラブも設立されるほどの人気だ。 一方の友梨香もまた、スレンダーながらもしっかりした凹凸でスタイル抜群。 数多の男子から告白された逸話もあるアイドル的存在。 竜吾がシュートを決める。 それに合わせて友梨香達が華麗なダンスを舞う。 試合は、相手チームが一点も取れないまま、緑が丘高校の圧勝に終わった・・・・・ 「いや~圧勝だったな!!」 試合後、控え室に向かう中で選手達がさっきの試合について話していた。 「いや雑魚すぎだろ。足下にすら及ばないっつーか」 「意味なかったなぁ」 「俺たちと試合するなら金払えっつーの。ギャハハ・・・・」 選手達は、対戦相手だった相手校を言いたい放題に罵る。 その様子は、強豪校とは思えないほどの品格のなさだった。 「まあ待てよお前ら・・・」 そんな選手達に後ろから声をかける者がいた。 竜吾だ。 竜吾の姿を認めて、選手達は一斉に黙る。 キャプテンの存在とはそれだけ大きいのだ。 「それだけ俺たちが強すぎたってコトだ。 そして思い知ったろうぜ・・・連中自身の身の程知らずっぷりをよぉ!」 悪意に満ちた表情を浮かべながら言う竜吾の言葉にその場はどっと吹き出していた。 そのまま竜吾は、後片付けを他の選手に任せ、早々とその場を離れた。 1人廊下を歩く竜吾。この時間になるとほとんど誰もいない。 その視界に、1人の男子生徒が映る。 身長は竜吾より一回り低く、眼鏡をかけ、肥えている。 自信なさげに背筋を曲げ気味に歩いている。 鳥村有樹。2年生。 竜吾にとっては、有樹はまさに対極的な存在だった。 有樹の姿を見て、竜吾の口元がにやりと歪む。 「おい鳥村・・・」 「えっ?」 声を掛けられ、反応しようとした有樹の鳩尾を、竜吾は容赦なく殴りつけた! 「ごはっっっっ!?」 悶絶し、倒れ込む有樹。 「俺の姿を見たら90度で礼しろっつったろうが虫けらのくせにぃ!!!」 何度も、何度も蹴りつける竜吾。 有樹はただただうずくまるばかりだった。 「何かしてやろうったって無駄だぜ!お前の言葉を信じる人間なんざどこにもいねえ! スターの俺と、ど底辺のお前、周りはどっちを信じるんだろうなぁ!」 有樹を嘲る竜吾。 しかし、その言葉は半分真実だった。 有樹には友達はおらず、家族ですら彼のことを愛してなどいなかった。 両親ともに無関心であり、しきりに 「お荷物」と蔑まれる日々だった。 高校に通わせているのも、さっさと卒業して働かせて金をむしり取るためだった。 大学に通わせる気など毛頭ないのだ。 「けっ、てめぇ蹴るのも疲れたからこの辺にしといてやるか。」 うずくまる有樹に唾を吐きかけ竜吾はその場を離れた。 「う、うう・・・・」 ただただ悶絶する有樹。乱れた服装の下からは、痛々しい包帯の痕が・・・・ いずれも竜吾の暴力によるものだった。 ついさっきも、保険室で治療してもらった後だ。 保健室の女性教師にも、このことについては何も話していない。 無言で、深く事情に触れずとも治療だけしてくれる。 深入りされないだけ、ましだとすら思えてしまう。 何も信じられず、ただただ理不尽に流される日々。 有樹は、自分の今の環境、周囲の人間、そして自分自身を呪わずにはいられなかった。 そんな有樹に近づく者が1人。 意識が朦朧としていた有樹には、その姿がよく見えなかった。 その人影は、しばし有樹を見下ろしていた。 かすかな声で有樹に語りかける。 その言葉は・・・・すべてに絶望していた有樹の瞳に、光をもたらすものだった・・・・ 澱みきった光を・・・・・ ------------------------------------------------------------------------------ それから2週間。 グランドには、今日もサッカー部の練習風景が広がる。 インターハイに向けて激しい練習を行うサッカー部の姿がそこにはあった。 インターハイの成績は直接進学に響く。 そのため、選手全員気合が入っていた。 それは、キャプテンの竜吾も例外ではない。 「よし、今日の練習はここまでだ!土日でしっかり休めろよ!休養も立派な練習の一環だからな!解散!」 この日も練習はつつがなく終わり、顧問の号令が、グランドに響き渡った。 「今日も疲れたなー」 「絶対勝とうぜー」 下校時間、選手らが雑談に明け暮れる。 一方、竜吾はある違和感を覚えていた。 毎日のようにいたぶっていた有樹の姿をここのところ見ていないのだ。 学校のスターである自分にとって取るに足らない存在であったが、 いないならいないで、ストレスの発散相手がいないことも意味していた。 そのためか、竜吾は若干イライラしていた。 表だって怒り散らすことができないからだ。 「りゅ~ごっ♪」 正門にさしかかったところで声がした。 目の前に立っていたのはチアリーディング部キャプテンで、彼女の友梨香だった。 サイドポニーの黒髪長髪。学校の制服を少しばかり着崩し、スタイルの良さを強調している。 「おう。練習終わったのか?」 「うんっ♪」 そう言って、友梨香は竜吾に組み付く。 学校一のアイドルがいちゃつく姿に、取り巻きの選手達がざわめく。 「うわ部長見せつけっすか?」 「うらやましぃ~っ!」 「チア部の女子紹介してくださいよ!!」 「バカお前らうるせえぞ!じゃあな!」 「「「うぃーっす」」」 恥ずかしそうにしながら、竜吾は選手達と分かれた。 二人きりの帰り道。 「おい友梨香・・・どうしたんだよ。えらく積極的じゃねえか?」 竜吾が問いかけると、友梨香は竜吾の正面に立つ。目を潤ませながら・・・ 「ねえ竜吾ぉ・・・・今日・・・シタいんだけど・・・」 「ちょ、おま!」 突然の告白に顔を赤らめる竜吾。 竜吾と友梨香は過去に幾度か肉体関係を結んでいたが、 ここまで積極的な友梨香は初めてだった。 「だめぇ?」 見つめながら手を掴んでくる友梨香。その手は、若干震えていた。 その様子に、竜吾の理性は緩みきっていた。 「い、いいぜ・・・今日、ウチ泊まってけよ。親、いねーし」 目を反らしながら竜吾は言った。 「やった!嬉しい・・・・」 腕を組む友梨香。 そんな友梨香を連れて、竜吾は自宅へと足を向けるのだった。 竜吾の家。高級マンションの一室だ。 竜吾と友梨香は揃って家に入る。 「飯、食うか?軽く・・・」 言いかけたところで友梨香は竜吾に抱きついた。 「つっかまっえた・・・・うふふ・・ね、早くしよ・・・・・」 「おい・・・・」 瞳を潤ませる友梨香。 あまりの積極さに戸惑いながらも、 その制服に手をかけようとする竜吾。 そんな竜吾の唇に人差し指を当てて制止する友梨香。 「でもその前に・・・」 友梨香はバッグからタンブラーを出す。 それを竜吾に手渡す。 「はいっ」 「な、何だよ?これ・・・」 「よく冷えたゼリージュース。プロテインも入ってて健康にもいいんだって・・・・」 「マジか?聞いたことねえけど・・・」 「ささ、ぐいっと。おいしいよ・・」 友梨香は笑みを浮かべながら言う。 「まあ・・・友梨香が言うなら・・・」 竜吾は、蓋を開ける。 中に入っていたのは、友梨香の言ったとおり、 ゼリージュースのようだった。 ピンク色でぷるぷると震え、光沢を放っている。 不気味な飲み物を前に眉をしかめるも、竜吾はぐいっと飲み干した。 「ふふふ・・・おいしかった?」 「ああ・・・何かわっかんないけどなかなか・・・うっ・・・!?」 次の瞬間、竜吾は顔周りが熱くなるのを感じた。 火照っているのか?しかしそれは一向に収まることなく むしろ広がっていく。 やがて竜吾の顔じゅうを火照りが襲った。 「な、なんだよこれ・・・!?顔が・・・熱っ!熱いぞ・・・・」 悶える竜吾。不意に窓ガラスに目をやって、今の自分の状況を理解して呻いた。 「う・・・うわぁっ!!!」 それは、目を覆いたくなるような光景だった。 竜吾の顔部分がまっピンクに染まっていたのだ! その色が、どんどん濃いピンクに染まっていく。 友梨香は、そんな彼氏の変化に驚くこともなく、それどころかニヤニヤと笑みを浮かべていた。 「うっふっふっふぅ~・・・そろそろか!!!!」 友梨香は、竜吾を乱暴に自分の方を向かせると、額に手をかけて一気に引き下ろした! 次の瞬間、竜吾の身体は糸の切れた人形のように倒れ込んだ。 その顔部分には・・・なにもなかった。 顔のない竜吾の身体がその場に倒れ込んでいた。 そして友梨香の手には・・・・ 目を瞑り、意識を失った竜吾の顔が・・・ 依然ピンク色のゼリー状態になっている。 友梨香の顔が、憎しみと喜悦に歪む。 「ようやく・・・・ようやく・・・・・・!!!!!」 ------------------------------------------------------------------------ 「・・・・・・!?」 竜吾は、意識を取り戻した。 気絶していたのか、先ほど何があったのか思い返す。 気絶する前に襲われた異様な顔の火照りが収まったことに安堵するも、次の違和感が襲う。 声を発することができない。 それどころか、身動きひとつ出来ない。 周囲を見回すことが何とかできるだけだ。 「誰か!?友梨香!?」 声を上げたつもりだが、ちゃんと声になっていないようだった。 「うふふ・・・・竜吾起きたぁ?」 呑気そうな友梨香の声が室内に響く。 友梨香は、竜吾の目の前に立った。 「~~~~~~~~~~~~!!!!!」 その姿に、竜吾は目を見開き驚愕し、悲鳴を上げた。 しかし、不思議なことに声が響かない。 竜吾の目の前に立つ友梨香。 しかし、それは友梨香と呼べるものではなかった。 体つきは友梨香そのもの。しかし、その顔はどう見ても女性の顔つきではなかった。 男だった。肥えた感じの、そして竜吾にとって、それは見覚えのある顔だった。 「~~~~~」 (お前・・・・・鳥村ぁ!!!!!) そう、友梨香の顔が、有樹の顔になっていたのだ!! 一体何故!? 「うんうん、いいねぇその表情。たまんないよぉ・・・あ、君の言ってることはちゃあんと聞こえてるから遠慮なく喋っていいよ。」 にんまりと笑みを浮かべながら言う有樹。しかし、声は友梨香のままだった。 「どんな気分かなぁ?自由に身動きできないのってさぁ・・・」 友梨香の声で蔑む有樹。 「~~~~~!!!」 (てめぇ!!!!!友梨香に何をしたぁ!!!!) 「何言ってるのぉ竜吾?私、大橋友梨香だよ。」 有樹は可愛くポーズをとって言い放つ。 「~~~~~~~!」 (ふざけんな!!!元に戻せ!!!半殺しで勘弁してやる!!早くしろ!!!!) 「・・・お前さぁ、自分の立場分かってる?」 有樹は、竜吾の顔のゼリーを持ち上げて排水溝の上にかざす。 「このまま捨てて殺してもいいんだよ竜吾ぉ。当然あんたが死んだことに誰も気づかないしさぁ!」 排水溝にかろうじて視線を向ける竜吾。 ここでようやく「死」の実感を味わったようだった。途端に表情が戸惑いの色を見せる。 「~~~~~~~~~」 (わ・・・わかった・・・た、頼む・・・・や、やめろ・・・) 「ねえ、人にものを頼むんなら態度ってものがあるんじゃなあい?」 なおも友梨香の口調で嘲る有樹。 「~~~~~~~~~~~~~~」 (わ、わかった!お、お願いします!許してください・・・・・) 悔し涙をにじませながら、竜吾は懇願した。 その様子に、有樹は満足げに表情を変えた。 「うん、分かった。それじゃ、今は殺さないであげる♪」 今は、という言葉に不安を残しつつも、ほんの少しだけ安堵する竜吾。 有樹は、竜吾がよく見えるようにと、壁に竜吾の顔を固定した。 そして、目の前に座る。 座り方は女性のそれとはかけ離れた、両足を広げて男のような座り方だ。 「んふふ~、それじゃ、順番に説明しよっか~。 さっき君に飲ませたのは、裏ルートでしか手に入らないゼリージュースさ。 生産も終了して同じものがあるかないかすらはっきりしないんだけどね。 そのゼリージュースのことを知ったとき、僕は天からのプレゼントだと思ったよ。 こんなスクールカーストのどん底を這い回る地獄から解放されるためのねぇ・・・ それで、君に最も近づくことのできる友梨香ちゃんを狙ったのさ。 君みたいにゼリージュースを飲ませて彼女の顔を剥がしてからね。 それにしても女の子っていいよねぇ~。みんなちやほやしてくれるし、それに・・・・」 有樹は、友梨香の手で、自らのものになった胸を揉みし抱き始めた。 「こんな・・・キモチイイなんて・・・あ、ああん・・・いいよぉ・・・友梨香ちゃん、君のカラダ・・・いいよぉ・・・・」 「~~~~~~~~~~~~~」 (てめえ!!!!!友梨香の身体触んじゃねえええ!!!!) 「気づかなかった?僕はね、もう1週間前から友梨香ちゃんの身体になってるんだよ。」 「~~~~」 (!?) 驚愕する竜吾。 「このゼリージュースってねすごいんだぁ。顔が入れ替わってることに気づけるのは 同じゼリージュースを飲んだ人間だけなんだって。だから君の目には今僕の顔が友梨香ちゃんの身体に貼り付いてるように見えるんだなぁ。 この1週間、誰も僕が友梨香ちゃんの身体を乗っ取って成りすましてることに気づかないんだよ・・・くふふっ でも君をこの姿で誘惑するのは気が引けたかな~。正直、今この手で殺したいくらい憎い相手だし。」 なんということだ。ショックのあまり言葉をなくす竜吾。 この1週間普通に友梨香と接していて違和感すら感じなかった自分自身に嫌悪した。 「~~~~~」 (お、おい・・・友梨香は!?友梨香は無事なのか!?) 「無事ぃ?ちゃあんとあるよ。ここに。」 有樹は、円形のクッキー箱を取り出す。 その上蓋を竜吾の方に向けて開ける。 「~~~~~~~~~~~」 (ゆ、友梨香!!!!!) 中に入っていたのは、今の竜吾と同じようにゼリー状になった友梨香の顔だった。 泣きじゃくったような表情をしている。 竜吾の姿を見て、必死に何かを訴えているようだ。 「うんうん、本物の彼女とごたいめ~ん♪」 有樹は冷やかし気味に言う。 「~~~~~~~~~~」 (ゆ、友梨香!!無事か!?) 「~~~~~~~~~~」 (竜吾ぉ・・・・助けてぇ・・・・・・・) 「ゆ~り~か~ちゃ~ん」 有樹は、友梨香に意地悪っぽく話しかける。 友梨香は、有樹をにらみつける。 自分の身体を奪った元凶である有樹にあらんばかりの憎悪を向ける。 それに構うことなくにんまりと笑みを浮かべて言う。 「戻してあげよっか?君の身体・・・・」 「~~」 (えっ!?) 「だから君を・・・元の身体に戻してあげるって言ってるの」 「~~」 (ほ、本当に・・・・!?) 「うん」 「~~」 (お、お願い!すぐに戻して!!!!) その言葉を聞いて今までになくにやける有樹。 「んふふふ~、わかったよぉ・・・・」 有樹は、友梨香の顔のゼリーを持ち上げて頭の上にかざした。 そして、口を開ける動作をしてみせた! 「~~~~~~~」 (ちょ!?何してんの!?) 友梨香の顔が恐怖に引きつる! 「ふぇ?だから~、元の身体に戻すんじゃん。 君を食べて、君は僕の中に、君の身体の中に戻れるんだよぉ~。」 有樹の狂気に満ちた表情が友梨香の眼前に迫る! 「~~~~~~~~~~~~~!!!!」 (い、いや!!助けて!!助け・・・) 「おかえりなさ~い」 「~~~~~~~~~~~~~!!!!」 (いやぁあああああああああああああああ・・・・・・・) 「~~~~~~~~~~~~~!!!!」 (友梨香あああああああああああああああ!!!!) 有樹は、口をあーんと開け、友梨香の顔のゼリーを・・・・飲み込んだ。 極上のスイーツを味わうかのように咀嚼する有樹。 「~~~~~~」 (あ・・・・あああ・・・・) ショックのあまり言葉を失う竜吾。 「はぁ~・・・・・おいしかったぁ・・・・」 天を仰ぎ、笑みを浮かべる有樹。 その様子に、竜吾はただただ恐怖する。 「~~~~~~」 (ひ・・・・人殺し・・・・) 「お・・・・おおおお・・・・」 突然、有樹が悶えだした。うずくまり、身体を震わせる。 やがて、その震えが収まる。 「~~~」 (!?) 竜吾は、目の前の光景に愕然とする。 目の前にいる有樹の顔が貼りついた友梨香の身体。 その顔が、有樹のそれから、友梨香の顔へと変化していく。 やがて、有樹の面影は消え、完全に友梨香の姿に変わっていた。 「竜吾?」 友梨香は心配そうな表情で竜吾に語りかける。 「~~~~~~」 (ゆ、友梨香・・・友梨香なのか・・・?) 「そうよ?他に誰がいるの?」 「~~~」 (いやだって、鳥原が・・) 「鳥原?ああ、あのキモ男。どうやら飲み込まれて消えちゃったみたいね。」 淡々と語る友梨香。 「今はもう、私は私よ。」 微笑みながら髪をかき分ける仕草も、普段見慣れた友梨香のそれだった。 本当に、戻ってきたのか・・・・友梨香・・・・ 竜吾は心底安心した表情を浮かべる。 「~~~」 (そうか・・よかっt・・・・) 「って言うと思いましたぁ~~~~~~~~???」 突然、友梨香が表情を歪めながら言った。 「~~~~~~」 (ゆ、友梨香・・・?) あまりの豹変ぶりに戸惑う竜吾。 「んふふ・・・・」 ニタニタ笑う友梨香。 その笑みは、有樹がしていた下衆めいた笑みそのものだった。 「~~~~~~」 (お、お前・・・・誰だ・・・?) 「んふふ~、誰ってぇ・・・大橋友梨香だよぉ。 鳥原有樹の自我に上塗りされた・・・・ね。」 「~~~~~~」 (な・・・!?) 「だから~、友梨香ちゃんのゼリーを食べて、彼女の記憶や仕草、人格もぜーんぶ僕のものにしちゃったんだぁ・・・・ もう、僕が友梨香ちゃんで友梨香ちゃんが僕。みたいな・・・・ねぇぇワ・タ・シ♪」 「ええ~・・・有樹くんがワタシを食べて身も心もひとつになっちゃってすんごく幸せなのぉ~ ずっとずぅっと一心同体でいましょうよぉ~・・・このおっぱいもアソコもいっぱい弄っていいのよぉ♪」 「それじゃお言葉に甘えて・・・んっ・・・ああん・・・ワタシのおっぱい・・・・やっぱり・・・おっきい・・・キモチイイ・・・」 互いの口調を真似て独り芝居し始める完全に友梨香となった有樹。 そのままスカートの中、ショーツの内側の秘部をまさぐる。 「んんっっ!!!す・・・すごぉい・・・・アソコからいっぱい液体・・・出ちゃう・・・・」 手を抜くと、指先に透明な粘液がべっとりとついていた。 その指先をねぶるように吸い付く・・・・・ 「んはぁ・・・・ワタシの愛液・・・・好きぃ・・・・・」 その狂行に愕然とする竜吾。 「~~~~~~」 (返せ!!!友梨香を返せ!!!!) 目を血走らせる竜吾。 「だ~か~ら、今はワタシが大橋友梨香なんだよ。身も心も完全にねっ♪」 ピースサインをしておどける友梨香(有樹)。 「それにねえ竜吾ぉ。君の身体も、先約があるんだぁ・・・」 そう言うと、友梨香はもうひとつのクッキー箱を取り出し蓋を開けた。 「~~~~」 (うっ・・・!?) その中には、ピンク色のゼリーがあった。 よく見るとそれは女性の顔だった。 しかし、友梨香とはほど遠い不細工なものだった。 その顔に、竜吾は見覚えがあった。 「~~~~~~」 (た、確か友梨香が前にシメていた・・・・) 「見覚えあったのね竜吾ぉ~。そうよ、彼女は浦部明日香さん。 昔のワタシが竜吾に色目使ってるの見てボコボコにしたのよねぇ~・・・・」 友梨香に言われて竜吾は思い出す。半年前を・・・・・ ----------------------------------------------------------- 「てっめぇ!ウチの彼氏に色目使ってんじゃねーよ!!」 チアリーディング部部室近く。 チアリーダー姿の女子3人が1人の女子をいたぶっていた。 その筆頭に立っていたのは友梨香で、明日香は、ただただ暴力をこらえていた。 かつての有樹のように。 「つか、そのぶっさいくさで竜吾先輩に惚れるとか身の程知らずすぎじゃないの?」 「マジで消えて欲しいんだけど・・・」 3人がかりで明日香に蹴りを浴びせる。 「や・・・や、め・・・て・・・・」 「おい何してんだ?」 「ああ竜吾ぉ。ちょっと聞いてよ・・・・」 友梨香は竜吾に耳打ちし、明日香が自分に惚れていたことを知らされた。 竜吾はたちまち吐き気を催す仕草をした。 「ぐえっ、ぐへっ!?お、おま、ふざけたこと言うなよ!吐くとこだったじゃねえかよ!!」 竜吾は持っていたペットボトルの水を明日香にぶちまけた。 「ふざけやがって!二度とその面見せんな!!!」 明日香に言い放つ竜吾。そして友梨香を連れて、その場を後にしたのだった・・・・・・ ----------------------------------------------------------- 「~~~~」 (あ、あのときの・・・・・) 「そうよ竜吾。私達でシメた浦部さん。 ちなみに今のワタシにこのゼリージュースのことを教えてくれたのもこの計画を立てたのも全部浦部さんなの。 彼女が来てくれたとき、ワタシは天に昇る気分だったわ・・・・」 「~~~~」 (ま、まさか・・・・・) 「ええ。今から彼女の顔をあんたの身体と融合させる。そしてあんたを彼女に食べさせたら・・・・・ 私達は完全に成り代われるの。スクールカーストの最頂点。三島竜吾とその彼女、大橋友梨香にね。」 「~~~~~~~~~~~~」 (や、やめてくれ!!!やめ・・・・) 竜吾の懇願に構うことなく、友梨香は明日香の顔のゼリーを竜吾の身体に被せた。 ピンク色のゼリーは肌と密着し、癒着して境目が不鮮明になっていく。 元通りの肌色へと変化したところで、意識のなかった竜吾の身体がむくりと起き上がる。 そこには、明日香の、美人とは言いがたい女子の顔をつけた竜吾がいた。 手のひらをまじまじと見つめて新しい身体の感覚を確認する明日香。 「ふっふふふふ・・・・これでひとまずこの身体はワタシのもの・・・・」 竜吾の声で話す明日香。 男の声で女言葉を話す様子に竜吾はもちろんのこと、友梨香も若干引いていた。 明日香は、竜吾の身体をまさぐる。 何もない胸板。そして、男にしかない逸物・・・・ 「んんっ・・・・すごい・・・これが男のおちん○ん・・・・・」 うっとりする明日香を促すように、友梨香が割って入る。 「さ、貴女も早く完全な竜吾になりなさい。悲願でしょう?」 友梨香に言われて、我に返りこくりと頷く明日香。そして、竜吾の顔のゼリーを掴みあげた。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」 (や、やめろ!!!やめてくれ!!!助けて!!!助けて!!!!!!) 「こわがらなくていいんですよ竜吾先輩。これからワタシが貴方になって生きてあげますからね。 センパイとひとつに・・・・・・・・うふふふふふふふ・・・・・いただきますっ♪ あぁ~ん・・・・・」 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」 (い、いやだ!!!いやだぁあああああああああああ!!!!!) 涙を流し醜く命乞いをする竜吾の様子を、友梨香は心底嬉しそうに見つめていた。 長年の屈辱が今、完全に晴らされようとしているのだ! 「ばいば~い。昔の竜吾♪」 手を振ってお別れをする友梨香。 それを合図に、明日香は、竜吾の顔のゼリーを口に含み、じっくりと飲み込んだ!!! 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」 (ぎぃやぁあああああああああああ!!!あがっ!あががががっ・・・・・・!) それが、三島竜吾の最期の断末魔だった。 それに構うことなく、明日香は竜吾の顔のゼリーを飲み込んでいく。 そして一気に・・・・・飲み干した。 「うっ・・・ううううう・・・・・」 明日香は身悶え、有樹がそうであったようにうずくまる・・・・ やがて、すくっと立ち上がる。 「ふぅ~っ・・・・・すっとしたぜ・・・・・」 顔つきが、完全に竜吾のそれとなっていた。 「気分はどう?」 友梨香は竜吾となった明日香に尋ねる。 「ああ・・・竜吾先輩・・・いや、俺の記憶がどんどん入って男言葉も自然に出るようになったぜ・・・ 誰も俺のこと疑いやしねえよ。」 完全に竜吾となった明日香は竜吾の口調で応える。 「うふふ・・・嬉しいわ。何もかもうまくいったわね。」 「そうだな・・・2週間前にうずくまる君を見たとき運命感じたよ。君が俺の願いを叶えてくれる手助けをしてくれるって・・・・」 「ほんとうれしいわぁ・・・・それじゃ・・・・・」 友梨香は竜吾の目の前でシャツをはだける。 「それじゃや・く・そ・く。襲って・・・・昔のアナタをいじめ抜いた私の身体を・・・・たっぷり犯して・・・・」 瞳を潤ませ、次第に呼吸も荒くなる。竜吾の手を取り、自らの胸に招き入れる。 「何でかわかんないけど、私、すっごく興奮してる・・・この身体がキュンキュンしちゃってるから・・・かな・・・・ ねえ、私を恨んでたぶん、犬みたいにさ・・・・お・か・し・て♪」 「おう・・・何かよう・・・・完全に男になったせいか・・・憎んでたはずなのが無茶苦茶に犯したいぜ・・・・ 身体の記憶とかにも影響されてるのかもな。お互い・・・へへ・・・・」 「それじゃ・・・・」 竜吾と友梨香の身体をそれぞれ乗っ取った有樹と明日香。 いや、今や新しく生まれ変わった竜吾と友梨香。 スクールカーストの最底辺にいたはずの2人が、最頂点にいる2人のすべてを奪った瞬間だった。 2人は一緒にベッドへと入っていく。 そのまま、竜吾は荒々しく抱きつき舌を強引に入れた。 友梨香はそれを受け入れるように竜吾の舌を受け入れる。 友梨香は竜吾を興奮させようと、太腿を竜吾の脚の間に差し入れ、擦りつける。 舌で竜吾の顔や身体をペロペロ舐めながら、太腿を前後させていく。 すると、竜吾の股間の部分が否応なしにむくむくと膨らむ。 竜吾は、慣れたはずでありながら初めて感じる勃起という現象に快感を覚えていた。 「ふふふ・・・・興奮しちゃった・・・・?」 友梨香は、竜吾のズボンを強引に下ろしてみせる。 「うわ・・・すっげ・・・・こんなにビンビン・・・」 竜吾は、自分の身体の異変に思わず感想を漏らした。 「そうよぉ・・・男ってみんなこうなるの・・・・はむっ・・・」 友梨香は、昔の自分自身についていた逸物を何のためらいもなく口に含んだ。 本来、憎んでいた男の逸物のはずであったが、友梨香としての自我、自意識をも飲み込んだ結果、 愛おしくすら思えていたのだ。 互いに、身体の、そして意識の変化に戸惑いながらもそれを受け入れ始めていた。 「んっ、んっ、んっ、んっ・・・・・」 一心不乱に頭を前後させ、舌と唇で愛撫し唾液を塗りたくる。 先端の亀頭を舌でチロチロとペースも緩急つけて舐め、再び飲み込んで唇で絞る。 友梨香は自然とそのような行為を行っていた。 もともとの友梨香もそうやっていたのだろうか・・・ 「ああ・・・・やべ・・・ああああ・・・・・」 竜吾は、はちきれんばかりに膨らんだ逸物がびくびく激しく震えるのを感じた。 そして、何かがせり上がってくるのを・・・・・ 無意識のうちに、竜吾は友梨香の頭を押さえつけた!!! 「あ・・・だめっ・・・・・で、出るぅっ!!!!!」 ぶるぶるぶる・・・・・・・ 腰をがくがく震わせた後、竜吾は一度脱力し、友梨香の頭からも手を離した。 それに合わせて激しく吸い付いてた友梨香は口を離す。 そして、竜吾に見せつけるように口を開け、舌を垂らした。 友梨香の舌の上には、竜吾が出した精液がたっぷり乗っかっていた。 友梨香は唇の端についた精液も舌ですくい、ごくりと飲み干した。 「はぁ~・・・・竜吾のザーメン濃すぎ・・・私の口に出すのそんなに気持ちよかったのぉ・・・?」 竜吾は、天を仰ぎ射精の余韻に浸る。 それもそうだ。 竜吾の身体、意識のすべてを乗っ取った明日香にとっては、記憶として刻まれている"男の絶頂"を、まさに身をもって体験しているのだから・・・・ 「あ~・・・・やべ・・・・射精って・・・・こんなに気持ちいいんだぁ・・・・・」 「うふふ。そうよぉ。男の絶頂って一瞬なのよ。でもね・・・・まだまだ出せるでしょう?」 友梨香は、しおれかけた竜吾の逸物を友梨香は口に含み、再度前後する。 すると、竜吾の逸物は再度むくむくと膨らんでいく。 その様子を、友梨香は満足げに見つめる。 「さすがサッカー部キャプテンね。アソコの絶倫具合もすごいわ・・・・それじゃ・・・・」 友梨香は、ショーツを下ろすと竜吾に背を向け、四つん這いになった。 「さあ・・・今度はここに入れてぇ・・・・」 腰をくねらせ、竜吾を誘惑する。 すでに友梨香のアソコからは、透明な液体が太腿を伝って垂れ落ちている。 すでに竜吾に理性はなく、牡としての支配欲に塗り固められていた。 後ろから腰を掴むと、ぐいっと一気に突き入れた。 すでに濡れそぼっていた友梨香の蜜壺は、難なくそれを受け入れる。 「うほっ!!す、すげっ!!!きもち、よすぎっ!!!おかしく!おかしくなる!!!!」 竜吾は狂ったジャンキーのように男の快楽の虜になる。 それは、友梨香も同じだった。 「あああんんっっ!!!私のアソコに、竜吾のおちん○んが出たり入ったり・・・・すごい!!! きんもちいいいいい!!!!」 竜吾のピストン運動に合わせて、友梨香も腰を振る。 「あっ、あっ、あっ、あっ・・・・いいよぉ・・・もっと来てぇ!!!私のナカを竜吾でいっぱいにしてぇ!!!!」 友梨香は、心の底から快感漬けになっていた。 女の快楽を心ゆくまで堪能していた。 一方、竜吾もまた友梨香を一方的に犯すことにこの上ない快楽を覚えていた。 かつての明日香としての自分自身が心底憎んでいた相手。 それが、心の底から気持ちよさそうに自分に股を開き腰を振っている。 支配欲と牡としての快楽が結びついていた。 「おおっ、すげっ、すんげえよ友梨香!お前のアソコ!俺のをにゅるにゅる入れてる・・・・!!! やべ、やめらんね!!ひゃははは・・・・」 ひと組の男女が理性を脱ぎ捨て、獣のように快楽を貪り合っている。そして・・・・ 「やべっ!また出る!!!友梨香ぁ!出すぞ!お前のナカに!!!出すぞ!!!!」 「ああああんん!!!イイ!!!早く!!!早くナカに出して!!!私のアソコ、竜吾のザーメンでたぷんたぷんにしてぇ!!!!! ああああああああああああ!!!!!!!イッくううううううううううんん!!!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 竜吾は、友梨香のアソコに根元まで突き刺してがっちりと固定した。そして、 ズピュッ、ニュプッ、ピュルルル・・・・・・ 一度出したばかりとは思えないほどの量の精液を、友梨香の膣内へ吐き出した・・・・・・ それから3度も中出しを決めさせた後、2人はベッドでまどろんでいた。 互いに抱き合い、友梨香はスレンダーな美脚を竜吾の腰に絡ませ濃厚なキスを交わす。 「んふ・・・・今頃、私達の古い身体ってどうなってるのかしら・・・?」 「ああ・・・今頃もう・・・・」 竜吾はテレビを点ける。 そこでは、あるニュースが流れていた。 『○市の海岸に、身元不明の男女の遺体が発見されました。 体格から年齢は2名とも10代くらい。 しかし、2名とも顔がズタズタになっており、身元の特定ができない状態です。 これまでに出ている行方不明者との照合が急がれており・・・・』 「これって・・・・」 「そう、俺達の古い身体のニュース。処理は"先生"が綺麗にしてくれたさ。 そもそも、最初にお前のことを教えてくれたのも先生だったからな。いつも治療してたらしいから・・・・」 そう言いながら、竜吾はスマホを取り出し、短いメールを送信したのだった・・・・ それからは、有樹は友梨香として、明日香は竜吾としての新しい人生を謳歌し始めた。 2人は環境が一気に変化したことに戸惑い、そして嬉しく思った。 スクールカーストの頂点である自分たちを、誰もがちやほやしてくれる。 運動とは無縁だったにもかかわらず、すべてを乗っ取ったことから、難なく、むしろ愉しくできるようにもなっていた。 日中は、学校のスターとして、そして夜は、互いに異性の快楽に溺れる毎日。 ピンクのゼリージュースで手に入れた歪んだ幸せを、彼らは謳歌していく。 しかし、そこにわずかな変化もあった。 「おいてめーら邪魔なんだよさっさとどけ!」 サッカー部の選手数名が、2人組の男子生徒にからむ。 それは、かつての有樹のようなおどおどした学生達だった。 「なんか言えやコラ」 選手が拳を上げる! しかし、それは振り下ろされることはなかった。 拳を、後ろから来た男が掴み、抑えていたからだ。 それは竜吾だった。 「やめろお前ら。みっともねえだろ」 「きゃ、キャプテン!?」 一喝する竜吾。 「部室の片付け終わってないだろ。早くやってこい!」 「「「す、すみません!!!!」」」 選手達がそそくさと去って行く。 あっけに取られる学生2人に、竜吾は近づく。 「悪かったな。試合応援頼むな」 それだけ言って、竜吾は去って行った。 「サッカー部って、あんなんだっけ・・・・?」 密かに囁かれている噂がある。 サッカー部の部長とチアリーディング部の部長。 彼らの性格が丸くなったという。 驕る様子がなく、むしろ周りに優しくなったというのだ。 そのせいか、校内の空気がよくなった。 サッカー部やチアリーディング部は今雰囲気が良い。 などと囁かれるほどになっている。 それは、かつての自分自身が生まれることのないようにという、 彼らなりの良心だったのかもしれない・・・・・・ 〈おわり〉 |
おまけ 深夜、某アパートの一室。 テレビに映るニュース映像を見ながらスマホを取り出す人物あり。 それは、緑が丘高校の保健教師だった。 無表情で影のある女性、としか認識されていない彼女。 そんな彼女が、顔を歪ませていた。喜悦のあまり・・・・・ 「あの子達・・・うまくやったみたいね・・・・」 テレビの横、ズタズタに切り刻まれた2枚の写真を見やる。 三島吾郎。 大橋美里。 それぞれ竜吾の父親と友梨香の母親だった。 かの保健教師とは、同級生だった。 しかし、凄惨ないじめをこの2人から執拗に受けていた。 何度も自殺を考えるほどの凄惨な仕打ちを。 そのため、彼女は誓った。復讐の機会を。 そして、2人がそれぞれ大切にしているもの、彼らの子供のすべてを人知れず奪うことに決めたのだった。 そんな彼女がとある合コンで知り合った藤倉早紀と名乗る美女からもらったのがピンクのゼリージュースだった。 合コン後に酔った勢いで愚痴る彼女の話を面白そうに聞いてた早紀は、2本のピンクのゼリージュースを彼女に手渡した。 「これを使ってみたら? 面白いよ」という囁きとともに。 それを使って自らと同じ境遇にある男女1人ずつを協力者に仕立て、実行させたのだった。 そう、ピンクのゼリージュースを手にしていたのも、他ならぬ彼女だった。 「ついに・・・・ついにやってやったわ!! ざまあみろ!!!!ざまあみろ!!ざまあああああみろおおおおおおおおお!!!!!! お前達の未来を、気づかれないように摘み取ってやったわ!!! 最後に勝つのは私!!!!!私なのよ!!!! アッハハハッハハハハハハ・・・・・・!!!!!」 深夜のアパートに、狂気に満ちた笑い声が響き渡るのだった・・・・・・ |