宇宙人に食べられた俺は・・・。 後編
 作:BAL


あれから俺は部屋から出ることがなくなった。
俺がいつか他の人を襲ってしまうんじゃないかという恐怖から部屋から出ることができなくなってしまったのだ。
妹は心配で様子を見に部屋の前まで来て声をかけてくれるし、部屋の前に食事を置いてくれる・・・本当に頭が上がらない。
しかし、そんな妹でさえ・・・俺にとっては捕食の対象なのだと思うと、本当に情けなくなってくる。
ーーオイシソウ。
そんな言葉が脳裏をかすめる度、自己嫌悪するばかりだった。

そんなある時、携帯電話にSNSの通知音が鳴り響く。
それは陽菜の携帯電話だった。
陽菜の携帯電話ーー。
あの後、こっそりと陽菜の姿のまま陽菜の自宅に帰ると、とんでもないことが陽菜の記憶からわかったのだった。
陽菜のお母さんもすでに粘液である宇宙人に食べられていたのだ。
たまたま、本当にたまたま仕事の時間がずれたせいで宇宙人と鉢合わせになり吸収されてしまっていたのだ。つまり俺の中には陽菜と、そして陽菜のお母さんが吸収されてる。
この家に帰ってくる人は出張で帰ってこない父親を除けば、誰も帰ってくることはなくなってしまった。
俺は仲が良かった陽菜の家族の微笑ましい姿を知っているだけに、悔しくて涙がでるのだった。
・・・陽菜の部屋から回収した携帯電にはこう書かれていた。

『陽菜ちゃんにお兄ちゃんのことで相談があるの。風邪で大変だと思うけど、どうしても会いたくて・・・次の休みに日に会えないかな?』

妹の綾香からだった。
俺が陽菜を吸収してしまったため、陽菜は風邪ということで学校には伝えてあった。
しかし、いつまでもこのままだと陽菜さえも不審に思われてしまう。
俺は一体どうしたらいいのだろうか・・・。

「しかたない・・・よな。」

俺は断るつもりで携帯の文字を開く。
しかし、妹の顔が脳裏を掠めると自然に文章は思っていたのとは真逆に

「いいよ」

肯定の文を送ってしまっていた。
それが悲劇へと向かうとも知らずに・・・。





「陽菜ちゃ~~ん!!」

遠くから妹・・・いや、今は正確には妹じゃないけれど・・・綾香が手を振りながらこちらに近寄ってくる。
俺・・・いや、陽菜は苦笑いをしながら手を振り返す。

「陽菜ちゃん、風邪もう大丈夫なの?」
「う、うん・・・ごめんね、心配かけちゃったかな。」

俺の言葉に綾香はにこりと笑い、陽菜ちゃんだけでも元気な姿が見れて安心したと言った。
しかし、ここにいるのはただの擬態。綾香を騙しているんだと思うと心苦しくなる。
そんな俺の心境を知らない綾香は少し空元気にも見えたが、精一杯今日という日を楽しもうとしていた。





「ごめんね、間違ってたら悪いんだけど・・・陽菜ちゃんもしかしてブラしてないの・・・?」

そんな声が聞こえたのは、二人で洋服を見ている時の事だった。
俺はその言葉にドキリとする。
確かに体は陽菜だが、意識は男である俺だ・・・ブラジャーをすることに抵抗があり、今日も着けてはこなかったのだが・・・そんな簡単にばれてしまうものなのか。

「う、うん・・・ちょっとサイズが合わなくなっちゃって・・・。」

陽菜の記憶から言い訳を考えると咄嗟にでたのがそれだった。
確かに、間違ってはいない。陽菜も新しいブラが欲しいと思っていたらしく、あの事件がなければ次の休みに買いに行く予定だったようだ。

「あ、そうだったんだ・・・駄目だよ、サイズが合わなくても着けないのは、垂れてきちゃうよ!」

ーー垂れる・・・?

その言葉に急に自分の胸があることに意識が行ってしまう。
サイズが合わなくなるほどの大きな胸が・・・俺についているなんて・・・。
俺の顔がだんだん熱くなることがわかった。こんな場所でさえ性的に興奮してしまうなんて。
少しでも気を抜いてはダメだ・・・。

「それなら下着も見にいこうよ」
「え・・・下着!?」

まさか、俺が女性物の下着を買いに見にいくことになるなんて・・・
横着せずにちゃんとブラジャーを付けてくるんだったと後悔する。

「ちょうど私もそろそろ小さくなってきたから、新しいブラが欲しかったところなんだ~!


そういうと、綾香は自分の胸を強調するかのようにふにふにと軽く触り、確認をする。
マシュマロのような綾香の柔らかそうな胸が協調され、妹の・・・綾香の女性としての色香にクラクラしてしまう。

ーードキリ

いままで妹に女性らしさを見たことなどなかったのに・・・
俺の心臓はドキドキと鼓動を早くさせる。

「?・・・陽菜ちゃん、どうかした?」

俺が自分から溢れ出る欲望をなんとか抑えていると、不審に思った綾香が首を傾げ、問いかけてくる。

「ご、ごめん・・・なんでもないのっ!」

咄嗟で気が付かなかったが・・・きっと、俺の視線は女性が女性に対して向けるものではなかったのだろう。
気を付けなければいけないと、気を引き締める。

・・・女性用の下着売り場は色とりどりでどこをみても落ち着かなかった。

「こういうのはどうかな?」

綾香が自分の胸にブラジャーを当て、こちらに確認をしてくる。
すこし背伸びをしたちょっと大人っぽい下着・・・ちょうど胸元に当てているために着けている姿が容易に想像できた。
そんな些細なことでさえ、俺の中では生き地獄だった。

ーーさすがに、陽菜の姿でもこういうところは気恥ずかしいぞ・・・

そんなことを思っていると、俺は気が付いたら試着室の中にいた。
綾香にオススメされたブラジャーを断ることができなかったのだ・・・。

まさか、俺がブラジャーをつける時が来るとは・・・。
って、そもそもブラジャーってどうやってつけたらいいんだ・・・?
知識では確かに付け方はわかる・・・でも、いざ着けようとするとやはり戸惑ってしまう。
悪戦苦闘をしていると、なんとか形になったと思う。
そう思った時、試着室の外から声が聞こえてくる。

「陽菜ちゃんー どうだった?」
「ふぇ!? 綾香!・・・ちゃん!?」

戸惑い時間がかかっていることを不審に思った綾香が様子を見に来たようだ。
すると試着室に隙間ができ、チラリと瞳がこちらを伺う。

ーーこ、こいつもし今裸だったらどうするつもりだったんだよ!?

「あ、ダメだよ・・・これじゃあブラジャーの意味ないよー!」

そういうと、止めるのも聞かずに試着室に入ってくる綾香。
・・・こいつこんなに世話焼きだったのか?
俺の知らない一面を見れて新鮮と感じるとともに、小さい子供がお母さんに教えてもらうかのような身のゆだね方にすこし悲しくなってくる、そんな試着だった。




「いやぁ・・・新しい下着も買えて、満足満足♪」

綾香は鼻歌でも歌うんじゃないかというほどご機嫌だった。
それに反して俺はすっかり体力も精神力もゴリゴリ削られてしまっていた。
これが女同士の買い物というものかと思うと、やはり俺は男なんだなと再確認をするのだった。

「ちょっと、飲み物を買ってくるね!」

俺は綾香がジュースショップを見つけ、指を指しながらショップに走るのを見届けてベンチに腰掛ける。

むしろ、このまま帰ってしまおうか・・・そんな思いも頭をかすめるが、俺が引きこもってしまったせいで綾香には迷惑をかけてしまったのでそんなこともすることができず、口からため息がでるだけだった。

それから数分もしない内だろうか、聞きなれた声が聞こえてきたのは。

「あの、私友達を待たせているんで・・・・。」
「えぇ、その子も女の子でしょ、アリアリ!」
「いいじゃん、その子も誘って一緒に飯にでもいこうぜ」


・・・どうやら、綾香が良くない輩につかまってしまったようだ。

ーーナンパなんて、本当に男ってやつは・・・。

そう思ってしまうも、自分も男なんだと先ほど確認したばかりなので頭が痛くなるのを感じた。
ーーそれにしても綾香・・・案外モテるんだな。
普通ナンパなんて、相当可愛い子でもない限り声がかかることなんてないだろう。
俺は複雑な思いを抱えながら、ゆっくりと綾香のもとへ歩く。

「ほら、さっさといこうぜ!」
「きゃ!?、い、痛い!」

そんな声が聞こえた瞬間、俺の心が急激に冷めるのがわかった。
ただのナンパなんてと呆れていたさっきまでの俺を殴ってやりたいぐらいだった。

ナンパ男に無理やり腕を掴まれ、バランスを崩した綾香をみた瞬間。
頭のスイッチがカチリと切り替わるのが自分でもわかる。

「綾香っ!!」

俺は綾香を庇うように男たちとの間に割り込む。

「おに・・・陽菜ちゃん・・・。」

綾香の体は小刻みに震えていることがすぐにわかった。

「お、こっちの子のほうが可愛いじゃん。チョータイプかも。」
「ちょっと強気な感じがいいねー!」

ーーコイつラ、アヤカにあレだけのコトをシておいて・・・。

謝りもせずに、俺のことをジロジロと変態的な目つきで見つめてくるこいつ等に内側から黒い感情が溢れてくる。

「この子ちょっと人波に酔っちゃったみたいなの、私が付き合うからいいでしょ?」
「ひ、陽菜ちゃん?」
(・・・大丈夫だから、逃げて。)

俺は綾香の返事待つより先に、男たちを連れだってその場を離れる。
ヘラヘラと笑い続けているこいつらには・・・。





「本当にこんなところに店あるのかよ?」
「うん、私のすごくお勧めのお店なんだ・・・。」
俺が、男2人を連れだって歩いてきた場所は、人通りのまったくない路地裏だった。

「へへ・・・俺、なんとなく分かったぜ、ここでヤリたいんだな?」

一人の男が気が付いたことに喜び興奮の声を上げる。

「あはっ、バレちゃった? そうなんだ・・・ここで、ヤりたいの・・・。」

ーーイタダキマス。

それは一瞬だった。
俺の意思が一瞬揺らいだ瞬間、体がドロリと溶け、嬉しそうな顔を浮かべる男を丸飲みしたのは。

「へ?、え・・・えっ?」

2人は一瞬のうちに1人になってしまった。
なにが起こったのか理解できず、残された男が唖然としている。

「ゴチソウサマでした。」

俺は再び、陽菜の姿に切り替わる。

「ひ、ひぃっ!?」

男が逃げようとするも、すでにその足には俺の影から伸びるスライムが絡みついていた。

「そんなに女の子が好きなら・・・おまえが女の子になってしまえ・・・!」

もう一人の男も包み込むようにして飲み込む。しかし吸収はせず、俺の内側からゴキゴキと骨の軋む音が聞こえてくる。
そして、すべてが終わるとそこには男の面影を残した少し幼い女の子が怯えた表情でこちらを見ていた。

「ハハ・・・ずいぶんカワイらしくナったじゃないか!」

スライムから人の形を取ると、本来の自分の姿だった。

「ひ、ひっ!?ば、化け物っ!?」

少女になってしまった男が腰を抜かし、ずるずると後退する。
サイズの合わない服の股間の部分が黒く変色する。どうやら漏らしてしまったようだ。
俺から逃げることに必死で自分がどんな姿になっているのか気が付かないようだ。

ガシッ・・・!

少女の背中に何かが当たり、それ以上さがれなくなると涙を浮かべた目でそちらに振り返る。

「ココデ、ヤリタイ・・・」

そこにはうつろな目をした最初に吸収した男が立っていた。

「り、リョウ! た、たすけ・・・!」

自分の友達の姿に一瞬表情が和らぐも、先ほどの光景と友人の様子に再度震えだす。
その光景を知ってか知らずか、男はビリビリと少女の服を破く。

「りょ、リョウやめっ!・・ってなんだこの体は!?」

自分の体の異変に気が付き少女が慌て喚きだす。

「嫌だ、いやだぁ・・・こんなの夢だ!!」

先ほどまで友人だった男に襲われる恐怖、しかも自分はか弱い女になってしまっている。
実際にありえないことの連続に脳が理解することを拒否してしまい、子供のようにただ泣き喚く。
しかし、その声は友人には届かず、無理やり押さえつけられる。

「やめろ・・・リョウ俺だよ、カズだよ・・・そ、そんなもん入れんじゃねぇ・・・あ、ああぁあ・・・!!」

リョウと呼ばれた男はミチミチと音を立てながらそそり立つ男性器を少女の中に突き入れる。
彼女の濁った悲鳴が漏れる。まったく濡れていない秘部はさぞ痛いことだろう。
全身の筋肉が強張り、痛みに耐えるかのようにビクビクと震えだす。

「大丈夫ダ・・・慣れれば痛いのも直グに慣れるはずだ・・・。」

俺の口からは自分のものとは思えない水音のようなものが聞こえてくる。

「く、苦しい、ヤダ、痛い・・・痛い痛い!!」

「うが、うぐ・・・あぁっ!! いやああああああああ!!」

彼女の悲鳴など知ってか知らずか、リョウと呼ばれた男は必死に腰を振り続けるだけの動物に成り下がっていた。

ーーグチャ、グチュ・・・

自分の欲望をぶつけるだけのピストンが永遠と続くかのようだった。
しかし、男性器がビクビクと波打ち、男根が膨張するのがわかった。
彼の欲望が限界を迎えると、激しい水音と共にビュルビュルと白い液体を吐き出す。

「熱い、いや・・・いやああああああああ!!!!!!!!!!!!」

熱い波とともに彼女のお腹の中を液体が溢れだす。
中に出されてしまったことに気が付くも、彼女の意思は段々と失われていく。
目の前が真っ暗になると思った時には、友人であったリョウの形を保っていたスライムに覆いかぶさられ、その意識は深い闇へと沈んでいくのであった。




「はは・・・ははは・・・・っ!」

その光景を見ていた俺は、ただただ楽しくて仕方がなかった。
俺の思い描いたことが目の前で自由自在に起こり、しかもずっと我慢し続けた食事までできるとある。
こんなに楽しいことはないだろう・・・っ!

「ひっーー!?」

その時、俺は人の気配を感じ振り替える。そこには、逃げたはずの綾香がガタガタと震えていた。

「お、おに・・・化け物・・・!」

ドロドロに溶けた俺の体は半分自分自身、そして下半身はスライムという、人とはかけ離れた姿だった。
その姿は当然、綾香からは見慣れた兄の変わり果てた姿だろう。

「綾香・・・。」

「こ、こないで・・・化け物・・・!!」

ーー化け物。

確かにその通りだと思う。俺自身それは否定しない・・・。
しかし、大切な妹に・・・化け物と言われるのはやはり堪えるものがあった。

「さっきの人たちみたいに、お兄ちゃんや陽菜ちゃんも・・・返して、私のお兄ちゃんを返して!!」

「綾香・・・。」

「お兄ちゃんの声で私を呼ばないで、この化け物!!」

その声に俺は、すべてを失ったのを悟った。
陽菜や綾香・・・彼女達と過ごしたすべての穏やかな時間を、この瞬間無残にも無くしてしまった。

「大好きなお兄ちゃんが、私のお兄ちゃんが・・・う、うぅ・・・!!」

ーー俺も大好きだった。

「返して、かえしてよぉ!!」

ーー俺も、戻りたかった。






そんな時、内側からどす黒い声が頭に響く・・・。


そんなにタイセツなら、ソイツもヒトツに成ってシマエ・・・。

ーーどうせ、ひとりもフタリも変わらないサ・・・。







「ーーー綾香ちゃん・・・♪」

綾香の背後には、不気味な笑顔を浮かべる・・・陽菜が立っていた。


「ひ、陽菜ちゃ・・・!?」
「このまま私たちと 一つになりましょう・・・?」

その声が聞こえたときには、陽菜の姿をしたスライムが彼女を覆いつくすのであった・・・。





「んっ・・・ずず・・・ぐぼ・・・っ・・・!」
「あはは・・・っ、陽菜ちゃん、お兄ちゃんのおちん〇んおいしそうにたべてるぅ♪」

ずるずると音をたてながら、陽菜が俺の男性器を懸命にフェラする光景にゾクゾクする・・・!

「んぱっ・・・♪ふふっ、とってもおいしいよ・・・♪」
「ふふっ、陽菜ちゃん・・・下のお口がお留守だよ・・・私が慰めてあげるね♪」
「ふふっ、ありがとう綾香ちゃん・・・お願いね・・あんっ!」
「あんっ、ふふっ、大好きなお兄ちゃんに生やしてもらった、お兄ちゃんと同じおち〇ちん・・・すごく気持ちいい! 幸せ~~!!」

陽菜が懸命に俺のペニスを舐め回し、そして妹には普通ではありえない男性器が生え、幼馴染の女の子を犯している。
果たして、これが俺の本当にしたかったことなのか・・・今となってはどうでもよくなってしまった。
今はただ・・・この快感を貪るだけだ・・・。
お腹がすけばまた獲物を狩るだけでいいのだから・・・女性の姿で近づけば、あのナンパ野郎のような馬鹿が簡単につかまるのだから・・・。

「はは・・・スライム・・・最高だぜ・・・っ!」

一筋の雫が俺の頬を流れるが、それはスライムの水分に一瞬でかき消されるのであった。







「ーー賭けは私の勝ちみたいね・・・!」

暗闇の中、中性的な声が響く。

「大切な家族を食べるかどうか・・・まさか本当に食べちゃうなんてね。」

ぷるりと何かが揺らぐ音が聞こえる。

「彼、自分が本体だって本気で思ってるみたいよ?・・・ただの絞りカスに彼の記憶をトレースしただけのまがい物なのにね・・・ほんと笑っちゃう。」

ぴちゃぴちゃと水で遊ぶような音が聞こえてくる。

「分かってるわよ、彼が蒸発する前にあなたに戻してあげるわよ・・・まったく、とんだ出来レースよね・・・!」

そういうと、サッと気配が揺らぎぷるぷると揺れる液体だけが残される。
液体の先には、3人の男女の嬌声がいつまでも響き渡っていた。
それをすこし悲しそうに揺れる液体の中には少し古びたヘアピンがゆらゆらと漂っていたのだった。



おわり






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