「成り切りツインズ」
 作:嵐山GO


 休日、俺は達樹に呼び出されて家を出た。せっかくの初夏に吹く風だが
デニムのパンツでは、あまり爽やかさは感じられない。

 呼び出された理由は知っている。いつものアレだ。
それでも気分はワクワクで足取りも軽い。
 俺たちは大学で知り合った仲だが、両親が金持ちという達樹は
十分すぎる仕送りを貰い、しかもマンションに一人暮らしという
羨ましい限りの生活を送っている。

「あーあ、俺も一人暮らししてぇ。そしたら達樹なんかと
付き合わなくても、ちゃんと彼女くらい出来ると思うんだ」
 例によって自分がモテないのを家庭環境のせいにしている。
「せっかく大学に入って青い春を満喫しようと思ったのにな。彼女いないの
俺くらいじゃね? いや、達樹もいないのか。ま、アイツは別格だが…」
 
 独り言を漏らしながら達樹のマンションのエントランスで部屋番号を押す。
 ズッズーー
 呼び出しの機械音が低く響いた。
「はい」
 随分と若々しい、というより幼い女の声がスピーカーから聞こえた。
「あ、俺だけど」
「あ、来た。 待って、今開けるから」
 返答の後、すぐにエントランスの自動ドアが開いた。俺はエレベーターに
乗って部屋へ向かう。

 ピンポーン
 部屋の前のインタフォンは、ごく普通の呼び出し音だ。
「いらっしゃーい」
 女子高生のような恰好の女の子がドアを開けて向かい入れた。
「今日はまた随分と若い子だね」
 背を向けて歩き出す少女の後姿を見ながら言った。
「えへ、どうかな?」
 振り向き、両手でプリーツスカートの裾を摘まんで聞いた。
「いんじゃない。可愛いと思うよ。それって制服?」
「そうね。でもオリジナルだから、どこの学校ってわけじゃないけど」
「ふうん、コスプレみたいなもんか」
「コスプレとは違うけどね。制服っぽい私服かな」
「ふうん…ま、どうでもいいけどね」 
 涼しそうで少しだけ羨ましく思った。
 
 リビングに入りソファに腰を下ろし、もう一度少女をじっくり見た。
「なんか飲む?」
 見られているのが照れくさいのか、話題を変えた。
「いいよ。途中で喉乾いたから、飲み物買って飲んだんだ」
「そう…」
 言うと俺の隣にちょこんと座る。
「15,6歳っていう設定? 俺、未成年とエッチする趣味はないけど」
「知ってるよ。だから今日はエッチじゃなくてぇ」
 この年頃に合った下っ足らずな喋り方。何故、こんな喋り方が出来るのか
いつも疑問に思ってた。

「実はね、これ見てくれる?」
 ガラステーブルの下から平たい大きな箱を引っ張り出す。
「それってお前がいつも注文するメーカーの箱じゃん」
 真っ白な箱にメーカー名のロゴが大きく印刷されている。 
 そう、こいつは有り余る金を使って人型の皮を注文している。いつの日からか
その皮を被って女に変身するようになった。
 それからは今日みたいに電話で呼び出されると俺たちはセックスする。
 事が済むと、新たな趣向を話し合い、次の女のタイプなどを決めるのだ。
 胸を強調したグラビアモデルだったり、スレンダーなOLだったり色々。 
 だが今回は全く俺の好みとは違う若い少女の姿なのだ。

「あれ? もう一枚入ってる…別のも注文したのか? 相変わらずの浪費ぶりだなー」
「違うの。これはね、サービスっていうかメーカーのミスで同じものが二枚製作
されちゃったみたいで、早い話がタダなの」
「同じ? じゃ、今、お前が被ってるのと同じヤツ? それって意味ないんじゃん」
「だから呼んだってわけ。着てもらおうと思ってね」
 皮を目の前で広げながら、軽くウインクした。
 相変わらずの女っぷりに恐れ入る。

「いやー、俺はいいよ。女になりたいとも思わないし、お前みたいな真似は
出来そうもない。断じて断る」
 手を振って提案を拒否。
「ねぇ、でも一度、経験してみない? 女の子の身体って凄いんだから」
「そりゃ、お前の絶頂見てれば何となく分かるけどさ…あれが演技じゃなければな」
「演技なんかじゃないってば。お願い。着てみてよ」
 皮を下ろして可愛く両手を合わせ、懇願してくる。

「着てどうすんだよ? 二人で可愛く百合ゴッコでもすんのか?」
 男同士だからレズと言えるかどうか疑問だが。いや、そもそも俺たちの『セックス』も
呼び名としては怪しい。
「二人で外出するの。どう? 楽しそうじゃない?」
「やめてくれよ! そんな恥ずかしい事出来るか! そもそもお前、外に出た事
あんのかよ?」
「ないよ。だから出たいんじゃない。それに姿は女なんだから誰にもバレないよ」
「そういう問題じゃない! 女の真似が出来ないっつーの」
 今日来たのは失敗だった。これなら家で溜まってる録画を見てた方がマシだ。

「あとで説明するけど女の真似なら平気。誰でも出来るの。ほら、私だって成り切れてる
でしょ?」
「そりゃ、お前が女になりたい願望が強いからだろ」
「そうじゃないの。いいからお願い! 一度だけ付き合ってよ!」
「もう一つ問題があるぞ。同じものが送られてきたって言ったよな。それって並んで
歩いたら結構、不気味だぞ」
「なんで? 双子なら問題ないでしょ?」
「う、ううーん…そうじゃなくて」
 ヤバい、押し切られそうだ。

「大学に入って1年たつけど彼女出来た? いないでしょ? でも性欲は満たされてる筈。
私っていう貴方好みの女が常にいるからね。失いたくないでしょ?」
「きょ、脅迫かよ」
 目の前にいる少女はタイプでも何でもない。だが口から出るセリフは恐ろしいほど
妖艶な色香を放つ

「今日一日だけ私の妹になってよ。一日くらいいいじゃない」
「い、妹だって!?」
「だってぇ、どっちかが妹に成らないと」
「そんな説明、聞きたくねぇー」
「駄目、私の方が女性歴長いし、皮の事でも詳しいからね」
「無理だぁーー!!!!」
「無理じゃないの。ほら。お洋服も可愛いの用意してあるんだから」
 強引に皮を手渡された。

「だからー、俺にはホント無理だって!」
「だったらもう、セックスしないもん。いいの?」
 こ、これには流石に弱い。退屈な学園生活もコイツがいるから毎日が
ドキドキで楽しいともいえる。それを失うことは何としても避けたい。
「くっ、分かった…だが今日だけだぞ」
「ありがと。はい。とりあえずパンツね。ブラはあとで私が着けたげる」

 俺は泣く泣く皮を受け取り洗面所で言われた通りに皮の装着を試みる。
 以前、約束より早く着きすぎて、その時に変身を見たことがあるので
見よう見真似だが。
片足から押し込むと、ひんやりとした感触を感じたが、すぐに人肌に馴染む。
 両手も終え、首から下は完全に皮に支配された。
  
「うーむ、キツイな。身体が引き締まる感じだ」
 ゴムだかラテックスだか、素材は知らないが大きな身体の線が、見る見る縮んで
フィットしてくる。
 もともと男らしい肉体美というわけでもないが、身体の線が女になってゆくのが
分かるのだ。

 最後に、後頭部をパックリと割って中を覗くと僅かだが二つの光が差し込んでいる。
(あれが目の部分なんだろうな)
 頭部を繋ぐ首は、ろくろ首のように伸びても被ろうとするとスグに縮む。
 少しして目を開けることが出来、完全に視界が開いた。

「下着か…」
 掌に収まるような小さなパンツにも足を通した。
「ちゃんと皮も着れたじゃん。えらい、えらい。じゃ、後ろ向いて。ブラ着けたげる」
「うう…無様な姿だ」
 下着姿の俺はコイツ(少女)の言いなり。兄弟、いやここから姉妹の始まりなのか。

「おっけー。じゃ、これ着て。ワンピだから被ればいいだけ」
「そっちと同じじゃないんだ」
「ブラウスにスカートの方が良かった? でもボタンとか逆だから、ちょっと最初は
面倒かもよ」
「あ、いや…楽な方でいい」
 俺は、この年頃の女の子が着るであろう可愛いワンピースをすっぽりと被った。
 半袖で袖口にゴムが入っているので少し膨らんで見える。丈は膝ほどの長さで
今の季節には丁度いいかもしれない。

「あは、可愛い妹の完成だね。名前どうしようか?」
「もう、名前なんかどうでもいいよ。外に出るだけだろ」
「名前ないと呼べないでしょ。何かあったら困るし…」
 何かを含むような言い草だ。本当に名前なんか必要なのか?

「私は美香にしたんだ。じゃ、美玖にしたら? いいでしょ?」
「もう何だっていいよ。任せる」
「じゃ決定ね。えーと、そっちの製品番号は、と」
 箱を手に取り何かを探している。
「これね。じゃ、今からいう事を復唱してね。間違えないでよ。間違えたら最初から
やり直しだから」
「何が始まるんだ?」
「いいから黙って。いい? まず両手を首の後ろで組んで。こうよ。はい、やってみて」
「こうだな」

「そう。組んだままで、こう言うの。『製品番号入力』はい、言って」
「製品番号入力」
「Z1022YR46231TTL」
 長かったが間違えずに言えた。暗記力はいい方だ
「女声にチェンジ。名前は美玖。入力」
 続けて言った。すると自分の中で何かが変わっていく気がした。
「もう一つ。『追加設定』って言って」
 言われた通りに言った。
「製品番号Z1022YR46230TTLは姉の設定。名前は美香」
 さらに続けて幾つか言わされた。
「はい、以上よ。設定終了。お疲れ様」
「…」

「もう手を下ろしてもいいよ」
「うん。あれ?」
「良かった。不良品じゃないみたいね。ちゃんと女の子になってるよ。おめでとう」
「(お、俺の声が…)私の声が…」
 なんと自分の思ってる言葉が変換され、しかも女声になって出ている。
「面白いでしょ。これがこの皮の特色よ。凄いでしょ」
「(すげー)凄いね」
「なんでも喋ってみて。全部変わるから」
「あーあーあー」
「あーあー、なんて駄目よ。他に言いたいことないの」

「(今日はお前に騙されたけど、仕方ないから付き合ってやる)今日はお姉ちゃんに
騙されちゃったけど、付き合ってあげるね」
 げげっ、なんか自分で言ってるのにキモいぞ。
「これって何を言っても、その通りに女言葉になるの?」
「大抵はね。でも時々、真逆の事、言うときもあるよ」
「(駄目じゃんか)いやだ、駄目じゃない」
「その辺は、臨機応変にね」
「あまり喋らないようにするよ」

 俺たちは適当に身なりを整えて外に出た。
「ツインテール似合ってるよ」
「ていうか双子なんだから、髪型同じでも良かったんじゃない?」
「駄目よ。私の方がお姉ちゃんなんだから、大人っぽくしないと」
 単に結ばないでストレートのままなだけなんだが。
「それにしても、この大きなリボンは子供っぽ過ぎない?」
 結んだ髪をギンガムチェックの幅広な布で縛られた。
「だから、それくらいの方が妹を強調してていいんだってば」
「そうかしら」
 歩くたびに揺れる左右の髪が気になる。いや、気になるのは両足に
絡みつくスカートの裾も同様だ。

「えーと、この辺だったかなー」
 駅前でバスを降りて、近くをウロウロする。
「買い物したいんじゃなかったの?」
「買い物するよ。でも、その前に…あ、あれかな」
 姉の美香の視線の先に男が二人、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。
「どういうことなの?」
「ダブルデートしようかと思って。洋服も買ってくれるって言うし」
「ダブルデート? (ハメたな)ハメたでしょ?」
「お洋服、欲しいんだもん」
「洋服なんてこじつけでしょ。もしかして最初から…」
 そこまで言いかかけたところで男が声をかけてきた。

「おおー、ホントに双子ちゃんだー。可愛いねー」
「うん、うん。メールに書いてた通りだね」
 男たちは満面の笑顔で近づく。
「(てめぇ、最初から仕組んでたな)ひっどーい、騙したんだ」
 俺は小声で悪意を込めて呟いた。
「ま、いいから、いいから」

 ネットで知り合ったらしい男二人と俺たち(?)は、最初はお互いを警戒
しながらも軽い食事と買い物の後、やがてすっかり打ち解けあった。
「安心したよ。変な風俗業者とかじゃなくて」
「うん、それは私たちも同じ。で、これからどうするの?」
「ウチのマンション来る? ここから歩いて10分かからないよ」
 身なりもちゃんとしてるが、駅前のマンションに住んでるとは金持ちは
どこにもいるもんだ。
「いいよ。行こっ」
 美香が即答した。俺は極力、喋らないようにした。

「大丈夫なの? 男の人の部屋になんか行って。はっ! もしかしてこれも
計算済みの事?」
 耳元で小声で言った。
「えへへー」
 そうか…だから、こんな女子高生みたいな姿なのか…おかしいと思った。
「セックスするの? 美香はいいだろうけど私は…初めてだよ。処女じゃないの?」
 小声の会話が続く。
「大丈夫よ。それも設定済みだから。ぜーんぶ私に任せて」
「どういう事? ぜんぜん意味、わかんない」
 第一、任せてってなんだよ。3Pか4Pでもするつもりじゃないだろうな。
 文句を言っても、こんな格好で一人で帰るわけにもいかず、結局付いていく事と
なった。
 
  
「あむ…ちゅっ…あん!」
 部屋に入るなり美香はすぐに一方の男とキスし始めた。どうやら全てメールなどで
やり取りし、決められているらしかった。

「僕らはソファに行こうか」
 広いリビングには分厚い絨毯が敷かれ、このまま裸で横になっても気持ちよさそうだ。
「二人とも男性経験無いって聞いてるけど、美香ちゃんの方は随分積極的だねー。
君の方が、妹ちゃんだよね?」
「う、うん…淫乱なのよ。姉は」
 何も聞かされてないのに、どうすりゃいいんだ。
「美玖ちゃんはどうなの? 来たんだから、いいんでしょ?」
 男の手が腰に回ってきた。
「あ…でも!」
 もの凄い感覚が身体中を突き抜けた。まるで、触られるのを待っていたかのように。

「僕らもキスしようか」
 チュッ、くちゅ…
 唇が触れ合ったかと思うと、すぐに長い舌が挿入され蹂躙する。
「(クソ、男同士でキスなんか出来るか)あん、駄目ぇ。初めてだから優しく」
「キスも初めてなんだ。超感動」
「(ふざけるな!)いやーん、もう」
 考えと裏腹に相手の欲望を煽るような言葉に変換される。

「胸も膨らみかけで可愛いね」
 すかさず男は背後に回り、服の上から両胸を揉んだ。
 ビクッ、ビクン!
 恐ろしいほどの快感が脳天を突き抜けた。
 これが女の快感? それとも予め設定してあるのか? だとしたら、この後は…
 そんな予測をしていたら、不意に右手がスカートの裾を持ち上げパンティの上から
陰部に触れる。

「きゃうんっ!」
 なんと軽くイってしまった? これはもう設定に違いない。だからアイツは大丈夫だと
言ったんだ。
「もしかしてイッちゃった? 感じやすいんだねー」
 へなへなと力が抜け、ソファに座り込んでしまった。

「シワになるから洋服脱いじゃおっか」
 ワンピースを持ち上げられ頭から脱がされたが、まったく何も抵抗出来ないでいた。
 薄目を開け、目を泳がせれば美香の方も自分でブラウスのボタンを外している。
「可愛い下着だね。似合ってるから、このまま苛めちゃおうっと」
 ソファに背を預けると、ゆっくり両足を開かされた。
「(やめろー、見るんじゃねぇ)お願い、見ないで…恥ずかしい」
 もう言葉を口にするのが嫌になってきた…
「うわっ、やっぱり生えてない。舐めやすそう。でも最初は指でね」
 男が逐一、説明しながら行為に挑む。だがその言葉が耳に入るたびに乳首や陰部の
感度が増していくようだった。


「う…くぅん、は、あん!」
 指をクロッチの部分の割れ目に沿って丁寧に上下させる。
「(やめろ、それ以上されると)いやソコ、おかしくなっちゃう」
 直接クリトリスに触れない分、もどかしさが快感を増幅させるようだ。
「エッチなおつゆが染み出してきたよ。舐め取ってあげる」
 左側のゴムを引いて、陰部をさらけ出すと、すぐに唇を押し当てた。
 じゅるじゅるるる
「はうーーーーん、、ソコ駄目ぇーーーっ!」
  ビクッビクン!
 本日二度目の絶頂。
舐められただけでイッた? そんな事ないだろ? おかしいよ
 でも… でも、これでセックスしてしまったら、一体どうなるんだ…?

ブラも簡単に外され、発育途中の胸が露になる。
「(まじまじと見てんじゃねー)小さいから、あんまり見ないで」
「これ位の大きさって感度も凄いのかな」
「知らないっ」
 微乳に覆いかぶせるように掌を乗せ、やんわりと揉み始めた。
「あ…あ、あん」
 身体が浮いてくるような不思議な感覚。女も胸を揉まれると、こんな
感じなんだろうか…

「こんな綺麗な乳首、初めて見るよ」
 言われて自分でも見てみた。透き通るような綺麗なピンク色。いや、
薄桃色と言った方が合うかもしれない。
「一度も吸われたことのない乳首だもんね。一番乗りだ。感激」
 チュッ
「きゃん!」
 まるで皮を剥いたばかりの陰茎亀頭部に、いきなりキスされたような感覚。
「ゴメン、びっくりしたよね」
「(当たり前だろ!)ううん、平気…もっと吸って」

 乳房に関しては触れるか触れないか程度のソフトなタッチなのに、乳首には
指先や唇で執拗な愛撫が続いた。
「あ、はうん…感じちゃう」
 言葉が勝手に漏れ出す。
「やはり感じやすいオッパイなんだね」
「そ、そんな事…ない…ああ」

 大切なものでも触れるかのように、優しく丁寧な愛撫が続いた。
「ほら、乳首勃ってきたよ」
 言われて見ると、たしかに硬く自己主張している。
 その隆起した乳首の周りを執拗に舐め回す。
「そんなに舐めたら駄目なの」
 今度は両乳首を親指で押し上げるようにして遊んでいる。  
 ぎゅむ、ちゅうーーっ!
 男が急に両胸を揉む手に力を加えたかと思うと、同時に激しく乳首を吸あげた。
「あっ! 駄目ぇ! あぐっぅ!」
 またイッてしまった。女の感度、恐るべし。 

「感度凄いね。ねぇ、女の子って何度もイケるんだもんね。ヴァージンでも
そうなんだ」
「(知るか、そんなこと)知らない、そんなの…」
 そういえばアイツも毎回、何度も絶頂してたっけ
「でもオナニーくらいするんでしょ?」
 男も脱ぎ始めた。シャツを脱ぎトランクスを下ろすと立派に隆起したペニスが
現れる。

「さすがにフェラは無理かぁ。その小さな手で擦って欲しいけど」
「(そんな汚いもん触れるかよ)いやん、そんなの無理」
「ほら、こっちの手でさ」
 手を掴まれペニスを握らされる。
「(分かったから、汚いもん近づけんな)男の人のって…こんな形なの?」
 ゆっくりスナップを効かせて不器用に上下してやる。
「ああ、赤ん坊みたいに柔らかい手が…凄くイイ」
「(このままイッちまえばいいのに)ビクビクして凄い。気持ちいいですか?」
「うん…イイ。本当は出したいけどヴァージンに中出ししたいから我慢するよ」

 中出しだって? ふざけやがって。気持ち悪りぃじゃねーか。は? もしやこれも
約束済みなのか?
「じゃ、始めようか。ココもグッショリみたいだし。いいよね」
 パンティを片足から抜かれ、太ももに絡ませた。
「パイパンで、ここも汚れを知らないピンク色。そそるなー」
「(まじまじと見てんじゃねーよ)やぁん、だから、そんなにじっくり見ないでぇ」

 男はペニスを右手でつかみ、わざと焦らすように割れ目に沿ってなぞっている。
「あぁ…だめぇ…そんなの…変になっちゃう」
 またも思考するより早く言葉が出始めた。
 ヤバいって。いよいよ何を喋り出すか分からなくなってきたぞ。

 くちゅ、くちゅ、ちゅるん
 器用にペニスを上下させながら、ヒダに絡ませる。
 内包していた液(つゆ)が一気にあふれ出す。
「凄い濡れ方。ホントに処女? あ、入れてみれば分かるか」
「(この野郎勝手な事、言いやがって)もう、やぁーん」

 ぬちゅ、ずり…ずりり
 凶悪な亀頭部分が唐突に幼膣を押し広げる。
「(そんなデカイのいきなり入れるんじゃねー)ホントに初めてだから、
そんな大っきいの入らないかも…」
「大丈夫、僕に任せて」
 ぐちゅりっ
「(痛ぇーよ、このアホ!)い、痛いっ!…お願い、優しく」
「ご、ごめん。もしかしたらホントは経験あるのかと思って。ゆっくり挿れるよ」
 一旦、引き戻すと今度はじわじわと腰を落としてゆく。
「やっぱりヴァージンだったんだね」
 おそらく引き抜いたときに血が混じっていたのだろう。男は言った。

 あらためて室内を見渡すと、美香と相手の男が消えていた。
 おそらくベッドのある部屋へと移動したのだろう。
 そんなことを考えていたら案の定、奥の部屋から美香の
淫らな声が漏れ聞こえてきた。
「向こうも上手く合体出来たみたいだね。じゃ、僕らも続きと
いこうか」

 ずりゅりゅー
 やたら長く感じる陰茎が一番奥まで侵入してきた。優しく
ゆっくりとした挿入のせいか、痛みが消え、変わって快感に似たものが
芽生えた。
「はうっ、くうーーん」
 自分でも信じられないくらいの甘く艶を持った嗚咽が漏れる。

「痛みは消えたみたいだね」
「う…うん、でも…」
 先ほどの激痛が嘘のようだ。
「キツイのにヌルヌルしてて中のイボイボが張り付いてくるんだ」
「(知らねーよ)そんな説明…いらない」
「ごめん。動いてもいいかな」
「(激しくするんじゃねーぞ)ええ…でもまだ、ゆっくり」

 ぐちゅ、くちゅ、ぐちょっ
 単調な動きだが、それがかえって高みへと導くようだ。
「イッたことってあるのかな? オナニーはしてるんだっけ?」
「(なに馬鹿なことを…)だから、そんなこと…聞かないで」
「初めてだからセックスではイかないかもな。でも頑張るからね」
「(勝手にしろ)はい…お願い。あ…」
 長いストロークを一定のリズムで突き始めた。

「一番奥でチン〇ンの先っぽ舐められてるようで最高」
「(こ…これが奥を突かれる感じか)あー、大っきいのが奥まで…」 
 確かに奥を突かれる度に、身体が痙攣するみたいに反応し始めた。
ビクン、ビクン
「(クソ、奥…やべぇ)あ、ああー。凄いの…感じちゃう…もう駄目かも」
 膣奥にスイッチでもあるのだろうか、突かれる度に大きく波がうねる。
「マジ可愛いっ! もう我慢できない!」
「あっはん! 奥突かれるの…好きみたい」
「そうか、だったら」
 急に男の腰の動きが増した。
「あぁ、女の子の一番奥まで来ちゃってるよー」
「なっちゃえよ、そら!」
 怒涛の突き上げが膣壁を襲った。
「(くっ、急に激しく)駄目ぇーーーーっ! そんな激しいの!」
 目の奥が花火のように真っ白に輝き飛び散った。

「もしかしてイッた?」
 男が囁いて我にかえった。
「う…うん…」
 イッたんだ。女の身体で…男に抱かれて…アイツみたいに。
 処女という設定だった筈なのにマジでイッたのかよ。
「今度は上に乗って自分で動いてみてよ」
 男が絨毯に仰向けに寝そべった態勢で待つ。
「(俺に入れろってか?)自分で入れるの…恥ずかしいな」
 男に跨り、ペニスを握って自分の股間に導いた。

 ぐちゅり
 ソレは僅かな抵抗はあるものの、卑猥な音を立てつつゆっくり埋没していった。
「はうん、大っきい…駄目、コレ」
「うん、いい眺めだよ」
「あ…全部入ってくる…」
「いいね。それじゃ、自分で気持ちいいように動いていいよ」
 優しさからなのか、男はそう言い放った。

 ぬるーり、くちゅ、くちゅ
 不器用だが、確実に快楽を求めて動いているのが分かる。
「締まり具合が最高だよ。うかうかしてるとイッてしまいそうだ」
「ああーん、また大きく…いやーん」
 男のペニスが僅かに膨らんだ気がした。
 くちゅ、くちゅ、ずりり…
「ヒダの絡みつきがハンパない…ちょっと待って」
 まだイキたくないのか男が両腰を掴んで自分のペースで動き始めた。余程、
具合がいいのだろう。

 男の腰が激しく突き上げを始めた。だが、その動きは射精を促すのもではない。
 あくまでも女の喜ばせる事を楽しみにしているような動きだ。
「あ…駄目…またイッちゃうわ」
「いいよ、イクとこ、下から見ててあげる」
「(馬鹿言ってんじゃねぇ)いや、見ないで。ホントにイキそうなの」
 言い終わると同時に男の手が腰から両胸へと移動した。
 突き上げながら、膨らみかけの胸を激しく揉みしだいた。
「イっ…クーーーーっ!!!」

 微乳がビクビク震えている。
「凄いね。初めてなのにもう二回も…いや、前戯入れると三回? 四回?」
「(やめろー、言うなー)恥ずかしいから…言っちゃ駄目だってば…」
 処女がこんなにイクはずない。絶対に奴が設定を最強にしたんだ…

「フィニッシュはバックにしようかな。いいでしょ?」
「(いい加減にしろ。初体験なんだぞ。分かってんのかよ)初めてなのに、
恥ずかしい恰好ばかりさせて…」
 男は起き上がり、四つん這いになることを強要した。
「ツインテールが揺れてイイ感じ。背中も小さくて、凄い背徳感」
「(また馬鹿が何を…)いいから…もう頂戴。欲しいよ…」
 おいおい、そんな事言ってねーって。

「さっきまでヴァージンだったのに欲しがり屋さんだなー。待ってて」
 ぬちゅっ
 再び、両腰を掴んで挿入
「くぅーん」
 すぐに甘い声が出た。
「今度は僕もイクから、一緒にイこうよ」
「(そんなの分かるかっつーの)は…はい、お願いします。イカせて下さい」

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぱん、ぱん!
「くぅー、どっから責めてもキツイ! ギュウギュウ掴んで離さないよ」
「駄目…そんなに突いたら…私、またスグに…ああ」
 セックス始めて、どれくらい時間が経過しただろう。絶頂に比例して疲労も
蓄積されていく。
「また締め付けが…くふぅ、もう駄目だ」
 ピストンのスピードが更に増した。

「ああーん、イッちゃう…」
 男が、どんどん押してくるのでソファに両手を預けた。
「俺も限界…そろそろイクか…でもまだ…くっ!」
 男が何か言いかけている。また何か体位を変えるのか企んでいるのかも
しれないが、こちらの体力も限界だ。
 感度を上げている分、その反動があるのかもしれないが…

「ソファに座って一緒にイこうよ」
 ペニスを押し込んだまま、男はゆっくりと態勢を変えた。男の下半身に身体を
預けて座るような形だ。
「ああ…また深く…」
 ズンズン…
「駄目だ、やっぱ限界…イクよ」
 言い終わると両手で胸を揉み、乳首を激しく挟んだ。
「ああー、乳首駄目ぇーーっ、イッちゃう。そんなに一度に…駄目、イク、イク、
イクーーーーっ!!」
 乳首を摘ままれたのが決定打となり今日一番の激しい絶頂を迎えた。
「僕も出すよ。膣(なか)でいいね」
「(駄目に決まってんだろ)うん、頂戴っ!」
「美玖ちゃん、イクっ!」 
「私も、また…はうっーん!」
 イッた後なのに間髪入れずに絶頂。 
 びゅるるん!
「ぐはっ、搾り取られる」 
 大量の熱いほとばしりを膣内に感じた。
「(馬鹿野郎、本当に中で出しやがって)いっぱい出てるのが分かる…嬉しい」
 言い終わって俺はぐったりとした。
 その後はしばらく気を失っていたのか、あまり記憶がない。
 気が付いたら、姉と並んで歩いていた。

「どう? 良かったでしょ?」
「(お前、感度目一杯上げただろ?)お姉ちゃん、私の感度弄ったでしょ?」
「まあね。だってそうしないと痛いでしょ? すぐに女の喜び知って貰いたかったし」
「(やっぱりな)だと思ったわ。凄かったもの」
「でも、これで目覚めたんじゃない? 女もいいかな、なんて。ね?」
「(ま、まあな)そ…それは…まぁ少しはね」
 顔が赤くなるのが自分でも分かる。
 結局、今日は一日コイツに嵌められたのだ。それでも楽しくなかったといえば
嘘になる。

「お洋服も買って貰ちゃったし、また遊びましょうか?」
「(考えとく)考えとく」
 珍しく考えてる事とセリフが同調した。エロモードが解除になったのかも
しれない。
 現にあれだけ熱を浴びていた下半身が今では、スカートの中に入り込む風が
心地良い。

 その後も雑談しながら、仲のいい双子のフリをしながら手を繋いで帰路へと
向かった。
 おそらく近いうちにまた二人で出かける事になるのだろう…
 次のモードはどれ位に設定しようか、などと俺は考えていた。


 終わり 







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