姉の旅行
Tira


(12)

 一階の玄関から繋がる廊下を奥に進むと脱衣所がある。その隣のバスルームからシャワーの音が聞こえた。夜中に目を覚ました母親が不審に思って声を掛けると、シャワーの音が止まり、タオルで胸を隠した葵が出てきた。
「どうしたの葵? こんな夜中に」
「うん。何か汗を掻いちゃって。エアコンのタイマー設定を間違えてたみたい」
「そうなの。でも、エアコンを付け過ぎると風邪を引くから、あまり低い温度にしちゃだめよ」
「分かってる。さっぱりしたからすぐに寝るわ」
「そう、じゃあお休み」
「お休み、母さん」
 欠伸をした母親の背中が見えなくなると、葵は脱衣所の鏡に姿を映しながら髪を乾かした。
(良治さん、危なかったね。もし、五分早く母さんが来てたらバレてたかも)
「そうだね。流石に僕の体を見られたら警察を呼ばれてた。大事な娘と一緒にバスルームに居るんだからね。本当に危なかった……って、優奈ちゃん。ダメだよ」
 髪を乾かす葵が腰を引いた。
(私に同じ事をしてたんだから。でも、これってほんとにエッチ……)
 葵の体がビクビクと震えた。鏡に映る葵の下腹部。その皮膚が、優奈の右腕によって盛り上がっていた。その盛り上がりは、股間から臍の辺りにかけて上下にゆっくりと動いている。
(気持ちいい?)
「う、うん。でも、折角綺麗に洗ったところなのに……うっ」
 葵の髪を乾かし終えた三木畑は、下着も身に着けずに下腹部で蠢く優奈の腕を見つめた。今は三木畑が前に、優奈が後ろに入っているのだ。後ろから優奈の手でモノを扱かれた三木畑は、葵の手で下腹部の中を上下する腕を皮膚ごと掴んだ。
「ゆ、優奈ちゃん」
(すごく硬くなったよ。出したい?)
「……ちょ、ちょっと待って。流石にここじゃマズいと思うからっ」
(分かってる。ねえ良治さん、今度は普通のセックスがしたいの。いいでしょ?)
「ゆ……優奈ちゃん。ごめんね、僕の都合ばかり優先して」
(あのね、良治さんって謝りすぎだよ。そんなに謝らなくてもいいから、お姉ちゃんの部屋に行こっ)
「……そうだね、分かったよ。優奈ちゃんを目の前にしたら、緊張しちゃうかもしれないけど」
(ちゃんと気持ちよくしれくれなきゃ嫌だからねっ)
「が、頑張るよ。僕なりに……だけど」
 こうして身なりを整えた三木畑は、葵の部屋で優奈と【普通のセックス】に励んだのであった――。

(続く)






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