「おお~ぃ。ちょっと付き合えよ。」

昼休みの教室で賢治は俺を見つけると 満面の笑みを浮かべて

近付いてきた。

 

賢治は俺ン家の近くにある大手化粧品メーカーの息子で、

小さい頃から何をするにも一緒と言う兄弟みたいな間柄だ。

それは高校生になった今でも続いている。

 

その賢治が何やら面白いモノを手に入れたと言うので、

俺は後をついていく事にした。

 

「なぁ、何処まで行くんだよ?。」

俺の問いに答える事無く、校舎を出てグラウンドに向かって歩き出す賢治。

グラウンドには古びた体育用具室と作りかけのプレハブの倉庫があるだけなのに。

何考えてんだよ・・・賢治の奴。

 

「・・・・ついたぜ、ほら。」

そう言いながら周りに誰もいないのを確認すると、

すばやく体育用具室に俺を押し込み内側から鍵を閉めた。

そして俺の肩に手を置くといそいそと制服の上着を脱がし始める。

 

「なっ・・・なっ、何すんだよ!?」

突然の事にビックリした俺はあわてて賢治の手を振り払った。

 

「まぁ、いいから上半身裸になって背中こっち向けろよ。」

 

「賢治・・・まさか、俺の事・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

無言のまま下をうつむく賢治。

見方によっては恥らっている様にも見えなくも無い。

 

「・・・・マジ・・・・なのか・・・・・?。」

俺は今までかいた事の無い汗を背中に感じながら

賢治に問い掛けた。

 

「馬鹿っ!そんな趣味は俺にもないよ。」

半ば呆れ顔のまま答える賢治。

 

「じゃあ何だよ?・・・・。」

 

「いいから、黙って脱げって!」

 

「分かったよ。うるせえなぁ。」

しぶしぶシャツを脱ぐと賢治は制服のポケットから

チューブに入ったクリームを手に取り俺の腰の辺りに塗り始めた。

 

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クリーム

    作 あさぎり

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「うわっ!冷てぇっ!」

突然の出来事に俺は思わず声を出してのけぞった。

しかし次の瞬間、今まで味わった事の無い感覚が襲ってきた。

 

「何だよ。これ・・・あっ・・かあっ・・ああっ・・。」

まるで背後から入った異物が中から俺のナニをいじっている様な

奇妙な感じが身体中を突き抜ける。

 

ふと下を見下ろすがズボンは何の変化も無い。

ただ感覚だけが絶えず伝わってくる。

 

「あっ・・おうっ・・・。」

両手で必死に股間を抑えてみるが動きは止まるどころか

更に激しくなってくる。

まるで誰かにしごかれているみたいだ。

 

「止めろ・・止めて・・・く・・れ・・・。」

しだいに抵抗する気も無くなった俺はされるがまま

快楽に身を任せていた。

 

「おっ、おっ、おっ、うおおおぉぉ~っ」

俺はもう少しで絶頂を迎える所で「ずぼっ!」と鈍い音がして

それと同時に今までの快感は潮が引く様に段々と収まってしまった。

 

「はぁ・・はぁ・・賢治・・・お前一体、何したんだよ?」

俺は呼吸を整えながら振り返ると賢治は先程のクリームの

入ったチューブを持ってニヤニヤしている。

 

「へへへ・・・このクリームはな、ウチの会社の研究部で発見した

特殊な成分が入っていて塗った所が泥みたいに柔らかくなるんだ。

だからクリームが乾くまでの間は先刻みたいに塗った

相手の身体の中に入る事が出来るんだよ。

しかも外側からは何をやってるのか一切分からないようになってる。

まぁ、効果は身をもって分かっただろ?」

賢治はナニをしごく仕草をしながら自慢げに答えると話を続ける。

 

「そこで、このクリームを使って適当な女子高に忍び込こんで、

その中からめぼしい娘を探そうって事なんだよ。

 

ほら俺達二人とも彼女いないじゃん。

まぁ、男子校だからチャンスが無いと言えばそれまでなんだけどな。

どうだ、良い考えだろ。一緒に行かないか?」

 

「・・・・そのクリームがすごいってのは分かったけど

どうやって女子高に入り込むんだよ?

そこの生徒に成りすますにしたってさ、

まさか『背中にクリーム塗りたいから上半身裸になってくれ?』

なんて言うんじゃないだろうな?そんなの絶対無理じゃん!。」

俺はシャツを拾い上げるとそでを通しながら賢治を問い詰めた。

 

「そこでお前に相談があるんだよ。」

 

「?」

 

「ほら、お前の姉さん駅前の日焼けサロンでバイトしてるじゃないか。

あそこなら女子高の生徒も出入りしてるの何度も見た事あるし、

それに女性同士なら背中にクリーム塗るのに何の違和感もないだろ?」

 

「確かにそうだけど・・・って事は賢治が姉貴の中に入るって事か?」

 

「まぁ、そうなるな。」

平然と答える賢治だったが口元が微妙に緩んでいる。

コイツがそう言う表情をする時は、大体悪巧みを考えているに違いない。

 

「そーゆー訳で今日、お前の所にお泊りするからよろしくな。」

 

「・・・・・・・・ああ。」

今ひとつ釈然としなかったが俺自身彼女のいない寂しさと女子高への興味から

賢治の提案に乗る事にした。

 

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放課後、普段ならゲーセンやファーストフードなどに立ち寄りながら

だらだらと時間をつぶす俺達だったが今日は違っていた。

 

まず賢治の家に寄って研究所からくすねておいたと言う

予備のクリームと数種類の薬 を手に入れると早速自宅に向かう事にした。

 

幸い、今日はオヤジもお袋も仕事の関係で遅くなるから

家には俺達と姉貴だけだ。

 

「・・・・ただいま。」

 

「お邪魔しまぁ~す!」

 

「お帰り・・・あら、賢治君。久し振りぃ~♪。」

俺達の帰宅に気が付いた姉貴が台所から出てくる。

姉貴は俺より三つ年上の二十歳のフリーター。

弟の俺が言うのもなんだが、相当美人の部類に入ると思う。

元々オリエンタルな顔立ちに、金色に染めた髪。

日焼けサロンで焼いた褐色の肌。

モデル顔負けのスタイル。

それに物事にこだわらないサバサバした性格は男女問わず受けがいい。

 

実際、姉貴を狙っている男は十人や二十人じゃない。

それを知ってかしらずか特定の彼氏は作らずにみんなと仲良くやっているらしい。

 

「お久し振りです。しばらく振りに見るお姉さんも美しさに磨きがかかったみたいで・・・。」

見え見えのお世辞を使いながら賢治は玄関に靴を脱ぎ捨てると中に入っていく。

 

「何言ってんだか・・・お世辞でもうれしいわ。」

 

「そんな事ないっすよぉ。僕、ウソつけない人ですから。」

 

「フフッ。今日、泊まっていくんでしょ。だったら腕によりをかけておいしいもの

作らなくちゃね。」

姉貴はうれしそうに台所に引っ込むと鼻唄交じりに料理を作り始めた。

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その晩は俺達の子供の頃の話を肴(さかな)に大いに盛り上がり、

気が付くと時計の針はすでに午前二時を指している。

 

「でも、こんな時間まで起きてて平気なんですか?どうせ俺達は学校さぼっちまうから良いけど・・。」

 

「あ-いいの、いいの。明日はオーナーの都合で臨時休業になったから。

それにしてもアンタ達学生は気楽でいいわよねぇ。

アタシも高校時代に戻りたいわぁ~。」

 

「あはははははは・・・・・。」

俺達は互いの顔を見合わせると小さくガッツポーズしながらほくそえんだ。

 

「何笑ってんのよ?変な子達ねぇ。さてと、

・・・・そろそろ眠くなった来たから先に寝るわね。

夜更かしは肌に悪いしね。」

そう言い残すと姉貴は目をこすりながらフラフラとした足取りで

となりの自分の部屋に帰っていった。

その様子を黙って見守る俺達。

 

「よし、もう少ししたら始めようぜ。」

 

「ああ。」

 

三十分後、俺達は物音を立てない様にして自分の部屋を出ると

隣にある姉貴の部屋に向かった。

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「もう寝たかな?。」

 

「ああ・・・・・・。」

 

「でも、ホントに大丈夫か?

途中で起きられたら目も当てられないぞ。」

 

「多分、大丈夫だよ。姉貴は一度寝たらまず朝まで目を覚ました事ないし・・・。」

 

「そっか・・・じゃ始めるぞ。」

 

スパイ映画の主人公になった気分で慎重にドアを開け、

部屋に忍び込むとそこには寝巻き代わりのTシャツとショーツだけを

身に付けた姉貴がうつ伏せの姿勢でベットに横になっていた。

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

俺は気付かれない様に眠っている姉貴のTシャツとショーツを

脱がすと、賢治はポケットから例のクリームを取り出し

姉貴の踵(かかと)から背中に向かって塗り始めた。

 

「うぅん・・・。」

ヒャッとした感触に一瞬身体が反応するが、

どうやら眠気の方が強いのか

しばらくモゾモゾすると再び眠り込んでしまった。

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どの位の時間が過ぎたのだろうか。

時計の音がやけに大きく感じる。

 

俺達は額の汗を手でぬぐいながら慎重に姉貴の様子を伺う。

どうやら今度は熟睡しているらしくスヤスヤと寝息を立てている。

 

ふと目線を姉貴の下半身に移すとクリームの塗られた部分は

弾力を失ったスポンジみたくフニャフニャになり、

指で触ってみるとまるでホイップクリームの様な感じだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

賢治は黙ってうなずくと体重をかけない様に

ゆっくりと姉貴の身体に自分の身体を重ね始めた。

 

「ズブズブズブズブズブッ・・・・。」

何かが沈み込んでく様な鈍い音が暗い部屋中に広がる。

 

この眼で見ている事が信じられなかった。

踵(かかと)から膝。太腿と、まるで底なし沼の様に

賢治の下半身は姉貴の身体に飲み込まれていく。

 

次に腕から二の腕、肩口とクリームを塗りこむと、

賢治の身体は更に深く姉貴の中に潜り込んでいく。

 

ほとんどの部分が飲み込まれてしまい

後は頭部を残すだけとなったが、

賢治は踏ん切りがつかないらしく

なかなか最後まで入ろうとしない。

 

それにしても不思議な光景だ。

うつ伏せに眠っている姉貴の丁度、肩甲骨の部分に

賢治の頭が乗っかっている。

それはまるで今日の授業で習った

江戸時代のさらし首の様で俺は思わず苦笑いしてしまった。

 

「よし・・・・。」

しばらく考え込んだ後、

潜水をするみたいに息を止めると一気に中に入っていった。

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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

あれから二十分ほど経つが一向に眼を覚ます気配が無い。

外から見る限り、

ベットの上に眠っているのはいつもの姉貴で

とても中にもう一人入っているのが信じられなかった。

恐る恐る姉貴の背中を触ってみると、

どうやら先刻塗ったクリームは完全に乾いてしまったらしく

女性特有のスベスベとした肌触り以外何も感じられない。

それにしても賢治の奴はどうなってしまったんだろう?

もしかして・・・・・・・・!?

嫌な予感が頭をかすめる。

 

「おっ・・・おい?・・・賢治、賢治ってば!!。」

急に不安になった俺は姉貴を肩をゆすりながら

懸命に声を掛けた。

 

「うぅ・・・ん。」

俺の呼びかけに目を覚ました姉貴はけだるそうに

ベットから起き上がると周りを見回したり、

確かめる様に身体中をあちこち触っている。

 

「あ・・・姉貴?それとも・・・・。 」

不意に漏れた俺の声に気付いた姉貴は黙ったまま振り返る。

気まずい空気が部屋中に漂う。

 

「あんた・・・アタシの部屋で何やってんのよ!?」

しばらくの沈黙の後、先に口を開いたのは姉貴の方だった。

月明かりに照らされた褐色の裸体を隠す事無く仁王立ちで

俺の事を睨み付けている。

 

「ゴ、ゴメン。」

俺は条件反射で思わず謝ってしまった。

 

「・・・・・何ちゃって☆」

口元を緩めると急におどけた顔で答える姉貴。

 

「・・・・・・もしかして賢治か?」

 

「ああ、そうだよ。

何だよ。姉さんが目を覚ましたと思ったのか?

だとしたら俺の演技力もまんざらじゃないなぁ~。

あははははははっ♪」

 

「勘弁してくれよぉ。

先刻はホントに姉貴に見つかったと思って

血の気が引いちまったんだからな。

それに何でこんなに時間かかってんだよ?。

もしかして失敗したんじゃないかって心配してたんだぜ。」

 

「ワリィ、ワリィ。実を言うとさ、

全身入れるのって今回が初めてだったんだ。

だからどうなるかと不安だったんだけど、

どうやら無事成功みたいだな。

 

それにしても女の身体ってすごく敏感だよなぁ。

ここなんか特に・・・ふあぁ・・あぁん・・・・・。」

姉貴は自分のオッパイやお尻を何度も揉んだり撫で回し

たりしながらこちらが恥ずかしく様なポーズやあえぎ声を上げている。

 

「おいっ、あんまり姉貴の身体で遊んでんじゃねーよ!賢治!」

俺は照れを悟られない様にワザと乱暴な口調で言い放つ。

 

「何怒ってんだよ。はは~ん、お前うらやましんだろ?

分かってるって、そんじゃお前にもいい思いさせてやるからよ。」

そう言うと先刻まで欲望丸出しだった姉貴の顔がいつもの顔に戻ると、

露出した肌を隠す事無く、俺の前で誘惑的なポーズを決める。

 

肩まで伸びた髪を金色に染め、日焼けサロンで焼いた褐色の肌。

オリエンタルな顔立ちに、魅惑的な眼。

ガラス細工の様に細く華奢な身体。

 

久し振りに見る裸の姉貴は均整の取れた美術品の様で、

不覚にも俺は見とれてしまった。

 

「ほらぁ・・何、照れてんのよぉ。姉弟なのに・・・・フフッ。」

それをまるで見透かした様に全裸のままの姉貴が

不敵な笑みを浮かべながら近ずいてくる。

 

「バカ、やめろぉ!賢治!ホントに怒るぞ!」

 

「ウフフ・・・むきになっちゃって可愛い♪」

身体をくねらせながら俺の頬に手を添えると耳元に

熱い吐息を吹きかけた。

 

「うわぁ、頼む。本当に勘弁してくれ!」

俺は必死でその手を振りほどき壁際まで後ずさりすると

その場にへたり込んだ。

 

「・・・・何てな。冗談はコレ位にしてバイト先いこうぜ。

先刻の話だと明日は臨時休業だって言ってたから

もう誰もいないはずだし、ますます好都合じゃん。

さーて、どんなの着てこうかしら?。」

 

「賢治・・・。」

髪をかき上げながら嬉々として姉貴の服を選んでいる賢治に

俺は一抹の不安を感じていた。

 

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「しっかし何だよ、その格好は。賢治?」

 

「えっ?ああ。何っうのかな、俺の個人的趣味っうか、

お姉さんにはこれが一番似合うんじゃないかと思ってさ。」

そう言いながら胸に手を添えると自慢げに微笑む女性。

 

「それにしたってさー。」

目のやり場に困っているのかポケットに手を突っ込み

うつむいたままの男の子。

 

朝方の街並みを駅に向かって歩く二人。

片やまだ幼さの残る高校生位の男の子。

片や大人の色香を漂わせる女性。

 

褐色の肌に金色の髪。

身体の線を浮き出す様にぴったりとした小さ目の赤いキャミソールと

革製の真っ赤なミニスカートに身を包み、

カカトの高いミュールに銀色のアクセサリーをまとった姿は、

モデルの様なスタイルと相まって通勤途中の人波の中で

かなり浮いていた。

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「おっ!あった、あった。ここだよ、ここ。ここの四階っ!。

お前のお姉さんの勤めてる日焼けサロンは!!」

女性は駅前近くにある雑居ビルを指差しながら

興奮した様子で叫ぶと男の子の手を引っ張る。

 

「知ってるよ。そんなに興奮するなって・・・行こうぜ、賢治。」

男の子の方は女性の手を振り解くと照れくさそうに小走りに歩き出す。

 

「おいっ、待ってくれよぉ。今俺、か弱い女性なんだぞ。

少し位いたわってくれたっていいだろ~っ!」

近くの人にも聞こえる位の大声を出しながら女性は男の子の後を追っかける様にして雑居ビルの中に入って行った。

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「はぁ・・はぁ、はぁ。やっと着いたよ。それにしても結構急だな、

この階段は。」

 

「何だよ。もうへたばったのかよ。体力ねーなー。」

 

「そんな事言ったってしょうがないだろ。こっちは女の身体なんだぜ。」

その場にしゃがみ込みながら息も絶え絶えに答える姉貴(賢治)。

 

二人が階段を駆け上がった先には若者に人気の日焼けサロンがあった。しかし店の前のシャッターには何やら張り紙がしてある。

 

「えっと・・・何々。『本日、都合によりお休みをいただきます。

明日からは平常営業ですのでよろしくお願いいたします。』だって。

お姉さんに聞いた通りだな。」

シャッターに貼ってある紙を確認する様に何度も読み返すと、

おもむろに振り返り、いたずらっぽく笑う姉貴(賢治)。

 

「ああ。」

まるでいつもの姉貴の様な仕草に釣られて思わず俺も口元がゆるむ。

 

「よし、それじゃ早速始めようぜ!ほら、ぐずぐずすんなよっ!」

そう言ながら立ち上げると姉貴(賢治)は店の裏口に向かって歩き出した。

 

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「カチャ・・・。」

俺達は持ってきた鍵で裏口のドアを開けると室内の灯りをつけた。

 

無国籍風の店内には様々に彩れた雑貨や小物類が立ち並ぶ。

カウンターをはさんだ両脇にはパーテーションで仕切られた

タンニング(日焼け)ルームとメイクルームがあり、

反対側には更衣室にトイレとスタッフルームがあった。

一通り見回すと外からは分からなかったが店内は意外な程広い。

 

「それじゃ軽く打ち合わせでもしとくか。」

スタッフルームにあるソファーに身体をうずめ、テーブルに足を投げ出す姉貴(賢治)。

 

「そうだな。・・・で、どうすんだよ?」

 

「俺が考えてんのはさぁ。まず今日は女子高生限定って事にしてさ、

そん中から好みの娘を普通にタンニングルームに案内するだろ。

それで日焼けが終わった頃を見計らって、

ドリンクサービスとか言って眠り薬入りのジュースで眠らせちゃった後、

例のクリームを塗りこんでその間に入り込むって寸法さ。」

 

「そんなにうまくいくかなぁ・・・。」

 

「絶対うまくいくって!任せとけって!」

よほど自分の立てた計画に自信があるのか姉貴(賢治)は

自慢げに答える。

 

「だからよ・・・お前は俺の・・・・うっ。」

 

「どうしたんだよ、賢治?」

 

「いや、何か急にお腹が痛くなってきてさ・・・。」

今まで一人芝居の様に軽やかに喋り続けていた姉貴(賢治)が

急に苦しそうな表情を浮かべる。

 

「もしかして・・・それって生理じゃないか?

結構前から調子悪いって姉貴言ってたし。」

 

「マジかよ!?最悪だな。そう言えば頭も痛くなってきたし・・・。

あっ、ちょっとやばいかも・・・俺、トイレ行って来る!」

そう言い残し、姉貴(賢治)はお腹を抱えながらトイレに駆け込んで行った。

 

(何だか、先行きが思いやられるなぁ・・・。)

俺はソファーに座りなおすとテーブルの上にあった雑誌を手に取り、

パラパラとめくりながら姉貴(賢治)の帰りを待つ事にした。

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「ジャアアアアァァァァァァ・・・・・・。」

 

女性は濡れた股間をトイレットペーパーで綺麗に拭きとると、

足首まで下ろしていたパンティーをはきスカートを元に戻した。

どうやら先程までのお腹の痛さは単なる便秘だったらしく、

今は全てを出し終えたのか晴れやかな顔で立ち尽くしている。

 

(ふう~っ。何とか間に合ったな。それにしてもこんな細い身体の中に

あんだけの量が入っているのも良く考えると不思議な話だよなぁ。

まぁ、女の人は便秘気味って話しだしな。)

お腹をさすりながらそんな事を考えてみる。

ふと目線を下にやると窮屈そうに赤いキャミソールに包まれた胸元が飛び込んできた。

 

(そっか・・・俺、今お姉さんの身体なんだよな。

だったら・・・せっかくお姉さんの身体を自由に出来るのに何にもしないのは失礼だよな。

『据え膳喰わぬは男の恥』ってことわざもある事だし。

よし!それじゃっと・・・。)

 

自分勝手な理屈をつけ、着ていた服を捲(まくり)上げると

ブラジャーの上から豊満な胸を上下に揺すってみる。

するとそれに答える様に揉み応えのある感触が返って来た。

 

(おお~っ、すげぇ。さて次は・・・・と・・・。)

満足げな表情を浮かべながらホックを外すと形の良い二つの胸が重力に従い、ぷるんと揺れる。

 

「あっ・・・・。」

思わず漏れる声に「はっ」としながら周りを見回すと、

おもむろに柔らかい胸を揉みしだきながら先端を指先でいじり始める。

 

「うはぁ・・・すげぇ・・あんっ・・・!」

余りの刺激に一瞬、身体が硬直する。

先端はすでに痛いほど硬くなっており、親指と人差し指でキュツと

つまみあげてみると快感が堰を切った様に伝わってきた。

 

「はぁはぁ・・・はぁ・・はん・・はぁ・・。」

(何だよ・・・これ・・・すげぇ・・気持ち・・いいっ・・。

・・・それに何か身体の中からあふれてくるよ。)

夢中で胸を弄(もてあそ)びながら開いている左手でミニスカートを下ろしショーツの中に指を入れると股間をねちっこく這わせる。


「ふっ・・・ふあっ・・・ふぅん・・・・・。」

(ダッ、ダメだっ・・もう我慢できねぇっ!!)

すでに生地の上からでも濡れているのが分かる位のショーツを着ていた服とともに脱ぎ去ると這わせていた指先を股間へ招き入れる。

 

「ああっ!!・・うんっ・・はっ・・入るぅ・・ああぁぁっ・・。」

クチュクチュと淫らな音を立てて細い指先が股間の間に

何度も飲み込まれる。

その度に失神してしまう様な快感が身体中を駆け抜け、

もはや立っている事すら出来ずに再び便座に座り込んだ。

 

「んっ、んっ、んんっ・・・ああっ!!はぁん・・・ふうっ・・・。」

(おっと、やべぇ。・・気持ち良過ぎてどうしても声が出てきちまう・・

こんな所あいつに見つかったら何言われるか分かんねーし・・・・・)

 

あわてて口元を手で抑えて外に声を出さない様してみるが、そうすると気が散ってお姉さんの身体に集中する事が出来ない。

 

しばらく思案に暮れていると備え付けのトイレットロールが目に入って来た。

 

「!?」

(おっ、そうだ。こうすればいいじゃん。)

備え付けのトイレットロールを乱暴に引きちぎると、

何枚かに折り、声が出ない様に唇で強く噛み締めた。

 

「んっ・・んんっ・・・・ふぅん・・・ふくぅっ。」

(こうすれば外にあえぎ声が漏れるのを気にする事無く、

女体の神秘に集中できるもんな。我ながらいいアイデアだぜ!。)

自画自賛しながら指先を股間に潜り込ませると自慰を再開し始める。

 

「んふっ・・んんっ・・んあっ・・ふぅん・・・!!」

口をふさいでいるせいか荒い鼻息と軽い眩暈(めまい)が

更に快感の感度を高めていく。

それから先は本能に付き従う様に夢中で身体をよじらせながら快楽を貪りつくす。

 

「んふっ・・んんっ・・んあっ・・ああああぁぁぁぁぁっっ!!」

身体中の毛穴が開き、全身が性感帯になった様な奇妙な感覚を味わいながら、

絶叫の後、絶頂を迎えた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

(はああぁ・・・すげぇ気持ち良かった。これが女のイクって奴か。)

便座に腰をかけたまま、しばらく立ち上がる事の出来ずに女性は

口元に張り付いた紙切れもそのままに、

天井の照明をぼ~っと見つめながら快感の余韻を味わっていた。

 

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「おい!起きろよ。賢治っ。賢治ったら!」

俺は姉貴の頬を二、三度軽く叩きながら声を掛けた。

 

それと言うのもトイレに入ってからだいぶ経つのに

一向に出てこないのを心配して様子を見に行くと、

開きっぱなしのドアの奥で全裸のままぐったりしている姉貴(賢治)を

見つけたからだ。

 

「うぅ~ん・・・おう、どうした?」

寝ぼけ眼を手でこすりながら素っ頓狂な声を上げる姉貴(賢治)。

 

「どうしたじゃねえだろ。30分以上便所にこもりやがって・・・。

それに顔真っ赤だぞ。大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫だよ、大丈夫。心配するなって!

それよりもうこんな時間なのかよっ!?

時間が無いから開店の準備に取り掛かろうぜ。

俺もすぐ行くからさ、ほらっ!。」

姉貴(賢治)は床に散らばった服や下着を拾い集めると、

中にいた俺を強引に押し出しドアをしめた。

 

「ああ・・・分かってるよ。そんな事・・・。」

俺は何だか釈然(しゃくぜん)としないまま、放り出される様にトイレを出ると開店の準備に取り掛かった。

 

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「え~っ、ホントの話だって信じてよぉ~。」

 

「だって・・・キャハハハハハ、何ソレ~笑えるぅ~♪」

 

「でさ~。ねぇ、ちょっと聞いてよぉ!!。」

軽快なBGMとこぼれる様なはしゃぎ声のする店内の中に俺達はいた。

すでに開店してから二時間が過ぎている。

 

駅前と言う立地のせいか、セーラー服やブレザーといった色々な制服に身を包んだ女生徒がおのおの楽しそうにおしゃべりしながら自分達の順番を待っている。

それにしても午後二時と言ったらまだ授業中のはずなのに店内はたくさんの女子高生達のあふれ帰っていた。

 

(やっぱり『女子高生限定、無料サービス』って言う、張り紙が効いたみたいだな。それにしてもすげぇ~数。まさに『天使達の午後』って奴だな。)

カウンターに頬ずえを付きながらうっとりとした表情で

女子高生達を見つめる姉貴(賢治)。

 

「見とれるのは良いけど、それより女の子達の応対してしてくれよ。」

 

「何で?。お前お客の整理も出来ないのかよ?」

眉を少しだけ歪めて不機嫌そうに尋ねる姉貴(賢治)。

 

「だってよ。俺が行くとみんな変な目で見るんだぜ。たまんねぇよ。」

ぼやいては見たがよく考えてみれば当然の反応だった。

ここは日焼けサロン。

中にいる人間は皆少なからず日焼けしているはずなのに

一人だけ真っ白な肌の俺はかなり異質な存在らしく、

近付くだけで怪訝(けげん)そうな視線を浴びせられていた。

 

「分かったよ。んじゃ、その間にめぼしい娘でも選んでろよ。」

 

「わりぃ。」

俺は拝む様に姉貴(賢治)に頼み込むとカウンターの奥から店内にいる

女子高生達を見回してみた。

 

中には肝臓が悪いんじゃないかと疑いたくなる程黒い奴もいたが、

ほとんどの娘はそれ程黒く無い。

(何だ、顔グロとか言ってもやっぱテレビの演出なのかぁ。

それとも絶滅したのかな?)

 

そんな事を考えながら周りを見回してみると若干の例外もいるが

みんな可愛い。

俺達が男子校でやりたい盛りの高校生だと言う事を差し引いても

付き合えるもんなら即オッケーみたいな娘ばっかりだ。

 

(この中から選べなんてずい分酷な話だよなぁ・・・っておおお~っ)

俺は声が出そうなのを慌てて抑えながら、二人の女子高生に視線が釘付けになった。

 

一人は金髪の長いソバージュヘアを一つにまとめ、小麦色の肌に

派手目の化粧をほどこし、大きめに開いた胸元や短めのスカートにルーズソックスと、それ系の雑誌に載ってもおかしくない様な大人っぽい娘。

 

もう一人は幼さの残る顔つきにミディアムストレートの髪を軽く染め、

まだ日焼けし始めといった自然な感じの肌とアンバランスな位大きな胸を

セーラー服に包んだおとなしそうな娘。

 

幸い二人とも、一人で来たらしく退屈そうに枝毛を探したり、携帯電話で

誰かとおしゃべりしている。

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「どうだ、決まったか?」

一通りお客の整理を終えたのかカウンターに寄りかかりながら

小声で尋ねる姉貴(賢治)。

 

「ああ、ほらあそこに座ってる二人が良いかなって。」

俺は見つからない様に先程めぼしをつけていた娘のいる方向を

指差した。

 

「ふ~ん、中々良いの選ぶじゃねーか。で、お前どっちにする?」

俺が指差した方を何気なく振り返りながら軽く一瞥すると耳元で囁く姉貴(賢治)。

 

「俺?右の携帯電話で話ししてる方。」

 

「分かった。じゃ俺は左の娘だな。

それじゃ準備が出来たら呼ぶからそこでおとなしく待ってろよ。」

そう良い残すと姉貴(賢治)は俺の選んだ女子高生に声を掛けると

そのまま更衣室へ連れて行った。

 

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20分後・・・・・・。

 

「コンコンッ!!失礼しま~す。」

終わった頃を見計らってパーテーションで仕切られたタンニングルームへ入っていく姉貴(賢治)。

その手にはしっかりと眠り薬入りのジュースが握られている。

 

「はい・・・。」

そこには先程の女子高生の一人が丁度日焼けを終え、

水着を身に付けている最中だった。

 

「あっ!ごめんなさいっ。」

目の前の光景に動揺しながらも冷静を装う姉貴(賢治)。

 

「いえ・・・アタシ水着の後が残るのが嫌なんで日焼けする時はいつも

脱いじゃうんですよ。・・・で、何ですか?」

別段気にする様子も無く平然と答える女子高生だったが、

メイクを落としたその顔はカウンター越しに見たのと違い

年相応のあどけなさが残っていた。

 

「ああっ・・・そっ、そうだ。サービスドリンクをお持ちいたしました。」

そう言ってあわてて持っていたジュースを差し出す。

 

「えっ、いらない。アタシ今ダイエット中で水分も取りたくないんで。」

背中を向けたまま差し出されたジュースを受け取りもせずぶっきらぼうに答える女子高生。

 

「そう・・・・・・ですか・・・・・。」

(何てこった。これじゃ俺の考えた計画通りに進まないじゃないか。

どうしよう・・・そうだ!)

思わぬ相手の反応に一瞬あせりながらも必死に頭を働かせ、

次の手を考える姉貴(賢治)。

 

「・・・じゃ、マッサージなんてどうです?もちろん無料ですよ。」

 

「えっ・・・マッサージって・・・・。」

きょとんとした表情で振り返る女子高生。

 

「当店オリジナルのマッサージとクリームを使って新陳代謝を活発にして

身体の老廃物とか余計な水分とかを汗や垢とかにして出しちゃうの。

しかも同時に肌の引き締め効果やきめを整える女性ホルモンの分泌を促進させる効果もあるって優れものよ。

本当は会員のお客さんしかしないサービスなんだけど、

今回はアナタだけ特別にサービスするわ。

だから他の娘には内緒にしてね。」

小難しいセリフをもっともらしく並べながらマッサージを薦める姉貴(賢治)。

 

「はぁ・・・じゃあ・・お願いします。」

今一つ要領を得ないながらも言われるままに従う女子高生。

 

「ええ。じゃ、まずそこのベットに仰向けになってもらえるかな?」

口元の緩みを必死に堪えながらポーカーフェイスに徹する姉貴(賢治)。

もちろん下心は全開だ。

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「キュッ・・キュッ、キュッ・・・・。」

前に見たテレビのエステ番組を思い出しながら指先から二の腕の方へ丁寧にマッサージをしていく。、

次に肩口から胸元の辺りまで指先を這わせるとそのまま水着の上から

柔らかなそうな胸を揉みしだいてみる。

 

「!?・・・・・・・・・・・・・・・・。」

突然の事に驚いたらしく少しだけ眉間にしわを寄せながらも

顔を真っ赤にして堪える女子高生。

よく聞かないと分からないが、かすかに吐息が漏れている。

 

(何だよ・・・感じてんじゃん・・・そんじゃ、次はっと・・・。)

女子高生が無抵抗なのを良い事に、吸い付く様な感触を感じながら指先を胸から離すと下半身を目指し少し汗ばんだ身体をマッサージしていく。

 

「キュッ・・キュッ・・・、キュ、キュッ・・・・。」

お腹から腰を経て股間の辺りをじらす様に指を這わせると、

汗でうっすら浮き出た割れ目に沿ってなぞっていく。

その瞬間!

 

「あの、これってホントにマッサージなんですかぁ?

何だか・・・・その・・・・・・。」

女子高生は消えそうな声で尋ねるとそのまま黙り込んでしまった。

 

「えっ?ええ、そうよ。何か?」

 

「いえ、・・・・・。」

 

「そう・・・・・。」

(ちょっとやりすぎたかな?んじゃ、今度はもっとソフトにいくか・・・。)

少し動揺しながらも敏感な所を刺激し続ける姉貴(賢治)。

 

「んっ・・・くっ・・・・はぁっ・・・。」

まるで耐える様に身体を交互にくねらせ、切なげな声を上げる女子高生。

 

「そんなに固くならないでいいから私に任せて・・・。」

耳元でつぶやくと姿勢をうつ伏せに反転させ持ってきていた

クリームを背中から下半身に塗りこんでいく。

 

「んんっ・・・。」

ヒャッとした感触に一瞬身体が硬直するが、

どうやら気持ち良さの方が上なのか特に抵抗する事無く

姉貴(賢治)のする事に身を任せている。

 

「リラックスして・・・・このクリームがすごい効くんだから。」

そう言ってクリームを塗りこんだ所に両腕を潜り込ませると先程自分が自慰した時に気持ち良かった所を重点的に攻めていく。

 

「えっ!?・・・・・・あっ・・はぁっ・・かっ・・・!」

女子高生は余りの快感に声も出せないと言った感じで、

頭を前後に動かし身をよじりながら悶えている。

それもそのはず、女性の敏感な所を内側から激しく刺激されているのだ。

すでに目は焦点が定まらずうつろに空を彷徨い、

口はだらしなく半開きのままだ。

 

「あら、どうしたのかしらそんなに汗かいて?

でも、もう少しで終わりだからおとなしくしててね♪」

調子に乗って子宮の辺りをねちっこく動かしながら一気に絶頂へ誘う。

 

「んんんんんんんっっっ!!ああああぁぁぁ!!」

想像を絶する様な快楽に堪えられず女子高生は、

部屋中に聞こえる様な喘ぎ声を最後に力無くその場に崩れ落ちた。

 

(ふ~ぅっ、思ったより時間掛かっちゃったな。さて、後一人か・・・。)

姉貴(賢治)は額の汗を手の甲(こう)でぬぐうと、気を失ったままベットに横たわる女子高生を見下ろすと満足げに微笑んだ。

 

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「ねぇ、ちょっとぉ!まだアタシ達の順番来ないのぉ!」

真っ黒な顔に紫のカーディガンを着込んだまるで「ドム」の様な

女子高生が太めな身体を震わせながら俺に食って掛かる。

 

「もう少しだと思いますから・・・待ってて下さい。」

 

「アンタ先刻もそう言ってたじゃない!一体どんだけ待てばいいのよっ!」

 

「そうだよ!早くしてよ。」

その後ろでゴボウの様に真っ黒に日焼けしたガリガリの女子高生が合いの手を入れる。

 

「すいません。もう少しなんで・・・・。」

 

「ホントね。ホントこれ以上待たせたらマジ、暴れるからねっ!」

「ドム」は怒りが収まらない様子でカウンターを蹴飛ばすと、

席に戻って行った。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

(畜生、何で俺が・・・それにしても遅っせぇなー、賢治の奴。)

俺は時計を見上げながらため息交じりつぶやいた。

すでに時間は一時間近く過ぎている。

 

「へへっ、お待たせ。」

カウンターの外からひょっこりと顔を出したのは姉貴だった。

心なしか髪も少し乱れて額にはうっすらと汗を浮かべている。

 

「随分遅かったじゃん。」

 

「えっ!?ああ、まぁな。それより準備出来てるから早く来いよ。」

 

「ああ・・・。」

俺は姉貴(賢治)に言われるまま後をついて行く。

 

「ここだよ。」

そう言って案内された部屋は女性特有の甘酸っぱい残り香と

湿っぽい汗の匂いが漂っていた。

一体何やったんだ賢治の奴。

 

「そんじゃ、俺もう一人の娘の方に行くからさ。」

姉貴(賢治)はそう言い残すとさっさと部屋を出て行ってしまった。

取り残される俺とベットに横たわる水着姿の女子高生。

 

(やっぱり、姉貴ん時と同じくなってる。・・・って事は急がないと

すぐ乾いちまうって訳か。)

俺は着ていた服を脱ぎ捨てると、彼女の髪を指でかき分けクリームの塗られた背中を指で触りながら感触を確かめた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

急がなくてはいけないのは分かってはいるけど、

いざ自分が入るとなると中々踏ん切りがつかずに

何度も背中を指で押しては離すと言う動作を繰り返していた。

 

そうしている間にも女子高生の背中の表面は段々と乾いて硬くなってきている。

 

(もう、やるしかないよな・・・・。)

俺は覚悟を決めて掌(てのひら)を背中にめり込ませた瞬間。

 

「おいっ!いつまで悩んでんだよ?早くしろって!!」

 

「わあああっ!?」

突然の掛け声にビックリして振り返るともう一人の女子高生が

水着姿のままニヤニヤしながらこちらを見つめている。

その表情は先程の大人びた印象とはまるで違っていた。

 

「アハハ、何びびってんだよ。心配すんなって、大丈夫だよ。

それとも止めとくか?

残念だなぁ~。女の身体はこんなに気持ち良いいのに・・・うっ・・くぅん。」

女子高生(賢治)は壁に寄りかかりながらうっとりとした表情で

水着の上から自分のオッパイやお尻を何度も揉んだり撫で回している。

もうこの娘の身体に入り込んだのか賢治の奴。

 

「姉貴は?」

俺は自分を落ち付かせる様に胸元に手を置いて

深呼吸をすると背中越しに問い掛ける。

 

「んっ・・大丈夫だよ。奥のスタッフルームのソファーに寝かしておいた。

だからそんなに・・・心配するなって・・・・・はぁ・・・。」

女体の快楽に夢中なのか生返事で答える女子高生(賢治)。

 

「そっか。」

 

「うっ・・それより早く・・・入れよ。クリームが乾いちゃうだろ。

それともビビってんのか?情っさけねーなー。あぁ・・ん」

男言葉でまくし立てる女子高生(賢治)。

しかしその声は力なく、途切れ途切れに熱い吐息とあえぎ声が混じる。

 

「馬っ鹿、違うよ。今からやろうと思ってたんだよ!

それをお前が突然声掛けるから・・・。」

俺は精一杯の強がりを言うとベットに寝そべっている女性の身体に

自分の身体を滑り込ませていく。

 

「ズブズブッ・・・・。」

賢治のを見ていた時と違って、自分の身体が飲み込まれていくのは

とても不思議な感触がした。

飲み込まれた部分は自分と他人の境目が曖昧になってくると言うか、

まるでそれが当たり前の様な奇妙な安堵感が湧いてくる。

 

(これが補完計画・・・。)

思わずそんな台詞が頭をかすめる。

 

「ズブズブズブズブズブズブッ・・・・。」

踵・・膝・・太腿・・腰と下半身を潜り込ませ上半身に取り掛かろうとした時、突然気を失っていた女子高生が目を覚ました。

「うぅ~ん・・何よもぅ~・・・せっかく良い気持ち眠ってたのに・・・。」

 

 

女子高生は不機嫌そうに振り返ると背中越しに俺と目が合う。

 

一瞬の沈黙の後・・・・・。

 

「ひっ・・・いやああああぁぁぁ!!」

女子高生は現状が把握できずにパニック状態のまま、

背中に溶け込んでいる俺を振り落とそうと猛烈な勢いで身体を左右に揺さぶっている。

 

「あっ、わっ・・・あああああぁぁぁっ!!」

その反動でバランスを崩した俺達はものすごい勢いで部屋中に響く様な音とともベットから転げ落ちた。

 

「ちっ、ちょっと落ち着けって・・・どっ、どうすんだよ、賢治っ!!」

まるで暴れ馬に乗っている様な感じにとまどいながら

助けを求める俺に女子高生(賢治)は少しも慌てる事無く、

先程俺達が転げ落ちたベットに寝そべっている。

 

「おいっ!賢治ってば!なあっ!どうすんだよっ!?賢治ってば!!」

俺は必死に賢治に助けを求める。

 

「いいから早く中に入っちまえよ!」

その様子に見かねた女子高生(賢治)は首だけ俺達の方を向けると、

面倒くさそうに答える。

 

「そうか・・・・・・・・・よしっ!!」

俺は賢治の叫び声に突き動かされる様に彼女の肩の辺りに自分の

両腕をめり込ませるとそのまま一気に上半身を滑り込ませていく。

 

「ズブズブズブッ!!。」

勢い良く音を立てて頭以外全ての部分を潜り込ませる。

すると先程まで激しく動いていた彼女の身体はぴたっと止まり、

同時に彼女は急に自分の身体が思い通りに動かなくなった事に

戸惑っているのか小刻みに頭を震わせ、ひきっった声を上げている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

俺は試しに腕や足を動かしてみると思い通りに動く。

どうやら俺が彼女の身体を乗っ取った形になっているみたいだ。

その間も彼女は怯えた声で何やらつぶやいている。

 

「悪いけどアンタの身体、しばらく借りとくぜ。」

俺は耳元で彼女に囁くと一気に残りの部分を潜り込ませた。

 

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「なっ、簡単だっただろ?。」

 

「うん・・・だけど・・・ホントに良いのかな、こんな事しちゃって・・・。」

 

「嫌ならいいぜ。俺だけ行って来るから。」

 

「えっ!?・・・・冗談だよ。行くに決まってるじゃん。」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

ここはとある日焼けサロンの更衣室。

何の変哲も無い室内の中で男言葉で話していたのは二人の女性だった。

 

金髪の髪をうっとうしそうにかき上げ、

小麦色に日焼けした肌をギリギリまで露出した水着で包んだ

その姿は典型的な今どきの女の子そのものだった。

しかしなぜか様子がおかしい。

二人とも物珍しそうに鏡に写った自分の顔を見てニヤついたり、

身体の感触を触ったり揉んだりして確かめている。

そして互いの顔を見合わせると口元をだらしなくゆるめながら

照れくさそうに大笑いしている。

 

「さてと・・・そんじゃ、着替えようぜ。」

 

「おうっ!」

 

女の娘達は備え付けのロッカーからそれぞれの制服と下着を取り出すと

先程まで身に付けていた水着を床に脱ぎ捨てた。

 

「おい、見てみろよ!このオッパイ。」

 

「うわぁ、すげぇ。なぁ賢治、それ触ってもいいかな?」

 

「馬鹿っ!今はお前も女なんだから自分の触ればいいじゃないか。

それにお前の方がでっかいみたいだぞ。」

 

「・・・・・なる程、それもそうだな。」

俺は綺麗に日焼けした巨大なオッパイをそっと包み込む様に

持ち上げると先端を指で軽くつまんで見た。

 

「うわっ!?」

まるで電流が走ったみたいに身体が一瞬反っくり返る。

突然の刺激にびっくりしたけど・・・・悪くない、って言うか気持ちいい。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

再び乳首のまわりに指を這わせてみる。

まるで指に吸い付くような肌の感触を味わいながら

胸を揉みしだいていると段々と身体が熱くなってくるのが分かる。

それに従って呼吸が荒くなり、意識せずに声がもれてしまう。

 

「うぅん・・はぁ・・っ・・・はぁ、はぁ・・・。」

汗ばんだ身体と股間のぬめりが潤滑油の様に

身体の奥を刺激して快感を増大させる。

すでに立っていることすら困難になり、その場に座り込んでしまった。

 

(何だよ・・これ、頭がぽうっとしてくる・・すげぇ・・・気持ちいい・・。)

股間の割れ目にそって指を這わせながら

もう片方の手で乳房を口元に持っていくと先端の突起を夢中で吸い続けた。

 

「あっ・・はぁん・・・あんっ。」

(すっげえ・・気持ちいい・・あぁ・・・。)

切なげな声を上げながら快楽を貪り続ける様に

濡れた指先を更に奥の方へねじ込んでいく。

 

「あっ、あっ、あっ、はぁっ・・ああっ・・・・・!!」

(いっ・・・いいっ・・・もうすこ・・・し・・・あぁ・・・・)

身体の中から無限にあふれ出てくる快楽の波に酔いしれながら

もう少しで絶頂を向かえようとした時・・・・・・。

 

「よぉ、そろそろ気が済んだか?」

 

「!!」

我に帰った俺は口元のよだれを手でふき取りながら振り返ると、

ブレザーの制服に着替えた少女が腕組みしたままニヤニヤと見下ろしていた。

しかし、先程まで大きめに開いた胸元をきっちりとリボンで押さえ、

派手な化粧とソバージュヘアを落としまっすぐなストレートにまとめた彼女は

まるっきり別人の様だ。

 

「どうしたんだよ?もしかして俺に見とれちゃったのか、んっ?」

髪の毛をかき上げながら含み笑いを浮かべる女子高生(賢治)。

 

「・・・・っ、何だよ!いい所だったのに。それに何だよ、その格好は!?」

すんでの所で止められた苛立ちからか半ばキレ気味に叫んだ。

 

「いや~ぁ、ワリィワリィ。

お前が余りに着替えに長くかかってるから

その間に軽くイメチェンしてみたんだ、似合うだろ?。

それよりさ、早くここ出ようぜ。お楽しみはこれからなんだからさ。」

 

「・・・・ああ。」

何だかおあずけを食った気分だったが、

黙って濡れた股間をティッシュで丁寧にふき取ると、

急いで下着とセーラー服を身に付ける。

 

そして一通りの身だしなみを整えると待たされている他の女子高生の

殺気だった視線を避ける様にして日焼けサロンを後にした。

 

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「なぁ・・・ところで後に残ってる娘達どーすんだよ?

あれだけの人数ほっといたら店の中で暴動起きるぜ。」

俺は何度も後ろを振り返りながら女子高生(賢治)に声を掛ける。

 

「知らねー。」

 

「あ?『知らねー。』って・・・・・。」

 

「だってぇ~今アタシ女子コーセーだからお店のコト、わかんなぁ~い☆」

口元に手をやりながらおどけた声で答える女子高生(賢治)。

 

「賢治、お前・・・・・・・・・・・・・・。」

(こいつ、やっぱり行き当たりばったりか・・・・姉貴、ゴメンッ!)

俺はその後に予想される姉貴の災難に心の中で謝りつつ、

急な階段を駆け下ると先程とは逆に駅へ向かって歩き始めた。

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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??」

しばらく歩いているといつもの街並みが今までとは全く違う事に気付く。

もちろん本来の自分と比べて身長が低くなってる事や

足にまとわり付くスカートの感触やうなじにかかる髪の毛のなど

の違和感はもちろんだけどそれ以上に・・・何て言うかうまく言えないけどすれ違う人々の視線が違うのだ。

まるで舐め回す様に絡みつくモノや嫉妬にも似た軽蔑の眼差し。

その全てがまるで俺達に向けられている様な錯覚さえ憶えてしまう。

不安になった俺は思わず隣の女子高生(賢治)に耳打ちする。

 

 

「なぁ、何か変な感じしないか?」

 

「何が?」

 

「イヤ、何となく見られてる感じがしてさ。」

 

「ああ、確かに注目されてるよな。

でも、しょうがないんじゃねーのか?」

 

「何でだよ。」

 

「何でって・・・・・考えても見ろよ。

いいか、俺達は今、女子高生の身体なんだぞ。

しかもとびっきりの美少女ときてる。

そんな二人を目の前にして普通の奴がただ見過ごすなんていられるか?」

 

「成る程・・・。」

余りに冷静かつ的確な女子高生(賢治)の解説に感心する俺。

 

「だから注目されるのも当然って事なんだよ。」

 

「そっか・・・・にしてもそのクリームってすごいよな。

はたから見たらこの女子高生の身体の中に男が入ってるなんて

誰にも分からないもんな。」

 

「へへへ・・・だろ?感謝しろよ。

大手化粧品メーカー社長の息子にして、お前の大親友の賢治さんにさ。」

女子高生(賢治)は腰に手を当てて自慢げなポーズを取りながら、

いたずらっぽい笑顔で答える。

 

「何だよ、それ。」

 

「で、これから何だけど・・・も・・・・あっ、がっ・・・ううっ。」

女子高生(賢治)は突然苦しみだすと顔色はみるみる険しくなり、

震える身体を必死に両手で抑えている。

 

「おいっ、どうしたんだよ?・・・賢治っ・・おいっ!?」

尋常じゃない感じに思わず声を掛けるがそれに答える様子も無く、

ただブルブルと身体を小刻みに震わせ

振り絞る様に嗚咽を上げていた女子高生(賢治)だったが、

しばらくするとまるで何事も無かったかの様にすっきりした顔で

キョロキョロと周りを見回している。

 

(何だ、やっぱり演技かよ。ビックリさせやがって・・・。

また俺の事、驚かそうとしてんのか賢治の奴。)

そう考えた俺は女子高生(賢治)に近ずくと冗談交じりに答える。

 

「アハハ大丈夫か?賢治。

まさに迫真の演技って奴だけどさすがの俺も二回は騙されねーよ。」

 

「あれっ!?アタシなんでこんな所にいんの?

確か日焼けサロンにいたはずなのに・・・。」

とっくに正体を分かりきっている俺に構わず更に演技を続ける女子高生(賢治)。

 

「イイって賢治、もう演技は。分かってんだから。」

 

「はぁ!?ちょっと先刻から賢治、賢治ってアンタ何言ってんのよ!?

それに誰?ねぇ、答えなさい・・よ・・・・って・・・うっ・・・・くうっ・・・。」

女子高生は再び、苦悶の表情を浮かべると力なくその場にしゃがみ込んだ。

顔色は真っ青になり額に脂汗を浮かべ身体は小刻みに震えている。

 

(えっ、もしかして演技じゃない!?・・・って事は・・・)

 

「おい、大丈夫かよ!賢治?賢治ってば!。」

先程までの行動が全て演技じゃないと気付くいた俺は、

あわてて駆け寄ると女子高生(賢治)の肩を握り締める。

するとそれに答える様に俺の腕にそっと手を添え、

ゆっくりと顔を見上げる女子高生。

 

「・・・・ああ、大丈夫だよ。

でも、びっくりしたなぁ~。急に目を覚ますんだもん、コイツ。」

肩で息をしながら呼吸を整えると再び男口調で答える。

 

「そっか。心配したぜ。」

 

「ワリィ、どうやら何かのはずみでこの娘の意識の方が強く出たみたいだな。

でも、もう大丈夫だよ。

それよりお前の方は大丈夫なのか?」

 

「んん~っ、そう言えば全然何ともないなぁ。」

 

「そっか・・・なら、いいや。それじゃあ憧れの女子高へ急ごうぜ。」

 

「ああ。」

女子高生(賢治)の手を掴み起こし、

スカートについたほこりを手で叩いてやると俺達は再び歩き出した。

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5分後、駅構内の通路で女子高生(賢治)が突然立ち止まると、

そのまま腕組みした状態で壁に寄りかかった。

 

「どうした、賢治。また苦しいのか?」

 

「いや・・・ちょっと考えたんだけどさ、

お前さぁ、自分の彼女はセーラー服とブレザーどっちが良い?」

 

「はぁ?」

余りに唐突な問いかけに一瞬言葉を失う。

 

「だからよ、セーラー服とブレザーどっちの学校の娘の方が良いか聞いてんだよ。」

いつに無く真剣な口調で問い掛ける女子高生(賢治)。

 

「そんなの別にどうだって良いじゃんか。

服装よりも彼女を見つけるのが俺達の目的なんだろ?」

 

「い~や、違う。

この選択が俺達の今後を握っていると言っても過言じゃないんだ!

 

だ・か・ら真剣に答えろ。

 

間違ってもどっちでもイイなんてヌルイ意見なんか言うなよな。」

壁に寄りかかったまま熱弁する女子高生(賢治)。

どうして賢治がこんなに熱くなっているのか分からなかったが、

取り合えずどっちか選ばないと収拾が着かないみたいなんで俺は

前々から思い描いていた彼女の希望を言ってみた。

 

「ん~。じゃ、俺は自分の彼女だったら

やっぱりセーラー服が似合う娘が良いなぁ。

何かさぁ、いかにも女の娘って感じがイイじゃん。

あー考えただけでたまんねーよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

俺の意見を聞いていた女子高生(賢治)は

しばらく考え込んだ様に黙って目を閉じていたが、

おもむろに壁から離れると俺の肩を抱き締めながら頷く。

 

「そうか、実は俺もだ。

・・・・・って事は話は決まったな、お前の娘の方の学校に行こうぜ!

確かその制服は白樺女子高だからこっちの電車だな。

ほら、早くしないと電車が行っちゃうだろ~が!」

 

「おいっ!そんなに慌てるなよ、賢治。」

 

まるで遠足にでも行く様な気分で俺達は階段を駆け下りると、

女子高行きの電車に乗り込んだ。

 

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電車に揺られる事10分。

俺達のいた駅から2つ目の駅に白樺女子高はあった。


この女子高は県下有数のお嬢様学校で

白を基調とした伝統ある校舎は街を見下ろす様に高台にあり、

その高い偏差値と今どき珍しい位厳しい規律の校風は

同じ学区とは言え男子校の俺達に取っては別世界だった。






「おっ、ここだよ。ここ。ほら見てみろよ。
今正門から出てきたのお前と同じ制服セーラー服着てるじゃんか。」

少し興奮した様子でベンチから身を乗り出す女子高生(賢治)。



俺達は作戦を練る為に学校の近くにある公園のベンチに腰を下ろしていた。

今はちょうど下校の時間らしく、たくさんの女生徒がバス停のある下の道に

向かって降りてくる。



「ホントだ。で、賢治どうするんだよ。
この学校に入り込むのに俺はこのまんまで良いけどお前の方は?
さすがに違う制服だと目立っちまうんじゃないか。」

「その辺はちゃんと考えてあるって!あそこ見てみろよ。」

「?」


指差した方向に目をやるとフェンスの金網の先にグラウンドと体育館、

その先にはプールと部室らしいプレハブの建物が建っているだけだ。


「体育館やプールなんて別にどこにだってあるだろ、それがどうかしたのか?」

「鈍感な奴だなぁ・・・考えてもみろよ、今は放課後だぜ。
一般の生徒は帰っちまうのはちょっと残念だけど、
残ってる奴はみんな部活に行ってるから体育会系の部室は無人のはずだろ?
だいいち、制服のまま運動する奴はいないしな。
・・・って事で、部室に行けばここの制服が手に入るって訳さ♪。」

女子高生(賢治)は腰に手をやりながら得意げに答える。


「成る程、さえてるなぁ賢治。」

「そうと決まれば急ごうぜ。他の学校の制服は嫌でも人の目に付くからな。」

「よし。」


俺達はベンチから立ち上がると下校中の女生徒とすれ違いに坂を登ると

正門を横切って体育館の裏側に面した所まで歩いて行く。

そして周りに誰も居ないのを確かめると急いで金網のフェンスを乗り越え、

目的のプレハブの建物に向かった。

「ふぅ~。それにしてもこの身体だとフェンス乗り越えるのも一苦労だな。」

額の汗を手でぬぐいながら周りも見回す女子高生(賢治)。


「全くだな。俺もさっきスカートの所少し引っ掛けちゃったよ。
まぁ、女の身体だからしょうがないんだけど。
ホント背は低くなってるし、力も無いし、こーゆー所は不便だな。」

「気持ちはこっちの方が良いんだけどな。」

「ハハッ、まぁな」

「さてと・・・おしゃべりはそん位にしてさっさと行こうぜ。」

「おうっ。」

俺達は互いの顔を見合わせ小さく頷くと足早にその場を立ち去った。






思った通りプレハブの建物は体育会系の部室だった。

それぞれの部屋のドアには「バレー部」、「陸上部」、「バトミントン部」、

「バレーボール部」、「アーチェリー部」などの各部室のプレートがついている。



俺達は周りを気にしながら部室のドアを1つ1つ開いてないか調べ始めた。

しかし、やはりと言うか全ての部室には鍵がかかっており、

中に入る事は出来なかった。

(くそっ、全部ダメか。俺達だったら部室に鍵なんて絶対しないのに・・・。
やっぱ女子高と男子校じゃ違うのかなぁ。)

壁に寄りかかりながらそんな事を考えていると、

ふいに裏側にある窓が目についた。

(・・・もしかして窓だったら閉め忘れってのもあるかもな。)

俺はわずかな期待を込めながら片っ端ぱら窓を調べてみたが、

こちらも完全に締め切ってあった。

(やっぱ、ダメかぁ・・・・賢治どうするんだろう?)



その場に腰を下ろし諦めかけたその時、

女子高生(賢治)が素っ頓狂な声を上げて駆け寄ってきた。


「何だよ、賢治っ!。大声出して他の生徒に見つかったらどうすんだよ!?」

俺は口元に指をおいて「シィ~」のポーズと共に小声で賢治をたしなめる。

「おっ・・おっ・・早ッ・・早く!」

走ってきて息が乱れているのか気持ちが高ぶっているのか、

なかなか言葉が出ない女子高生(賢治)。

「何だよ?」

「おっ、おっ・・オナ・・女同士の・・いいから早く来いよ!。」

女子高生(賢治)は説明する時間も惜しいと言った感じで俺の腕を

強引に引っ張るとそのまま近くの体育用具室のドアの前まで連れて行った。






「何だよ、ここに何か・・・うぷっ!?」

「おっと、良いから黙ってここから覗いてみろよ。」

叫ぼうとするのを遮る様に女子高生(賢治)の手が俺の口を覆うと

まるで宝物でも見つけた様な顔でドアの隙間を指差す。


「?」

訳もわからないままわずかに開いたドアの隙間を覗くと、

そこには今まで見た事の無い行為が行われていた。






「はっ・・ふぁっ・・先輩・・大好きっ・・・だからお願い・・・しま・・・あぁっ!」

「くすっ・・可愛い声でおねだりするのね・・・でも、まだダメよ。」

「そんな・・・・酷いですぅ・・あぁっ!」

「うふふ、そんな悲しい顔しないでちょうだい。
ちゃんとイッたらご褒美に抱いてあげるから。」


マットの上で汗ばんだジャージを愛しそうに抱きしめながら自慰をしている少女と、

それを見下ろす様に跳び箱に腰を掛ける少女の姿が目に飛び込んできた。


どうやら2人共背中に学校のロゴの入ったバレーボール用のウェアを着ている所から

バレー部の先輩後輩らしいが互いの事に夢中らしく俺達が覗いている事など

気付く様子も無かった。


「ホントですか!ふっ・・あっ・・あっ、うれしい・・・。」

「ええっ。だから安心しなさい。」

「はっ、はいっ・・・はぁっ・・・あっ・・・ああっ!」


その言葉を聞いた少女は解き放たれた様に一気に絶頂を向かえたらしく、

ピクンと小さく反り返るとそのままマットの上に崩れ落ちた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

するとその様子をまるで待ち構えていたかの様に跳び箱に腰を掛けていた少女は

絶頂を迎えたばかりの少女のうるんだ顔を自分の目の前まで持ってくると

愛おしそうにゆっくりと口唇けを始めた。


「ネチャ・・ヌチャ・・・。」

まるで蛇の様に絡み合いながらお互いの口の中を行き交う舌。

そして指先はウェアの上からわざとじらす様に胸と股間の周りを弄っている。


「ふっ・・ふあぁ・・・あっ・・・せっ、先輩。」

「いいのよ。・・・・んっ、んんっ。」

一言二言、言葉を交わすと離れた唇を惜しむ様に再び口唇けする二人。

すでに後輩の顔は真っ赤に上気し、呼吸も途切れ途切れになりながら

必死に何かに堪えている感じだ。


そんな後輩の様子を満足そうに見つめながら、

手馴れた様子で後ろに回り込むと先程まで生地の上から

弄っていた胸や股間の周りを今度はウェアの間から指先を中に滑り込ませ

直接刺激し始めた。


「クチュ・・クチャ・・・クニュ。」

ウェアやブルマの中で淫靡な音を立てながらねちっこく蠢(うごめ)く指先。

それに答える様にウェアを押し上げる様に小さな突起があらわれ、

ブルマにはうっすらと滴が染み出ていた。



「あん、やだっ・・・ああっ。うんっ!。」

あまりの刺激にビックリしたのか後輩は身を捩じらせながら抵抗するが、

力が入らないらしく先輩のされるがままになっている。

そして何度も絶頂を迎えながらその度に身体は大きく反応する。



「ねぇ・・・そろそろ私にもしてちょうだい。」

「はい・・・先輩。」

いつの間にか全裸になった二人は股の間に互いの足を絡めると

快楽を貪る様に必死に互いの敏感な部分を重ね合わせ夢中で攻め続ける。


「はぁっ、あぁっ、はぁっ、あぁっ、あっ・・ぁっ、」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はっ・・・あぁん、」


身体をつたう汗を潤滑油代わりに互いの身体を擦り合せ、

恍惚の表情を浮かべながらうめき声にも似た声を上げる二人だったが、

いつしかその声は生々しい喘ぎ声に変っていった。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」

俺達は互いの顔を見合わせながら彼女達の一部始終の行為を

固唾を飲んで見守っていた。



「うんっ・・くぅぅぅぅっ・・はぁん・・あぁっ!!」

「はぁっ、はぁっ・・・うっ、はぁぁん・・あぅっ。」

どうやら自らの行為に陶酔しきっているのか彼女達の動きは更に激しさ増し、

喘ぎ声と汗まじりの独特の匂いがこちらの方まで漂ってくる。



「すげぇよ・・・なぁ・・賢治・・・・・。」

俺は彼女達の迫力に圧倒されながらふと横を向くと、

女子高生(賢治)がスカートの裾(すそ)を口でくわえながら

例のクリームを股間に塗りこんでいた。


「おぉっ、つめてぇー。」

「・・・・おいっ、賢治。何やってるんだよ!?。」

「まぁ、黙って見てろって・・・・おおお・・来た。」

「来たって何が・・・って・・・あぁっ!?」

俺は目の前の光景に思わず声を上げてしまった。

まくり上げられた少女の股間には賢治がよく自慢していたナニが

ショーツを押し上げる様に現れていたのだ。


「!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・???。」

女子高生の身体に「ナニ!?」

余りにアンバランスなその格好に呆然と言葉を失う俺。


「まぁ、落ち着けよ。つまり俺達はこのクリームの効果で
女子高生の身体の中に入り込んでいる訳じゃん。」

「・・・ああ。」

俺の動揺をよそに淡々と話を続ける女子高生(賢治)。

「・・・って事は、逆にクリームを塗れば中の俺達の一部を外に出せるんじゃ
無いかと思ってやってみたんだ。」

「それにしても悪趣味だな。」

ようやく冷静さを取り戻し女子高生(賢治)の顔をみながら悪態を付く俺。


「まぁ、そう言うなって。考えてみろよ。

こんなおいしい場面見せ付けられ見てるだけで満足か?
それにこの娘の華奢な手でさ、俺のナニを俺の好きな調子でしごけるんだぜ。
考えただけで・・・うーっ、たまらん!」

女子高生(賢治)は興奮した様子で股間に手を持っていくと、

小麦色の指先をショーツの中に突っ込みもぞもぞと動かし始めた。


「おっ、これは・・・うっ・・くうっ・・ああっ・・すごい・・いい・・ぞ。」

しばらく無言のままナニをいじくっていた女子高生(賢治)だったが、

余りの刺激に思わず声が出てしまうらしく、

途切れ途切れに聞こえる女性の潤んだ声がやけに艶っぽい。

何て言うか・・・・・ものすごくいやらしいのだ。


「おっ、おいっ!賢治!俺にも貸してくれよっ!そのクリーム!」

うっとりとした表情を浮かべ身悶えしながらナニを弄ぶ仕草に

いても立ってもいらんなくなった俺は女子高生(賢治)の肩を掴むと

催促する様に前後に揺さぶった。


「おっ、おうっ・・・ほらっ・・・あっ、ああっ・・・・・。」

面倒くさそうにポケットからクリーム入りのチューブを差し出す女子高生(賢治)。

「おうっ、サンキュー。」


俺は手渡されたチューブを受け取ると急いで中のクリームを取り出そうとするが

焦ってるせいか中々キャップを開けることが出来ない。

しかも焦れば焦るほど汗で指先が滑ってしまうと言う悪循環。


「あっと・・・畜生っ・・・えいっ!・・・あっ、ああっ!!」

ありったけの力を込めてチューブを握り締め、もう少しで中身が出せると

思ったその瞬間・・・。

チューブは汗で滑って俺の手からすっぽ抜けてしまいそのまま側溝の中に

落っこちてしまった。


「どぼん・・・・。」

鈍い音をたて側溝の中を流れていくチューブ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

一瞬マズイと思ったが、まだ予備のクリームがある事を思い出した俺は、

苦笑いをしながら振り返った。

「あっ悪りぃ、賢治。俺そこの溝にクリーム落っことしちゃったよ。
どうしたら良いかな?なぁっ、賢治ってば。」

俺は賢治に声を掛けるが女子高生(賢治)からは何の返事も無い。

ただ身体を小刻みに震わせ喘ぎ声交じりの吐息だけが微かに漏れるだけだ。


「おいっ、聞いてるのかよっ!賢治ってば!」

俺の声に答える事無くまるで何かに憑りつかれたかの様に、

夢中で股間のナニを刺激している。

目は焦点が定まらず、口元からは涎(よだれ)を垂らしながら

快楽をむさぼる姿に俺は言葉を失っていた。


「あっ、あっ・・・うっ・・くうっ・・ああっ!!」

短く声を上げ、絶頂を向かえたのか何度か身体をブルブル震わせる女子高生(賢治)。

その先には先程までの快感によって放出されたものが壁に飛び散っていた。






「はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・。」

欲望を全て吐き出しきって疲弊しきってしまったのか女子高生(賢治)は

力無くその場にしゃがみ込むとそのまま肩で息をしている。


「おいっ・・・賢治!?」

俺は女子高生(賢治)に声を掛けるが、まるで反応が無い。

ただブルブルと身体を小刻みに震わせ

振り絞る様に嗚咽を上げていた女子高生(賢治)だったが、

しばらくするとまるで何事も無かったかの様にすっきりした顔で

こちらを見あげてながら一言つぶやいた。


「・・・・あれ・・・あっ、アンタ先刻の・・・所でここ、どこ?」

どうやら現状が把握出来ていないらしくキョロキョロと周りを見回しながら

不安げな表情を浮かべる。

(えっ!?、もしかして・・・またこの娘の意識が出てきちゃったのか?)

そう考えた俺の嫌な予感は的中した。






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

彼女は足元を伝う生温かい液体を指ですくうと同じ物が飛び散っている壁を見つめ、

おもむろに視線を下に下ろす。


「何っ・・・これ?」

スカートの一部が妙に盛り上がっているが気になってらしく裾の部分を指先でつまみあげる。

めくれ上がったスカートの中には大きなナニがショーツを押し上げる様に

聳(そび)え立っていた。


「ひっ・・!?。」

無言のまま見つめながら見る見る顔が青ざめていく。


(やばい!ここで大声なんて出されたら一大事だ。

取り合えずここから逃げなくちゃ!)

そう考えた俺は女子高生(賢治)の手を強引に引っ張る。


「・・・・・・行こう!!」

「えっ、あっ、ちょっとヤダァ!!引っ張らないでよ!」

俺は彼女の声を無視して一目散に校舎の中へ逃げ込んだ。



放課後の校内には人影は無くすでに日も落ちかかっていた。
そんな中、静寂を破る様に女性特有の甲高い声が
一番奥の教室から聞こえてきる。

「ねぇっ!ちょっと一体どうなってるのよ!」

「その・・・何て言えば良いのかな。つまり、あの・・・」

「じれったいわねぇ~知ってる事があるならさっさと言いなさいよ!」

「そんな事言ったって絶対信じてもらえる訳無いし・・・・」

「言い訳はいいから早く答えなさいよ!
何で気が付いたらアンタがいつもそばにいるの?
何で気が付いたらこんな所にいるの?
何でアタシにこんなモノがついてるの?
ねぇっ、答えなさいよっ!!
ねぇってば!!」

まるで刑事ドラマの取調べシーンの様に
ブレザー服の少女は机に腰掛けセーラー服の少女を問い詰める。
その目は真剣そのものだ。

 
「・・・分かった、全部話すよ。
その代わり真剣に聞いてくれよな」
しばらくの沈黙の後、観念した様にセーラー服の少女は口を開き始める。
しかしその口調は女性らしい外見と違って何故か男性のものだった。  
「・・・・・・・・という訳さ」
彼女の余りの迫力に押し切られてしまった俺は、
今までの経緯を全て話す事になった。

塗りこんだ相手の身体の中に入れる不思議なクリームの事。
日焼けサロンで女性の身体に入り込んだ事。
それから二人でこの女子校に忍び込んだ事。
親友の賢治がこの少女の身体に入っている事。
そしてその突き出ているナニが賢治のモノである事。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
最初は疑惑の目で見ていた彼女だったが、
言われてみれば思い当たる部分があったし、
何より股間に生えているナニが紛れも無い事実な事もあり、
いつしか真剣に俺の話に聞き入っていた。

「へぇ・・・じゃ、アンタの友達の賢治君ってのがアタシの中に入ってて、
これはその人のなんだ・・・」
彼女はスカートの膨らみをを指差しながら照れくさそうにつぶやく。

「ゴメン・・・何か君にまで迷惑かけちゃって。
でも、これだけは信じてほしい・・・決して悪意からじゃないんだ。
ただ俺達彼女がほしくってさ。」

「ふぅ~ん・・・」
しばらくうつむいたまま俺の話を聞いていた彼女だったが、
突然何かひらめいたらしく机から降りるとニッコリと微笑む
と意外な言葉を言い放った。

「面白いじゃない」

「えっ!?」
一瞬耳を疑った。

「だって、そのクリームを使って中からその賢治君を出せば、
アタシ、元に戻れるんでしょ?」

「うん、そうだけど・・・」

「だったら安心だわ。それに・・・。」

「それに?」

「実はさ、さっきものすごく気持ち良かったんだぁ~
何て言うの身体の中の溜まっていたものが吐き出した様な感じ?
あーゆーのって今まで味わった事無かったからさ、
すっごい新鮮だったわ。」

そう答えた彼女の股間は、
先程の快感を表す様にスカートを押し上げている。
その余りにアンバランスな格好ははっきり言って・・・・・怖い。

「でさ~一つお願いがあるんだけど、
もちろん聞いてもらえるわよねぇ?」
ニヤニヤと含み笑いを浮かべながら近づいてくる彼女。

「なっ・・・何かなぁ?・・・もしかして・・・」
俺はその異様な迫力に気圧され、
思わず椅子からずり落ちると床にしゃがみ込んだ。

「だ・か・らぁ~せっかくこんなの付いてるんだから使わないと損かなぁってさ。
当然、嫌とは言わさないわよ。
こんだけアタシに迷惑かけたんだもん、断るはずないよね」
そう言ってスカートを捲り上げるとショーツから
はみ出るほどのナニが目の前に現れた。



「うわああああぁぁぁぁぁ!!」
余りのグロテスクさに思わず叫び声を上げてしまう。
いくら自分ので見慣れているとは言え、
「歩くキャノン砲」と言われた賢治のナニを目の前でまざまざと
見せ付けられて動揺は隠せない。

「ちっ、ちょっと大声出さないでよォ!見つかったらマズイんでしょ?」
あわてて身体を屈め、俺の口元を手で塞ぐと諭す様につぶやく。

「あっ・・あっ・・そうだ・・ゴメン」

「しっかりしてよ、男のコなんでしょ?」

「あ・・ああ」

「それにしても不思議な話よねぇ。
女の子の身体の中に入っている男の子なんて。
しかもこんな可愛い娘に・・・・。」
彼女は独り言の様につぶやくとゆっくりと立ち上がる。

「じゃあ~まずはアタシのここを気持ちよくしてちょうだいよ」
ショーツを太腿の所まで下ろし俺の顔を見据えると、
反り返ったナニを自慢げに見せる彼女。
その顔はまるでいたずらっぽい猫みたいだ。

「えっ、マジ?」

「うん、大マジ☆」
ニッコリと微笑むと唇の触れるか触れないかの所までナニを突き出す。

「ははっ・・・・オイ、ホンキで俺にそんなのしゃぶらせる気か?
冗談はいい加減勘弁してくれよ」
俺は手を突き出し必死の抵抗を試みたが、
彼女はそんな俺をあざ笑う様に手を払いのけて更に近づいてくる。

「ねぇ、早くしてよぉ。オレもう我慢できねぇヨォ・・・何ちゃって☆」
そう言って彼女は俺の頭を逃げない様に両手で固定すると
冗談交じりに腰をくねらせる。

「うぅっ・・・・・・・・・。」
絶体絶命の状態の中、口を閉ざしたままじっと彼女の目線をさける。
それが今の俺に出来る事最大限の抵抗だった。

「何よぉ、もう!仕方ないわね・・・・・えいっ!!」
一向に従はない俺の態度に苛立だったのか、
彼女はおもむろに俺の鼻をギュツと摘むとそのまま握り続ける。

「んっ・・・んんっ・・・むうっ・・・うくっ・・・」
逃げ場の無い絶望感と恐怖から俺は何度も唾液を飲み込む。
正直今までの人生の中でこの時ほど逃げ出したと思った事は無い。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・ハァ・・・もがっ!?」
それから三分後。
我慢の限界を越えた俺はついに口を開く。
すると彼女は俺の気持ちを見透かす様に
いきり立ったナニを強引に口の中に滑り込ませて来たのだ。

「んむっ・・・はんむぅ・・・」
余りの大きさに思わず声が漏れる。

「んんっ・・ああっ・・・すごいっ・・・」
彼女はゆっくりと腰を前後に動かしながらうっとりとつぶやく。
口元をだらしなく緩めたその顔は恍惚の表情を浮かべている。

「うぅ・・・うむっ・・・うぅ・・ん」
一方、喉ずえる程の奥まで押し込まれたナニのせいで
鼻でしか呼吸の出来ない俺は頬を赤らめ、
額や首筋には薄っすらと汗がにじみ始めた。

「ウッ・・・フゥン・・・クウッ・・・・ハァ・・・ハァ・・・」
ネチャネチャと淫靡な音とかすかな少女の喘ぎが
薄暗い教室の中で一際大きく聞こえる。
その声はまるで発情期のケモノ様だった。

「ねぇ、上目使いのまま舐(な)めてみてよ。」
快感に身体を震わせ上ずった声で俺の髪を撫でながら
彼女は勝ち誇った顔で見下ろす。

「んっ・・・んんっ・・・?」

「だからぁ~よくあるでしょ。エッチなビデオでさ。
つまりそーゆー奴よ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は小さく頷くと彼女の顔を上目遣いに見つめ、
激しく頭を前後に動かした。

(調子に乗りやがって・・・こうなりゃもう、ヤケクソだ。)
俺はジュポジュポとワザと音がする様に口元をつぼめて、
先端を舌先でねちっこく舐め回す。
そして開いている両手で太腿の内側やお尻の回りを
撫で回す様に刺激し始めた。

「あっ、スゴイ・・・これ・・ああっ!」
余りの刺激に耐えかねたのかピクンと身体を反らせ、
何かに堪える様につま先を思いっきり突っ張らせながら
苦しそうに肩で呼吸をしている。

(気持ち良いのに我慢しちゃて・・・こうなったらぜってーイカしてやるぜ)
妙な征服欲に目覚めた俺は彼女の太腿の辺りを抱え込むと、
更に激しく敏感な所を攻め続けた。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あんっ!なっ・・・何か出そう」
最初は吐息混じりに喘ぎ声を堪えていた彼女だったが、
しばらくすると俺の頭を抱え込んだまま固まってしまった。

(もしかして・・・これって・・・)
嫌な予感が頭をかすめた俺は必死で彼女の身体の押しのけようとするが、
あまりに非力なせいかびくともしない。

「あっ、あっ、あっ・・・イイッ・・・イクッ・・・ああっ!!」
彼女の絶叫と共にビクビクッと生温かいものが口の中一杯に広がった。

「んんっ!!んんんんんっっつ!!」
突然の出来事にパニックになった俺はあわててナニを
吐きだそうとするが、彼女は快感の余韻に浸っているのか
俺の頭を抱え込んだままピクリとも動かない。

「ん~ん~ん、んっっっ!!!」
俺は口の中の生温かい液体の感触から逃れたいと
必死にもがいてみたが非力な女性の身体では
それも無駄な抵抗に終わった。
そして・・・・



「ゴクッ」



その音とともに俺は今まで味わった事の無い
喉越しを体験するはめになった。




「ひでぇよ。飲んじゃったじゃないか!!」
すっかり薄暗くなった教室で俺は口元についた液体の残りを
手の甲で拭うと吐き捨てる様に言い放った。

「ゴメ~ン、だって君の口の中すっごく気持ちよくってさぁ~
我慢出来なかったのよ」
彼女は悪びれた様子も無くおとなしくなったナニを
ショーツの中にしまい込むとニッコリとつぶやいた。

「そう言えばさ、自己紹介まだだったよね?」

「えっ!?うん・・・でも、今更ってのも変な気がするけどね」

「まぁまぁ細かい事は気にしないでさ。じゃあアタシから先に言うわ。
名前は八房 舞(やつふさ まい)、舞って呼んでね。」

「舞ちゃんか・・・んじゃ、俺は国後 孝之(くなしり たかゆき)。
孝之でイイや」

「分かった、それじゃ改めてよろしくね孝之君」
そう言って彼女は笑顔で握手を求めてきた。

「ああ、こちらこそよろし・・・うっぷ」
同じく俺も右手を出して握手しようとしたその時、
猛烈な吐き気に襲われた。

「どうしたの?」
心配そうな顔で俺を見つめる舞ちゃん。

「んんと・・・口の中が何か気持ち悪ぃ」

「もしかして、アタシのせい・・・だよね。
ゴメンねぇ~。何かアタシばっかり気持ちよくなっちゃって・・・
じゃあさ、口の中ゆすぎに行こうよ。ね?」

「うん・・・」
何となく男としての自信を失った俺は力無く頷くと、
彼女の手に引っ張られるまま薄暗くなった教室を出てトイレに向った。


その頃、体育用具室からは互いの身体を
余す事無く堪能した二人の少女が
満足げな顔を浮かべながら出てきた。

「ウフフッ・・・」

「エヘへ・・・・」

学校のロゴの入ったジャージに身を包み、
互いの顔を見合わせ悪戯っぽく微笑む少女達。

一人は少しシワのよったウェアや乱れた髪を気にする様に
あちこちと身体を触るすらっとした長身の少女。
そしてもう一人の少女はそれより頭二つ分ほど小さく、
高校生と言うには幼げな感じだ。

そのせいだろうか長身の少女の腕に寄り添うその姿は
まるで仲の良い姉妹に見えなくも無い。

しかし薄紅色に染まった頬や首筋にうっすらと浮き出た汗、
そして全身から漂う女性独特のフェロモンが
先程までの秘め事の激しさを物語っていた。

「ちょっとぉ少し離れなさいよ。
歩きづらいじゃ・・・あら?」

「どうしたんですかぁ、先輩ィ?」
うっとりと潤んだ瞳のまま、
甘ったれた口調で見上げる少女。

「うん、何かしらこれ・・・・・!?」
「先輩」と呼ばれた少女は壁にかかった粘着質の白い液体を
しばらく怪訝(けげん)な顔で見つめていたが、
それが何であるかに気付いたらしくこうつぶやいた。

「ねぇ、急いで残ってる部員を
全員、部室に集めてちょうだい」

「えっ、どうしてですか?」
事態の把握が出来ずによりそったまま、
ぴったりと「先輩」の腕にしがみつく少女。

「良いから早くっ!!この学校に男がいるわっ!!」
その手を振り払う様にして「先輩」と呼ばれた少女は、
もう一人の少女に強い口調で言い放つ。

「はっ・・・はい!!」
「先輩」の態度の急変ぶりにもう一人の少女は、
あわてて他の部員達の練習している体育館へ向かって
走り出したのであった。

「ふぅ~やっと口の中さっぱりしたよ」

口の中の気持ち悪さを取る為にトイレに向かった俺は、
洗面所でうがいを終えた安堵感からか、
口元についた水滴を手で拭いながら鏡越しに微笑む。

「ウフフ、よかった。でもさっきはホントごめん。
あれじゃあ、やり過ぎだよねー」
鏡に写る舞ちゃんはそう言いながらニッコリと笑みを浮かべる。

「まったくだよ、ひどい事するよな~って、えっ!?」
冗談交じりに答えながら俺は、
鏡に写る自分の姿に一瞬我が目を疑った。

そこにいたのは幼さの残る顔を真っ赤に上気させ、
わずかに開いた唇を艶やかに濡らし、切なげに目を潤ませた、
見るからにモノほしそうな少女だったからだ。

(これが今の俺の表情なのか・・・
まるで襲ってくれって言ってる様なもんじゃないか)
そんな事を考えながら鏡を見つめ返す。

「でもさ~男の方からだとああ言う風に見えるんだね。
何かさ『オマエを服従させてるんだぁ~』って、
感じが笑えるんですけど☆」

「うん。ああ、そう・・・だよね」
俺は心の動揺を悟られない様に、
うつむいたまま冷静な口調で答える。

「それにしても口の中に入れるのが、
あんなに気持ちイイなんて思わなかったわ。
あ・・・思い出したらまた・・・勃っちゃった」

照れながらわずかに膨らんだスカートを目立たぬ様に
両手で必死に隠す舞ちゃん。

普通の女性ではありえないその仕草は何とも初々しく、
俺自身少しだけ萌えてしまった。

「アハハ、もう勘弁してよ。
それにこの身体だって俺のじゃ無くて、
この娘の何だからあんまり手荒に扱っちゃマズイって!」

「ウフフ、分かってるわよ。でも・・・さ」
舞ちゃんは舌なめずりしながら生返事で答えると、
俺の背中にぴったりと身体を押し付け、
両手で胸と股間をねちっこく摩(さす)り始めた。



「えっ、あんっ・・・ちっ、ちょっと止めろって!」
不意の刺激に思わず吐息がもれる。
それにしてもこの娘のスケベさって賢治以上かも・・・。

「アタシね、さっきのキミの顔思い出したら、
何だかまた興奮してきちゃった。
ねぇ・・・『入れる』って、どんな感じなのかなぁ?」
耳元に熱い吐息を吹きかけながらとんでもない事を囁く彼女。

「えっ!?・・そんなの・・・分からないよ」
俺は必死に彼女の手をどかそうとするが、
身体を突き抜ける快感のせいで思うように力が入らない。

「んふっ、堪えたってダメだよ。
女の事は女の子が一番良く分かってるんだか・あっ・・・ううっ」
舞ちゃんは勝ち誇った声から一転して小さくうめき声を上げると、
ショーツの上から摩っていた指先を止め、
キョロキョロと周りを見回す。

(もしかして賢治の意識が戻ったのか?)
そう考えた俺は後ろを振り返ると声をかけた。

「まっ、舞ちゃん?それとも賢治か?」

「・・・・・・・・・・・・・・。」
彼女は問いかけに答えずに俺の顔を見つめる。
口元をわずかに緩めて一点を見つめるその表情は、
まるで意識が無いみたいだ。

「なぁっ、どっちなんだよ?舞ちゃんってば!」
不安になった俺は強い口調で呼びかける。

「えっ!?ああ、舞ちゃんて・・・・・うん、そう舞よ。
ゴメンネ、ポーッとしちゃって☆
さ、続き続き」

そう言って舞ちゃんは気を取り直した様に微笑むと、
今度は指先をショーツの中に滑り込ませ
再び敏感な所をじらす様に這わせ始めた。



「クチュ・・クチャ・・・。」
静かなトイレの中で肉壁に当たる淫靡な音と
途切れ途切れの甘い吐息だけがやけに響く。

「あっ・・ああっ・・・あんっ、はあっ」

「ほらぁ・・・こんなに出てるよ。
ずいぶん敏感なのねぇ~孝之クンのあそこって・・・」
羞恥心を煽る彼女の言葉に答える様に
身体から湧き出る快感の波。

その余りの気持ち良さに立っている事が出来ずに
壁に寄りかかるのがやっとだ。

「あぁっ・・・・・イイッ・・・」
身体を支える為自然とお尻を突き出すその格好は、
まるで自らを誘っているようにも見える。

「あらあら、今度はおねだりなの?
しょうがないわねぇ~少しはガマン出来ないのかしら・・・
まっ、そろそろいいか。」
そう言って舞ちゃんは俺の股間から指先を抜き取ると、
今度はスカート越しにナニを押し付けてきた。

「ひいっ・・・!」
股間に当たる生温かい感触と体を突き抜ける快感に
身悶えしながら必死に壁に突っ伏す。

「ほら、ほらっ・・・どう、こーゆーのって?」

「はあっ・・・ふぅん・・・うぅっ・・・」
自分の意思では何一つ抵抗する事が出来ない。
まるで彼女の言いなりだ。

「ずいぶんカワイイ声で喘ぐんだな。
ねぇ、入れちゃってもいいよね?」

「ああっ・・・もう、どうにでもして・・・くれ」
目くるめく快感に頭の中がポーッとして、
自分でも何を言っているか分からない状態で
俺は懇願する様に大声を上げていた。

「んふふ・・・じゃあ、お言葉に甘えていただくわよ」
彼女は満足そうに答えると自らのモノとなったナニを
愛しいそうに握り締める。

そして俺のスカートをめくり上げると
ショーツを太腿の所まで下ろしてナニを
お尻にピッタリとくっ付けると、
じらす様に何度も股間を行き来する。

「あぁ・・・はあっ・・・もうっ・・じらさないでくれよ」

「ウフ・・・分かってるって。それじゃあ、いただきまぁ~す☆」
そう言って彼女が更に深く腰を押し付け、
俺の股間の間に熱いものが入って来た瞬間・・・。

「ガツッ・・・・・!!」

「あっ!?あうっ・・・」
後ろの方で物凄い音と彼女の小さなうめき声が聞こえた。

「えっ!?」
突然の出来事にあわててて振り返ると
そこには先程の二人の女性の他に同じスポーツウェアを着た
数人の女性が俺の痴態を見下ろしていた。

「危ない所だったわね。大丈夫?」
そう言って声を掛けてきたのは先程、
体育用具室で痴態を繰り広げていた内の一人、
「先輩」と呼ばれていた長身の少女だった。

「あっ、はい。でも・・・」

「そう・・・どうやらコイツみたいね。
それにしても女装までして学校に潜入した上に、
ウチの生徒にイタズラするなんて許せないわ。
お仕置きするから部室に連れて行きなさい。」

俺が答えを聞き終えずに少女は、
舞ちゃんのスカートの膨らみを一瞥すると
はき捨てる様につぶやく。

「はい。」
少女の号令に他の部員達は
すみやかに舞ちゃんを両脇に抱える。

「貴女はこのままお帰りなさい。
それとこの事は他人には話してはダメよ。
いい、分かったわね?」

諭す様に言い放つ長身の少女。
しかし落ち着いた口調とは裏腹に
その視線には抗えない迫力があった。

「あの・・・」

「・・・・・・・・行くわよ」
号令と共に部員達は俺の声を無視して、
舞ちゃんを抱えたまま足早にその場を立ち去ってしまった。



「くっ・・・・・・・・・・。」
目の前で仲間が連れて行かれているのに、
何一つ抵抗出来ずにその場に残された俺は
うつむいたまま後悔していた。

(畜生、このままじゃ舞ちゃんと賢治は・・・
早く助けないと!)
そう考えて駆け出そうとした時、
視線の先に大きな胸とスカートが飛び込んでくる。

(あ、そっか。
今の俺の身体って女だったんだっけ。
相当アツクなってるな・・・まずは落ち着かないと)

そう考えて気を落ち着かせる為に胸元に手を添え、
深呼吸をするとどうしたら助け出せるかを考えてみる。

(・・・あんだけの人数が相手じゃ、
まともにやったら助け出す事なんて出来る訳ないよな。
せめて元の身体だったら何とかなるのに・・・
待てよ、元の身体!?)

俺はさっき側溝に落としたクリームの事を思い出した。

(そうだ!!あのクリームがあれば!
待ってろよ賢治!舞ちゃん!)

俺はわずかな希望を胸に階段を駆け下りると、
体育用具室のあるグラウンドへ向かって走り出した。




「ふぅ…それにしてもワザワザ女装して校内に忍び込む割には、
他校の制服着てくるなんてドジな男よねぇ~」

「ホントですね~でも、結構カワイイ顔してるかも」
「あら、アナタ。もしかして興味あるの?」
「ヤダァ~冗談よ、冗談☆」
「アッハハハハハハハハ♪」

わずかに光の漏れる部屋の中で聞える少女達の笑い声。
そこにいたのは先程の長身の少女と部員達だった。

そして傍らには両手を後手に縛られたまま、
体を椅子に括り付けられた少女の姿があった。
しかし気を失っているのか頭を下げたまま動く気配は無い。

「さてと、お話はこの位にして…始めましょうか?」
「はいっ!」

長身の少女がそう声を掛けると他の少女達も一斉に動き出し、
括り付けられている少女を囲む様に円陣を作り始めると
うなだれている頭に目隠しをし始める。

そして今度はガムテープで口を被い、
最後にヘッドホンステレオを耳にあてがう。

「ふふっ、いくら変質者に対してのお仕置きの為とは言っても、
私達の顔や声を覚えられたら面倒だからね」

見下ろす様にして長身の少女は冷笑を浮べる。
どうやらサディスティックな性格なのだろうその声はわずかに弾んでいた。

「…さぁ、みんな見ていなさい」
そしておもむろに括り付けられた少女のスカートを捲り上げると
そこにはショーツからはみ出さんばかりの巨大な「ナニ」が
窮屈そうに押し込まれていた。

「ひっ…」
「きゃあぁぁぁ!」
「何コレ~」
「……っ!?」

周りを取り囲んでいた少女達が一斉に声を上げる。
それもそのはず、「女子校」と言う女だらけの世界の中で
「男性自身」をまともに見た事のある少女などいる訳など無い。

だからこそショーツの上からでも分かるグロテスクな形は
彼女達にとって驚き以外の何ものでもなかったのだ。

そんな中、長身の少女だけは無言のまま片足を持ち上げると、
おもむろに括り付けられた少女の股間につま先を押し当てていく。

「……!?」
ピクンと少しだけ反応する体。
しかしまだ意識は戻ってないのか俯いたままだ。

「フフフッ…」
そして今度はそのつま先をまるで煙草をもみ消す様に
ショーツの上からグリグリと踏み付け始めた。

ショーツの中でくねくねと変化する靴底の下の「ナ二」。
…それはまるで蠢く蛇の様だった。


「ふぅ…んっ…」
ガムテープを貼られた口元から艶っぽいうめき声が漏れる。


「あら、もしかして気持ちいいのかしら?こうされてるのが…」
「そうなんですかぁ~変なのぉ」
「あはははは、それじゃ~まるっきり変態じゃん」
「ホント、ホント~」

目の前の光景に少女達はお互いの顔を見合わせ微笑を浮かべる。
しかし内心は戸惑いと不安なで一杯なのだろうその表情は固まっていた。


「ふぅん…はぁ…んんっ…うぐっ」

やがてその刺激に答える様に更に大きくなった「ナニ」は
自らを主張しているのか押し込まれたショーツを外れ、
反り返ったままピクピクと痙攣している。

しかもその快感が伝わるのだろうか、
括り付けられた少女は頭を左右に動かしながら小刻みに震えている。

「きゃ…うわあ!!!」
「うっ…気持ち悪い…」
「………っ!?」
「………。」

周りの少女達のざわめきとどよめき。
それは未知のモノに対する怯え…そのものだった。

「さてと、お楽しみはそこまでよ。女装趣味の変態さん♪
これからが本当のお仕置きなんだから…フフッ」

そんな彼女達の様子を見つめながら長身の少女は、
括り付けられたままの少女の股間から足を離すと
イタズラっぽくつぶやくのだった。

「やった…あったよ~」
すっかり暗くなった体育用具室脇の側溝を覗き込みながら
俺は安堵のため息をついた。

あれから必死に探し回った結果、俺が落としたクリームは
さっきの場所から少し離れた柵の部分に引っかかっていたのだ。

しかしその柵の上にはコンクリート製のブロックが敷かれており、
そのままでは取り出す事が出来無い。

(ブロックさえどかせば何とかなるかな…よし)

「ん~っ!!!」
俺は必死の思いでブロックをどかそうとするが、
あまりに非力なこの体ではブロックをどかすどころか、
少しの隙間を作る事がやっとだった。

「うぅっ…くそっ!」
セーラー服の袖を肩口まで巻くりあげ、そのわずかな隙間に腕をつっこむ。
しかしあとチョットと言う所で指先が届かず、時間ばかりが過ぎていく。
チクショウ、こうしてる間にも賢治や舞ちゃんは…。

「ううぅぅぅ~んんん」
焦る気持ちを押し殺す様にありったけの力を込めて腕を押し込む。

無理やり隙間に押し込む肩口や二の腕はブロックで擦れ、
わずかに日焼けした肌が次第に真っ赤になって行く。
しかし今の俺にそんな事を気遣う余裕は無かった。



そして数十分後。
やっとの思いでクリームのチューブを取り出す事に成功した俺は
急いでキャップを外すとセーラー服を胸元までたくし上げ、
一気に体に塗りこんでいく。

しかし、散々使用したせいでクリームの中身は少なく、
チューブを搾り出す様にしてもオヘソ周辺に塗る事が精一杯だった。

「………………。」

一抹の不安を感じながら待っていると程なくして塗られた部分が急に弾力を失い、
指で触ると入った時と同様にホイップクリームの様な感触になる。
これなら、この体から出られるかも…

俺はまず右手を柔らかくなったオヘソの辺りから出してみる事にした。
しかし入る時と違って、中から外に出すのは思ったよりも困難で
例えるなら泥沼をかき分ける…そんな感じだ。

おまけに賢治から方法を教わった訳では無い為、
コレが正しいのか間違ってるのか今がどう言う状態なのかも
自分でも分からない。

ただ、「この体から出る」事をイメージしながらひたすらもがき続ける。


「んんっ!?」

すると急にオヘソの辺りが段々とムズムズとし始め、
それと同時に体中…と言うか上半身の力が抜けてくる。
その感触はまるで自分から何かが剥がれ落ちるみたいだった。

そして気が付くと見覚えのある自分の右腕が、
オヘソの辺りから顔を覗かしている…って事は成功したのか!?

「…………。」
恐る恐る動かしてみるとキチンと反応する俺自身の右腕。

しかし、代わりにこの娘自身の右腕はまるで神経が途切れた様に
ピクリとも動かす事が出来なくなっていた。

(…って事は、今の状態はまるっきり着ぐるみと同じ訳か)
現状を冷静に分析しながら俺は再び意識を集中し始めたのだった。



「くそぅ、何で抜け出せないんだよ…ったく!!」
焦りと苛立ちで思わず口をついて出る。

ここまで順調に自分の両腕を彼女の体から抜け出した俺だったが、
そこから先の頭をうまく出せずにいた。

クリームを塗り込んだ面積が小さいのか、
それともやり方がおかしいのか分からないが兎に角、
ニッチもサッチも行かない状態が15分以上続いているのだ。

(もしかして頭から先に出した方がイイのかな?)

そう考えて両腕を中に引っ込めると、再び頭から挑戦してみる。
すると今度は意外な程すんなりと外に出す事が出来た。

「オッケー、オッケー。よし、次はっと…」
俺はそのまま彼女のオヘソの部分に指を掛ける様にして、
両腕を出そうとしてみるが今度は肩口が引っかかって出る事が出来ない。

しかも、おかしな事にもう一度やり直そうにも
何故か頭がつっかえて中に戻る事が出来なくなってしまったのだ。

(これってもしかして…!?)
額から一筋の汗が伝い落ちる。

戸惑いながら俺は首を動かしてその原因を理解した。
つまり塗り込んだクリームが固まり始めたのだ…しかも今までより早く。

「うわああああぁぁぁ~!?」
予想もしない事態にパニックになりながらも何とか彼女の手を使って、
頭を押し込んだり引っ張ったりしてみるが頭が外に出ているせいか
今までの様にうまく動かす事が出来ない。

その間にも首筋周りのクリームは段々と固くなってきている。

(早くっ、早く…動けっ、動けぇ…えっ!?)
必死に動かす事に集中していると突然、体が勝手に動き出した。
それも二、三歩、歩き出だしたかと思うと急にブルブルと震えだしたのだ。

そして上の方でかすかに聞える女の娘の声…。


「えっ、コレ何なの?……いやあああああぁぁぁぁ!!!」

やがて悲鳴に変わったその叫び声を後頭部に浴びながら
俺は何もする事が出来ずにいたのだった。





「うっ…うえぇ…ひくっ…ひぃ…ん…」
「ごめん。でも俺の話も聞いてほしいんだ」

「うぅ…何で…こんな事になっちゃってんの…もぅ、ヤダ…」
「だから、先刻から説明してるじゃん」

「でも…でも…信じられないよぉ…」
「…………………。」

体育用具室の壁に寄りかかったまま、涙声で答える少女。
あれからすでに彼女の意識は完全に目覚めてしまっていて、
俺からは指一本動かす事が出来無い。

しかも余程のショックなのだろう、ずっとこの調子なのだ。

「ぐすっ…タダの日サロだって言うから来てみたら、
いきなりマッサージと変なクリーム塗られて気を失っちゃって…。
目が覚めたら知らない人が背中に乗っかってて、また意識を失って…
今度は夜の学校…おまけにお腹に頭が付いてるってどう言う事なの?」

「そ、それは………」

「第一、あなたは一体誰なの?
声からすると同い年位の男の子みたいだけど…」

「あっ、うん。俺は…孝之。国後 孝之って名前」
「ふぅん…で、やっぱし高校生なの?」

「そう、17歳の高校二年生、キミは?」
「あきら……一色 丹(いっしき あきら)」

「丹ちゃんか…」
「何か馴れ馴れしいわね…」

「ははっ、ゴメンゴメン」
「クスッ…」

少しだけほころぶ彼女。
ようやく会話の糸口が掴めそうな雰囲気になってきた所で、
俺は彼女を刺激しない様に気を使いながら今までの経緯を説明していく。



「…って訳でこの状態になってるんだ。
だから一刻も早くバレーボール部の部室に向かって欲しいんだよ」

「そうだったんだ…事情は大体分かったんだけど…」
そのまま黙り込む丹ちゃん。

「何か質問があるの?あるんなら聞いてくれよ。
俺に答えられる事なら何でも答えるし」

「うん…じゃあ日サロにいた時、耳元でさ
『悪いけどアンタの身体、しばらく借りとくぜ』とか言ってたのも孝之クンだよね?」

「そう…だけど、何?」

「もしかして今までアタシの体を勝手に動かして変な事してたの?」

「えっ!?」
思わぬ問いかけに言葉を失う。

(確かにこの体を勝手に動かしていたのは事実だけど、
変な事の方はどっちかって言うと『した』と言うより『された』んだし…)

「どうなの?ちゃんと答えてよ…」

そんな事を考えながら黙り込んでいると
急に彼女が声を震わせて俺を問い詰め始める。

「しっ、してないよ。変な事なんて!」

「じゃ、さっきから右腕は痛いし、スカートの裾もほころんでる、
それに口の中の変な感じはどう説明してくれるの?」

「右腕とスカートは前に説明した通リだけど、
口の中は…おかしいな?先刻ちゃんとゆすいだのに…」

「は?『ゆすいだ』って、やっぱり…?」

「そっ、それは…不可抗力と言うか何て言うか」

「やっぱり変な事したんじゃない!!」

「誤解だよ!それは舞ちゃんが頭を抑えつけて勝手に頭を動かすから…つい」

「『つい』って、一体何やったのよ!
ねぇ、アタシの体で何やったのよってば!?」

いつの間にか丹ちゃんの口調は俺を非難する様に語尾が強くなっている。
確かに彼女にしてみれば当然な訳だし、悪いのは俺なんだけど
こうして一方的に責められるのは何だか納得が行かない。
元々の言い出しっぺは賢治なのに…。

「分かったよ。全部話すから落ち着いて聞いてくれよ」
「うん………」

これ以上、下手に隠してもムダだと考えた俺は、
しぶしぶ舞ちゃんとの事を話し始める。



「アタシの体でそんな事までしてたの…ヒドイ…」
「必死に抵抗したんだけど逃げられなくて…ゴメン」

話が進むに従って丹ちゃんの声は次第にトーンダウンして、
いつしか涙声になっていた。

「好き勝手に体を使われた挙句にこんな体になっちゃって、
アタシこれからどうしたらいいの…ひぃ…ん」

「それは大丈夫だよっ!
賢治が持ってるクリームを使えばちゃんと元通りになるからさ。
…だから賢治を助け出すのに協力してくれよ、頼むっ」

「何、虫のいい事いってんのよ!
そんな事に協力出来る訳ないじゃない…もぅ」

「頼むよ!時間が無いんだ!」

「イヤよ…こんな体、誰かに見られたら…」
心を閉ざした様にその場から動こうとしない丹ちゃん。
こうしてる間にも賢治や舞ちゃんは…俺の焦りはピークに達していた。

 


その頃、一つだけ灯りの付いたプレハブの建物の中では、
少女達による「お仕置き」が執り行われていた。

部屋の中で聞える微かな息遣いとヘッドホンから漏れる音楽。
そして椅子に括り付けられたまま、うな垂れている少女と
その周りを取り囲む長身の少女と部員達。

「うぅっ…ふぐっ……うくっ!」
すでに括り付けられた少女の意識は戻っているのか、
体を前後に動かしながら必死に椅子から逃れようとしている。

「フフッ、頑丈に縛ってあるんだから解ける訳ないのに」
「ホント、ホント…」
「…………。」

その様子を見下ろしながら悪態を付く少女達。
しかし先程と違って少女達から一切の笑みは消え、
代わりに汗を滲ませ、引きつった表情はどこか怯えている様にも見えた。



「さてと…ねぇ、これで根元の所を縛ってちょうだい」
そう言って長身の少女は括り付けられていた少女から
取り去ったリボンを部員の一人に手渡す。

「………………。」
しかし、受け取った少女の方は躊躇しているのか
その場からなかなか動き出そうとしない。

もっとも、この様な異常な姿を目の当たりにして、
普通の状態でいろと言う事自体が無理な話なのかも知れない。

目の前にいるのは女装趣味の男…のはず。
しかしリボンを外され、肌蹴たシャツの胸元にはブラジャーに包まれた
二つの膨らみが存在し、おまけに日焼けしたきめ細かい肌、丸みを帯びた体…
それは紛れも無く、自分達と同じ女性の体そのものだったからだ。

「オンナノコ」なのに…。
「オンナノコ」なのに…?
「オンナノコ」なのに…!?

目に映る光景に、しばし呆然とする少女。

同様に他の部員達もその場に立ち尽くしたまま、
ひたすらその一部始終を見守る事しか出来ずにいた。

「どうしたの?早くしなさい」
「えっ…はい」

長身の少女の言葉に押し出される様に
たじろぎながらも括り付けられた少女の前に屈みこむ部員の少女。
そして震える指先で股間の反り返った「ナニ」を縛り始めたのだった。

「ん~んっ…うくっ…んんっ!」
少女の指先が触れるたび、括り付けられた少女の吐息が大きくなる。
と同時に股間の「ナニ」は熱く脈打ち、硬度を増していく。

「はぁ…はぁ…はぁ…ゴクッ」
間近で見るその変化に息を呑む少女。
気が付くと体中が汗ばみ、何故か妙な気分になってきてしまう。

しかもその光景や空気は他の部員達も伝わったのか、
皆、同様にモジモジと何かに耐える様に体をくねらせている。



「終わりました…」

「ご苦労様。
それじゃみんな、後は私に任せてお帰りなさい」

「えっ!?でも…」
長身の少女の思わぬ言葉に動揺する他の部員達。

「いいから、その代わりここでの事は
絶対、内緒にしてちょうだい。いいわね?」
全員の顔を見回しながら威圧する様な口調で呟く長身の少女。

「…………。」
「…………。」
「…………。」
その言葉に無言のまま頷くと他の部員達は、
一人また一人と部屋を後にしていく。



程なくして部室の中には括りつけられた少女と
長身の少女の二人だけになった。

(てっきり、女装した男だと思っていたんだけど…
思わぬ誤算って奴だけど、まぁこれはこれで面白いわね)

口元を緩ませながら妖艶な笑みを浮かべる長身の少女。
すでに「お仕置き」は違う意味合いを持ち始めていた。

「それにしても不思議な身体よねぇ。
こんなに可愛い女の娘なのにここだけ…うふふ」

唇を舌で湿らせると括り付けられた少女の前にしゃがみ込み、
両手でフトモモを軽く押し開くと股間のナ二を見つめる長身の少女。

そしておもむろに舌先でフトモモの内側から股間の辺りを舐め始めた。

「ぴちゃ…ぬちゃ…ねちゃ…」
強く…弱く…時には焦らしながらフトモモを蛭(ヒル)の様に這い回る舌。
と同時に指先はスカートのホックに手をかけている。

「うっ…うぅっ…うんっ…!?」
その刺激に耐えかねるのか括り付けられた少女は、
苦悶の声を上げながら何度もお尻を浮かせたり、つま先立ちを繰り返す。

しかし、余程頑丈に縛られているのか椅子からは一歩も離れる事は出来ない。
それどころか逆にスカートがずり下がり、下半身だけを露(あらわ)になってしまった。

「あら、準備がいいわね…でもまだまだこれからよ」
唾液による光の反射で艶かしく彩られる唇から発せられる声。
まるで勝ち誇った様に言い放つと長身の少女は自らの衣服をその場に脱ぎ捨てる。

「フフッ…可愛いわ…」
「んーっ、んんーっ…!?」

過酷なスポーツで鍛え上げたのだろうギリシャ彫刻の様な無駄の無い肉体。
それを惜しげも無く使いながら括られた少女に覆い被さると
絡みつく様にその身体を攻め続けるのだった。



「はぁ、はぁ、はぁ…ああっ」
すでに口元のテープは涎(よだれ)と汗で取れかかって、
そこから艶かしい吐息と共に切なげな喘ぎ声が漏れる。

「クチュ…クチャ…二チュ…ほら、どう…?」
「ああっ、はぁ…んっ、んんっ…」

「どうしたの?イキたいんでしょ?…クチッ…ニチャ」
「はぁん…ああっ、はんっ…」

「でも、ダメよ。貴女のそれは根元が縛られてるから絶対イク事出来ないの。
保健体育の授業で習わなかったかしら?『射精』って…フフッ」
イタズラっぽく呟きながら長身の少女の責めはエスカレートしていく。

そして今度はワザと焦らす様に指先で頬を撫でながら
ヘッドホンと口元のテープを取り去ると耳元で囁く。

「ほら、見て!こんなにビクビクいって…っても、このままじゃ分からないわね。
いいわ、目隠しを外した上げる。その代わりカワイイ声で喘いでちょうだいね♪」

促す様にそう言いながら最後に残った目隠しを取り去る。

「ふぅ、はぁ…ん、あつ、ああっ!」
「そうそう、その調子よ。」

まるで弄ばれる様に長身の少女の言うまま、身悶える括り付けられた少女。
余程の快楽なのだろうか視点は宙を彷徨い、体中から汗が滲(しみ)だしている。

おまけにそんな自分自身の姿に興奮しているのだろうか、
股間のナニはそれに答える様に破裂しそうな程膨張している。

「ほら、ほら、ほら、ほら、」
「ふわっ、ふあっ…あっ、あっ、あっ…ああっ!!」

やがて、絶頂を迎えたのだろうかひと際大きな喘ぎ声と共に
括りつけられた少女は、気を失った様に椅子ごと床に倒れこんだのだった。



「うぅっ…ううん…」
薄っすらと瞼(まぶた)を開くとそこは建物の中だった。

しかも何かの部室らしく使い込まれたロッカーと
制服やジャージが床に無造作に脱ぎ捨てられている。

(あれっ、ここって一体!?)
はっきりしない頭で何とか現状を把握しようとするが、
どう言う訳だか体が椅子に括りつけられていてに身動きが取れない。

(確かトイレでこの体の…((舞ちゃんとか言ってたっけ?))女の子の振りして、
孝之が入り込んだ女の子を頂こうとした途中で後から殴られて…。
気が付いたらこうなってるんだよなぁ~)

おぼろげな記憶を辿りながら必死に思い返そうとするがどうにも話が繋がらない。
しかも体を見回すと着ていたハズの制服は胸元を脱がされ、
下半身は露になったナニがそっくり返っているのだ。

おまけに根元はリボンで縛られ、ビクビクと脈打っている。
それに伴い、快楽とも苦痛とも言えない感覚が頭に飛び込んでくる。

(ふむ、どうやらまた娘の方の意識が強く出たって訳か。
それにしてもこの状態…一体何がどうなってるんだよ!?)

自分が置かれている状態に訳も分からず
パニックになっているとかすかに話声が聞えてくる。

耳をそばだててみてもよくは聞き取れなかったが、
カン高いその声は言い争っている様な少女達のものだった。



「ちょっと、貴女達っ。お帰りなさいって言ったじゃないの」
「ズルイですよ、先輩ばっかり!アタシ達だってあの娘に興味が…」
「ちょっと、待ちなさいって!私の言う事が聞けないの?」

その声の主は先程、体育倉庫で痴態を繰り広げた長身の少女と
一緒にいた少女。それ以外にも複数の少女の声が聞える。
詳しい事は分からないがどうやら俺が原因らしい。

しかも長身の少女は何故か全裸のまま、ドアの扉を押さえている。
でも、何で全裸なのだろう…?

「いいから、開けてくださいよ」
「やっ、ダメよ!いいから早く帰りなさいってば!」
「いやです」
「帰りなさいってば…きゃっ!」

しばらくの押し問答の後、少女達はドアを強引に押し開くと
そのまま一斉に部屋の中になだれ込んできた。

「あ~やっぱり、してるんじゃないですか!?」
「そっ、それは…その…」

「ダメですよ!先輩ばっかりズルイです!」
「だ、だって貴女達今まで恐がってたじゃない…だから…その」

「それはそうなんですけど…」

「さっきそこの隙間から先輩達のからみを
覗いていたら段々体が火照ってきちゃって…ねぇ?」

「うっ、うん」
「体の芯が疼いちゃって自分でしちゃったんですよ、もぅ」
「あはは、アンタは早すぎるってば」
「だって~」

「あっ、貴女達…見てたの?」

「ええ。で、それなら皆で楽しもうって思ったんですけど、
先輩がイジワルするんなら仕方ないですよねぇ~」

「きゃっ!?なっ、何するの!?」

黙って様子を伺っていると少女達はいきなり長身の少女を抱え込み、
そのまま床に押さえつけながら全員で愛撫をし始めたのだ。

「ぴちゃ…ぬちゃ…ねちゃ…」
「チュプ…チュピ…ヌチュ…ネチュ…」
「ぴちゃ…ぬちゃ…ねちゃ…」

首筋や胸、股間はもちろん足の指の付け根から腋(わき)の下まで。
まるで高価な美術品を磨け上げる様に舌先で体中を舐め上げていく少女達。

「こらっ…いい加減にしないと…ホントに怒るわ…よ」

「チュプ…ダメですよ~今回はアタシ達が…んっ!…可愛がってあげますから♪」
「そうそう、いつもお世話になってるから…ヌチャ…たまにはお返ししないと、ね~」
「それよりどうですか?…先輩に仕込まれたテクニックの味は?…チュル」

冗談っぽく答えながら少女達は長身の少女に覆い被さると
更にその身体をねちっこく攻め立て始めた。

舌で…指で…胸で…乳房で…吐息で…。
自らの体全てを使いながら貪る様に絡みつく少女達。
部屋の中は汗混じりの甘い香りが充満し、むせ返る程の熱気を帯びている。

「あっ、あっ…やっ…ああぁん…はぁん」
いつしか長身の少女も抵抗を止め、その快感を受け入れる様に
切なげな声を上げながら身悶えし、そして程なくして絶頂を迎えたのか
横たわったままピクリとも動こうとしない。

その様子を満足気に見つめる少女達。
すでにその目は空ろで口元はだらしなく開きっぱなしだ。

(うわぁ~すっげぇ…この娘達ってホンモノのレズだよ。
しかも大勢で一人を攻めてるし…こんなの見せられたら…いっ!?)

「うっ、あっ…痛いっ…いたたたた」
あまりの光景に下半身、特にナニが敏感に反応し、
耐えがたい痛みに思わず声が漏れる。

するとそんな俺に気付いたのか少女達の一人
そしてまた一人と俺の方に向かってきたのだった。

「ねぇ、頼むよ」
「……………。」

すでに相当な時間が過ぎているのも係わらず、
俺はその場から一歩も動けずにいた。

と言うのもあれからすっかり腹を立ててしまった丹ちゃんは
壁際に背を預けたまま俺の話に耳を貸そうともしない。

(こうしてる間にも…もし二人に何かあったら…)
そう考えただけでいても立ってもいられず苛立ちばかりが先走り、
いつしか俺はそんな彼女の態度に思わず言葉を荒げた。

「いい加減にしてくれよ!!」
「なっ、何よ。逆ギレ!?」

「逆ギレでも何でもいいから頼むよ!
こうして言い争っている今だって賢治や舞ちゃんが
さっきの奴らに危険な目に合わされてるかも知れないんだ」

「そんな人達の事なんて知らないわよ!
第一、好き勝手に人の体弄んだんだから自業自得って奴だわ」

吐き捨てる様に言い放つ丹ちゃん。
確かに彼女にしてみればいい迷惑かも知れないけど…でも。

「『弄んだ』って…でも、キミがそんな態度のままだったら、
俺達ずっとこのまんまだぜ…それでもいいの?」

このままではいつまで経ってもラチが開かないと思った俺は
強い口調で問い掛けた。

「えっ!?そっ、それは…」
すると先程までふったかっていた彼女の口調が急に止まる。
どうやらその言葉に冷静さを取り戻したらしい。

「だから、済まないけどバレーボール部の部室に向かってくれよ。
そうすれば必ずキミの体も元通リになるから、約束するよ!」

「………………。」

「…丹ちゃん、お願いだよっ!」

「うん…わかった」
俺の祈りにも似た言葉にしぶしぶと言った感じであったが、
彼女の体は壁際から離れるとゆっくりと歩きだした。



「さっきはゴメン…強く言いすぎちゃって…」
「………………。」

すでに真っ暗になったグラウンドを一直線に進む二本の細く小さな足。
それを俺はいつもよりも下の目線からその歩みを見つめていた。

あれから丹ちゃんは一言も発しないまま、
黙々とバレーボール部の部室のあるプレハブの建物に向かっている。
しかしそのスピードはゆっくりとしたものだった。

「丹ちゃん…悪いけどもう少し…あっ」
そう声を掛けようとした時にある事に気付いた。
呼吸が上がっているのだ…しかも苦しそうに息を切らせながら。

(よく考えたら俺の頭が出ている分だけ重い上に、
バランスが取れないから歩くだけでも相当大変なんだよな…)

今更ながら自分のした事の身勝手さに口をつぐんだ。
何もする事の出来ない無力さに涙が頬を伝う。

「ねぇ、泣いてるの?」
するとそれに気付いた丹ちゃんが声を掛けてきた。

「えっ、いや。泣いてなんか…それより体、大丈夫?」

「あぁ、少し重いけど平気。…って、もしかして心配してくれてるの?」

「うん…何か君には迷惑ばかり掛けちゃって…ゴメン」
その問いかけに俯いたまま答える。

「うぅん、アタシこそ自分の事ばっかり考えちゃってゴメンなさい。
そうだよね…孝之クンだって友達を助けるのに必死なだけなのに…」

「いやっ、丹ちゃんは全然悪くないよ。ただ俺達が彼女がほしくってさ、
このクリームを使って、目ぼしい娘を探そうとしてたんだ。
それがこんな事になっちゃって…」

「……………。」

「だから本当にすまないと思ってるんだ。
でも今は…君に頼るしかないのが…情けなくて」

喋りながらも段々意識が薄れてくるのが分かる。
どうやら今度は俺の方が辛くなってきた。

「ねぇ、声が苦しそうだよ。大丈夫なの?」

「えっ、うん…チョットね。でも心配しないで。
それにこうして無いと俺の顔がキミの大事な所に…その…当たっちゃうから」

「あっ……!?」
「……………。」

再び沈黙の時間が流れる。
お互いに何とも気まずい雰囲気だ。

「えっと…えっ!?」
話題を変えようと口を開いた瞬間、
彼女の両腕が俺の頭を抱える様にしてアゴの部分を持ち上げた。

「これで、少しは楽になった?」
「うん…アリガト」

「お礼なんか言わないでよ。私だって触られるのイヤだもん
…でも、抱き心地いいね。孝之クンの頭って」

「えっ!?」

「何て言うんだろ…こうしていると落ち着くって言うか、
あ、そうだ。妊婦さんてこんな感じなのかなぁ?」

「ははっ、何ソレ…?」
「ふふっ、別にいいじゃ~ん、ホントに抱き心地いいんだからさ♪」

そう言いながら彼女は俺の頭を優しく抱え込んでくれる。
アゴや頬に伝わる彼女の手の温もり…その心地よさにいつしか俺は
深い眠りに落ちていたのだった。


(あれ…ここは!?)

再び目を覚ました時、俺は自分の部屋のベットにいた。
確か学校で賢治と舞ちゃんを助けに行く途中でだったのに…。

「お、目を覚ましたか?だから言ったろ大丈夫だってさ
全く女ってのは心配性なんだから」

「確かにそう言ったけど賢治君アンタ、デリカシー無さ過ぎっ!
丹ちゃんの気持ちにもなってみなさいよ」

「そりゃそうだけどさ~」

聞き覚えのある声が耳の奥まで響いてくる。
この声ってもしかして…。

周りを見回すと賢治と舞ちゃん
それに丹ちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。

(えっ!?って、事は…)
あわてて体を起き上げらせると目に入って来たのは、
見覚えのある俺の体だった。

「元に戻ってる…一体どうして?
それにみんな、無事だったのか!?」

今の状態がよく理解出来ない俺は賢治の肩を掴む。

「ああ、おかげ様でね」
「でも、大変だったんだから~ねぇ、丹ちゃん?」

「そんな…でも目が覚めてホントよかった」

イタズラっぽく顔を見合わせる賢治と舞ちゃん。
その横にはうっすらと涙を浮かべながらはにかむ丹ちゃんがいた。

「うん…ありがと」
その言葉を噛み締める様に頷くと
全員の顔に向かってニッコリと微笑むのだっだ。

それから軽い談笑の後、
話題は俺と丹ちゃんとの事に移っていた。

「ちぇっ、いーよな。お前だけ、ちゃっかり自分の彼女見つけやがってさ」

「そんな、彼女だなんて…」
「そうだよ。勘繰りすぎだぜ、賢治?」

「だってさ~お前が起きるまで大変だったんだぜ。
『孝之クンに何かあったらアンタのせいよ』とか散々言われてさ。
なだめるのに一苦労したぜ…
まぁ、そんだけお前の事大事に思ってんだな」

少しだけ俯きながら呟く賢治。
すると舞ちゃんが含み笑いを浮かべて会話に入り込んでくる。

「あぁ~っ、分かった。
もしかしてうらやましいでしょ?賢治君」

「えっ!?…そりゃチョ~うらやましいよ。
彼女が出来ただけでもすげぇ悔しいのに、しかもこんなに可愛い娘なんて。
何だよ。元々は女子校に彼女探しに行こうって言ったの俺なのにさ。
なぁ、舞ちゃん。これも何かの縁だから俺達も独り者同士、
カップルになろーぜ、な?」

甘えるような声で舞ちゃんの服の裾を引っ張りながら言い寄る賢治。

「ウフフ、ヤダよ。賢治君アタシの好みじゃないし。
まぁ、彼女にはなれないけど、たまにだったらアタシの中に
入ってもいいわよ。もちろんアレを出してね。」

「えっ、ホント?」

「うん、だってさ。賢治君のアレいじってるとすごい気持ちいいんだもん。
あの中身を放出する感覚って女の娘じゃ絶対無理だし…それにフェラだっけ?
あんなの知ったらもう病み付きになっちゃうよ」

冗談交じりに答えながらもまんざらでもない感じの舞ちゃん。
そんな2人のやり取りは仲むつまじいカップルそのものだ。

「それにしてもさぁ、途中までしか憶えてないんだけど、
椅子に括りつけられたままの攻めにはまいったわ。
だってさ~」

「俺も驚いたよ。気が付いたら…」

「えっと…じゃ、目が覚めた事お姉さんに報告してくるね」
二人の赤裸々な話に丹ちゃんは俯いたまま部屋を出て行く。

「あら、丹ちゃんには刺激が強すぎたかしら?」

「ん~純な娘だよなぁ…でも、そんな娘がお前の為に付きっ切りで看病だぜ。
ホントうらやましいよなぁ~って、痛たっ!」

「まったく、油断も隙も無いんだから」

ゴロンとその場に横になりながら舞ちゃんの膝枕を狙う賢治と
それを察知してその頭をピシャリとはたく舞ちゃん。

(ホントに良いコンビかも…)
二人のやり取りを見ながら俺はそんな事を考えていた。



「アンタはもぅ~心配ばっかり掛けさせるんじゃないわよ」
「うん、でもそれは賢治が……」

しばらくして姉貴と丹ちゃんが戻ってきた。

「まぁまぁ、取りあえず何も異常ないみたいだし、
それにあんまり怒っちゃ折角の美人が台無しですよ、お姉さん」

「えっ!?あっ、…お世辞が上手いだから賢治君は」
「そんな事ないっすよぉ。僕、ウソつけない人ですもん」

「ウフフ、まぁいいわ。賢治君に免じてこの場は納めてあげる」
今まで険しい顔をしていた姉貴の顔が賢治の一言で
アッと言う間に上機嫌になる。

「どうやらアンタも心配ないみたいだし、そろそろ出掛けるわね」

「出掛けるってバイトは…っと」
途中まで言いかけてあわてて口をつぐむ。
そう言えば姉貴の体は賢治がお店に置きっぱなしにしちゃったんだっけ…。

「あれ、アンタ。話知ってるの?」
「えっ、あっ、いや…」

「ははぁ~ん。賢治君でしょ?全くおしゃべりなんだから」
「えっ、違いま…」

「問答無用、ウリウリ~」
「うわっ、チョット、止めっ…痛たたたっ!?」

姉貴は戸惑う俺を気に止める事無く、
賢治のコメカミを握りこぶしでグリグリと弄くりまわしている。

「あっ、姉貴。もうその辺で…バイトなんでしょ?」

「そっそうね。でも何でアタシ、バイト先のソファーで寝ていたんだろ。
しかも勝手にお店開けて「女子高生限定、無料サービス」なんか
始めちゃってて、気が付いたら女子高生が店内でブーイングしてるし…
今考えても訳分からないわ?」

「さぁ…!?」

「もしかして夢遊病かなぁ~
そんなに仕事熱心って訳じゃないんだけど…」
首をかしげながら腑に落ちない表情をする姉貴。

確かに賢治が勝手に姉貴の体を使っていたんだから
憶えているハズなんて無いんだけど…。

「でも、そんな事があったら普通、
バイトの方はクビになるんじゃないの?」

「ん?ああ、大丈夫よ。だってあそこの店長アタシに首ったけだから♪
こんな事位じゃ全然お咎めなしってモンよ」

そう言いいながら勝ち誇った顔でVサインで答える。
全く、頼もしいと言うか何と言うか…。

「んじゃ、行ってくるわね」

「いってらっしゃい」
「いってらっしゃ~い」

「と、そうだ。丹ちゃんと舞ちゃん」
部屋を出ようとした姉貴の足がふいに止まる。

「はい?」

「良かったら今度、店にいらっしゃいよ。
アナタ達ならタンニングとマッサージただでやってあげるからさ」

「はは…楽しみにしてます。ねぇ?」
「えっ、ええ。ホント…」

苦笑いを浮かべながら答える舞ちゃんと丹ちゃん。
確かに複雑な心境かも…。



「そう言えばさぁ、あれから賢治どうなったんだよ?
俺よく憶えていないんだ…あの後。」

姉さんを送り出した後、
俺は再び、今までの事の顛末を賢治に切り出した。

「あはは、それがさ~傑作なんだよ。
実は、お前達が部室に来る前に俺の意識はもう目ぇ覚めてたんだよ。
で、気が付いたら身体は椅子に括りつけられて身動き取れねーだろ?
正直ビビったけど、なるようになれって大人しくしてたんだよ」

「ふんふん」

「まぁ、最初は興味本位で俺のナニを弄繰り回していたんだけど、
そのうち彼女達も盛り上がってきたみたいで、互いに互いの身体を
求めあう様になってさ。気が付いたら乱交パーティーみたいになってたんだよ」

身振り手振りを交えながら興奮した様子で話を続ける賢治。

「え~そうだったの!?じゃ、アタシが気を失った後は
賢治君やりたい放題だったんじゃないのぉ?」

イジワルっぽい口調で舞ちゃんが茶々を入れてくる。
しかし話には興味津々らしく、その目は爛々と輝いていた。

「いや、それがさ~全然」
「『全然』ってどう言う事だよ、賢治?」

「まぁ、話を聞けって。
で、いつの間にか俺も椅子から解かれてさ。
次から次へと女の子達が俺の上に跨(またが)っては
腰を振ったり、ナニをしごかれたり、咥えられたりしてさ。
結局、彼女達が果てるまで付き合わされて大変だったんだぜ」

「ふ~ん。でも結構、いい思いも出来たんじゃね-のか?」

「まぁな…でも、アレだけの人数を相手にした時は死ぬかと思ったぜ。
もう女性は金輪際(こんりんざい)大好きな一人だけでいいって気分だよ。
あ、もちろんその一人は君だよ、マイハニ~♪」

賢治はそう言うと舞ちゃんに投げキッスのポーズをしてみせる。

「もうっ、バッカじゃないの」
そんな賢治に呆れ顔をしながらも嬉しそうに照れ笑いを浮かべる舞ちゃん。
何だカンだ言いながらこの二人、結構ウマが合ってるのかもしれない。



「で、それから彼女達が果てたのを見計らってさ、
脱がされた制服と下着をかき集めるとポケットにしまっておいた
予備のクリームで舞ちゃんの中から抜け出て、そのまま学校も抜け出したって訳」

「そーゆー事。でも、話は孝之君から聞いていたけど、
自分の体から人…しかも男の子が出てくるのって
体験した今でも信じられなかったわ」

「へへっ、何たってウチの会社の極秘機密だからね♪」
自分の体を触りながら感心した表情の舞ちゃんに
自慢げな表情をしながら答える賢治。

「へぇ、なるほどね」

「『なるほどね』って、お前…その後がまた大変だったんだぜ。
予備のクリームも使いきっちゃったから急いで研究所まで行って
クリームくすねてきて、その足で丹ちゃんからお前を引っ張り出したんだ」

「ふんふん」

「ホントはそのまま家まで送って帰ろうとしたんだけど、
丹ちゃんがさ、『孝之クンが心配だから…』って今まで寝ないでずっと看病してたんだぜ。
くぅ~うらやましい」

「ヤダっ、賢治クンたらそんな事言わなくていいのに…」
真っ赤な顔のまま、消え入りそうな声でつぶやく丹ちゃん。

「丹ちゃん…」
思わず口をついて出た言葉。
いや、それ以上は気持ちが一杯で言葉が出てこない。

「ホント、優しい娘だよね~大事にしなきゃダメよ、孝之クン☆」
すると俺達の空気を察して合いの手を入れる様に
舞ちゃんが会話に参加してくる。

「そんな舞ちゃんまで…もぅ」
耳まで真っ赤にして答える丹ちゃん。
そんな彼女の仕草に愛しさが込み上げてくる。

「丹ちゃん…」
「孝之クン…」

「…………。」
「…………。」
俺達は無言のまま、お互いを見つめ返す。

まるで心と心が触れ合う様な心地よい感覚。
それはあの時頬に触れた手の温もりそのものだった。

「あ~アツイアツイ。どうやら俺達はオジャマみたいだな」
「そうみたい…つか、すでに眼中に入ってないみたいだしね」

そんな俺達を呆れ顔で見つめる賢治と舞ちゃん。

「あっ、いやっ、別にそんな…」
「そうよ、賢治クンも舞いちゃんも気にしないで…」

「あはは、冗談だよ。でもそろそろ家、帰んねーとやばいからさ」
「それに恋人達の時間を潰すほど無粋になりたくないモン、ね☆」
「ね~♪」

茶化しながら部屋を後にする賢治と舞ちゃん。



「まったく…いいコンビだよ」
「ウフフ、ホントだね」

そんな二人の後姿を見送りながら俺達は
互いの顔を見合わせると照れ笑いを浮かべる。

「ねぇ、孝之クン…」
「えっ…何?」

「実はアタシね、気を失った孝之クンの頭抱えて部室に向かう時、
ずっと考えていた事があるんだ、聞いてくれる?」

「うっ、うん…」

そして二人だけになった部屋の中で俺は
丹ちゃんの言葉に耳を傾けた。

「あのね…すごく変なのかも知れないけど、
あの時は『あなたを守りたい』って気持ちが溢れてたの。
もし、ここで逃げ出したら孝之クンが悲しむ。

…そう考えたらアタシが頑張らなきゃって思ったの」


「…………。」


「自分でも何でそんな気持ちになったんだか良く分からないんだけど、
今分かったわ。あぁ、アタシこの人が好きなんだって…」


「丹ちゃん……。」

「孝之クン……。」

それから先、言葉は要らなかった。
俺達は互いの体を強く抱きしめるとゆっくりと目を閉じる。





塗り込んだ相手の体の中に入れるこの不思議な『クリーム』。
それを使って体験した日々の事を俺は一生忘れる事はないだろう。




[クリーム 完]



【あとがき】

どうも、あさぎりです。

えー今回の「クリーム」は私にしては珍しくハッピーエンド(?)な
作品で個人的に気分良いです。(笑

正直、こんだけ長い上に間が開いてしまうと自分でも
話の辻褄が合わなくなったり、登場人物の名前を
忘れてしまったりと散々な思いも今は昔。

今後はもう少し計画性を持って作品作りを
していきたいなぁ…なんて思ったりしますが(苦笑

そんな訳で皆様、寸止めしまくりの当作品に
最後までお付き合いいただきどうも有難う御座いました。

そしてインクエメンバーの皆様、長い間お世話になりました。

私はこの作品をもって「インクエスト」を卒業いたしますが、
メンバーであった期間は私にとってかけがいの無い宝物です。

「アリガトウございました!」

以上。

【最後に本作品の著作権等について】
◇本作品はフィクションであり、登場する人物・団体名等は全て架空のものです
◇本作品についての、あらゆる著作権は、すべて作者が有するものとします。
よって、本作品を無断で転載、公開するこは御遠慮願います。



それと最後の最後に第九話での「登場人物達の名前にはある共通点」とは、

「一色 丹(いっしき あきら)」の「色丹」
「国後 孝之(くなしり たかゆき)」の「国後」
そして「八房 舞(やつふさ まい)」のカナ読みで「ハボマイ」の「歯舞」

…つまり北方四島の名前を編み込んでみました。
もっとも賢治の名前は先に付けてしまったので変更できない為、
無理やり名前を択捉(たくそく)の姓を今つける事にしましたけど(笑

 

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