人間が魔族の娘たちを乗っ取る話
   作:ヴァレー





「これで終わりだ魔王!!」

「ぐおおおおお!! 馬鹿な!!?」

この日、人間族と魔族による長きにわたる戦争に実質的な終止符が打たれた。魔族の王である魔王が討たれたからだ。

(ぐぅ、ワシはここまでのようだ、人間の中にこれほどの力を持つものがいるとは……! 我が娘よ、先に逝くのを許してくれ……)

40年を超える戦いを終わりへと導いたのは人間の中から選ばれた『勇者』だった。人間は魔族に比べ、数は多いものの個々の力は弱く、強大な魔力と高い統率力を持つ『魔王』に苦戦を強いられていた。だが勇者は人間でありながら魔王を凌ぐ強大な力を持ち、戦争において一騎当千の活躍を見せ、ついには魔王を単騎で撃破したのだった。

「やった、魔王を倒した……やったぞみんな! 魔王は死んだ! 人間の勝利だ!!」

「うおおおおおおおおお!!」

勇者の叫びと共に人間たちは勝鬨を上げる。一方で魔王を失った魔族の軍勢は一気に瓦解し、散り散りになりながら撤退していくのだった。

こうして人間と魔族の戦争は人間側の勝利にて実質的に終了した。

だが『実質的』と、あるように魔王の死によって戦争が完全に終了したわけではなく、その後も約1年の間戦争は続いた。戦争とはいっても実際は魔王が死に、統率を失った魔族たちを人間たちが一方的に殲滅するだけのものであり、およそ戦いと呼べるものではなかった。

それから主要な魔族のほとんどが死に絶え、人間が魔王城の直前まで侵攻した時、先代魔王の娘である『女魔王』がこれ以上の犠牲は望まないとし、無条件降伏することでようやく戦争は完全に終結したのだった。


そして先代魔王の死から1年半が過ぎたころ――女魔王とその部下たちは人間の王の城に呼び出されたのだった。


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人間の国の首都、その中央にある王宮に女魔王とその主要な部下たちは集められていた。謁見の間の床に多数の兵士によって拘束され、跪かされている。周りには人間の貴族たちがそんな姿を見下しつつ、まるで見世物のように物珍しそうに見物している。そして彼女が見上げる先には玉座があり、そこには人間の王と大臣、そして魔王を倒した勇者がいた。

「ほぉ……お主が新しい魔王か。あの恐ろしき先代魔王のあとを継いだのがこのような小娘だとは魔族も堕ちたものじゃ。のう大臣よ?」

「ですなぁ国王よ。それに周りに控える新四天王もダークエルフにサキュバス。それにラミアとメスの竜人ですか……屈強の戦士が揃った前四天王とは比べ物になりませんなぁ」

玉座に座る国王とその横に控える大臣は、手足を縛られ床で跪かせられている女魔王と四天王の魔物娘たちを見下し、ニヤニヤと笑う。

(――ッ! それもこれも貴様らが、降伏を無視して魔族たちを虐殺したからだろうに!! あの一方的な殲滅戦で魔族の男たちはほとんど死に絶えてしまった……)

下卑た笑いで魔族を侮辱する国王と大臣に対して、女魔王は思わず殴り掛かりたくなるほどに激昂する。

(抑えてください魔王様! ここで殴りかかっては本当に魔族が殲滅されきってしまいます……ここに来たのは魔族が人間に殺されないように交渉するため。最悪、我々の命を差し出してでも平和条約を勝ち取らねばならないのです……)

「くっ……!」

激昂する女魔王を四天王のトップであり、側近の女ダークエルフがたしなめる。彼女は数少ない旧魔王軍の生き残りの将である。かつては魔族一の美貌と知性を持つ才女として知られていたが、今は魔族をなんとか存続させるために奴隷のような姿で人間に頭を下げている。

(うぅ……魔王様……)

(私たち、どうなるのでしょうか……?)

後ろで控えるサキュバスやラミア、女竜人は今にも泣きそうな顔をしながら心配そうに女魔王を見守っている。彼女らは前四天王の娘たちであり、瓦解した魔王軍で急遽四天王に据えられた。

「御託はいい、人間の王よ。私の命は好きなようにするがよい。だがその代わり生き残った魔族たちにはこれ以上手を出すな!」

女魔王は毅然とした態度で人間の王に対して接する。頭は下げるが心だけは決して屈しないという強い意志が感じられた。

「国王様……彼女らは魔族ですが、既に戦う意思はありません。どうか寛大な処置をお願いできませんか?」

そんな女魔王たちに対して国王の横にいた勇者がそのように嘆願する。彼はこの場の人間で唯一、女魔王たちを見下していなかった。高潔な精神を持つ彼は魔族たちとも手を取り合っていけると考えているのである。

元々、彼が先代魔王を一人で倒したのもそうすれば戦争が終わり、人間・魔族ともにこれ以上犠牲を出さずにすむと考えたからである。実際はその後も人間による魔族の殲滅は続き、人間側の一方的な勝利に終わったが……。政治は分からない彼であるが、魔族たちと手を取り合うために少しでも彼女らが減刑されるように訴えた。

「ふふ、心配するな勇者よ。魔王も、その部下たちも、そして他の魔族たちも殺しはしないさ……殺しは、な」

「どういう意味だ?」

国王は笑いながら含みのある物言いをする。大臣もそれに呼応してクククと嗤う。女魔王は殺されないことにホッとしつつも国王から黒い意思を感じ、さらに警戒を強める。

「例の装置を持ってこい! それと浮浪者どもも入れておけよ」

大臣がそのように兵士に命令を飛ばすと、兵士たちが謁見の間の中に何やら怪しげな形状の装置を持ってきた。その装置は檻のような形状で中には汚い浮浪者たちが入っていた。檻からはゴム状のホースのようなものが伸びている。

兵士たちはそれを女魔王と国王の間に置くと、女魔王と四天王たちの頭にホースのようなものをくっつけた。一方で国王と大臣は兵士たちから装置に備え付けられているスイッチを渡された。

「な、なんですか国王様。この異様な装置は……それにあの檻に入ったものたちは?」

勇者は謁見の間の厳かな雰囲気に似つかわしくない、その装置に顔を歪める。いったいこれで何が行われるのか勇者には見当もつかなかった。だが、勇者以外の人間――貴族や兵士たちはこの装置の正体を知っているようで、ニヤニヤと笑いながら、魔族と浮浪者たちを見つめている。

「奴らは街のスラムに住む浮浪者共よ。働くことも魔族と戦うこともせずに怠惰に生きる人間の屑どもだ。故に今回の実験のモルモットとして使うことにした」

国王は魔族と同様に檻に入った浮浪者たちを見下す。浮浪者たちはただただ怯え、檻の中でガタガタと震えている。

「くっ! 何をするつもりだ人間の王よ!」

女魔王は突然、おかしな装置を付けられたことに怒るが、拘束されているのでそれを外すこともできない。

「くっくっく、我ら人間が支配する世には魔族など不要なのだよ。だが、世界を支配するのに貴様らの身体は利用できる……いただかせてもらうぞお前たちの身体!」

国王と大臣はそのまま手に持ったスイッチを押す。

「ぐっ……なんだ頭が……」

すると装置に電流が流れ、浮浪者たちと女魔王、四天王の脳内にも強い衝撃が走る。彼女らの意識は次第に薄れていき、気を失って倒れてしまった。

「お、王よ! これはいったい……!?」

「黙っているがよい勇者よ。ほれ見てみよ」

目の前で行われた凄惨な光景に勇者は驚き、王を問いただすが、国王は余裕を持った様子で勇者に浮浪者たちを見るように促す。

「うっ……くっ……」

気を失った浮浪者たちはしばらくすると頭を抑えながら起き上がってきた。

「人間……! これはどういうつもりだ!! このような狼藉、我らが魔族を侮辱するつもりか!!」

そして、浮浪者は国王と大臣の方を睨むと、怒り、叫び声を上げた。その様子はどこかおかしい。

「……? なんだ? あの浮浪者はいったい何を言っているんだ? 何故、自分のことを『魔族』などと……?」

勇者は自分のことを『魔族』だと叫ぶ浮浪者たちを見て訳が分からなくなる。これではまるで浮浪者たちが魔族であるかのようだが、あの浮浪者たちはどう見ても人間だ。そんな勇者と浮浪者たちを見つめ、国王と大臣はニヤニヤと嗤う。

「ほっほっほ、自分の身体をよく見てみるがよい魔王よ……いや、『元』魔王かのう?」

「なっ……!? こ、これは声がおかしい……なんだ、この汚らしい姿は?」

「魔力が沸かない。これはいったい……?」

「いやああああ!? ま、魔王様! 私たちの身体が人間の男に……」

「うっ……臭い。なんなのこの臭いは……ひっ、あ? あ、アタシの身体が臭くなっている……?」

国王がそのように言うと、浮浪者たちが一斉に騒ぎ始める。彼らは視線を下に向けると、自分の身体を触り始め、その数秒後に青ざめ、絶望の声を上げる。

「簡単なことじゃよ勇者。あの『換魂装置』を使って魔族共の魂を浮浪者たちの身体に憑依させたのじゃ」

「換魂、装置?」

この装置は『換魂装置』と呼ばれるものだ。名前の通り、魂を入れ換える装置である。国王と大臣はこれを使って女魔王たちの魂を浮浪者たちの身体に封じ込めたのである。ちなみに浮浪者たちの魂は女魔王たちの魂によって上書きされ死に絶えた。

「そうじゃ。ほれ、あそこに魔族共の身体が転がっているじゃろ? あれは魂を失い、空になった身体じゃよ」

国王が指さした先には、魂を失いピクリとも動かなくなった女魔王、女ダークエルフ、サキュバス、ラミア、女竜人の身体が転がっていた。

「無駄飯ぐらいの浮浪者どもは身体を奪われ死に、卑しい魔族共の魂をその浮浪者の身体に封印される。これでお主の望み通り、魔族は殺さずに処置することができるというわけじゃ」

「たしかに殺していませんが……いや、しかし他人の身体にされてしまうなど、これはあまりにも残虐な……」

あまりのことにあっけにとられてしまう勇者。

「もっとも……ここまでは『ついで』に過ぎないがのう。本番はここからじゃ」

「兵士たちよ次の準備を始めろ!!」

大臣が命令すると、装置から浮浪者となった女魔王たちが入れられた檻が外され、代わりに新しい空っぽの檻が付けられる。そしてその中に空っぽになった女魔王たちの身体がぶち込まれた。

「人間!! 我らの身体をどうするつもりだ! 早く元に戻せ!!」

自分たちが人間の、しかも酷く醜い身体にされたことを理解し、(元)女魔王は怒り狂う。側近の(元)女ダークエルフも魔術の構えを取り、今にも王に襲いかからんとする。

「殺す! 貴様らのような下賎なものどもは我が魔術の錆にしてくれる!」

「ほっほっほ、威勢だけはいいのう。じゃが、その身体で何ができる?」

「うっ……? 身体が重い、魔力が湧いてこない……だと!?」

女魔王たちは魔力を練り、檻を壊そうとするが、浮浪者の身体では魔力も体力もなく、少し術式を起動させただけですぐにガス欠になり、倒れてしまった。

「くっくっく、人間というのはお前ら魔族どもが考えている以上に弱いのだよ。例外はそこの勇者くらいか。お前らはこれから死ぬまでその脆弱な身体で生きるのだ、どうだ? とても楽しいだろう?」

「いや……そんな私は……魔王、魔王なのよ……?」

「うぅぅ……こんな姿、亡くなったお父様たちに見せられないよぉ……」

無様な姿を晒す浮浪者になった女魔王たちを見て、大臣は蔑み、嘲る。絶望した女魔王は自分の汚く、そして弱くなった身体を見て身体を震わせ、涙を流す。四天王のラミアやサキュバスたちも絶望し、泣きじゃくる。

「そして、逆に我ら選ばれし人間は脆弱な肉体から解放され、強靭なる肉体を手にするのだ……!!」

空になった女魔王たちの身体が檻の中にぶち込まれると、今度は国王と大臣自身が装置を身体につけ、スイッチを押した。

「ぐっ……!」

彼らの脳内に衝撃が走ると、彼らはその場に倒れ伏した。そして逆に檻の中にいる空っぽのはずの女魔王と女ダークエルフの身体が起き上がり、檻の外に出てくる。

「おぉ、これが魔族の肉体か……素晴らしい力が湧いてくる」

「ですなぁ国王よ。それにこの均整のとれたスタイルの若く美しい身体……老人だった元の我らとは大違いですぞ」

出てきた女魔王と女ダークエルフは口角を釣り上げニヤニヤと笑うと、自身の身体を確認しながら玉座へとついた。

「まさか……国王様と大臣なのですか? 」

「その通りじゃ勇者よ。この女魔王の肉体は『戦利品』として儂がいただかせてもらった」

「そんな……彼女らの身体を奪うなんて何故そんなことをする必要が……」

相変わらず呆気にとられて何もすることのできない勇者は互いに乳繰り合う国王に問いかける。国王はその美しい肉体を見せつけるかのように歩きながら玉座に座り答える。

「儂は王として人間の頂点に立ったが、そんな儂でも老いには勝てん。それに人間の身体では魔族に簡単に殺されてしまう。じゃが……この女魔王の肉体ならば、老いもしないし、個人としての戦闘力も高い。まさに理想の肉体なのじゃよ。この永遠に若く美しい肉体で儂は永遠に人間の王であり続けるのじゃ!!」

自身(女魔王)の豊満なおっぱいを揺らしながら、国王は天を仰ぎ見て宣言する。横に控える女ダークエルフとなった大臣はそれを賛美し、讃える。

「そんな……私の……お父様から授かった誇り高き魔王の血を持つ、私の身体が、あんな下賤な人間に奪われるなんて……う、ぅぅ……!」

浮浪者になるだけでなく、自分の身体をその下手人たる国王に奪われた元女魔王は檻の中でただただ泣き崩れてしまう。

「くっ、すいません……先代魔王様……」

横に控える元女ダークエルフもどうすることもできず、死んだ先代魔王に謝りながらうなだれるしかなかった。

「では……実験を続けましょうか。この場に集まった我が王に絶対の忠節を誓う、貴族及び兵のものたちよ、貴方達にもこの美しく、強い肉体を授けましょうぞ!」

大臣がダークエルフの凛とした美しい声で叫ぶと、謁見の間に集まっていた貴族と兵士たちがワッと沸き立つ。そして、謁見の間には大量の『換魂装置』とそれに繋がれた魔族の女の子たち、檻に入った浮浪者や年老いた奴隷たちが運び込まれた。

「いやあああああ!!」

「うっ、あぁ……なんで私がこんな姿に……」

「こんな脆弱な身体では人間を殺すことなんてできないわ……」

兵士によってスイッチが押されると、魔族の女子たちは皆、醜い浮浪者や奴隷の身体になってしまう。みな一様に絶望し、悲しみに暮れる。一方で貴族と兵士たちは空っぽになった魔族の女子たちの身体を漁り、自分はどの身体になろうかと品定めを始める。

「やはり戦闘力の高い女竜人ですかなぁ? これなら他国との戦争でも役立ちますぞ」

「いやいや、私はせっかくの新しい身体を楽しみたいのでサキュバスにしますぞ♪ 領民を
魅了して村娘でハーレムを作るのもいいですなぁ」

「モミモミ……へえ、この暗黒騎士、中々いいおっぱいしてるな。き~めた、俺はこの身体にしよっと」

「アンデッド系の魔族なら寿命の心配をしなくていいのは良いところですなぁ。この女ネクロマンサーなんてどうでしょう?」

彼らは空っぽの身体を乱雑に扱う。時にはおっぱいや股間などの性器などもいやらしく触り、乗っ取る身体を品定めしていく。そして決まると、それを換魂装置の中に放り込みスイッチを押し、身体を奪っていった。

「ほう、これが魔族の身体……素晴らしい。力が溢れてきますなぁ」

「ははっ、サキュバスの身体だとおっぱいがデカすぎて槍も振れねえな。ま、槍が振れなくても魔力は人間とは比べものにならねえから兵士としてはむしろ強くなったんだがな」

「女とはいえ流石ケンタウロスの身体! とんでもない怪力だ! これなら魔族どもが反乱しても一捻りですなぁ!」

各自、手に入れた新たな身体を確認し、溢れ出る力を楽しげに奮う。年老いた貴族や筋骨隆々の兵士で溢れていた謁見の間であったが、魂の交換がすべて終わるころには非常に姦しい雰囲気へと変貌した。

「うぅ、人間の身体なんてやだよぉ……」

一方で汚い人間の男になった魔族の女子たちは、檻に囚われたまま部屋の隅ですすり泣いていた。そのあまりにも凄惨な光景に、立場をわきまえそれを見守るだけにとどめていた勇者もついに堪忍袋の緒が切れる。

「王よ!! これほどまでに惨い所業、いくら相手が魔族であっても許すことはできません! 貴方は王にふさわしくない! ここで斬らせていただく!!」

勇者は、憤怒の感情にかられて剣を抜き、女魔王の肉体を奪った国王に斬りかかった。先代魔王をも殺した勇者の渾身の一撃。当然、本来の国王なら受けれるはずもないが――

「ふんっ!」

「なっ!? 止めた!?」

「今の儂は女とはいえ魔王の身体じゃぞ? いくらお主が強くてもしばらく受け止めるぐらい容易いわい」

国王は目の前に魔法障壁を展開し、攻撃を食い止める。

「くっ……だが、こんな魔法障壁程度すぐに破ってみせ………ぐはっ!?」

勇者はさらに魔力を込めることで魔法障壁を破壊する。そして剣の切っ先が今にも国王に降りかからんとしたが――その時、勇者の背に強い衝撃が走り、身体は勢いよく空中に弾き飛ばされた。

「ほっほっほ、たしかに一対一ならお主が勝つじゃろうのう。じゃが、この数には勝てまい?」

勇者が痛みに耐えながら後ろを向くと、サキュバスや女竜人になった貴族や兵士たちが魔法で勇者を狙い撃っていた。慌てて避けようとする勇者だったが、部屋中の貴族たちに飽和状に魔法を連打され、起き上がれないほどに痛めつけられる。

「勇者……魔族に勝つまでは戦力になるから生かしておいたが、既に儂自身が魔王の力を手に入れた以上、貴様は必要ない」

「おいっ、アレを持ってこい!」

国王は倒れ伏す勇者を女魔王の足で踏みつける。そして、大臣は兵士に命令して、『換魂装置』を持ってきて、それを勇者に取り付ける。

「くくっ、そんなに魔族が大切なら貴様も魔族にしてやろう。ただし、汚らわしい下級淫魔にな」

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ 男ぉ♪ 男のチンポほしいのぉ♡♡」

魂の交換先の檻には下級の淫魔が捕らえられていた。下級淫魔はその名の通り、魔族でも底辺存在である。サキュバスと同様に男の精を啜る魔族だが、理性がなく身体は常に男のチンポを求め続ける性欲に塗れた肉体である。大臣はそれを装置につなぐと躊躇なくスイッチを押した。

「ぐぅ!!」

勇者の頭に衝撃が走ると、彼は意識を失い、その魂は下級淫魔の中に転移する。

「あっ……お、俺の身体が……」

下級淫魔と化した勇者は手を震わせて青ざめながら自分の身体を見る。その身体は引き締まった筋力と魔力に満ち溢れた天性の肉体ではなく、だらしなく垂れたおっぱいと下品な衣服に包まれた淫欲に満ち溢れた身体であった。

「はっはっは、無様だな勇者よ。どうだ? 下品な淫魔の身体になった気分は」

「くそっ!! 身体を変えられようが、俺の意思は変わらない!! 国王、お前を倒す! てやああああああ…………あ?」

淫魔の肉体になってなお、王に斬りかかろうとする勇者だったが、突然膝をついてしまう。国王と大臣はそれを愉しげな様子で見守る。

「あっ、がぁ……か、身体が熱い……うっ、ムズムズする……はぁ♡ はぁ♡ うぅ、切ないよぉ……」

膝をついた勇者は苦しみ呻く。勇者の股間からは愛液が垂れ、性欲が高まっているのが分かる。耐えきれなくなった勇者は、憎き国王の目の前であるにも関わらずオナニーを始めた。

「はっ♡ はっ♡ あつい……あついよぉ! だれか、誰か沈めてよぉ♡♡」

「下級淫魔の性に対する本能はおよそ人間が耐えられるものではない。その身体になったが最後、一生、男を追い求めるだけのメスと化すのじゃ」

「チンポぉ♡♡ チンポぉ♡♡」

もはや勇者に国王の声は聞こえていなかった。ただただ下級淫魔の本能に屈し、チンポを追い求めるだけのメスとなり果てたのだった。

「哀れですなぁ……おい、兵士たち! この汚らしい淫魔と浮浪者どもを牢獄に連れていけ!」

そうして入れ替えられた魔族と勇者たちは牢獄に連れられて行き。魔族の身体を手に入れた国王たちによる新たな治世が始まったのだった。


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実験に成功した国王はその後も『換魂装置』をフル活用した。

まず、魔族たちの中でも高位の血筋を持つものは連れ去られ、国王に味方する貴族や兵士たちにその身体を与えられた。魔族には男の生き残りはほとんどいなかったので、この国の貴族や兵士たちの大半は強大な魔力を持った魔族の美女・美少女と化した。彼らはその美しくエロティズムな肉体によって領民を魅了し、さらに領地の支配を強めたそうだ。

一方で国王の施策に反対する国民は、勇者と同様に下級淫魔と入れ替えられてしまい、牢獄に閉じ込められるか、魔界に捨てられた。彼ら(彼女ら?)は淫魔の本能に抗うことができず、入れ替えられたもの同士で性を貪りあうだけのケモノと化し、次第に人としての記憶も忘れていった。そして、逆に身体を奪われた魔族の女子たちは、余った身体や役に立たない浮浪者の身体を押し付けられ、魔力も立場もすべて失った敗北者としてスラムで生きることとなり、純粋な魔族はほとんど全滅してしまった。

こうして換魂装置により、国王に従う者は美しい肉体と強大な魔力を手に入れ、従わない者たちは醜い肉体へと堕とされるという国王によるディストピア国家が形成されたのだった……


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それから約1年後――相変わらず女魔王の肉体である国王。その姿はさらに美しくエッチなものに成長していた。国の支配がほぼ完了し、逆らう者もいなくなったので国王や貴族たちはその女体で淫欲に耽っていたからだ。国王はサキュバスの肉体を手に入れた兵士たちに奉仕を命じ、乱交を行い、寵愛を与えた。結果、互いの強い精を吸収し合うことになり、その精によって女魔王の肉体はさらなる成長を遂げたというわけである。

「ふっふっふ、国の支配はほぼ完了……あとは最後に残しておいた『お楽しみ』を終わらせましょうか」

そして国王は現在、地下牢に訪れていた。ここには今なお下級淫魔と化した元勇者と浮浪者になった元女魔王が閉じ込められていた。

「久しぶりね元魔王様♡ ……あぁ、アナタにはこの口調は馴染みがないかしら? うーん……あー、あー、コホン―――ほっほっほ、改めて久しぶりじゃのう元魔王よ。その身体の調子はどうじゃ?」

新たな肉体になって1年、既に肉体に沿った口調になっていた国王だが、元魔王を煽るためにあえて昔の老人口調に戻す。

「貴様……!!」

国王の存在に気づき、キッと睨みつけてくる元魔王。だが、その視線には既に以前ほどの覇気はなかった。彼女(彼?)の身体は1年の牢屋生活ですっかり痩せ細っていた。元々、栄養失調気味だった浮浪者の身体であることも相まって、ほとんど死に体の状態である。

「んん〜?? 言葉のわりにはずいぶんと元気がないのぉ?」

国王はそんな元魔王を見下しケラケラと嗤う。

「うるさい黙れ!! 私の顔で喋るな!」

「私のぉ? この肉体は既に儂のものじゃよ。1年かけて肉体から記憶の引き出しもほぼ完了したし、儂は完全に『女魔王』となっておる。ふふっ♡ アナタの身体すごくいいわ♪」

記憶を引き出し、女魔王の口調や所作を真似る国王。

「――っ! もういい、一体貴様がこんな地下牢に何の用だ」

「ほっほっほ、国の支配はすんだからのぉ。後は貴様が男の身体に完全に堕ちれば憂いはなくなり儂の千年王国が完成する。なので強情な貴様を儂が直々の堕としに来たというわけじゃよ」

国王は無視を決め込む元魔王に自身がわざわざ地下牢まで来た理由を説明する。完全なる支配を確立した国王であるが、女魔王の存在だけが懸念事項であった。もし何かの拍子に逃げられるのは困るし、かといって元魔族故に蓄積された恨みによる死後の呪いの可能性も捨てきれないため殺すわけにもいかない。故に男の本能に堕とし、身体に定着させてしまうのが最良だと国王は考えた。

「ふっ……! 堕とすだと? たとえどんなことをされようが私は絶対にこの肉体には屈しない! そして死後は魂を燃やし尽くしてでも貴様を呪ってやる!!」

そんな国王に対して元魔王は絶対に屈しはしないと凄む。

「ほっほっほ、大した自身じゃのう。じゃが………お主は男の本能の凄まじさを理解していない。1年間牢屋で禁欲生活だったお主に耐えられるかな?」

「なに?」

国王はそれだけ言うと、元魔王に近づきズボンを脱がす。すると、1年間ズボンに閉じ込められ蒸れ蒸れになった臭いチンポが飛び出してきた。

「ひゃっ……!? な、なにをするつもりだ貴様!!」

突然、憎き相手にズボンを脱がされ困惑する元魔王。

「ん~? アナタのおちんちんが溜まってて苦しそうだったから抜いてあげようと思って♡♡ それとも儂に触られるのは嫌だったかのぅ?」

国王は構わず元魔王のチンポに触れる。女魔王(国王)の細く白い指で根元から掴み、軽く擦り始める。

「っ……あ、当たり前だ! だれが貴様なんかに……! あっ♡」

「ふぅ~ん? そういう割には私がおちんちん擦ったらドンドン大きくなっていってるけどぉ♡? かつての自分の身体に手コキされて感じるとは惨めじゃのう」

国王は女口調で元魔王の性感を刺激しつつ、元の老人口調でさらに挑発する。国王の言う通り、女魔王(国王)の手でチンポを擦られると、彼女の意に反して、チンポは大きくなり、気持ち良さを感じてしまう。

(やだっ……! ちょっと触られただけでなんでこんなに大きくなるのよ! ひゃっ♡ っぅ……おかしいわ、おちんちん擦られると、こいつのことがなんだかかわいく見えて……!)

元魔王は唇を噛みしめながら国王の手コキを必死に耐える。それでも押し寄せる男の快感は徐々に彼女の中に染み渡っていき、正常な思考が失われていく。

「ほぉ、まだ耐えるか。なら、これならどうかしら♪」

「ひゃっ♡♡♡♡」

国王は手コキを辞め、今度は女魔王(国王)の豊満なおっぱいで元魔王のチンポを挟む。挟んだまま擦ったり持ち上げたりつぶしたりして、的確にチンポを刺激していく。

「うふふ、自分のおっぱいでパイズリされる気分はどうかしら? もっとも、身体をもらった時から大分このおっぱいも成長したから、アナタの知っているおっぱいとは比べ物にならないでしょうけどね♡♡」

「ひっ♡♡ あ゛お゛っ、あっ……! やめ……おかし、くなる……っ♡」

元魔王は汚い男の喘ぎ声をわめきながらチンポの快感を感じいる。女魔王(国王)はおっぱいだけでなく手も使ってさらにチンポを刺激する。

「私のテクもすごいでしょう? あれからダークエルフになった大臣とはよくエッチしてるの♡♡ 大臣だけじゃないわ、魔族の身体を奪った私の臣下たちはみ~んなエッチに夢中なの。そして培ったテクで元の持ち主をみんな男の本能に堕としていったわ。つまり、まだ理性を保っている魔族はアナタだけ♪」

(そん、な……みんなはこの下賤な人間たちに屈したというの? 四天王のみんなまで?)

国王から告げられた事実に元魔王は絶望する。たとえ自分がこの場を生き延びたとしてもともに人間に立ち向かう魔族たちはもうおらず、男の奴隷として人間たちに奉仕しているという。

「くっくっく、お前の側近だった元ダークエルフなど最後には愉しそうに腰を降っておったぞ? 自分の元の身体に興奮しながら惨めに射精しおったわい。あれは儂としてもいいオカズになったのう」

「ひっ♡ お゛♡♡ んん、もうわたし、ん゛♡ だけだと言うの……?」

「そうよ♪ もう、アナタだけ。だからアナタは我慢する必要なんかないの」

国王はおっぱいだけでなく身体全体を元魔王の身体に擦りつけ、性欲をさらに増大させる。乙女の柔肌が眼前に迫り、彼女の中の男の本能は爆発寸前だ。

「あっ♡ あっ…………♡♡」

元魔王は男の本能と最後の理性の葛藤に心が壊れる。視点が定まらなくなり、チンポを勃起させたままボーっとしている。

「さて、最後の仕上げじゃな。……じゃが、この儂の膣をこんな浮浪者の身体に捧げるのはもったいないのう……ここは『あいつ』を使うか♪」

セックスをさせ、最後の砦を崩そうとするが、わざわざ自分の膣にチンポを挿入させる気は国王にはさらさらなかった。なので彼は少し離れ、『あいつ』を別の牢獄から連れてきた。

「え……? アナタは……?」

「はぁ……♡♡!! はぁ……♡♡!! ねえ! こいつ犯していいの!!?」

元魔王の元に連れられてきたのは下級淫魔だった。落ち着きのない様子で自身の股間を弄り、とにかくエロいことがしたくて仕方ない様子だ。そして元魔王にはこの淫魔に見覚えがあった。

「あぁ、いいぞ『勇者』よ。もっともその名は既に忘れておるだろうがのう」

その下級淫魔の正体は元魔王とともに入れ替えられた元勇者だった。彼は既に下級淫魔の本能に負け、精を求めるだけの知性のないケモノになり果てていた。

「ゆうしゃぁ? よく分かんないけど、この男食べていいんだよね!? いただきまーす♡♡♡♡」

勇者はそのまま元魔王のチンポに飛びつきいきなり挿入する。挿入すると「あはっ♡」と愉しそうに喘ぎながら必死に腰を振る。

「親の敵たる勇者に逆レイプされるとはなんとも滑稽じゃのう……そのまま仲良く果てるがよい」

「いひっ♡♡ チンポぉ♡♡ チンポぉ♡♡」

(あ……あ……)

自尊心をめちゃくちゃに破壊され、元魔王の最後の理性も崩壊する。もはや勇者の逆レイプ行為に抵抗することもせず、ただただ男の快感を受け入れ始めた。

「お゛ほぉぉおぉぉぉぉお♡♡♡♡ いくぅぅぅぅ♡♡♡♡!!!」

「あ゛っ、あ゛っああああああああ♡♡♡♡!!!」

そして勇者がイクと同時に元魔王も惨めに射精してしまう。精液とともに彼女の魔王としての誇りや女としての矜持はすべて放出され、完全に男の本能に敗北したのだった。


==


「チンポぉ♡♡ チンポぉ♡♡」

「あはは! 女を犯すってさいこぉー!!」

その後地下牢にはただただおちんちんの魅力に取りつかれ、淫魔をレイプし続ける魔王と、自分のことすら忘れ、ひたすらチンポを求める元勇者だけが残ったのだった。















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