一皮剥いたら

「ジャジャ〜ン」
高松祐馬は嬉しそうに香川哲也に人の形をしたストッキングらしきものを見せた。
「何、それ?全身ストッキング?」
ここは祐馬のアパート。
面白い物があるから見に来いと祐馬が哲也を誘ったのだ。
で見せられたのが人の形をしたストッキングらしきものだった。
「違う、違うって。これって、スゲェんだから。やっとのことで手に入れたんだぜ」
祐馬はそのストッキングらしきものを広げて見せた。
まるで人間の皮だ。

頭部らしきところには髪の毛がついている。
顔には眉毛や睫毛もある。
股間にも毛がある。
「何か気持ち悪いな」
哲也の素直な感想だ。
「気持ち悪いって言うなよ。これでも身につけると可愛いんだぜ」
「身につける?身につけるってどういうことなんだよ?」
「へへへ、まあ見てなって」
祐馬はいきなり全裸になった。
そしてそのストッキングの背中辺りを広げて、そこから脚を通した。
全身がそのストッキングに覆われると、それはストッキングではなく皮膚と同化し皮膚そのものに見えた。
「どうだ?」
「どうだって....どうなってるんだ、それって?」
「そんなこと知るか。仕組みは知らないけどこういうものなんだよ」
「それにしてもスゲェな、確かに」
哲也の目の前にいるのはどう見ても祐馬ではない。
沢尻エリカ似の女の子だ。
しかも全裸の。
「スゲェだろ?」
声も女の子のものだ。
口調は祐馬だが。
「触っていいか?」
哲也はドキドキしながら手を伸ばした。
まっすぐ。
乳房へ。
...んっ...ぁん....
祐馬の甘い声に哲也の理性は吹っ飛んだ。
哲也は祐馬を押し倒した。
「おい、哲。やめろ。落ち着けって」
祐馬の叫ぶ声も可愛い女の声だった。
哲の耳には心地よく響くだけだった。
左手で祐馬の両腕を押さえつけ、右手で乳房を揉んだ。
同時に右の乳房を嘗め回した。
「おい、哲っ............
哲也は頭を祐馬の股間に移動させた。
押さえつけていた手を離し両手で乳房を乱暴に揉んだ。
そして頭を股間に移動させ、祐馬の股間に舌を這わせた。
「てっ.......。ぁ.......ぅんっ.....
祐馬は自由になった手で哲也の頭を離そうとした。
しかし股間を舐められている快感が襲ってくる。
そのためほとんど力が入らなかった。
哲也のペニスはこれまでの人生ではなかったほど大きくなっていた。
その大きくなったペニスを祐馬の膣口にあてた。
「おい、哲っ...マジ...かよ......やめろって.....
哲也は祐馬の制止も耳に入らなかった。
そのまま勢いに任せ祐馬の中に挿入した。
「んっ...痛っ.....
哲也はさらにそのまま激しいピストン運動を始めた。
「んっ...んっ...んっ...んっ...んっ...んっ.......
哲也の腰の動きに合わせるかのようにうめき声を出した。
長い時間ピストン運動を続けた。
「ぁんっ...ぁんっ...ぁんっ...ぁんっ...ぁんっ...ぁんっ......
いつしか祐馬は快感に喘ぎ声をあげていた。
「うぉぉぉぉ」
哲也は雄叫びをあげて祐馬の中でフィニッシュを迎えた。


「お前、むちゃくちゃするなあ」
祐馬は股間から流れ出てくる哲也の精液をティシュで拭いた。
うっすら血が滲んでいる。
「悪い」
哲也は悪びれた様子もなく言った。
「悪いと思うのなら今度はお前が女になれ」
哲也の態度に祐馬は切れた様子で言った。
「ええ、俺がぁ?」
「うるさい。つべこべ言うな」
祐馬は腕を交差させて両腋の下を握った。
そこを外に向かってひっぱると背中のファスナーが開いた。
するとさっきまで皮膚のように見えていた全身を覆っていたストッキングが、まさにストッキングそのものに見えるようになった。
祐馬は髪を引っ張り自分の元の顔を出した。
指先を引っ張り腕を抜き、最後に両足を抜いた。
「ほらっ、今度はお前が着ろ」
哲也はしぶしぶそのストッキングを受け取った。
「どうやって着るんだ、これ?」
「さっきの俺のを見てただろ?同じように着ればいいんだ」
哲也は祐馬と同じように裸になって、そのパンストらしきものを着た。
「うわぁ、スゲエ。これはスゲエ」
哲也は自分の胸を揉みながら叫んだ。
「声まで変わってる。スゲエスゲエ」
哲也は興奮状態だった。
「なあこんなものどこで手に入れたんだ?俺も欲しい」
「たまたまだよ。こういうサイトがあるっていうのは噂では聞いてたけど、なかなか見つからなかったんだ。ところが、ある日、見ようと思ったサイトのアドレスを打ち間違えたらたまたまこれを売ってるサイトを見つけてさ、『限定10枚』とか書かれてたから、すぐに買ったんだ。見つけたら買うつもりで金は貯めてたからな。でもその後、そのアドレスに行ってもサイト自体が閉じられていて、どこに行ったのか分からない。もちろん検索しても全然ひっかからないんだ。だから本当にこれが届くまでは騙されたと思い込んでいたくらいだ」
「さすがにこういう怪しいものを売るだけはあるな。簡単には実体が見破れないようにしてるのか」
「そうなんだろうな。たぶんインターネットについても相当なプロなんだと思う。よっぽどのことがない限りもう2度と見つからないような気がする」
「そうかもな。もしかしたら宝くじに当たる以上に難しいのかも、だな」
哲也は話をしながらも自分の身体をあちこち触っていた。
「背中にファスナーの感触なんかないぞ」
哲也は背中に手を回しあちこち触っていた。
「そうなんだ。でもさっき俺がやったように脇の下を外側にひっぱると背中の部分が開くんだよ。いったいどんな仕組みになってるかさっぱり分からない」
「どっちにしてもこんなモンが世の中にどんどん出たら誰が誰か分からなくなるな。すぐに他人になりすませるわけだから、悪いこともやり放題だな」
「そう言われるとそうだな。俺は大人のおもちゃ以外の使い方を考えなかったけど」
祐馬は哲也の発想に感心するばかりだった。

「ねえ、そんなことより早く抱いて」
急に哲也は科を作って祐馬の首に両手を回した。
「どうしたんだよ、急に?」
哲也の急変した態度に祐馬は少し引いてしまった。
「だってこの方が気分が出るんじゃなくて?」
「お前の乗りの良さには驚かされるよ」
「だってなりきった方が楽しいでしょ?祐ちゃん」
「祐ちゃん?俺が...か?じゃあお前は哲子か?」
「ううん、そんなお婆ちゃんみたいな名前はイ・ヤ。あたしはエリカよ。エ・リ・カ。だって沢尻エリカに似てるでしょ?」
「じゃあエリカ、抱いてやろう」
「嬉しい、祐ちゃん」
祐馬は哲也を畳に横たえ、乳房に舌を這わせた。
「あぁ...気持ちいい....もっと舐めて......
祐馬のザラザラした舌が哲也の乳首を舐めるのが気持ち良かった。
祐馬は右手で乳房を揉みながら、時々乳首を弾くようにした。
その度に哲也は「あんっ」と甘い声をあげた。
祐馬の手が下半身に移動しようとしたときに哲也がその手を制した。

「フェラチオ、してあげよっか?」
哲也は悪戯っぽく笑った。
「できるのか?できるんだったらやってくれ」
哲也と祐馬は上下入れ替わり、祐馬が仰向けになった。
哲也は祐馬のペニスを持ち、指でペニスの先を擦った。
「どう?気持ちいい?」
「おっ...おぅ...
哲也は祐馬のペニスから粘り気のある液体が出てきたのに気がついた。
「エリカ、早く銜えてくれよ」
祐馬の催促に哲也はペニスに顔を近づけた。
小便くさい中に生臭い臭いが鼻をついた。
勇気を持って銜えてみようとしたが、なかなか思い切れなかった。
「ごめん、やっぱり無理みたい」
やはり好奇心はあったが、男のモノを銜える勇気は出てこなかった。
「やっぱり無理だよな。いいんだ、じゃあ、もう一度攻守交替しようぜ」

もう一度上下を入れ替わった。
そのとき哲也は祐馬の手を取って、自分の股間へ導いた。
そこはもう十分に湿っていた。
「エリカはここを触って欲しいんだな?」
「ぅん」
祐馬は哲也から出た液体で指先を十分に湿らせてから、哲也の小さな突起物に触れた。
「あっ...ぁああん....
祐馬は優しく、しかし執拗にその突起物に刺激を与え続けた。
「あ.....ダメ....もう...やめて....おかしくなっちゃう....やめ........
哲也は二度ほど意識がなくなった。
「はぁ...はぁ...はぁ...はぁ...はぁ...はぁ......
祐馬のしつこい攻撃が中断されたが、哲也は快感で朦朧となっていた。
「それじゃ入れさせてもらおうか」
祐馬は哲也の太腿に手をかけ大きく股を広げた。哲也はされるがままにオ○ンコをさらけ出した。哲也の股間に祐馬のペニスが当てられた。
(あっ、入れられる)
哲也はその瞬間を期待と不安で待った。
少しずつ祐馬のペニスが身体の中に入ってきた。
それは気持ちいいものではなく、鈍い痛みを伴うむしろ気持ち悪いものだった。
.....全部入ったぞ。どうだ、気持ちいいか?」
...どっちかというと気持ち悪いわ」
哲也の正直な感想だ。
「まあ初めてだからな。徐々に感じるようになるさ」
祐馬は腰を動かした。
祐馬のペニスを哲也のオマ○コが時々キュッキュッと締め付ける。
しかし哲也は感じているわけではなく、鈍い痛みに耐えていた。
これだったらクリトリスを攻められている方がよっぽどいい。
そう思っていた。
祐馬の腰の辺りに脚を回し必死に耐えていた。
が、ある瞬間を境に感じるようになってきた。
身体の奥底から湧いてくるような快感だ。
これまで感じた快感よりもはるかに強いものだった。
............すご....すごすぎ....あん.........あぁ......
哲也は押し寄せてくる快感の中で無意識にあえぎ声をあげていた。
無意識にもかかわらず不思議なことに女のようなあえぎ方だった。
.........ぁん....祐ちゃん....来て....早く.....
.....あぁぁぁ....エリカ....行くぞぉ.....
祐馬の動きがさらに激しくなり、哲也はどんどん昇りつめていった。
そして大きくパンッパンッパンッと哲也の股間に打ちつけるように腰を振った。
その瞬間、祐馬のペニスから大量の精液が哲也の中に放たれた。
哲也はその精液が出たのを感じつつ、自身も絶頂に達していた。

......祐ちゃん...すごく良かった.....
哲也は息を弾ませながら、祐馬に腕を絡めて甘えるように言った。
「お前、いつまでエリカになりきってんだ。もういいんじゃないか?」
祐馬は半ば呆れたように言った。
...だってこんな方がいいじゃない?あたしもそういう気分だし...
「そんなもんなのかな?」
...そうよ......。それにしても女の子の感じ方ってすごいね」
「これを着て感じるのが女の感じ方かどうかは知らないぜ。でもこれを着たときの快感は確かにすごいな」
祐馬の細かい考え方に何となく哲也は白けてしまった。
「お前って意外と厳密な考え方するんだな。まあ俺にとっちゃ今日生まれて初めて男としての快感を知ったし、同時に女の感じ方らしきものも知ったわけで、スッゲエラッキーだよな。普通こんな経験なんて絶対できないもんな」
哲也は素に戻って話した。
「それなら俺も男としても女としても初めてだぜ。女のオナニーは届いたその日にやっちゃったけどな」
「しっかし、お前、いい買い物したよな。羨ましいぜ」
哲也はそう言いながら何かを考えているようだった。

「おい、この"エリカ"を使ってだな...
「何だよ、"エリカ"って?」
「このストッキングのことだよ。ストッキングと言うより"エリカ"の方が愛着が出るだろ?」
「でその"エリカ"を使って何なんだ?」
「ああ、そうだ。"エリカ"を使って圭吾のやつをからかってやろうぜ」
哲也がいかにもいいことを思いついたように話し出した。
圭吾とは二人の友達だ。
福西圭吾と言って、とてもいい奴だ。
彼らとしても嫌いじゃないのだが、ひとつだけ彼らから見ると欠点があった。
それは彼らと違って女の子に人気があることだった。
結局欠点と言っても、ただ単にモテない男のひがみだけなのだが。
「どうやって?」
「俺かお前かがエリカになってだな...
哲也は祐馬に自分のアイデアを聞かせた。

「そりゃ面白そうだな」
祐馬も哲也の考えに賛同した。
「だろ?やってみようぜ」
「で、どっちがエリカになるんだよ?」
結局まだエリカのままでいる哲也がエリカになることになった。
「で、エリカの服はどうすんだよ?」
祐馬は大人のおもちゃとして買っただけで服を着て外出するなんて考えは毛頭なかったため服なんて買っていなかったのだ。
「そんなの自分の服を着ればいいだろ?」
「そんな男の服を着てる女なんてイヤだろう」
「そういやそうかもな」
「俺はエリカを買ったばかりで金がない」
祐馬は胸を張った。
「威張って言うことか。でも俺が買ったってエリカがなきゃ女の服なんて無駄だろう」
「お前が服を買うなら、時々"エリカ"を貸してやるからさ」
「えっ、貸してくれるのか?だったら服代くらいは出さないとな」
哲也はエリカの3サイズを測った。
バスト86センチのE、ウエスト59センチ、ヒップ89センチのナイスバディだ。
とりあえず哲也は自分の服を着た。
乳首がTシャツに擦れて痛い。
しかし、それは我慢することにした。
そして二人してエリカの服を買いに出かけた。
店につくと、哲也は嬉々として女性の下着を手に取って喜んでいた。
「ねえ、祐ちゃん、これなんかどう?」
「祐ちゃん見て見て。どう、似合う?」
祐馬は哲也のノリに半ば呆れて哲也から離れていった。
ひとりぼっちにされた哲也はからかう相手がいなくなったせいかさっさと手近なところから下着を選んだ。ピンクのブラジャーとショーツだった。
「もう祐ちゃんったら。ちゃんと付き合ってよ」
「頼むから俺をからかうのはやめてくれよ」
「だったらもう一着買って一緒に女の子のショッピングしよっ、ねっ?」
「だからぁ、"エリカ"は買うこと自体難しいんだって言っただろ?」
「あっ、そうかぁ。えへっ」
「お前なぁ、どうしてそこまで可愛い表情ができるんだ。ホントにすごいや」
祐馬は呆れを越して感心するしかなかった。
結局赤のタートルネックのフリースと白いミニのプリーツスカートを買った。
そしてオフホワイトのシャーリングブーツを買った。

部屋に戻ってきて買ってきた服を着てみた。
「どう?」
「うん、可愛い。これなら圭吾もいちころだろ」
「でも、この格好だったらちょっと寒いかも」
「そう言えば、その全身ストッキングって全然暖かさってないよな」
「自分のダウンでも着ることにするわね。紺色で全然色気がないけど」
哲也はダウンジャケットを着た。
「意外とおかしくないわね?」
「うん、十分可愛い。美貌でカバーできてる」
「祐ちゃんもうまいこと言うわね」
祐馬と哲也は二人で大学へ出かけた。


「おーい、圭吾」
祐馬が圭吾を見つけて声をかけた。
圭吾が片手をあげて近づいてきた。
「何だ、何か用か?」
祐馬はエリカになった哲也に視線を動かした。
「こいつがさ、お前のことを紹介しろってうるさいんだよ」
「はじめまして。沢井エリカって言います。祐ちゃんから福西さんってカッコいいって聞いてたんで紹介してってお願いしてたんです」
「あっ...ああ、どうも」
「イメージしてた以上にカッコいいので嬉しくって。福西さんってこれから何か予定はありますか?」
「いや別に」
「じゃわたしとデートしてもらってもいいですか?」
「そりゃまあ」
「やったぁ」
哲也は圭吾の腕に自分の腕をからめた。
「じゃあね、祐ちゃん。ありがと」
哲也はにこやかに祐馬に手を振りながら意味ありげにウインクした。

「ねえ、わたし、もっと福西さんと一緒にいたいな」
映画を見て、食事を取って、一日が終わろうかという時間になってときに、哲也は圭吾に甘えるように言った。
「今日はもう遅いからもう帰らないと」
「だって...
「今日会ったばかりなのに本当にいいの?」
...うん、だって大好きになってから性の相性が悪いなんて最悪でしょ?大好きになる前に確かめておきたいものなの」
「ふ〜ん、そういう考え方もあるんだ」
圭吾は哲也の手をとりホテル街に向かった。
そして適当なホテルに入った。
「わたし、鏡張りの部屋がいいな」
二人は四方の壁はもちろん天井も鏡の部屋に入った。
部屋に入ると圭吾は哲也を抱きしめてキスしようとした。
「ちょっ...ちょっと待って」
哲也はそれを制して冷蔵庫からビールを取り出した。
「ねえ、のど乾いてるから少しビールを飲まない?」
哲也は缶ビールを開け、グラスに入れた。
片方のグラスには睡眠薬を入れて、それを圭吾に渡した。
「それじゃ二人の夜に」
圭吾が爽やかに笑ってグラスを差し出した。
「二人の出会いに
「乾杯」
「乾杯
圭吾は一気にビールを飲み干した。
哲也は飲む振りだけで全く飲まなかった。
「それじゃエリカちゃん...
圭吾は哲也を抱きしめた。
そしてキスしようとしたときに圭吾は急に目を擦りだした。
「あれっ、何か眠くなってきた...
そう言ったかと思うと、ベッドに倒れ込むように眠ってしまった。
「福西さん、どうしたの?」
哲也は圭吾の身体を揺すった。
圭吾が寝たのを十分に確かめてから部屋の外に待っている祐馬を部屋に招き入れた。
「圭吾のやつ、作戦通り寝たぜ」
祐馬は圭吾の服を脱がせ裸にした。
哲也も服を脱ぎ、さらにエリカを剥いだ。
そしてそのエリカを圭吾に着せた。
哲也たちは圭吾の服を隠してから、ベッドの脇に隠れ、そこから圭吾の行動をうかがった。

「なんだ、これは?」
気がついた圭吾は天井の鏡に映った姿を見て驚いた。
ベッドにいるのは自分ひとりのはずなのに鏡に映っているのは自分がナンパした女だけだ。
あまりの驚きにベッドの脇にいる二人には全く気がつかなかった。
「ど...どうして?」
圭吾は壁の鏡に近づいて、鏡に映る自分の姿を確認した。
やはりさっきの女だ。
自分ではない。
自分にはあるはずのない乳房がある。
圭吾は自分の胸についている乳房をつかんだ。
「痛いっ...
間違いなく自分はさっきの女になっている。
(何がどうなったんだ?)
圭吾の頭は何も考えられない状態だった。
パニックになった頭を何とか落ち着かせようとしていると、自分に近づいてくる哲也と祐馬の姿が鏡に映った。
「香川...高松...
圭吾はなぜここに二人がいるのかが理解できなかった。
「エリカ、早くやろうぜ」
「お前から3Pしようって誘ったんだからグズグズするなよ」
二人がいやらしい顔で近づき、松本が圭吾の左腕をつかんだ。
「おいっ、ちょっ...ちょっと待てよ.....
圭吾は全く事態を把握できなかった。
しかし抵抗することもできず腕を引っ張られベッドに放り倒された。
「おいっ、俺は女じゃないんだ...
圭吾はとりあえず必死に二人を落ち着かせようとした。
「どうしたんだよ、エリカ?今日はそういうプレイなのか?」
「エリカの姿をした男を犯すってか?なかなか凝った設定だな。エリカもいろいろ考えてるんだ」
いきなり哲也が股間に顔を埋めた。
「あ........やめろ...って....
哲也が圭吾の股間を舐め回した。
「何だ、結局いつものように始めるのか」
圭吾の頭の方から祐馬は手を伸ばし圭吾の乳房を優しく揉んだ。
圭吾は経験もしたことのない2カ所からの快感に我を忘れて声をあげた。
「あぁぁ....やめろ....やめろ...って.....言ってる.....だろ?.....
圭吾は快感に溺れながらも必死に抵抗した。
「やめろ......やめて...くれ.......
何分間か何十分間か同じような愛撫が続いた。
圭吾はずっと「やめろ」と言いながら喘いでいた。
ふと二人は同時に行為を止めた。
「やっぱり今日は男の振りしてんだな。今日はエリカでなくて誰になっている設定なんだ?」
頭の方から祐馬の声が聞こえた。
(やっぱり俺はさっきの沢井エリカって女になってるのか?)
圭吾はエリカという女の振りをして二人をなだめた方が得策だと思った。
「お願い。やっぱり今日はやめよっ、ねっ?」
圭吾は上半身を起こし、女言葉で言った。
そんな圭吾の態度に二人は不思議そうに顔を見合わせた。
(おい、あいつ、どうしたんだ?)
(何か企んでるのかもしれんな)
(ちょっと俺に考えがある)
二人は圭吾に聞こえないように唇の動きだけで話した。


「何だ、もう男の振りはやめるのか?その方が萌えるのに」
哲也が圭吾ににじり寄った。
圭吾は後ずさった。
しかし、背後には祐馬がいたため、ほとんど逃げることはできなかった。
「こっちはもうこんなになってるんだから、いつものように慰めてくれよ」
哲也は膝で立ちながら、いきり立ったペニスを握って言った。
(男のもんってこんなに大きいのかよ。あんなもんを入れられたら...
圭吾は自分がそれを受け入れる状況になることだけは避けたかった。

「俺も今日は疲れてるからさ、フェラチオだけでいいや」
「フェラ...?」
そんな哲也の提案に圭吾の心は揺れた。
(我慢してアレを銜えれば最悪は逃れられるのか?)
そう考えると、そちらの方がましなような気がした。
「フェラすれば許してくれるの?」
圭吾は少し考えて哲也の提案に乗ることにした。
「ああ約束する」
圭吾はじっと哲也のペニスを見つめていた。
「どうしたんだよ?エリカ、早くしてくれよ」
ああは言ったものの圭吾はなかなか思い切れなかった。
いくら何でも男のものを銜えるなんて...
気持ちの中の抵抗は大きかった。
「何だ、やってくれないんなら俺の方から行くぜ」
哲也は圭吾の頭を持ち、自分の方へ引き寄せた。
圭吾は前につんのめり四つん這いのような体勢になった。
そして嫌がる圭吾の口の中にペニスを入れた。
...うっ....
圭吾は急にペニスが急に口に入ってきたことで嗚咽をあげた。
「歯を立てるんじゃないぞ。口をすぼめて、頭を前後に動かすんだ」
圭吾は息苦しさを感じながらも四つん這いになって必死に頭を動かした。
「そしたら俺は下の口でフェラチオをしてもらおうかな」
祐馬の声が背後からしたかと思うと腰をもたれて、何の前兆もなく挿入された。
「あっ....痛っ.....
思わず哲也のペニスが口から出てしまった。
「何してんだよ。しっかり銜えてろ」
「だって...約束が.....
「何が約束だ。俺はお前にフェラチオをしてくれって言ったんだぞ。それをしてくれなかったから、俺が無理やり入れたんじゃないか。お前が自分からフェラチオをしてくれなかったから約束も何もないんだよ。それに祐馬は約束するとも何とも言ってないしな」
哲也はまたも圭吾の口にペニスを入れた。
圭吾は自分の身体に入ってきた祐馬のペニスの感触をどうしていいのか分からなかった。
声をあげそうになるのだが、それも躊躇われて、口の中にある哲也のペニスを必死に銜えることで声をあげないようにしていた。
............................
圭吾はもう何が何だか分からなかった。
ただただ押し寄せる快感の荒波に身を委ねていた。
「エリカ、出すぞ」
哲也の声が遠くから聞こえるような気がした。
次の瞬間、口の中に生臭い液体が広がった。
(口の中で射精された!)
圭吾は頭では嫌悪感を感じるのだが顔は恍惚の表情を浮かべていた。
「エリカ、いつものように飲み込んでくれよ」
しかし圭吾は口の中の精液をほとんど口の外に出した。
祐馬の抽送に感じてそれどころではなかったのだ。
その様子はとてもイヤらしい女の表情だった。
「ん........................................
「ああああ、出すぞぉ」
その瞬間、身体の中に熱いものを感じた。
身体がつながったまま圭吾は仰け反るように痙攣して果てた。
圭吾は少し気を失っていたようだ。
気がつくと哲也に正常位で犯されていた。
顔を横に向けて祐馬のペニスを銜えていた。
何度も何度も二人のペニスを膣に口に入れられた。
回数も分からない。
三人の狂乱の時間は疲れ果てて男どもが寝入るまで続いた。


圭吾が目覚めた。
横では哲也と祐馬がまだ眠っていた。
(ああそうか、俺こいつらに犯されたんだ)
圭吾は相変わらず女の身体のままだった。
(やっぱり夢じゃなく現実だったのか)
何となく陰鬱な気分になった。
圭吾は身体を起こした。
起き上がると身体中に男どもが出した精液が乾いた痕があった。
乾いたパリパリの薄い膜があちこちについていた。
立ち上がると逆流した精液が膣からこぼれ落ちた。
(こいつら、どれだけ溜まってたんだよ。こんなに出したら妊娠しちまうだろうが)
圭吾はそんな自分の考えに戦慄を覚えた。
(俺が妊娠?女になって?そんなことはありえない、絶対...
そう自分に言い聞かせるしかなかった。
(とにかくこいつらから逃げないと本当に孕まされてしまいそうだ)
圭吾は男二人が寝入っていることを確認して、静かにベッドから離れた。
身体中の精液の汚れが気になりシャワーを浴びたかったが、男どもが目覚めるのが恐く、ティシュで最低限のものを拭うのにとどめた。
そして床に脱ぎ捨てられている女物の下着を手に取った。
(これを着るしかないか...
圭吾はショーツに脚を通した。
(俺がこんなものを履かないといけないとは...
そしてブラジャーを胸につけた。
情けない思いがしないではなかったが、下着をつけると何となく落ち着く気がした。
そしてスカートをはき、フリースを着た。
スカートは足がスゥスゥして落ち着かなかったが鏡に映った自分の姿を見て納得した。
(うん、バッチリ)
今の自分にはこういう格好が似合うと思った。
そしてダウンジャケットと靴を手に持ち音を立てないようにして部屋を後にした。

圭吾が出てから30分以上してから哲也と祐馬が目を覚ました。
「おい、圭吾がいないぞ」
「どこに行ったんだ?」
部屋にあったエリカの服がなくなっていた。
「あいつあのまま出て行ったのか?」
「やばい、エリカを取り戻さないと。あれ高かったんだぜ」
二人は圭吾の足取りを追ったが、陽として分からなかった。
エリカを失った祐馬の落胆は計り知れない大きさだった。

圭吾はなぜ自分が女になってしまったかを理解できなかったが、それを受け入れた。
そして、エリカの容姿を活かして水商売の道に入った。
もちろん元・男である。
男がどう言えば喜ぶかは手に取るように分かる。
あっという間に勤めているキャバクラでナンバー1になった。
そして悠々自適な生活を送ることができるようになった。



それから5年が経った。
哲也も祐馬も社会人になった。

哲也が一人で遊びに行ったキャバクラの入り口にエリカがナンバー1として紹介されていた。
哲也は迷わずエリカを指名した。
「あらっ、お久しぶり」
「お前、あのときのエリカだよな?」
「そうよ。あなたと高松くんに弄ばれたエリカよ。どう?少しは立派になったでしょ?」
「ああ、見違えたよ。どうだ?店が終わってから俺とつき合わないか?」
「私をアフターに誘おうっていうの?安くないわよ、香川くんに払えるかしら?」
「そんなにするのか?」
「そりゃね、これでもナンバー1ですから」
「昔の友達のよしみで何とかならないか?」
「う〜ん、そうね。じゃあ、もし今日誰からもアフターに誘われなかったらつき合ってあげてもいいわよ」
「よし、それじゃ約束だぜ」
結局その日は他に誘いがあり、エリカと過ごすことはできなかった。

2
週間ほどが過ぎて、諦め切れない哲也はまたそのキャバクラに行った。
「あなたも懲りないわね。分かった、今日はつき合ってあげる。ただし私を連れていくんだから、前みたいに安いラブホテルじゃダメよ」
「分かったよ、それなりのホテルをとるよ」
「それなりじゃダメ。一流ホテルよ、それもスイートで」
「そ...そんな金はないよ」
「じゃあ、あきらめて。もう私とあなたじゃ格が違うんだから」
エリカのその態度に哲也は意地でも会ってやると決意した。

哲也は店が閉まるのを店の前で待った。
そしてエリカが出てくるのを確認すると、エリカの後を尾行した。
エリカはタクシーに乗り、ワンメーターくらいの距離で降りた。
そこには女性専用のマンションがあった。
玄関にはセキュリティで守られているようだった。
エリカが入ってドアが閉まらないうちに潜り込んだ。
そしてエリカが自分の部屋に入ろうとしたときに後ろからエリカの口を手で押さえて一緒に部屋に入った。
「なっ...何?」
エリカが何かを叫ぼうとしたときに哲也はエリカの腹を殴った。
「うっ」
短い声を発してエリカは気を失った。

哲也はエリカを部屋に運んだ。
「ふぅ〜、やっとエリカを取り戻せるな」
哲也は汗だくになりながらエリカの服を脱がせた。
「このままエリカになってこの贅沢な暮らしを俺のモンにするのもいいかもな」
そんなことを呟きながら、哲也はエリカの腋の下を思いっきりひっぱった。
すると背中が開いた。
さすがに5年以上ずっと着ていたせいだろう。
ものすごい異臭がした。
それでも我慢して無理やり剥がそうと努力した。
圭吾がずっと着たままだったせいか伸縮性も衰えているようだった。
そのせいか剥がすときにあちこちが破けてしまった。
結局全部剥がしたときには全身ストッキングはズタズタになってしまった。
中から出てきたのはブクブクに太った圭吾だった。
おそらく酒と飽食で生身の身体は太ってしまったのだろう。
しかし全身ストッキングのおかげでエリカの体型は崩れなかったのだと思われた。
「あ〜あ、せっかくまたエリカが戻ってきたと思ったのに、これじゃ使えないな」
哲也はエリカを取り戻すのは諦めて、そのまま部屋を後にした。

「キャアアアア、私の身体がぁぁぁぁ...
次の日、野太い男の声がマンションに響き渡った。



《完》




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