【魔王の娘のセイ活】 作:T.J <3> 台車に横たわる早瀬を前にして、俺は困っていた。 どうにかして早瀬を助けてやりたい。 知らない人間ならともかく、このまま見過ごす事はできない。 なぜと言って、いくら肉体は人界に返すと言っても、 精を搾られた人間がその後何の悪影響も無く元の生活に戻れると言う保障はない。 しかし、現在女性の身体になっている以上は精を得る相手として選ぶべきは男性であるのが自然だ。 好きなのを選べと言われたのはいいが、女性を選ぶ事はさすがに不自然ではないだろうか。 「どうした? その女がいいのか?」 兄が声を掛けてくる。 「え、ええ…。ダメかしら?」 「遠慮するなと言っただろう? で、他には?」 …やはり、まだ選ばなくちゃダメか? 「う、うーん」 この兄は『この城の守りを任せる』と俺に言った。 つまり、敵に攻め込まれる可能性もあると言うこと。 そして、目の前には彼らとっての『ごちそう』らしきモノが並んでいる。 彼らの運動エネルギーがどのようなモノでまかなわれるのか知らないが、 どう考えても目の前のモノが関係していると見て間違いないだろう。 だから、早瀬1人で済ませるわけにはいかない。 どうでも最低あと2人くらいは選択しなければ不自然だ。 そしてこの後の展開としては、選択した彼らとヤらなくちゃいけないような気がする。 しかし、やはり男を選ぶのには抵抗がありすぎる。 …ええい、考えたってどうにもならん。 ここで時間を掛けすぎるのも怪しまれるかもしれない。 ダメで元々、思い切って…! 「それじゃあ、この娘とこの女性、それからこの人を貰おうかしら?」 俺が選んだのは外見年齢で言うなら、17、18、20歳くらいの女性たちだった。 ちらりと兄を横目で窺うと、彼はニヤニヤ笑いを浮かべて俺の方を見ている。 …な、なんだその笑いは? 「お前、本当にかわいいヤツだな」 兄は俺の選択を見て苦笑している。 「まったく、昨日も散々俺とヤっただろうに、まだ足りないのか?」 「は?」 俺は彼が何を言ったのか分からなかった。 「しかしな、出撃までもう時間がない。お前の相手はまた今度な」 …ヤった? …相手? 「そんな顔をするな、もう会えなくなるというワケじゃない。 とっとと片付けて帰ってくる。その時はまた可愛がってやるから、今は辛抱してくれ」 な、な、何だこの雰囲気は? そしてこのセリフは? これではまるで戦争に向かう恋人同士の会話ではないか? …この人物は実の兄ではないのか? 「姫様、また坊ちゃまを困らせるような事を…」 ジイやが口元を手で押さて笑いをかみ殺している。 「レイモン、坊ちゃまはやめろと言うに」 すかさず兄が『坊ちゃま』と言う単語に対して抗議する。 …何となく事態が見えてきた。 つまり、この兄妹はかなり親密な関係にあると言うことだ…それも肉体関係をもつほどに。 人間の社会では禁忌とされるソレも、ここでは通用しないのだろう。 その証拠に、近くでこのやりとりを聞いていたジイやに何の反応もない。 そして俺が兄の好物ばかりを遠慮なくチョイスしたものだから、 兄は妹が遠まわしに『行かないで』と言っているのではないかと勘違いしたのだ。 何しろこのお姫様はツンデレらしいし、 素直に『寂しい』とか『気をつけて』とかは言えないのだろう。 となれば、俺が返すべきセリフは1つだ。 「か、勘違いしないでよね? 私は純粋にこいつらが欲しかっただけなんだから」 「分かった分かった。それじゃあ俺は残りの女どもで我慢するか」 兄はくっくっと笑いながら残りの女性全てを選んで、メイドたちにどこかに運ぶように指示した。 そして俺に近寄ってくると、片手でアゴをつかんで持ち上げようとする。 これはいかん。キスをするつもりに違いない。 いくら美形と言っても、男とするなんてとんでもない。 俺は慌てて兄の手を払った。 しかし彼はそれで気分を害することも無く、ただニヤニヤと笑っている。 「いいのか? しばらく会えなくなるんだぞ?」 俺はただ黙ってそっぽを向くことに専念する。 どんな表情をしているか知れたものではない。 「まあいい。楽しみは帰ってきてからにしておこう」 彼はそう言うと颯爽と外套をひるがえして食堂を出て行った。 ――― 残った男どもは城内の連中で分けることになった。 女性陣と一部の男性は大喜びだ。 彼らの中に車屋がいなかったことがせめてもの救いである。 問題は、自室に運び込まれた早瀬を含む女性4人の処遇だ。 現在は6m×6m程度の大きなマットの上に4人まとめて寝かされている。 俺はと言えば、ベッドに腰かけて途方に暮れていた。 一番手っ取り早いのは『おいしく頂きました』と言ってジイやに渡す事だが、 果たしてそれで誤魔化すことができるものなのか。 例えば人間の精力なるモノを視認できる能力があったとしたら? 俺の部屋から出てきた女性たちがピンシャンしているとなったら、これはもう怪しい事この上ない。 となれば、何とか彼女たちから頂くモノを頂かないといけない。 兄もジイやも強く反対しなかった事を考えると、 おそらく女性同士でも精力摂取は可能なのだろう。 しかし、どうすれば良いのか…。 今の俺には男の象徴たるアレがない。それとも単純にイかせれば良いのだろうか? そうやって俺が思い悩んでいると、コンコンと扉がノックされた。 「クラでございます」 …クラ? 聞き覚えのある声だが…。 ああ、俺の着替えを手伝ってくれたメイドさんの1人で、肌の黒い娘だったかな。 「開いているわよ」 俺が答えると、彼女は失礼しますと断って部屋に入ってきた。 「お待たせしてしまいましたか」 彼女は手に様々な荷物を持っていた。 そして、マットに寝かされている4人の女性を見て言う。 「あら本当に、今回は見事にみんな女性なんですね?」 「まあね」 意外は意外だったのだろうが、さほど驚いている様子もない。 「他の2人は…って訊くまでもないか」 「はい、何しろ日本人の男性ですからね。セッツもキエルも張り切って搾りに行ったのでしょう」 クスクスと笑っている彼女。 …他の2人のメイドさんの名は、それぞれセッツとキエルか。 この俺、もとい、姫様に直接仕えることが許されているくらいだから、 このクラって娘も城の中では身分の高い位置にいるのだ。 だからこそ、残りモノとは言え主家に提供されたデザートを頂く権利が発生するのだろう。 あなたは行かないの? と言う言葉を俺は飲み込んだ。 あの2人よりも身分の高い彼女がこうやって俺の部屋を訪ねてくる。 しかも、手には奇妙な荷物をたくさん持って。 となると、考えられる事は…。 「全員女性となると…どうなさいます? やはりフタナリになさいますか? それとも触手かスライムを操作しますか? 私が彼女たちを操作する方法もありますし…」 もし俺が何か飲み物を飲んでいたとしたら、間違いなく噴き出していただろう。 …な、何とまあ。 と、ここで俺は妙案を思い付いた。 「ねえ、クラ? 私が許可するからさ、まずあなたからヤってみてよ」 「え、ええ!? 姫様を差し置いて…ですか?」 彼女は明らかに狼狽した。 「そ、そんな…」 「いつもお世話になってるしさ、たまにはいいんじゃないかと思ってね」 「…本当によろしいので?」 俺は頷いた。 …ていうか、むしろお願いしたいくらいです。 彼女のやり方を一度でも見ることができれば、今後何かと楽になる。 「はあ、姫様がそうおっしゃるのでしたら…」 ちょっと嬉しそうにしている彼女。 「あ、でもいくつか注文があるんだけど、いいかしら?」 「はい、なんなりと」 「とりあえずその娘には手は出さないで」 そう言って俺は早瀬を指差す。 「かしこまりました」 「それと、最初はスライムを操作してみてくれる?」 「姫様ほどお上手ではありませんが、それでよろしければ…」 言って彼女はいそいそと何やら準備を始めた。 まずマットの上に18歳ほどの女性のみを残し、後は全員近くのソファーに移動させる。 彼女は見た目以上に力があり、軽々と人間1人を持ち運んでいる。 次に一抱えほどもある無色透明な液体の入ったビンのフタを開け、そこに自分の血を数滴垂らす。 (彼女の手から鋭い爪が一瞬で伸び、自分の指を浅く傷つけたのだ) それから大きなビンのフタは開けたまま、それを運んでマットの上に乗せる。 続いて、マットの横についていたボタンのような物を押し込む。 するとマットの四方から透明なガラスの膜のようなものが伸びて行く。 ただのマットだと思っていたものが、あっという間に1つの大きな部屋のようになってしまう。 サイコロのような正6面体で、ガラス張りの部屋。 こんな仕掛けが施されていたのか。 さらに、クラは短く呪文のようなものを唱える。 「アンテ・キーウラ」 …俺にはそう聞こえた。 と、次の瞬間である。 今までぐったりと横たわっていた人間の女性が上半身を起こした。 キョロキョロと辺りを見回している。 「え…と、ここ、どこ?」 今のはつまり、虚ろな状態の人間を元に戻す呪文と言うわけか? 「あたし、確か…夏期講習のために学校へ行こうとして…キャッ! 何で裸なのあたし!」 彼女は胸や股間を隠しながら、首を振って色々なところに視線を飛ばしている。 一瞬俺の方を見た気がしたが、すぐに別の場所に視線を移した。 「こ、この真っ白な部屋って…何なの? どうしてこんなトコに?」 真っ白な部屋だと? …もしかして、俺やクラの姿が見えていないのか? と、俺はここでクラの様子にも注目する。 彼女は飾り気の無いシンプルな首飾りを首に掛けて俺の隣に座った。 そして、その中央の無色透明な宝石に自分の血を擦り付けている。 「では姫様、ご覧下さいませ」 クラは一言俺にそう声を掛けると、まるで睨みつけるようにマットの上に置いたビンに視線を注ぐ。 すると、ビンに入っている液体が動き出した。 にゅるりと一気にビンから出て、マットの中に染み込んで行く。 人間の女の子は気が付いていない…いや、今気が付いた。 「あれ、さっきまでそのビンに水が入っていたような?」 ビンを手に取って逆さまにしてみたり、振ってみたりしている。 彼女から見れば部屋にある唯一の異物がそのビンだったのだ。 気になって当然だろう。 そしてそれは女の子の真下から一気に染み出してきた。 「ひゃっ!」 瞬く間に彼女のお尻、腰、太もも、お腹、足首、胸へとまとわりついて行く。 そう、あのビンに入っていた無色透明の液体だ。 「何! 何なのこれぇ!」 10秒と掛からない内に、首から下はその透明な液体に包まれてしまう彼女。 と、ここで隣のクラが何かを揉み込む様にして両手を動かしているのが目に入った。 「何してるの?」 「姫様ったら、お分かりでしょう? ホラ、あの人間の胸ですよ」 言われて再び視線を移すと、 女の子が両手で隠している胸がその内側でうごめいている。 「や! いやぁっ! 胸が…胸が動いてる!」 どれだけ強く両手で胸を押さえつけようと、そこはすでにスライムが覆っている。 「それでは、少しお尻にもイタズラして見ましょうか」 クラはそう言うと右手の揉む動きをやめた。 代わりに中指ゆっくりと何かに突き立てるようにして前に進めて行く。 「ひっ! や、やぁ! お尻…いやぁ!」 ビクッと腰を浮かせる人間の女の子。 「こ、今度は何してるの?」 「もちろん、お尻の中に指を入れているのですわ。 ホラ、私の指を見て下さい。すごく締め付けられているのが分かりますでしょう?」 クラの中指は他の指に比べるとやや細くなっていた。 「次はお尻の中を舐めて見ましょうか」 「な、舐めるって…」 「今、お尻に挿入しているスライムの先端に、 私の舌を生やすような感覚で…って、姫様に講義する必要もありませんわね」 彼女はわざわざ口を開け、俺にも見えるようににゅるりにゅるりと舌を動かした。 「ひぁあ! ンひあぁ!」 マットの上に倒れ込み、悶えまくる人間の女の子。 俺はごくりとツバを飲み込んだ。 |