代行屋 桐原初美編 act2

    作:Howling




「覆面ストライダーフレイアのスーアク担当、桐原初美さんです!」

クランクイン日、監督の井戸上俊治が役者スタッフ全員を前に自己紹介した。

「よろしくお願いします!!」

初美は明るい笑みを浮かべ一礼した。

当然、この初美は代行者である"拓人"である。

拓人は、初美の皮に包まれた内側で内心テンションが上がっていた。

(す、すげぇ・・・・俺がストライダーの、それも女性ストライダーのスーアクやるなんて・・・・)


拓人は、筋金入りのストライダーファンだった。
全シリーズ鑑賞済みで、アイテムや設定も把握済み。
特に、拓人にとって、エクリプスは5本の指に入るほど好きなシリーズとなっていた。
その未踏の続編に、それも"創り出す側"に回ることができることは拓人にとってこの上ない喜びとなっていた。

それにしてもこの皮の技術は本当にすごい。
誰1人中身がアクション未経験の特撮オタクな男子学生とは気づかない。

思わずにやけそうになって気を引き締め直す。

(い、いけない・・・・今は"初美さん"として頑張らないと・・・・・)

拓人は全力で"初美"になりきる決意を改めて固めた。



全員の挨拶が終わってすぐさま、ある2人へ挨拶に向かった。
1人は、エクリプスのスーツアクター、東堂浩介。
長年スーツアクターを務めるベテランであり、初美が一番しっかり連携して共演しないといけない相手だ。
失礼は許されない。

「失礼します。桐原初美です。よろしくお願いします!」

気合いを入れて挨拶する。
皮を着ていると、その人本来の性格や癖、仕草とかも自然にできるのだ。
あくまで、初美が普段する行動パターンにそってハキハキとした口調で喋り、しっかり一礼する。
初美自身、どこか体育会系のノリがあるようだ。

「おう!一緒に良い作品に仕上げよう!」

浩介は快活な雰囲気で挨拶に応えた。

がっつりと握手を交わす。概ね好印象だ。
伝説のアクターとの握手に胸が躍る。
しかしこれは初美自身同じ思いだろう、と信じる。

その後"初美"は金城春奈役の笠沖綾乃の元に向かった。
スーツアクトレスにとって、本来の中身の人との違和感をいかになくすかは大切、
それなら良好な関係をしっかり作らないといけないと思っていたからだ。

「初めまして、笠沖さんですよね?今回フレイアのスーツアクトレス担当します桐原です。よろしくお願いします。」

そう言って一礼した。

「あ、初めまして。笠沖です。こちらこそよろしくお願いします!!」

綾乃もまた笑顔で挨拶に応じてくれた。
彼女はもはやファンとしてあがめる存在ではない。
ともに演技を通じて高め合う存在、いわゆるバディだ。

思わず握手する手に力がこもった。
映像を通じて観てきた憧れの女優相手にした握手でも不思議と動じることはなかった。
皮によって"初美"になりきっている影響かもしれない、拓人はそう思った。


その後も、リハーサルを通じてアクションの順番をチェックしたり綾乃との打ち合わせなどを行う。
気は抜けない。ここでの行動が初美の将来をも決める。
"初美"も、意見やアイデアを積極的に出す。
作品を最高のものにしたい、という思いは"初美"の中にいる拓人も同じ思いだった。

数度のリハーサルで撮影角度なども入念にチェックされる。
失敗は許されない。

そして本番・・・・・


「すごい・・・・」
率直な感想を口にした。
覆面ストライダーフレイアのスーツだ。
一般に情報が解禁されたばかりとは言えやはり衝撃を感じた。
女性らしいボディラインを表現したスカイブルーのスーツ。

纏う度に身が引き締まる思いがした。

ごくごくわずかなスリットのみが視界となる、という話しは有名で
覚悟はしていたが、不思議と気にならない。
いける・・・・!"初美"は思った。

今回撮影するのは、記念すべき初戦闘のシーンだ。
敵の集団を前に駆け出して敵をなぎ倒す場面。

その中で、リハーサルでの動きを思い出す。

本来、拓人自身はアクション経験など皆無だった。
しかし、着込んでいる初美の皮に刻まれた記憶や技術のおかげで
不思議と抵抗を感じなかった。
むしろ、普通にこなせる妙な自信があった。
やれる、やれる。桐原初美として。
覆面ストライダーフレイアとして。

「はい、本番!よーい・・・アクション!」

腰を落とし、駆け出すためのためを作る。

自分に向かってくる敵の集団へ一目散に疾走する!
敵の攻撃をいなしながら掌底、蹴りを当てていく。
流れるような動作による戦闘スタイルを主軸にしている
フレイアらしさを前面に押し出していった。

敵集団の半数を倒したところで

「ハイカット!」

声が掛かった。

「ふぅ・・・・」

現場の緊張感が一瞬弛緩する。

「いや〜、いい絵が撮れたよ。珍しい。」

監督も満足げに呟いた。

その様子に"初美"も若干安堵した。

「よ〜し!どんどん撮ろう!!!」


この日は丸一日、アクションパートの撮影に明け暮れた。


「はい!お疲れ様!!!!」

今日の撮影は無事に終了した。

"初美"も、フレイアのスーツを脱ぐ。
汗だくだ。

「お疲れさん、またよろしく!!!」

監督からスポーツ飲料を渡された。

「はい!ありがとうございます!」

こうして、"初美"は無事にこの日の代行を終えたのだった。





その夜・・・・・

"初美"は拓人のアパートに戻っていた。

皮を着ているとは言え、当然彼女の自宅に入るわけにはいかない。

かといって、「SUBSTITUTE AGENCY」までは距離もあり、
千春に無理を言ってこうして自宅に戻ってきたのだった。

「ふふっ、まあいいわ。特別よ」

電話口でそう言った千春の雰囲気には何か含むものがあった気がしたが、
気にする余裕はなかった。


「さすがに疲れたわ・・・・」

気を抜いた状態でも皮の特性故に本来の彼女の口調が出ている。
千春特製の皮のすごいところだ。

「シャワー浴びよ・・・」

"初美"は服を脱ごうとして一瞬手を止めた。

今の自分は初美の姿のままだ。このまま服を脱ぐのはまずいんじゃ・・・

躊躇ったところで、鏡に映る今の自分の姿を見た。
綺麗な女性だ。今の自分の姿・・・・・

「で、でも服脱がないとどうしようもないし・・・ちょっとだけなら・・・・」

そう言い聞かせ、そのまま服を脱いだ。
ブラやショーツなど、本来着るはずのなかったものも、難なく外していく。

生まれたままの姿の初美がそこにいた。
鍛え上げられた肢体は美しさそのものだった。

(うわ・・・初美さんの身体すごいな・・・引き締まってて・・・・)

「!?」

突如、身体の奥底からうずくものを感じた。

何故か息が上がってる。

(ま、まさか・・・自分の身体に欲情してる・・・!?)

そう思ったときには、手遅れだった。

身体が火照り、徐々に身体が汗ばんでいく。

そして手は、自然と自らの胸に伸びていた。

「はぁっ・・・・・ううん・・・・」

抑えきれずに声が出る。

(これって・・・・ま、まさか・・・・・!?)

"初美"の中で拓人は悟った。

皮は、初美自身の癖など、
無意識のうちにしている行動をトレースしていた。

つまり、彼女は普段からオナニーする癖がついていたのだ!

そうと分かってからは、止める手段はなかった。
戸惑うこともない。
拓人は、"初美"として女の快楽を貪り始めた。

「ううっ・・・む、胸触ってるだけで・・・じんじんしちゃう・・・あぁ・・・」

最初は胸を指先でなぞっていく。そこからつかみ、大胆に揉み上げる。

筋肉が発達しているせいか、身体が異様に感じやすい。

指先の繊細な動きだけでも快楽が押し寄せた。

さらに、汗の匂いもまた格別だった。
女性の汗の匂いはどうしてこうも芳しいのだろう。
それだけでトリップするのに十分だった。

そのまま、指先で乳首を摘まむ。
すでに、摘まんで欲しいとばかりに勃っていた。

「はぅぅ・・・・!!!!」

立っていられず、その場にへたり込む。

「んあっ・・・・あああ・・・・・」

仰向けに寝転がり、身体をくねらせ快楽に身を任せる。

そして指先は、自らの秘部へ伸びていた。

すでにソコは、かなり湿っていた。

「んんんんんんっっっっ!!!」

悲鳴を押し殺す。
それでも、中で動かす指を止めることはなかった。
それどころか、快楽を求めて激しく指をくねらせる。

「ひぎぃっっっっっっ!!!」

快楽が凝縮された一点、クリトリスに触れる。

今まで以上の快楽が襲いかかる。
こんなにも感じるのだろうか。

もう止められない、行き着くところまで・・・・


「んんんんんんんんっっっっっっ!!!!いくっっっっっっっ!!!」


頭が真っ白にスパークする。
絶頂を迎えてしまった・・・・それも、女の身体で・・・・・

「こ・・・・こんなの・・・・反則・・・・・」

へたり込み、荒く呼吸しながら"初美"は呟いた。



「ふぅ・・・・・」

拓人は、"初美"の皮を脱いでいた。

丁寧に折りたたんで、それを見つめる。

抜け殻となった"皮"。

目や口のところが空洞になっていて、

今まで着ていたものとは思えないほどに生気がない。

それでも、触れると本物の皮膚の質感そのものだし、何よりこれまで自分が着ていたのだ。

千春の元でバイトしてから何回か女性の皮を纏ったが、
いつ見ても驚かされるばかりだった。

これ以上見ていたら余計に毒されそうなきがして、拓人はすぐに寝ることにした・・・・


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